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空調システムにおける不具合検知・診断ツールの開発と導入効果 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)空調システムにおける不具合検知・診断ツールの開発と導入効果 金 1. はじめに. 栽弘. N. 建築分野の二酸化炭素の排出量を削減するためには 運用・保守段階でのエネルギー管理が不可欠である。 空調システムに不具合が発生すると室内環境の悪化や エネルギーの浪費、機器の寿命短縮を引き起こす恐れ があり、迅速に発見して正常の状態に戻す必要がある。 本研究では、空調システムに生じうる不具合がシステ ムに与える影響を明らかにし、より効率的に不具合を 図 1 基準階平面図(単位:m m ) 表 1 建物モデルの概要. 検知するためのツールを開発する。そしてシミュレー ションによって開発した不具合検知・診断ツールの導.   所在地   階数   延べ床面積   基準階床面積   基準階事務室床面積   階高   天井高   窓面積比. 入効果を検討する。 2. 空調システムシミュレーションモデルの構築 2.1 検討対象システム. 表 2 空調機器の使用. 本報では、日本建築学会オフィス用標準問題の建物モ デル. 東京 地上10階 8265.6㎡ 826.56㎡ 605.16㎡ 3.6m 2.6m 30%. 機器仕様 冷却能力 228kW 加熱能力 172kW 定格電力 66kW 定格流量 55.6m3/h 定格電力 5.7kW 定格流量 90m3/h 定格電力 15kW 送風量 8000m3/h 冷却能力 52.3kW 冷温水量 9m3/h 定格電力 5.75kW. 名称 空冷式ヒートポン プチラー. 1). を基に作成した建物を対象にし、空調システム. は一般的な中央供給方式を採用している。4 台の空冷式. 一次ポンプ. ヒートポンプチラーは ON/OFF 運転を行い、東と西の 2. 二次ポンプ. 系統に分けて制御を行う。室温は VAV ユニットによっ. エアハンドリング ユニット. て制御する。図 1、表 1に対象とした建物の基準階平面 図と建物モデルの概要を示す。表 2、図 2に空調機器の. T. 空調機. 仕様とシステム系統図を示す。. 冷 温 水 コ イ ル. SA. 2.2 不具合運転のモデル化. T. ファン. 台数 4 4 2 10×2. RA OA. 対象システムに発生すると想定できる不具合を表 3に 東系統から 東系統へ. 示す。水側では熱源の性能低下、台数制御や故障によ. 西系統へ. る停止、機器の排熱や熱がこもることによる熱源周辺 温度上昇、送水ポンプの性能低下と管内流量減少など. T. が上げられる。そして熱交換を行うエアハンドリング T. ユニットでは熱交換効率の低下やファンの性能低下に T. よる風量減少が考えられる。また、室温制御を行う VAV T. ユニットではダンパ開度固定による制御不全があげら れる。またシステムにある多くのセンサーの不具合に 不具合は発生パターンから大きく 3 つに分けられる。 ないか、竣工時の性能と異なる場合の不具合。 2) 偶発故障型:運用段階で制御、設定の誤りや機器の 損傷などによって故障した場合の不具合。 3) 摩耗故障型:不純物の蓄積や部品の老朽化による不 具合。発生まで時間を要する。. 空冷式 ヒートポンプ チラー 空冷式 ヒートポンプ チラー. 一次ポンプ. 一次ポンプ. 空冷式 ヒートポンプ チラー. 一次ポンプ. 空冷式 ヒートポンプ チラー. 一次ポンプ. 図 2 空調システム概要. よる設定温度不全がある。 1) 初期故障型:設計時の設定値がシステムに適してい. 西系統から. 二次ポンプ. 表 3 空調システムにおける不具合項目 発生場所. 不具合項目 ①性能低下 熱源 ②熱源停止 ③熱源周りの温度上昇 水側 ポンプ ④1次ポンプ性能低下 ⑤2次ポンプ性能低下 ⑥コイル熱交換性能低下 AHU ⑦コイルバルブ開度固定 ⑧給気風量低下 空気側 VAV ⑨ダンパの開度固定 ⑩室温設定不全 通信系 ⑪熱源冷温水製造温度 ⑫給気温度不全. 44- 1. 備考 冷却・加熱能力低下 4台中一部のみ運転 機器排熱による. 分類 摩耗 偶発 初期. 送水能力低下. 摩耗. フィンの目つまり、コイル汚れ 物理的固定、PI制御不能 ファンの性能低下 物理的固定、PI制御不能 センサーでの温度測定不全 や制御・設定値通信での不 全. 摩耗 偶発 摩耗 偶発 偶発.

(2) 本研究で考慮した対象システムに発生しうる 12 個の. 室内温度(正常) 室内温度(不具合). 35. 温度[℃]. 25 20 15. って検討した。図 3 に熱源に関する 2 つの不具合の計. 0. 6. 算結果を示す。計算結果は正常状態と比較するため、. である。冷却・加熱能力の定格値に一定の低下率をか. 0. 24h. 0. 給気温度 (不具合 ) 給気風量 (不具合 ). 8000. 30. 6000. 20. 4000. 10. 2000. 0. 0. けて求めた。また、4 台の熱源が同じ低下率を持つと仮. 6. 12. 12. 18. 24h. 熱源運転台数(正常) 運転台数(不具合). 3 2 1. 0. 18. 6. 4. 風量[m3/h]. 温度[℃]. 能力低下などが原因で起こる摩耗故障型不具合の一例. 18. 給気温度 (正常) 給気風量 (正常). 40. 時系列で示した。①熱源性能低下は熱源内の圧縮機の. 12. 10. 運転台数[台]. 具合がシステムに与える影響をシミュレーションによ. 熱源出口温度(正常) 熱源出口温度(不具合). 20. 30. 温度[℃]. 項目は上記の 3 つの分類にすべて属する。これらの不. 外気温度. 0. 24h. 0. 6. 12. 18. 24h. ① 熱源性能低下(60%). 定して計算した。その結果、夏期に熱源の性能が 60%. 室内温度(正常) 室内温度(不具合). 35. 低下したとき、室温にはほとんど影響を与えないが、. 20 温度[℃]. 25 20 15. 0. 加する。 一方、偶発故障型と思われる②熱源停止の不具合は、. 6. 0. 24h. 0. 給気温度 (不具合 ) 給気風量 (不具合 ). 8000. 30. 6000. 20. 4000. 10. 2000. 0. とが分かる。それは給気温度の上昇を招き、室内側に. 0. 6. 12. 12. 18. 24h. 熱源運転台数(正常) 運転台数(不具合). 3 2 1. 0. 18. 6. 4. 風量[m3/h]. 温度[℃]. 18. 給気温度 (正常) 給気風量 (正常). 40. 次側負荷に及ばず、水側全体の水温が上昇しているこ. 12. 10. 運転台数[台]. 転しているため、熱源でのエネルギー消費が大きく増. 熱源が 4 台中 1 台のみ運転を行うとき、生産熱量が 2. 熱源出口温度(正常) 熱源出口温度(不具合). 30. 温度[℃]. 熱源での冷水製造がほとんど行われず常に 4 台とも運. 外気温度. 0. 24h. 0. 6. 12. 18. 24h. ② 熱源停止(1 台). も影響を及ぼしている。熱源側での電力消費量は大き. 図 3 熱源の不具合がシステムに与える影響. 10 5 0 -5 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 10. 日積算電力消費量偏差[%]. を低下させることで、その他の不具合は制御値や設定. 15. 基準階日平均室温偏差[℃]. 機器の性能低下の不具合は 5%から 90%まで定格能力. 日積算電力消費量偏差[%]. 上記の 12 項目の不具合を様々な度合いで計算した。. 20. 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1. 0 -10 -20 -30 -40 -50. 90. 1. ⑤二次ポンプ性能低下 -20 -30 -40 -50 -60 10. 日積算電力消費量偏差[%]. できると思われる。例えば、熱源性能の場合は 60%低 下を境に急激な変動を示しているため、60%∼90%を中 心に検知すると精度をより高めることができる。. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 15. 25. 3. 不具合検知・診断ツールの開発. 35. 45. 55. 65. 20 15. -40. 10. -60. 5 0. -100 10 10 8 6 4 2 0 -2 -4. 5. 0 -20. -80. 90. ⑦コイルバルブ開度固定. 20 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60. 日積算電力消費量偏差[%]. 35 30 25 20 15 10 5 0 -5. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90. -5. ⑫給気温度設定不全. 0. 日積算電力消費量偏差[%]. の変動を知ることで不具合の検知に役立たせることが. 0 -10. 基準階日平均室温偏差[℃]. を横軸とした計算結果を図 4 に示す。このような偏差. 3. ⑥コイル熱交換性能低下. 基準階日平均室温偏差[℃]. 日積算電力消費量偏差[%]. 値を変化させることで計算を行った。不具合の度合い. 2. 基準階日平均室温偏差[℃]. ②熱源停止. ①熱源性能低 160 140 120 100 80 60 40 20 0. 30 25 20 15. -5 -10. 10 5 0 -5. -15 -20. 75. 基準階日平均室温偏差[℃]. ため不具合とみなす。. -6. 基準階日平均室温偏差[℃]. く削減されているが、室内側の快適性に影響を及ぼす. 4. 10. 値として計算された出力値を比較することで成り立っ. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. ②熱源停止. 10 -10 -20 -30 -40 -50. 90. 1. -30 -40. 1 0 -1. -50 -60 10. 2). 日積算電力消費量偏差[%]. と迅速性を両立させるため HASP/ACLD/8501 により 建物負荷を取り入れた空調システム全体のシミュレー ションを用いて、不具合の発生場所の範囲を絞り込む. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 15. 25. 35. 45. 55. 65. 3. 10 10 8 6 4 2 0. 75. 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1. 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60 -70 -80 -90. 90. -2 -4 5. ことを目標としている。不具合検知・診断ツールの構. 20. ⑦コイルバルブ開度固定. 20 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60. 日積算電力消費量偏差[%]. 6 5 4 3 2. -20. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90. ⑫給気温度設定不全 日積算電力消費量偏差[%]. 莫大な労力と時間を要する。本研究では、検知の精度. 0 -10. 基準階日平均室温偏差[℃]. 要素機器すべてを個々に検知しないといけないため、. 2. ⑥コイル熱交換性能低下. 基準階日平均室温偏差[℃]. 日積算電力消費量偏差[%]. ⑤二次ポンプ性能低下. ている信頼度の高い手法である。しかし、この手法は. 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 -0.1. 0. 0. 6 5 4 3 2 1 0 -1. -5 -10 -15 -20 -6. -3. 0. 3. 6. 9. b. 室温、熱源・システム全体電力消費量の変動. 成を図 5に示す。. 図 4 度合いによる正常値との偏差の変動(夏期) 44- 2. 基準階日平均室温偏差[℃]. 要素機器のシミュレーションモデルから実測値を入力. 7 6 5 4 3 2 1 0 -1. 基準階日平均室温偏差[℃]. ている。既往の検知手法であるモデルベース手法は、. ①熱源性能低. 160 140 120 100 80 60 40 20 0. 12. 基準階日平均室温偏差[℃]. 日積算電力消費量偏差[%]. 空調システムは非常に多くの要素機器から構成され. 日積算電力消費量偏差[%]. 3.1 ツールの開発方針. 基準階日平均室温偏差[℃]. a. 給気温度、室温、熱源電力消費量の変動.

(3) 3.2 検知方法 構築した空調システムシミュレーションを用いて正 常状態の計算を行い、予め選定した不具合項目を様々 な度合いに応じてすべて計算してその偏差を求める。 そして実際の運転データを用いて、正常状態の計算値 との偏差を求めてその偏差をツールによって比較する。 ここで、利用するデータは簡単に手に入るものを使う。 3 つの偏差を軸とした 3 次元空間を構築し、そこに計算 値をプロットする。温度や電力消費量などを同じ軸で 考慮するため、偏差それぞれの最大値で割ることで無. 図 5 ツールの構成. 次元する必要がある。このとき、実際の運転データの 点と度合いに応じた不具合計算値との距離が最も近い ものが発生した不具合だと考えられる。その概念を図 6 に示す。偏差を軸と取ったため、原点は正常値となり そこから一定の範囲を正常と見なす。しかし、どの程 度のデータを不具合に見なすかは難しくここでは検知 レベルを導入した。A を 0.2、B を 0.3、C を 0.4 に設定 して検知を行う。その概念を図 7 に示す。A 場合、検 知頻度は上がるが信頼度は低い。C の場合、検知精度 は高いが検知までの所要時間が長くなる。. 図 6 不具合検知法の概念図. 4. 不具合検知・診断ツールの導入効果 開発した不具合検知・診断ツールを導入した際の検 知精度及びエネルギー削減効果について検討を行った。 今回は実際の運転データがないため、不具合スケジュ ールを組み、計算によって不具合運転データを作成し た。 4.1 検討方法 前述した 12 個の不具合項目がシステムに一項目ずつ 発生すると仮定し、不具合スケジュールによって発生 日はランダムにした。摩耗故障型の不具合は経過日数 に対する二次関数によって発生させた。今回の検討で. 図 7 検知レベルの概念図. は機器の性能が 1 年に渡って 10%まで低下するように. 表 4 不具合スケジュールによる設定値. 係数を設定した。偶発故障型の不具合は一定の固定値 摩 耗 故 障 型. を与えて計算した。不具合スケジュールによる設定値 を表 4 に示す。ツール未導入時は不具合発生から 1 年 間の計算を行う。ツール導入時は不具合が検知した時 点で正常な設定値にもどして残りの 1 年間を計算する。 今回は 3 つの検知ツールを用意した。その概要を表 5 に示す。3 つのツールのうち 1 つでも当てはまると検知 されたと見なす。検知レベルは B に設定した。ツール. 偶 発 故 障 型 初期. の導入効果を判断するため、エネルギー面ではツール. 不具合項目 設定値 ①熱源性能低下 0∼90%低下  ④一次ポンプ性能低下 -6 2  ⑤二次ポンプ性能低下 (α=6.75×10 ×d )  ⑥コイル熱交換性能低下 365日で90%低下 ⑧給気ファン性能低下 ②熱源停止 1台のみ運転 ⑦コイルバルブ固定 30%に固定 ⑨VAVダンパ固定 30%に固定 ⑩室温設定不全 -3℃ ⑪熱源冷温水製造温度不全 +5℃ +3℃ ⑫給気温度設定不全 ③熱源周り温度上昇 +10℃. 表 5 検知ツールの検討偏差. 導入時と未導入時の年間積算電力消費量の偏差をもっ. 検知 考慮項目 ツール 偏差1 偏差2 偏差3 検知1 システム日積算電力消費量 熱源日積算電力消費量 日平均室内温度 検知2 熱源日積算電力消費量 日平均熱源出口温度 日平均室内温度 検知3 熱源日積算電力消費量 日平均給気温度 日平均室内温度. て考慮し、快適性の観点からは空調時間帯の平均室温 と設定温度の偏差をもって検討を行う。 44- 3.

(4) 4.2 導入効果. 表 6 不具合検知・診断ツールの検知結果. 検知結果を表 6 に示す。性能低下の不具合は発生時. 不具合項目  ①熱源性能低下  ②熱源停止  ③熱源周り温度上昇  ④一次ポンプ性能低下  ⑤二次ポンプ性能低下  ⑥コイル熱交換性能低下  ⑦コイルバルブ固定  ⑧給気ファン性能低下  ⑨VAVダンパ固定  ⑩室温設定不全  ⑪熱源冷温水製造温度不全  ⑫給気温度設定不全. 期によって検知までの所要時間にかなりの差が見られ る。それは初期の低下率が低いことと冷暖房負荷が少 ない中間期には比較的に電力消費量や室温への影響が 少ないからである。また、室温にすぐ影響を及ぼす不 具合は早く検知される傾向がある。考慮項目の偏差を 無次元化するため、変動の幅が少ない室温の方が検知 されやすいからである。また、このシステムはポンプ. 発生日 検知日 所要時間検知ツール 7/12 7/13 2日 検知1 8/1 8/1 1日 検知1 7/29 8/3 6日 検知1 4/19 8/26 129日 検知2 10/18 3/16 210日 検知1 8/20 12/16 118日 検知1 5/27 5/30 4日 検知1 9/5 11/24 60日 検知3 2/10 3/1 20日 検知1 12/5 12/4 1日 検知2 3/30 4/8 10日 検知1 1/30 1/31 2日 検知3. 及びファンの搬送側は定格運転を行うため、搬送側の 熱源. 一次ポンプ. 源の運転台数が増えるため、検知によって熱源側のエ ネルギー消費量が 11.7%と大きく削減された。この不具 合項目は機器の性能が 60%低下を境に室温側にも影響 を及ぼすため、60%に低下する 300 日目からは室温の平. 800 700. 0. 300 200. ツール未導入. に大きく削減されることが分かる。⑦コイルバルブ開. 0. ツール導入. 0.1K. 0.3. ツール未導入. ツール導入. b. 平均度差差. 一次ポンプ. 二次ポンプ. 4.8%. 900. 2. ファン. 温度差[K]. 熱源. 800. 1.5. 冬期 1.5. 0.9K. 1. 0.6 0.5. 700. 0. 600 500 400 300 200. 度固定の不具合は、普段 PI 制御によって必要な 2 次側. 0.4. ツール導入. 夏期 0.4. 0.3. 0.1K. 0.3. 0.2 0.1. 100 0. ツール未導入. 0.5. 温度差[K]. 年間積算電力消費量[MkWh]. た。とくに 1 月、2 月、8 月と冷暖房負荷が大きい時期. 0.2. 0.2. ①熱源性能低下. 1000. する指標として取り入れた平均温度差は大きく減少し. 0.3. a. エネルギー消費量. いことになる。②熱源停止の不具合は熱源 1 台のみ機. ギー消費量は 4.8%増加した。しかし、室内環境を判断. ツール導入. 夏期. 0.1. 平均温度差が大きいほど室温が基準値を満たしていな. て、検知ツールが導入され回復することによりエネル. ツール未導入. 0.4. 100. 室温の設定値との偏差の絶対値を平均したものである。. 動するため熱源での電力消費量は減少する。したがっ. 0.2. 0.5. 400. 0.6. 0.4. 500. 0. 0.6. 0.6. 600. 均温度差にも削減が見られた。ここで平均温度差とは、. 冬期. 1 0.8. 温度差[K]. ①熱源性能低下の不具合は冷暖房負荷を賄うために熱. ファン. 900. 年間積算電力消費量[MkWh]. ない。図 8にツールの導入効果の計算結果をまとめる。. 二次ポンプ. 11.7%. 1000. 温度差[K]. 不具合がない限り搬送側の電力消費量の変化は見られ. ツール未導入. 0. ツール導入. ツール未導入. a. エネルギー消費量. 流量決めるものが固定されることで給気温度に大きな. ツール導入. b. 平均温度差. ②熱源停止(1台運転). 影響を及ぼす。しかし熱源側ではわずかに電力消費量 熱源. た。 5. おわりに 本報では、空調システムにおける不具合の影響を明. 二次ポンプ. 0.8. 0.5%. 900 800 700. 0.6. 0.2 0. 500. 1. 400 300 200. 0. 0.6. 0.6. 0.4. 600. 100. らかにし、それがシステムに及ぼす影響を検討した。. 冬期. 1. ファン. 温度差[K]. 減少した。特に暖房時より冷房時に改善効果がみられ. 年間積算電力消費量[MkWh]. 量は 0.5%増加した。一方、室温側では、平均温度差は. 一次ポンプ. 1000. 温度差[K]. が減るため、検知することによって年間積算電力消費. 0.8. ツール未導入. ツール導入. 夏期 0.7. 0.6. 0.4K. 0.4. 0.3. 0.2. ツール未導入. ツール導入. a. エネルギー消費量. また、不具合を検知するためのツールの開発を行い、. 0. ツール未導入. ツール導入. b. 平均温度差. ⑦コイルバルブ開度固定(30%). その効果をシミュレーションにより検討した。その結 図 8 不具合検知・診断ツールの導入効果. 果、今回想定した 12 個の不具合項目は電力消費量より 室内環境に影響を及ぼすものが多く、ツールを導入す. 【参考文献】. ることによって室内環境を快適に保つことに役立てる. 1) 滝沢博:標準問題の提案(オフィス用標準問題) ,日本建築学会環境工 学委員会 熱分科会第 15 回シンポジウム,pp.35-42, 1985 年 2) 松尾陽:HASP/ACLD/8501 解説、( 社) 建築設備技術者協会、1986.2 3) 宋 永学、他:空調システムの不具合検知・診断ツール開発に関する基 礎研究、日本建築学会環境系論文集 No.607、pp.72-76、2006 年 9 月. と思われる。また、不具合項目によっては年間最大 11.7%のエネルギー削減効果が見られた。. 44- 4.

(5)

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