第
8章の補遺
1平面図形の面積
実数
aと
bとについて
x y
0 a b
x=f(y) x=g(y)
y=a y=b
領域
D a≤bとします. また,関
数
fと
gとは
aから
bまで積分可能であり,区間
[a , b]の各実数
yについて
f(y)≤g(y)とします.
xy座標平面において,連立不 等式
a≤ y ≤b
かつ
f(y)≤ x≤ g(y)で表される領域を
Dの面積を考えます.
a=y0≤y1≤y2≤y3 =b
となる実数
y0, y1, y2, y3をとり,下図の状況を考え ます.
x y
0 a=y0 y1 y2
b=y3
x=f(y) x=g(y)
(f(y1), y1)
(f(y2), y2) (f(y3), y3)
(g(y1), y1)
(g(y2), y2)
(g(y3), y3)
下図の
3個の長方形を併せた図形(網掛の部分の図形)を考えます.
x y
0 a=y0
y1
y2
b=y3
x=f(y) x=g(y)
(f(y1), y1)
(f(y2), y2) (f(y3), y3)
(g(y1), y1)
(g(y2), y2)
(g(y3), y3)
y1−y0
y2−y1
y3−y2
g(y1)−f(y1)
g(y2)−f(y2) g(y3)−f(y3)
上図の
3個の長方形を併せた図形(網掛の部分の図形)の面積
S3は
S3={g(y1)−f(y1)}(y1−y0) +{g(y2)−f(y2)}(y2−y1) +{g(y3)−f(y3)}(y3−y2)
=
3
k=1∑[{g(yk)−f(yk)}(yk−yk−1)] .
長方形の個数を
20にします.
a=y0≤y1≤y2≤y3≤ ··· ≤y19≤y20=bとなる 実数
y0, y1, y2, y3, . . . , y19, y20をとり,領域
Dの面積を
20個の長方形を併せた図形
(網掛の部分の図形)の面積で近似します.
x y
0 a b
x=f(y) x=g(y)
上図の
20個の長方形を併せた図形(網掛の部分の図形)の面積
S20は
S20 =20∑
k=1
{g(yk)−f(yk)}(yk−yk−1) .
長方形の個数を
100にします.
a=y0≤y1≤y2≤y3≤ ··· ≤y99≤y100=bとな る実数
y0, y1, y2, y3, . . . , y99, y100をとり,領域
Dの面積を
100個の長方形を併せた 図形(網掛の部分の図形)の面積で近似します.
x y
0 a b
x=f(y) x=g(y)
上図の
100個の長方形を併せた図形(網掛の部分の図形)の面積
S100は
S100 =100
∑
k=1
{g(yk)−f(yk)}(yk−yk−1) .
正の各自然数
nに対して,
a =y0 ≤y1 ≤ y2 ≤y3 ≤ ··· ≤yn−1 ≤yn =b
となる実数
y0, y1, y2, y3, . . . , yn−1, ynをとります. これまで述べてきたような
n個 の長方形を併せた図形の面積
Snは
Sn =
∑n
k=1[{g(yk)−f(yk)}(yk−yk−1)] .
δn= max{y1−y0, y2−y1, y3−y2, . . . , yn−yn−1}
について,
n→ ∞のとき
δn→0とします.
n個の長方形を併せた図形の面積
Snは
n→ ∞のとき領域
Dの面積 に限りなく近づきます; よって領域
Dの面積は
Snの極限値
limn→∞Sn
です. ここで
Sn = ∑nk=1
[{g(yk)−f(yk)}(yk−yk−1)]
は関数
g(y)−f(y)のリーマン和です.
aから
bまで,関数
f(y)と
g(y)とが積分可能ですから,関数
g(y)−f(y)も積分可能です
(定理
6.9.1). よって,関数
g(y)−f(y)のリーマン和
Snは
n→ ∞のとき定積分
Rba{g(y)−f(y)}dy
に収束します:
n→∞lim Sn = Rb
a{g(y)−f(y)}dy .
故に,領域
Dの面積は定積分
Rba{g(y)−f(y)}dy
です.
このようにして次の定理が導かれます.
定理8.1.2
実数
aと
bとについて
a≤bとする. また,関数
fと
gとは
aから
bまで積分可能であり,区間
[a , b]の各実 数
yについて
f(y)≤g(y)とする.
xy座標平面において連立不等式
a ≤y ≤b
かつ
f(y) ≤x ≤g(y)で表される領域の面積は
x y
0 a b
y =a y=b
x=f(y) x=g(y)
面積
Rba{g(y)−f(y)}dy
Rb
a{g(y)−f(y)}dy .
例題
xy座標平面において関数
y=√x
のグラフと関数
y=x−6のグラフと
x軸とで囲まれる領域の面積を求める.
〔解説〕 x≥0
のとき,
y=√
x ⇐⇒ x=y2
かつ
y≥0 , y=x−6 ⇐⇒ x=y+ 6 . x=y2かつ
y≥0かつ
x=y+ 6とす
x y
0 6
3
x=y+ 6 x=y2
ると,
y2=y+ 6,
y= 3,−2;
y≥0な
ので
y= 3.
0≤y≤3のとき
y+ 6≥y2. 領域の面積は
R30(y+ 6−y2)dy =h1
2y2+ 6y−1 3y3i3
0 = 27 2 .
この面積を
xについて積分して求める計算は次のようになる.
R6 0
√x dx+R9 6
√x−(x−6) dx=h2 3x
3 2
i6
0+h2 3x
3 2−1
2x2+ 6xi9
6= 27
2 . 終
問題
8.補遺
1.1 xy座標平面において関数
y=−√x
のグラフと関数
y= x 2 −4のグラフと
x軸とで囲まれる領域の面積を求めなさい.
例題
xy座標平面において関数
y= lnx ( x >0 )のグラフと直線
y= 1と直線
y= 2と
y軸とで囲まれる領域の面積を求める.
〔解説〕 x >0
のとき,
y = lnx ⇐⇒ x =ey .
領域の点の
y座標の範囲は
1≤y≤2. 各
x y
0 1 e e2
1 2
x=ey
実数
xについて
ex>0. 領域の面積は
R2
1eydy= ey2
1=e2−e . 終
問題
8.補遺
1.2 xy座標平面において関数
y=exのグラフと直線
y=eと直線
y=e2と
y軸とで囲まれる領域の面積を求めなさい.
例題
xy座標平面において
y= tan−1xのグラフと直線
y= π3
と
y軸とで囲まれ る領域の面積を求める.
〔解説〕 −π
2 < y < π
2
のとき,
x y
0
x= tany π
3
y=π 3 y = tan−1x ⇐⇒ x= tany .
領域の点の
y座標の範囲は
0≤y≤ π 3. このとき
tany≥0. 領域の面積は
Rπ3
0 tany dy=
−ln|cosy|π3
0 =−ln1
2 + ln 1 = ln 2 . 終
問題
8.補遺
1.3 xy座標平面において関数
y= sin−1x ( −1≤x≤1 )のグラフと 直線
y= 12