フェロニッケルスラグを混合した火山灰質粘性土の安定処理に関する研究
日大生産工(院)○三宅 隼也 日大生産工 秋葉 正一 日大生産工 加納 陽輔 1. はじめに
建設発生土は年間約 2.5 億 m³発生しており,環境負 荷や経済的な観点から,原位置への埋め戻しが理想的 であるが,品質によっては不適な場合もある.中でも,
関東全域に分布する関東ロームは,乱さない状態では,
透水性に優れているが,一度この結びつきが乱される と強度や透水性が著しく低下するという難点があり,
関東ロームを建設発生土として再利用する際は,石灰 やセメント等による安定処理を必要とする.しかしな がら,近年ではセメント系改良土からの六価クロムの 溶出が懸念されており,一考を要する現状である.
本研究では,産業副産物として年間約 250 万 t 発生し ているフェロニッケルスラグ(以下,FNS)の特性に着目 し,FNS を改良材として使用した.これにより,建設発生
土として付加価値の低い関東ロームに,産業副産物と して発生する FNS を添加することで,新たな機能と用 途を創出することを本研究の目的としている.
2. 研究概要
関東ロームの基本物性を表-1 に,FNS の基本物性を
表-2,FNS およびセメントの化学組成を表-3 に示す.
改良材として用いた FNS は, SiO
2や Al
2O
3を多く含有す ることから,セメント代替材としての利用が期待でき る.また本研究では建設用骨材としての整粒過程で派 生した微粉末分を再焼成し,粒状化したものを対象と して,FNS の粒度が強度発現性や透水性に与える効果を 検討するため,最大粒径 4.75mm の FNS(A)と 13mm 以下 の FNS(B)を比較評価した.FNS の粒径加積曲線は図-1 に示すとおりである.供試体の作製方法は,関東ローム を 4.75mm ふるいで裏ごしして均一に乱した自然含水 比 の も の を 母 材 と し た . ま た , 処 理 材 は FNS(A) と FNS(B)に対し,補助材として消石灰を使用した.これら を FNS:消石灰=4:1 の割合で混合したものをそれぞれ 処理材(A),(B)とした.各試料土の配合比を表-4 に示 す.なお,各評価試験は物理的な改良効果と化学的な改 良効果を評価することを目的として,改良直後と 7 日 日養生後(室内養生 3 日,水中養生 4 日)に実施した.
① 100% 0% 0% 0%
② 85% 15% 0% 0%
③ 55% 45% 0% 0%
④ 25% 75% 0% 0%
⑤ 85% 0% 15% 0%
⑥ 55% 0% 45% 0%
⑦ 25% 0% 75% 0%
⑧ 85% 0% 0% 15%
関東 生石灰 ローム
処理材 (A)
処理材 (B) 表-2 FNS の物理的性質
関東ローム
含水比 122.8(%)
土粒子の密度 2.808(g/cm
3) 液性限界W
L123.30(%) 塑性限界W
P84.43(%)
塑性指数I
p38.87
p H 6.97
FNS(A) FNS(B) 密度(g/cm³) 2.582 2.727
吸水率 (%) 12.72 4.41 表-3 FNS およびセメントの化学組成
10 0 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0.01 0.1 1 10 100
ふるい目の寸法(mm)
通過質量百分率(%)
FNS(A) FNS(B) 生石灰
表-4 試料土の配合比
A stady on stabilization of volcanic cohesive soil mixing ferronickel slag Junya MIYAKE, Shoichi AKIBA and Yosuke KANOU
SiO
2Al
2O
3CaO FNS 54 ~ 56 % 2 ~ 3 % 4 ~ 5 % セメント 20 ~ 23 % 3.8 ~ 5.8 % 63 ~ 65 %
表-1 関東ロームの物理的性質
図-1 FNS,生石灰の粒径加積曲線
−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−
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3.1 六価クロム溶出試験
表-5 に六価クロム溶出試験(吸光光度法 JIS 010265-2-1)結果を示す.今回,材令 7 日および 28 日に おいて試験を実施した. すべての供試体において基準 値を十分に満足する結果が得られた.
3.2 締固めた土のコーン指数試験
コーン指数を図-2 に示す.関東ローム 100%の供試 体は第 3b 種発生土と判定できる.一方,処理材を添加 した供試体は,いずれもコーン指数が 800kN/m
2以上を 得ていることから第 2 種改良土として判定できる. こ のことから安定処理後は様々な場所で用途に合わせた 施工が可能であると言える.
3.3 安定処理土の CBR 試験
CBR 試験を図-3 に示す.まず, 0 日において処理材 A および処理材 B を 45%以上添加した供試体は,粒度改 善や含水比低下などの物理的安定処理効果による強度 増加が確認できる.このことから処理材の添加量が多 く,FNS の粒径が大きいほど物理的な改良効果も大きい と言える.また,既存の方法である生石灰を添加した供 試体と比較しても,生石灰を上回る改良効果が得られ た.さらに,7 日目にかけて処理材(A)を使用した処理土 の改良効果が,処理材(B)を使用した処理土と比較して 強度増加が大きいことから,スラグの粒径が小さいほ ど化学反応が促進されるためと考えられる.
3.4 土の透水試験
透水係数を図-4 に示す.乱した関東ロームの透水係 数は 10
-6以下であるのに対して,FNS の添加量の増加に 伴い,透水係数が増加し,75%の添加によって透水係数 が 10
-3程度にまで増加している.また,7 日目にかけて 透水係数がやや低下する傾向が見られ,これは化学的 な安定処理効果によって化合物が生成されて土粒子が 結合したためと考えられる.
4. まとめ
・六価クロム溶出試験から安全性を十分に満足する結 果が得られた.
・コーン貫入試験および CBR 試験からは FNS および消 石灰添加による物理的安定処理効果,または化学的安 定処理と思われる効果の発現が確認された. また,FNS の粒径が大きいほど物理的な改良効果が増し,FNS の粒 径が小さいほど化学的な改良効果が早期に発現する.
・ 透水試験からは粒状の処理材を添加したことによる 透水性の改善効果が確認された.
図-2 養生日数とコーン指数の関係
供試体No. 材令7日供試体 材令28日供試体① 0.05未満 0.05未満
② 0.05未満 0.05未満
③ 0.05未満 0.05未満
④ 0.05未満 0.05未満
⑤ 0.05未満 0.05未満
⑥ 0.05未満 0.05未満
⑦ 0.05未満 0.05未満
⑧ 0.05未満 0.05未満
六価クロム(mg/L)
図-3 養生日数と CBR の関係
図-4 養生日数と透水係数の関係
1.000E-07 1.000E-06 1.000E-05 1.000E-04 1.000E-03 1.000E-02
0 7
養生日数(日)
透水係数(cm/s)
①関東ローム100% ②A15% ③A45%
④A75% ⑤B15% ⑥B45%
⑦B75% ⑧生石灰15%
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000
0 7
養生日数(日)
コーン指数(kN/m2)①関東ローム100% ②A15% ③A45%
④A75% ⑤B15% ⑥B45%
⑦B75% ⑧生石灰15%