金融規 制 の現状
橋 本 光 憲
目 次
1.金 融 規 制 の新 た な必 要性 2.金 融規 制 の今 日的 問 題 点 3.検 査 ・考 査 と金 融規 制 4.金 融 業 の将 来 との 関 連性 お わ りに
1.金 融 規 制 の 新 た な 必 要 性 一一 金融規制 はなぜ必要 なの か
1)
す で に 前 稿 で,「 な ぜ 銀 行 を規 制 す る の か 」(Whyregulatebanks:)に っ い て,主 要 国 の 問 題 意 識 に つ い て は概 観 し て き た
。 そ れ は,従 来 の 問 題 意 識 とい っ て い い か も知 れ な い 。 そ こで 本 稿 で は,現 在 の 問 題 意 識 と し て は ど う な の か,ど う変 わ っ て きた の か 。2,3の 例 を挙 げ な が ら検 討 して み よ う
。
池 尾 和 人 は著 書 『銀 行 リス ク と規 制 の 経 済 学 』 の 中 で,第II部 を銀 行 規 制 に充 て,
① セ イ フテ ィ ・ネ ッ ト(預 金保 険 制 度,市 場 規 律 と預 金 保 険 ,オ プ シ ョ ン と しての 預 金 保 険,改 革 の 諸構 想)
19
② 資 本 構 成 と債 権 譲 渡(自 己 資本 比 率 規 制,資 本 規 制 と銀行 行 動,ロ ー ン ・セ ー ル)
③ 業 際 規 制 と制 度 改 革(制 度 改 革 と経 済 分 析,隔 離 問題 組 織 形 態 と銀 行 行 動)
2)
に分 け て論 じて い る。
これ はキ ー ワ0ド だ けで,さ らに説 明 を要 しよ うが,結 論 と して 「業 務 分 野 規 制 の緩 和 を中 心 と した 金 融 制 度 の改 革 は,対 応 した公 的 セ イ フテ ィ ・不 ッ トの提 供 体 制 の改 革 を伴 わ な けれ ば,望 ま しい 結 果 を もた ら し えな い ので あ3)」 と し,そ の前 提 と して,「 銀 行 のf樹(活 動 網 や価 格 設 定 等)に 対
の
して種 々 の 規 制 を加 え る」 必 要 性 を認 識 して い る よ うで あ る。
も う0つ,金 融 規 制 の新 た な視 点 を提 示 す る もの と して,貝 塚 啓 明 ・植 田 和 男 らのr変 鞠 の 金融 シ ス テ2』 か ら得 られ 磯 つ か の知 見 をr‑1し よ う・
「 ①"1年 代以降の金融規制 の動 向
当初 は規 制 緩 和 ・廃 止(deregulation)の 方 向 に あ った一一 ア メ リカ にお け る預 金 金 利 規 制 の廃 止,イ ギ リス にお け る ビ ッグバ ン,カ ナ ダ ・
日本 にお け る制 度 改 革 。
1980年 代 後 半 か ら90年 代 初 め に金 融 シス テ ム の不 安 定 性 が 顕在 化 一 一 ア メ リカ に お け る貯 蓄 貸 付 組 合(S&L)の 経 営 破 綻,ヨ ー ロ ッパ 大 陸 諸 国 で の銀 行 の経 営破 綻,日 本 の銀 行 の不 良 債 権 の増 加,等 。
従 来,金 融 シ ス テ ム の安 定 性 を維 持 して きた と思 わ れ た預 金保 険 の機 能 に対 して強 い疑 問 が提 起 され る と と もに,バ ラ ンス ・シ ー ト規 制 を 中 心 とす る健 全性 維 持 のた め の規 制 の見 直 しが議 論 され,特 にア メ リカ で
は大 幅 な改 革 が 実 行 され る に至 った 。 (規 制 緩和 か ら規 制 の 見直 しへ)
20国 際 経 営 論 集No.19200{〕
② 規制 の分類
金 融 規 制
シス テ ミ ック ・リス クの 防 止 (D競 争 制 限 的 規 制
a.価 格 規 制(利 子 率 ・手 数 料 な どの 固定) b.内 外 資 本 移 動 へ の規 制
c .業 務 分野 の規 制 銀 行 業 内 で の専 門 化
銀 行 業 ・証 券 業 ・保 険業 の 区 分
銀 行業 と商 業(commerce)と の分 離 国 境 を越 え る金 融 サ ー ビス の規 制 d.新 規 参 入 に関 す る規 制
国 内 金 融機 関 設 立 へ の制 約 外 国金 融 機 関 設 立 へ の制 約
(2)健 全 性 規 制(prudentialregulation)
a .バ ラ ン ス ・ シ ー ト比 率 規 制 と リ ス ク 回 避 規 制 b。 実 地 検 査(on・siteinspection)と 外 部 監 査(external
auditing) 個 別 リ ス ク の 防 止
(Dデ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー (2)預 金 保 険 機 構
(3)最 終 的 な 貸 手 シ ス テ ム の 効 率 性 促 進
(1)独 禁 法 的 規 制
(2)銀 行 の 株 式 保 有 制 限
(貝塚 ・植 田 『変 革 期 の 金 融 シ ス テ ム 』35ペ ー ジ よ り) 金 融 規 制 の 現状21
これ らの規 制 は,1980年 代 に お い てか な り変 化 を遂 げ た。(中 略)競 争 制 限 的 規制 の市 場 原 則 へ の制 約 に か か わ る規 制 の うち,価 格 規 制,内 外 資 本 移 動 へ の 規 制,業 務 分 野 規 制 が 大 き く変 化 を遂 げた 。(中 略)他
6)
方,健 全 性 規 制 は,最 近 に な っ て む しろ強 化 され た とい って い い。」
さ らに,金 融 規 制 に お け る残 され た争 点 として預 金保 険 の有 効 性 を挙 げ て
い7)。
と も あ れ,金 融 規 制 とは 政 府 の 介 入 に他 な らず,介 入 が 正 当 化 され る べ き 理 由 と は,民 間 に よ る 「市 場 の 失 敗 」(marketfailure)で あ る 。 こ こ 数 年
の 個 別 銀 行 の 金 融 破 綻 と金 融 シ ス テ ム 全 体 へ の 影 響 の 懸 念 が,金 融 当 局 に よ る規 制 の 再 強 化 に 根 拠 を与 え て い る とい え よ う。
灘 山龍 錨 は,こ の点 で2つ 備 鰍 念 図(図1)を 示 して い るの で,参 考
と し た い 。
2.金 融 規 制 の 今 日的 問 題 点
(1)専 門家 によ る指摘
9)
銀 行 理 論 の 近 年 の 名 著 と い わ れ るFreixasandRochetの 著 書 に よ っ て ・ こ れ ま で 指 摘 し た 金 融 規 制 の 今 日 的 問 題 点 を 検 証 し て み よ う 。
同 書 で は,最 後 の 第9章 をTheRegulationofBanks(銀 行 の 規 制)と し て,RegulationTheoryandBankingTheory(規 制 理.論 と 銀 行 理 論)・
WhyDoBanksNeedaCentralBank?(銀 行 は な ぜ 中 央 銀 行 を 必 要 と す る の か),P。rtf。li。Restricti・ns(投 資 資 産 の 制 限),Dep・sitlnsurance(預
金 保 険),SolvencyRegulations(弁 済 能 力 規 制),TheRegulationof BankFailures(銀 行 破 綻 へ の 規 制),等 を 取 り 扱 っ て い る 。
こ の 中 で,重 要 点 と 思 わ れ る も の を 幾 つ か 選 ん で 議 論 す る 。 (1)TheJustificationofRegulation(規 制 の 正 当 化)
22国 際経 営論 集No.192000
金融構造 (金融取引 に関わ り合 ってい る各主体 な い し諸組 織 の間 におけ る影響 力の相互 依存関係)
金融 取引技術 や経済循環構造 と い った技術 的 ・経済的諸条件
(石油 危機 以 降 の低 成 長経 済 へ の移 行,バ プル の発 生 と崩壊,変 動相 場 制下 の経済収支黒字 基調持続等)
金 融 シ ス テ ム
〈金融 の動態 的側面 〉
金融の充足囮
〈金融 の静態 的側 面〉
広翻 金一]
(下 記 「広 義 の 金 融 制 度 」 の 下 に お け る 金 融 機 関, 企 業,個 人 等 各 主 体 の 金 融 面 に関 す る ニ ー ズ と そ
れ へ の対 応)
(金 融 取 引 の 前 提 と な っ て い る枠 組 み)
金融規制一 組織運 営のル ール (金融取引 に関 す る法規制 ・慣 行等)
金融 システム の効率性追 求
金融 自由化 の進行
金融 システム の安定性確保
信用秩序維持 の必要
図1
金融市場
L
狭義 の金融制度
金融取 引 に関わ る組 織 (中央銀行,金 融仲介機関, 郵便局等)
金 融 の 構 造 ・制 度 ・規 制 の 概 念 図
(出 典)灘 山 龍 輔 「我 が 国 金 融 規 制 に 関 す る 一 考 察 」 『高 千 穂 論 叢i』第34巻 第1号,156 頁 。
金 融 規 制 の現 状23
市場 の整備 市場 の失敗
金 融 業 に お け る外 部 効 果 (経済 主 体 の 行 動 が 他 の 主 体 に 影 響 を与 え,し か も そ の 影 響 が 市 場 を通 じ た 効 率 的 な 資 金 配 分 に つ な が ら な い こ と)
経済サ ー ビスに対 す る利 用 者 の信認 が動揺 す る懸念
金 融 業 に お け る情 報 の 非 対 称 性(最 適 な 市 場 取 引 に は 各 主 体 が 所 要 の 情 報 を も っ て い る こ とが 望 ま しい 〉
金 融 業 に お け る 「規 模 の 経 済 性 」の 可 能 性(市 場 に委
ね る と寡 占化 す る懸念)
☆支 払 準 備 をべ 一 ス とした信 用 創造
☆預 金 に よ る資 金 集 中(pool)
☆預金取付 け発生 に対 し脆弱 (銀行等 の破綻 の可能性)
市 場 経 済 を支 え る決済 シ ステ ム の 機 能 不 全(シ ス テ ミ ック リス ク)
預金者等 の情報劣位
利 益相 反(あ る取引 に複数 の利害関係者が介在 し,そ の関係者間 の利益が対立 す る状態)
装置産業化(機 械化進展等)
寡 占化 が進行 の可能性 (市場 支配力)
(出 典)同 稿,157頁 。
図2金 融規制の相互連関
一 般 に 公 的 規 制(publicregulation)は,市 場(で)の 失 敗(market failure)に よ っ て 正 当 化 さ れ る 。 銀 行 規 制 に つ い て い え ば,"safetynet"
(セ ー フ テ ィ ・ネ ッ ト)の 提 供 の 必 要 性(銀 行 破 綻 時 の 預 金 者 保 護 〉 に 基 づ く,失 敗 の 影 響 は 大 き い か ら だ 。
(2)SafetyandSoundnessRegulatoryRequirements(安 全 性 ・健 全 性 へ
の規制 条項)
24国 際 経 営 論 集No.192000
競 争 制 限 規 制(取 引,市 場,業 者 の各 視 点 か らル ー ル を見 直 し
つ つ基 本 的 に は 自由 化 の 方 向) 金融 システムの安 定
性 の問題
信 用秩 序 の保 持 (決 済 シ ス テ ム が 円 滑 か つ 安 全 に運 営 され る こ
と)
新規参入規制(営 業免許制等) 個別金融機 関の健全
性確保 業務分野規制(業 態棲分 け)
1
債 務 超 過 の リス ク 過 当競争 の防止 ☆銀行 ・証券 ・保険各部門の分離
☆銀行部門の長短分離,信 託分離 支 払 不 能 の リス ク
一 預 金 者 ・投 資 家 の 保 護(特 に小 口)
一 価格(金 利)競 争規制
(モ ラ ル ・ハ ザ ー ドの問 題)
非価 格競 争規制(店 舗 等) 経営諸比率規制
」 璽 ヒ 率規制等
不正行為 防止 の問題 一 経 営 内 容 の デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー(情 報 開 示)
事 後 的 規 制(safetynet)
」 趣 聯 の設置
利 益 相 反 の 問題 ←一 方 の利 益 を他 方 の利 益 よ り優 先 させ る)
市場機能 の 発揮=公 正 かつ競争 的 な価格形成
金 融監督庁検査 ・日本銀行 考査 等 による個別金融機 関の監督 と 早期 是正措置 の導入
1
エ コ ノ ミ ー ・オ ブ ・ス コ ー プ(範 囲 の 経 済 性) 金融 システムの効率性の問題
業務隔壁 の設置 独 占禁止政策 の遂行 一 公 取委 (主 に銀行業の場合)
以 下 の6タ イ プ に 分 類 さ れ よ う 。
1.Depositinterestceilings(預 金 金 利 の 上 限)
2.Entry,branching,network,andmergerrestrictions(新 規 参 入,支 店 展 開,ネ ッ ト ワ ー ク 形 成,合 併 の 制 限)
3.Portfoliorestrictiolls,includingreserverequirementsand,even,as
anextremecase,narrowbanking投 資 資 産 の 制 限,準 備 預 金 率 を 含 む 。 金 融 規 制 の 現 状25
極 端 な ケ ー ス と し て は 狭 義 の 銀 行 業(narrowbanking)も あ り う る 。 4.Depositinsurance(預 金 保 険)
5.Capitalrequirements(自 己 資 本 比 率) 6.Regulatorymonitoringincludingnotonlyclosurepolicybutalso
theuseofmarketvaluesversusbookvalue.(規 制 的 モ ニ タ リ ン グ,銀 行 閉 鎖 に 限 定 せ ず,市 場 価 格 対 帳 簿 価 格 の 差 異 も 利 用 す る)
こ こ で モ ニ タ リ ン グ に 言 及 が あ っ た の は,面 白 い 。
以 上 の 中 で,目 新 し い も の と し て,narrowbanking(狭 義 の 銀 行 業)が あ っ た 。 同 書 で 銀 行 の 定 義 を,AbankZSaninstitutionwhosecurrent
10) operationsconsistingrantingloansandreceivingdepositfromthepublic.
(銀 行 と は,そ の 日 常 活 動 が 貸 出 し を 認 め,大 衆 か ら 預 金 を 受 け 入 れ る 仕 事 か ら 成 り 立 つ 機 関 で あ る)と 定 義 し,将 来 は 商 業 銀 行 は2つ の 種 類 の 特 化 し た 機 関1つ は"narrowbank"(狭 義 の 銀 行)ま た は 投 資 信 託 と,も う 1つ はfinancecompany(金 融 会 社)ま た は 信 用 組 合 に 分 か れ る だ ろ う と
ー‑)
述 べ て い る。
こ の 場 合,狭 義 の 銀 行 は大 衆 の 預 金 をgradedsecurities(流 通 証 券)に 投 資 し,金 融 会 社 は 貸 出 資 金 を債 券 ま た は株 式 発 行 で 調 達 す る こ とに な る,と
12)
付 言 し て い る。
② 金 融 規 制 と諸 人 士 の発 言
これ まで金 融 規 制 に つ い て,2,3の 専 門家 の考 察 を み て きたが,こ こか らは金 融 分 野 の諸 家 の発 言 を幅 広 く点検 す る こ と と した い。
西脇 廣 治 は,「 銀 行 規 制 の 問 題 は,学 問 と して 発 展 過程 に あ る規 制 の 経 済
13}
学 と伝 統 的 な 銀 行 論 の 両 分 野 に ま た が る研 究 分 野 で あ る と言 え る。」 と し て い る 。
池 尾 ・金 子 ・鹿 野 で は,銀 行 検 査 ・考 査 に触 れ て,以 下 の よ う に 述 べ て い る 。
26国 際経営論集Ǹ).192000
「この ほ か,公 的 当 局 に よ る銀 行 規 制 ・監 督 上 の重 要 な手 法 と して,銀 行 検 査 ・考 査 が あ る。 これ は,公 的 当局 が個 々 の 銀 行 か ら銀 行 経 営 に関
す る資 料 を徴 求,そ う した 資料 に基 づ き経 営 動 向 や 資 産 内容 を分 析 した り,ヒ ヤ リング(聞 き取 り調 査)の 実施 あ るい は個 々 の 銀 行 に直 接 赴 き, 当該 銀 行 の 資産 ・負債 の状 況 は も とよ り,バ ラ ンス シー トに現 れ な い資 産 価 値 の変 動 や 審 査 ・管 理 体 制 につ い て も評 価 す る こ とで銀 行 の経 営 実 態 を よ りきめ細 か く把握 し,場 合 に よ って は改 善 指 導 を行 うな ど,経 営 の健 全 性 を確 保 しよ う とす る と こ ろに特 色 が あ る。」]4}
粕谷 宗 久 は,伝 統 的 な銀 行 の 捉 え方 に,次 の よ うな新 しい視 点 を紹 介 して い る。
「こ う した伝 統 的 な銀 行 の捉 え方 に,情 報 の経 済 学 とい う新 た な観 点 を 加 え る必 要 が あ る。 伝 統 的 な価 格 理 論 の も とで は,情 報 の完 全 性 等 所 定 の仮 定 の も とに,価 格 機 構 が 資 源 の社 会 的 最適 配 分 を実 現 す る。情 報 が 完 全 で あれ ば,価 格 が 需給 の シグ ナ ル と して働 き,最 適 な配 分 が達 成 さ れ る とい う もの で あ る。 と ころが,情 報 の完 全 性 の仮 定 が 崩 れ る とき に は,新 た な考 察 が必 要 にな る。情 報 の完 全 性 の仮 定 が 崩 れ るケ ー ス は,
① 将 来 の 出 来 事 に対 し情 報 が不 確 実 な場 合,② 各 経 済 主体 間 で1青報 が非
15}
対 称 の場 合,の2つ が 考 え られ る。」
ドウ ワ トリボ ン,テ ィロ ー ル か ら は,次 の よ うな点 で啓 発 され る。
「① 銀 行 はな ぜ破 綻 す る よ うに な った の か
第 二 次 大 戦 後 しば ら くの 間 は,多 くの 国 にお い て,銀 行 間 は も とよ り 銀 行 とそ の他 企 業 との競 争 も制 限 され て お り,銀 行 業 務 も極 め て標 準 化
され て いた 。 この時 代 は銀 行 に とっ て居 心 地 の よ い時 代 で あ り,銀 行 破 綻 は ほ とん ど発 生 しな か った 。 これ に対 して,最 近25年 間 を み る と,銀 行 を巡 る競 争 環 境 は激 し さ を増 し,リ ス ク を伴 う新 規 業 務 も拡 大 し,多 くの 国 で銀 行 シ ス テ ム を揺 るが す よ うなマ ク ロ経 済 シ ョ ックが 発 生 して
16)
い る。 この 結 果,銀 行 は 深 刻 な 問 題 を 抱 え る よ う に な っ て きた 。」
金融規制の現状27
「② 銀 行 の経 営 不 祥 事
銀 行 危 機 の原 因 は銀 行 の不 祥 事 にあ る との 指 摘 が しば しば な され る。
確 か に,銀 行 の不 祥 事 絡 み の事 件 が 多 く,そ れ が 深 刻 で あ る こ と は事 実 で あ るが,不 祥 事 の 発 生 は今 に始 まっ た こ とで は な い。 重 要 な の は,不 祥 事 が なぜ80年 代 に集 中 的 に表 面 化 した の か とい う点 で あ る。 これ につ
い て は,80年 代 に至 り銀 行 を取 り巻 く収 益 環 境 が厳 しさ を増 す 中 で 銀行 経 営 陣 や 株 主 に対 す る歯 止 め が きか な くな った とい うのが 妥 当 な解 釈 で
あ ろ う。 つ ま り,不 祥 事 が 銀行 危機 の 直 接 の引 き金 に な っ て い る場 合 で
1ア
も遠 因 はや は り銀 行 を取 り巻 く環境 の変 化 に あ る とみ るべ きで あ る。」
「③ 規 制 理 由の探 索 なぜ 銀 行 を規 制 す るの か,銀 行 規 制 は ど うあ る べ きか,そ もそ も銀 行 を規 制 す べ きな の か,と い った 点 につ いて 経 済 学 者 の 間 で も コ ンセ ンサ ス は存 在 しな い。 これ は,銀 行 規 制 に関 す る これ まで の議 論 が あ ま りに細 分 化 され す ぎ て いた か らで あ る。 つ ま り,議 論 を銀 行 の特 定 の性 質(資 産 変 換 機 能,決 済 シス テ ムへ の参 加,高 い レバ レ ッジな ど)に 限 定 した り,特 定 の規 制(準 備 預 金,預 金 保 険,流 動 性 供 給 な ど)に つ い て の み議 論 を展 開 して きた き らい が あ る。 本書 の基 本 的 な立場 は,個 別 の論 点 を離 れ,そ もそ も銀 行 を規制 す るの は なぜ か と
い う原 点 に立 ち返 る こ とで あ る。 まず,こ の 点 につ い ての 考 え方 を固 め, そ の上 で,ど の よ うな規 制 が 望 ま しい のか,銀 行 の特 殊 性 は どの程 度 配
慮 す べ き か,と い っ た 細 部 に 議 論 を 進 め る の が 適 当 で あ ろ う。」
「④ 本 書 の ア プ ロ ー チ
銀 行 規 制 に 関 す る 本 書 の ア プ ロ ー チ は極 め て 常 識 的 で あ る 。 す な わ ち, これ まで 多 くの 金 融 関 係 者 が 主 張 して き た よ う に,銀 行 規 制 は 小 口預 金 者 を 保 護 す る た め に 存 在 す る と い う立 場 を と る 。 銀 行 は,多 くの 企 業 と 同 じ く,モ ラ ル ・ハ ザ ー ドや 逆 選 択 が 発 生 す る 危 険 に 晒 さ れ て い る 。 そ れ 故,投 資 家 は,審 査,監 査,コ ビ ナ ン ト作 成,経 営 介 入 な ど を通 じて 銀 行 経 営 者 を モ ニ タ リ ン グ し な け れ ば な ら な い 。 こ う し た モ ニ タ リ ン グ 28国 際経営論集No.192000
活 動 は,煩 雑 で,コ ス ト も時 間 もか か る。 さ ら に,モ ニ タ リ ン グ は誰 か ひ と りが 行 え ば 十 分 で あ り,そ の 他 の 人 々 が 同 じ こ と を繰 り返 す の は 無
駄 にな る とい う意 味 で 「自然 独 占」 的 で あ る。」
「⑥ モ ニ タ リン グ と代 表 仮 説
銀 行 の債 務 は主 と して小 口預 金 者 に よ り保 有 され て い るが,こ う した 預 金 者 は多 くの場 合 に,銀 行 の オ ンバ ラ,オ フバ ラ両 面 の 業 務 の詳 細 ま で は十 分 に理 解 で きて い な い。 また,銀 行 の何 十 万,何 百 万 とい う顧 客 ひ と りひ と りに とっ て み れ ば,他 の誰 か が 銀 行 を モ ニ タ リン グす れ ば よ い の で あ って,敢 え て 自分 か ら これ に手 を着 け よ う とは思 わ な い。 つ ま り,フ リー ・ラ イ ドの 問題 が 発 生 して い る。 これ を解 決 す るに は,小 口 預 金 者 の私 的 あ るい は公 的 な代 表 者 を ひ と りだ け指名 し,そ の人 に銀 行
をモ ニ タ リング させ れ ば よい。 これ が 本 書 の主 張 す る代 表仮 説 で あ る。」
「⑥ 家計 の債 権 選 択
預 金 保 険 が あ る とい う事 情 を別 にす れ ば,家 計 が 金 融 仲 介 機 関 に対 し て債 権 を持 とう とす る場 合 に そ れ は必 ず し も預 金 の 形 態 を とる必 要 は な く,株 式 の保 有 で あ って もか まわ な い はず で あ る(も ち ろん家 計 は預 金 だ け に投 資 す るわ けで は な い。例 え ば,投 信 を通 じて株 式 に投 資 す る こ
と もあ る)。 そ れ に もか か わ らず,多 くの 場 合 に預 金 の 形 態 を とる の は な ぜ だ ろ うか 。
家 計 は危 険 回 避 的 とい うの が この 問 い に対 す る1つ の答 えで あ る。 つ ま り,家 計 は失 業 や 疾 病,あ るい は住 宅 の 購 入 や 子 供 を大 学 に行 か せ た りす る こ とに備 えて リス クの高 い投 資 を回避 す る の で あ る。 別 な解 釈 と して は,家 計 は危 険 資産 の価 値 に つ い て情 報 が 乏 しい ので 情 報 面 で優 位 な立 場 に あ るイ ンサ イ ダ ー や 投 機 家 な ど に騙 され な い よ うに危 険 資 産 へ の 投 資 を控 え る と も考 え られ る。 また,リ ス クの低 い資 産 は値 決 め が容 易 なの で 取 引 に伴 う コス トを削減 で き る とい うの も理 由の ユつ か も しれ
zip
な い 。」
金 融規 制 の 現 状29
ち な み に本 書 は,ス タ ン フ ォー ド大 学 教授 青 木 昌彦 氏 に よっ て,同 書 「日 本 語 版 へ の 序 文 」 の 中 で 「銀行 規 制 の 問題 に関 して,理 論 的 に は最 も革 新 的,
22)
政 策 的 に は最 も適切 」 と評 され て い る。
清 水 は,銀 行 の情 報 生 産 に つ い て,下 記 の よ うに描 い てい る。
「銀 行 の主 要 な役 割 が情 報 生産 で あ る とい う認 識 は,情 報 の経 済 学 の発 展 の 中 で す で に常 識 にな って い る。 しか し,情 報 とい う言 葉 の定 義 は き わ め て広 範 で あ り,そ れ ぞれ の論 者 が 異 な っ た文 脈 や モ デ ル の 中 で異 な った定 義 で 用 い て い るた め に,現 実 の銀 行 が どの よ う な情 報 を生 産 して い るの か につ い て は必 ず し も明確 な説 明 は行 わ れ て い な い よ うに思 わ れ る。 また 銀 行 内 で も,伝 統 的貸 出業 務 に関 わ る情 報 は金 融 派 生 商 品 の取 引,あ る い はM&Aの 仲 介 等 の手 数 料 収 入 を生 む よ う な情 報 と は異 な
っ た性 質 を持 って い るで あ ろ う。
預 貸 金 業 務 にお け る銀 行 の情 報 生 産 とい う とき には,一 般 に銀 行 が借 手 の信 用 力 や プ ロ ジ ェ ク トの 将 来 性 を コス トをか けた上 で判 断 す る とい
う,審 査能 力 に関 して優 位 性 を持 って い る とい う意 味 で使 わ れ る こ とが 多 い。 そ の優 位 性 の理 由 として あ げ られ るの は,専 門 的 知識 を持 った 人 材 に よ る評 価 能 力 や決 済 口座 を管 理 して い る こ とか ら くる監 視 機 能,同 一 業 界 を含 め て広 範 な取 引先 を持 つ こ とか ら くる情 報 優 位 性,借 手 との
あ い たい
相 対 取 引 に基 づ く内 部 情 報 の 入 手,規 模 の経 済 に よ る審 査 の 低 コ ス ト 等 々 で あ る。
そ こで,こ れ ら無 数 の情 報 生 産 者 に対 して銀 行 に情 報 生 産 上 の優 位 性 が あ る とす れ ば,そ れ は預 金 貸 出 に関 す る 口座 取 引 を通 じて,キ ャ ッ シ
ュ ・フロ ー の推 移 を 日々特 別 の費 用 をか け る こ とな く知 る こ とが で き る とい う点 にあ る。 しか し,そ れ 自体 は借 手 の ご く短 期 の動 向 を知 る上 で の優 位 性 で あ る にす ぎ な い し,借 手 が 口座 取 引 をい くつ か の銀 行 に分 散 して い る場 合 に は大 きな意 味 を持 た な い。 さ らに重 要 な こ とは,い った ん貸 出 を行 っ て し ま えば,そ の借 手 の収 益 が悪 化 して い る こ とは把握 で 30国 際経営論集No.ユ92000
きた と して も,貸 出 金 を回 収 す る こ とは経 営 破 綻 を早 め る こ とに な る た め に困 難 で あ る し,そ の 業 界 の専 門 家 で な い銀 行 員 が 経 営 の 改善 を指 導 す る とい った こ と も,例 外 的 な場 合 を除 い て一 般 的 に は きわ め て困 難 で
23)
あ る 。」
3.検 査 ・考 査 と金 融 規 制
わ が 国 で,大 蔵省 一金 融 監 督 庁 に よ る検 査 と 日本 銀 行 に よ る考 査 が ,金 融 規 制 の一 環 として機 能 して い る こ とは,論 を倹 た な い と こ ろで あ る。
藤 原 ・家 森 は,従 来 の プル ー デ ンス政 策 の1つ と して,検 査(考 査)お よ び モ ニ タ リン グ を挙 げ て い る。
「検査(考 査)お よびモ ニタ リング
公 的 当局 が金 融 機 関 の 経 営 姿 勢 や 諸 規 制 の遵 守,貸 出債 権 の質 的 分類 (健 全 性 に関 す る レイ テ ィ ング),内 部 監 査 の状 態 等 につ い て,個 別 に チ ェ ック を行 う こ と を検 査 あ るい はモ ニ タ リング と呼 ん で お り,検 査 官 が 直 接 銀 行 に出 向 い て資 料 の徴 求 や 質 問 を行 う場 合 を,実 地 検 査(オ ン サ イ ト),電 話 等 に よ る 日常 的 な聞 き取 り調 査 をモ ニ タ リ ング(オ フサ イ
ト)と 呼 ん で 区別 して い る。
検 査 お よ びモ ニ タ リング に関 して は,国 や 金 融 機 関 の種 類 に よ っ て担 当 す る監 督 当局 が複 雑 に絡 み合 っ て お り,わ が 国 の場 合 に は,信 用組 合 に つ い て は各 都 道 府 県 が 『機 関 委 任 事 務 』 とい う形 で 検 査 を担 当 して い る ほか,労 働 金 庫,農 協 ・漁 協 に つ い て は,そ れ ぞれ 労 働 者 ,農 林 水 産 省 が,大 蔵 省 と 『共 管 』 とい う形 で検 査 を行 っ て い る。 また,そ れ 以 外 の主 な銀 行(普 通 銀行 や 長 期 信 用銀 行,信 用 金 庫 な ど)に つ い て は,大 蔵 省 と日本 銀 行 が,そ れ ぞれ 個 別 に検 査(日 本 銀 行 の場 合 に は考 査 と呼 ぶ)・ モ ニ タ リ ング を行 って い る。
わ が 国 に お け る この よ うな検 査 体 制 に つ い て は,い わ ゆ る金 融 不 祥 事 金融規制の現状31
や住 専 問題 を契 機 とし て,さ ま ざ まな 観 点 か ら批 判 が 行 わ れ て お り, イ)検 査 担 当機 関 が 金 融 機 関 ご とに複 雑 に異 な って い る結 果,責 任 の所 在 が 不 明 確 とな り,フ リー ライ ダ ー 問題 や一 種 の責 任 の擦 付 合 い が 生 じ て い る,ロ)リ ス クの複 雑 化 に比 べ て検 査 の頻 度 や 内 容 が 十 分 で は な く, 銀 行 の経 営 内容 につ い て十分 な検 査 が 行 われ て い な い ほ か,検 査 の 日時 が事 前 に銀行 側 に漏 れ て い る可 能 性 が あ る,ハ)検 査 が十 分行 わ れ て い
る場 合 で も,検 査 内容 に応 じた適 切 な措 置 が迅 速 に行 わ れ て い な い(処
理 の先 送 り),な どの点 が 指 摘 され て い る。」
また,藤 井 正 志 は,『 金 融 業 の情 報 開示 と検 査,監 督 』 で,「 日本 は ア メ リ カか ら何 を学 ぶ べ きか 」 の テ ー マ の下 で,日 本 の検 査 の在 り方 につ い て も下 記 の よ うに提 言 して い る。
「(米国 に お け る)複 数 の監 督 官 庁 の 存 在 は相 互 牽 制 機 能 を 内在 す る が ゆ え に,市 場 の変 化 や 革新 へ の 対 応 を可 能 に す る柔 軟 性 を備 え,金 融 産 業 の健 全 な成 長 の 芽 を摘 む恣 意 的 な行 政 措 置 に対 す るチ ェ ック ア ン ドバ
ラ ンス機 能 を発 揮 す る もの とな ろ う。
わ が 国 に お け る,銀 行 の検 査 ・監督 体 制 を考 え る場 合 は,こ の チ ェ ッ クア ン ドバ ラ ンス機 能 を考 慮 に入 れ た 検 査 ・監 督 体 制 とす る こ とが 望 ま しい と思 わ れ る。 現 在,金 融 監 督 庁 が銀 行 検 査 の 主管 監 督 官庁 とされ て い るが,従 来 か ら銀 行 の考 査 を行 って きた 日本 銀 行 の検 査 ・監督 官庁 と して の役 割 や,公 的資 金 の注 入 に関 して,問 題 銀 行 の実 態 を正 確 に把 握 す べ き預 金 保 険監 督 機構 の 役割 を見 直 し,銀 行 の検 査 ・監 督 に積 極 的 に
'?5)
関 与 さ せ る必 要 が あ ろ う。」
従 前 の 金 融 検 査 に つ い て は,金 融 検 査 研 究 会 編 『新 時 代 の 金 融 検 査 実 務 』 が あ っ た 。 そ れ は主 にCAMEL検 査 の 実 施 に係 る もの で あ っ た 。
「CAMEL検 査 の 実施
(1)金 融 の 自 由 化 ・国 際 化 の 進 展
我 が 国 に お い て は,昭 和59年5月 に 「日米 円 ・ ドル 委 員 会 報 告 書 』, 32国 際経営論集Nて).19200〔 〕
『金 融 の 自由化 及 び円 の 国 際 化 に つ い て の 現状 と展 望 』
,昭 和60年7月 に
『ア ク シ ョ ン ・プ ログ ラム』,昭 和62年6月 に 『金 融 ・資 本 市 場 の 自 由化 , 国 際化 に関 す る 当面 の展 望 』 を公 表 し,こ れ に沿 っ て金 融 の 自由化 の た め の措 置 を講 じて きた 。 具 体 的 に は,預 金 金利 の 自 由化,短 期 金融 市 場 の整 備 ・拡 充 等,金 融 の 自由 化 ・国 際 化 が着 実 に進 め られ て きた
。 これ は,経 済構 造 の変 化 や経 済 全 般 にわ た る国 際 化 の進 展 等 に対 応 し て金 融 の 自 由化 を進 め て い くこ とは,よ り一 層 の競 争 原 理 の活 用 を通 じ て,高 度 化 ・多様 化 す る国民 の金 融 に対 す るニ ー ズ に応 え
,我 が 国 経 済 の効 率 化 と発 展 に資 す る と と もに,我 が 国 が世 界 経 済 の発 展 に貢 献 して い く上 で 大 きな意 義 を有 す る との 考 え方 に基 づ く もの で あ る
。
この よ うな金 融 の 自 由化 ・国 際 化 に伴 い,金 融 機 関 に とって は,経 営 の 自由度 が 増 大 し,収 益 機 会 の拡 大 が もた ら され る。 しか しなが ら,そ の反 面 各 種 の リス ク の増 大 等 を通 じ,経 営環 境 を厳 し くす る とい う面 も あ る こ とは否 定 で きな い。
これ に対 して,金 融 機 関 の経 営 の健 全 性 を維 持 す るた め に
,自 主 的 な 経 営 の合 理 化 ・効 率 化 を推 進 す る とと もに,リ ス ク管 理 体 制 の整 備 に務 め る こ とが 必 要 とな っ て い る。
また,各 種 リス ク を カバ ー す るた め,自 己 資本 の 充 実 強 化 が求 め られ て い る。
(2)CAMEL検 査 の 導 入
この よ うな経 営 環 境 の変 化 に対 応 して,検 査 の手 法 につ い て も,見 直 しの必 要 が生 じた こ とか ら,昭 和62年 度 か らは,従 来 の検 査 手 法 を踏 襲 しっ つ,『CAMEL(キ ャ メル)』 検 査 の 手 法 を導 入 して,検 査 の 視 点 や 方法 の 多様 化 を図 っ て い る。
CAMEL検 査 は,金 融 の 自 由 化 の 進 展 した ア メ リカ の検 査 当局 に お い て,1978年 以 来 採 用 され て い る検 査 手 法 で あ る
。
CAMELと は・Capita1(資 本 の 充 実 度) ,Asset(資 産 の 健 全 性), 金融規制の現状33
Management(経 営 管 理),Earnings(収 益 力)・Liquidity(流 動 性) の5項 目 の 頭 文 字 を と っ た も の で あ る。CAMEL検 査 に お い て は ・ こ れ ら の 囎 ご と に金 礫 関 の 儲 状 況 を 把 握 し・ さ ら に?6)れ ら を 総 合 的
に勘 案 し,金 融 機 関 の健 全 性 を評 価 す る こ と と さ れ て い る 。」
そ の 後 の あ ら た な 検 査 手 法 の 導 入 と して は,金 融 監 督 庁 が1999年4月 に 入
27)
っ て,「 金 融 検 査 マ ニ ュ ア ル 」 を発 表 した 。 まず,金 融 監 督 庁 に よ る前 文 を示 そ う。
平成11年4月8日 金 融 監 督 庁
金 融 監 督 庁 で は,「 金 融 再 生 トー タ ル プ ラ ン(第2次 と り ま とめ)」
(7月2日 発 表)等 を踏 ま え,検 査 部 内 に 「金融 検 査 マ ニ ュア ル検 討 会 」 を設 置 し,昨 年8月 以 降検 討 を行 っ て きた。 昨 年12月22日 にr中 間 と り ま とめ」 を公 表 し,こ れ に対 す るパ ブ リ ック コメ ン ト等 を踏 ま え検 討 を 重 ね,合 計24回 にわ た る審 議 の結 果,本 日そ の最 終 的 な成 果 と して,金 融 検 査 マ ニ ュ アル 検 討 会 「最 終 と りま とめ」 が ま とめ られ 公 表 され た 。
本 「最 終 と り ま とめ」 は,金 融 検 査 は 自己 責 任 原 則 に基 づ く金 融 機 関 経 営 を補 強 す るた め の もの で あ る との考 え方 を基本 に,① 当局 指 導 型 か ら 自己管 理 型 へ の転 換(内 部 管 理 ・外 部 監 査 態 勢 の適 切 性 を検 証 す るプ ロセ ス.チ ェ ッ ク),② 資 産 査 定 中 心 の検 査 か ら リス管 理 重 視 の検 査 へ の転 換 に重 点 を置 い て作 成 され て い る。 そ の際,諸 外 国 の金 融 検 査 を巡 る動 向 や バ ー ゼル 銀行 監 督 委 員 会 に お け る議 論 を勘 案 す るな ど,グ ロー バ ル ・ス タ ンダ ー ドを踏 ま えた もの とな って い る。(別 添1参 照)
な お,「 中 間 と りま とめ」 に つ い て の 見 直 しが行 わ れ た 主 な ポ イ ン ト は,別 添2の とお りで あ る。
34国 際 経 営 論 集No.192000
今 後,金 融 監 督 庁 に お い て は,本 「最終 と りま とめ」 を踏 まえ
,検 査 官 宛 の 内部 通 達 を策 定 す る予 定 で あ る。
な お,本 通 達 は,全 て の預 金 等 受 入 金 融 機 関 を対 象 と し,本 年7月1 日以 降 に実 施 す る検 査 に つ い て適 用 す る予定 で あ る。 た だ し,資 産 査 定, 償 却 ・引 当等 決 算 処 理 に係 る事 項 に つ い て は,本 年7月1日 以 降 に行 わ
れ る決 算 処 理 に係 る検 査 に つ い て適 用 す る予 定 で あ る。
平 成11年4月8日 金 融 監 督 庁検 査 部
金 融 監 督 庁 にお い て は・ 検 査 官 が金 融 機 関 を検 査 す る際 の手 引 書(マ ニ ュ アル)を 整 備 す るた め,昨 年8月,検 査 部 内 に,法 律 家,公 認 会 計 士,金 融 実務 家 等 をメ ンバ ー とす る 「金 融検 査 マ ニ ュ アル検 討 会 」 を設 置 し,検 討 を進 め て きた 。 昨 年12月22日 に 「中 間 と りま とめ」 を公 表 し
, これ に対 す るパ ブ リッ ク コ メ ン ト等 を踏 まえ,検 討 を重 ね,合 計24回 に わ た る審 議 の 結 果,本 日,そ の最 終 的 な成 果 と して具 体 的 な マ ニ ュ アル 案 を 内容 とす る 「最終 と り ま とめ」 を ま とめ,公 表 す る に至 っ た。
概 要
1.我 が 国 金 融 シス テ ム の安 定 と再 生 を図 り内外 の信 頼 を回 復 す るた め に は,不 良債 権 の処 理,業 務 再 構 築 や リス トラ,情 報 開 示 等 に取 り組 む と と もに,検 査 マ ニ ュ アル 等 の整 備 等 を通 じて検 査 監 督 体 制 の一 層 の 充 実 を図 っ て い く必 要 が あ る(金 融 再 生 トー タル プ ラ ン,緊 急 経 済 対 策)。
金 融 検 査 マ ニ ュ アル 等 の 整 備 ・公 表 は,監 督 当 局 の 検 査 監 督 機 能 の 一 層 の向 上 及 び透 明 な行 政 の確 立 に資 す る だ けで な く,金 融 機 関 の 自 己責 任
金融規制の現状35
に基 づ く経 営 を促 し,も っ て金 融 行 政 全 体 に対 す る信 頼 の確 立 につ なが る もの と期 待 され る。
2.本 検 査 マ ニ ュア ル 案 の作 成 に 当た って は,金 融 検 査 は 自己責 任 原則 に基 づ く金 融 機 関 の経 営 を補 強 す るた めの もの で あ る との 考 え方 を基 本
に,
① 従 来 の 当局 指 導 型 か ら,自 己 管 理 型 へ の転 換 を進 め る(検 査 は, 金 融 機 関 自身 の 内部 管 理 と会 計 監 査 人 等 に よ る厳 正 な外 部 監 査 を前 提 と して,内 部 管 理 ・外 部 監 査 態 勢 の適 切 性 を検 証 す るプ ロセ ス ・
チ ェ ッ ク を中心 とす る),
② 従 来 の 資産 査 定 中 心 の検 査 か ら,リ ス ク管 理 重 視 の検 査 へ転 換 を 図 る,
こ と に重 点 を置 い て い る 。
また,諸 外 国 の 金 融 検 査 を巡 る動 向 や バ ー ゼ ル 銀 行 監 督 委 員 会 に お け る議 論 を勘 案 す る な ど,グmバ ル ・ス タ ン ダ ー ド を踏 ま え て 作 成 して い る 。
3.本 検 査 マ ニ ュ ア ル 案 で は,法 令 等 遵 守 態 勢 及 び リス ク管 理 態 勢 に つ い て,各 々 チ ェ ッ ク ・リ ス ト等 に よ り,検 査 を行 う 際 の チ ェ ッ ク ・ポ イ ン トを 示 し て い る。
ラ
まず,法 令 等 遵 守 態 勢 につ い て は,経 営 陣 が 金 融 機 関 の社 会 的責 任 と 公共 的使 命 を柱 と した 企 業 倫 理 を構築 し,法 令 等 が遵 守 され る体 制 を整 備 して い るか をチ ェ ッ クす る こ と と して い る。
また,リ ス ク管理 態 勢 につ い て はi自 己 責 任 原 則 の下,監 査 役 を含 め た 経 営 陣,そ して会 計 監 査 人 等 の役 割 と責 任 を明確 化 す る と と もに,当 局 に よ る検 査 にお い て,経 営 陣 等 が 各 種 リス ク管 理 の重 要 性 を認 識 し,
リス ク管 理 の た め の方 針 を策 定 し,体 制 の整 備 等 を行 って い るか をチ ェ ッ クす る こ と として い る。
(注1)本 検 査マニ ュアル案 においては,経 営陣 の役割 について 「取締 役会!
36国 際経営論集No.192000
にお い て決 定 す るべ き項 目 と 「取 締 役 会 等 」(取 締 役 会 の ほか
,常 務 会, 経 営 会 議 等 を含 む。)に お い て 決定 す るべ き項 目の2つ に分 け て い る
。 4.な お,本 検 査 マ ニ ュ ア ル 案 は,邦 銀 の 海 外 拠 点 及 び 外 国 銀 行 の 在 口 支 店 も含 め,全 て の 預 金 等 受 入 金 融 機 関 を対 象 とす る こ と を予 定 して い る。
また,金 融 検 査 マ ニ ュ アル はあ くまで も検 査 官 が 金 融 機 関 を検 査 す る 際 に用 い る手 引書 と して位 置 づ け られ る もの で あ り,各 金 融 機 関 にお い て は,自 己 責 任 原 則 の下,こ の マ ニ ュ アル 等 を踏 ま え創 意 ・工 夫 を十 分 に生 か し,そ れ ぞれ の規 模 ・特 性 に応 じた よ りp細 な マ ニ ュア ル を 自主 的 に作 成 し,業 務 の健 全性 と適 切 性 の確 保 に務 め る こ とが 期 待 され る。
マ ニ ュ アル の各 チ ェ ック項 目 は検 査 官 が 金 融 機 関 の リス ク管理 態 勢 等は
を評 価 す る際 の 基 準 で あ り,こ れ らの基 準 の 達成 を金 融 機 関 に直 ち に法 的 に義 務 づ け る もの で は な い。 マ ニ ュ ア ル の適 用 に あ た っ て は,機 械 的 ・画 一 的 な 運 用 に 陥 ら な い よ う配 慮 す る必 要 が あ り,チ ェ ッ ク項 目 に 記 述 され て い る字 義 通 りの対 応 が な され て い な い場 合 で も,業 務 の健 全 性 及 び適 切 性 確 保 の観 点 か らみ て,対 応 が合 理 的 な もの で あ り,チ ェ ッ
ク項 目 に記 述 され て い る もの と同様 の効 果 が あ る,あ るい は金融 機 関 の 規 模 や特 性 に応 じた十 分 な もの で あ る,と 認 め られ るの で あ れ ば,不 適 切 と され る もの で は な い。 した が っ て,検 査 官 は,立 入 検 査 の際 に金融 機 関 と十 分 な意 見 交 換 を行 う必 要 が あ る。 な お,検 査 にお け る指 摘 が直 ち に特 定 の監 督 上 の措 置 に結 び つ くわ けで は な い。
(注2)本 検 査 マ ニ ュ ア ル 案 に お い て は,チ ェ ッ ク 項 目 を 以 下 の3つ に 区 分 し て い る 。
① チ ェ ッ ク 項 目 の 語 尾 が 「して い る か 」 又 は 「な っ て い る か 」 と あ る の は,特 に こ とわ りの な い 限 り,全 て の 金 融 機 関 に対 して ミニ マ ム ・ス タ ン ダ ー ド と し て 求 め ら れ る項 目 で あ る。 し た が っ て,検 査
金 融 規 制 の現 状37
官 は各 チ ェ ック項 目 を確 認 の 上,そ の実 効 性 を十 分 検 証 す る必 要 が あ る項 目で あ る。
② チ ェ ッ ク項 目の語 尾 が 「望 ま しい 」 とあ るの は,特 に こ とわ りの な い限 り,全 て の金 融機 関 に対 してベ ス ト ・プ ラ クテ ィス として望 まれ る項 目で あ る。 した が って,検 査 官 は各 チ ェ ック項 目 の確 認 を す れ ば足 りる項 目で あ る。
③ さ らに,両 者 を組 み合 わ せ て,国 際 統 一 基 準 に よ り自己 資本 比 率 を算 定 して い る金 融 機 関 にあ って は①,国 内基 準 に よ り自己 資 本 比 率 を算 定 して い る金 融機 関 に あ っ て は② として い る項 目が あ る。
II.各 マ ニ ュ ア ル 案 の 概 要
1.法 令 等 遵 守 態 勢(コ ン プ ラ イ ア ン ス)の チ ェ ッ ク リス ト
本 チ ェ ック リス トで は,取 締 役 や監 査 役 に求 め られ て い る役 割 を明 ら か に して い るほ か,コ ンプ ライ ア ン ス を実 現 す るた め の施 策 等 を明 記 し, 取 締 役 等 の コ ン プ ラ イ ア ンス に対 す る 自覚 を求 め,コ ンプ ライ ア ンス重 視 の 企 業 風 土 醸 成 に よ り,金 融 機 関 として の 公 共性 を発 揮 す る こ とを促
し て い る。
2.リ ス ク管 理 態 勢
(1)リ ス ク管 理 態 勢 の チ ェ ッ ク リス ト(共 通 編)
本 チ ェ ッ ク リ ス トに お い て は,金 融 機 関 の 抱 え る 各 種 リス ク を管 理 す る に あ た っ て,全 て の リス ク管 理 に 共 通 す る チ ェ ッ ク項 目 を, バ ー ゼ ル銀 行 監 督 委 員 会 の 「銀 行 組 織 にお け る内部 管理 体 制 の フ レ
一 ム ワー ク」 の 原則 を踏 まえ整 理 して い る。
本 チ ェ ッ ク リス トの各 項 目 は,金 融 機 関経 営 に際 して 当然 実 践 さ れ るべ き リス ク管 理 の基 本 で あ り,特 に金 融機 関 の 取締 役 が認aし 実 践 す る こ とが 求 め られ る もので あ る。
具体 的 に は,取 締 役,取 締 役 会,取 締 役 会 等,監 査 役,管 理者 そ
38国 際 経 営 論 集No.192000
れ そ れ の認 識 と役 割 等 を明 記 し,取 締 役 等 に リス ク管 理 に対 す る 自 覚 を求 め て い る ほか,金 融 機 関 と して の あ るべ き リス ク管 理 態勢 の 整 備 を促 して い る。
② 信 用 リス ク管 理 態 勢 の チ ェ ック リス ト及 び信 用 リス ク検 査 マニ ュ アル
本 チ ェ ック リス トに お い て は,与 信 集 中 の 排 除 等 の ポ ー トフ ォ リ オ管 理 の重 要 性 を強調 す る と と もに,信 用格 付 の 導 入,信 用 リス ク の 計 量 化 を促 して い る。
また,信 用 収 縮 に対 す る懸 念 に配慮 し,チ ェ ッ ク リス トに 「円 滑 な資 金 供 給 を行 っ て い るか」,「金 融 検 査 マ ニ ュ アル を理 由 と した 資 金 供給 の 拒 否 や資 金 回収 等 の 不 適 切 な取 扱 い を行 っ て い な い か」 をチ ェ ックす る 項 目 を設 けて い る。
信 用 リス ク検 査 マ ニ ュ アル に お い て は,自 己査 定 に関 す る検 査 にっ い て,旧 大 蔵 省 金 融 検 査 部 の 「資産 査 定 に つ い て」 の通 達 をべ 一 ス としつ つ,債 務 者 区 分 を判 定 す る場 合 の判 断基 準 の 明 確 化(特 に関連 ノ ンバ ン ク を含 む金 融 支i援先 の査 定 方 法 の 明確 化)等 を図 っ て い る。 なおi判 断 基 準 は債 務 者 を区 分 す る際 の 目安 で あ り,債 務 者 区分 の判 定 に当 た っ て は,定 量 的 な判 断 だ けで な く,業 種 の特 性 等 を踏 まえた 総 合 的 な判 断 が 必 要 で あ る。 特 に,中 小 企 業 等 向 け の与 信 に対 して は,ど の債 務 者 区分 の判 定 の 際 に も,当 該 企 業 の財 務 状 況 の み な らず,代 表 者 等 の資 産 等 を
も勘 案 して判 断 す る必 要 が あ る 旨 を明 記 して い る。
償 却 ・引 当 に関 す る検 査 に つ い て も,償 却 ・引 当基 準 の一 層 の 明 確 化 を図 る と と もに,貸 倒 引 当率 等 の算 定 方 法 の適 切 性,償 却 ・引 当 額 の水 準 の適 切 性 に つ い て検 査 を行 う こ と として い る。 また,要 注 意 先 に対 す る引 当 は,信 用 リス クの程 度 に応 じて 区分 毎 に行 う こ と を基 本 と し,例 え ば,要 管 理 先 債 権 とそ れ以 外 の もの に 区分 して行 っ て い る場 合 に は妥 当 と判 断 で き る こ と も明 確 化 して い る 。
金 融 規 制 の現 状39
自己査 定 及 び償 却 ・引 当 に関 す る検 査 を踏 ま え,自 己 資 本 比 率 が どの よ うな影 響 を受 け る のか 等 につ い て も検 査 に お い て検 討 す る こ と と して い る。
(3)市 場 関 連 リス ク管 理 態 勢 の チ ェ ック リス ト
本 チ ェ ッ ク リス トは,旧 大 蔵 省 金 融 検 査 部 の 「市 場 関 連 リス ク管 理 態 勢 の チ ェ ッ ク リ ス ト」 と 「海 外 拠 点 検 査 の チ ェ ッ ク リ ス ト」 を 一 本 化 した上 で ,金 融 環 境 の変 化 に対 応 し金 融機 関 の 市場 関連 リス ク の管 理 態 勢 レベ ル の 向上 を求 めて い る。 また,自 己 資 本 比 率 に係 る マ ー ケ ッ ト ・リス ク規 制 や ト レー デ ィ ン グ 勘 定 に つ い て の チ ェ ッ ク項 目 を新 た に設 け る な ど内容 の充 実 を図 って い る。
(4)流 動 性 リ ス ク 管 理 態 勢 の チ ェ ッ ク リ ス ト
本 チ ェ ッ ク リス トは,流 動 性 管 理 の 重 要性 が 非 常 に高 まっ て い る 昨 今 の金 融 情 勢 を踏 ま え,特 に資 金 繰 り リス クに重 点 を置 い て作 成
して い る。
具体 的 に は,資 金繰 りの 逼 迫 度 に応 じた管 理 手 法 等 の規 定 の 整備, 円貨 ・外 貨 及 び国 内拠 点 ・海 外 拠 点 の 資 金繰 りの統 合 管 理,オ フバ ラ ンス取 引,コ ミッ トメ ン トラ イ ン,調 達 先 の分 散 状 況 等 を考 慮 し た調 達 可 能 額 の把 握 等 につ いて 記 し,流 動 性 リス クの適 切 な管 理 態 勢 の確 立 を促 す こ と と して い る。
な お,市 場 流 動 性 リス ク につ い て は,「 市 場 関 連 リス ク管 理 態 勢 の チ ェ ック リス ト」 に盛 り込 まれ て お り,そ の 中 で チ ェ ックす る こ
と として い る。
(5)事 務 リス ク管 理 態 勢 の チ ェ ック リス ト
事 務 リ ス ク に つ い て は,従 来,現 物 検 査,実 地 検 査 を 通 じ て 把 握 した 状 況 を 基 に 事 務 管 理 態 勢 の チ ェ ッ ク を行 っ て い た が,本 チ ェ ッ ク リ ス トで は,基 本 的 に 本 部 検 査 等 を通 じ て事 務 リ ス ク 管 理 態 勢 の プ ロ セ ス ・チ ェ ッ ク を行 う こ と と し て い る。
40国 際経営論集No.19200(}
具 体 的 に は,事 務 リス クの 適 切 な評 価(計 量 化 を含 む。)を 行 う こ とを促 して い る ほ か,網 羅 的 な事 務 規 定 の 整 備,自 店 検 査 の機 能 発 揮 に つ い て 明確 化 し,事 務 管 理 態 勢 の整 備 状 況 を チ ェ ッ クす る こ
と として い る。 また,顧 客保 護 の徹 底 を図 る と と もに,融 資 先 の財 務情 報 な ど個 別 企 業 に関 わ る情 報 に つ い て は,特 に厳 重 か つ慎 重 に
本 チ ェ ッ ク リ ス トは,旧 大 蔵 省 金 融 検 査 部 の 「コ ン ピ ュ ー タ シ ス テ ム 及 び コ ン テ ィ ン ジ ェ ン シ ー プ ラ ン チ ェ ッ ク リ ス ト」 を べ 一 ス に 作 成 し て い る が,従 来 の,シ ス テ ム 安 全 対 策 や コ ン テ ィ ン ジ ェ ン シ ー プ ラ ン の チ ェ ッ ク に つ い て は
,働 金 融 情 報 シ ス テ ム セ ン タ ー (FISC)の 手 引 き を 活 用 す る こ と と し,当 局 の 検 査 に お い て は 主 に シ ス テ ム の 企 画 ・開 発 体 制 や 管 理 ・運 営 体 制 の 状 況 の チ ェ ッ ク に 重 点 を置 い て い る。
具 体 的 に は,シ ス テ ム 戦 略 や セ キ ュ リテ ィ ー ポ リシ ー の 明 確 化 を 求 め て い る ほ か,内 部 監 査 時 の 監 査 証 跡(オ ー デ ィ ッ ト ・ ト レ イ ル)の 確 認 を 促 して い る。 また,コ ン テ ィ ン ジ ェ ン シ ー プ ラ ン の 策 定 に 当 た っ て は,シ ス テ ミ ッ ク リ ス ク も考 慮 す る こ と を促 して い る。
以 上
金 融 検 査 は 自明 の 理 で あ り,こ れ に 対 す る疑 問 は な い 。 マ ニ ュ ア ル 全 体 と し て は,「 最 終 と り ま と め 」 が10頁,法 令 集 遵 守 態 勢 の 確 認 検 査 用 チ ェ ッ ク リス トが120頁 と彪 大 な もの で あ り,受 検 者 側 で も十 分 な 検 討 が 必 要 で あ る 。
ま た,こ の よ う な チ ェ ッ ク リス トが,モ ニ タ リ ン グ との 共 通 性 が あ る こ と に も,注 目 した い 。
金 融 規 制 の現 状41
4.金 融 業 の 将 来 との 関 連 性
(1)ビ ッ グバ ン後 の 銀 行経 営
吉 川紀 夫 は,ビ ッグバ ン後 の銀 行 経 営 に つ い て,問 題 意 識 として 次 の5点 を挙 げて い る。
「① わ が 国 で 発 生 して い る金 融 シス テ ム や不 良 資産 対 応 を は じめ と した 銀 行 経 営 問 題 の原 点 は,地 球 レベ ル で発 生 して きた金 融 の新 しい流 れ を 見 失 い,国 内完 結 型 の銀 行 経 営 に固 執 して きた こ とに求 め られ る。 そ れ を情 報 論 ・組 織 論 の 両 面 か らの分 析 で 明 らか に し,今 後,銀 行 関係 者 だ けで な く,国 民 全 員 が 銀 行 に対 す る意 識 を大 変 革 して いか な くて は な ら な くな る こ とを指 摘 す る。
② と くに,大 量 の不 良 資 産 を抱 えて い るわ が 国 の 銀行 経 営 は形 骸 化 し た株 主 利 益 主 体 の経 営 か ら脱 皮 し,銀 行 利 害 関 係 者 全 員 の利 益 を追 求 す る経 営 に向 か うべ きで あ る。 また,金 融 取 引形 態 はア ング ロ ・サ ク ソ ン 流 の マ ー ケ ッ ト重 視 の流 れ に乗 っ て い か ざ る を得 ず,こ の流 れ か ら逸 脱
した場 合,わ が 国 の経 済 は今 後 立 ち い か な くな る可 能 性 が あ る。 た だ, 日本 人 の国 民 性 は歴 史 的 にみ て そ れ に十 分 適 応 で き る資 質 を有 して い る。
③ ビ ッ グバ ン以 降 の銀 行 が存 続 し得 るか 否 か は経 営 者 の指 導 力 の優 劣 が決 め手 とな る。 大 量 の 不 良 資 産 の発 生 は機 械 に載 る情 報 の みが 唯 一 の 情 報 だ と信 じて いた り,誤 った 判 断 を正 しい判 断 として平 然 と経 営 を行 って きた 経 営 者 が 多 か っ た こ とに よ る面 が強 い。 リー ダー シ ップが な く モ ラル の低 い経 営 者 は淘 汰 され て い く仕 組 み が ビ ッグバ ン以 降 の銀行 組 織 に は ビル トイ ン され て くる。
④21世 紀 に向 け,銀 行 経 営者 は 自己 資 本 の充 実 を第 一 の 目標 に し,銀 行 の従 業 員,預 金 者,融 資 先 に対 し経 済 的 な イ ンセ ンテ ィブ以 上 に 「非 経 済 的 な イ ンセ ンテ ィブ」 を与 えて い くこ とが大 切 な経 営 要 素 とな っ て 42国 際経営論集No.192000
い く。
⑤ さ らにs銀 行 の顧 客 に は変 わ りゆ く銀 行 経 営 の 真 実 の姿 を知 る権 利 が あ り,銀 行 経 営 者 は それ を知 らせ る義 務 が あ る。 また ,顧 客 も 自己 の 財 産 や企 業 経 営 を 自己 貴 任 の下 で守 っ て いか ね ば な らな い覚悟 を持 つ こ
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とが要 請 され て くる。」
同 書 で は,以 上 の よ う な問題 意 識 の下 で,以 下 に紹 介 す る よ うな事 例 につ い て,見 解 を表 明 して い る。 これ らの 意 見 は金 融 業 の将 来 へ の橋 渡 し役 を果 た す こ とに な ろ う。
「① 何 が 間違 っ て い た の か
この よ う に,銀 行 の 抱 え て い る不 良 資産 の状 態 に つ い て は その程 度 に 応 じて どの よ うな もの が あ る のか を認 識 しな い か ぎ り,国 民 の ミス リー ドを惹起 し金 融 シス テ ム その もの に大 きな影 響 を与 え る シス テ ミッ ク ・ リス ク につ なが っ て い く可 能 性 もあ る。 そ のた め に も,マ ス コ ミ等 の協 力 を得 な が ら不 良 資 産 の 内容 説 明 を付 随 させ た 計 数 開示 の 方 向 を今 後 強
fig}
力 に推 進 して い く こ とが 要 請 され る。」
「② 不 良 資 産 の 内容 理 解
また,国 民 の サ イ ドで も開 示 され た不 良 資 産 の 内容 を理 解 した う えで 当該 銀 行 の 不 良 資 産 計 数 を把 握 して い く努 力 を しな くて は な る まい。 十 分 な理 解 さ え得 られ れ ば特 定 企 業 や個 人 の 個 別情 報 な どは別 と して 正 し い銀 行 経 営情 報 をか な り前 向 き に開示 して い くこ とは 当然 の こ とで あ り, 逆 に隠 そ う とす る銀行 を国 民 が排 除 して い くこ とに もな る。 その よ うな 対 応 が 一 般 化 す る こ とが 銀 行 や 行 政 に対 す る国民 の 不 信 感 を一 掃 す る こ
.30)
と に も な る。」
「③ 金 融 ビ ッ グバ ン成 否 の 鍵
金 融 ビ ッ グ バ ン の 波 は,否 応 な くわ が 国 の 金 融 機 関 全 体 に襲 い か か っ て き て い る 。 しか も,そ れ は フ リー,フ ェ ア,グ ロ ー バ ル と い う原 則 に よ っ て 貫 か れ て お り,マ ー ケ ッ トル ー ル と い う世 界 共 通 の 取 引 原 理 に 従
金融規制の現状43
わ な けれ ば,国 際 的 な金 融 取 引 に参 画 で きな くな る こ とを も意 味 して い る。 物 的 資 源 に乏 しい わ が 国が 金 融 取 引 の 国 際 化 に向 けて よ うや く本 格 的 に始 動 し た こ と は世 界 の 潮 流 か ら み た 場 合,遅 き に 失 した 感 す ら
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あ る。」
「④ わ が 国 の 銀行 が 進 むべ き選 択
それ で は,わ が 国 の銀 行 業 態 が 同質 化 せ ず,か つ 国民 に とって意 味 の あ る金 融 機 能 を果 た す途 は ど こに あ るの か 。
前 述 した よ う に,そ の 前提 は銀行 の 自己 資 本 の充 実 に あ るが,一 言 で 自己 資本 の充 実 とい っ て も,そ れ に は各 種 リス ク管 理 の徹 底 組 織 の有 効 性 や能 率性 の確保 とい う こ との尻 が 自己資 本 の充 実 とい う結 果 につ な
が る ので あ る。 規 模 の大 小 を問 わ ず この 自己 資本 の充 実 が達 成 で きな い 先,つ ま り自己資 本 比 率 の低 い 先 は金融 ビ ッグバ ンの 波 に押 し倒 され て
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し ま う可 能 性 が あ る。」
「⑤ 将 来 の 銀行 に期 待 され る機 能
将 来 的 に国 民 の 貯 蓄 率 が 低 下 して い くこ とが予 想 され るな か で,銀 行 は,外 国 銀 行 のわ が 国へ の進 出 と営 業 活 動 の 展 開 は も とよ り,流 通 業 の 決 済 業 務 へ の参 入 や一 般 企 業 の イ ンハ ウ ス ・バ ンキ ン グの 活 発 化 な どの 脅 威 に もさ らされ て い く。 その なか で 銀 行 は いか な る レー ゾ ンデ ー トル を強 調 して い くべ きか を真 剣 に議 論 す べ き時 期 に な っ て い る。 む ろん,
この よ うな金 融機構 の変 化 が 国 民 経 済 的 に有 益 な結 果 を もた らす もの で あれ ば,従 来 の分 野 か ら銀 行 は徐 々 に撤 退 す る必 要性 も出 て くる こ とに な る。
これ か らの経 済 社 会 に あ って は国 内企 業 に とっ て効 率性 の悪 い分 野 へ は その分 野 を得意 とす る外 国 企 業 が 新 た に参 入 して くるほ うが む し ろ望 ま しいの で あ り,既 得権 益 に よ る保 守 的 な参 入 阻止 は国民 の利 益 に はつ なが らな い。 個 性 の あ る銀 行 の み が 国民 に とって 有 用 な存 在意 義 の あ る
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銀 行 と な っ て い く は ず で あ る 。」
44国 際 経 営 論 集No192000
② 金 融業 の将 来
金 融 業 な い し銀 行 業 の将 来 に つ い て論 じて い る本 は少 な い。 こ こで取 り上 げ る二 著 は,共 に米 国書 の翻 訳 で あ る。 した が って ,米 国 で の経 験 が 中心 で あ る。
① 銀行業の将 来
J・Lピ ア ス は 『銀 行 業 の将 来 』 の 日本 語 版 へ の序 文 で,次 の よ う に述 べ て い る。
「本 書 は,直 接 的 に は ア メ リカ の銀 行 業 の 将 来 を取 り扱 い,ア メ リカ に 独 特 な制 度 的 要素 を議 論 して い るが,ア メ リカが か か え て い る経 済 問題
は 日本 も含 め て あ らゆ る先 進 国 の 銀 行 業 に あ て は ま る。 日本 の銀 行 業 の 法 律 上,規 制 上,そ して制 度 上 の環 境 は ア メ リカ の そ れ とは大 き く異 な っ て い るが}同 一 の 基本 的 な経 済 上 ・技 術 上 の 力 が 両 国 で働 い て い る。
これ らの力 こそ が そ れ ぞ れ の 国 の 銀 行 業 の将 来 を究 極 的 に決 定 す るの で あ る。 銀行 業 の 将 来 が 明 るい か暗 いか は,そ れ ぞ れ の 国 の政 府 が経 済 の 現 実 に対 応 した政 策 を採 用 す るか否 か に よ って ほ とん ど決 まっ て し ま う
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で あ ろ う。」
本 文 の 中 で は,「 銀 行 業 の 将 来 と規 制 」 につ い て,以 下 の よ う に論 じて い る。
「米 国 の金 融 シス テ ム の なか で の役 割 を根 本 的 に変 え る よ うな仕 方 で, 銀 行 業 は これ まで も変 わ って きた し今 も変 わ り続 けて い る。 銀 行 は もは
や単 に地 元 の預 金 を受 動 的 に集 め て地 元 の企 業 に貸 し付 け るだ け で は な い。 多 くの銀 行 は,国 境 を越 え,海 外 で 多数 の 金 融 サ ー ビス を提 供 す る 一 方 で,世 界 中 の市 場 で 資金 を求 め て競 争 す る多 国籍 企 業 で あ る。 提 供 す る金 融 サ ー ビス に は,考 え られ る限 りのす べ て の種 類 の 貸 付 だ けで な く,投 資 銀 行 業,保 険,株 式 ・債 券 の ブ ロー カ ー業,リ ー ス 業,貸 付 の
「証 券 化 」 とい っ た形 態 も含 ん で い る。 引 受 け な どの証 券 業 務 を行 う能 力 はy規 制 とい う制 約 が な い 海 外 で は と くに 高 い。 小 さな銀行 は通 常 国
金融規制の現状45
内で の み営 業 して い るが,資 金 を求 め て活 発 に競争 し,ま す ます 多種 の 金 融 サ ー ビ ス を提 供 し,大 銀 行 が 組 成(originate)し た 国 際 貸 付 に参 加 す る。 州 を越 え て の支 店 展 開 の禁 止 は尊 重 され て い た が,次 々 に破 ら れ る よ うに な り,多 くの銀 行 が 地域 的(regional)な あ るい は全 国 的 な ネ ッ トワー ク を形 成 して い る。 銀行 家 が 新 しい市 場 に入 っ て い く と同時 に,伝 統 的 な銀行 業 サ ー ビス を提 供 す る多数 の ノ ンバ ン クが競 争 者 と し て銀 行 の領 域 へ 侵 入 して きた。 これ らの 変 化 の た め に,銀 行 規 制 に は大
きな 問題 が生 じた 。銀 行 規 制 は この根 本 的 に異 な った 金 融 環 境 に適 応 し て い ない の で あ る。
銀 行 業 に関 す るほ とん どの改 革 提 案 は症 状 に対 してで あ っ て,病 気 そ の もの に は向 け られ て い な い。 も し銀 行 が ブ ラジ ル,メ キ シ コ,そ の他 の発 展途 上 国 に過 度 に資 金 を貸 し付 けて い た の な ら,そ れ らの諸 国 へ の 貸 付 を減 らす こ と を求 め れ ば よい。 も し銀行 の資 本 水 準 が不 十 分 な ら, 資 本 を増 や させ れ ば よい。 も し,銀 行 が あ ま りに リス クを負 っ て い るな
ら,リ ス ク を と らせ な い よ うにす れ ば よい。 この よ うな 反応 の裏 に は, 銀行 が 正 し く行 動 して こな か っ た か ら問題 に陥 って い るの だ とい う前 提 が あ る。 不 良 少 年 の よ う に,銀 行 に規 律 を与 え そ の行 動 を規制 しな けれ
ば な らな い とい うの で あ る。
規 律 が乱 れ 経 営 に失 敗 した 銀 行 の例 が 目 につ きや す い けれ ど も,ほ と ん どの 銀 行 は う ま く経 営 され て い る。 問題 は それ ほ ど表面 的 な ので は な い。 根 本 的 に は,銀 行 業 や それ を条件 づ け て い る政 府 の計 画 が,金 融 市 場 や金 融 業 務 の一 体 化 が 進 み高 度 技 術 が 発 達 した現 代 の金 融 界 と矛 盾 す る よ うに な っ て きた ので あ る。 この事 実 が,銀 行 業 の将 来 の成 功 に とっ
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て 中 心 的 な も の と な る 。」
最 後 に 「新 し い 銀 行 規 制 の た め の 提 案 」 と し て,以 下 の よ う に 論 じ て い る。
「安 全 な 通 貨 制 度 は 経 済 の 安 定 とい う マ ク ロ経 済 的 な 目標 を達 成 す る た め に 不 可 欠 で あ る。 し か し も う一 つ の 目標 が あ る 。 大 衆 は 市 場 の 需 給 に 46国 際経営論集No.192000
よ って価 値 が変 動 しな い資 産 す な わ ち安 全 な避 難 港 を望 ん で い る。 これ は預 金 保 険 が支 持 され る第 一 の理 由 で あ る。 それ に よっ て人 々 は貨 幣 が 安 全 で あ る とい う こ とを確 信 して い る の で あ る。 つ ま り預 金 保 険 は,資 産(決 済勘 定 の 残 高)が 額 面 で償 還 され る こ と を保 証 す る。
たぶ ん多 くの人 は預 金 保 険 の 「本 当 」 の 存 在 理 由 が マ ク ロ経 済 的 な理 由,言 い換 えれ ば 通貨 制 度 を安 定 的 に す る とい う こ とに あ る とは気 づ い て す らい な い だ ろ う。 人 々 は預 金保 険 が 単 に安 全 な 資産 を提 供 す るだ け の もの と思 っ て い る。 これ はあ た り まえ の こ と を論 じて い る よ うに み え るか も しれ な い が,結 局 の とこ ろ,預 金保 険 が 通 貨 制 度 を守 る理 由 は, 人 々 が 貨 幣 の安 全 性 を確 信 し,取 付 け騒 ぎ を起 こさ な い こ とにあ る とい
え る。 安 全 な通 貨 制 度 とい う目的 と大 衆 に安 全 な 資産 を提 供 す る とい う 目 的 は か な り関 係 す る の だ が,ま っ た く同 じ で あ る と は い え な〔逡.」
② 金融業 の将来
次 にF.R.エ ドワー ズ の 『金 融 業 の 将 来 』 を み て い く こ と にす る。 表 紙 裏 の 紹 介 文 は次 の とお り。
「貯 蓄 金 融 業 全 体 の崩 壊,伝 統 的 商 業 銀 行 の衰 退,ノ ンバ ン ク金 融 機 関 の 急速 な成 長,金 融 市 場 の 国 際 化,デ リバ テ ィブ の よ うな革 命 的 金 融 商 品 の 開 発1980年 代 以 降 激 変 す る ア メ リカ の金 融 市 場 で は,銀 行 を他 の金 融 機 関 か ら分 離 ・隔 離 して きた規 制 上 の障 壁 は急 速 に姿 を消 しつ つ あ り,銀 行 規 制 だ けで な く金 融 市 場 や金 融 機 関 へ の規 制 を再 考 察 す る必 要 に迫 られ て い る。
『金 融 市 場 を脆 弱 に す るの は,ノ ンバ ンク 金 融 機 関 や デ リバ テ ィブ な どの新 しい金 融 商 品 で な く,む しろ伝 統 的 な銀 行 で あ る』一一 本 書 で は そ う結 論 づ け,『 担保 付 き銀 行 業 シス テ ム』 とい う新 た な金 融 シス テ ム
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と,規 制 の あ り方 につ い て大 胆 に提 言 す る。」
以 下 は,同 書 の 「は じめ に」 の 中 の著 者 の 主 張 を要 約 した もの で あ る。
「私 は懐 疑 的 で あ る。 現 在 の,信 用 秩 序 維 持 の た めの 銀行 規 制 体 系 で す 金融規制の現状47