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ボラティリティーの非対称性 イントラディ データによる可変パラメーター分析 高千穂大学商学部准教授柴田舞 今回は日本大学経済学部さまに大変感謝してお ります. 中でもデータを整備していただいたということが, 私としては研究を進めるに当たって大変助かりました. タイトルにあります通り, イントラディ

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日本大学経済学部経済科学研究所研究会

【第200回】

2017年7月22日

平成27~28年度共同研究中間発表

「時系列解析による金融市場分析」

〈発表者〉

 高千穂大学商学部准教授

柴 田   舞

東洋大学経営学部准教授

里 吉 清 隆

日本大学経済学部教授

三 井 秀 俊

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「ボラティリティーの非対称性

―イントラディ・データによる

可変パラメーター分析」

 高千穂大学商学部准教授  柴田 舞 今回は日本大学経済学部さまに大変感謝してお ります.中でもデータを整備していただいたとい うことが,私としては研究を進めるに当たって大 変助かりました.タイトルにあります通り,イン トラディ・データ,日中のデータをこちらで整備 していただいたものを使いまして,ボラティリ ティーの非対称性について研究を行なうことがで きました.その話を今日はさせていただきたいと 思います. 研究目的は日中分析,中でもボラティリティー 非対称性の存在有無についてです.ボラティリ ティーというのは,株式市場,特に株価データの リターンの変動の大きさを表す変数ですが,ボラ ティリティーそのものは観測されないものですの で,モデルの中で推定することになります.その 推定をすること,あるいはボラティリティーの特 性を明確にすることは,世界中で20~30年にわ たってずっと研究が続けられている大きなテーマ です.その大きな流れの中で,今回の研究は日中 での非対称性に焦点を当てております. 方法としましては,よくあるのはARCHタイプ モ デ ル で の 分 析 で す が, 比 較 的 新 し いVIX (volatility index)データの日中のデータも使って, 複数の方法で分析することで頑健性を明確にしよ うということを行なっております. データは2016年1月から12月,1年間の日中デー タです.データによって取れる時間が違いますの で,夜間データもあったりいたしますが,日経平 均を対象にしておりますので,マーケットが開い ている前場と後場の時間内しかデータは存在しま せんので,それに合わせて日中データを使ってお ります. 日経平均は東証1部上場 225銘柄の平均値とし て出されるもので,9時から11時半と12時半から 15時まで,15秒間隔で配信されます.それぞれの 株価がばらばらについていて,頻度の高い銘柄は 1分間に何回も価格がつきますが,平均値として 計算して公表するのは15秒に1回です.9時00分は まだ始まったところでデータはないので,1日の 最初は9時00分15秒,30秒,45秒,1分となります. これに従って,15秒データを毎分とって分析して おります.日中データを扱うと,毎分15秒で間は 捨てているのはもったいないとよく指摘されます が,全部拾うとノイズだらけで分析に耐えないの で,せめて1分,場合によっては5分,10分とか, ある程度間隔を空けて取って観測して使うことが 主流となっています. (資料1) 今回は先物はやっていないので省略し て,日経ボラティリティー指数に話を進めます. これはもともとシカゴで公表されているVIXに似 せたかたちで日経新聞が算出しているもので,オ プション価格をベースに計算しています.これも 日中,15秒刻みの配信で,同じ間隔でデータをサ ンプリングして分析に用いております. (資料2) VIXについて先行研究を見ると,原系 列で扱っていたり,変化率に直したり,ものに よってさまざまです.そこに関しては単位根検定 をすればイエス・ノーが言えるわけですから,単 位根検定をする.ここに単位根検定の式を書いて いますが,yのところにVIXのデータを入れて単 位根検定を行なった結果,原系列には単位根あ り,変化率に直せば定常であるということで,分 析の中では変化率に直したものを用いておりま す. (資料3) ちなみに,ボラティリティー・イン デックス日中変動で,横軸は午前9時から始まっ て午後3時まで,昼休みをはさむことなく日中 ずっと配信されております.原系列のほうが濃い 折れ線グラフで,朝が高い.緑色のちょっと薄い ほうは,VIXを変化率に直した後ですので,定常 な0付近で推移しています. 1年間のデータを使っているので,1年間での時 間に対する平均値を出しています.1年間のデー タ数はそれぞれ約二百何十あるわけですから,9 時の時点での二百何十の平均,9時1分での平均, 9時2分での平均ということで,同じ時間に観測さ れるデータの平均値のグラフです. (資料4) 基本統計量についてはあまり大きな情 報源がないので,ボラティリティー非対称性回帰 モデル分析のほうに行かせていただきます.先行 研究として参考にした分析があるのですけれど も,VIXの変化率に直したのを普通の回帰分析の

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かたちで,リターンのプラスならデータが入り, マイナスならこっちにデータが入る.ダミー変数 を掛けたようなかたちで,プラスの場合とマイナ スの場合と分けている先行研究があります.VIX とリターンのそれぞれ過去のデータに回帰する. ただしVIXついては,朝が高いとか,お昼休み空 けたところも時間の間隔が違いますので,時間の 間隔の違うところにダミーを入れて別の定数項で 扱う. 主に日次データで指摘されていることですが, リターンが下がった後にボラティリティーは上が りやすい.それはデータのうえの観測という意味 もあり,理由も分析されていて,リターンが下が るのは多くの人にとってよくない情報ですので, そこで急いで取引しようとかいうような行動を引 き起こし,ボラティリティーが高くなるなどとい う説明もされております.主に日次データでの結 果で,日中のデータに関しては先行研究を調べて もあまり分析は行なわれていません. 次数などはちゃんと調べてラグ2まで入れると いうことでやってきたのですが,数字だけ見ても 意味が分からないので,解釈のページに移りたい と思います. (資料5) 同時点の被説明変数にボラティリ ティーのリターン,説明変数に日経平均自体のリ ターンがあるので,同時点のデータを入れたとこ ろの係数を解釈してみると,プラスのリターンが ついているほうの係数は-2.515.プラスのリター ンに対しての係数はマイナスですので,リターン がプラスで係数がかかるとマイナスの効果.一 方,マイナスのリターンについているほうの係数 は-2.114.マイナスリターンでマイナス係数に かかってくるわけですから,マイナスのリターン のときにボラのリターンがプラス方向に動く,と いうような意味合いで非対称性だということは確 認がとれます. ラグの係数はそんなにはっきりはしなくて,同 時点の影響が強く出ていました.10分リターンで は符号が混在していたりして,どうもはっきりし ない.15分になっていくと,やはり結果が混在し ているということで,特に5分で強く出ていると いう結果が見られます.ラグも入れた回帰分析で すが,同時点のデータでの係数が一番はっきり出 ている.ここはまだ先行研究ベースのモデルです ので,それと同じことを確認したというレベル で,アメリカでもそんな結果が出ていたし,日本 でもそうですねという追試です. 私の持ち時間はもうないのですが,せめて1個 だけでも私のオリジナルを話させていただきたい と思います.同じような分析ですが,パラメー ター変化モデルをやってみました.普通のリグ レッションは平均を通る線を引くわけですが,分 布の平均ではなくて,95%の端っこをとるとか, クオータイルを定めてやってみるとだいぶ違うぞ という指摘が先行研究にあります.その指摘は何 なのだろうかと考えたときに,もちろん分布が違 う,すなわちデータが大きく外れたような大きな 変化を示したときの話ではあるのですが,データ を眺めて一体それがどういうとき起きているのか 見ますと,5分,10分,15分は長いとはいえ短い ので,ある日はリターンが大きかったり,ある日 は静かだったりとか,日による違いがかなりある わけです.そこで,クオンタイルにこだわらず, パラメーターの変化ということで時間的な変化を 見てみようということをオリジナルとしてやって みました. その結果が自分でもびっくりするほどきれいに 出たので,これはぜひお見せしたかったのですけ れども,1年間のパラメーターの変化をずっと追っ ていけるわけです.回帰分析のパラメーターが1 年間,1日の中,1分の中で変化している. これをまた時間に対して平均をとりました. データは9時,9時5分,9時10分と並べて回帰分析 して,1月4日の9時のパラメーター,9時5分のパ ラメーター,次1月5日のパラメーターとずーっと つながっていますが,つながっているのを眺めて もよく分からないので,得られたパラメーターを 織りまぜて,9時の時点のパラメーターの平均値, 9時5分のパラメーターの平均値というふうに並べ ると,前場は低い,後場は高いという,きれいな 結果が出ました. 同じようなことをGJRやEGARCHやいろいろな モデルでやってきましたが,結論だけ述べさせて いただきますと,日中ボラティリティーの非対称 性はある.パラメーターの分析から,パラメー ターについては有意に存在していることが確認で きる.2点目は前場と後場で動きが違うことが見 つけられた.

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3点目は,時間の都合上,申し上げられなかっ たのですが,EGARCHモデル,GJRモデルでボラ ティリティー変動の非対称性を見るモデルがあり ます.これをやる意味はVIXを使わないというこ とです.そもそもVIXは信頼できるデータかと言 わ れ る と, そ れ ま で に な っ て し ま い ま す が, ARCHモデルはいろいろなところで使われて信頼 されるモデルですから,こちらを比較対照として 分析した結果,リターン間隔が短ければ非対称性 は存在し,長くなると消えていく.10分,15分だ とはっきりしないということが見えております. 以上です.

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「EGARCHモデルによる

ブル・ベア市場の分析」

 東洋大学経営学部准教授  里吉 清隆 (三井) 共同研究者の東洋大学里吉先生は現在, 在外研究でアメリカに行っておられて来られませ んので,私が代わりに彼の研究を簡単に説明させ ていただきます. 研究題目は「EGARCHモデルによるブル・ベ ア市場の分析」です.初めにこれを見たとき,マ ルコフスイッチングの間違いではないですかと里 吉先生にメールをしたんですが,「いや,これで 合っている.よくモデルを見てください」と怒ら れました.ブル・ベア市場の分析の場合にはマル コフスイッチング・モデルを使う場合が多いので すが,今回の場合はダミー変数を使って分析して いる. 研究の背景ですが,株式市場や為替市場にはブ ル相場,ベア相場と呼ばれるトレンドが存在する 可能性がある.実際には存在していると思うんで すけれども,断言はできない.それぞれの相場に おいて資産価格の変動の仕方には違いがある.株 式市場の変動の特性と為替市場での変動の特性と はちょっと違うのではないかと考えられていま す. トレンドの転換点,一番高いところと一番低い ところ,山と谷を見つける方法にはいろいろあり ますが,BB法が一番有名です.BB法を株式市場 に適用した代表的な研究で,日本のデータを使っ たものでは,今日来ていただいた柴田先生が2010 年と2014年にTOPIXの長期の月次データと週次 データを用いて研究なさっています. 柴田先生の研究は月次と週次データですが,投 資家にとっては中長期だけではなくて短期的なト レンドにも興味がある.今回,里吉先生は日次 データで分析しました.資産価格の時系列データ に見られるボラティリティー・クラスタリング, ファット・テイルと分布の歪み,ボラティリ ティーの非対称性,この三つの特徴をとらえるた め に,skewed-t分 布 を 用 い てEGARCHモ デ ル を 使って推定を行なっております. 余談ですが,里吉先生とは分布の歪みに注目し て別に共同研究をしています.今回も分布の歪み は一つのメインテーマになります.ブル・ベア相 場において資産価格の変動に違いがあるか,どの ような確率分布が最も当てはまりがよいか調べる のが今回の研究の目的です.ブルの場合とベアの 場合で変動の仕方が違うとすると,通常の正規分 布とかt分布みたいな対称性のある分布だとブル とベアのときの歪み具合の違いをとらえることが できないので,skewed-t分布の歪みを考えていま す. (資料1) そこでEGARCHモデルですが,ダミー 変数が入った式になっています.収益率の過程は あるトレンドとボラティリティーが変動する形に なっていて,誤差項の過程は平均0で,分散1を仮 定します.分布の形状はいろいろなかたちで考え ます.ボラティリティーの過程はEGARCHモデ ルに従って定式化していく.あとは定数項のμ, ボラティリティーの定数項ω,ボラティリティー のパラメーターβ,θ,γに対してダミー変数を置 いてやる.ダミー変数はベアのときは0,ブルの ときは1をとる. (資料2) 誤差項のztの分布ですが,四つ使って 推定しております.一つは正規分布で,もう一つ はt分布です.株式市場では収益率の分布はファッ ト・テイルの分布というのは知られていますの で,そこでよく使うt分布です.skewed-t分布は, ξが1より大きい場合は右の裾が厚くなる,1より 小さい場合は左の裾が厚くなる,ξが1の場合には 左右対称になります.skewed正規分布も使って推 定を行なっている. (資料3) skewed-t分布の例です.ξが0.8 の場合 と,1.0 の場合と,1.2 の場合で,いずれも自由度 は5としています.先ほどモデルのところで説明 しましたように,平均0,分散1に仮定しています ので,分散1に基準化した誤差項となっています. これを見ると,通常は正規分布もt分布も0を中 心にして対称ですが,ξの値を変えることで,右 あるいは左に歪んだ形になることが分かります. 後でぼくもこの分布を使うんですが,このような 左右非対称の分布を使うことで,資産価格データ に対するモデル当てはまり具合が高まる可能性が ある.非対称性分布のskewed-t分布を今回は使っ たわけです. (資料4) BB法の手順はここに書いてある通り です.

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(資料5) 分析データはTOPIXと米ドル・円為替 レートの日次データを使っています.TOPIXは終 値で,米ドル・円為替レートは東京インターバン ク相場の17時時点です.データ期間は2010年1月4 日から2017年2月20日で,なぜこの期間を選んだ のか,いまいち分かりません.サンプル・サイズ は1749で,収益率は1個減るので1748になります. BB法によるトレンドの決定並びにモデルのパラ メ ー タ ー の 推 定 に は プ ロ グ ラ ミ ン グ 言 語 の OxMetrics 7.10を利用しています. (資料6) BB法の設定値ですが,Mfがブル・ベ アの最低継続日数で,1週間の場合は5日,2週間 の場合は10,約1カ月で20です.Mwはウインド ウの長さ,Msはデータ系列の最初と最後におけ る山・谷の除外日数,Mcは山から山,谷から谷 という1サイクルの日数の下限です. (資料7) 図2 TOPIXの推移とブル・ベア局面 ですが,白いところがブル,グレーの網かけがベ アで,最低継続日数が1週間(5日間)のケースの 場合です.ほかのブル・ベア継続期間と米ドル・ 円為替レートについては,別紙2ページ,3ページ をごらんください. ( 資 料8)  日 次 収 益 率 の 基 本 統 計 量 で す が, TOPIXの結果では,全期間で平均は有意ではな い.今回は誤差項に左右非対称の分布を使ってい ますので,歪度は左に歪んでいますし,尖度も3 を有意に超えて正規分布よりも裾が厚い.ここか ら,t分布あるいはskewed-t分布を使う有効性があ ることが分かります. (資料9) 米ドル・円為替レートの結果も,全期 間と,ほかの最低継続日数(Mf)を見た場合に, 歪度はどちらかに有意で,尖度は3を超えて正規 分布よりも裾が厚い.為替に対しても,t分布とか, 特にskewed-t分布を使うのは有効であることがこ こたら分かります. (資料10) TOPIXの推定結果です.対数尤度, AIC,SBICのいずれの基準においても,トレンド なしの場合は誤差項をskewed-t分布にしたモデル が最も高い.別紙5ページに出ている通りです. この研究でもう一つのポイントはθの値が負に 有意であり,このことからボラティリティーの非 対称性があることが明らかにされています.もう 一つは,ξは1より小さく有意なので,誤差項の分 布を考えた場合には左の裾が厚いことが分かりま す. (資料11) Mfが5のとき,モデルの比較をする と,対数尤度,AICについてはskewed-t分布が最 も高く,SBICについてはt分布のモデルが最も高 いという結果になっています.非対称性のθも全 てに関して有意.skewed-tに関しては,ξは有意 でないので歪んでいない可能性がある. (資料12) Mf=10,Mf=20の場合もMfが5の場 合と同じで,対数尤度とAICに関してはskewed-t 分布が良くて,SBICに関してはt分布のモデルが 最も高いという結果が出ています.尤度比検定の 結果も同じです. (資料13) 表4は米ドル・円為替レートの推定結 果 で す. ト レ ン ド が な い 場 合, 対 数 尤 度 は skewed-t分布,AIC,SBICではt分布のモデルが最 も高い.θはt分布,skewed-t分布においては有意 ではなく,ボラティリティーの非対称性は見られ なかった.先行研究でも非対称性が見られるとい うのは為替の場合には少ない.skewed-t分布のξ は1より大きいが,有意ではない.為替のほうが 株より効率的なんでしょうかね. 以下,Mf5のとき,10のとき,20のとき,それ ぞれこのような結果になっています.そして各パ ラメーターごとにパラメーターの値に違いがある かどうか,χ2 分布を用いてきちんとワルド検定 しています. (資料14) 分析結果のまとめです.TOPIXに関 しては,トレンドを含めないモデルよりも含めた モデルのほうが当てはまりが良い.トレンドの期 間にかかわらず,誤差項の分布はt分布もしくは skewed-t分布が適当である.t分布は昔から言われ ていましたが,skewed-t分布も良いというのはな かなかいい結果だと思います. ボラティリティーの非対称性はベアのほうが強 い.ブル・ベア,どちらにおいても誤差項の分布 は左に歪んでいる.これはデータ期間でも変わっ てくると思いますが,今回のデータ期間だと,誤 差項の分布は左に歪んでいる.ブルとベアに分け ていますので,全部が全部ではないですけれど も,これも期待していた結果が得られたというこ とです. 米ドル・円為替レートに関しては,TOPIXの ケースと同じく,トレンドのあるモデルの当ては まりが良くて,誤差項の分布はt分布もしくは

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skewed-t分布が適当という,TOPIXと同じ結果が 得られています. ボラティリティーの非対称性はベアのときのみ に観測される.一般的に今までは米ドルとかユー ロの為替レートの場合は非対称性がなかったとい う結果が多かったので,ベアのときに見られると いうのは新しい発見だと思います.誤差項の分布 はベアのとき左に,ブルのとき右に歪んでいる. これは株価指数と違う結果が得られています. 全体として,次の2点が明らかになりました. トレンド・ダミーを含めるとモデルの当てはまり がよい.ブルとベアでは資産価格の変動は異な る. 以上です.

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「非対称分布によるボラティリティの

長期記憶性に関する分析」

 日本大学経済学部教授  三井 秀俊 里吉先生がブル・ベア市場の研究を行ってお り,私が長期記憶性に関する分析を行っておりま す.それはこれまでの研究の経緯がありまして, 簡単に説明させていただきます. これまで日経225オプションの実証分析は様々 あるのですが,時系列分析を使った場合はARCH 型モデルを使う場合とSVモデルを使う場合があ ります.SVモデルの場合には推定が難しいなど いろいろ大変なので,実証研究のオプションまで 行なうのはほとんどありません.ARCH型モデル は推定が容易なので,こちらのモデルを使う場合 が多いです. これまで里吉先生と共同研究もしていました が,2011年のMS-GARCHモデルと,2016年のMS-EGARCHモデルです.マルコフ・スイッチング を入れたARCH型モデルでオプションの実証研究 をしてたんですけれども,ブルの場合とベアの場 合と明確にしたいというのがあって,里吉先生は モデルを簡単にして,先ほどの研究をした.非対 称性分布の話が出ましたが,コンセプトは同じ で,非対称性分布を使って長期記憶性に関して見 てみようというのが私の研究です. 最初に研究の背景と目的について説明します. 研究の背景は,柴田先生,里吉先生と話がほとん ど同じで,金融資産の価格変動の分析には収益率 の標準偏差で測るボラティリティに注目すること が多い.ボラティリティというのは時間を通じて 変動するため,ボラティリティの時系列変動をど のように定式化するかが問題になります.真のボ ラティリティの過程は分かりませんので,どう やって定式化して推定していくかというのが最後 のポイントだと言えます. これまでARCHとかGARCHとかEGARCHとか, たくさんのモデルが開発されて,いろいろなボラ ティリティの分析がされてきました.われわれか 知りたいのは,これをオプションの分析のほうに 応用したいというのが背景にあります.これがわ れわれの一つの大きなテーマになっています. ARCH型モデルを使った日経225オプションの 実証研究がいろいろなされていて,竹内・渡部 (2008)でも,FIEGARCHモデルが長期記憶性の モデルになっておりますが,このモデルを使って 実証研究をしております.彼らは分布までしか 使っていなくて,分布の非対称性とか歪みを考え ていないモデルで行なっています.今回はそれも 含めて実証研究したいというのがテーマです. メインのテーマとしては,ボラティリティの長 期記憶(long memory)に焦点を当てて分析を行 なう.ロングメモリーがあるかどうかというのが 分かれば,長期の限月を持つ先物やオプションの 分析とか価格付けがより正確に行なうことができ る.長期的にはそれがあって,長期記憶性がある かどうかというのを見たい.最近はオプションも いままでみたいな短期ばかりではなく長期のもの が出てきましたので,そこで実際に使えるのでは ないかということです. 長期記憶性をとらえるためにはFIGARCHとか FIEGARCHがありますので,基本的に最初はこの モデルを使す.ほかにも長期記憶性をとらえるも のとしていろいろありますので,時間があればそ ちらも使ってやってみたいと思います. もう一つの目的は,誤差項の分布として,正規 分布だけでなく,Student-t分布,一般化誤差分布, skewed-Student-t分布を用いてモデルの推定を行な うことです.特に非対称性分布であるskewed-Student-t分布に注目します.非対称性分布を使っ た場合,オプション価格にどういう影響が出てく るか分析したいと思います.先ほどの里吉先生の 論文で,ブルの場合とベアの場合で分布の形が違 うという結果が出ていましたので,そうすると多 分オプション価格にもその影響があるはずなの で,それを分析したいと思います. (資料1) 分析モデルですが,収益率の過程を定 式化して,誤差項の仮定も行います.オプション の場合にはリスク・プレミアムがあるかどうかも 重要だと思いますので,リスク・プレミアムを含 めたモデルで研究を行なうことにしたいと思いま す. (資料2) FIGARCHモデルは,ラグ・オペレー ターを使った形で書かれていますのでちょっと複 雑ですが,全部のラグを使うわけではなく,次数 は制限します.それは後で説明します. (資料3) (1ーL)dにおけるdが長期記憶性をとら

(15)

えるパラメーターで,ここの推定値で長期記憶性 があるかないか分かります.0より大きくて1より 小さければボラティリティは長期記憶に従ってい ると言えます.その中でも0より大きくて0.5より 小さい場合は定常長期記憶過程と呼び,0.5以上1 より小さい場合は非定常長期記憶過程と呼びま す.d=1のときは単位根を持ち,非定常過程とな り,d=0の と き は 短 期 記 憶 過 程 と な っ て, BollerslevのGARCHモデルと同じになります. (資料4) FIGARCHに関しても,先ほどの里吉 先生のEGARCHモデルと基本的には同じで,そ れに長期記憶性が入ったモデルになっています. ここで重要なパラメータとしてはθで,θの値が 有意ならばボラティリティの非対称性が分かりま す.θに関しては先ほどの里吉先生と同様に見て います.d=0のときにはNelsonのEGARCHと一緒 になります. (資料5) 過去の研究を見てみると,モデルの次 数に関して,pが1,qが0とする場合が多いんです が,本研究では情報量基準を使って選ぶのではな く,初めからFIGARCHの(1,d,0),FIEGARCH の(1,d,0)を使って分析をします.そのとき にはFIGARCHとFIEGARCHの式は簡単に書くこ とができます.これらのモデルを使用して,株式 市場におけるボラティリティの長期記憶性の実証 分析を行なうことにします. 先ほど言いましたようにオプションにも応用し たいので,基本的には日経平均とTOPIXのデータ を使いたい.個別銘柄もあるんですが,取引があ まりないので実証研究はできなさそうなので,個 別銘柄はやりません.あくまで株価指数に関して 実証分析を行なおうと思います. 誤差項の過程は4つで,まずt分布.二つ目は GED分布ですが,パラメーターの値で分布の形 状は変わります.(資料6)μが2のときにはz t は 標準正規分布になり,μが2より小さければ正規 分布より裾が厚い分布になって,μが2よりも大 きければ正規分布より裾が薄い分布に従う.おそ らく2より大きくなると思います. (資料7) これはskewed-Student-t分布の分布関数 のかたちです. (資料8) ξの値で非対称性なのかどうかが分か りますが,説明はさっきと同じです.ξの対数を とった値が0のときは左右対称になり,ξの対数を とった値が0より大きい場合は右裾が厚くなり,ξ の対数をとった値が0より小さいときは左裾が厚 くなる.モデルによって対数をとった場合がある ので,その場合にはξそのもののときとは違うと いうことです. 推定法は最尤法で行ないます.分布に関して も,EGARCHモデルの中で絶対値を取った期待 値の値を計算しないといけないんですが,それも 分かっていますので,それを使って推定を行ない ます. (資料9) 使用するモデルは1から8までのモデル を使います.nは正規分布,tがt分布,GEDが一 般GED分布,sktがskewed-t分布になります. まだこの段階で実証研究まで行なっていません ので,きょうは実証結果をお見せすることはでき せん. 以上です.

(16)

非対称分布によるボラティリティの

長期記憶性に関する分析

日本大学経済学部

三井

秀俊

[email protected]  日本 大学経済学 部経済科学研 究所 共同 研究 (B) 中間 報告

2017

7

22

1

1

研究の背景と目的

研究の背景 金融資 産の価格変動 の分析には , 収益 率の標準偏差 で測るボラテ ィリ ティ (volatilit y) に注目する ことが多い . ボラティリ ティは時間 を通 じて変 動するため , ボラテ ィリティの 時系列変動を どのように定 式化 するのかが問題になる . ARCH モデル , GARCH モデル , EGARCH モデル , etc. オプションの分析に応用できる . 3

発表の構成

1

研究の背景と目的

3

2

分析モデル

7

2

2

分析モデル

2.1

収益率の定式化 t 時点の株価 指数の収益 率を Rt とする . Index tt 時点の 株価指数の 水準 とすると t 時点の株価指数の収益率 Rt は以下のように定義される. Rt = Index t Index t− 1 Index t− 1 × 100 . (1) このとき , 収益率 Rt の過程を以下のようにおく . Rt = μ + λσ t + �t , (2) �t = σt zt t > 0, (3) zt i.i .d., E [zt ]= 0, V ar [zt ]= 1. (4) 7 資料 1

(17)

2.2

FIGARCH

モデル FIGARCH (p, d, q) モデルは , ボラティリティ σ 2 tが以下の過程で表される . σ 2 t= ω [1 β (L )] 1 +  1− [1 β (L )] 1φ (L )(1 L ) d  2 t. (5) ここで , β (L ) = β1 L + β2 L 2+ ··· + βp L p, φ (L )=[ 1− α (L )− β (L )](1 L ) 1 (L )= α1 L + α2 L 2+ ··· + αq L qを表す . また , L はラ グ ・ オペレ ー タ (Lag op erater) を 表 し , L iyt = yt− 1 ,( i =0 ,1 ... ) と な る . (1 L ) dは , 以下のように表現される . (1 L ) d=  k=0 Γ( d + 1) Γ( k + 1)Γ( d k + 1) L k = 1+  k=1 d( d 1) ··· (d k + 1) k ! (− L k). (6) 9 資料 2

2.3

FIEGARCH

モデル FIEGARCH (p, d, q) モデ ルは , ボラティリ ティ σ 2 tが以下の 過程で 表される . ln 2 t)= ω + φ (L ) 1(1 L ) d[1 + α (L )] g( zt− 1 ), (7) g( zt− 1 )= θzt− 1 + γ [|zt− 1 |− E |zt− 1 |] (8) g( zt− 1 )=  + γ )| zt− 1 |− γ E (| zt− 1 |) , if zt− 1 > 0, (− θ + γ )| zt− 1 |− γ E (| zt− 1 |) , if zt− 1 < 0. ここでは , ボラティリティの 対数値を被説明変数としてパラ メータの非負制 約 を 取 り 除 き 定 式 化 さ れ て い る . θ< 0 な ら ば , 資 産 価 格 が 上 昇 し た 日 の 翌 日よりも , 資産価格が下落した日の翌日の方がボラティリティは上昇する . 11 資料 4 (1 L ) dにおける d が長期記憶性を捉えるパラメータを示す . 0 <d < 1 と な る と き , ボ ラ テ ィ リ テ ィ σ 2 tは 長 期 記 憶 過 程 に 従 っ て いる . 0 < d < 0. 5 のとき定常長期 記憶過程と呼び , 0. 5 d < 1 のとき非 定常長期記憶過程と呼ぶ . d =1 のとき , ボラティリティ σ 2 tは単位根を持ち非定常過程となる . d =0 のとき短期記憶過程となり , Bollerslev (1986) の GARCH (p, q) モデルとなる 10 資料 3 本来な らば , 情報量 基準 など を用い て FIGARCH (p, d, q) モデ ルと FIE-GARCH (p, d, q) モデルの次数 p, q の次数選択を行なわなけ ればならない が , 過去 の実 証研 究に おい て p = 1, q = 0 とする 場合 が多 いの で , 本論文 で も FIGARCH (1 ,d ,0) , FIEGARCH (1 ,d ,0) を 用 い て 分 析 を 行 な う こ と に す る . FIGARCH (1 ,d ,0) は , 以下のように表現される . σ 2 t= ω [1 β1 (L )] 1 +  1− [1 β1 (L )] 1(1 L ) d  2 t. (9) また , FIEGARCH (1 ,d ,0) は以下のように表現される . ln 2 t) = ω + [1 β1 (L )] 1(1 L ) dg (zt− 1 ), (10) g (zt− 1 ) = θzt− 1 + γ [|zt− 1 |− E |zt− 1 |] . これらのモデルを 用いて株式市場におけるボラティリテ ィの長期記憶性の 実証分析を行なうことにする . 13 資料 5

(18)

(ii) GED: GED の密度関数 f(GE D ) (ztν ) は以下のように与えられる . f(GE D ) (ztν ) = ν exp  − 1|z2 t ν | ν  λν 2 (1+ 1 ν) Γ (1 ) , ν> 0, (12) λν =  Γ (1 )2 (− 2 ) Γ (3 ) ここで , ν は裾 の厚さを 示すパラ メータで ある . ν =2 のとき zt は標準正 規 分 布 に 従 う . ν< 2 の と き 正 規 分 布 よ り 裾 が 厚 い 分 布 に 従 い , ν> 2 の と き 正規分布より裾が薄い分布に従う . 15 資料 6 ξ は非対称パラメータを表し , 分布の歪みを示す . また , m = Γ(( ν + 1) /2) ν 2 π Γ( ν/ 2)  ξ 1 ξ  , (15) s =  ξ + 1 ξ 1  m 2 (16) である . ξ =1 , あ る い は , ln( ξ)=0 の と き 左 右 対 称 と な り Student-t 分 布 と 等しくなる . ξ> 1, あるいは , ln( ξ) > 0 のとき分布の右裾が厚くなる . ξ< 1, あるいは , ln( ξ) < 0 のとき分布の左裾が厚くなる . 17 資料 8 (iii) sk ew ed-Student t 分布 : 基準化された sk ew ed-Student t 分布の密度関 数 f(sk t) (ztν, ξ) は以下のよ うに与えられる . f(sk t) (ztν, ξ)= Γ(( ν + 1) /2) Γ( ν/ 2)  π 2)  2s ξ + 1/ξ  1+ (sz t + m ) 2 ν 2 ξ 2 It  + (13) ただし , It =  1 if zt ≥− m s 1 if zt < m s (14) とする . ここで , ν は自由度を表し分布の厚さを示す . 16 資料 7

2.6

本研究で使用するモデル 1. FIGARCH (1 ,d, 0) -n 2. FIGARCH (1 ,d, 0) -t 3. FIGARCH (1 ,d, 0) -GE D 4. FIGARCH (1 ,d, 0) -sk t 5. FIEGARCH (1 ,d ,0) -n 6. FIEGARCH (1 ,d ,0) -t 7. FIEGARCH (1 ,d ,0) -GE D 8. FIEGARCH (1 ,d ,0) -sk t “-n ”,“- t”,“-GE D ”,“-sk t” は , 誤差項が各々 , 正規分布 , Student-t 分布 , GED, sk ew ed-Student t 分布に従うことを表す. 20 資料 9

(19)

参考文献

[1] 里吉清 隆 ・ 三井秀 俊 (2013), 「原資産 の収 益率 に歪み があ る場 合のオ プシ ョン 評 価  ―混合正 規 EGARCH モデ ルによる 分析―」 , 日本統 計学会 『日 本統計学 会 誌』 , 43, pp. 1–23. [2] 里吉清隆 ・ 三井秀俊 (2016), 「日経平 均株価の トレンド とオプシ ョン評価 ―マ ルコ フ ・ スイッ チン グ EGARCH モデル に よる分 析―」 , 日本証 券 経済研 究所 『証 券経 済研究 』 , 第 96 号, pp.59 - 82. [3] 竹内 ( 野木 森 ) 明香 ・ 渡部敏明 (2008), 「日本の 株式市場にお けるボラテ ィリ ティの 長 期記憶性とオプショ ン価格」 , MTP フォーラ ム・日本 ファイナン ス学会 『現代 ファ イナンス』 , No.24 , pp. 45–74. [4] 竹 内 明 香 (2006), 「 日 経 225 オ プ シ ョン 価 格 の 実 証 分 析 ~ ARCH, ARCH-t, SV モデルに よる比 較」 , 『一橋経 済学 』 , 2, pp. 187–208. [5] 三井秀俊 (2000), 「日経 225 オプション価格の GARCH モデルによる分析」 , MTP フォーラ ム ・ 日 本 ファイナ ンス学会 『現代 ファイナ ンス』 , No.7, pp. 57–73. 21 with the Ma rk ov Switching GARCH Mo del,” Asia-P acific Financial Ma rk ets , 18, pp. 55–68. [14] Ubuk ata M. and T. W atanab e (2014), “Pricing Nikk ei 225 Options Using Realized V olatilit y,” Japanese Economic Review , V ol.65, No.4, pp. 431–467. 23 [6] 三井秀 俊 , 渡部 敏明 (2003), 「ベイ ズ推 定 法に よる GARCH オプシ ョ ン価 格付 けモ デル の分析」 , 日本 統計 学会『日本統計学 会 誌』 , 33, pp. 307–324. [7] 森保洋 (1999), 「 ARCH モデル によ る日 経 225 オプ ショ ン評 価」 , 『現 代経済 学研 究』 7, pp. 143–159. [8] 渡部敏明 (2003), 「日経 225 オプショ ンデ ータを使 った GARCH オプシ ョン価 格付 けモ デルの検証」 , 『金融研 究』 22, pp. 1–34. [9] Baillie, R. T., T. Bollerslev and H. O. Mikk elsen (1996), “F ractionally In-tegrated Generalied Auto regressive Conditional Heterosk edasticit y,” Journal of Econometrics, 74, pp. 3–30. [10] Bollerslev, T. (1986), “Generalized Auto regressive Conditional Heterosk edas-ticit y,” Journal of Econometrics, 31, pp. 307–327. [11] Bollerslev, T. and H. O. Mikk elsen (1996), “Mo deling and Pricing Long-Memo ry in Sto ck Ma rk et V olatilit y,” Journal of Econometrics, 73, pp. 151–184. [12] Nelson, D. B. (1991), “Conditional Heterosk edasticit y in Asset Returns: A New App roach,” Econometrica, 59, pp. 347–370. [13] Sato yoshi, K. and H. Mitsui (2011), “Empirical Study of Nikk ei 225 Options 22

参照

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