平 成 1 6 年 度 日 本 自 転 車 振 興 会 補 助 事 業 使用済製品の自主回収システムの構築支援事業
自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調査研究
報告書
平成17年3月
財団法人 クリーン・ジャパン・センター
(背表紙)
自主回収システムに係る法規制と特例制度の活用に関する調査研究
平成 17年3月
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
はじめに
本調査研究は、日本自転車振興会の平成16年度補助事業「使用済み製品の自主回収システ ムの構築支援事業」として実施したものである。
わが国では、現在、循環型社会形成推進基本法の下、循環型社会に向けた取り組みが重 要課題となっている。製品の製造を担う産業界においては、製造工程で発生する産業廃棄 物のリサイクルに加え使用済みとなった自社製品を自ら自主的に回収しリサイクルするこ と が 期 待 さ れ て い る ( 拡 大 生 産 者 責 任 ) 。 一 方 、 産 業 界 か ら も 「 企 業 の 社 会 的 責 任 (CSR:Corporate Social Responsibility)」の観点から積極的にこの要請に応えていこうとす る機運が盛り上がってきている。また、この要請を受け従前の「広域再生利用指定制度」を 強化する形で廃棄物処理法に「広域認定制度」が創設されなど、行政サイドの支援体制も整 備されつつある。しかし、多くの事業者においては自社製品を自ら自主的に回収し、リサ イクルする意志があっても、いざ自主回収システムを構築しようとした時、廃棄物処理法 の規制への対応が困難であったり、あるいは使用済み製品のリサイクル推進のために設け られた「広域認定制度」の内容や申請方法がよく理解できないことなどにより、自主回収シ ステムを構築、運営することに困難を感じているのが実情である。
このため、様々な事業者が自主回収システムを構築する際の検討に役立つ、既存の自主 回収システムの具体的事例を踏まえ、実務上、何をどう準備し検討を進めればすれば良い のかと言うことをまとめた「手引き」の作成が強く望まれている。
本調査研究の目的は、上記の要請に少しでも応えるために実施した。
実施に当っては、当センター内に専門家からなる委員会を設置し、明治大学法科大学院 の柳教授を委員長にお願いして関係団体・企業の担当者にご参画いただき、現在構築して いる自主回収制度について検討中のものを含め制度内容その他貴重な情報を提供いただく とともに、調査内容についてご指導、ご意見をいただいた。ご多忙の中ご協力いただいた 委員長及び各委員に厚く御礼申し上げる。
なお、本書は廃棄物処理法についてある程度の知識を有していることを前提として執筆 しているため、本書の活用にあたっては、「第 2 編 自主回収システム事例集」を先に通読 して自主回収システムのイメージを把握し、その後、「第 1 編 自主回収システムの構築」
を活用することをお勧めする。
平成 17 年 3 月
財団法人クリーン・ジャパン・センター
「使用済み製品の自主回収システムの構築支援事業」
自主回収システムに係る法制度と特例制度の活用に関する調査研究委員会
委員名簿
(五十音順、敬称略)
委員長 柳 憲 一 郎 明治大学 法科大学院 法務研究科 教 授
委 員 朝 賀 広 伸 明治大学 法科大学院 教育補助講師
石 川 一 美 ヤマハ株式会社 環境管理部製品環境グループ グループマネージャー 伊藤 陽一郎 株式会社ノリタケボンデッドアブレーシブ
品質保証部 部 長
大 出 広 全日本寝具寝装具品協会 専務理事 柄 崎 晃 一 社団法人電子情報技術産業協会
ITリサイクル対応専門委員会 委 員 長 (株式会社日立製作所)
久 地 岡 満 社団法人日本自動車タイヤ協会
リサイクル事業本部 部 長
塩ノ谷 淳一 日本アイ・ビー・エム株式会社
サービス事業プロダクト・サービス パーツ・オペレーション
リユース渉外担当部長 田 中 宏 和 全日本ベッド工業会 廃棄物対策委員会 委 員 長
(フランスベッド株式会社)
堀 井 茂 社団法人日本計量機器工業連合会 総務部 部 長 森 下 務 日本通運株式会社 エコビジネス部 部 長 渡 辺 始 三甲株式会社
合成樹脂事業部 東京支店 第1課 課 長
オブザーバー 経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課
事務局
中曽根 伸一 財団法人クリーン・ジャパン・センター 参 与 名 木 稔 財団法人クリーン・ジャパン・センター 企画調査部長 堀 口 昌 澄 アミタ株式会社 本社営業部ソリューション課 主任エキスパート 平木 みどり アミタ株式会社 本社営業部ソリューション課 主 事
目次
TU
調査研究の目的
UT5
TU
第 1 編
UT TU自主回収システムの構築
UT7
TU第 1 章UT TU使用済み製品の回収方法の概要UT 8
TU[コラム 1] 廃棄物とはUT 13
TU[コラム 2] 適正処理困難物UT 14
TU第 2 章UT TU「下取り」による自主回収システムの構築UT 15
TU第 3 章UT TU廃棄物処理業の許可による自主回収システムの構築UT 16
TU第 1 節UT TU自主回収の前提条件の整理UT 17
TU[コラム 3] 一般廃棄物と産業廃棄物の区分方法UT 17
TU第 2 節UT TUリサイクル・処分方法の検討UT 18
TU第 3 節UT TU自主回収ルートの検討UT 19
TU第 4 節UT TU自主回収に関わる廃棄物処理法の許可取得の検討UT 21
TU第 5 節UT TU廃棄物処理法の許可の申請UT 24
TU[コラム 4] 一般廃棄物処理業の許可取得が難しい理由UT 24
TU[コラム 5] 再生利用指定制度UT 25
TU[コラム 6] 再生利用認定制度UT 25
TU[コラム 7] 産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の設置についての特例UT 26
TU第 6 節UT TU自主回収システム運用時に排出者が行う廃棄物処理法の事務手続きUT 27
TU第 7 節UT TU自主回収した使用済み製品の処理費用についてUT 27
TU第 8 節UT TUまとめUT 28
TU[コラム 8] メーカーが廃棄物処理業の許可を受けて自主回収する事例UT 31
TU第 4 章UT TU広域認定制度による自主回収システムの構築UT 32
TU[コラム 9] 広域認定制度の概略UT 32
TU第 1 節UT TU自主回収の前提条件の整理UT 33
TU[コラム 10] 一般廃棄物の広域認定制度についてUT 34
TU[コラム 11] 一般廃棄物にも産業廃棄物にもなる使用済み製品の自主回収UT 34
TU[コラム 12] 自主回収対象の使用済み製品UT 36
[コラム 13] 自主回収を行う主体 39
TU第 2 節UT TUリサイクル・処分方法の検討UT 39
TU[コラム 14] 処理方法によって広域認定が認められなかった事例UT 40
TU[コラム 15] 広域認定制度の認定対象者の範囲UT 43
TU第 3 節UT TU自主回収ルートの検討UT 44
TU[コラム 16] 宅配便の利用UT 46
TU[コラム 17] JR貨物の利用UT 47
TU第 4 節UT TU処理の一連の行程の整理UT 51
TU第 5 節UT TU自主回収システムの管理方法の検討UT 53
TU[コラム 18] 適正な廃棄物処理業者を選定するUT 55
TU第 6 節UT TU自主回収・処分費用の受取り方法の検討UT 57
TU第 7 節UT TU広域認定制度における契約の締結UT 60
TU[コラム 19] 産業廃棄物処理委託契約書に記載する事項UT 63
TU[コラム 20] 事業系PCの自主回収に係る契約UT 64
TU[コラム 21] タイヤの自主回収に係る契約UT 65
TU第 8 節UT TU行政への申請UT 66
TU[コラム 22] 広域認定制度の申請書類作成の苦労UT 67
TU第5章UT TU自主回収システム構築に係る課題UT 69
TU
第 2 編
UT TU自主回収システム事例集
UT73
TU事例 1UT TU家庭系PCの自主回収システム事例UT 74
TU事例 2UT TU事業系PCの自主回収システム事例UT 78
TU事例 3UT TU研削砥石の自主回収システム事例UT 81
TU事例 4UT TU家庭から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例UT 83
TU事例 5UT TU事業者から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例UT 86
TU事例 6UT TU電気抵抗線式はかり(計量機器)の自主回収システム事例UT 89
TU事例 7UT TUパレットの自主回収システム事例UT 91
TU事例 8UT TUレンズつきフィルムの自主回収システム事例UT 93
TU事例 9UT TUガス石油設備機器の自主回収システム事例UT 95
TU事例 10UT TU事業系小形二次電池の自主回収システム事例UT 97
TU事例 11UT TU家庭系小形二次電池の自主回収システム検討事例UT 99
TU事例 12UT TUスプリングマットレスの自主回収システム検討事例UT 101
TU事例 13UT TU大型電子楽器の自主回収システム検討事例UT 104
TU事例 14UT TU寝具(布団類)の自主回収システム検討事例UT 107
TU事例 15UT TU消火器の自主回収システム検討事例UT 109
事例 16 鉛バッテリーの自主回収システム検討事例 111
TU事例 17UT TUガスボンベの自主回収システム検討事例UT 113
TU
第 3 編
UT TU法令の解説
UT115
TU寄稿 廃棄物処理のQ&AUT 116
TU第 1 章UT TU自主回収システム構築に関連する法律UT 123
TU第 1 節UT TU廃棄物・リサイクル関連法制度の概要とその課題UT 123
TU第 2 節UT TU自主回収システム構築と廃棄物処理法UT 124
TU第 3 節UT TU自主回収システム構築と独占禁止法UT 125
TU第 4 節UT TU自主回収システム構築に関わる処理施設を規制する法令UT 127
TU[コラム 23] 通知、通達とはUT 129
TU[コラム 24] 行政指導とはUT 129
TU[コラム 25] 「ガイドライン」、「指針」、「基本方針」、「基準」とはUT 129
TU第 2 章UT TU使用済み製品の回収を義務付けている法律UT 131
TU第 1 節UT TU資源有効利用促進法の指定再資源化製品についてUT 131
TU第 2 節UT TU容器包装リサイクル法の解説UT 133
TU第 3 節UT TU家電リサイクル法の解説UT 135
TU第 4 節UT TU自動車リサイクル法の解説UT 138
TU
参考資料
UT141
TU1.広域認定制度申請の手引き(環境省)UT 141
TU2.排出事業者とタイヤ販売店・販売会社との再生利用委託契約書UT 141
TU(1)基本契約書UT 141
TU(2)承諾書(個別契約書)UT 141
調査研究の目的
1.目的
わが国では既に家電リサイクル法等の個別リサイクル法により、特定の品目につ いては事業者に自社製品の回収・リサイクル等を義務付けている。また、最近では個 別リサイクル法の対象品以外のものについても、市町村での適正処理が困難であっ たり、資源の有効な利用を図る上で必要と思われる場合は、事業者が使用済み自社 製品を自主的に回収し、リサイクルすること(「拡大生産者責任」という。)が期待さ れている。
特に平成12年に制定された循環型社会形成推進基本法やその推進のために策定さ れた循環基本計画において、循環型社会の形成に向けて事業者の果たす役割として、
事業者自らが使用済み自社製品を自主的に回収し、リサイクルすることが期待され ている。また、事業者としてもCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的 責任)の観点から積極的にこの要請に応えていこうとする機運が盛り上がってきてい る。
しかし、多くの事業者においてはその意志があっても、いざ自主回収システムを 構築しようとした時、廃棄物処理法の規制への対応が困難であったり、あるいは規 制緩和のために設けられた特例制度の内容や申請方法がよく理解できないことなど により、自主回収システムを構築し運営することに困難を感じているのが実情であ る。
そこで本書は、事業者が製造、販売した製品の自主回収システムを構築すること を支援するために、関係する廃棄物処理法上の法規制や特例制度について解説する。
さらに実績のある自主回収システムが廃棄物処理法の規制にどのように対応してい るか、あるいはその特例制度をどのように活用しているかといった観点から紹介し ている。
2.定義
(1) 自主回収
「自主回収」という用語の法令上の定義は存在しない。本書では、「製造事業者等 が、過去に自ら製造(輸入を含む)、加工又は販売した製品が使用済みとなったもの を回収し、リサイクル等を行うこと」を自主回収と定義する。例えばメーカーが自 社の使用済み製品を回収したり、小売店が過去に販売した製品を回収し、リサイ クルすることを本書では自主回収という。
(2) 使用済み製品
流通の各段階や販売後に当該ユーザー等が不要と判断した製品をいう。必ずし も使用済みのものに限らず、使用前のものであっても「使用期限切れ」、「賞味期限 切れ」、「予定が変更となり不要となった」等の理由により廃棄されるものを含む。
ただし、製造段階で発生する不良品、試作品等は除く。また、使用済みの製品 であっても中古市場等に「売却できるもの」は対象外とする。
(3) 廃棄物処理法、法
本書では、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を「廃棄物処理法」と略記する。
また、法令の引用においては「廃棄物処理法」を「法」と表記するものとする。
3.本書の活用方法
本書は、事業者が自ら製造(輸入を含む)、加工又は販売した製品を回収し、リ サイクル等を行う自主回収システムを構築する際の手引きとなることを目的とし て作成した。そこで本書では、自主回収システムの各プロセスにおいて関係する 法令の各条項の解説及び自主回収システムを構築するために検討すべき項目を具 体的事例を取入れながら解説している。自主回収システムの構築を検討する際の 基本設計、法規制への対応、具体的なシステム構築、行政への申請時等の参考と していただきたい。
第 1 編 自主回収システムの構築
使用済みの製品は、家庭や事業所から廃棄物等として日常的に発生している。廃棄物は、
家庭から排出されたものは市町村が、又、事業活動に伴い排出されたものは排出者が責任 をもって処理するのが原則である。しかし、市町村は大型の粗大ごみの処理に苦慮してお り、事業者も自ら適正に処分することが困難であることが多い。そこで、このような使用 済み製品は廃棄物処理業者といわれる廃棄物処理法の許可を受けた事業者に委託し処理を 依頼することになる。
しかし、一方で不法投棄や廃棄物処理施設による環境汚染等、廃棄物に関する社会問題 が表面化しており、この対応として廃棄物の排出者は、処理を委託した廃棄物がきちんと 処理されるよう責任をもって管理することが求められている。
このような社会背景を受け、廃棄物の排出者や市町村は、メーカー・小売業者等に対し使 用済み製品を回収し、処理することを求め始めている。特に適正処理が困難な製品につい てこの傾向が著しい。また、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の推 進という社会的な要請から、メーカー・小売業者等も積極的に使用済み製品の回収・リサイ クル等に取組み始めている。
本編は、これから自主回収システムを構築しようと考えている事業者に対して、対象物 の特性を踏まえたビジネスモデルの構築、廃棄物処理法への対処及び特例制度活用の観点 から検討の要点を示し、その参考となることを期待している。
第 1 章 使用済み製品の回収方法の概要
使用済み製品の回収は、メーカー・小売業者等が自主的に回収している例、法律により自 社製品の回収が義務付けられている例等、様々な事例がある。これらの事例を分析した結 果、使用済み製品の回収方法はいくつかの類型に分類することができる。本章では、使用 済み製品の様々な回収方法を概観する。
図 1 及び図 2 は、家庭から使用済み製品が排出される場合と、事業者から排出される場 合のそれぞれについて、メーカー・小売業者等が使用済み製品を自主回収するときの回収方 法の検討手順をまとめたものである。
使用済み製品(家庭系)
買取り可能か
リース物件か
左の製品に該当するか
左の製品に該当する
・家電リサイクル法 対象製品
・自動車
・容器包装
・スプリングマットレス
・PC
・小型二次電池
・鉛蓄電池
・廃二輪自動車
製品 を販売するときに (同種の)使用済み製品
を無料で 回収
一般廃棄物処理業の許可を取得して回収 一般廃棄物処理業の許可を取得して回収
「下取り」として回収
「下取り」として回収
一般廃棄物広域認定制度 を利用して回収 一般廃棄物広域認定制度
を利用して回収 各リサイクル法の
規定に従い回収 各リサイクル法の
規定に従い回収 リース会社が回収 リース会社が回収 事業者等が買取り 事業者等が買取り
一般廃棄物 処理業の許可を取得
しないで回収 YES
YES
YES
YES
YES
YES NO
NO
NO
NO(処理費用を請求)
NO
NO
[D]
[E]
[F]
[A]
[B] [C]
*広域認定制度 対象一般廃棄物
[G]
一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可を取得している事業者を紹介 一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可を取得している事業者を紹介
図2の★へ
※1
※1
図 1 家庭から排出される使用済み製品の自主回収方法の検討手順
<自主回収の範囲>
買取り
リース物件
左の製品に該当する
廃棄物の種類の判断
・家電リサイクル法 対象製品
・自動車
製品 を販売するときに (同種の)使用済み製品
を無料で 回収
一般廃棄物処理業の 許可を取得して回収 一般廃棄物処理業の 許可を取得して回収
「下取り」として回収
「下取り」として回収
産業廃棄物広域認定 制度を利用して回収 産業廃棄物広域認定 制度を利用して回収 各リサイクル法の
規定に従い回収 各リサイクル法の
規定に従い回収 リース会社が回収 リース会社が回収 事業者等が回収 事業者等が回収
産業廃棄物 処理業の許可を取得
しないで回収 YES
YES
YES
YES
NO
YES NO
NO
NO
NO(処理費用を請求)
[D]
[E]
[F]
[A]
[B] [C]
一般廃棄物 産業廃棄物
産業廃棄物処理業の 許可を取得して回収 産業廃棄物処理業の 許可を取得して回収
[B]
[G]
一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可を取得している事業者を紹介 一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可を取得している事業者を紹介
下取りされた製品を 廃棄物として処分
★ する場合 使用済み製品(事業系)
※2
※2
図 2:事業者から排出される使用済み製品の自主回収方法の検討手順
以下、図中の[A]~[G]について解説する。
[A] 製品販売・納入時に使用済み製品を無料で回収(「下取り」)
主に販売店等で行われ、「下取り」と称されている回収方法である。下取りとは、製 品を納入する際に無料で使用済み製品(納入した製品と同種のもの)を引取ることであ り、この場合、廃棄物処理法の「許可」を取得しないで回収することができる。「無料」
の回収ではないとき、即ち処理費用を徴収して回収する場合は下取りではなく、[B]に 該当する。(一般的には販売店等が使用済み製品を「買取って」引取ることも下取りとい われることがある。しかし、本書では環境省通知に従い、「無料」の回収のみを「下取り」
というものとする。買い取る場合は[D]に該当する。) 第2章ではこの[A]による回収方法について解説する。
(例)
○オフィスのレイアウト変更等で不要となったオフィス家具は、新しく納入したオフ ィス家具の納品時に下取り、処分している。
[B] 「廃棄物処理業の許可」を取得して回収
使用済み製品を回収する際に、その排出者から処理費用を徴収して回収する方法で ある。回収・リサイクル等の主体となるメーカー・小売業者等は廃棄物処理法で定めら れた「許可」を受けなければならない。これは、いわゆる営業許可の部類であり、一般 廃棄物は「一般廃棄物処理業」、産業廃棄物は「産業廃棄物処理業」の許可がなければ、
回収・リサイクル等を行うことができない。
第3章ではこの[B]による自主回収システムの構築について解説する。
(例)
○産業用研削砥石は砥石メーカーの関連会社が廃棄物処理業の許可を受けて使用済み 研削砥石を回収、処分している。
[C] 廃棄物処理法に規定する「広域認定制度」を利用して回収
廃棄物処理法では、使用済み製品の回収・リサイクル等を促進する目的でメーカー・
小売業者等が自主回収を行う場合、[B]の「許可」を不要とする特例制度を設けている。
これを広域認定制度といい、一般廃棄物、産業廃棄物それぞれについて個別に定めら れている。この広域認定制度を利用すると、メーカー・小売業者等は「廃棄物処理業の 許可」が不要となるだけでなく、使用済み製品の排出者から処理費用を徴収して回収、
リサイクルすることが可能となる。
但し、一般廃棄物は広域認定制度の対象となる製品が限定されているため、対象外 のものは[B]の方法等で自主回収システムの構築を検討しなければならない。
なお、広域認定制度は、メーカー・小売業者等が申請し、環境大臣が認定する。平成
17年3月31日現在、産業廃棄物の広域認定を受けている事例は63件である。
第4章ではこの[C]による回収システムの構築を検討する。
(例)
○PC(パーソナルコンピュータ)など。詳細は第2編の事例集を参照のこと。
[D] 「買取り」により回収
使用済み製品の本体の再使用又は中古品として販売したり、使用済み製品に含まれ る部品、部材を再利用できる場合には、メーカー・小売業者等は、代金を支払い排出者 から買取って引取ることがある。
本ケースもメーカー・小売業者等による自主回収ではあるが、回収する使用済み製品 は「廃棄物」に該当しない。このため、廃棄物処理法に規定する「廃棄物処理業の許可」
を取得せずに回収・リサイクルできることから、自主回収システムの検討対象とはしな いものとする。(この回収方法も下取りといわれることがあるが、本書では環境省通知 に従い、 [A]の下取りとは区別して扱うものとする。)
(例)
○グランドピアノ等のアコースティックピアノは、電子ピアノ等の電子楽器とは異な り、製品寿命が長く半世紀以上使用できる。このため、中古製品の需要が多く市場 が確立されているので、使用済みとなった際に有償で買い取られることが多い。
[E] リース物件を回収
回収対象の使用済み製品がリース物件の場合、その製品の所有権はリース会社にあ るので、リース会社はリース期間が終了した時点でそれを回収する。この返却に伴う 運搬は廃棄物の運搬とみなされていないため、自主回収システムの検討対象とはしな いものとする。
[F] 法律で規定された義務による使用済み製品の回収
資源有効利用促進法、家電リサイクル法、容器包装リサイクル法及び自動車リサイ クル法は、対象品目及び回収・リサイクル方法を定めたうえで生産者等に回収・リサイ クルを義務付けている。
なお、資源有効利用促進法は、生産者等に指定再資源化製品(パーソナルコンピュー タ、小形二次電池)の回収・リサイクルを義務付けているが、回収・リサイクルの仕組み は該当の生産者等が自ら設計し構築することになっている。この際、生産者等は、廃 棄物処理法の規定に則り回収・リサイクル等を行わなければならず、実際には、[C]の広 域認定制度を利用し、回収・リサイクルを行っている。そこで本書では、資源有効利用 促進法の指定再資源化製品については自.
主.
回収に区分するものとする。
[G] 使用済み製品の回収・リサイクル先を紹介する方法等
[A]から[F]とは異なり、メーカー・小売業者等は使用済み製品の回収は行わないが、
排出者が安心して処理を委託できる廃棄物処理業者を紹介する例がある。メーカー・小 売業者等は、廃棄物処理業者を全国的に把握し、排出者の問合せに対して廃棄物処理 業者を紹介する。これは、メーカー等が主体となって回収・リサイクル等を行っている わけではないため、自主回収には区分しないものとする。
事業者によっては、廃棄物処理業者の紹介だけなく、前処理や再資源化するための 処理機器等を提供することもある。
(例)
○電子オルガン等大型の電子楽器は適正な処理が困難であることから、市町村によっ ては収集していないことがある。全国楽器協会では東京都の委託を受け、電子オル ガンなど大型楽器の処理業者を紹介している。
○日本ガス石油機器工業会では、市町村に対し、家庭から廃棄される使用済みガスボ ンベの処理に役立つ専用の破砕機の導入を支援している。
[コラム1] 廃棄物とは
廃棄物とは、占有者が自ら利用しない又は他人に有償で売却できないために不要になっ たものをいう。廃棄物は、その性状やそれが排出される形態によって産業廃棄物と一般廃 棄物に分類されている。
その物が廃棄物か否かの判断は非常に難しく、実務上は、わかりやすい判断基準として 排出者が廃棄物処理費用を支払ったならば廃棄物、排出者が代金を受け取ったならば廃棄 物ではない(商品)という判断がなされていることが多い。判断に迷う場合、行政に相談する べきである。
○産業廃棄物・・・事業活動に伴って発生した廃棄物で、廃油、廃酸、廃プラスチック類等、
廃棄物処理法施行令第2条で定める20種類をいう。
○一般廃棄物・・・産業廃棄物以外の廃棄物をいう。家庭から排出される廃棄物の他、事業 活動に伴って排出しているが上述の 20 種類に該当しないものは一般廃 棄物(通称:事業系一般廃棄物)に該当する。
[コラム2] 適正処理困難物
市町村が処理する一般廃棄物のうち、全国的に適正な処理が困難となっているものをい う。「廃棄物処理法」は、こうした廃棄物を環境大臣が「適正処理困難物」に指定できると定 めており、廃ゴムタイヤ・廃テレビ受像機・廃電気冷蔵庫・廃スプリングマットレスの4品目 が指定されている。市町村長は、適正処理困難物の処理が適正に行えるよう、製造者や販 売者などの事業者に協力を求めることができ、環境大臣は、経済産業大臣など管轄の大臣 に、そのための必要な措置を要請できる。 (EICネット(http://www.eic.or.jp/):環境用語集より)
第2章 「下取り」による自主回収システムの構築
下取りによって使用済み製品を回収し、回収した者の責任で処理するという自主回収シ ステムは広く商習慣として浸透している。ここでは下取りによる自主回収システムを構築 する際のポイントを解説する。
下取りは廃棄物処理法で明記された制度ではないが、環境省(旧厚生省)の通知の中にその 定義が示されている。廃棄物処理法の解釈、運用上の注意事項として通知されたものであ る。
「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務 の取扱いについて」 (厚生省産業廃棄物対策室長通知 平成12年9月29日衛産第79号)
新しい製品を販売する際にU商慣習Uとして同種の製品で使用済みのものをU無償Uで引き取 り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。
本通知は、「商慣習」として下取りが行われている実態を運用面で配慮したものである。
ここでいう「同種の製品」とは他社製品も含むものであるが、同種とはいえない製品は自社 製品であっても下取りとはならない。この「同種」の判断もまた、商慣習が基準になると思 われる。
また、下取りは「無償で引き取」る行為であることに注意が必要である。廃棄物処理費用 をもらって引取る行為は、下取りではなく第 3 章のような廃棄物処理を受託した行為とな り、廃棄物処理業の許可を受けていなければならないことになる。ここでいう「無償」とは、
収集運搬費用、処分費用に関わらず、引取る際に費用を一切受取らないということを意味 している。
使用済み製品を下取りしたときは、下取りを行った者が排出事業者となりそれを産業廃 棄物として処理したり、中古品として販売するのが一般的である。なお、家庭から排出さ れた使用済み製品を一般廃棄物処理業の許可を取得し、処理費を徴収して回収した場合に は、回収物は一般廃棄物扱いとなる。
第3章 廃棄物処理業の許可による自主回収システムの構築
本章では、使用済み製品をの排出者から処理費用の徴収を行うが、廃棄物処理法の特例 は利用しないで自主回収システムを構築する際の要点を解説する。
本章で対象とする使用済み製品の自主回収は、次のようなケースが想定される。
(例1)
製品A を販売している小売店X は、環境にやさしい小売店を目指し、使用済みの製
品Aを1台当たり1,000円の処理費を徴収して消費者から回収し、その後、リサイクル
業者にリサイクルを依頼した。
(例2)
ある工場では、使用している機器の修理を自社で行ったが、そのとき生じた廃部品B の処理に困り、部品メーカーYに処理費用を支払う条件で回収を依頼した。そこで部品 メーカーYの営業担当者は、営業車でその部品Bを引取り、自社工場の廃棄物として処 理をした。
これらの例においては、小売店Xが回収する使用済み製品Aや部品メーカーYが回収す る使用済み部品Bは、使用者が不要と判断し、費用を支払って処理を依頼していることか ら廃棄物に相当すると考えられる。廃棄物処理法では廃棄物を運搬したり、リサイクル・
処分したりする事業者は、廃棄物処理業P*Pの許可を受けなければならないと規定している。
したがってこれらの例では、廃棄物となる製品Aや部品Bを回収する小売店X、部品メー カーYは廃棄物処理業の許可を受けていなければならない。
(注釈)*: 廃棄物処理業者には、廃棄物を回収・運搬する収集運搬業者並びに中間処理や埋立、リサイクル
を行う処分業者の2種類がある。また、廃棄物には一般廃棄物と産業廃棄物の2つの区分があ り、廃棄物処理業者はそれぞれの区分に応じた許可を受けなければならない。例えば、例1の 小売店Xは一般廃棄物収集運搬業の許可、部品メーカーYは産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄 物処分業の許可を受けなければ、上記のように使用済み製品を回収してはならない。なお、「廃 棄物処理業」とは収集運搬業と処分業を総称した表現である。
なお、メーカー・小売業者等が関与することなく、他の事業者が使用済み製品の回収か らリサイクル・処分まで全てを行う場合は、第 1 章における[G]の区分に該当し、本書の 自主回収とはならない。
第1節 自主回収の前提条件の整理
自主回収システムを検討するにあたって、まず前提条件を整理する必要がある。これが 不十分な場合、第 2 節以降の検討をスムーズに進めることはできない。但し、実際にシス テム構築を行う段階において、ここで整理した前提条件を見直すことも必要である。
(1) 自主回収対象の使用済み製品は一般廃棄物であるか又は産業廃棄物であるか
廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に区分されており、それに応じて取得しなければなら ない廃棄物処理業の許可の種類も異なる。したがって、まず自主回収対象の使用済み製品 が一般廃棄物であるか又は産業廃棄物であるかを特定する必要がある。
【対象の使用済み製品が産業廃棄物の場合】
管轄の都道府県知事(保健所設置市は市長)から産業廃棄物収集運搬業や産業廃棄物処分 業の許可を取得しなければならない
【対象の使用済み製品が一般廃棄物の場合】
管轄の市町村長から一般廃棄物処理業の許可を取得しなければならない。但し、多くの 市町村では新たに一般廃棄物処理業の許可を取得することが難しいと言われている。許可 申請があっても許可を出さない自治体や、一般廃棄物処理業の許可を 1 社しか出していな い自治体もある。一般廃棄物の自主回収を検討する場合は、早い段階から管轄の市町村と の協議が必要である。
[コラム3] 一般廃棄物と産業廃棄物の区分方法
排出形態に着目し、事業活動に伴って排出されたものではないもの、つまり家庭から 排出されたものは一般廃棄物となる。
次に、事業活動に伴って排出されたもののうち、木くず、紙くず、繊維くず、動植物 性残さ等に該当するものは、特定の業種から排出される場合のみ産業廃棄物となる(詳細 は廃棄物処理法施行令第2条参照)。そのため多くの事業者では一般廃棄物となる。
残りは、基本的に産業廃棄物となる。法律上は、産業廃棄物以外のものが一般廃棄物 であると定義されているため、廃棄物処理法施行令で規定された20種類に該当しないも のを一般廃棄物と判断する。しかし実務においては、一般廃棄物から検討するほうがわ かりやすい。
実際に使用済み製品を回収しようとした場合、同じ種類の使用済み製品ではあるが排 出者によって一般廃棄物であったり産業廃棄物であったりするので(パーソナルコンピュ ータなど)注意が必要である。
(2)自主回収する使用済み製品は何か
自主回収する使用済み製品を特定する。検討の際には、自主回収の対象製品だけではな く、実際に自主回収を行った場合に回収が想定されるものも考慮する必要がある。例えば ユーザーによって取外しが可能な付属品の回収や他社の類似製品が自社製品と誤って回収 される可能性がある場合、自社製品と一緒に処理をするのか又は混在のない回収方法を構 築するのかについてもこの時点である程度検討すべきである。
(3)自主回収する地域はどの範囲か
使用済み製品の自主回収を行う地域を明確にする必要がある。自主回収・リサイクル行程 の第一段階は使用済み製品を回収することであるが、回収を行うには廃棄物収集運搬業の 許可が必要である。この許可は、一般廃棄物の場合は市町村長、産業廃棄物の場合は都道 府県知事(保健所設置市は市長)により与えられるものであり、使用済み製品を積込む場所と 荷卸す場所それぞれの自治体の許可が必要である(広域認定制度などの一部特例措置を除 く)。したがって、自主回収を行うために許可が必要な自治体を特定するために対象地域を 決める必要がある。
(4)自主回収システムにおける自社の役割の決定
自主回収にあたり、自社が果たす役割を明確にしなければならない。つまり、自社で回 収を行うのか、リサイクル・処分の一端を担うのか又はこれら全てを行うのか、自主回収シ ステムの管理だけを行い実際の処理は他の事業者に委託するのかなどを明確にしなければ ならない。
繰り返しとなるが、メーカー・小売業者等が関与することなく回収からリサイクル・処分 まで全て他の事業者が行う場合については、本書では取り扱わない。
第2節 リサイクル・処分方法の検討
次に、回収する使用済み製品のリサイクル・処分方法を検討する。
処分方法が決まらなければ、リサイクル・処分業者を選定することができず、第3節の自 主回収ルートの検討を行うこともできない。しかしこの段階で、実際に処理委託するリサ イクル・処分業者を確定させる必要はない。ここでは大まかな処理方法を念頭においた上で 第3節へ進み、全体を把握してから本節と第3節を並行して検討することが望ましい。
第3節 自主回収ルートの検討
使用済み製品が排出される時点から、メーカー・小売業者等が回収し使用済み製品が処分 されるまでの流れをここでは「自主回収ルート」と定義する。自主回収ルートは、一般廃棄 物と産業廃棄物の両方を回収する場合には、それぞれが別の種類のものであるとして構築 しなければならない。なぜならば一般廃棄物と産業廃棄物はそれぞれ別の種類の許可が必 要だからである。例えばパーソナルコンピュータのように家庭にも事業者にも同じ製品が 普及していながら、排出時には排出者に応じて一般廃棄物又は産業廃棄物に区分される製 品がある。このような場合であっても、廃棄物処理法は一般廃棄物に対しては一般廃棄物 に関する許可、産業廃棄物に対して産業廃棄物に関する許可を取得することを義務付けて いる。自主回収ルートはそれを踏まえて構築しなければならない。
なお、一般廃棄物の自主回収ルートを検討する場合には、一般廃棄物処理業の許可を受 けることが非常に難しいため、関係の市町村と早い段階から協議が必要である。自主回収 ルートが構築できても廃棄物処理法に定められた許可を受けられず、自主回収ができない 場合もある。
また、自主回収ルートが次に説明するような「再委託」や「区間委託」に該当する場合は、
廃棄物処理法が規定する手続を間違えやすいため、正しく理解して運用しなければならな い。これらに違反した場合は罰則の対象となるので注意が必要である。
[廃棄物処理の再委託]
○一般廃棄物の場合
一般廃棄物の収集運搬やリサイクル・処分を受託した者は、その業務を他者(別法人) に委託してはならない。これを再委託の禁止という。(法施行令第6条の12)
例えば、使用済み製品の回収を依頼された時、運搬車両が不足しているという理由か ら、他の運送業者にこの使用済み製品の運搬を行わせることを再委託という。再委託先 の運送業者が廃棄物収集運搬業の許可を受けていても認められない。
○産業廃棄物の場合
産業廃棄物の収集運搬やリサイクル・処分を受託した者は、その業務を他者(別法人) に委託してはならない。ただし再委託は、排出事業者の書面による承諾等があれば例外 的に認められる。これを再委託の原則禁止という。(法施行規則第10条の6の3)
なお、再委託は(原則)禁止となるが、次で解説する収集運搬の「区間委託」は認められ ている。
[廃棄物収集運搬の区間委託と積替え保管]
廃棄物の運搬区間を区切り、区間ごとに別の廃棄物収集運搬業者に運搬を委託するこ とを区間委託という。ただし区間委託を行うには、収集運搬業者は積替え保管を含む収
集運搬業の許可を受けている必要がある。積替え保管の有無については許可証に記載さ れている。区間委託は、一般廃棄物の場合も産業廃棄物の場合も認められているが、積 替え保管を含む一般廃棄物収集運搬業者は少ない。
ここで、本章の冒頭で示した 2 つの例を再掲し、再委託、区間委託について図を用いて 説明する。
(例1)
製品Aを販売している小売店Xは、環境にや さしい小売店を目指し、使用済みとなった製品A
を1,000 円/台で消費者から回収し、リサイクル
業者にリサイクルを依頼した。
使用済み製品Aは一般廃棄物である。小売店Xは、
自ら処分を行うのではなく、処分業者へ引渡す役目 を果たしており、一般廃棄物の収集運搬行為となる。
一般廃棄物は再委託が禁止されていることから、本 事例の場合は、排出者が小売店Xと一般廃棄物収集 運搬業者Cのそれぞれに収集運搬を委託する必要が
ある。これを収集運搬の区間委託という。(図 3) な 図 3:一般廃棄物の区間委託 お、本事例は一般廃棄物の処理委託であるから契約
関係は図 3のとおりだが、法律上は書面による契約 は行わなくてよい。
(例2)
ある工場では、使用している機器の修理を自 社で行ったが、そのとき生じた廃部品B の処理 に困り、部品メーカーYに処理費用を支払う条件 で回収を依頼した。そこで部品メーカーYの営業 担当者は、営業車でその部品B を引取り、自社 工場の廃棄物として処理した。
本事例を図示すると、図 4のとおりとなる。排出 者は部品メーカーYと収集運搬委託契約、処分委託 契約(中間処理、最終処分)を締結し、部品メーカーY に処理を委託する。部品メーカーYは産業廃棄物収 集運搬業、産業廃棄物処分業の許可を受けていれば、
廃部品Bを引取り処理することができる。 図 4:産業廃棄物の自主回収
一般廃棄物業 許可業者 自主回収する者=小売店X (一般廃棄物収集運搬業
許可業者)
一般廃棄物収集運搬業 許可業者C
引取り
【リサイクル】
【運搬】
【引取り】
<積替>
【引渡し】
収集運搬の委託 収集運搬の委託 処分の委託 排出者
(製品A)
事実関係 物の流れ
保管・処分等を行う者(許可必要) 収集運搬を行う者(許可必要) 事実関係
物の流れ
保管・処分等を行う者(許可必要) 収集運搬を行う者(許可必要)
二次廃棄物の処分
自主回収する者=部品メーカーY (産業廃棄物処分業 許可業者)
【中間処理】
排出者 (部品B)
自主回収する者
=部品メーカーY 産業廃棄物収集 運搬業許可業者 収集運搬 委託契約
処分 委託契約
事実関係 物の流れ
保管・処分等を行う者(許可必要) 収集運搬を行う者(許可必要) 事実関係
物の流れ
保管・処分等を行う者(許可必要) 収集運搬を行う者(許可必要)
ここで、メーカーYの営業担当者が多忙で、他の産業廃棄物収集運搬業の許可を受けてい る運送業者 Z に運搬を委託したとする。この行為は産業廃棄物の収集運搬の再委託となる
(図 5)。この場合図 5に記載された書類等を揃えなければならない。
また、部品メーカーYが回収した廃部品Bを、途中で積替えて運送業者Zが運搬する場 合は区間委託となる(図 6、この場合Yは積替え保管の許可も必要である)。排出者は部品メ ーカーY、運送業者Zとそれぞれ収集運搬委託契約を締結しなくてはならない。
図 5:産業廃棄物の再委託 図 6:産業廃棄物の区間委託
第4節 自主回収に関わる廃棄物処理法の許可取得の検討
排出者から使用済み製品を引取り、それを運搬、リサイクル・処分する事業者は、廃棄物 処理法で定められた許可を取得しなければならない。さらにこの許可は、扱うことができ る廃棄物が種類ごとに限定されている。例えば、ある産業廃棄物処分業者の許可内容が、A 県で廃プラスチック類のみを処分するものであった場合、その施設で一般廃棄物を処分す ることができないだけでなく、産業廃棄物の木くずを処分することもできないということ である。なお、リサイクル目的であるという理由であっても許可を取得せずに使用済み製 品の引取り、運搬、リサイクル・処分を行うことはできない。リサイクルを行う場合であっ
二次廃棄物の処分 (産業廃棄物処分業 許可業者)
【中間処理】
排出者
処分委託契約
産業廃棄物収集運搬業 許可業者Z
収集運搬委託契約
積替地点
=部品メーカーY 自主回収する者
=部品メーカーY 産業廃棄物収集運搬業
許可業者
収集運搬委託契約
二次廃棄物の処分 二次廃棄物の処分 (産業廃棄物処分業 許可業者)
【中間処理】
排出者
処分委託契約
産業廃棄物収集運搬業 許可業者Z
収集運搬委託契約
積替地点
=部品メーカーY 自主回収する者
=部品メーカーY 産業廃棄物収集運搬業
許可業者
収集運搬委託契約
二次廃棄物の処分 自主回収する者=メーカー (産業廃棄物処分業 許可業者)
【中間処理】
排出者 (部品B) 収集運搬
委託契約(A)
処分 委託契約
産業廃棄物 収集運搬業 許可業者Z 再委託
承諾書
再委託 契約 (A)の内容の
一部を交付 自主回収する者
=部品メーカーY 産業廃棄物収集運搬業
許可業者
二次廃棄物の処分 二次廃棄物の処分 自主回収する者=メーカー (産業廃棄物処分業 許可業者)
【中間処理】
排出者 (部品B) 収集運搬
委託契約(A)
処分 委託契約
産業廃棄物 収集運搬業 許可業者Z 再委託
承諾書
再委託 契約 (A)の内容の
一部を交付 自主回収する者
=部品メーカーY 産業廃棄物収集運搬業
許可業者
事実関係 物の流れ
保管・処分等を行う者(許可必要) 収集運搬を行う者(許可必要) 事実関係
物の流れ
保管・処分等を行う者(許可必要) 収集運搬を行う者(許可必要)
ても、処理費用を徴収するなどそれが廃棄物に相当する場合は、廃棄物処分業や廃棄物処 理施設設置の許可を受けなければならない。
また、廃棄物処理業の許可には期限があり、一般廃棄物処理業は 2 年、産業廃棄物処理 業は 5 年で更新が必要となる。許可の内容や許可期限を確実に確認するには、廃棄物処理 業者に問い合わせるだけではなく、許可証を確認したほうがよい。管轄の行政の HP や、
行政(廃棄物担当窓口)へ直接問い合わせるのもよい。
廃棄物処理業 一般廃棄物処理業
一般廃棄物収集運搬業*
一般廃棄物処分業*
産業廃棄物処理業
産業廃棄物収集運搬業
産業廃棄物処分業
(許可権者) (概要)
市町村長
一般廃棄物の運搬を行う者が受け なければならない許可。運搬を開 始する荷積地と運搬を終了する荷 降地の両方の市町村長の許可が必 要である。
市町村長
一般廃棄物の処分を行う者が受け なければならない許可。処分を行 う場所の市町村長の許可が必要で ある。
都道府県知事 (保健所設置市は市長)
産業廃棄物の処分を行う者が受け なければならない許可。処分を行 う自治体の許可が必要である。
都道府県知事 (保健所設置市は市長)
産業廃棄物の運搬を行う者が受け なければならない許可。運搬を開 始する荷積地と運搬を終了する荷 降地の両方の自治体の許可が必要 である。
(許可の種類)
*一般廃棄物収集運搬業、一般廃棄物処分業の新規取得は難しいと言われているため、管轄の市町村に確認が必要 である。
図 7:廃棄物処理業の許可の種類と許可権者
また、一定規模以上の廃棄物処理施設を設置する場合には、一般廃棄物処理施設又は産 業廃棄物処理施設の設置許可が必要となる。この許可は、一般廃棄物処分業、産業廃棄物 処分業の許可とは別に受けなければならない許可であり、許可権者は一般廃棄物、産業廃 棄物いずれの場合であっても都道府県知事となる。
なお、廃棄物処理法には、これらの許可を一定の場合に限り不要とする規定がある。ま た、商慣習という実態を考慮し、運用上、許可不要としている場合がある。これらについ て以下に説明する。
(1)廃棄物処理業の許可を不要とする規定
廃棄物処理法において廃棄物処理業の許可を不要としている規定はいくつかある。具体 的には法施行規則第2条で一般廃棄物収集運搬業、法施行規則第2条の3で一般廃棄物処 分業、法施行規則第9条で産業廃棄物収集運搬業、法施行規則第10条の3で産業廃棄物処
分業の許可を要しない者が列挙されている。しかし、これらの規定は通常、メーカー・小売 業者等は該当しないため、自主回収を行おうとするときは一般廃棄物の場合も産業廃棄物 の場合も廃棄物処理業の許可を受けなければならない。
また法第9条の9、第15条の4の3には一般廃棄物又は産業廃棄物広域認定制度が定め られており、この認定を受けた事業者は廃棄物処理業の許可が不要となる。これについて は第4章で詳述する。
その他特例制度としては、上述の法施行規則第2条、第2条の3、第9条、第10条の3 の中に一般廃棄物又は産業廃棄物再生利用指定制度、法9条の8、法15条の4の2に一般 廃棄物又は産業廃棄物再生利用認定制度という制度が規定されている。再生利用指定制度 とは、都道府県知事(一般廃棄物の場合は市町村長)による廃棄物処理業の許可が不要となる 特例である。再生利用指定制度は、再生利用を促進する目的で再生を行う廃棄物処理業者 を一般的又は個別に指定するものであり、現状では建築・土木資材の指定がほとんどである。
また、再生利用認定制度は、環境大臣の認定によって、都道府県知事(一般廃棄物の場合は 市町村長)による廃棄物処理業の許可だけでなく一般廃棄物又は産業廃棄物処理施設の設置 許可も不要となる特例である。これは対象となる廃棄物及び再生方法が特定され、それに 該当しない限り、再生利用認定制度の認定を受けることができない。(詳細は[コラム5]、[コ ラム6]参照)
(2)もっぱら再生利用の目的となる一般廃棄物又は産業廃棄物
廃棄物処理法第7条、第14条では、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物又は産業廃棄 物のみの収集運搬・処分を業として行う者は収集運搬業、処分業の許可を受けなくてよいと 明記されている。この専ら再生利用の目的となる一般廃棄物又は産業廃棄物は、通常「専ら 物」といわれ、以下の通知によりその解釈が示されている。
U産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事 務の取扱いについて
(厚生省産業廃棄物対策室長通知 平成12年9月29日衛産第79号)
産業廃棄物の処理業者であっても、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すな わち、古紙、くず鉄(古銅等を含む。)、あきびん類、古繊維を専門に取り扱っている既存 の回収業者等は許可の対象とならないものであること。
ただし、許可の対象とならない(「許可不要である」の意)「回収業者等」とは、通知の品目を
「専門に取り扱っている」事業者に限定されている。これらの品目の処理について無条件に 許可の対象外となるわけではないので、注意が必要である。
(3)通知により許可不要と解釈される場合
下取り行為は、廃棄物処理法の制定以前からすでに商慣習として行われていた歴史があ る。その点は法律には明記されていないが、法律運用上の解釈として、下取り行為につい ては産業廃棄物収集運搬業の許可が不要であることが通知で示されている。(第2章参照)
U産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事 務の取扱いについて
(厚生省産業廃棄物対策室長通知 平成12年9月29日衛産第79号)
新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き 取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要である こと。
第5節 廃棄物処理法の許可の申請
自主回収に関係する事業者の役割と廃棄物処理法で規定されるている必要な許可が明確 になれば、あとは必要な自治体の許可を受けるべく、許可申請を行うこととなる。
許可申請にあたっては、一般廃棄物、産業廃棄物それぞれに定められた運搬、保管、処 分に関する基準を遵守していることや、廃棄物処理法で定める欠格要件に該当しないこと を証明する書類等を提出する。(法第7条、第14条参照)
[コラム4] 一般廃棄物処理業の許可取得が難しい理由
一般廃棄物処理業の許可を新たに受けることは、産業廃棄物に比べ難しいといわれてい る。そもそも一般廃棄物は、廃棄物処理法に定められているように市町村が責任を持って 処理しなければならないものであり、市町村は「一般廃棄物処理計画」を定め廃棄物処理行 政を行っている。また、処理の一部については、一般廃棄物処理業者に許可を与えて実施 させているが、この場合も一般廃棄物処理計画に基づいて行われている。
従来、市町村は、一般廃棄物処理業者が増えることで価格競争が生じ、安価な処理費用 が原因となり不適正処理が行われることを懸念してきた。そのため、一般廃棄物処理業の 許可を新たに与えない若しくは現状の一般廃棄物処理業の許可取得者数を維持する方針 が一般廃棄物処理計画に組み込まれていることがある。このような場合、一般廃棄物処理
計画が変更されない限り、市町村が新たに一般廃棄物処理業の許可を与えることはないと 思われる。
なお、近年、一部の市町村において、許可要件を満たしている場合には一般廃棄物処理 業の許可を積極的に与えるという動きが見られはじめている。
[コラム5] 再生利用指定制度
都道府県知事(一般廃棄物の場合は市町村長)が再生利用が確実である廃棄物のみの処 理を行う者を指定することで、再生利用を容易に行えるようにすることを目的とした制 度で、詳細は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第9条第2号及び第10条の3 第 2 号に基づく再生利用業者の指定制度について」(厚生省産業廃棄物対策室長通知 平 成6年4月1日衛産第42号)に記載されている。なお、専ら物については本指定から除 外される。
[再生利用指定制度による特例措置]
指定を受けた都道府県(一般廃棄物は市町村)内では廃棄物処理業の許可が不要となる。
ただし委託基準は遵守しなければならない。
[指定の方法]
① 個別指定
指定を受けようとする者の申請に基づき審査され、再生利用に係る廃棄物を特定 して指定される。再生利用個別指定業者指定証が交付される。
② 一般指定
地方自治体内において同一形態の取引が多数存在する場合、再生利用に係る廃棄 物を特定した上で、廃棄物処理業者を一般的に指定する。指定を受けようとする者 の申請によらず、地方自治体の判断で独自に指定される。地方自治体で指定を受け た個々の処理業者の状況が把握できないということがないよう、業界団体等の構成 員を一般に指定する方法をとる。
[コラム6] 再生利用認定制度
[一般廃棄物再生利用認定制度] (法第9条の8)
環境大臣の認定を受け、環境大臣が定める一般廃棄物の再生利用をする者は、一般