③ 自然教育園における 2010 年代前半の 生息鳥類について
川内 博
*・大塚 豊
**・丹羽和夫
**・川内桂子
*A bird census study in the Institute for Nature Study by 2010s, Tokyo Hiroshi Kawachi*, Yutaka Otsuka**, Kazuo Niwa**, Keiko Kawachi*
は じ め に
自然教育園における鳥類の生息状況については,開園当時(1949 年)から継続的に調査記録が報 告され,東京都心の緑地での実態を知る重要な資料となっている。本稿では,2010 年代の状況を記 録するため,2012 年 11 月〜 2015 年 10 月の 3 年間,月 1 回のロードサイドセンサスをベースとして 行った調査結果を報告する。途中での成果は,本報告第 44 号に「自然教育園における 2010 年代の鳥 類調査開始時の状況と今後の展開」,第 45 号に「自然教育園におけるシジュウカラの繁殖期の個体数 について(2013 年度)」,第 46 号に「自然教育園における繁殖鳥の状況」として発表している。
今回は,3 年間にわたるロードサイドセンサス結果を報告するとともに,1998 〜 2000 年に実施さ れた調査との比較を通して,本園における鳥相の推移を検証してみたい。
調 査 方 法
本調査は,2012 年(平成 24 年)11 月から,森林などの環境で一般的に行われているロードサイド センサス(ラインセンサスともいう)で行った。開始にあたっては,調査とともに調査員の育成とい うことで,奇数月に「自然教育園・野鳥調査会」(野鳥調査会)として,日本野鳥の会東京の会員へ の参加呼びかけを行った(川内ほか,2013)。参加者のために複数の調査班をつくり,別々のコース 順での調査なども実施したが,本稿の記録として使用したものは,執筆者である大塚豊が責任者とな った班のデータである。また,隔月調査では記録性に不備が生じるので,執筆者である川内博・川内 桂子で,偶数月にも同様の調査を実施した。さらに,同園での状況を把握するため,上記のセンサス 調査時間後,午前中に園内を探索し,センサス以外に確認した鳥の種類と個体数を追加した。
その他,定期的な調査以外にも園内を巡回し,生息状況を把握するとともに,職員の方から情報を 得たり,園内で野鳥の撮影をしている来園者に声をかけ,状況把握に努めた。
*
都市鳥研究会,Urban-Bird Society of Japan
**
日本野鳥の会東京,Tokyo Chapter Wild Bird Society of Japan
メインの調査としたロードサイドセンサスは,午前 8 時 40 分ごろから,午前 10 時 40 分前後まで の約 2 時間で,所定のコース(2.2km・図 1 参照)を,時速 1.5km を基準として回り,左右 25 m(幅 50 m),上方は樹冠上 10 m程度で出現した鳥を記録した。確認は目視および鳴声で,必要に応じて 写真撮影をした。ただし,種類や数の確認のため,同じ場所に数分間留まる場合もあり,厳密なセン サス記録とはいえない精度となった。また,都合により,2012 年 12 月と 2013 年 4 月にはセンサス 調査を実施していない。なお,鳥類の配列順序は『日本鳥類目録改訂第 7 版』(日本鳥学会,2012)
に準拠した。
調 査 結 果
1.自然教育園におけるセンサスルートおよび概要
本調査は,地図(図 1)に示したルートを順番に回り,出現鳥類の種類と個体数を記録した。ルー ト全体の距離は約 2.2km で,実線は一般公開地区〈A〉で,入園者の園路と同じである。破線は立ち 入り禁止地区〈B〉で,許可を得て踏査した。調査は地図上に示した数字順通りで,[1]正門〜路傍 植物園〜[2]三叉路〜ひょうたん池〜[3]森の小道〔写真 1〕〜[4]〜武蔵野植物園〜[5]〜い
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〔実線:一般公開地区ルート,破線:一般立入り禁止地区ルート〕
もりの池〜[6]水鳥の沼〜館跡〜(三叉路)[7]〜[8]シイ並木〜[9]サンショウウオ沢〔写真 2〕。
その後,水生植物園〈A〉,カワセミ池・インセクタリウム一帯〈B〉を踏査した。なお,ルートが交 差した場所では,二重カウントにならないように配慮した。
2.センサス調査実施日の状況
センサス調査は,奇数月の第 2 土曜日の午前中に野鳥調査会として実施し,偶数月も,その日もし くは近くの日で行った。調査開始は,自然教育園の開園時刻(9 時)より早く入園し,人の影響の少 ない状態での鳥たちの状況を調べることができた。センサス実施日の調査時間・天候・気温(開始時
/終了時)を下記に示した。〔表 1〕
3.ロードサイドセンサス調査結果表
今回の調査は,ロードサイドセンサスを基本とし,午前 8 時 40 分ごろから開始し,2 時間程度で 終了するように実施した。しかし,前述のように,厳密なセンサス調査が行えなかったことと,過去 の調査と比べ調査回数が少ないということで,センサス調査後の午前中に,ルートに入っていない水 生植物園,立ち入り禁止地区のカワセミ池・インセクタリウム一帯を探索した。そのとき出現した鳥 で,センサスでの記録がない鳥の種類と数を加え,1 年間ごとの表とした。〔表 2 〜 4〕
写真 1 森の小道での調査風景 写真 2 サンショウウオ沢での調査風景
年
表 1 センサス調査実施日・時間・天候・気温一覧表
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表 2 ① 2012 年 11 月〜 2013 年 10 月の調査記録
表 3 ② 2013 年 11 月〜 2014 年 10 月の調査記録
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表 4 ③ 2014 年 11 月〜 2015 年 10 月の調査記録
4.出現種の概要
2012 年 11 月から 2015 年 10 月まで 3 年間の調査中に記録した鳥類は,外来種 2 目 2 科 2 種を含め て合計 11 目 28 科 57 種であった。以下にそれぞれの鳥類について生息状況の概要を記す。また,園 内における繁殖状況を種名の後に略号で記した。〔繁殖状況〕【B】は繁殖を確認した種,【B ?】は 確認できなかったが,繁殖はほぼ確実な種を示している。
なお,本調査期間中に観察した鳥類は,すべてこれまでに記録されていて,新規に自然教育園産と して登録する種はいなかった。
カモ目 ANSERIFORMES カモ科 ANATIDAE
(1)マガモ Anas platyrhynchos
11 月〜 4 月の間に,散発的に 3 回だけ各 1 羽を記録した。
(2)カルガモ Anas zonorhyncha 【B】
不定期に 1 〜 8 羽を,ひょうたん池や水鳥の沼,水生植物園,いもりの池で記録したが,全く 記録されない月も多くあった。2013 年 5 月には水生植物園で営巣し,ヒナ 11 羽が生まれた。し かし,外敵により全て捕食され,巣立ちには至らなかった(岩出,2014)。
(3)ホシハジロ Aythya ferina
2014 年 12 月に,水生植物園で 1 羽を記録した。
カイツブリ目 PODICIPEDIFORMES カイツブリ科 PODICIPEDIDAE
(4)カイツブリ Tachybaptus ruficollis 【B】
2013 年 7 月に水生植物園で 1 番いの営巣があり,8 月にはヒナ 5 羽が生まれた。その後ヒナ 2 羽が 10 月 3 日まで観察された(川内ほか,2015)。また , 2015 年 7 月には,水生植物園で成鳥 1 羽を記録した。
ハト目 COLUMBIFORMES ハト科 COLUMBIDAE
(5)キジバト Streptopelia orientalis 【B?】
ほぼ周年園内全域に生息しているが,12 月から 4 月は 7 〜 19 羽と比較的個体数が多く,5 月 から 11 月は 4 羽以下で,全く確認されない月もあった。冬期は 10 羽前後の群れで,林床で採食 しているのをよく見かけた。また,地面に本種の羽毛が散乱しているのをしばしば見た。猛禽類 に捕食された跡と思われる。調査期間中は園内で巣等は見かけなかったが,生息状況から繁殖し ている可能性があると考えられる。〔図 2〕
カツオドリ目 SULIFORMES ウ科 PHALACROCORACIDAE (6)カワウ Phalacrocorax carbo
不定期に 1 〜 2 羽を記録した。園内に降りることはほとんどなく,上空を通過する個体をよく 見かけた。
ペリカン目 PELECANIFORMES
サギ科 ARDEIDAE
(7)ミゾゴイ Gorsachius goisagi
2014 年 12 月に,サンショウウオ沢で 1 羽を記録した。渡り途中での立ち寄りと推測される。
絶滅危惧種Ⅱ類〔東京都・環境省〕の稀少種で,本園では,2007 年 5 月に本種の左翼が拾得さ れたことがある(濱尾,2008)。
(8)ゴイサギ Nycticorax nycticorax
2013 年 5 月に湿地で 1 羽を記録した。他に,2013 年 9 〜 11 月にも写真撮影されている(渡邊,
2014)。
(9)アオサギ Ardea cinerea
3 月から 10 月の間に,不定期に 1 〜 3 羽を水生植物園や湿地で記録した。2013 年 2 月にも写 真撮影されている(渡邊,2014)。若い個体を見ることが多かった。
(10)ダイサギ Ardea alba
2014 年 3 月・4 月,2015 年 4 月にいずれも水生植物園で 1 羽を記録した。2013 年 11・12 月に も写真撮影されている(渡邊,2014)。
(11)コサギ Egretta garzetta
2013 年 7 月に湿地,2015 年 3 月に水生植物園で 1 羽を記録した。2013 年 3・4・11 月にも写 真撮影されている(渡邊,2014)。
アマツバメ目 APODIFORMES アマツバメ科 APODIDAE
(12)ヒメアマツバメ Apus nipalensis
2015 年 5 月に上空を飛翔する 2 羽を記録した。都心近辺では,千代田区神田駿河台の高層ビ ルで集団営巣しているので,その一部が飛来した可能性が考えられる。
タカ目 ACCIPITRIFORMES タカ科 ACCIPITRIDAE (13)トビ Milvus migrans
2015 年 2 月に,水生植物園で 1 羽を記録した。
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図 2 キジバトの月別個体数の推移
(14)ツミ Accipiter gularis
2013 年 3 月と 2015 年 5 月に各 1 羽を記録した。いずれも通過個体と思われる。なお,本調査 以外にも,2014 年 4 月 6 日にカワセミ調査用の VTR に 1 羽映っていて記録された。
(15)ハイタカ Accipiter nisus
2014 年 1 月に,ひょうたん池の奥で水浴びをする 1 羽と,同年 3 月にサンショウウオ沢で各 1 羽を記録した。
(16)オオタカ Accipiter gentilis
2013 年 3 月・2014 年 1 月〜 4 月に各 1 羽を記録した。また,2013 年 2 月にも写真撮影されて いる(渡邊,2014)。いずれも冬期間の記録で繁殖やその兆候は観察していない。ハシブトガラ スによくモビングされていた。
(17)ノスリ Buteo buteo
2014 年 1 月に館跡付近上空で 1 羽を記録した。また,2015 年 1 月に 1 羽が水生植物園上空で,
ハシブトガラス数羽と争うのを観察した。〔写真 3〕
ブッポウソウ目 CORACIIFORMES カワセミ科 ALCEDINIDAE (18)カワセミ Alcedo atthis
秋期および冬期に 1 羽ずつを記録した。その他の時期にも写真撮影されている(渡邊,2014)。
1988 年から園内で繁殖が記録されているが(矢野,2009),今調査中には,カワセミ池の巣穴で 出入りすることはあったが,営巣はしなかった。
キツツキ目 PICIFORMES キツツキ科 PICIDAE
(19)コゲラ Dendrocopos kizuki 【B】
周年全域に生息し,個体数は 1 〜 10 羽の範囲で不規則な変動を繰り返していた。営巣中の巣 穴は未確認であったが,古巣や親子連れを観察しているので,園内で繁殖していると思われる。
なお,コゲラの採食木を対象として,2014 年 4 月〜 12 月にかけて行われた調査報告には,営巣
写真 3 ハシブトガラスにモビングされるノスリ〔撮影:川内 博〕
に関しての記載はない(青木,2015)。
(20)アカゲラ Dendrocopos major
2013 年 1 月・3 月,2014 年 11 月・12 月,2015 年 1 月の,いずれも冬期に 1 〜 2 羽を記録した。
(21)アオゲラ Picus awokera
2014 年 8 月〜 12 月・2015 年 4 月〜 7 月に 1 〜 2 羽を観察した。2015 年は繁殖期に雌雄で生 息していたので,繁殖の可能性を探ったが,巣穴や繁殖の兆候などは見られなかった。
スズメ目 PASSERIFORMES モズ科 LANIIDAE (22)モズ Lanius bucephalus
11 月〜 3 月にかけて 1 〜 2 羽を記録した。繁殖はしていない。
カラス科 CORVIDAE
(23)カケス Garrulus glandarius
2013 年 1 月に 2 羽,2014 年 10 月〜 2015 年 3 月の秋冬期に 1 〜 5 羽を記録した。
(24)オナガ Cyanopica cyanus
2013 年 11 月に 5 羽,2014 年 12 月〜 2015 年 5 月に 1 〜 15 羽を認めた。都区内では周年生息 し繁殖している留鳥だが,本園内部の林に入ることは少なく,繁殖は確認されていない(川内ほ か,2015)。
(25)ハシブトガラス Corvus macrorhynchos 【B】
周年多数生息し,繁殖も確認されている。本園は夜間の集団ねぐら地となっているが,日中に 園内に滞留する個体数は不規則な変動をしている。季節変化などは特に認められないが,2014 年は特に変動幅が大きく,2 月に最少の 10 羽を,また 12 月に最多の 100 羽を記録した。〔図 3〕
なお,園内でカラスの羽毛が散乱しているのをよく見かける。状況から猛禽類(オオタカ・ノ スリ)に襲われた可能性が高く,実際,園内で野鳥撮影している方から,オオタカがカラスを抑 え込んで食べている写真を見せてもらった。
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図 3 ハシブトガラスの月別個体数推移
キクイタダキ科 REGULIDAE (26)キクイタダキ Regulus regulus
2013 年 1 月に 3 羽・3 月に 1 羽をマツ林で記録した。渡来する年としない年がある。
シジュウカラ科 PARIDAE (27)ヤマガラ Poecile varius
1 〜 6 羽を不定期に記録した。2015 年は 1 月〜 10 月まで毎月のように生息を記録し,最大 4 羽の生息を認めたが,繁殖に関する観察・情報は得られなかった。
(28)ヒガラ Periparus ater
2012 年 11 月に 1 羽,2013 年 3 月に 3 羽を記録した。冬期の出現に限られ,年によって渡来の 有無に波があることは,キクイタダキと同様である。
(29)シジュウカラ Parus minor 【B】
周年ふつうに生息し,園内各所で親子連れを確認している。ただし,巣自体は発見できていな い。センサス結果では 3 〜 43 羽の範囲で不規則な変動が見られた。群れでの採食行動が多いため,
群れが調査コース内に入っているか否かにより大きな差が出る。繁殖つがい数については,2013 年春にテリトリーマッピング法で調査を実施し,34 個のテリトリーを確認し,その結果を発表 している(川内ほか,2014)。なお,園内に巣箱は設置されていない。
ツバメ科 HIRUNDINIDAE (30)ツバメ Hirundo rustica
4 月から 8 月にかけて 1 〜 6 羽をおもに水生植物園一帯で観察した。園内での繁殖はなく,飛 翔性昆虫類を捕食するために上空に飛来するだけである。本園周辺のマンションの駐車場などで 営巣している。
ヒヨドリ科 PYCNONOTIDAE
(31)ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis 【B?】
周年生息し,5 月〜 9 月は数羽〜 10 数羽程度と比較的少数であるが,10 月〜 4 月は最大 200 羽程度に増加する。初夏から夏に繁殖した個体群は南方に渡去し,それと入れ換わって,晩秋か ら春は北方から渡来した個体群が越冬しているものと推測される。なお,園内で親子連れを観察 しているが,繁殖行動や古巣などは見ることができなかった。〔図 4〕
ウグイス科 CETTIIDAE (32)ウグイス Cettia diphone
11 月から 4 月にかけての秋期〜春期に,冬鳥として 1 〜 6 羽を記録した。
エナガ科 AEGITHALIDAE
(33)エナガ Aegithalos caudatus 【B】
本種は東京都心部で生息分布を広げているので注目していたところ,2013 年 3 月に 3 羽を認め,
4 月にはシジュウカラ調査時に,巣材らしきものをくわえているのを観察した。2014 年 6 月には 親子連れも確認した(川内ほか,2015)。2015 年 5 月には園内で巣が発見され,11 羽のヒナの巣 立ちが確認された。〔詳細は後述〕
ムシクイ科 PHYLLOSCOPIDAE
(34)メボソムシクイ Phylloscopus xanthodryas
2013 年 9 月に 2 羽を観察した。秋期の渡り途中の記録である。
(35)センダイムシクイ Phylloscopus coronatus
2014 年 5 月に 2 羽,2015 年 10 月に 1 羽を観察した。春期・秋期の渡り途中の記録である。
メジロ科 ZOSTEROPIDAE
(36)メジロ Zosterops japonicas 【B】
周年生息し,古巣が発見され,繁殖も確認されている(川内ほか,2015)。個体数の季節変化 は顕著であり,7 月は親子連れの群れが多く,57 〜 115 羽を記録した。その他の季節は数羽〜
30 羽程度でほぼ安定している。〔図 5〕
レンジャク科 BOMBYCILLIDAE (37)ヒレンジャク Bombycilla japonica
2015 年 3 月に 2 羽を記録した。越冬期を終えた渡り途中と思われ,サンショウウオ沢沿いで,
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図 4 ヒヨドリの月別個体数推移
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図 5 メジロの月別個体数推移
キヅタの実を採食する様子を観察した。〔写真 4〕なお,サンショウウオ沢では 2009 年 2 月 26 日 に,バンディング調査時に雌 1 羽が捕獲されている(濱尾,2010)。
ミソサザイ科 TROGLODYTIDAE (38)ミソサザイ Troglodytes troglodytes
2015 年 1 月〜 4 月に,サンショウウオ沢で 1 羽を記録した。
ムクドリ科 STURNIDAE
(39)ムクドリ Spodiopsar cineraceus
2013 年 7 月に 49 羽,2015 年 3 月〜 6 月に 1 〜 2 羽を記録した。東京都内ではふつうの留鳥で あるが,本園での記録は少なく,繁殖も確認されていない。
ヒタキ科 MUSCICAPIDAE
(40)マミチャジナイ Turdus obscurus
2012 年 11 月に,シイの並木付近で 1 羽を記録した。
(41)シロハラ Turdus pallidus
11 月から 3 月にかけて 1 羽〜 9 羽を記録した。渡来時期は年によって若干異なり,2013 年は 11 月であったが,2012 年と 2014 年は年を越した翌年 1 月であった。
(42)ツグミ Turdus naumanni
11 月〜 4 月の秋期から春期にかけて記録した。個体数や出現頻度は年によって異なり,2013 年は 1 月に 4 羽,2013 年 12 月〜 4 月は 5 回で最多 43 羽,2014 年 11 月〜 2015 年 4 月は 6 回で 最多 2 羽であった。
(43)ルリビタキ Tarsiger cyanurus
2013 年 2 月に 1 羽,2014 年 3 月に水鳥の沼付近や水生植物園などで 1 羽を記録した。
(44)ジョウビタキ Phoenicurus auroreus
越冬期の 11 月〜 3 月に,正門付近や水生植物園などで 1 羽を毎年記録した。
(45)キビタキ Ficedula narcissina
2014 年 5 月に 4 羽,2014 年 10 月に 2 羽,2015 年 10 月に 1 羽,いずれも本種の渡りの時期に
写真 4 キヅタの実を食べるヒレンジャク〔撮影:川内 博〕
記録した。
(46)オオルリ Cyanoptila cyanomelana
2015 年 4 月に,水生植物園付近で雄 1 羽を記録し撮影した。 〔写真 5〕渡りの途中の出現である。
(47)サメビタキ Muscicapa sibirica
2014 年 9 月に 1 羽を記録した。渡りの途中の出現である。
スズメ科 PASSERIDAE (48)スズメ Passer montanus
園内での繁殖は未確認であるが,周辺で繁殖した家族群が採食に集まり,5 月〜 8 月に個体数が 増加する。その他の時期は数羽以下で全く確認されない月もあり,季節変化が顕著である。 〔図 6〕
写真 5 水生植物園で姿を見せたオオルリの雄〔撮影:川内 博〕
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図 6 スズメの月別個体数推移
セキレイ科 MOTACILLIDAE (49)キセキレイ Motacilla cinerea
11 月から 3 月にかけて 4 回,サンショウウオ沢で各 1 羽を記録した。
(50)ハクセキレイ Motacilla alba
主として 10 月〜 12 月に 1 〜 3 羽を記録したが,2013 年 7 月には 2 羽を観察した。園外の建 造物などで営巣している可能性が考えられる。
アトリ科 FRINGILLIDAE (51)カワラヒワ Chloris sinica
1 月〜 5 月に 1 〜 21 羽を記録したが,これは越冬個体群と推測される。東京都内の公園や街 路樹などで亜種コカワラヒワが普通に営巣しているが,園内での繁殖は確認していない。
(52)ウソ Pyrrhula pyrrhula
2012 年 11 月に 2 羽,2013 年 1 月に 3 羽,2014 年 1 月に 1 羽を記録した。
(53)シメ Coccothraustes coccothraustes
冬期に 1 羽〜 7 羽を記録した。渡来〜渡去の時期については,2012 〜 2013 年の冬は 11 月〜 3 月,2013 〜 2014 年の冬は 12 月〜 4 月,2014 〜 2015 年の冬は 11 月〜 4 月と,年によって 1 か 月程のずれがあった。
ホオジロ科 EMBERIZIDAE (54)アオジ Emberiza spodocephala
11 月から 5 月にかけて,園内各地の茂みで 3 〜 13 羽を記録した。小さな群れで行動していて,
園路に降りて採食することもよくあった。
(55)クロジ Emberiza variabilis
11 月から 3 月にかけて 1 〜 3 羽を記録した。茂みの中にいることが多く,また,アオジと姿・
声が似ているので確認がしにくかったので見落としもあることが考えられる。この件については,
本園で標識調査を実施している濱尾章二氏が検証をしている(濱尾,2011)。
〈外来種〉
インコ目 PSITTACIFORMES インコ科 PSITTACIDAE
(* 1)ホンセイインコ Psittacula krameri
11 月から 1 月にかけて 1 〜 6 羽を記録した。東京都内各地で繁殖していて,本園内でも営巣 可能な大木の樹洞はあるが,今のところ繁殖は確認されていない。
ハト目 COLUMBIFORMES ハト科 COLUMBIDAE
(* 2)カワラバト(ドバト) Columba livia
本園ではまれに 1 〜 2 羽程度が記録されるが,2014 年 1 月には 26 羽を記録した。本園の北東
側に隣接する,港区立白金台どんぐり児童遊園に定着している 50 羽程度の群れの一部が,一時
的に飛来したものと考えられる。
〈参考記録〉
本調査以外で,期間中に下記の記録があった。提供者は本園名誉研究員の矢野亮氏で,同氏のカワ セミ調査用の VTR に映っていたものである。
ハト目 COLUMBIFORMES ハト科 COLUMBIDAE
アオバト Treon sieboldii 2015 年 10 月 7 日 1 羽 カワセミ池 スズメ目 PASSERIFORMES
カササギヒタキ科 MONARCHIDAE
サンコウチョウ Terpsiphone atrocaudata 2015 年 9 月 27 日 1 羽 カワセミ池 結 果 分 析
1.出現状況について
図 7 は,3 か年におけるセンサス結果から,出現種数を月ごとに,年別にグラフ化したものである。
調査開始が 11 月であったことと,春夏秋冬の季節的な状況がわかりやすいということで,11 月始ま りのグラフとした。このグラフから読み取れることは,冬期(越冬期)に種類数が多く,夏期(繁殖 期)には最低となっているということである。さらに,このグラフでわかることは,8・9 月に最低 のピークがあり,全体的に秋期が落ち込んでいることである。
これは,従来東京都内の緑地を通過していく夏鳥が減少していることを意味していて,本園でもか つては記録されていたカッコウ・アオバズク・オオヨシキリ・カシラダカ・ホオジロなどが,今回は まったく観察されなかったことと関係している。
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図 7 種類数の月別推移
この傾向は 1990 年代から顕著になっていることが,渋谷区の明治神宮での調査で明らかになって いる(柳澤ほか,2013)。ただし,7 月下旬〜 8 月下旬は,セミの声が大きく,おもに鳴き声でその 存在を知ることが多い小鳥類の記録には,負の影響が大きいと思われるので,さらなる検証も必要で ある。
なお,グラフの作成で,記録に欠損がある月(2012 年 12 月・2013 年 4 月)については,破線でつ ないでいる。
図 8 は,本調査期間中における,記録個体数の月別・年別のグラフで,冬期が多く,夏期が少ないの は,図 7 の種類数のグラフと同じ傾向である。2013 〜 2014 年の冬期のグラフが突出しているが,こ れはヒヨドリの個体数が大きく影響している(最大羽数:2014 年 2 月,201 羽)。また,夏期のピー クが 3 か年とも 7 月にそろっているのが目につくが,これはメジロとスズメの個体数増の影響で,両 種とも,その年生まれの若鳥が加わり,それぞれその年のピークの数となっている。
2.出現率・優占度上位種
本調査における,出現率および優占度の上位 10 種は,表 5・6 の通りである。上位 7 種はいずれも 留鳥で,その個体合計は総個体数の 83.6%を占めている。このことは,少数種による寡占状態で,多 様度が低いことを意味している。
この傾向は,明治神宮でも同じで,明治神宮の上位 10 種は,ヒヨドリ・ハシブトガラス・スズメ・
メジロ・シジュウカラ・ヤマガラ・コゲラ・シロハラ・アオジ・キジバトの順で,全体の 92.8%を占 め,構成種もほぼ同じである(柳澤ほか,2013)。
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2012-2013 2013-2014 2014-2015 Av.
図 8 個体数の月別推移
3.2010 年代と 2000 年代の出現鳥状況一覧
今回記録した全種とともに,1998 年〜 2000 年にかけて本園で実施されたセンサス調査の結果を加 えて一覧表を作成した。そして,この 10 年間に起こった変化を分析してみた。
その結果,エナガが定着し,繁殖鳥となったことが一番の変化であり,また,カモ科鳥類が種類数 を減じていることと,ホオジロ科の種類が減少または構成種の変更が起こっていることがわかった。
さらに,大型ヒタキ類に減少傾向が見られることがわかった。〔表 7〕
表 5 出現率上位 10 種
表 6 優占度上位 10 種
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表 7 2010 年代と 2000 年代〔濃赤色〕の出現鳥の比較一覧
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