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要対策土の盛土内利用検討に向けた降雨実験

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Academic year: 2022

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(1)

要対策土の盛土内利用検討に向けた降雨実験

国立研究開発法人土木研究所 正会員 ○稲垣 由紀子 正会員 加藤 俊二 正会員 佐々木 哲也 阿南 修司

1.はじめに

自然由来重金属等含有岩石・土壌等の対策が必要な土も含めて建設発生土の有効利用が求められており,

その

1

つとして盛土内における利用が考えられる。その場合,盛土内に浸透する雨水や地下水による有害物 質の溶出や拡散への対応が必要となるが,有効利用を図るうえでは効率的かつ簡易な対応法が求められる。

そこで本研究では,盛土内への降雨の浸透状況を把握し,盛土材の一部に低レベルの要対策土を用いた場合 の簡易な対策方法を検討するための基礎資料を得ることを目的とした実験を行い,要対策土の盛土内利用の 可能性について検討した。

2.実験方法

実験では,図-1に示すようにコンクリートピット内に道路盛土を摸 擬した高さ

3m

の盛土を構築し,のり尻には基盤排水層を設けた。盛 土内には掘削ずりの要対策土の利用を摸擬した砕石部分を設けた。こ れらは,ともに単粒度砕石

4

号相当(粒径

30~20mm)を不織布で覆

って作製した。盛土内の砕石部分への水の到達を調べるため,砕石部 分には集水容器(直径

17cm,高さ 18cm,足外径 5cm

の広口じょうご)

および管を設置した。周辺の盛土部は,表-1に示す物理特性を有する 山砂を締固め度

D c

=90%を目標に締め固めて構築した。天端およびの り面には,表流水による侵食を防止するために侵食防止シートを張っ た。盛土内には盛土内水位を確認するための間隙水圧計,含水状態を 確認するための土壌水分計を設置した。

今回,20mm/h の降雨を

2

時間連続で与えた後に無降雨の状態で

6

日と

22

時間置くサイクルを

4

回繰り返した。28日間の観測期間で間 欠的に

4

回の降雨があり,総雨量は

160mm

になる。これは,1981年 から

2010

年の

30

年間に茨城県つくば(舘野)で観測された

10

月の月 降水量の平均値

165.9mm 1)

に近い雨量である。

3.実験結果および考察 3.1 盛土内水位

盛土内水位は観測された間隙水圧に気圧補正をした値から求めてい る。また,盛土構築後から観測開始時までは盛土に降雨や水位は与え ていないため,観測開始時には各位置の水位は盛土底面にあったと見

なし,この時の水位を

0

とした相対的な値で算出している。3サイクル目までは,各位置とも観測開始時に 比べて間隙水圧が低い状態が続いたことから水位が負の値で推移し,盛土内の水位形成がなかったと考えら れる。4 サイクル目の降雨が終了してからは,いずれの位置でも観測開始時に比べて高い盛土内水位が算出 され,のり尻から離れた位置ほど高くなった。ただし,のり尻から

6.4m

の位置でも観測開始時に比べて水

位が

0.16m

上昇した程度であった。

28

日間の観測期間を通じて,盛土内の水位は砕石部分底面の

0.75m

に達

せず,集水容器への水の回収もなかった。

キーワード:要対策土,盛土,降雨浸透

連絡先:〒305-8516 茨城県つくば市南原

1

番地

6 (国研)土木研究所土質・振動チーム TEL

029-879-6771

表-1 山砂の物理特性

土粒子密度ρs(g/cm3 2.714 自然含水比wn(%) 16.7 最大乾燥密度ρdmax(g/cm3 1.717 最適含水比wopt(%) 17.6 透水係数 9.97×10-7(定水位)

(締固め度90%)(m/s) 2.24×10-6(変水位)

:土壌水分計

:土壌水分計+間隙水圧計 :間隙水圧計

:集水容器+管

図-1 模型盛土構築状況

単位:m

2×1.0=2.0

2×0.5=1.0 2×1.0=2.0

1.0 0.5 0.9

7.4 2.75

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑161‑

Ⅲ‑081

(2)

3.2 盛土内の飽和度分布

盛土内の各土壌水分計での計測結果から飽和度を求め,盛 土内での飽和度の分布図として図-2に示す。砕石中での土壌 水分計のキャリブレーションが困難であったため,飽和度は 全て山砂の中で土壌水分計をキャリブレーションした式で求 めたものである。

1

サイクル目は大部分の土壌水分計の計測値に変化がなか ったため,盛土内の飽和度分布は観測開始時(図-2(a))と大 きく変わらなかったものと考えられる。観測開始から

192

時 間経過時(2サイクル目の降雨終了から

22

時間後)には,天 端付近とのり尻付近で飽和度が上昇していた(図-2(b))。さ らに,360時間経過時(3サイクル目の降雨終了から

22

時間 後)には,のり面直下で飽和度の上昇が見られ,特にのり尻 付近でそれが顕著であった(図-2(c))。528時間経過時(4サ イクル目の降雨終了から

22

時間後)や観測終了時には,飽和

度が

70%以上と比較的高い領域が,盛土底面全体に広がった

(図-2(d)および図-2(e))。砕石部分では観測期間を通じて飽 和度の変化が観測されなかった。今回の条件では,累積降雨 量が

80mm

以上になると,盛土内で飽和度の上昇が見られた が,無降雨の期間に基盤排水層からの排水が進んで,砕石部 分底面に届くほどの盛土内水位の上昇はなかったと考えられ る。

4.まとめ

本研究では,掘削ずりの要対策土を摸擬した砕石部分を含 む盛土が降雨を受けた際の降雨の浸透状況を確認した。今回 は,

28

日の観測期間で間欠的な降雨,総雨量としてはつくば の

10

月の月降雨量の平均に近い雨量を与えた。その結果,浸 透した降雨は基盤排水層から排水され,盛土内水位の上昇が 抑制された。このような通常起こり得る程度の降雨であれば,

要対策土を盛土内の一部に用いるだけの対策でも要対策土に 盛土内水位が到達するには至らず,低レベルの要対策土では 有害物質の溶出や拡散をある程度抑制できる可能性が考えら れた。

一方,長雨や豪雨の場合には,盛土内水位が要対策土に接触する可能性があり,天端の遮水性と基盤排水 層の排水効果を高めることが,盛土内水位上昇の抑制や盛土内水位が要対策土に接触する時間を短くする対 策になり得るという実験結果も得ている

2)

。地域の気候特性から適切に想定した降雨条件のもと,重金属等 の溶出を予測し,対策工の設計や効果の評価に反映させていく必要がある。

<参考文献>

1) 気象庁ホームページ:つくば(舘野)平均値(年・月ごとの値)主な要素,過去の気象データ検索,

http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

2) 稲垣

由紀子,加藤 俊二,佐々木 哲也,阿南 修司:降雨実験による要対策土の盛土内利用に関する検討,第

51

回地盤工

学研究発表会,地盤工学会,

2015

(投稿中)

図-2 盛土内の飽和度分布

700 600 500 400 300 200 100 0

0 50 100 150 200 250 300

盛土底面からの高さ (cm)

のり尻からの距離 (cm)

10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0

飽和度(%)

700 600 500 400 300 200 100 0

0 50 100 150 200 250 300

盛土底面からの高さ (cm)

のり尻からの距離 (cm)

10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0

飽和度(%)

700 600 500 400 300 200 100 0

0 50 100 150 200 250 300

土底面からの高さ (cm)

のり尻からの距離 (cm)

10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0

飽和度(%)

700 600 500 400 300 200 100 0

0 50 100 150 200 250 300

盛土底面からの高さ (cm)

のり尻からの距離 (cm)

10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0

飽和度(%)

700 600 500 400 300 200 100 0

0 50 100 150 200 250 300

盛土底面からの高さ (cm)

のり尻からの距離 (cm)

10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0

飽和度(%)

(e) 観測終了時 (b) 192

時間経過時

(d) 528

時間経過時

(a)

観測開始時

(c) 360

時間経過時 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑162‑

Ⅲ‑081

参照

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