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刃物工業の地域集団の構成要素と構造 ω

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(1)

刃物工業の地域集団の構成要素と構造

刃物工業の地域集団の構成要素と構造

本稿は︑地域集団の構造を経済の発達段階と対応させながら動態的に究明することを目的としたものである︒追究の結果︑下

述のような事実が明らかになった︒

ω

地域集団の構造とは︑中核経営体と各種分業化経営体との資本を通じての有機的な結合関係が位置関係となって地域に具現

凶地域集団の構造は資本主義経済の高度化につれて経済的合則性の適用を強く受ける︒そして︑経済的合則性の適用を強く受

けている地域集団の構造ほど︑商業活動に便利な市街地に集中している中核経営体を中心に︑生産技術度の高低に従った各種

分業化経営体の配列を伴っている︒すなわち︑生産技術度の低い分業化経営体ほど中核経営体の集中している市街地からより

離れた外縁(農村地域)に立地しているのである︒

本稿は﹁刃物工業の地域集団の研究﹂の第三報にあたる︒第一報は﹁工業地理学の一研究視点l刃物工業の地域集団研究への

導入│﹂と題し︑第二報は﹁刃物工業の地域集団の形成過程﹂と題し︑地理評四

Ol

九(一九六七)に︑東京教育大学地理学研

究報告加(一九六九)にそれぞれ公表してある︒

地域集団の構成要素 149  第二報において触れたように︑刃物製品には大きく分けて︑打刃物と抜刃物の二種類がある︒この両者の差異は︑

(2)

150 

各地域集団の構成要素

ゑ 物 問 屋三 木211‑*物納屋

"q 匁物問屋

t 1

44  象 頻 7q 

鎌 顎 43 

L

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ポケ吋ト付75q

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時 刻 11 

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1

資料:三木…・・昭和35年商工業統計個票

…・・・昭和37年商工業統計個票

…・・昭和35年商工業統計個票

おもに原料・生産機構・製

品販売市場などに認められ

cすなわち︑打刃物は非 ステンレス鋼材を原料と

し︑鍛造工程①を不可欠な

工程としており︑製品の大

半がわが国において︑古く

から使用されてきた利器工

し︑抜刃物はステンレス鋼

材を原料とし︑鍛造工程が

プレス工程がかわり

に加わり︑製品の主体は︑

わが国に導入さ

れた移植利器である

@o

たがって︑地域集団の構成

要素も︑打刃物生産が主体

(3)

であるか︑抜刃物生産︑が主体であるかによって変っている︒すなわち︑打刃物生産は基本的には︑鍛造工程と研磨工

程とによって行なわれ︑品種の違いによってそれぞれ特異な下請工程が加わってくる︒これに対し︑抜刃物生産はプ

レス・熱処理・研磨ならびに仕組@の四工程によって行なわれ︑品種の違いによって︑それぞれ特異な下請工程が加

わることはほとんどない︒このような状況から︑利器工匠刃物生産を通して地域集団形成の行なわれた三木では︑そ

の形成頭初の構成要素は鍛造ならびに研磨の二つの分業化経営体にすぎなかった︒しかし︑その後︑目切・水研など

のような品種の違いによって異なる特異な分業化経営体あるいは問屋などが加わり︑地域集団の構成要素は第一表に

見られるように多様化した︒とくに︑注目しなければならないことは︑打刃物生産における鍛造技術は品種ごとに独

刃物工業の地域集団の構成要素と構造

たとえば︑鋸の鍛造技術をもって︑鈎生産を行なうことができないということである︒このため︑打刃

物生産において二種類以上にわたる製品生産が困難であるといわれているo事実︑三木では打刃物製品の二種類以上

にわたる兼営はなく︑個々の品種がそれぞれ専門的に生産されており︑構成要素の中では刃物製造業者の数量的なら

びに種類的な卓越性がめだっているoこのような傾向は小規模ではあったが︑品種的に利器打刃物生産に限られてい

た時期の関刃物工業の地域集団にも認められた︒これに対し︑抜刃物生産転換後の闘ではその地域集団は構成要素的

にかなりの変質をみた︒その最も大きな変質は分業化経営体としての鍛造工程の消滅である︒すなわち︑原鋼の変質

が鍛造の一つの支工程であった火造りを消滅させ︑これにかわる工程としてプレス工程を生みだしたのである︒さら

に︑プレスによる抜黒刃@は鍛造による打黒刃⑤に比べて︑研磨をより必要とするために︑プレス工程の出現は分業 151 

化経営体としての豊かな研磨基盤を必要とした︒このような状況から︑抜刃物生産を通して︑新たに形成された関刃

物工業の地域集団は︑その形成頭初にはプレスならびに熱処理の両工程を兼営する分業化経営体(製造業者)

(4)

関における各種刃物製品の分業化経営体とその規模ならびに戸数

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2

ゆる種類の研磨を行なう分業化経営体(下請業者)

組ならびに彫刻の両工程を兼営する分業化経営体(下請

業者)‑問屋の四つの要素によって構成されていた︒戦

後︑これらの分業化経営体の細分化は著しく︑現在では

資料:昭和37年工業統計個票

第一表に示したような多様性を呈しているoとくに注目

しなければならないことは︑抜刃物における各種製品の

生産工程が第二表にみられるように︑ほとんど差異のな

いことである︒すなわち︑第二表にあらわされた品種別

分業化経営体別事業所数が調査年次の一時的な実数であ

って︑ポケットナイフ研磨がきわめて容易に他品種研磨

に転換することでも抜刃物類の生産諸工程の均一性が認

単位・・・戸数 められようoこの類似性のため︑関刃物工業の地域集団

では︑機械化の行なわれにくい工程の下請化がめだって

いる︒したがって︑下請業者の数量的・種類的な卓越性

が著しい︒さらに︑堺庖丁として品種的には︑きわめて

専門化した状態を通して地域集団形成の行なわれた堺で

は︑その形成頭初の構成要素は鍛造・研磨ならびに柄類

(5)

刃物工業の地域集団の構成要素と構造 153 

illl

各地域集団における刃物工業の経営形態の変容

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同 一

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新問屋帝j本内エ紫 tlエ業 私問屋倒家内エ'Jf‑

資料:主木町有古文書 黒田清右衛門所蔵古文書

資料:三浦周行監修(1930),堺市史,堺市役所商工課編(1957),堺市の刃物産業

資料:関市教育委員会所蔵古文書

製造の三つの分業化経営体であった︒その後︑刃物問屋ならびに細分化

した二つの分業化経営体(研磨・水研)が加わった︒この打刃物生産と

しての構成要素は︑明治末期に新しく鉄生産が加わっても変化せず︑

テンレス鋼材を原料とした抜刃物生産が堺刃物の中心となる昭和二九年

(

)

関におけると同じように︑プレス工程の

出現が当地における鍛造工程の大半を消滅させたが︑堺ではプレス工程

は火造り工程に置き換えられただけで︑関におけるような著しい分業化

は存立しなかった︒堺において︑とくに︑注目しなければならないこと は︑抜刃物製造業者が生産から販売までを︑ほとんど一貫して行なって

いることである︒したがって︑抜刃物生産の分業化経営体利用は忙殺時

にのみ利用する研磨だけである︒この研磨も専属的なものはほとんどな

く︑打刃物の研磨を利用しているにすぎない︒このような状況から︑揃併

刃物工業の地域集団は︑構成要素的にはなお打刃物的であるが︑品種の

専門化が著しいために︑単純化している︒

地域集団の中核経営体

第二報までの考察から︑地域集団を統率している中核経営体が︑

(6)

に︑製品販売市場と直結している経営体であることが判った︒そこで︑これら三研究地域の工業経営形態の発達段階

をそれぞれまとめると第三表のようになる︒この表を基準にして経営形態の各発達段階と地域集団の性格との関係を

中核経営体の性格に注視しながらみると︑まず︑三木では経営形態に応じて︑中核経営体の性格は次のように変化し

た︒すなわち︑単純商品生産の段階にあっては︑第一図Aにみられるように中核経営体の性格は鍛造工程を担当す

る鍛冶とよばれる小商品生産者であった︒やがて︑製品販売市場の拡大によって刃物産地相互間に地域的分業が生

じ︑三木が利器工匠刃物(とくに工匠刃物)の産地としての個性をもつようになると︑上述の経営形態は問屋制家内

工業の段階に移行した︒そして︑第一図

1B

にみられるように中核経営体の性格が刃物問屋に変った︒刃物問屋は各

~1804斗

A

B

1921.1f"' 

C

一 + 京 浜 ' ー → 主 製 品

三木刃物工業における経営形態の 変 容

資料:黒田家所蔵古文書ならびに筆者 の聞き込み。

<==キ製品 1

種の分業化経営体を隷属

化におき︑これらを製品

販売市場ならびに原料購

入市場から遮断してしま

っただけでなく︑鍛冶に

対しては生産品種の指定

などをして︑打刃物製品

の多様化を行なわさせ

た︒これら打刃物製品の

多様化は国内市場のみを

(7)

対象としてきた刃物問屋の努力によって行なわれたものの︑産地製品の指向性を国内市場向けに留めてしまった︒こ のため︑三木の刃物製造業者は既成の刃物問屋の販売網を破壊することができないでいるo現在︑刃物製造業者の大

半は︑原料購入市場と直接結びついているが︑製品販売市場との結合は弱く︑なお︑刃物問屋に隷属することによっ

て販売分野を補充しているoしたがって︑第一図

IC

に見られるように現在の経営形態は新問屋制家内工業の段階に

ある︒しかし︑この段階下の地域集団の性格は本質的には前段階のものとほとんど変らない︒これに対し︑関では抜

刃物生産が中心になるまで︑単純協業が卓越した経営形態であった︒すなわち︑鍛冶仲間と鉄炭問屋仲間との申し合

刃物工業の地域集団の構成要素と構造

A わせによって兼営の形態ではあるが︑刃物問屋が形成された時期(一七九五ーー一八三二を除き︑当地では第二図│

つねに︑鍛冶が製品販売市場との結びつきにおいて優位性を保持し︑刃物問屋の発展を抑えて

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81'8箇醤 匿豆沼

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155 

→縦長

関刃物工業における経営形態の 変容

資料:関市教育委員会所蔵古文書な らびに筆者の聞き込み。

‑ー・場科

E今製J 2

きた︒したがって︑地域

集団は鍛冶を中核として

構成されていた︒

し︑抜刃物製品が刃物問

屋によって導入され︑抜

刃物生産が増大するよう

になって︑上述の経営形

態ならびに中核経営体の

性格はそれぞれ変化し

(8)

た︒すなわち︑刃物問屋から製造業者への製品発注が製造業者と製品販売市場との結びつきを遮断させた︒﹂のた

め︑製造業者は︑原料購入市場との結びつきを保持しながら︑問屋の隷属下に入った︒そして︑第二図

lB

に見られ

るように経営形態は新問屋制家内工業の段階に移行し︑中核経営体は製造業者から刃物問屋に移った︒この経営形態

は︑戦時体制に入って︑関刃物がふたたび万剣を中心とした万剣工業に転換したのちも変らず︑昭和二O

(

五)まで続いた︒しかし︑終戦直後の経済変動は刃物問屋の支配力を急衰させ︑これを契機に関刃物製品は︑ふたた

び製造業者によって製品販売市場へ出荷されるようになった︒とくに︑昭和二二年

( )

の貿易の再開は抜刃

物生産を行なう多数の製造業者の発生を促しただけでなく︑直接貿易を行なう製造業者も生まれた︒これ以降︑関刃

物工業は輸出抜刃物生産を中心に発達し︑製造業者が中核経営体となって︑多数の分業化経営体を統率するようにな

った(第二図

!C )

これら三木ならびに関に対し︑堺では幕末まで単純協業の段階にあり︑その後︑工場制手工業の段階に入るが︑

ずれの経営形態のばあいも︑中核経営体は小商品生産者であったo

工場制手工業の行き詰りは経営形態を問

屋制家内工業の段階に逆転させ︑小商品生産者を製品販売ならびに原料購入の全市場から遮断してしまった︒これに

よって︑中核経営体の性格は小商品生産者(製造業者)から刃物問屋に移った︒さらに︑第二次世界大戦後の経済変

動は刃物問屋の資本力を低下させ︑ステンレス鋼材の普及は生産機構を改変させたo

ステンレス鋼材の使

用を抑えてきた問屋の急衰は︑製造業者とステンレス鋼材とをいちはやく結びつけて︑一貫生産に近い抜刃物生産体

制を確立させたoこれらの事実に基づき︑従来の問屋制家内工業形態は分解し︑抜刃物生産を主体とする工場制工業

の形態と原料購入市場の遮断から解放されたが︑なお製品販売市場から遮断されている打刃物生産を主体とした新聞

(9)

屋制家内工業の形態とに分れた︒このため︑堺における中核経営体は製造業者と刃物問屋との二種の経営体とから成 り立っているo

地域集団の構造

地域集団の構成要素は原料資材ならびに製品販売市場の性格により︑また︑地域集団の性格は経営形態の段階によ

って︑それぞれ変質することがこれまでの考察で明らかになった︒ここでは︑中核経営体によって統率されている各

種の分業化経営体が︑地域集団の中でどのように配置しているかについて考察を進める︒

多様な打刃物製品の生産を主体に︑新問屋制家内工業の経営形態の段階にある三木では︑各種の分業化経営体は刃

刃物工業の地域集団の構成要素と構造

物問屋によって統率されている︒そこで︑筆者は中核経営体(統率するもの)とほかの分業化経営体(統率されるも

の)との位置関係を調査し︑そこになんらかの規則性があるかどうかを知ろうとした︒具体的には︑刃物問屋側から

第三図の四実例に示したような調査を︑分業化経営体側からは︑経営体個々が取引関係において最も緊密に結びつい

ている刃物問屋を把握する調査をそれぞれ行なった︒そして︑これらの調査結果をまとめたのが第四表である︒第三

図ならびに第四表に示したように︑問屋と分業化経営体との位置関係には遠近的な類型が認められる︒すなわち︑問

屋に最も近接している経営体は打鋸・錨・大工塞・剃万・和銀・庖丁・左官鍾などの製造業者と水研・銘切・目落・

目立・などの下請業者である︒そして︑外縁に向かうに従って︑しだいに︑帯鋸・ギムネ類・工作撃・小万類・洋鋲

などの製造業がそれぞれ立地し︑最外縁には鎌製造業が立地している︒第四表で認められた製造業者と問屋との位置

157 

関係の相関が︑本調査結果から偶然生じたものであるか否かを検討するために︑筆者は︑地域集団内部における各種

製造業の配置の卓越状況を調査し︑それを図化したのが第四図である︒本図においても第四表において認められたと

(10)

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ならびに下請関連業者との位置関係の四実例

調査年次:昭和37年 8 月 9 日 ~21 日

明治21年創立の:(J.:号車問屋

(11)

159  刃物工業の地域集団の構成要素と構造

j

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J (1/ι? 7

À正 12年~Jえの私物問屋

3 取引関係の成立している問屋と製造業者 資料:筆者の実態調査結果 単 位 1記 号1経営体

(12)

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4図 三木における刃物工業の地域分化

基準……100メートル平方あたり 2事業所以上のものを図示した@

注1)・・問屋を中心に各種下請工場が集中している地区

なお刃物工場としては極上品の和鉄,左官鍍,打鋸ほか,鈍,

大工事Eおよび三木においては残象的に存在している庖万,剃万

などが混在している。

資料:昭和35年商工業統計調査個票

同じ傾向が検出された︒このことから︑上述の

たんなる偶然的な事象ではな

く︑位置関係に遠近の類型が存在することを示

すものであることが判った︒そこで︑筆者は︑

刃物製品が多種多様な分業化経営体によって生

しかも︑それらが手工的な生産技術機

構下にあることに注目して︑刃物製品個々の生

産過程を調べた︒そして︑これらをもとに︑各

種製品がそれぞれ完製品にいたるまでに経る各

種の分業化経営体数を調査し︑これをまとめあ

げたのが第五表であるo本表と第四表ならびに

第四図とを照応させると︑問屋に近接している

製造業者ほど多様な分業化経営体を利用してい

ることが明らかになった︒たとえば︑打鋸製造

業者は五種にわたる分業化経営体を利用し︑第

四図に見られるように問屋の集中地域に混在し

ているのに対し︑分業化経営体の利用をまった

(13)

三木刃物の地域集団において取引関係の成立している問屋と製造業者ならびに下請関連業者との位置関係

33)

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期終日刊阪駅伝鍵 Q回総資受Q

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同由同

(14)

三木刃物の生産工程とその新旧の対照

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資料:筆者の実態調査結果

調査年次:昭和38年 4 月 27 日 ~5 月 7 日

ゆえ︑利用した分業化経営

体の種類数は︑各種製品個

々の生産技術の高低を表わ

す一つの指標となり得る︒

三木刃物工業の地域集団

では︑問屋が製造業者なら

ひに下請関連業者など刃物

産業に関するすべての分業

化経営体を支配している︒

このような状況から︑多種

多様な分業化経営体を必要

とする製品ほど半製品移送

聞で生ずる欠損が多くなる

ので︑問屋は技術指導・生産

管理を強化するためにも︑

これらの工場を近接させて

おくほうがよい︒また︑半

(15)

製品移送の回数が多くなると︑完製品化の展開が遅れるので︑分業化経営体相互も近接しているほうがよいし︑経営

主も専業であるほうが望ましい︒このため︑三木では商業活動に便利な市街地に立地する問屋を中核に︑製品生産に

多種多様な分業化経営体を必要とする製造業者ほど問屋に近接して立地し︑漸次外縁に行くに従って︑立地する製造

業者の分業化経営体に対する依存度が少なくなっているoさらに︑これとともに︑各種分業化経営体の経営状況も変 質しているoすなわち︑第六表と第七表との照合によって認められるように︑市街地から離れるに従って︑各種の分

業化経営体の経営主(自営)の性格が専業から兼業に移行してゆき︑その兼業も外縁にゆくに連れて︑主工従農(第

二種兼業)に移行している︒そして︑刃物工業に従事する通勤労働者も︑明石・上町のから主農従工

(

) 刃物工業の地域集団の構成要素と構造

ような市街地(第五図)では専業的な性格を帯びているが︑大村・石野では農業を兼ねた労働者の占める割合が高く

なっているoこのように︑分業化経営体栢互の位置関係は︑中核経営体である問屋が自ら多様化させた各種製品を︑

地方都市的な性格(市街地を離れれば︑なお不完全就労状態下にある就業者の多いこと)を利用して︑利潤の増大を

最大限に発揮できるように配置させたために生じたのであるoそれゆえ︑このような位置関係は︑分業化経営体相互

F作用の関連Jの地域への具現化であり︑経済的合則性に従っていると考えて差し

支えない︒そして︑これによって地域集団は構造づけられているのである︒

ついで︑抜刃物製品の生産を中心において︑工場制工業の経営形態の段階にある闘では︑各種の分業化経営体は刃

物製造業者@によって統率されている︒そこで︑筆者は︑三木におけるばあいと同じような要領で調査を行ない︑第

163  八表を作成した︒本表によれば︑製造業者と分業化経営体との位置関係には遠近的な類型が認められるo

製造業者に最も近接している経営体はプレス・鍛造・熱処理・パフ研磨・高級仕組・彫刻・水研・熔接・鍍金・庄延

(16)

B 三木ならびに関の調査地区における経営規模別農家世帯数 とその自宅兼業注1)状況

随 時

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参照

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