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日本記者クラブ 記者会見 法の支配から国民の安心感 そして和解へ アウンサンスーチーさん ミャンマー ( ビルマ ) 国民民主連盟党首 2013 年 4 月 17 日 日本を 27 年ぶりに訪れたミャンマー ( ビルマ ) のアウンサンスーチー 国民民主連盟 (NLD) 党首が記者会見し あわせて

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日本記者クラブ

記者会見

法の支配から国民の安心感、そして和解へ

アウンサンスーチーさん

ミャンマー(ビルマ)国民民主連盟党首

2013年4月17日

日本を 27 年ぶりに訪れたミャンマー(ビルマ)のアウンサンスーチー・国民民

主連盟(NLD)党首が記者会見し、あわせて 13 の質問に答えた。

日本の若者の印象から始まり、以下のように幅広いトピックについて語った。

少数民族との和解、法の支配の確立、大統領への意欲、憲法の改正、軍事独裁政

権の考え方、日本の援助、テインセイン政権の改革、議会の実績、行政に従属す

る司法、全勢力の間の信頼、農業、雇用の創出、教育、隣接する中国・インドと

の関係、ロヒンギャ、イスラム教徒。そして最後に、国名はミャンマーかビルマ

か。

アウンサンスーチーさんへの関心は高く、330 人が出席し、会場の日本記者ク

ラブ 10 階ホールは満員だった。

司会:

小栗 泉・日本記者クラブ企画委員(日本テレビ報道局政治部担当副部長)

代表質問: 杉尾秀哉・日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ報道局解説室長)

同時通訳: 澄田美都子、大野理恵(サイマル・インターナショナル)

日本記者クラブ Youtube チャンネル

http://www.youtube.com/watch?v=uzS56VRjfkQ ○C 公益社団法人 日本記者クラブ

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2 司会:小栗泉・企画委員(日本テレビ報道局政 治部担当副部長) ただいまから、アウンサンス ーチーさんの記者会見を始めます。 皆さん、もうよくご存じだと思いますので、簡 単にご紹介をさせていただきます。 アウンサンスーチーさん、27 年ぶりに、この 間の土曜日(4 月 13 日)に来日されました。東 京だけではなくて、80 年代半ばに研究者として 過ごされた京都も訪問されています。 1988 年に国民民主連盟(NLD)を結成、1989 年以降、これまでに合わせて 3 度、通算 15 年に わたり、軍事政権により自宅軟禁を余儀なくされ ました。 1991 年にはノーベル平和賞を受賞されていま す。去年 6 月、受賞から 21 年目にしてノルウェ ーで受賞演説をされたのは記憶に新しいところ です。 2010 年 11 月に自宅軟禁が解かれ、民政移管後 の昨年 4 月に行われた議会の補欠選挙で当選さ れました。 きょうは、これまでの日本滞在の印象のほか、 お国の民主化の進展の具合ですとか、国会議員と しての活動などについて、お話を伺いたいと思っ ております。 会見の進め方ですけれども、まず初めに短くス ピーチをいただこうと思っております。その後、 質疑応答は二部構成で、まずは代表質問、そして 会場の皆様からの直接質問、という形で進めてい きたいと思います。 私は司会を担当いたします、クラブ企画委員で 日本テレビの小栗と申します。代表質問は、クラ ブ企画委員でTBSテレビの杉尾秀哉・報道局解 説室長です。 それでは、早速、アウンサンスーチーさん、よ ろしくお願いいたします。 なんでも質問してください 私の答えはお気 に召さないかもしれませんが正直な答えです アウンサンスーチーさん ありがとうござい ます。本日は、日本のプレスの皆様、そしてプレ ス以外の皆様の前で、このような機会を与えてい ただき、感謝しています。27 年ぶりに来日がか なって大変喜んでおります。私にとっては特別な 経験となりました。なぜなら一般の日本の国民の 皆様が大変私を歓迎して下さり、また、過去 24 年間、ビルマで達成しようとしたことに温かいご 支援を下さったからです。 本日は、主に皆様のご質問にお答えしたいと思 っておりますので、あまり長々とスピーチするこ とは差し控えさせていただきます。意見交換を積 極的に行いたいと考えております。我が国の状況 についてどんな質問にもお答えします。我々が何 を達成しようとしているのか、二国間の協力だけ でなく、ビルマと日本が民主主義の価値観を世界 全体で推進するためにどんな協力ができるのか について、お話をさせていただきたいと思います。 なんでもご質問ください。最善の努力をしてお答 えします。私のすべての答えが必ずしも皆様のお 気に召さないかもしれませんけれども、少なくと も正直な答えであることはお約束いたします。 司会 杉尾さん、代表質問をお願いいたします。 日本の若い方は、27 年前よりもっと高い関心 をビルマに持っています 代表質問:杉尾秀哉・企画委員(TBSテレビ 報道局解説室長) まず、15 年間の長きにわた って自宅軟禁されながら民主化を訴え続けてこ られたアウンサンスーチーさんの不屈の闘志に 敬意をあらわしたいと思います。 1 つ目の質問です。27 年ぶりの日本訪問ですけ れども、当時と比較して、いまの日本の率直な印 象というのはいかがでしょうか。 それから、また今回の訪問を契機にして、日本 からどのような支援とか協力を期待されておら れるのか、それについて伺いたいと思います。 アウンサンスーチーさん 最大の違いという のは、日本の若い方たちです。27 年前よりも、 ビルマの事情について詳しい知識を持っていら っしゃいます。温かいご支援を承っておりました ので、私は大変励まされました。このことは、両 国の関係の将来にとって、非常によい意味合いを 持っていると思います。これが私の第一印象です。 日本の若い方たちは、27 年前よりもビルマに対 して高い関心を持っていらっしゃいます。 日本からどのような協力を期待しているかと いうことですが、2 つのレベルがあります。1 つ は政府のレベル、2 つ目は日本国民のレベルです。 私は常に政府よりも国民のレベルのほうを重視 しております。しかし、日本政府から最大限のご 協力もいただきたいと思っています。日本政府は それができる立場にあるからです。私の国に対す る援助は、ビルマの政府を念頭に置くよりも、国 民を念頭に置いていただきたいと思います。皆様

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3 に常に申しあげているのですが、政権は常に交代 いたしますけれども、国民はいつまでも国民です。 和解を実現する第一歩は法の支配の確立です 杉尾 次の質問ですが、民主化で経済発展が加 速しております。その一方で、その影の部分とし て、民族対立、宗教対立というのが激しくなって いる現状、そうした中で、国民の和解、それから 海外に多数いる難民の帰還を進めるために、アウ ンサンスーチーさん自身がどういうふうに関わ って、どういうふうに行動しようとされているの か、それについてお聞かせください。 アウンサンスーチーさん 和解は、常に重要な 我が国の課題です。ビルマには多くの少数民族が います。我が国は独立以降、一度たりとも完全に 平和だったことはありません。平和はまだ実現で きていません。軍事政権が 62 年に政権をとるク ーデターの前までは、経済発展、経済的な成功は、 ある程度実現できておりました。ですからもう一 度経済的に成功することはできる、と確信してお ります。しかし、そのためには平和と統一が必要 です。平和なくして、統一なくして、本当の意味 での持続可能な経済的な成功は期待できません。 経済的であれ、政治的であれ、社会的であれ、持 続可能な発展のためには、平和統一が必要です。 これが極めて困難なことなのです。 私は、法の支配委員会の委員長をしています。 なぜかと言いますと、法の支配が重要であること を強く確信しているからです。これが我が国がと るべき道なのです。法の支配を確立させなければ なりません。そうすれば、我が国の国民一人一人 が安心感を持つことができます。安心感の持てる 治安を実現できなければ、国民和解を実現するこ とはできません。安心感を持てて初めて、国民は お互いに話し合うことができ、意見を交換するこ とができ、調和的な解決を見出すことができるの です。人々はお互いのことを信頼できなければ、 語り合うことができません。 我が国の和解を実現するための第一歩は、法の 支配の確立だと思います。 杉尾 少数民族の方々からは、もう少しスーチ ーさんに積極的になっていただきたいという、そ ういう声もあるようですが、いかがでしょうか。 アウンサンスーチーさん 積極的になるとは どういうことなんでしょうか。それぞれのグルー プは、それぞれの運動、それぞれの立場が唯一正 しいと考えております。しかし、それでは国民の 和解は実現しないと思うんです。互いの価値観や 希望の妥当性を認識した上で、意見の隔たりを埋 めていかなければなりません。 先ほどインタビューを受けたときに、私が自宅 軟禁を解かれてから少数民族について、それほど 言及していないと指摘されたんですが、しばしば 発言しています。私の発言は、皆の満足を得るほ ど華やかなものではなかったかもしれませんが、 私は華やかな発言というのは必要ではないと思 います。必要な内容の発言をしたい。私の正直な 気持ちというのをお話ししたいと思っています。 政治にとって最も重要なのは、国民に対して正 直であることだと思うからです。国民は必ずしも 気に入らないかもしれませんが、彼らをだました ことはありません。私のコメントがつまらないの で、認めたくないという向きがあるのであれば残 念に思いますが、少数民族、そして国民和解の問 題については、たびたび発言してまいりました。 しかし、話し方が退屈だったのかもしれません。 法の支配、そしてさまざまな意見を尊重する必要 性、そしてまた、多様性の中から統一を見出さな ければいけないということをお話しています。も ちろん、心を広く持ち、そしてまたほかの人の立 場も自らの立場と同じように尊重するという条 件付きですが。 政党のリーダーで国家のトップになりたくな い人がいるでしょうか 杉尾 アウンサンスーチーさんは大統領就任 に、今回の訪日の機会にも意欲をみせる発言をさ れておられる、その目的というか、何を達成され たいのかということと、大統領になるためには、 2015 年の次期総選挙までに、いまの憲法を改正 する必要があるとされています。その目的達成の ために、どういう道筋を描いていらっしゃるのか、 お聞かせください。 アウンサンスーチーさん 大統領になりたい といったことについて、皆さんが関心を持たれて いることは承知しています。政党のリーダーで、 国家のトップになりたくないという人がいるで しょうか。国の指導者あるいは政府のトップにな りたくないのであれば、どうして党首になるでし ょうか。世界中どこでも、政治にはうわべだけの 謙虚さがあるように思います。多くの報道機関は、

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4 率直に「はい、大統領になりたいのです」という と、意外に思うかもしれません。しかし、大統領 になれば、信じる政策を実現することができるの です。しかし、いみじくもあなたがご指摘になっ たように、一定の憲法の部分は、意図的に私が大 統領になれないようにしているところがある、と 思っています。どこの国の憲法であったとしても、 一人の者を念頭に置いてはいけません。ある特定 の立場につかせないように、あるいは、ある人を 特定の立場に就かせるように、憲法は書かれるべ きではありません。だから、異議を申し立ててい ます。 異議を申し立てているのは、何も私に対抗して いるからではありません。そうではなく、一人の 人間をターゲットとしていることが最も憲法に 反するからです。憲法は、国全体のことを考えて 書かれるべきです。現行憲法を改正するためには、 75%を超える多数の賛成が必要です。これは、憲 法の全てについてではなく、憲法の最も重要な部 分の改正です。その変更には、75%を超える議会 の賛成票が必要です。議会の 25%は司令官が任 命する軍の議員ということです。いつも言ってい ますが、少なくとも一人の勇気ある兵士およびそ れ以外のすべての非軍人議員の賛成がないと、改 正したいと思っている部分の改正ができないと いうことです。 つまり、憲法を改正するためには、軍との合意 がなければなりませんし、実際にそれを希望して います。異なる勢力と合意し、我が国に変化を起 こしたいと思います。それを私は国民和解と呼ん でいます。それは、つまりお互いに語り合うこと ができ、意見の違いを整理して、調和ある和解に 至ることを可能にする力量のことなのです。常に 申しあげているように、我が国は交渉して妥協に 至る文化が貧しいと思います。 しかし、そのために我々は努力を続けなければ なりませんし、私自身も最善を尽くして努力して います。 司会 いまのお答えの中で、1 つだけ追加で伺 わせていただけたらと思います。支援について、 政権だとか政府ということを念頭に置くのでは なくて、国民を念頭に支援してほしいとおっしゃ いました。そこにはやはり軍人がまだ支配的な政 権であるというところがあるのかなと思うんで すけれども、憲法にしても、国会のあり方にして も、いまそういう状態だということはもともとご 存じだったと思います。政治家になられてあらた めて、すごく障壁だというふうに感じられている 点というのは、多くあるんでしょうか。 アウンサンスーチーさん 最大の障害という のは、軍事独裁政権を当たり前のように思ってい る思考様式、ものの考え方(mindset)です。問 題は軍の考え方ではありません。軍の考え方とい うのは、規律がしっかりしていて、指揮系統を守 るということです。しかし、軍事独裁の考え方は 完全に別物です。 3 年前の軍事政権のメンバーの多くが、いまも 民政移管後の政権に残っていますので、今ビルマ を支配している人たちの考え方というのは大き く変化しなければいけません。ビルマに対する援 助というのは、政府中心ではなくて、国民中心で なければいけないというのは、いまの政府のあり 方を念頭に言っているのではないのです。どのよ うな政権になっても、常に援助、支援というのは、 原則として、政府中心ではなく、国民中心でなけ ればいけないと思います。我々が政権を取っても、 援助は国民中心であるべきです。 しかし、真に国民の代表であるような政権であ れば、利害も国民と全く一致するというふうに思 います。 司会 では、会場の皆さんから質問をいただき たいと思います。 質問 日本の支援についてです。財政的な支援 をミャンマーに対して行っています。ほかの国々 が制裁を科している間にも、日本は援助を続けて いました。自宅軟禁をされている間に、日本のこ とをどう思っておられたでしょうか。貴国が民主 国家を宣言した後にも、日本は 500 億円の援助を 発表しています。民主化実現のためにいい方向に 機能するでしょうか。日本の支援で、今後最も期 待しているのは何でしょうか。 援助について、日本政府は議会、野党とも協議 してほしい アウンサンスーチーさん 世界各国の多くの 国々が軍事独裁に対してどのように対応したか。 確かに各国間で違いがありました。確かに西欧の 国々はおっしゃったとおり、制裁を科していまし た。その間、日本は引き続き援助を続けていまし た。 しかし、申しあげたように、私が最も懸念して

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5 いたのは、援助、支援は国民に向かうべきであり、 政府の権力維持のために使うべきでないという ことです。 日本の援助は、ほとんど国民に向かったと思い ます。しかし、より慎重にする必要があります。 援助は、本当に国民が必要としているものである べきです。この点について、日本政府には、単に 行政府に相談するだけではなく、議会とも、我々 野党を代表する者とも協議をしていただきたい、 と思います。せっかく我が国で援助をいただいて も、行政府および立法府、および野党の対等な関 与がなければ、援助が正しく使われない可能性が あります。 質問 2 年前にテインセイン政権ができて、そ の後、スーチーさんがテインセイン大統領に会わ れて以降、いわゆる改革というのが急速に進んだ と思います。テインセイン政権 2 年間のレビュー、 これの評価を聞きたい。特にテインセイン大統領 個人を、改革者としてどう評価するかをお聞かせ ください。 アウンサンスーチーさん 私は政治家を個人 として評価するということは控えております。政 治家の実績に基づいて評価するだけです。そのよ うな観点から、テインセイン政権の改革の実績を 評価させてください。 この改革プロセスの弱みというのは、しっかり した構想に欠けているということだと申し述べ てきました。きちんとした改革政策がないように 思えますし、我が国にとって、いま何が必要なの かという優先順位づけが行われておりません。外 国の援助が現状より多ければ多いほどいいとい うものではないのです。 まず初めに、国にとって何が最も必要なのか、 そのニーズをどう満たしていったらいいのか決 めなければなりません。それが現政権の弱点です。 立法府に関しては、私も議員をしておりますけ れども、いままでの実績に関して、非常に驚きか つ喜んでおります。ほかの人にも申しあげており ますが、議席全体が 620 議席もあるにもかかわら ず、この議会には 45 人しかNLDのメンバーが いません。しかし、我々は野党としては最大野党 です。与党は、2010 年に 82%を超える勝利をお さめました。我々は少数ではありますけれども、 野党としてかなりの実績を治めることができま した。与党USPD(連邦団結発展党)を含む多 党の協力を得て可決された動議もたくさんあり ます。また、立法府の上院議長、下院議長からも そういった支持をとりつけることができました。 議会の透明性と民主的プロセスも、この 1 年間 で改革が進みました。それはNLDがまさに議会 に参加したからだと思います。しかし、かなりの 部分というのは、下院の議長のおかげでもありま して、民主的方法や手続きを熱心に推進してくれ ています。これは時間の経過とともにさらに進展 をみると期待しております。 問題は司法府です。私自身、法の支配委員会委 員長として問題だと思っていますが、更に国にと っても大きな問題です。司法府が行政府の関与か ら独立していないのです。実際には司法府は行政 府に完全に従属しています。これは大変危険なこ とです。独立・公正な司法府がなければ、真の法 の支配は達成することができませんので、それに 向かって、我々は全力で努力し邁進しなければい けません。 質問 覚えていらっしゃるでしょうか。前回、 NLDの本部でお目にかかりました。半年前です。 そのときのことをよく覚えております。あなたは、 いまよりも懐疑的でした。いまのほうが楽観的に みえます。その当時、まだご自身、立候補するか どうか、選挙について、悩んでおられました。 2 つの問題がある、全ての政治犯の釈放、およ び抑圧的な軍部の少数派に対する行為が問題で あるとおっしゃっていました。いま少し楽観的に なっていらっしゃるのは、この問題が何らかの形 で解決されたからでしょうか。それとも、まだ政 治犯はビルマに残っていて、まだ少数民族に対す る残虐行為があるでしょうか。 和解の話をするときに、そのような和解は歴史 上多く発生しています。マンデラ方式の解決策を お考えでしょうか。国家和解委員会を設置し、責 任は認めるけれども、免責する、訴追はしない。 あるいはアルゼンチン方式でしょうか。将軍を訴 追し、服役させるという方法でしょうか。 すべての勢力の間の信頼がまだ実現していません アウンサンスーチーさん なぜそのころより 楽観的になっているか、先ほどお答えしたと思い ます。 議会が、想像していたより民主的であったから です。おかげさまで、議会で少数派でありながら、 思っていたよりより多くのことが実現できたた めです。

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6 確かに、完全に納得していたわけではありませ ん。司法府にも行政府にも、問題はあります。お っしゃった 2 点、政治犯の釈放、および民族の対 立、この 2 つは解決できたとは思っていません。 いまだに政治犯は残っています。NLDの計算に よると、まだ 200 人ほど受刑者が残っていまして、 この人たちは、良心の囚人だと思っています。 少数民族の和平についても、実現はできていま せん。国民和解がなぜ必要であるのか。私にとっ ては、国民和解はただ単に民族の平和だけではあ りません。そうではなく、文民と軍との間の和解 も含まれます。信頼感を醸成することが必要で、 善意をお互いに構築することが必要です。全ての 勢力間での信頼が必要です。それがまだ実現でき ていません。 かつ、おっしゃった解決策、アルゼンチン方式 か、マンデラ方式つまり南アフリカ方式か、につ いてですが、ビルマの方式を考えなければいけま せん。ビルマ国民は猫かぶりなどしませんから、 ほかの 2 カ国の方式よりも我々のほうがいいだ ろうと信じているのではないでしょうか。 質問 ビルマの経済を持続可能な成長に導く、 とおっしゃいました。それで質問がありますが、 いまのビルマの経済は、天然ガスなどの資源に依 存していると思うんですが、今後、持続可能な成 長を維持するためには、どのような産業、あるい はどのようなインフラ等が必要になるか、教えて ください。 失業した若者が希望を失うことが心配です アウンサンスーチーさん ビルマは、すぐれて 農業社会です。国民の 60%が農村地域に居住し ていて、農業で生計を立てています。だからこそ、 農業セクターを適正な形で発展させなければ、持 続可能な開発は不可能です。 私が若干懸念しておりますのは、人々の農業に 対する見方がどうも旧式であることです。農業に ついては、新しい捉え方をしなければいけないと 常に言っています。食料安全保障の観点から、21 世紀の農業を捉えなければいけない。20 世紀の ように、大規模な経営、そして単一作物という形 で農業を捉えるのはいけません。単一作物で農業 が支配されることには反対です。多くの対策が必 要だと思っています。 しかし、経済を成長させるためには、何よりも まず雇用を創出しなければいけません。ビルマの 失業率は、特に若者の間では高くなっています。 繰り返し強調していますが、これは大変危険な状 況です。失業している若者は、国の未来を危うく します。失業問題自身を心配しているのではなく て、若者が希望を失ってしまうことを心配してい るのです。若者が未来に対する希望を失い、自信 を失ってしまうということ、尊厳のある人間とし て暮らすことを社会が許さないと感じてしまう ことが危険なのです。そうなると持続可能な強力 な社会をつくることはできません。 ビルマに対する経済援助を供与する際には、雇 用の創出、特に若者に対する雇用の創出、都市部 に加えて、特に農村地域における雇用の創出を重 点に考えてほしいと思います。 質問 総理の奥様の安倍昭恵さんがミャンマ ーに学校をつくる運動をしていて、それでわかっ たことは、ミャンマーでは寺子屋があって、お坊 さんが子どもたちに字を教えていて、貧しいのに 識字率が 90 何%で、寺子屋の役割がすごいと気 がついた。これから、国民の知的レベルをどんど ん高くしていかなくてはいけないと思うのです が、教育についてのお考えを伺いたい。 アウンサンスーチーさん まず、識字率は 90%を超えておりません。識字率の定義が非常に 限定されたものになっております。その定義によ ると、90%を超えるかもしれません。ところが、 本当の意味で、国民が本当に読んで、読んでいる 内容が理解できるかどうか。例えば、薬の飲み方 を読むことができるか、そうなると、ビルマの識 字率は 90%にはなりません。 寺子屋(Monastic Schools)は以前から重要な 役割を果たしてきました。議会では、今後、寺子 屋が子どもたちの教育においてもっと大きな役 割を果たすことができるように、寺子屋の教員に 給与を払うことを検討しています。現在、寺子屋 の先生にお金を払っているのは、政府ではなく、 地域なのです。我々はそれを変更しようとしてい ます。寺子屋がより大きな役割を子供の教育で果 たすことができるように、議会は必要な措置をと っております。 さらに、つけ加えます。我が党では、無料の学 校のネットワークを始めております。なぜかと言 いますと、政府による教育は無償であるべきだか らです。つまり、子どもたちは公式には学校の費 用を払う必要がないことになっているはずです が、そのかわりに、名目は違うのですが、寄附金 等を求められております。ですから多くの貧しい

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7 親は子どもを学校に通わせることができていま せん。我が国の教育制度については幾つかの課題 がありまして、大変努力をしてそれを変えようと しております。 いま、議会は全国教育計画を検討しています。 これは絶対に必要です。教育計画の草案ができれ ば、社会が教育で何を必要としているか、より詳 細に議論することができるでしょう。 大国が小国を侵略する時代ではない 隣接す る 2 つの大国を心配していません 質問 20 年来、ビルマの研究をしておりまし て、ビルマの国境を訪問したとき、主権の問題が たくさん見受けられました。主権というのは、歴 史をみても、お国にとっては常に問題だったんで すけれども、その将来を、中国その他東南アジア の近隣諸国に囲まれている中で、どのようにみて いますか。 アウンサンスーチーさん 我々の隣国が大国 であるということを心配したことはありません。 インドとか中国の存在を無視することは難しい と思いますが、ビルマが 1948 年に独立を達成し たときには、すでに中国やインドと隣接していま した。地理的な条件が変わったわけではないので す。 しかし、当時は若い民主主義国家として多くの 問題を抱えていたのです。全国に反乱が勃発して いたし、第二次大戦後の後遺症がまだ色濃く残っ ていました。それにもかかわらず世界中のいろい ろな国と良好な関係を築いたのです。冷戦時代を 通じて中立を保つことができました。 軍事政権が支配する前には、欧米諸国、中国、 そしてインドとかなり良好な関係を築いていた のです。我が国は完全とは言えないにしても民主 国家であり、欧米とも、インドとも近しい関係と いうのを築いていましたが、世界の中でも、中国 の共産主義政権を承認した最初の国の 1 つだっ たのです。ですから、心配しておりません。 というのは、我々の時代は大国が小国に侵略し てしまうという時代ではないからです。政治的な、 そのような野蛮な行為はもう認められません。隣 接する 2 つの大国、そしてフランスのような遠い 国とも良好な関係を築けると確信しています。 質問 イスラムについて、お尋ねします。冒頭 おっしゃったように、一部の批判の中には、少数 民族に対する暴力について、ご自身が十分に発言 をしていない、特にラカイン州、そして、いまで は国の中心部に広がっていることについて十分 に批判をしていないという声があります。イスラ ム教徒の人たちはNLDの主たるサポーターで す。どのようなメッセージをイスラムである国民 に対してお持ちでしょうか。貴国の中にいるイス ラム教徒、特に宗派間の争いがある中で、命の危 険を感じている人についての質問です。追加です が、ロヒンギャの人たちをミャンマーの国民と考 えますか。 国民が互いの違いを理解するためには安心感 が必要です アウンサンスーチーさん 暴力行為について は、誰が行ったとしても、誰に対してでも反対で す。その暴力行為を行っているのがイスラム教徒 であれ、仏教徒であれ、キリスト教徒であれ、全 く関係がありません。完全に反対です。とりわけ 政治に関わる暴力行為には常に反対してきまし た。極めて残念なことですが、我が国の人々は意 見の相違を、暴力に頼らずお互いに相談をして解 決することができません。常にはっきり言ってい るのですが、いかなる人権侵害、あるいはいかな る暴力的な行為も、統一された平和な社会には有 害なものです。受け入れられるものではありませ ん。 ロヒンギャ族が我が国の国民であるか否かは、 彼らが現在の公民権法を満たせるのかどうかに よります。82 年の法律に基づいているビルマに おける公民権法は公正ではない、という人もいま すが、それはまた別の問題です。 いま現在、確認しなければならないのは、現行 の法律の下で市民権を得る資格を持っている全 ての人は、市民権を与えられているということで す。いったん市民権を与えている場合に、それに 相当する権利が与えられているかどうかをまず 確認しなければなりません。その次の段階として、 市民権法を再検討し、その内容が国際基準にのっ とっているかを考えなければいけません。どこの 国でも、既存の法律を適用するという権利はある と思います。 しかし、どの国であったとしても、その法律自 体が国際基準にのっとっていない可能性を考え る責任があります。それについて、我が国の政府 は勇気を持って考えなければいけません。正面か ら市民権の問題に取り組み、公正であるかどうか を考えなければいけません。

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8 ビルマのイスラム教徒についてですが、来日の 直前に一部の指導者に会いました。このような宗 派間の問題について、話しました。残念なことに 彼らはビルマ以外の国を知らず、ほかの国にも同 胞がいるということを理解していません。悲しい ことですが、彼らはビルマ国内でも孤立してしま っているのです。 異なる見解を持つ人を受け入れることに慣れ ていかなければなりません。 前に申しあげたように、国民が互いの相違を理 解するためには、安全であるという安心感が必要 です。お互いに語り合うことができるほどの安心 感が必要です。家を出ることが不安であり、毎回 家から出るたびに、別のコミュニティーの誰かか ら攻撃を受けるかもしれないという恐怖感があ る時に、座って意見の相違を理解しあうことがで きるでしょうか。だからこそ、私は法の支配を強 調しています。 私の態度はつまらないと言われるのでしょう。 法の支配は全然エキサイティングではないから です。しかし、法の支配はどうしても必要です。 質問 質問は、国名についてです。聞いている と、ずうっと「ビルマ」と言っておられる。数年 前に「ミャンマー」という国名に変えたときに、 日本のジャーナリズムの一部には、「ミャンマー」 というのは軍事政権がつけた名前だから、これを 使ってはいけないと。欧米のジャーナリズムにも そういう論がありました。ところが、日本の元駐 ビルマ大使の一人がお書きになった本によると、 「ビルマ」という名前は、そんなに歴史のあるも のではない、これはむしろイギリス植民地主義者 たちがつけた名前だと。 それで、私も半年ほど前に、在日英国大使と会 見したときに、ミャンマーという質問をしたら、 彼の答えはすべて「ビルマ」と返ってきたんです。 そこで、アウンサンスーチーさんの心の中に、い まだに「ミャンマー」という呼称は好ましくない んだ、「ビルマ」が正しいんだと思っておられる のかどうか、そこを聞きたい。 「ミャンマー」は軍事政権が国民の意思を確か めず、突然変えた英語国名だから、異議を申し立 てます アウンサンスーチーさん 私が常にビルマを 「ビルマ」(Burma)と呼んでいる理由というのは 次の通りです。軍事政権が英語の名前、国際的な 国名を「ミャンマー」(Myanmar)に変える前は、 日本が国内ではニホン、英語ではジャパンと呼ば れるように、我々は、国内では「ミャンマー」を 使っていました。「ミャンマー」はビルマ語です。 しかし、外国では、独立以前から、また独立後も 「ビルマ」という国名を使っていたのです。 軍事政権がある日突然、国名をその日以降「ミ ャンマー」と変えると発表したのです。国民の意 見を聞いたわけではない、それが、私が最大の異 議を申し立てたい点です。軍事政権が選択した国 名であり、国民の意思を一切確かめなかったとい うことに異議を申し立てます。国民がこの国名を 受け入れられるかどうかということを一切問わ なかったということ。これが理由の 1 つです。 2 番目の理由は、国の名前の説明が、事実上、 正確ではなかったということです。彼らは「ミャ ンマー」はビルマのすべての少数民族を含めてい るといいました。一方、「ビルマ」というのは、 「バマー」(Bamar)がもともとの言葉なのですけ れども、ビルマの民族グループのみに限定されて いると説明したのです。しかし、これは本当では ありません。「ミャンマー」は「バマー」の文語 表現(literary form)なので、ミャンマーとい ってもやはり、ビルマの民族グループのみに限定 されているのです。ですから、国名を変更する理 由は正確ではないのです。 日本人の方は「ビルマ」(Biruma)と呼んでいる のですけれども、この「ビルマ」の発音は「ミャ ンマー」の発音よりもずっといいと思うのです。 「ビルマ」という響きのほうが、日本人の方が発 音される「ミャンマー」、ほかの外国人の方が発 音する「ミャンマー」の響きよりずっといいので す。「ミャンマー」はとっても発音しにくいので す。欧米人が「ミャンマー」と発音すると、ちょ っと違っているのです。しかし、「ビルマ」の発 音はとってもいいのです。 チャイナ、インディア、ジャパンは西洋人が与 えた名前だが、それぞれの国に自信があるから受 け入れたのです 私は「ビルマ」と呼び続けたい 「ビルマ」が、植民地主義者、すなわち外国人 によって押しつけられた名前だという主張です けれども、「ジャパン」という呼び方も日本人が 自ら選んだのではありません、でも、日本人は自 らの実績に自信を持っているので、その国名を受 け入れることができたと私は思います。 軍事政権が「ビルマ」という名前を拒絶したの は、自信がなかったからだと思うのです。アジア

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9 で最も強力な国、中国、インド、日本といった国々 を考えますと、外国で呼ばれている「チャイナ」 「インディア」「ジャパン」は、西洋人から与え られた名前であり、ネイティブな名前ではありま せん。でも、それぞれの国、文明、そして近代史 の実績に自信を持っているので、そうした国名を 受け入れることができたのだと思います。私たち も「ビルマ」という名前を受け入れてもいいので はないでしょうか。 かといって、それに固執しているわけでもあり ません。私が「ビルマ」と言いたいのに、「ミャ ンマー」と呼ぶよう強要することに、私は反対な のです。私の国を「ビルマ」と呼んではいけない という法律はありません。私自身は、望む限り、 私の国を「ビルマ」と呼び続けたいと思っており ます。 ありがとうございます。(拍手) 司会 ありがとうございました。時間が過ぎて しまいましたので、ここで質問を受けるのは最後 にしたいと思います。 ゲストブックに、先ほど控室でアウンサンスー チーさんに書いていただきました。ここには、「日 本との協力の将来に期待しています」と添えてい ただきました。また、きょう、4 月 17 日はお国 の正月ということだそうで、それも書いてくださ いました。 クラブからの記念品として、クラブ特製の風呂 敷を差し上げたいと思います。 アウンサンスーチーさん ありがとうござい ました。(拍手) (文責・編集部) (注: 記者会見の英語のトランスクリプトは 日本記者クラブのウェブサイトでアクセスでき ます。この日本語版は、同時通訳の日本語をもと に、英語のトランスクリプトを参照して日本記者 クラブ事務局で作成しました。

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