• 検索結果がありません。

3 、「今日だにのどかに思ひつるを、便なげなりつれば ・・・・・ 」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "3 、「今日だにのどかに思ひつるを、便なげなりつれば ・・・・・ 」"

Copied!
26
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

   蜻蛉日記注釈試案㈡

日記文学研究会 蜻蛉日記分科会(秋澤亙・川村裕子・内野信子・施旻・深澤瞳)

 号(」、の「き「を掲載する。前号と同様、この注釈のおおまかな方針は以下の通りである。①本文は宮内庁書陵部蔵桂宮本重視の姿勢を貫き、可能な限り、改訂を避ける。②鑑賞は改訂を避けたことによって従来になかった本文が成立した箇所に重点を置く。③現代語訳は客観化された逐語訳を目指し、予断に基づいた解釈をしない。 お、は、刻、文。お、字は【語釈】の番号。【語釈】については本文校訂において重要と思われる部分を中心に述べた。末尾に注釈書の略称を記す。

  第五段

【校訂本文】 て、 ころにあるに、ものして、つとめて、(兼家)3「今

日だにのどかに思ひつるを、便なげなりつれ

ぞ。

とある返りごとに、ただ、

 (道綱母) 【翻刻本文】かくてあるやうありてしはしたひなるところにあるにものしてつとめてけふたにのとかにおもひつるをひなけなりつれはいかにそみには山かくれとのみなむとあるかへりことにたゝ

  おもほえぬかきをにをれはなてしこのはなにそ露はたまらさりけり

なといふほとに九月になりぬつこもりかたにしきりて二よはかり

みえぬほとふみはかりあるかへりことに

(2)

  露はたまらざりけりなど言ふほどに、九月になりぬ。 ほど、文かりある返りごとに、6(道綱母)  朝はしらるる空もわりなしたちかへり、返りごと、7(兼家)  ると見ゆるなるらむとて、返りごと書きあへぬほどに見えたり。 (兼家)9(道綱母)  とや漏るを見る見る返りごとは、みづから来てまぎらはしつ。 かくて、十月になりぬ。ここに物忌なるほどを、心もとなげに言ひつつ、

 (兼家)  へしぐれ添ふらむ

10返し、いと古めきたり。

(道綱母)思ひあら干なましものをいかでかは    きえかへりつゆもまたひぬ袖のうへにけさはしらるゝそらもわりなしたちかへりかへりこと   おもひやる心のそらになりぬれはけさはしくるとみゆるなるらんとてかへりことかきあへぬほとにみえたり又ほとへてみえをこたるほとあめなとふりたるひくれにこむなとやありけむ  かしわきのもりのしたくさくれことになをたのめとやもるをみるかへりことはみつからきてまきらはしつかくて十月になりぬこゝにものいみなるほとを心もとなけにいひつゝ  なけきつゝかへすころもの露けきにいとゝそらさへしくれそふらんかへしいとふるめきたり  おもひあらはひなまし物をいかてかはかへすころものたれもぬるらんとあるほとにわかたのもしき人みちのくにへいてたちぬ

(3)

【現代語訳】 に、と、て、朝、た。か。たとしか思えないよ」とある返事に、ただ、し、れたあなたもすぐに帰ってしまったことよなどと言っているうちに、九月になった。月末ごろに、続けて二晩ほど訪れのない時分、文だけがある返事に、ち、て、て、す。ですから折り返し、返事、  あなたに思いを馳せる私の心が空に通じたので、あなたには、私の流す涙がしぐれのように見えるのでしょう  といって、こちらが返歌を書き終えないうちにやって来た。 また、らくして、途絶えがちであったころ、雨などが降っていた日に、「暮れに行くよ」などと言ってきたのであったろうか、は、す。に、えてかりで、私は涙にくれています。それでもやはり、暮れごとに、あなたを信じて待ちなさいというのですか返事は、みずから訪れてうやむやにした。 このような状態で、十月になった。私が物忌み中であるのを、不満そうに言いながら、   返す衣の誰も濡るらむとあるほどに、わが頼もしき人、陸奥国へ出で立ちぬ。

(4)

ら、あ、時雨模様になってきたことよ返歌は、大層古めかしかった。に。く、なたの衣までが濡れるのでしょう。あなたに私を思う気持ちがないからですねなどと言っているうちに、私が心頼みにしている父が、陸奥国へ旅立っていった。

【語釈】

、あるやうありて

 て。は、を「め「が、釈できる。『蜻蛉日記』にはもう一ヶ所、「さるべきやうありて、雲林院にさぶらひし人なり」(上巻康保元年秋)がある。「ようあり」の例は見あたらない。

2、ものして

 て。る「例。て、る。の「は「意。】、氏(」『輯、は、が、は、の「で、と考えられる。

、「今日だにのどかに思ひつるを、便なげなりつれば ・・・・・

 が「る。は「し、も「る。しかしここでは、底本の読み重視の立場から、「と」を加えなかった。「今日だに」のあとに(一緒に過ごそうと)などの言葉を補い、

(5)

「のどかに思」っていたのに、と慨嘆する兼家の心情を読みとった。

、いかにぞ

 か、う。る【】【】【が、すぐあとに、「身には山隠れとのみなむ」との兼家の推測の言葉があるので、理由を尋ねたと考える。

、身には山隠れ のみなむ

 が、歌「」(集・し、う。し、を「し、合「で、い。が、る。ず、らしい諧謔をこめた言葉ととっておく。

、消えかへり露もまだ干ぬ袖のうへに今朝はしらるる空もわりなし

 道綱母歌。『後拾遺集』七○○番歌に、「けさはしぐるる」で入集。「しらるる」は、諸本が「しぐるる」校訂する。従来は兼家歌の「して「が、し、」、ち「らされる」との意味で解釈してみた。受動態「しらる」はいかにも我が身にひきつけた形態であり、自己をはかないとする認識がクローズアップされてこよう。「我が身のはかなさを思いしらされる空模様」が時雨模様であることは次の兼家歌の「しぐる」から推測でき、道綱母歌の解釈にも及ぼすことができる。

、思ひやる心の空になりぬれば今朝はしぐる 見ゆるなるらむ

 歌。に、集。が、に「り、る。は、も、

(6)

は、る。の「」「」「調し、は「簡単にまとめていて、その心情の差異は大きい。

、雨など降りたる日、 「暮に来む」など

 は、に、て、が、の、い。、「頃、いひつかはしける 大納言道綱母」として次の「柏木の」歌があり、「暮に来む」の解釈に拠っている。因みに、『蜻蛉日記』には、に。」(巻・る。歌、の「が、も、る。の「念を表出したと考えれ、「柏木の」歌がいっそう活きてくる。

、柏木の森の下草くれご になほたのめ や漏るを見る見る

 は「」「で、の、る。は、、「」「る。に、る。く『し、への頼みがたさが強調されている。

や、歌「」(』・の「  言。宿」(句「

10 、返し、い 古めきたり

(7)

は、評。所、る。月、歌、し、は「い。た、に、右、る。は「れ、は「が判じられている。いずれの例も、「古めく」歌にはマイナス評価がなされている。

【鑑賞】 は、き、る。し、の、は、い。が繰り返し記されていることや、兼家との贈答の微妙なずれからは、道綱母の不充足感が感じ取れる。 の「は、ち、様、れている。底本どおり「しらるる」と読むことによって、「ものはかな」い我が身を痛感している道綱母像が浮上してこよう。 た、に、が、る。兼家も常々口にしながらも約束を違えていたらしいことが、「くれごとになほたのめとや」との皮肉めかした訴嘆からはうかがえる。が、る。ぶりで、道綱母が歌の贈答をどれほど重んじていたかということであろう。 れ、る。た、る。も、も、い。し、」「」「は、に、い道綱母像の胚胎している様子がうかがえるのではあるまいか。

(8)

【校訂本文】

 

。「」と

、と

(供人)」と

(道綱母)「なにとぞ」と見れ

  (倫寧) 

  思ほゆるかなとぞある。 【翻刻本文】ときは  いとあはれなるほとなり人はまたみなるといふへきほとにもあらすみゆることはたゝさしくめるにのみありいとこゝろほそくかなしきことものににすみる人もいとあはれにわするましきさまにのみかたらふめれと人のこゝろはそれにしたかふへきかはとおもへはたゝひとへにかなしうこゝろほそきことをのみおもふいまはとてみないてたつひになりてゆく人もせきあへぬまてありとまる人はたまいていふかたなくかなしきにときたかひぬるといふまてもえいてやらす又みなるすすりにふみをおしまきてうちいれて又ほろとうちなき

ていてぬしはしはみむころもなしみいてはてぬるにためらひてなにとそとみれは  きみをのみたのむたひなるこゝろにはゆくすゑとほくおもほゆるかなとそある   第六段

10 11

(9)

【現代語訳】 る。し、ら、て、は、い。も、と、も、と、悲しく心細いことかりを感じる。「では、これで」といって、皆が出発する日となって、旅立つ者も涙をとどめられぬほどであり、、「も、い。て、て、た。手紙を見ようと思える時もない。見送りを終えてしまうと、気持ちを落ち着けて、「何と書いてあるのか」と見ると、は、の、よ。も、仲もと書いてある。

【語釈】

、人はまだ見馴る いふべきほどにもあらず

 は、家。く、い、意。り、との離別による心細さと不安の中で新婚生活を捉えようとする道綱母の主観的な心象を表しているのであろう。

2、見ゆるこ

 諸注釈は吉田幸一博士蔵本などに従い、概ね「見ゆるごとに」と改訂して、「逢うたびに」の意に取る。さらに「父」にあうか、「兼る。他、は「て、「『られる。受身のいい方」と解した。ここでも底本重視の方針に沿い、「みゆることは」の本文を採択し「見られる様子といったら」(兼家に見られる道綱母の姿は)と解する。

参照

関連したドキュメント

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア

カルといいますが,大気圧の 1013hp からは 33hp ほど低い。1hp(1ミリバール)で1cm

わかうど 若人は いと・美これたる絃を つな、星かげに繋塞こつつ、起ちあがり、また勇ましく、

そればかりか,チューリング機械の能力を超える現実的な計算の仕組は,今日に至るま

ポケットの なかには ビスケットが ひとつ ポケットを たたくと ビスケットは ふたつ.

( 同様に、行為者には、一つの生命侵害の認識しか認められないため、一つの故意犯しか認められないことになると思われる。

であり、 今日 までの日 本の 民族精神 の形 成におい て大