未然防止型 QC ストーリーを活用して トラブル・事故を防ぐ
中央大学理工学部 経営システム工学科 中條 武志
E-mail: [email protected]
第5714回QCサークル大会 QCサークル関東支部運営事例選抜大会 2015年7月17日全てのスライドは
http://www.indsys.chuo-u.ac.jp/~nakajo/QCC5714.pdf
よりダウンロードできます。その 他 原因
A 原因 B
原因 C
原因 D
原因 E
原因 F
原因 G
原因 H 0
22 44 66 88 110 件数
0 20 40 60 80 100
(%)
そ の 他 原
因 B
原 因 A
原 因 D
原 因 C
原 因 E
原 因 F
原 因 H
原 因 G 0
22 44 66 88 110 件数
0 20 40 60 80 100
(%)
最近のトラブル・事故を見ると
2
再発防止 が重要
未然防止 が重要
講演の内容
1.未然防止の基本的な考え方 2.未然防止型QCストーリー 3.未然防止のための手法 4.未然防止の実践例
1.未然防止の
基本的な考え方
4
個々の発生率が非常に低い。
あらゆるプロセス(作業、設備等)
で起こる可能性がある。
発生したものをいくら対策しても もぐらたたきにしかならない
なぜ未然防止が必要か
未然防止が必要
10 -5
× 10 6
10
残ったモグラは?
10 6 - 10=999990
実施にともなって発生すると考えられる問題を予め計画 段階で洗い出し、それに対する修正や対策を講じておく。
未然防止(予防処置)とは
過去に経験した 失敗の収集と 類型化
+ 計画の事前の 体系的な見直し と改善
同じ失敗を別の場所で 繰り返し起こしている
6
未然防止(予防処置)とは
過去の失敗
失敗モード 一覧表
プロセス(作業・設備など)
・・・
過去の有効な対策の活用
過去の 有効な対策
プロセス(作業・設備など)
・・・
発想チェックリスト 対策データベース
失敗 失敗
失敗 失敗
8
3.未然防止型 QCストーリー
未然防止型QCストーリー
1.テーマの選定
2.現状の把握と目標の設定 3.活動計画の策定
4.改善機会の発見
過去の失敗の収集と類型化
起こりそうな失敗の洗い出し
5.対策の共有と水平展開
対策案の作成(過去の有効な対策の活用)
対策案の評価・選定・実施
6.効果の確認
7.標準化と管理の定着 8.反省と今後の課題
10
1.テーマの選定
顧客(後工程)のニーズや職場の方針を理解する。
職場が提供している製品・サービス、行っている業務を リストアップした上で、トラブル・事故の危険性や量を点 数付けする。
業務 トラブル・事故の
危険性
量 総合評価
(順位)
A製品の組立 中 大 2
B製品の組立 中 小 4
設備の始業前点検 大 中 1
○○不良の修正 大 小 3
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
2.現状の把握と目標の設定
事実を集め、現状を定量的に把握(管理不良か技術不良 か、人の行動か設備の故障か、知識・スキル不足/意図 的な不順守/意図しないエラーのいずれかなど)。
目標を設定(何を、いつまでに、どこまで改善するか)。
知識不足 17%
スキル不足 11%
意図的な不順守 22%
意図しないエ ラー 50%
12
技術不良 10%
管理不良(人の 不適切な行動)
管理不良
(設備故障 ほか)
20%
3.活動計画の策定
目標を達成するまでの大まかな活動の進め方
(1.テーマの設定~8.反省と今後の課題)を、日程や 担当とともに示す。
ステップ 〇月 〇月 〇月 〇月 〇月 担当
1.テーマの選定 全員
2.現状の把握と目標の設定 内海・高橋・川井
3.活動計画の策定 全員
4.改善機会の発見 山西・鎌田・田部井
5.対策の共有と水平展開 小村・大沢・会沢
6.効果の確認 内海・高橋・川井
7.標準化と管理の定着 本間・新開
8.反省と今後の課題 全員
4.改善機会の発見
過去の事故・トラブルの原因となった失敗を収集・整理 し、失敗モード一覧表を作成する。
テーマとして取り上げたプロセスの設計・計画を、プロセ スフロー図/機能ブロック図などを使って目に見える形 に書き出し、検討のしやすい大きさのサブプロセス/
サブコンポーネントに分解する。
FMEA(失敗モード影響分析)などを活用し、得られた サブプロセス/サブコンポーネントに失敗モード一覧表 を適用し、起こりそうな失敗を洗い出す。
洗い出された失敗についてRPN(危険優先指数)など を求め、対策の必要な失敗を明確にする
14
4.改善機会の発見
サブプロセス/
サブコンポーネント
失敗 影響 原因
失敗モード一覧表
① ・・・・
② ・・・・
③ ・・・・
起こったものではなく、起こりそうなものをすべてあげる。
5.対策の共有と水平展開
過去に成功した失敗防止対策を収集・整理し、
対策発想チェックリストや対策事例集にまとめる。
対策の必要な失敗に対して対策発想チェックリストや 対策事例集を適用し、対策案をできるだけ多く作成する。
対策分析表などを活用し、作成した対策案について、
有効そうなものとそうでないものを振り分ける。
有効そうな対策案を組み合わせて最終的な案にまとめ、
実施する。
16
6.効果の確認
対策を実施した後に、適切なデータを収集・分析し、
その効果を確認する。
RPNなどを用いて効果を予想する。
0 10 20 30 40 50 60
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月10月11月12月
トラブル・事故の件数
目標5件
N=250 N-250
48以上 15%
48未満32以上 20%
32未満16以上 15%
16未満 50%
48以上 0%
48未満32以上 5%
32未満16以上 10%
16未満 85%
(a) トラブル・事故の件数による効果の確認 (b) RPNによる効果の確認
7.標準化と管理の定着
他の人たちが学べるように活動のプロセスを文書化 する、成果を発表する。
作業標準書や技術標準書、対策発想チェックリスト、
対策事例集、失敗モード一覧表、FMEAなどに反映 する。
対策が不十分なものは、継続的な監視・検討が必要な ものとする。
18
8.反省と今後の課題
活動を振り返り、今後の活動へ活かす。
活動を通したメンバーの能力向上・成長を評価する。
ステップ 良かっ
た点
悪かっ た点
今後の 課題 1.テーマの選定 ・・・ ・・・ ・・・
2.現状の把握と目標の設定 ・・・ ・・・ ・・・
3.活動計画の策定 ・・・ ・・・ ・・・
4.改善機会の発見 ・・・ ・・・ ・・・
5.対策の共有と水平展開 ・・・ ・・・ ・・・
6.効果の確認 ・・・ ・・・ ・・・
7.標準化と管理の定着 ・・・ ・・・ ・・・
8.反省と今後の課題 ・・・ ・・・ ・・・
いつも行っている作業で散発的に発生する意図 しないエラー
新しい状況で発生する不適切な行動(意図しない エラー、意図的な不遵守、知識・スキル不足)
やりにくい作業を改善する
危険な作業・場所を改善する
設備・機器の故障によるトラブル・事故を防ぐ
自然災害に対して備える
20
未然防止型が適用できる場合
QCストーリーの使い分け
取り組むテーマ
? の対象は
過去に経験の
? ある問題か
未然防止型 1.
テーマの選定 2. 現状の把握と目標の設定
3.
活動計画の作成 4.
改善機会の発見 5.
対策の共有と水平展開 6.
効果の確認 7. 標準化と管理の定着
8.
反省と今後の課題 課題達成型
1.
テーマの選定 2. 攻め所と目標の設定
3.
活動計画の作成 4.
方策の立案 5.
成功シナリオの追求と実施 6.
効果の確認 7.
標準化と管理の定着 8.
反省と今後の課題
問題解決型 1. テーマの選定 2. 現状の把握と目標設定
3.
活動計画の作成 4.
要因の解析 5. 対策の検討と実施
6.
効果の確認 7.
標準化と管理の定着 8. 反省と今後の課題 要因や対策が
? 見えているか テーマ
今までに経験のない仕事
要因や対策が 見えている
従来から行ってきた仕事
要因や対策の検討 がつかない
? 目的は
過去に経験した 問題の繰り返し
過去に経験の 無い問題 新しい顧客価値
の創造 失敗の防止
3.未然防止のための 手法
22
未然防止のための手法
1.失敗モード一覧表 2.プロセスフロー図/
機能ブロック図
3.FMEA(失敗モード影響分析)
4.RPN(危険優先指数)
5.対策発想チェックリスト 6.対策事例集
7.対策分析表
失敗モード一覧表の例(エラー防止)
①抜け
②回数の間違い
③順序の間違い
④実施時間の間違い
⑤不要な作業の実施
⑥選び間違い
⑦数え間違い・
計算間違い
⑧見逃し
⑨認識間違い
⑩決定間違い
⑪動作位置・方向・
量の間違い
⑫保持の間違い
⑬記入・入力の間違い
⑭不正確な動作
⑮不確実な保持
⑯不充分な回避
24
プロセスフロー図/機能ブロック図の例
ステップ: ステップ: ステップ: ステップ:
○○業務のプロセス
サブプロセス:
○○○○
○○○○
・・・
サブプロセス:
○○○○
○○○○
サブプロセス:
○○○○
○○○○
サブプロセス:
○○○○
○○○○
・・・
全体を3~5のステップに分ける
各ステップをサブプロセスに分ける
出庫作業のプロセスフロー図
部品番号入力 トレー番号表示
トレー パレット
注1)部品番号を入力すると 部品の入ったパレットが自 動的に正面にくる 注2)一つのパレットには複
数のトレーがのっている
26
1
ステップ 1 出 庫箱 と出 庫伝票 を取り、部品棚のと ころに移動する
ステップ 2 棚から部品を選び、
出庫箱に入れる
ステップ 3 出庫 箱 を出 庫棚 ま で持って行く
サブプロセス: サブプロセス: サブプロセス:
3a 出 庫 伝 票 を 確 認 す る
(すべての部品に出庫 済みマークが付いてい るかどうか)
3b. 出庫伝票の出庫者欄 にサインする 3c. 出 庫 伝票 を 出 庫箱に
入れる
3d. 出庫箱を出庫棚まで 持って行く 3e. 出 庫箱 を出庫 棚の所
定の位置に置く 1a 出庫計画表を見て、出
庫すべき伝票No.を調 1b. べる 出庫伝票を選ぶ 1c. 出庫伝票のNoと出庫
計画表のNoを照合す 1d. る 出庫計画表の出庫者 名の欄にサインする 1e. 出 庫伝 票を持 って出
庫箱の棚まで移動する 1f. 出庫箱を選ぶ 1g. 出庫伝票と出庫箱を
もって部品棚まで移動 する
2a 出庫伝票の部品番号を 端末に打ち込む (該当パレットが自動的
に手前に回ってくる)
2b. 端末に表示されるト レー番号(1,2,・・・)を 2c. 見る パ レ ット か ら 該当す る番号のトレーを選ぶ 2d. トレーの部品番号と 出庫伝票の部品番号を 照合する 2e. 出 庫伝 票に記 されて
いる数量を取り、出庫 箱に入れる 2f. 出庫番号の該当部品欄
FMEA
(Failure Mode and Effects Analysis)
手順1: 対象とするプロセス/設備をその流れに沿って 書き下し、サブプロセス/サブコンポーネントに 区分する。
手順2: サブプロセス/サブコンポーネント毎に「失敗モード 一覧表」を当てはめ、発生する可能性のある失敗を 列挙する。
手順3: 列挙した各々の失敗の発生の頻度・影響の厳しさ などを評価し、対策が必要な失敗を絞り込む。
FMEAの例(エラー防止)
28
No サブプロセス エラー 影 響 発 生 原 因
発生 の可 能性
影響 の致 命度
波及 の防 止度
R P N 1 部品番号を端末に
入力する
番号欄の見間違い 欠品 1枚に複数部品が記載 2 3 2 12
入力間違い 異品出庫 入力桁が多い 3 4 3 36
2 端末に表示される トレー番号を見る
抜け 欠品 付随的作業 2 3 2 12
違う番号を見る 異品出庫 1 4 3 12
番号の見間違い 異品出庫 数字が小さい 2 4 3 24
3 パ レ ッ ト か ら ト レーを取る
抜け 欠品 中断が入る場合がある 2 3 2 12
パレット違い 異品出庫 複数のパレットがある 2 4 3 24 トレー取り違い 異品出庫 トレー位置がよく見えない 3 4 3 36 4 トレーの部品番号
を照合する
抜け 異品出庫 付随的作業 4 2 4 24
相違に気づかない 異品出庫 桁数が多い 4 2 4 24
5 部品を取る 抜け 欠品 中断が入る場合がある 2 3 4 24
数え間違い 員数不足/余り 1 3 4 12
6 出庫箱に入れる 一部入れ損なう 員数不足 1 3 4 12
7 出庫済み欄にマー クを付ける
抜け 重複出庫 付随的作業 2 3 4 24
別の欄に付ける 重複出庫/欠品 1枚に複数部品が記載 1 3 4 12 8 トレーをもとに戻
す
抜け 異品出庫 付随的作業 2 4 2 16
別の場所に戻す 異品出庫 トレーが複数ある、動く 2 4 4 24
RPN( Risk Priority Number )
発生度、致命度、検出度等を4~5段階で評点付け し、その積でリスクの大きさを見積もる。
発 生 度:失敗の発生頻度
致 命 度:失敗によって引き起こされる 影響の大きさ
検 出 度:失敗が影響を起こさないよう 取られている対策の程度
失敗 影響
発生度 致命度
検出度
対策
1
対策2
対策
3
対策N-1
対策
N
自分の経験に 基づく対策
有効な対策
対策案を思い付かないのは
問題
30
対策発想チェックリストの例(エラー防止)
<排除>
作業を取り除けないか?
危険な物・性質を取り除けないか?
<代替化>
自動化できないか?
指示、基準、ガイド等の支援を与えられ ないか?
<容易化>
変化・相違を少なくできないか?
(標準化・単純化できないか、似たもの・
関連するものをまとめられないか?)
変化・相違を明確にできないか?
(色の利用、特殊な形にできないか?)
人間の能力に合ったものにできないか?
<異常検出>
異常な動作を検知できないか?
異常な動作が行えないようにできな いか?
異常な物・状態を検知できないか?
<影響緩和>
影響が生じないよう作業を並列にで きないか、物を冗長にできないか?
危険な状態にならないようにできな いか?
危険な状態になっても損傷が発生し ないよう保護を設けられないか?
適用例(トレーの取り間違い)
発想チェッ クリスト
対策案 自動化でき
ないか
トレーの前にランプを取り付けて品名を入力すると 対応するトレーのランプが点灯するようにする 変化・相違
を明確にで きないか
パレットのそれぞれのトレーに対応する位置に番 号のラベルを貼る
異常な物・
状態を検知 できないか
トレーにチェック用の1桁の数字を付けるとともに 品名を入力するとこの数字が表示されるようにし ておき両者を確認する
物を冗長に できないか
品名が違う部品を出庫しても後工程で気付いた時 にすぐに取り替えられるように、予備の部品を用
32
作業 ワイヤーによる製品吊り下げ作業 エラー きず防止用の当て木のし忘れ 改善の着眼
(原理)
当て木が必要となる工具の属性を取り除き、当て木をする作業そのものを 不要にする。(排除)
改善前: 改善後:
効果の確認: 費用:
実施時期: 組長 班長 課長
実施工程:
発案者: 登録番号
対策事例集(データベース)の例
メン バー
主張 理由 Aさん 対策1が
よい
効果が ある Bさん 対策2が
よい
コストが 安い Cさん 対策3が
よい
継続が 容易
1次元的な見方
対策 効果があ る
コストが 安い
継続が容 易
対策1 3 1 1
対策2 2 3 2
対策3 1 2 3
対策案の評価・選定が難しいのは
声の大きさの勝負
多次元的な見方
論理的な評価
34
エラープルーフ化の対策案 効果 コスト 実施 SPN トレーの前にランプを取り付けて
品名を入力すると対応するトレー のランプが点灯する
3 1 3 9
パレットのそれぞれのトレーの対 応する位置に番号のラベルを貼る
2 3 3 18 トレーにチェック用の1桁の数字を
付けておき確認する
1 2 2 4 後工程に予備の部品を用意して
おく
1 2 3 6
採用
対策分析表の例
エラープルーフ化の効果
2 0 0
1 5 0
1 0 0
5 0
0
1 0 1 1 1 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1
フ ー ル プ ル ー フ の 適 用
不良率(ppm)
月
出庫間違い
(ppm)
エラープルーフ化
4.未然防止活動の 実践例
実践例1:電子機器の組立作業
一ロット数台を一人の作業者が組立てている
大部分の部品は台数分だけセット支給されるが、
ネジ、ワッシャー、ラベル等の小物類については 作業場所に部品箱が設置されている
作業標準書は一つ一つの手順が図示され、1冊 のファイルとなっており、作業者はこれを見ながら 組み立てる
最終検査で発見される不良の55%がヒューマン エラーによるもの
38
改善機会の発見
注)約1時間の作業を約200の作業要素に分解。
対策の必要なエラーモード約70が洗い出された。
No サブプロセス エラー 影 響 発 生 原 因
発生 の可 能性
影響 の致 命度
検出 の難 しさ
R P N
1 部品Aを取る 抜け A欠品 1 4 2 8
2 部品箱から ネジを取る
抜け A欠品 類似作業の繰り返し 1 4 2 8
選び間違い Aの緩み 種類不明確、標準書との対応が複雑 2 3 4 24 3 良否を確認する 抜け 外観不良 付随的作業、動作を伴なわない 2 2 3 12 4 部品箱から
ス プ リ ン グ を 取 る
抜け Aの緩み 類似作業の繰り返し、付随的作業 4 3 3 36 選び間違い Aの緩み 種類不明確、標準書との対応が複雑 2 3 4 24 5 良否を確認する 抜け 外観不良 付随的作業、動作を伴なわない 2 2 3 12 6 ネ ジ に ス プ リ ン
グを入れる
抜け Aの緩み 実施結果が外観で不明、付随的作業 4 3 3 36 7 ネジで部品Aを
本 体 に 仮 組 み す る
抜け A欠品 1 4 2 8
位置の間違い Aの作動不良 1 4 2 8
8 電 気 ド ラ イ バ ー のトルク設定
抜け Aの緩み やったりやらなかったりする、付随 的作業
2 3 3 18 9 電 気 ド ラ イ バ ー
で本締めする
抜け Aの緩み 実施結果が外観で不明、類似作業の 繰り返し
4 3 4 48
対策の作成と実施
40
エラー エラープルーフ化の方法
a ) ネ ジ ・ ワ ッ シャー類の取り 忘れ
b ) ネ ジ ・ ワ ッ シャー類の選び 間違い
1)作業標準書に番号を記入して作業の順序を固定し、その順序に 従ってネジ・ワッシャー類を配列する(共通化・集中化)
2)作業標準書の図及びそれと対応する現物(ネジ・ワッシャー類 の箱)とに、同色同形のラベルを貼付する(共通化・集中化)
3)一台分のネジ・ワッシャー類を区分けされたパレットに用意 し、作業終了後に余りの有無を確認する(異常検出)
〔このパレットに対して1)2)の対策を行った〕
c ) 仮 組 み ネ ジ の本締め忘れ
4)外観上明らかに仮組みネジとわかる専用の治具を用いるように し、仮組みネジで組立てた後一本一本普通のネジと交換して締め 付けていくようにする(特別化・個別化)
5)電気ドライバーの使用回数をカウントし、それを基準値と比較 して異常ならブザーを鳴らすようにする(異常検出)
d ) 締 付 ト ル ク の不足
6)トルクドライバーを用いる(代替化)
7)手順を締付けが行ないやすいように入れ替える(適合化)
e ) ラ ベ ル の 貼 付間違い、位置
8)作業標準書の図に現物表示をする(共通化・集中化)
9)位置決め用の専用貼付け治具を用いる(代替化)
効果の確認
4 0 0
3 0 0
2 0 0
1 0 0
0
1 0 1 1 1 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0
表 9 の 5 ) の フ ー ル プ ル ー フ の 適 用 表 9 の 1 ) ~ 4 ) 及 び 6 ) ~ 9 ) の フ ー ル プ ル ー フ の 適 用
不良率(ppm)
月
表12の5)を除くフー ルプルーフ化の適用
表12の5)のフールプ ルーフ化の適用
エラープルーフ化 a)~d)
エラープルーフ化 e)
実践例2:大型機械の組立作業
板合わせ、骨組立、穴あけ、打鋲、部品の組付な どを経て完成した製品は検査で確認され、問題 があるものは修正・手直しとなる
一つのヒューマンエラーで大きな修正工数が発生 したこと、上位方針の「損失コスト半減」を受けて、
エラーに起因する不良の発生やそれにともなう修 正工数の低減を改善活動のテーマに取り上げた。
1台ごとの修正工数のばらつきが大きい、「骨組 立」の工程に活動を絞り込んだ
42
エ ラ ーモ ード ( 作業 ミ スの 種 類) 影 響度 骨 組 立 工程 の 作 業 の 流 れ
① 抜 か す
② 順 序 を 逆 に す る
③ 重 複 し て 行 う
④ 不 要 な こ と を す る
⑤ 選 び 間 違 え る
⑥ 量 を 間 違 え る
⑦ 認 識 し 間 違 え る
⑧ 間 違 っ た と こ ろ を つ か む
⑨ 間 違 っ た つ か み か た を す る
⑩ 誤 っ て 落 と す
⑪ 誤 っ て 離 す
⑫ 落 ち る
⑬ つ ま ず く
⑭ 合 わ せ そ こ な う
⑮ 記 述 し 間 違 え る
⑯ う っ か り 危 険 な 状 態 に す る
⑰ 危 険 物 に ふ れ る
機 能 へ の 影 響 度
コ ス ト へ の 影 響 度
1.治 具を 整 備 ○ ○ ○ ○ 0 1
2.部 品を 確 認 ○ ○ ○ 1 0
3.部 品を 棚 から 取 り出 す ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 4 2
4.作 業台 の 上に 集 める ○ ○ 2 1
5.部 品に ラ イン を 入れ る ○ ○ ○ 3 1
6.工 具を 選 ぶ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1 2
7.穴 をあ け 、バ リ を取 る ○ ○ ○ ◎ ◎ 4 1
8.取 り付 け 位置 を 調べ る ○ ○ ◎ ◎ 2 0
9.コ ンタ ー を合 わ せる ○ ○ ○ 1 2
10.部 品を 治 具に セ ット ○ ◎ ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ 4 2
11.ロ ケー タ を取 り 出す ○ ○ ○ 0 0
12.ロ ケー タ をセ ッ トし 合わ せ る ○ ○ ○ ◎ ◎ ● ○ ○ ◎ ○ ● ○ 4 2
13.下 穴を 通 す ○ ○ ○ ○ 2 2
14.ロ ケー タ 部の 下 穴あ け ○ ○ ○ ○ ○ 3 2
15.治 具か ら 外す ○ ○ ○ 2 1
16.治 具上 で あけ ら れな い穴 あ け ○ ○ ◎ ○ ○ 3 2
17.バ リと り ○ ○ ○ 0 0
効果の確認
年間20~
30件あっ た修正が年 間1件に なった
改善提案件 数が急増し た
実績
299
件400
300
100 200
目標
400
件目標
130
件改善提案件数
44
実践例3:顧客対応の業務
開発・営業・生産管理を担当している。
日頃抱えている問題・課題を話し合いった結果、
「受発注のトラブルを防ごう」というテーマに取り 組むことになった。
過去に経験した失敗をみんなで出し合い、①標準 を知っていたか、②標準通りに作業できるか、③ 標準を守るつもりだったかの3つの質問によって 分けたところ、うっかりミスとスキル不足が全体の 7割と多かった。
改善機会の発見
46
プロ セス
サブプロ セス
起こしそう
な失敗 影響 原因
発 生 度
重 要 度
検 出 度
リス ク
お 客 様 か ら の 注 文 を 受 ける
お客様の 受付内容を 確認する
紛失 失注 中断
2 4 4 32
見落とし 納期遅れ 忙しい
2 4 3 24
見間違える 納期遅れ 時間がない
3 4 4 48
過去の実績を確認す る
見落とし 間違った情報をあ
たえる 勘違い
2 2 2 8
見間違え 無駄な工数かかる 忙しい
2 2 2 8
別張り一覧の確認をす る
見落とし 間違った情報をあ たえる
一覧表が紛らわ
しい
2 2 2 8
見間違え 無駄な工数かかる 認識不足
カタログ見間違い
2 2 2 8
注)全部で起こしそうな失敗が42
個あり、そのうち18
点以上のものが20
項目サブプロセス 失敗 対策案 お客様の受
付内容を確 認する
紛失 見落とし 見間違える
FAXの一時保管場所、掲示場所を明確にする
受注処理確認集中タイムを設け、その時間に必ず確認する 第三者に確認してもらう
過去の実績 を確認する
見落とし 見間違える
過去の実績一覧表の作成と誰でもいつでも利用できる化
(パソコンの共有フォルダに保存)
別張り一覧の 確認をする
見落とし 見間違える
別張り一覧表の作成と誰でもいつでも利用できる化
(パソコンの共有フォルダに保存)
技術と確認を する
抜かす 誤回答
実績のないものを確認しないで(予測で)回答することをし ない。
上張り変更調 整する
できない張 地を回答
実績のないものを確認しないで(予測で)回答することをし ない
在庫を確認 する
数量数え 間違い
データ上の在庫数と実在在庫の差異をなくす
対策案の作成
注)対策発想チェックリストを用いて22個の対策案を作成→5つの対策
48点以上 7%
36点以上 15%
18点以上 8点以上 26%
26%
8点未満 26%
36点以上 7%
18点以上 21%
8点以上 31%
8点未満 41%
N=44 N=44
効果の確認
(a) 対策前 (b) 対策後
48
医薬品アレルギー情報の収集と使用
実践例4:医療職場の情報処理作業
1.アレルギー情報を収集する 2.情報をシステムへ入力する 3.入力された情報を使用する
サブプロセス
1a.看護師/薬剤師等が患者/家 族等からアレルギー情報を 得る
1b.アレルギー情報を文書化す る
1c.カルテの表に付ける
サブプロセス
2a.入力するシステムを選ぶ 2b.アレルギー情報を入力する 2c.反応タイプを入力する
サブプロセス
3a.与薬する前に看護師がアレ ルギーを確認する 3b.薬のオーダーごとに薬剤師
が確認する
改善機会の発見
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サブプロセス エラー 影響 原因 発
生 度
致 命 度
検 出 度
R P N 2a.入力システムを選
ぶ
2a1. 間 違 っ た シ ス テ ムを選ぶ
間違った情報に基づく与 薬
2a1a.システムに関する 知識不足
4 4 2 32 2a2.入力を抜かす 間違った情報に基づく与
薬
2a2a.中断 2a2b.時間がない
4 4 4 64 2b.アレルギー情報を
入力する
2b1.間違った/不統一 なアレルギー情報 に気づかない
間違った情報に基づく与 薬
2b1a.システム間の相互 参照ができない
4 4 4 64
2b2. 途 中 ま で し か 入 力しない
間違った情報に基づく与 薬
2b2a.緊急事態による中 断
4 4 4 64 2b3. 入 力 す べ き と こ
ろにNAを入力する
間違った情報に基づく与 薬
2b3a.NAが標準になって いる
4 4 4 64 2b4. ア レ ル ギ ー 一 覧
から選び間違える
間違った情報に基づく与 薬
2b4a.アルファベット順 に並んでいる
4 4 4 64 2b5.患者を間違える 間違った情報に基づく与
薬
2b5a.似た名前の患者が いる
3 4 4 48 2c.反応タイプを入力
する
2c1. 反 応 タ イ プ の 入 力を抜かす
患者・家族への再確認が 必要となる
2c1a.最後の入力である 4 1 3 12
・・・ ・・・
対策案の作成
エラー:
2b4.
(アレルギー情報を入力する際に)アレルギー一覧から選び間違える原理 質問 対策案
排 除
エラーしやすい作業または危険な物を 取り除けないか
ほかの病院のアレルギー情報を利用 する
作業を自分自身で完結するようにでき ないか。
患者に自分で入力してもらう
・・・ ・・・
代 替 化
問題を解決するために、プロセスを自 動化できないか
記入用紙をマークシート式にする 人による作業を支援するために予め行
えることはないか
質問に対し、Yes、Noで答え、候補リ ストを絞り込む
・・・ ・・・
容 易 化
人による作業を容易にするために、類 似の、誤解しやすいものを取り除けな いか
大まかなカテゴリィを選び、次に細 目を選ぶようにする
・・・ ・・・
・・・ ・・・
対策案の評価・選定
エラー:
2b4.(アレルギー情報を入力する際に)アレルギー一覧から選び間違える
対策案 有効性 コスト 実施容
易さ
SPN ほかの病院のアレルギー情報を
利用する
3 1 3 9
患者に自分で入力してもらう 1 3 1 3
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
記入用紙をマークシート式にする 2 2 2 8 質問に対してYes、Noで答え、
候補リストを絞り込む
2 2 3 12
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
大まかなカテゴリィを選び、
次に細目を選ぶようにする
3 2 3 18
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
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0 10 20 30 40 50 60 70 80
月
インシデント数
効果の確認
医薬品アレルギーのインシデント数
実践例5:生産ライン故障の未然防止
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工程 設備 機器 部位 故障
発 生 度
影 響 度
安 全 度
合 計
加工
ボイラー 脱気タンク 電磁弁 さび 2 1 1 2
混合器 減圧レギュレータ バルブアッセンブリ 破損 2 4 1 8
混合器 ブレード 羽 破損 2 4 1 8
混合器 クロススクリュー 電磁弁 破損 2 4 1 8
ボイラー 脱気タンク 電磁弁 さび 2 1 1 2
ボイラー 脱気タンク 電磁弁 さび 2 1 1 2
ボイラー 蒸気配管 バイパス配管 腐食 2 1 1 2
混合器 温水入り口弁 モーター 破損 2 4 1 8
混合器 ブレード Vベルト 摩耗 3 2 1 6
充填
現像材貯蔵 ドラム缶反転機 減速機 破損 2 3 1 6 包装機 ベルト送り部 バキュームベルト 摩耗 4 3 1 12
梱包機 シリンダー センサー 破損 2 3 1 6
包装機 ベルト送り部 バキュームベルト 摩耗 4 3 1 12
梱包機 ブッシャー センサー 破損 2 4 1 8
包装機 エンドール部 シーラー 汚れ 3 3 1 9
故障リスクの評価と対策
(a) 故障リスクの評価点 (b) 設備故障件数
0 1 2 3 4 5 6 5点以
下 25%
6‐11点 56%
12‐23点 13%
24点 以上 6%
N=16
実践例6:危険な作業の改善
汎用自動加工機械を初めて導入。
今まで行ったことのない作業であるため、ヒュー マンエラーによる事故が危ぶまれた。
作業の形態としては、3名の作業者が①材料の 運搬・取付け・取外し、②治工具の交換、③機械 の操作を実施。
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改善機会の発見
No サブプロセス
エラー
影 響 発生原因
発生頻度影 響致 の命 度
波及防止度 対 策必 の要 性 実
績 可 能 性
異出 常能 検力
影和 響度 緩 1 吊具を取る 選び間違える ワーク落下、怪我 選択の対象となる
物が多い
小 大 大 小 小 2 完成品に吊具を
掛ける
忘れる ワーク落下、怪我 類似作業の繰り 返しである
小 大 中 小 小 3 エンチングして
確認する
忘れる ワーク落下、怪我 付随的な作業で ある
小 大 小 中 小 4 ワークのアンクラ
ンプボタンを押す
忘れる ワーク固定治具破損 小 中 小 中 小
選び間違える ワーク固定治具破損 ボタンが多数ある 中 中 小 小 大 5 締金を外す 忘れる ワーク固定治具破損 類似作業の繰り返
し、付随的作業
中 中 小 小 大
6 完成品を吊り上げ コンベアまで運ぶ
壁にぶつける ワーク落下、怪我 中 大 小 小 大
7 「段取中」のスイ ッチを押す
忘れる 他の作業者の操作 によりコンベアに 巻き込まれる
付随的な作業で ある
中 大 中 小 大
8 他の作業者の有無 を確認する
忘れる 他の作業者をコン ベアに巻き込む
動作を伴なわない 作業である
中 大 小 小 大 9 コンベアの駆動ス
イッチを押し完成 品の置場を作る
長く押し過ぎ る
前の完成品がコン ベアの端から落ち る、破損
中 小 小 小 中
効果の確認
N = 5 3 6 N = 5 3 6
大 ( 3 1 )
中 ( 1 4 5 )
小 ( 3 6 0 ) 小 ( 4 8 3 )
中 ( 5 3 )
(a) 対策前 (b) 対策後
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未然防止型QCストーリーの聞きどころ
「未然防止」が必要なことを、どのようにして気づいたか、上司に訴え たか。「同じ問題が別の場所で起こっている」ことを、データを用いて どのように把握したか。
過去の事故・トラブルの原因となったエラーをどのように収集し、似 たものをどうまとめてどのような「失敗モード一覧表」を作ったか。
対象となる業務をどのように見える化し、検討のしやすい大きさに分 けたか。また、いかに「系統的」に数多くのエラーを洗い出したか。
どのような基準を用いてリスクの点数付けを行い、どのような考えで いくつのものまでを要対策と判断したか。
過去に効果のあった対策をどのように収集し、どのように整理して「対策発想チェックリスト」や「対策データベース」を作ったか。これら を使ってどれだけ数多くの対策案を作ったか。
対策案をどのように評価・選定し、有効な対策に仕上げたか。多くの 人の協力を得てどのような体制で実施したのか。
FMEAなどの新しい手法をどうやって学び、活用したか。まとめ
最近のトラブル・事故の大半は管理不良。失敗をいかに 防ぐかがポイント。
失敗によるトラブル・事故を防ぐためには未然防止活動 が必要。
未然防止活動とは、過去のトラブル・事故を類型化し、自 分のプロセスに系統的に当てはめて起こりそうな失敗を 洗い出し、事前に対策する活動。
未然防止活動のためのストーリーや手法をうまく活用す ることが大切。
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参考文献
中條武志(2008):ヒューマンエラーによるトラブル・事故を防ぐ-トラ ブル・事故0を達成する方法を学ぼう-、「QCサークル」、No.558 ~No.563 。
中條武志(2012):「未然防止型QCストーリーを活用しよう」、品質月 間委員会。
中條武志ほか(2015):未然防止型QCストーリーを使いこなそう、「QCサークル」、No.647。