• 検索結果がありません。

歯科用 CAD/CAM システムの開発

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "歯科用 CAD/CAM システムの開発"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

歯科用 CAD/CAM システムの開発

1. はじめに

 近年,歯科治療に使うクラウンやブ リ ッ ジ な ど の 歯 科 補 綴 物 の 作 製 に CAD(Computer Aided Design)/

CAM(Computer Aided Manufacturing)

を利用する割合が増えている.特に審 美性に優れた白い歯や人体への親和性 の高い材料の利用分野で急速に増加し ている.材料別にはセラミック歯冠で 約 20%,チタンで約 50%,最新のジ ルコニアに至ってはほぼ 100%がなん

らかの CAD/CAM システムを利用し て作られている.

  歯 科 用 CAD/CAM シ ス テ ム は 90 年代初頭より幾つかの方式が開発,提 案されてきた.初期に開発された方式 は,主に患者の歯型印象(石膏模型)

をレーザスキャナ等で取り込み,それ を画面に表示しつつ技工士が CAD 操 作で歯冠形状を造形する.その CAD データから NC 加工して歯冠を作製す る「CAD 画面操作」方式である(図 1).

 このほか,手作業で歯形彫刻や築盛 を行いワックスの歯冠を作り,それを スキャナで取り込む.その形状を NC 加工等により素材ブロックを切削加工 して目的の材料の歯冠を得る「ならい 方式」,さらには画面操作と CAD に よる形状創成の併用方式などがある(1)

2. 歯科用 CAD/CAM の利点

2.1 高精度,高品質

 歯科補綴物では支台歯(補綴対象歯)

との適合が大切で,その隙間が適切で あれば脱離が減るだけでなく,セメン トの露出,細菌の侵入リスクが減り,

二次齲蝕の減少が期待できる.手作業 による補綴物作製ではそれら間隔を制 御するのが難しく,術者の技量により 隙 間 の 広 狭, ば ら つ き が あ っ た.

CAD/CAM ではレーザ計測により計 測した支台歯に,NC 加工した歯冠を 装着するので隙間を精度よく制御でき る.歯科用セメントの理想的な厚さと いわれる 20

μm の均一なセメントス

ペースを付与した歯冠など高精度の補 綴物を実現することができる.

 また,従来は人手で歯科用陶材を盛 り上げたり,鋳造により歯冠を作製し ていたため,内部に気泡や不純物を内 在することがあり,チッピングや破折,

色むらの原因となっていた.CAD/

CAM では管理された工場で製造され た均質なセラミックブロックを NC 加 工して歯冠を作るため,これら内部欠 陥に起因する,欠けや色調不具合など のない高品質の歯冠を作ることが可能 になった.

2.2 新材料の歯科への適用  新材料の利用実現の面では,たとえ ばチタンは生体親和性がありアレル ギーも少なく,しかも充分な強度を持 つ優れた歯冠材料である.しかし鋳造 する場合,空気中の酸素や窒素と反応 して硬化してしまうのでアルゴンガス

置換の特殊な環境下でないと鋳造作業 ができなかった.またジルコニアは焼 成するとダイヤに次ぐ硬さを持ち加工 が難しくなる.反面,焼成前,半焼成 段階では加工はしやすくなるが,焼成 すると 20~30%もの収縮があり,従 来の手作業では実用的な精度で歯冠を 造 る こ と が 困 難 で あ っ た.CAD/

CAM によりこれら材料でも実用的な 精度,価格で歯冠を作製することが可 能になった(2)

3. CAD/CAM システムの課題

 以上のように歯科用 CAD/CAM に より高精度,高品質の補綴物が得られ,

新しい素材の歯冠等への利用も可能に なった.しかし,加工の効率化や精度 の向上は進んだが,最も工数を要する 歯冠形状の設計作業の効率化ができて いなかった.

4. 歯冠形態自動設計型システム の開発

 そこで,石膏模型をレーザスキャナ で読み込んだ歯列・咬合情報を制約条 件として,歯牙の解剖学的形状データ を変形して最適な歯冠形状の完全自動 設計を目指した歯科用 CAD/CAM シ ス テ ム「DECSY」,「KATANA」 を 開発した(図 2,3).

  こ れ に よ り, 画 面 操 作 型 CAD/

CAM と比較して約 1/2,手作業によ る場合と比較すると約 1/3 の工数で歯 冠を作製できることが確認できた(図4).

5. おわりに

 本システムを用いると現行の保険診 療で使われている金銀パラジウム合金 の鋳造冠と同等かそれを下回る工数,

費用でオールセラミックの歯冠を作製 することができる.アレルギーの心配 がなく,審美性にも優れたこれら歯冠 がより広く普及できるよう,さらに高 い技術への挑戦と医療制度面の改善の 両面で努力を続けていきたい.あわせ て機械工学に関わる技術者の,歯科医 療技術への関心の高まりを期待したい.

(原稿受付 2011 年 3 月 22 日)

〔藤原 稔久 デジタルプロセス(株)〕

●文 献

( 1 )藤原稔久・宮崎 隆・ほか,CAD/CAM の 現況と展望.補綴臨床,40-1(2007),21- 27.

( 2 )藤原稔久・宮崎 隆・ほか,CAD/CAM を 用いたセラミックブリッジ 実用形態での ジルコニアブリッジの適合性.日本歯科医 師会誌,61-5,(2008),509.

図1 CAD 画面操作方式

図 2 「DECSY」システム外観

図 3 歯冠自動設計方式ブロック図

入 力 処 理 出 力

レーザ計測

(特徴抽出)

自動設計 CAD

(強度評価)

形態修正 CAD CAM(加工機制御)

歯牙 DB

図 4 方式別 歯冠作成の作業時間

自動設計方式 CAD 画面 操作方式 ならい方式 従来(手作業)

0 10 20 30 40 作業時間(分)

方式別 作業時間比較 模型作製 ワックスアップ オペレーション 埋没・鋳造 研磨・調整

50 60 70 80

648 日本機械学会誌 2011. 8 Vol. 114 No.1113

─ 86 ─

参照

関連したドキュメント

環境への影響を最小にし、持続可能な発展に貢

雇用契約としての扱い等の検討が行われている︒しかしながらこれらの尽力によっても︑婚姻制度上の難点や人格的

• 熱負荷密度の高い地域において、 開発の早い段階 から、再エネや未利用エネルギーの利活用、高効率設 備の導入を促す。.

このような環境要素は一っの土地の構成要素になるが︑同時に他の上地をも流動し︑又は他の上地にあるそれらと

・発電設備の連続運転可能周波数は, 48.5Hz を超え 50.5Hz 以下としていただく。なお,周波数低下リレーの整 定値は,原則として,FRT

前ページに示した CO 2 実質ゼロの持続可能なプラスチッ ク利用の姿を 2050 年までに実現することを目指して、これ

従って,今後設計する機器等については,JSME 規格に限定するものではなく,日本工業 規格(JIS)等の国内外の民間規格に適合した工業用品の採用,或いは American

3006.10−外科用のカットガットその他これに類する縫合材(外科用又は歯科用