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現代数学への流れ

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Academic year: 2021

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現代数学への流れ

浪川 幸彦 May 9, 2007

1 数の近似

1.4 最良近似分数

小数による近似は,有効数字をはっきりさせることにより,誤差が明瞭であるという大き な利点がある。一方で,実用的な問題として,比の形で,つまり分数で近似する必要の生じ る場合がある。

例えば閏年は。400年の間に97回ある。これは地球の公転周期と自転周期の比を近似した ものである。

このようにできるだけ分子分母を小さくして,良い近似を持つ分数を得る方法がある。そ れが最良近似分数の理論である。その理論は以下に見るように,連分数の理論として,数論 とも深い関係がある。

1.4.1 ユークリッドの互除法

ユークリッドの互除法は,最大公約数を求める等,様々の理論に応用される有名なアルゴ リズムである。その理論的根拠は「割り算の理論」にある。

Proposition 1.4.1 (剰余). a, b >0を整数とすると,次の条件をみたす(abによる)商,余 り(剰余)と呼ばれる整数c, r が一意的に定まる:a=bc+r, 0r < b.

Proposition 1.4.2 (ユークリッドの互除法). a6= 0, b > 02整数とする。次のように次々に

1

(2)

IM07s-5 2 割り算を行い,余りが0になるまで続ける:

a = ba0 +r0 (0r0 < b) b = r0a1+r1 (0r1 < r0) r0 = r1a2+r2 (0r2 < r1)

· · · · · ·

rn3 = rn2an1+rn1 (0rn1 < rn2) rn2 = rn1an

するとrn1a, bの最大公約数GCM(a, b)である。

Corollary 1.4.3. a, bの最大公約数GCM(a, b)a, bの線形結合として書ける。

1.4.2 連分数

上のユークリッドの互除法を書き直すと,a/bの(正規)連分数表示が得られる。

a

b =a0+ 1

a1+ 1

a2 + 1

. ..+ . ..

an1+ 1 an

.

この連分数(右辺)を簡単のため,[a0;a1, a2, · · · , an]と書く。

Theorem 1.4.4. 任意の有理数は連分数に展開される。

この展開は次の条件の下に一意的である:

a1, a2,· · ·, an1 >0. an2.

Definition 1.4.5 (k次近似分数). 上の仮定と記号法の下に pk

qk = [a0;a1, a2,· · · , ak].

Example.

p0

q0

= a0

1 , p1

q1

= a0a1+ 1 a1

, p2

q2

= (a0a1+ 1)a2+a0

a1a2+ 1 .· · ·,pn qn = a

b.

(3)

IM07s-5 3 Proposition 1.4.6 (漸化式).

pk = pk1ak+pk2

qk = qk1ak+qk2

ただしp0 =a0, q0 = 1, p1 = 1, q1 = 0とする。

Theorem 1.4.7. k =qkpk+pkqk+とおくとき

k = (−1)k (0k < n).

Corollary 1.4.8. 上の記述によるすべての近似分数は既約である。

Proposition 1.4.9. 1)qkは単調に増大する。

2) pk+1

qk+1

pk

qk = (−1)k qkqk+1

Theorem 1.4.10.

偶数次の近似分数はa/bより小さく,次数とともに増大する;

奇数次の近似分数はa/bより大きく,次数とともに減少する。

Theorem 1.4.11.

a b pk

qk = (−1)k qkqk+1

Remark. 一般に分母がqkの分数であれば,期待できる誤差は1/2qkであるのに比べ,きわめ て精度がいいことが分かる。実はもっとすばらしい性質がある(後述)。

Example(閏年)

1年は3655時間4849秒であることが分かっている。

24h

5h4804900 = 86400

20929 = [4; 7,1,3,1,16,1,1,15]

この近似分数は

4 1,29

7 ,33 8 ,128

31 ,161 39 ,2704

655 ,2865 694 ,5569

1349,86400 20929

となる。現在の太陽暦では400年の間に97回の閏年をおいているが,8回目の閏年の後は5 年目に閏年をおくという規則の方がいい近似になっている:

86400

20929 = 4.1282341· · · , 33

8 = 4.125, 400

89 = 4.1237113· · ·

(4)

IM07s-5 4

前回の出席レポートへのコメント

●レポートの問題について

多くの人が一応正確な値を計算するところまではやっていたのですが,それが「正確である」

ことの検証をきちんと行った人は殆どいませんでした。近似値の計算では,誤差の見積もりが 大事です。一番簡単な方法は,値を代入してみることです。a1 = 1.5, a2 = 1.4167, a3 = 1.41422 となるはずですが,最後のものについて1.414212 = 1.9999899,1.414222 = 2.000018となる ことで小数点以下4桁まで正しいことが分かります。

値を分数で計算して,最後に小数にしている人も少なからずありましたが,すぐに数が大 きくなって,かえって計算が大変です。最終的に得る近似値の精度が分かっているので,そ れに計算誤差替え今日しない程度の桁数の小数計算にするのが実用的です。

講義でアルゴリズム(計算方法)を説明したにもかかわらず,それを実行せずに「はまっ た」人がかなりいました。明らかに講義を聴いていなかったものと思われます。もう少し様 子を見ますが,このような状態が続くようでしたら,こうした解答をした者は欠席と見なす という措置も考えます。

●質問について

1.問:−1をかけるというのは,日常の現実的にどういう意味ですか?

答:向きのある量に対して,向きを180度変えることを意味しています。1倍,2倍,3倍と 増やしてゆく効果に対し,0倍,ー1倍,−2倍と減らしていく効果を考えると納得しやす いでしょう。

2.問:先生(浪川)はどんな研究をしているのですか?

答:代数幾何学が専門です。二次曲線などのように代数方程式で定義された図形の性質を調 べる分野です。もっとも今は数学教育に関心を持って取り組んでいます。

連絡先

研究室:理1号館506号室

オフィスアワー:木曜日11:30〜12:30(それ以外の場合は事前にアポを)

E-mail : [email protected]

Tel.: (052-789-) 4746

Website : http://www.math.nagoya-u.ac.jp/˜namikawa/

講義を欠席した人は,ここから配布プリントをダウンロードして下さい。

参照

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