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平成26-28年度厚生労働科学研究費補助金(食品の安全確保推進研究事業)
食品中の微生物試験法の開発及びその実効性・妥当性評価に関する研究
分担研究報告書
衛生指標菌試験法に関する研究
分担研究者: 伊豫田 淳 (国立感染症研究所 細菌第一部)
五十君 靜信 (国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
協力(委託)研究者: 齋藤 利江 (一般財団法人日本冷凍食品検査協会)
吉田 信一郎 (一般財団法人日本食品分析センター)
森 曜子(公益財団法人日本適合性認定協会 認定センター)
研究要旨
わが国の食品衛生法では食品(種)ごとに細菌数(生菌数),大腸菌群,E. coli(糞便系大 腸菌群)等の規格基準が規定されており,それぞれ個別に試験法が定められている. しか し,これらの試験法間では同様な試験工程においても整合性が取れない操作・手順のある ことや,ISO(国際標準化機構)が制定する標準試験法や米国FDAの公定法(Bacteriological Analytical Manual;BAM法)との調和が計られていない現状が指摘されている. これらの現 状を改善するために,「食品からの微生物標準試験法検討委員会」における専門家による会 議及び衛生指標菌作業部会における討議・検討の結果,今後規格基準が制定・改正される 食品の衛生指標菌の試験法として,ISOの試験法を土台にしたわが国の標準法を確立するこ との方向性が確認されている.
ISO微生物試験法における菌数算定法は大きく分けて2パターン存在し、各微生物試験法 の中に菌数算定法が記述されている場合と,各微生物試験法の中に菌数算定法の記述はな く、ISO7218 を参照するように記述されている場合に分かれる. さらに後者はISO 7218の 最 新 版 ( 現 時 点 で は 2007 年 版 ) を 参 照 す る よ う に な っ て い る 場 合 と ,ISO 7218:1996/Amd.1:2001または ISO 7218:1996を参照するようになっている場合の3パター ンに分かれる。ISOでも菌数算定法を統一する動きがあるが,本研究班でもこれらの問題点 について検討を進めることとなった.
一般財団法人日本食品分析センターでは,H26~27 年度に TBX 寒天培地(44 ℃,18~24 時間培養)において,大腸菌集落以外の集落が多数存在した場合の大腸菌集落数計測への影 響についての検討を行った。一般財団法人日本冷凍食品検査協会では、H26~27年度に食品 から検出される菌種について、食品の加工による菌の損傷も視野に入れ、国内で広く用い られている一般細菌数(生菌数)試験法(以下従来法)とISO4833:2013(一般生菌数計数 法)法(以下 ISO 法)により、同一検体に対して生菌数測定を行い、試験法の違いによる 結果の相違について検証した。これらの結果を基に、今後の菌数算定法について作業部会 で方向性の検討を行った。H28年度には、ISO 26140の改正にあわせ、試験法の妥当性評価
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手法を衛生指標においてどのように考えるかの検討を、妥当性評価作業部会と合同作業部 会を組織し、検討を行った。
A. 研究目的
わが国の食品衛生法では「乳及び乳製品の 成分規格等に関する省令」(昭和26年,厚生 省令第52号)及び「食品,添加物等の規格基 準」(昭和34年,厚生省告示第370号)の中で,
食品(種)ごとに細菌数(生菌数),大腸菌群,
E.coli(糞便系大腸菌群)等の規格基準が規
定されており,それぞれ個別に試験法が定め られている。しかし,これらの試験法間では 同様な試験工程においても整合性が取れな い操作・手順のあることや,ISO(国際標準化 機構)が制定する標準試験法や米国FDA の公 定法(Bacteriological Analytical Manual;
BAM 法)との調和が計られていない現状が指 摘されている。
これらの現状を改善するために,「食品か らの微生物標準試験法検討委員会」における 専門家による会議及び衛生指標菌作業部会 における討議・検討の結果,今後規格基準が 制定・改正される食品の衛生指標菌の試験法 として,ISOの試験法を土台にしたわが国の 標準法を確立することの方向性が確認され た。これまでEnterobacteriaceae(腸内細菌 科菌群),Presumptive Escherichia coli(推 定大腸菌)及び Coliforms(大腸菌群)に関す る標準法の策定作業を進めてきたが,今後は Microorganisms( 一 般 生 菌 数 ) 及 び β-glucuronidase-positive Escherichia coli(β-グルクロニダーゼ陽性大腸菌)の試 験法並びに試験結果の算定法を確立するこ とを検討課題とすることとした。
一般財団法人日本食品分析センターでは,
H26~27年度にTBX寒天培地(44 ℃,18~24 時間培養)において,大腸菌集落以外の集落 が多数存在した場合の大腸菌集落数計測へ の影響についての検討を行った。
一般財団法人日本冷凍食品検査協会では、
H26~27年度に食品から検出される菌種につ
いて、食品の加工による菌の損傷も視野に入 れ、国内で広く用いられている一般細菌数
(生菌数)試験法(以下従来法)とISO4833:
2013(一般生菌数計数法)法(以下ISO法)
により、同一検体に対して生菌数測定を行い、
試験法の違いによる結果の相違について検 証した。
これらの結果を基に、国内の衛生指標菌と 菌と国際標準である ISO 法との相違に関す る知見を収集し検討した。また菌数算定法に ついて、ISO微生物試験法における菌数算定 法について現状をまとめた。H28 年度には, 改 定 さ れ た 妥 当 性 確 認ガ イ ド ラ イ ン ISO
14160を、妥当性確認作業部会と合同で検討
した。
B. 研究方法
1)ISO微生物試験法における菌数算定法
ISO 11290-2(1998 年;リステリア・モノ サイトゲネス), ISO 15214(1998 年;中 温性乳酸菌), ISO 6888-1(1999;コアグ ラ ー ゼ 陽 性 ブ ド ウ 球 菌 ), ISO 16649-2
(2001 年;β-グルクロニダーゼ陽性大腸 菌), ISO 17410(2001;低温菌), ISO 4833
(2003;一般 生 菌 数 ), ISO 15213( 亜硫 酸塩還元菌), ISO 7932(2004;推定セレ ウス菌), ISO 7937(2004;ウエルシュ菌), ISO 21528-2(腸内細菌科菌群),ISO 4832
(2006;大 腸 菌 群 ), ISO/TS 10272-2
(2006;カ ン ピ ロ バ ク タ ー 属 菌 ), ISO 21527-1, 2(2008;カビ・酵母)について 菌数算定法を確認した。
2)ISO 7218(2007年版)の和訳を行った。
3)ISO 法 にお ける大 腸菌 試験法 とし ての
35 TBX寒天を用いた方法について、標準試験 法の検討を行った。
4)一般生菌数の試験法では、国内法と ISO
法で培養温度が異なることから、両者の 相違について市販食品を用いて検証した。
C. 研究結果及び考察 1)菌数算定法のまとめ
ISO微生物試験法における菌数算定法は大き く分けて2パターン存在し,各微生物試験法 の中に菌数算定法が記述されている場合と,
各微生物試験法の中に菌数算定法の記述は なく,ISO 7218 を参照するように記述され ている場合に分かれていた。後者はISO 7218 の最新版(現時点では2007 年版)を参照す る よ う に な っ て い る 場 合 と , ISO 7218:1996/Amd.1:2001 ま た は ISO 7218:1996を参照するようになっている場合 の3パターンに分かれていた.
ISO 7218(2007 年版)では, 集落数採用 範囲が従来の15-300 cfuから10-300 cfuに 変更となっていた. さらに, 使用するペト リ皿の枚数として、ISO 17025に準拠した管 理を行っている試験所では各希釈段階での 使用ペトリ皿は1枚, ISO 17025に準拠した 管理を行っていない試験所では各希釈段階 での使用ペトリ皿は2 枚となっており,試験 所認定を受けているかどうかで係数の方法 が異なっていることが判明した.ISO 7218
(2007 年版)については和訳版がなかった ため, 和訳を行った.
2) ISO 7218(2007年版)の和訳
ISO 7218(2007 年版)の和訳を行った。語 句の統一を含めて作業を進めた。
3)TBX寒天培地(44 ℃,18~24 時間培養)に おいて,大腸菌集落以外の集落が多数存在し た場合の大腸菌集落数計測への影響につい ての検討では、総(典型的及び非典型的)集落 数が約104 cfu以下の平板においては,総(典 型的及び非典型的)集落数の増加に伴い,大 腸菌の集落が小さくなる傾向が認められた
が,回収率は80%以上であり,大腸菌集落数 の測定に大きな支障は認められなかった。そ の結果,総(典型的及び非典型的)集落数が約 103~104 cfuの平板においても,大腸菌数を 推定することが可能と考えられた。一方,総 (典型的及び非典型的)集落数が約105 cfu以 上の平板においては,大腸菌がきわめて小さ い集落を形成し,典型的集落の判定が困難と なり,回収率が 60 %~70 %とやや低い事例 も認められた。その結果,総(典型的及び非 典型的)集落数が約 105 cfu 以上の平板にお いては,大腸菌数の推定が困難な場合がある と考えられた。
4) 一般生菌数試験法では、国内の公定法 である従来法とISO法の培養条件の違いが、
加熱処理及び凍結処理のストレスを与えた 5種類の菌に対して与える影響を評価した。
その測定結果は、30℃、72 時間培養で高く なる傾向があったが、全ての測定値において 1Log CFU/gの範囲内であり、極端な相違は 認められなかった。Bacillus subtilisでは、
30℃、72 時間培養が最も高くない測定値と なったのは、発育してくるコロニーが大きく、
培養時間の経過により近隣のコロニーと重 なりあったためである。培養条件による5種 類の菌の測定値(対数)の差は、ストレス処 理を行い培養時間が短いほど差を生じた。
D. 結 論
・ISO微生物試験法における菌数算定法 は各微生物試験法の中に菌数算定法が記述 されている場合と,各微生物試験法の中に菌 数算定法の記述はなく,ISO 7218 を参照す るように記述されている場合に分かれてい た.
・ISO 7218 を参照するように記述されてい る場合, ISO 7218の最新版(現時点では2007 年版)を参照するようになっている場合と, ISO 7218:1996/Amd.1:2001 ま た は ISO 7218:1996を参照するようになっている場合
36 の3パターンに分かれていた.
・ISO 7218(2007 年版)では, 集落数採用 範囲が変更になっている.
・ISOでは試験所認定を受けているか否かで 係数の算定方法が異なっている.
・TBX寒天培地を用いるISO法は、大腸菌の 菌数測定法として有用と思われ、その測定可 能な範囲を確認することが出来た。
・国内の公定法である従来法とISO法の培養 条件の違いが、加熱処理及び凍結処理のスト レスを与えた菌に対して与える影響の検討 により、ISO法の培養条件(30℃、72時間)
にて生菌数を測定した場合は、その測定値は 概ね高くなることが示された。
E. 健康危険情報 なし
F. 研究発表 なし
G. 知的財産権の出願・登録状況 1. 特許取得
なし
2. 実用新案登録 なし
3. その他 なし