経営第6回 現代日本のものづくり経営学
経営第6回 現代日本のものづくり経営学
2011年1月
東京大学大学院経済学研究科
藤本隆宏
*授業資料は下記URLから各自ダウンロードのことhttp://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/lecture/komaba-http://merc.e.u tokyo.ac.jp/mmrc/lecture/komaba
keiei/2010.htm
背景 21世紀のグロ バル経済化と比較優位
背景:21世紀のグローバル経済化と比較優位
背景・・日本におけるものづくりの重要性:
グローバル経済化の中での比較優位
経済
中
較優
グローバル化
した経済 ・・・ 産業ごとの
国際競争力の優位・劣位が顕在化
する
(保護政策
↓ 非関税障壁↓ 輸送費↓ 通信費↓)
(保護政策
↓ 非関税障壁↓ 輸送費↓ 通信費↓)
リカードの構想した「
比較優位・国際分業・貿易の利益
」の世界がようやく現出?
総花的な加工貿易立国(
工業フルセット主義
)
→
比較優位
に基づく
国際分業
加工貿易立国
を
100年追及してきた日本 ・・・ 1980年ごろまでに ほぼ達成?
加工貿易立国
を
100年追及してきた日本 ・・・ 1980年ごろまでに、ほぼ達成?
(原料・燃料・食糧を輸入、あらゆる工業製品を輸出)
しかし
1990年代以降
円高 アジア新興工業国 デジタル技術
しかし
1990年代以降 ・・・
円高、アジア新興工業国、デジタル技術、
米国経済復活、そしてグローバル化
「微細な産業内貿易」
へのシフト ・・・ 工業製品を輸入し、かつ輸出する
それでは、
21世紀の日本は何を輸入し何を輸出する
のか?
東京大学 藤本隆宏・・・ 既存の(狭義の)比較優位論は現象をうまく説明しきれない
・・・ 「新しい貿易理論」も、具体的に何を輸出するかを答えない
設計(アーキテクチャ)の比較優位論
設計情報創造
(開発)の拠点立地が、
設計情報転写
(生産)の拠点立地に先立つ。
開かれたものづくり
の観点から言うなら
設計拠点の立地
を もっと重視すべし
開かれたものづくり
の観点から言うなら、
設計拠点の立地
を、もっと重視すべし。
しかし、これまで正面から取り上げられてこなかった。
① 狭義の比較優位論 ・・・ 生産立地の問題に集中。設計立地を看過
② プ ダ
論
を
視
「
結論
② プロダクトサイクル論 ・・・ 開発立地を重視。しかし「米国」と結論
③ 新/新新貿易論 ・・・ 生産拠点の累積効果に注目。しかし「偶然」と結論
設計の比較優位
、あるいは
設計拠点の立地決定
を、もっと重視すべきではないか。
設計の比較優位
、あるいは
設計拠点の立地決定
を、もっと重視す
きではないか。
この発想から生まれた、現場発の発想 ・・・
アーキテクチャの比較優位論
東京大学 藤本隆宏その前提 ・・・ 資本は動くが、組織能力は簡単に動けず、
国に偏在する。
組織能力とアーキテクチャの適合仮説-全体の見取り図
企業・事業・現場の担当者の主体的な行為・選択 ものづくりの 適合? 製品・工程 能力構築環境 市場・顧客の 機能・コスト要求 組織能力 (特定地域に偏在) アーキテクチャ (製品ごとに選択) 能力構築競争 社会が課す 制約条件・規制 特定国・特定製品の 比較優位 能力構築能力 製品の技術的・ 構造的な制約 その他の環境条件、偶然事象、他ものづくり現場発の戦略論・・・
ものづくり現場発の戦略論
そのためには、高度の自在な上げ下げが必要
高度 本経済論 世 経済論 経済記者(日経1面) 経済官僚 高度3万M・・・日本経済論・世界経済論 高度1000M・・・個別産業論・貿易論 経済官僚 マクロ経済学者 社長(日経ファン) 高度 個別産業論 貿易論 高度100M・・・経営戦略論 上下の議論が うまく つながって いなかった! 産業済記者(日経産業1面) 産業官僚 経営幹部(米国経営書ファン) 戦略派の経営学者 高度5M・・・ものづくり現場論 いなかった! → 過剰反応 産業記者(日経産業15面)現場派の経営・経済学者 高度1.5M・・・現場の個人の人生論 現場(多くは引きこもり型) 東京大学 藤本隆宏ものづくり現場発の戦略論とは
- ものづくりとは、設計情報をものにつくりこむこと-
設計をベースにした「開かれたものづくり」への発想転換
従来の
生産現場 開発・購買・販売現場 製造業の生産現場従来の
狭いものづくり観
製造業 非製造業 良い話だが・・広がりが無い。 生産現場 開発 購買 販売現場 製造業の生産現場 製造業の 開発・購買・販売現場これからの
広いものづくり観・・・
製造業 生産現場 開発・購買・販売現場 サービス業の サ ビス現場 開発 購買 販売現場 サービス業の 開発現場広 もの くり観
「開かれたものづくり」
非製造業 「もの」ではなく「設計」から 東京大学 藤本隆宏 サービス現場 開発現場 非製造業 もの」ではなく 設計」から 発想する「ものづくり」とは「設計情報の良い流れ」を作ること
現場・現物からの発想 ・・・ モノよりはむしろ「
設計
」に着目
現物 = 設計情報+媒体
設計 形相 アリストテレス ・・・ 現物=形相+質料 (形相が本質) 媒体 情報 質料 形相製品(物財・サービス)は、人工物 (あらかじめ設計された何か) である。
媒体が有形なら製造業(物財) 無形ならサービス業 設計情報 無形媒体 有形媒体 設計 情報付加価値の主たる源泉は
設計情報
にある (媒体はそれを伝える器である)。
開かれた(広義の)ものづくり
人工物に託して 設計情報を創造し
東京大学 藤本隆宏開かれた(広義の)ものづくり
・・・ 人工物に託して、設計情報を創造し、
転写し、発信し、お客に至る流れを作り、顧客満足と経済成果を得ること。
ものづくり現場発の戦略論とは
広義の「ものづくり」 ・・・ 人工物に託して、設計情報=付加価値を創造し、 転写し、発信し、お客に至る流れを作り、顧客満足を得ること 「ものをつくる」ではなくむしろ「ものにつくり込む」(設計情報を) 「ものをつくる」ではなくむしろ「ものにつくり込む」(設計情報を) 人工物 ・・・ あらかじめ設計されたもの。有形、無形を問わない。 ものづくり現場 = 「高度5メートル」の世界 本社の戦略論 = 「高度100メートル」の世界 (企業のトップの視線) ・・・ この二つがうまくつながっていなかったこの二つがうまくつながっていなかった。 ものづくり現場に遍在するものは何か? 実はモノではない。 設計である。 したがって、「ものづくり現場発の戦略論」とは、 高度5メートルの世界に遍在する「設計情報」にこだわり、 製品・工程の設計のありかたを虚心坦懐に観察することから出発し、 製品 程 設計 あり を虚 懐 観察する 出発 、 そこから組み立てなおす戦略論である。 〔1〕 ものづくりの組織能力 = その企業特有の「設計情報の流し方のうまさ」 〔2〕 アーキテクチャ = その製品・工程の設計情報が持つ構想 (設計思想) 東京大学 藤本隆宏競争力論
―収益力、表の競争力、裏の競争力、組織能力を、すべて測定せよ―
組織能力とアーキテクチャの適合仮説-全体の見取り図
企業・事業・現場の担当者の主体的な行為・選択 ものづくりの 適合? 製品・工程 能力構築環境 市場・顧客の 機能・コスト要求 組織能力 (特定地域に偏在) アーキテクチャ (製品ごとに選択) 能力構築競争 社会が課す 制約条件・規制 特定国・特定製品の 比較優位 能力構築能力 製品の技術的・ 構造的な制約 その他の環境条件、偶然事象、他競争力は多層的に把握せよ:「まず現場」か「まず利益発」か
① まず能力構築から・・・「現場=体を鍛える」トヨタ流の体育会系戦略 もの造りの組織能力とパフォーマンス ② まず利益構想から・・・「本社=頭を使う」欧米流(中国流)戦略 その他の環境要因 組織能力 深層の パフォーマンス 表層の パフォーマンス 利益 パフォーマンス 裏の競争力 ものづくり 組織能力 表の競争力 収益力 生産性 生産リードタイム 価格 納期 製 内容 訴求力 組織ルーチン 会社のもうけ お客が評価する 製品の実力を測る指標 お客から見えない 現場の実力を測る指標 生産性 スト 他社が簡単に真似できない 現場にできることのレベル 整 整 清掃 能 構築競争 象 適合品質 開発リードタイム 製品内容の訴求力 広告内容の訴求力 株価 価格、性能、納期 ブランド、広告の効果 市場シェア、お客の満足度 生産性、コスト、 生産リードタイム 開発リードタイム、 開発生産性 整理整頓清掃 問題解決、改善 ジャストインタイム フレキシブル生産 東京大学 藤本隆宏 能力構築競争の対象領域能力構築競争自動車の組立生産性向上は今も続く
50 日本の自動車組立工場の生産性 (小さいほど良い) 35.5 41.0 40 (小さいほど良い) 24.9 21.9 25.3 29.7 20.1 28.0 20 30 16.816.5 12.3 16.8 10 20 0 日/日 US/NA米/北米 欧/欧 新興国 JP/JP日/日 米/北米 EU/EU欧/欧 Developi新興国 1989 1994 2000 US/NA JP/JP EU/EU ng Cont.Source: IMVP Survey
自動車の開発生産性:日本は欧米の2倍前後で推移
3500000 日本の自動車開発現場の生産性 (小さいほど良い) 2500000 3000000 3500000 2000000 2500000 USA Europe 1000000 1500000 Japanp 0 500000 Period 1 1980-84 Period 2 1985-89 Period 3 1990-94 Period 4 1995-99 藤本、延岡、Thomke, グローバル自動車製品開発研究プロジェクト資料(延岡作図)競争力の多層評価フレームワーク
日本の自動車産業の例
もの造りの 裏の競争力 表の競争力 収益性 為替レート、景気変動、本社の戦略的能力、その他の要因 組織能力 裏の競争力 表の競争力 収益性 高い トヨタ2005 トヨタ1兆 2兆 同等 V字回復 トヨタ1兆→2兆 低い 日産1998 東京大学 藤本隆宏統合型のものづくり組織能力
― 多能工のチームワーク ―
組織能力とアーキテクチャの適合仮説-全体の見取り図
企業・事業・現場の担当者の主体的な行為・選択 ものづくりの 適合? 製品・工程 能力構築環境 市場・顧客の 機能・コスト要求 組織能力 (特定地域に偏在) アーキテクチャ (製品ごとに選択) 能力構築競争 社会が課す 制約条件・規制 特定国・特定製品の 比較優位 能力構築能力 製品の技術的・ 構造的な制約 その他の環境条件、偶然事象、他「設計する」ということからものづくりを考えてみよう
製品とは設計情報が媒体=素材に転写されたものである
製品=設計情報+媒体
製品とは、設計情報を素材(媒体)に転写したものだ
製品設計情報 媒体(メディア)=素材 東京大学 藤本隆宏 製品=情報+媒体設計情報の視点からものづくり活動を読み替える
ものづくり = 開発・生産・購買のトータルシステム(販売も一部入る) = 設計情報の「流れ」を作ること。 ムダ(設計情報の停滞)をなくし正確に 製品開発・・ 新しい設計情報を創造すること 産 情報 製 繰 転 生産・・・・ 設計情報を工程から製品へと繰り返し転写すること 販売・・・・ 設計情報を媒体に乗せて顧客のもとへと発信すること 消費・・・・ お客が製品に仕込まれた設計情報を解読し満足を得ること 以上の視点から、ものづくりの仕組み(組織ルーチン)を、「設計情報を上手に創り、流し、 滞留させず 顧客に届けるための標準的な手順」読み替えていく 滞留させず、顧客に届けるための標準的な手順」読み替えていく ものづくりの組織能力 = 他社よりも上手に現場での設計情報の創造と転写を行ない ものづくりの組織能力 = 他社よりも上手に現場での設計情報の創造と転写を行ない、 それを自社製品の競争力に結び付ける、組織全体の実力 ものづくりの組織能力は 簡単には真似されない ものづくりの組織能力は、簡単には真似されない。 すぐに買ってくることも出来ない。蓄積するしかない。 東京大学 藤本隆宏ものづくり現場 ・・・ 生産・開発・購買・販売を含む
開発は設計情報の創造である;生産は設計情報の転写である開発
現場 = 顧客(市場)へ向かって設計情報が流れる場
製品開発=製品設計情報の創造 生産工程=製品設計情報 のストック 製品設計情報開発
= 設計情報の創造生産
生産=製品設計情報の転写販売
= 設計情報購買
生産
= 設計情報の転写販売
= 設計情報の発信購買
= 媒体の調達 素材=媒体(メディア) 仕掛品=媒体(メディア) 製品=製品設計情報 + 媒体 東京大学 藤本隆宏 = 媒体(メディア) = 情報プレス工場で起こっていること・・・生産=転写
• 金型=「かっこいいボディ」の設計情報が鉄の塊の中に埋め込まれている。 • 1分に10回近いペースで、その情報が、 1000トンを超えるエネルギーを使って、鉄板に「転写」される。印刷と同じ。 1000トンを超えるエネルギ を使って、鉄板に 転写」される。印刷と同じ。 • つまり、プレス生産は、金型が持っている設計情報を鉄板に転写する活動。 • しかし、うまくやらないと、鉄板は破れる、ゆがむ、しわがよる。つまり転写ミスがおこる。 • いかに速く、安く、正確に転写するかが、現場の腕のみせどころ! ボディの 金型 ボディの デザイン 鉄の塊転
ボディの転
写
ボディの デザイン 鉄板 鉄板 パネル 写真:トヨタ産業技術記念館鉄板が金型の持つ設計情報を吸収し、
クルマのサイドボディに変身する
クルマのサイドボディに変身する
つまり、金型が持つ設計情報を、鉄板という媒体に転写する。
お客さんが
これを創造するのが
開発
カッコいいと
思ってくれる
ボディの
これを創造するのが
開発
デザイン
この二つを結合するのが
生産
(設計情報を素材に転写すること)
厚さ0 8ミリの鉄板
これを買ってくるのが
購買
厚さ0.8ミリの鉄板
これを買ってくるのが
購買
東京大学 藤本隆宏ものづくり =
お客様に向かう「設計情報の流れ」を作ること
お客様に向かう「設計情報の流れ」を作ること
その流れをよどみなく効率よく正確なものにすること
お客さんが
製品=設計情報+素材(媒体)販売
→ 使用 → 解釈
お客さんが
カッコいいと
思ってくれる
ボディの
顧客満足
販売
→ 使用 → 解釈
ボディの
デザイン
厚さ0.8ミリの鉄板
設計情報を創造するのが開発 媒体を社外から入手するのが購買 媒体を社外から入手するのが購買 設計情報を素材に転写するのが生産 それをお客さんに発信するのが販売 東京大学 藤本隆宏物財(有形媒体)とサービス(無形媒体)
• 物財(有形媒体) ・・・ 2段階の間接転写: ①媒体への転写(生産) ②顧客への転写(消費) 開発 不満足な消費者 設計 情報 設計 情報 設計 情報 設計 情報 ①生産②
流通 媒体 (有形) 媒体 (有形) 情報 媒体 (有形) 情報 情報 ①生産 流通 消費 満足 • サービス(無形媒体) ・・・ 顧客への直接転写 満足な消費者 設計 情報 開発 不満足な消費者 情報 媒体 媒体 設計 情報 設計 情報 満足 生産 消費 媒体 (無形) 媒体 (無形) 満足な消費者 東京大学 藤本隆宏「設計情報の創造・転写システム」としてみた
統合型のものづくり組織能力(例えばトヨタ)
統合型のものづくり組織能力(例えばトヨタ)
① 生産:「工程から製品への、密度・精度の高い設計情報の転写」として 統一的に説明できる。 ② 製品開発:「早期で統合的な問題解決サイクルの束」として 統一的に説明できる。 ③ サプライヤー・システム: 「長期安定取引」「少数者間の能力構築競争」「まとめて任せる」 という3つのルーチンの相互補完性により説明できる。 要するに・・・「知(設計情報)のめぐりの良い組織」である。 東京大学 藤本隆宏統合型生産の組織能力: 情報転写の密度と精度に集中
第2工程の生産性 (1個あたり工数) 第1工程の生産性 (1個あたり工数) 正味作業時間(情報発信時間) 正味作業時間(情報受信時間) 情報の受発信のない時間②
②
サイクルタイム サイクルタイム 情報の受発信のない時間 (在庫、手持ち、運搬、など) 生産資源②
②
作業者発信側(生産性)
作業者①
原材料 仕掛品 最終製品 第1工程 第2工程 在庫 搬送 在庫受信側(リードタイム)
在庫時間 在庫 時間 在庫 時間 在庫時間 搬送 時間 サイク タイム サイク タイム③
サイクルタイム サイクルタイム 生産リードタイムトヨタ的生産システムの組織能力 生産性と生産リ ドタイム
設計情報の流れからみたトヨタ・システム(1:生産性・生産期間)
製造性を考慮 した製品設計 製造性を考慮 した部品設計 トヨタ的生産システムの組織能力:生産性と生産リードタイム (M) A B M 現場管理者層に よる作業標準の 作業設計・設備設計 製品設計 部品設計 作業設計・設備設計 設備の自主設計・内製 既存設備の小きざみな改善 仕様書等 (承認図方式) (M+A+B) A B M よる作業標準の 改訂 多能工 多 程もち 柔軟な課業配分 作業者、設備 作業者が改善活動に参加 作業者、設備 ローコスト自動化 フレキシブルな設備 段取替時間の短縮 部品メーカーによる 継続的改善 A B M 多工程もち;柔軟な課業配分; 少人化 正味作業時間の最大化 段取替時間の短縮 予防保全 コミュニケーション 情報非発信・非受信時間 (ムダ等)の圧縮(JIT、 アンドン ラインストップひも) カンバン プル・システム 情報転写ペースの均斉化 (平準化、小ロット生産) M アンドン、ラインストップひも) 部品サプライヤー JIT納入 原材料在庫の削減 第1工程 程 設計 改良 1個流し、または 仕掛品在庫の削減 第2工程 流( ) 最終製品 在庫の削減 生産量と 製品ミックス の平準化 ディーラー 顧客 M+A+B M+A 工程フローの設計の改良 作業・設備設計の改良に 先行させる。 仕掛品在庫の削減 混流(小ロット) 組立ライン (短期的な) 凡例 : 検査 加工 情報フロー 東京大学 藤本隆宏 : 生産資源 在庫 モノのフロー 情報内容 A,B,M統合型製品開発の組織能力(例:自動車)
基本は「早期・協調的な問題解決」
基本は「早期 協調的な問題解決」
① 部品メ カ との共同開発 連携調整
デザインイン 承認図方式
① 部品メーカーとの共同開発・連携調整 ・・・ デザインイン・承認図方式
② 生産現場の組織能力を製品開発に活用 ・・・ 試作・金型・量産立上げ
③ オーバーラップ型開発
・・・ 製品開発と工程開発の期間重複と連携調整
④ 少数精鋭プロジェクトチーム ・・・ 多能型技術者によるチームワーク
⑤ 重量級プロダクト・マネジャー ・・・ コンセプト責任を持つ強い開発リーダー
⑤ 重量級プロダクト マネジャ
コンセプト責任を持つ強い開発リ ダ
(以上クラーク・藤本研究)⑥ 複数プロジェクト間のオーバーラップと連携調整
(延岡研究)⑥ 複数プロジェクト間のオ バ ラップと連携調整
(延岡研究)⑦ フロントローディング ・・・ 開発支援 IT による問題解決の前倒し
(トムケ・藤本研究) (トムケ 藤本研究) 東京大学 藤本隆宏統合型購買の組織能力 : 長期能力主義
3つの基本パターン(サプライヤーシステムの「三種の神器」)
•
1
長期安定取引
•
1 長期安定取引
•
2 少数サプライヤー間の厳しい能力構築競争(開発コンペなど)
•
3 「まとめてまかせる」分業体制
これらの間には相互補完性あり → 競争力に貢献
発注者側の「多面的評価の能力 が大前提 そのための部分内製 改善部隊
発注者側の「多面的評価の能力」が大前提。そのための部分内製、改善部隊。
サプライヤーの仕事ぶりを長期でじっくり評価する「長期能力主義」
⇔ 長期関係主義 (関係だけで発注してしまうぬるま湯的状況)
東京大学 藤本隆宏3レベルの組織能力構築
(1)ものづくり能力 顧客にとっての価値を生んでいる時間(正味作業時間)を常に意識。 顧客起点でさかのぼり、プロセスの流れを作る。 正味作業時間の最大化(ムダの最小化)を全社的に展開 正味作業時間の最大化(ムダの最小化)を全社的に展開。 すなわち、設計情報の転写密度・転写精度の同時改善。 (2)改善能力 (2)改善能力 問題発見:問題(ムダ、ミス)がいやでも顕在化する仕掛け(徹底した見える化)。 問題解決:ツールをできるだけルーチン化〔標準化)。ツール教育の徹底。 全員で、標準化された問題解決サイクル(PDCAサイクル)を回す。 (3)進化能力 常に「顧客満足」と「競争力」を意識する組織全体の「心構え」(トヨタ・ウェイ)。 常に 顧客満足」と 競争力」を意識する組織全体の 心構え」(トヨタ ウェイ)。 当たり前のことを全員で継続的に・・「フォローアップ」「横展開」「歯止め」「標準」 何があっても(怪我の功名でも)最後は「能力構築」でフィニッシュする二枚腰 東京大学 藤本隆宏アーキテクチャ(設計思想)
-擦り合わせ型と組み合わせ型-
組織能力とアーキテクチャの適合仮説-全体の見取り図
企業・事業・現場の担当者の主体的な行為・選択 ものづくりの 適合? 製品・工程 能力構築環境 市場・顧客の 機能・コスト要求 組織能力 (特定地域に偏在) アーキテクチャ (製品ごとに選択) 能力構築競争 社会が課す 制約条件・規制 特定国・特定製品の 比較優位 能力構築能力 製品の技術的・ 構造的な制約 その他の環境条件、偶然事象、他アーキテクチャとは:○(設計)の中をのぞいてみよう
お客さんが
カ
いいと
カッコいいと
思ってくれる
ボディの
設計
設計者は どんな発想で設計をしているのだろうか
東京大学 藤本隆宏設計者は、どんな発想で設計をしているのだろうか?
「設計者の発想」のことを「アーキテクチャ」という
製品に要求される機能を、製品の各構造部分(部品)にどのように配分し、 部品間のインターフェースをどのようにデザインするか、に関する、基本的な 設計思想 製品の機能 製品の構造 サブ機能 製品の機能 製品の構造 部品 インターフェース 全体機能 インターフェース 部品 インタ フェ ス 部品 部品 機能・構造の 対応関係 東京大学 藤本隆宏 対応関係モジュラー(組み合わせ)型アーキテクチャと
インテグラル(擦り合わせ)型ア
キテクチ
インテグラル(擦り合わせ)型アーキテクチャ
パModular Architecture
計算 パソコン パソコンのシステムモジュラー(組み合わせ)型
印刷 投影 プリンター プロジェクター 製品の構造 製品の機能 サスペンション 走行安定性 乗用車Integral Architecture
インテグラル(擦り合わせ)型
ボディ エンジン 乗り心地 燃費 東京大学 藤本隆宏 製品の構造 製品の機能製品アーキテクチャの基本タイプ
モジュラー インテグラル (組み合わせ) インテグラル (擦り合わせ) クローズド・インテグラル クローズド・モジュラー 最適設計された 専用部品 クローズド (囲い込み) 乗用車、オートバイ ゲ ム ト メインフレーム、 作機械 クロ ズド インテグラル クロ ズド モジュラ (囲い込み) ゲームソフト、 軽薄短小家電、他 工作機械、 レゴ オ プン ジ ラ オープン (業界標準) パソコン、同ソフト、 インタ ネット オープン・モジュラー (業界標準) インターネット、 新金融商品、自転車、 東京大学 藤本隆宏擦り合わせ型(クローズド・インテグラル)製品:乗用車
擦り合わせ型(ク
ズド インテグラル)製品 乗用車
製品アーキテクチャの基本タイプ
モジュラー インテグラル (組み合わせ) インテグラル (擦り合わせ) クローズド・インテグラル クローズド・モジュラー クローズド (囲い込み) 乗用車、オートバイ ゲ ム ト メインフレーム、 作機械 クロ ズド インテグラル クロ ズド モジュラ (囲い込み) ゲームソフト、 軽薄短小家電、他 工作機械、 レゴ オ プン ジ ラ 汎用部品の 寄せ集め オープン (業界標準) パソコン、同ソフト、 インタ ネット オープン・モジュラー (業界標準) インターネット、 新金融商品、自転車、 東京大学 藤本隆宏オープン・モジュラー型の製品(パソコンシステム)
パソコンの写真を貼り付ける
製品アーキテクチャの基本タイプ
モジュラー インテグラル (組み合わせ) イ テグラ (擦り合わせ) クローズド・インテグラル クローズド・モジュラー 社内共通部品の 寄せ集め クローズド (囲い込み) 乗用車、オートバイ ゲ ムソフト メインフレーム、 工作機械 ク ズド インテグラル ク ズド モジュラ (囲い込み) ゲームソフト、 軽薄短小家電、他 工作機械、 レゴ オ プン モジ ラ オープン (業界標準) パソコン、同ソフト、 インターネット オープン・モジュラー (業界標準) インターネット、 新金融商品、自転車、 東京大学 藤本隆宏モノコックRV(クローズド・インテグラル寄り)
モジュラー (組み合わせ) インテグラル (擦り合わせ) クローズド (囲い込み) 乗用車、オートバイ ゲームソフト、 軽薄短小家電 他 メインフレーム、 工作機械、 レゴ クローズド・インテグラル クローズド・モジュラー オープン (業界標準) 軽薄短小家電、他 レゴ パソコン、同ソフト、 インターネット、 新金融商品、自転車、 オープン・モジュラートラック型RV(クローズド・モジュラー寄り)
トラック型
(ク
ド
ジ ラ 寄り)
モジュラー (組み合わせ) インテグラル (擦り合わせ) クローズド (囲い込み) 乗用車、オートバイ ゲームソフト、 軽薄短小家電 他 メインフレーム、 工作機械、 レゴ クローズド・インテグラル クローズド・モジュラー オープン (業界標準) 軽薄短小家電、他 レゴ パソコン、同ソフト、 インターネット、 新金融商品、自転車、 オープン・モジュラー中国地場企業(吉利)の乗用車(擬似オープン・モジュラー寄り)
モジュラー (組み合わせ) インテグラル (擦り合わせ) クローズド (囲い込み) 乗用車、オートバイ ゲームソフト、 軽薄短小家電 他 メインフレーム、 工作機械、 レゴ クローズド・インテグラル クローズド・モジュラー オープン (業界標準) 軽薄短小家電、他 レゴ パソコン、同ソフト、 インターネット、 新金融商品、自転車、 オープン・モジュラー性能・費用曲線とその拡張 ・・ 技術進歩
性能・費用曲線とその拡張 ・・ 技術進歩
t期 t+1期 t+2期 平均費用 (価格)技術進歩
性能アーキテクチャと性能・コスト曲線
ア キテクチャと性能 コスト曲線
インテグラル型 モジュラー型 中間型 平均費用 (価格) (価格) 性能顧客タイプとアーキテクチャ選択の関係
平均費用 (価格) 価格 包絡線としての性能・コスト曲線 顧客タイプ、アーキテクチャ、許容価格 インテグラル型 性能重視顧客の 性能・価格無差別曲線 ▲ ▲ 価格重視顧客の 性能・価格無差別曲線 性能 価格無差別曲線 性能 モジュラー型 モジュラー型 中間型 インテグラル型 性能 価格無差別曲線 価格重視顧客 の選択 性能重視顧客 の選択 中間的顧客 の選択アーキテクチャと生産費用・調整費用・取引費用
ア キテクチャと生産費用 調整費用 取引費用
組織による調整 市場を通じた取引 平均費用 所与のN(要素数)に対して・・ 平均費用 所与のN(要素数)に対して・・ 調整費用 = b0N+(b1N2)I 取引費用 = c0N+(c1N)I ジ ラ 全要素費用 =生産費用 = a0 1/ N 1 ジ ラ 全要素費用 =生産費用 = a0 1/ N 1 アーキテクチャ・スペクトル モジュラー インテグラル アーキテクチャ・スペクトル モジュラー インテグラル調整メカニズムの選択
平均費用 組織の調整費用 組織の調整費用 市場の取引費用 モジュラー インテグラル 市場を選択 組織を選択 1 1/ N アーキテクチャ・スペクトル顧客タイプ、アーキテクチャ、調整メカニズムの適合関係
顧客タイプ、ア キテクチャ、調整メカ ズムの適合関係
平均費用 (価格) インテグラル 型 市場取引による 性能・コスト曲線 性能重視顧客の 無差別曲線 組織調整による 性能・コスト曲線 ▲ 組織調整による 性能・コスト曲線 性能・コスト曲線 市場取引による 性能・コスト曲線 性能・コスト曲線 性能 モジュラー型 価格重視顧客の性能・価格無差別曲線顧客タイプ、アーキテクチャ、調整メカニズムの適合関係
インテグラル型 平均費用 (価格) 平均費用(価格) 性能重視顧客の 無差別曲線 市場取引による 性能・コスト曲線 ▲ 組織調整による 性能・コスト曲線 市場取引による ▲ 組織調整を選 択 組織調整による 性能・コスト曲線 モジュラー型 価格重視顧客の性能・価格無差別曲線 市場取引による 性能・コスト曲線 市場取引を選 択 性能 モジュラー型 中間型 インテグラル型 価格重視顧客 中間的顧客 性能重視顧客 性能 価格無差別曲線 の選択 の選択 の選択長期継続取引の選択
長期継続取引の選択
平均費用 組織の調整費用 長期継続取引の調整費用 スポット市場の取引費用 モジュラー インテグラル 市場を選択 継続取引を選択 組織を選択 1 1/ N アーキテクチャ・スペクトル競争力の高い産業とは
ー設計の比較優位論ー
組織能力とアーキテクチャの適合仮説-全体の見取り図
企業・事業・現場の担当者の主体的な行為・選択 ものづくりの 適合? 製品・工程 能力構築環境 市場・顧客の 機能・コスト要求 組織能力 (特定地域に偏在) アーキテクチャ (製品ごとに選択) 能力構築競争 社会が課す 制約条件・規制 特定国・特定製品の 比較優位 能力構築能力 製品の技術的・ 構造的な制約 その他の環境条件、偶然事象、他仮説:日本企業が強かった製品アーキテクチャ・・・
「擦り合わせ」と「囲い込み」
「擦り合わせ」と「囲い込み」
モジ ラ グ モジュラー (組み合わせ) インテグラル (擦り合わせ) クローズド 日本企業の強かった分野? 乗用車、オートバイ メインフレーム 工作機械 (囲い込み) ゲームソフト、 軽薄短小家電、他 工作機械 レゴ オープン パソコン、同ソフト、 米国(中国)企業が強い? (業界標準) インターネット、 新金融商品、自転車、 東京大学 藤本隆宏製品のインテグラル度・
製品のインテグラル度
モジュラー度の測定
日本企業は「擦り合わせ製品」で強い 日本企業は「擦り合わせ製品」で強い 輸出比率 輸出比率 インテグラル・アーキテクチャ度 東京大学 大鹿隆・藤本隆宏
仮説:得意アーキテクチャの「地政学」的な分布
歴史や初期条件の違いにより、
特定の組織能力が国ごとに偏在する傾向がある。
→ 相性の良い「得意アーキテクチャ」が異なる
日本 統合力
擦り合わせ製品(オペレ シ ン重視)
日本:統合力 → 擦り合わせ製品(オペレーション重視)
欧州:表現力 → 擦り合わせ製品(デザイン・ブランド重視)
アメリカ:構想力 → モジュラー製品(知識集約的)
韓国:集中力 → モジュラー製品(資本集約的)
中国:動員力 → モジュラー製品(労働集約的)
中国:動員力
モジュラ 製品(労働集約的)
ASEAN・定着力? → 労働集約的な擦り合わせ製品 (中国と違う?)
台湾:転換力? → モジュラーと擦り合わせの柔軟な切替・使い分け
東京大学 藤本隆宏環太平洋での競争優位:擦り合わせ軸とモジュラー軸
擦り合わせ軸
わ
日本
韓国
モジュラー軸
中国(華南)
台湾
US
韓国
インド
ASEAN
インド
統合型の「ものづくり」と「ひとづくり」
統合型の「ものづくり」と「ひとづくり」
- ものづくりインストラクターの養成 -
ものづくりインストラクタ の養成
21世紀の産業人材育成に対する私見
企業における「
強いオペレーション
」と「
強いストラテジー
」の両立
ものづくりの強みをしっかり収益に結び付ける「
戦略構想力
」
そのために必要な人材は・・・
(1)
戦略の概念を理解する技術屋
(理科系)
(2)
技術屋さんと有意義な対話のできる事務屋
(文科系)
そのために文科系(経済・経営系など)に必要なこと・・・
学部における「
ものづくり経営学の教育
」・・理系との連携も
学部における「
ものづくり経営学の教育
」・・理系との連携も
それを前提にした「
泥臭い(問題発見型)エリート教育
」
その延長線にある
大学院教育の拡充
東京大学 藤本隆宏「ベテラン」 を 「ものづくりインストラクター」 に再生せよ
少子化の中での国力の維持 ・・・ 結局 平均の生産性を上げるしかない 少子化の中での国力の維持 ・・・ 結局、平均の生産性を上げるしかない 生産性の高い「競争貫徹部門」から競争力の低い「競争不全部門」への 圧倒的な規模でのものづくり知識の移転が 今後十年以上の課題ではないか 圧倒的な規模でのものづくり知識の移転が、今後十年以上の課題ではないか 生産性 高 ものづくり知識 ・・・「越谷郵便局で教えるトヨタ」 貫徹 不全 低 ものづくり知識 「2007年問題」は、むしろチャンス。 競争貫徹部門から 戦錬磨 「も づくりシ が大量 くる 十数% 数十% ・・・競争貫徹部門から、百戦錬磨の「ものづくりシニア」が大量にでてくる。 「自分の工場のことしかわからんからなあ」と言っている彼らを、 ものづくりインストラクタ として再生するには ものづくりインストラクターとして再生するには、 フォーマルな再教育が必要。 「師範学校」と「虎の巻」が必要。 東京大学 藤本隆宏ものづくり現場人材ロードマップ:各世代の課題
10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 若年失業者 引退者: 不本意? 自適? 失業 就職 失業者:焦燥・絶望? 引退 引退 就職 若年失業者: 不適応? 派遣等 再就職 継続 引退 非正規従業員 リセット人生? 登用 競争貫徹企業の 若年正規従業員 教育訓練不足? 競争貫徹企業の正規従業員 過労? 継続 雇用者 継続 再生 新卒 就職 就学者 ものづくり 教育 足 競争貫徹他社の 若年正規従業員 教育訓練不足? 定年退職者 → ものづくり継続従事者 生現役 競争貫徹他社の正規従業員 過労? 転職 再生 再生 就職 教育不足 転職 競争不全産業の正規従業員 教育訓練不足? 一生現役? 転職 再生 東京大学 藤本隆宏 競争不全産業の正規従業員 過労?競争力不足? 引退・転職・他ひとづくりに関するわれわれの現状認識:
「ものづくりインストラクター」の大量育成が必要
ものづくりインストラクターへの需要は膨大にある 自社の技能伝承 増加する派遣 期間 対する現場指導 増加する派遣・期間工に対する現場指導 増加する海外拠点での現場指導 取引先のサプライヤーから頼まれての現場指導 他業種から頼まれての現場指導 (トヨタ → 越谷郵便局) 固有技術は応用範囲に限界があるが、現場管理技術はどこでも使える。 実は供給も多い。30~40台は忙しくて無理。しかし、50台後半~60台は? 会社が小さかったころに経験を積み、知識の幅は若手をしのぐ。質・量ともに十分。 2007年問題は、2007年チャンス! 本人の年金の足しにもなる。生きがいにもなる。50代後半のモラールアップも。 本 年 足 。 。 代後半 ラ 。 安い歩合給で喜んで教えてくれる「金の卵」。 当面、日本の生産性向上は、もの づくりシニアが牽引する。 • そのためには、全国規模で、大々的に、「ものづくりインストラクター育成」を!そのため は、全国規模で、大 的 、 もの くりイン トラクタ 育成」を 東京大学 藤本隆宏良い現場を日本に残そう
ある「しぶとい自動車組立工場」の風景(2009.3)
•
月当たり生産量は、08年6月に比べて、70%以上減少
•
約20%いた非正規従業員(期間工)は期間満了でゼロに
•
正社員は削減せず
・・・ 半年勝負の篭城戦?
•
正社員は削減せず
・・・ 半年勝負の篭城戦?
•
1日2交替から1交替制へ。現場からは人を半分以上抜く
•
現場からは躊躇なく人を抜くが、会社からは抜かない。
•
余剰社員は、
余剰社員は、
再教育、多能化訓練、標準作業表見直し、改善
再教育、多能化訓練、標準作業表見直し、改善
などに投入
などに投入
•
能力構築、継続改善、ローコスト自動化、整理整頓清掃などは緩みなし
•
現場も社長も、「
会社はピンチだが、現場は能力構築のチャンス
」とみている
東京大学 藤本隆宏日本に「良いものづくり現場」を残そう
「ものづくり現場」とは、付加価値が流れる空間である。
良いものづくり現場 =
良い設計・良い流れを生み出す現場
国際的に見れば相対的に高い、
国際的に見れば相対的に高い、
日本住民の賃金・所得を支えるのに十分な、
高水準の生産性・品質・納期を安定的に実現する場を指す。
しかも、その能力構築・競争力向上が常に続く 「
進化する現場
」。
生産現場(工場)のみならず 設計 販売 サ ビスの現場も含む
生産現場(工場)のみならず、設計・販売・サービスの現場も含む。
良 も
づくり現場は
良いものづくり現場は、
日本住民の生活水準、安定雇用、生きがい、能力向上(ひとづくり)
を支える、
最も基礎的な単位である。
東京大学 藤本隆宏日本に残るべき工場とは?
高品質は大前提。生産性の絶対優位を維持する工場のうち・・
①比較優位をもち世界で勝負できる
高生産性工場 (C)
(
年で生産性 倍の 社
工場)
(10年で生産性8倍のA社PC工場)
②国内需要に敏感・迅速に応える
高感度工場 (T)
②国内需要に敏感 迅速に応える
高感度工場 (T)
(受注から納品までSMT含め2日のB社工場)
③国内の設計比較優位を支える
開発工場
(Q)
(設計のために工場が残る、という逆転の発想)
技術移転に特化したマザー工場(レッスンプロ)は、長期存続は難しい。
国内市場専用工場としてでも、「絶対優位工場=戦うマザー工場」を残せ!
国内市場専用工場としてでも、「絶対優位工場
戦うマザ 工場」を残せ!
東京大学 藤本隆宏まとめ
ー 次の世代に望むこと -
ものづくり現場の能力構築から攻める愚直な戦略を
結果としての お客が評価する お客から見えない 他社が簡単に真似できない 能力構築競争 裏の競争力 表の競争力 収益力 結果としての 会社の儲け・株価 お客が評価する 製品の実力を測る指標 お客から見えない 現場の実力を測る指標 他社が簡単に真似できない ものづくり現場の実力 統合型ものづくり 組織能力 裏の競争力 表の競争力 収益力 相 組織能力 統合型ひとづくり (多能工が中心) 相 性 (多能工が中心) 統合型 IT構築 (協調環境対応) 統合型設備作り (ローコスト自働化) ものづくり発の 営業・販売の オペレーション力 本社のその他の 本社の 戦略構想力 東京大学 藤本隆宏 ものづくり発の ブランド力 本社のその他の 組織能力世界の中の、日本のものづくりの特徴は?
歴史その他の理由で、日本には、多能工(いろいろな仕事が出来る従業員)のチーム ワークで良い設計・良い製品・良いプロセスを生み出す「統合型」のものづくりが得意な ワ クで良い設計 良い製品 良いプロセスを生み出す 統合型」のものづくりが得意な 現場が多いです。これは、例えば「分業型」が得意なアメリカとは一味違う。 その結果、そうしたチームワークが生きる製品、例えば自動車、アニメーション、超小 型家電製品など、「すり合わせ型製品」が得意である。 こうして、日本は、円高、不況、少子高齢化などの課題を抱えつつも、GDP比10%以上 の輸出と、数兆円の貿易黒字を出し続ける、環太平洋地域では唯一の「すり合わせ大 ある 特色 今後も 本 持ち味 あり続 るだ う 国」である。この特色は、今後も日本の持ち味であり続けるだろう。 東京大学 藤本隆宏ものづくりに関し、
日本の企業が今なすべき事は?
日本の企業が今なすべき事は?
日本が得意とする 日本ならではの「ものづくり」で 良い設計 良い
日本が得意とする、日本ならではの「ものづくり」で、良い設計、良い
製品、良い流れを生み出し、それで、日本や世界の社会、消費者に
貢献し、同時に、日本や世界に、働きがいのある良い職場を生み出
貢献 、同時 、
本
世界 、働
あ 良 職場を
していくことである。
東京大学 藤本隆宏これから活躍する学生さんにのぞむこと
日本の先人・先輩が作り上げた組織能力を大事にしつつ、皆さんの世代は、さらに新た な能力を構築し、人口が伸びない中でも、世界の中で一目置かれる、ものづくり大国と な能力を構築し、人口が伸びない中でも、世界の中で 目置かれる、ものづくり大国と しての実力を、プライドを持って維持発展してもらいたい。 とくに、21世紀は環境の世紀。環境保護に必要な技術は、その多くが、日本が得意とす るタイプの「すり合わせ型」の技術だ。個々で力を発揮すれば、世界の環境問題に貢献 しつつ、日本の経済力や存在感も維持できる。 それには、文理融合の広い視野を持つ必要がる。強いサッカーチームのように、チーム ワークを生かし、良い設計、良い流れで、世界の環境問題などへの貢献を常に考える 人になってもらいたい。 東京大学 藤本隆宏参考文献 製品開発の基本的「成功パターン」とは何か(自動車) 製品開発の基本的「成功パタ ン」とは何か(自動車) → 藤本・クラーク『製品開発力』ダイヤモンド社 効果的製品開発手法の異なる産業間での比較(コンピュータ、医薬、他) → 藤本・安本共編著『成功する製品開発』有斐閣 トヨタ自動車の強さの源泉は何か? → 藤本『生産システムの進化論』有斐閣 製品アーキテクチャのコンセプトを戦略に活かすこと → 藤本・武石・青島編『ビジネス・アーキテクチャ』有斐閣 系 系 溝を を 生産管 技術管 教科書 文系・理系の溝を埋めることをねらった生産管理・技術管理の教科書 → 藤本『生産マネジメント入門(上)(下)』日本経済新聞社 自動車産業はなぜ強かったのかを問う同時代史 → 藤本『能力構築競争』中公新書 自動車産業はなぜ強かったのかを問う同時代史 藤本『能力構築競争』中公新書 ものづくり現場発の戦略論の提案 → 藤本『日本のもの造り哲学』日本経済新聞社 対中国戦略 キ ク 論 応 対中国戦略へのアーキテクチャ論の応用 → 藤本・新宅編著『中国製造業のアーキテクチャ分析』東洋経済新報社 サービス業にも広がる「開かれたものづくり」 → 藤本他『ものづくり経営学』光文社新書 サ ビス業にも広がる 開かれたものづくり」 → 藤本他『ものづくり経営学』光文社新書 日本の強いプロセス産業への応用 → 藤本・桑嶋編『日本型プロセス産業』有斐閣