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口腔粘膜上皮におけるイオンチャネル transient receptor potential vanilloid 4 の機能解析

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

口腔粘膜上皮におけるイオンチャネル transient receptor potential vanilloid 4 の機能解析

吉本, 怜子

http://hdl.handle.net/2324/2236154

出版情報:九州大学, 2018, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:

権利関係:やむを得ない事由により本文ファイル非公開 (2)

(2)

(様式6-2)

氏 名 吉本 怜子

論 文 名 口腔粘膜上皮におけるイオンチャネル transient receptor potential vanilloid 4 の機能解析

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 重村 憲徳 副 査 九州大学 教授 自見 英治郎 副 査 九州大学 教授 中村 誠司

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

生体の最表層を覆う粘膜と皮膚は、外部環境の変化を感知し、変化に適応しながら生体内部の恒 常性を維持するバリアとして機能している。口腔粘膜は温度や pH の変化、機械的刺激や微生物の 感染など、多様な刺激に曝されており、粘膜のバリア機能の破綻は歯周病や口腔粘膜疾患などを引 き起こす可能性がある。ゆえに、上皮における環境変化の影響を理解することは疾患制御への重要 なアプローチと考えられる。そこで本研究では、口腔内の温かい温度で活性化するカルシウム透過 性のイオンチャネル transient receptor potential vanilloid 4 (TRPV4) に着目し、TRPV4 が口腔 粘膜の上皮バリア機能に与える影響について検討した。

まず、ヒト口腔粘膜における TRPV4 の機能と感覚との関係を明らかにするため、シェーグレン 症候群診断のための口唇生検組織を対象とした。口腔粘膜の痛み感覚異常を訴える患者の口唇粘膜 では上皮内への著明な炎症性細胞浸潤が認められ、上皮の水腫様変性が観察された。上皮の変性部 位では TRPV4 発現が低下し、細胞間接着分子であるE-cadherinとβ-catenin の発現が不整であ ったことから、TRPV4 を介した adherens junction 形成が損なわれていることが示唆された。次

に、TRPV4 の口腔上皮における生理機能を明らかにする目的で、遺伝子欠失マウス (TRPV4KO)

および野生型マウス (WT) を対象として細胞間接着、細胞移動、増殖への影響を調べた。マウス口 腔上皮の上皮基底細胞層にはTRPV4の発現が著明にみられ、単離口腔上皮細胞は TRPV4 を介し た温度感受性を示した。次に初代培養口腔上皮細胞の細胞間接着における温度の影響を調べた。WT 細胞では31℃に比して37℃で緊密な細胞間接着が認められたが、TRPV4KO 細胞ではいずれの温 度でも不規則な接着を呈した。細胞間接着への影響は TRPV4 の薬理学的な刺激によっても確認さ れ た 。 細 胞 移 動 ア ッ セ イ お よ び 生 細 胞 イ メ ー ジ ン グ に よ る 細 胞 移 動 の 解 析 で は 、WT に 比 べ

TRPV4KO で有意に細胞移動が亢進していた。また、Ki67 免疫染色および細胞数計測により、

TRPV4KO では WT に比べ 細胞 増殖 亢進 が 認めら れた 。マ ウス 口 蓋創傷 モデ ルの 解析 で は、

TRPV4KO では WT に比べ再上皮化が速やかであった。さらに、TRPV4 活性化によりアクトミ

オシン収縮力の指標となるミオシン調節軽鎖のリン酸化が低く抑えられていた。

以上の結果から、TRPV4 はアクトミオシン収縮力の調節を介して細胞間接着を促進し、細胞の移 動と増殖を制御しながら上皮恒常性維持に寄与していることが示唆された。これらの知見には新規 性があり、博士(歯学)の学位授与に値する。

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