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キトラ古墳の予備調査

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Academic year: 2021

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キトラ古墳の予備調査

はじめに

2001年3月の明日香村の調査にひき続き2001年12月6 日、文化庁はキトラ古墳の予備調査を行った。当研究所 は文化庁からの正式依頼を受け、これに協力した。

今回の調査は、前回の調査成果をふまえ、発掘および 壁画保存処理の際に壁画を傷めずに石榔内へ安全に入る 事ができるかどうかを検討するために実施した。そのた め、南壁全体を実測し、盗掘坑の形状を知るのが主たる 目的であった。また、前回よりカメラの性能が上がった こと (400万画素)、撮影用ポールの長さが長くなったこ と(全長4m)などから、各所の、より詳細なデータを 得るべく撮影調査を行った。その結果、南壁の幅、朱雀 の位置などは判明したが、当初の目的であった盗掘坑の 形状および南壁の高さは、盗掘坑からの多量の土砂の流 入により正確な形状を得ることができなかった。

画像か

5

の主な所見

南 壁 天 井 と 南 壁 と の 聞 に は 約2cmの隙聞がある。

盗掘坑打ち欠き上部の漆喰が浮き上がり、剥落寸前であ る。朱雀の位置、大きさが判明。羽先の先端は盗掘坑に より欠損。

西 壁 白虎のほぼ正面からの画像が撮影できた。西壁 奥の人物像らしき画像の部分撮影ができたが、顔部分は 完全に剥落。漆喰の状態は白虎の頭部前方上が特にひど く、かなり浮き上がって剥落寸前である。西壁の木口部 分には南壁をはめこむための朝り込みらしき形跡がある。

北壁複数の人物像らしき画像の部分撮影ができたが、

顔はいずれも確認できない。玄武の一部に緑色の顔料ら しきものを確認。漆喰の状態は他の壁面より比較的安定 しているように見受けられる。

東壁人物像らしきものは、検討結果から獣面人身像 とほぼ断定し、十二支の寅である可能性がある。漆喰の 状態は、獣面人身像の下部に剥落のおそれがあるほか、

壁面に大きな漆喰のズレを確認。青龍については、前回 同様、鉄分の沈着により舌、前足、胸飾り以外の部分は 確認できない。

天井星は金箔であることを確認。日輪も金箔で表現 しており、その中に黒色の図像らしきものを確認。月輪

40  奈文研紀要 2002

43商壁盗掘坑と土砂流入

は剥落部分以外はグレーになっており、おそらく銀箔で 表現されていたと思われる。漆喰の状態は非常に悪く、

海綿状になっており、各所で剥落の危険性が高い。天井 石のつなぎ目には lcm程度の隙聞が空いており、そこ

に漆喰が充填されている。

床盗掘坑直下に数センチ程度のパイプ状の遺物らしき ものを確認。土砂は全体に堆積しており、多いところで 約60cm、少ないところで10‑20cm程度と推定される。

まとめ

前述のように、当初の目的であった盗掘坑の形状は残 念ながら明らかにできなかったが、昨年度調査では人物 像と思われていた画像が獣面人身像であることが判明し たほか、漆喰の状態がきわめて悪いことも再認識された。

石榔内へどのように入るか、土砂をすべて除去するのか、

人の目で確認するのが先決なのか、応急的に処理をする のか、等々、現時点では本調査に向けて解決すべき多く の課題を残している。 (井上直夫)

(2)

44 東壁・西壁・天井の画像と現況

研究報告 41 

図 44 東壁・西壁・天井の画像と現況

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