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島根県・鳥取県における令和 2 年度スモン患者のアンケート調査

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Academic year: 2021

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(1)

A. 研究目的

島根県・鳥取県におけるスモン患者の療養状態を把 握することを目的とした。

B. 研究方法

調査委員会の資料を基に、 患者全員にアンケート用 紙を郵送した。

アンケートの内容は①現在の身体状況、 ②精神症状、

③日常生活状況、 ④現在の医療・介護サービス、 ⑤訪 問検診希望の有無、 ⑥研究班に対する意見、 ⑦医療費 の負担について等を回答してもらった。 回答は①②③ についてはその症状の有無と、 程度に分けて記入して もらった。

C. 研究結果

アンケートを郵送した患者は島根県 21 名、 鳥取県 4 名 の 計 25 名 で あ り 、 そ の う ち 回 答 い た だ い た の は 島根県 14 名、 鳥取県 1 名の計 15 名であった (表 1)。

郵送は調査委員会からの情報を基に島根県・鳥取県の スモン患者全員に発送した。 受給者番号の不明な方に

も例年のように送付した。 今回は合わせて 15 名の現 状について報告する。

年齢:15 名の平均年齢は 82.9 歳であった。 年齢分 布は 90 歳代 5 名、 80 歳代 3 名、 70 歳代 7 名であった。

(図 1)。 90 歳代が 3 分の 1 を占め、 最年少者の方は 70 歳、 最年長者の方は 97 歳であった。

家族構成:3 名以上の家族と同居している方は 4 名、

二人暮らし 4 名、 一人暮らし 3 名、 施設等に入所中の 方は 4 名であった (図 2)。 施設入所の方が増加して おり、 独居の方と合わせると半数を超えていた。

介護度:申請していない人が 8 名、 要支援 1 の方が 1 名、 要介護 1 は 2 名、 要介護 4 は 3 名、 要介護 5 は 1 名 で あ っ た 。 介 護 保 険 の 申 請 を し て い な い 方 が 53%

であった。 (図 3)。

歩行能力:独歩可能な方が 6 名、 杖又は老人車で歩 行可能な方の 3 名を加えると 4 割の方が自力での歩行 が可能であった (図 4)。 車いすの使用の方が 2 名で 臥床状態の方は 4 名であった。

認知機能:15 名中 10 名の方には認知機能障害を認 めなかった (図 5)。 高齢化とともに高度認知機能障 害の方が 2 名見られた。

医療費:4 名が一部医院で通常の医療負担をしてい た。 全額公費として支払いが全くない人は 9 名であっ た (図 6)。

― 132 ―

島根県・鳥取県における令和 2 年度スモン患者のアンケート調査

土居 充 (国立病院機構鳥取医療センター脳神経内科)

表 1 アンケート回答

郵 送 回 答 比 率 %

島 根 県 21 14 66.7%

鳥 取 県 4 1 25.0%

計 25 15 60.0%

研究要旨

我々は毎年、 島根県と鳥取県においてスモン患者の調査を行ってきた。 例年はアンケート 調査を事前に行い、 自宅訪問検診並びに集う会での集団検診に取り組んできた。 今年度は、

新型コロナウイルスの影響による個別訪問、 集う会の中止に伴い、 アンケート調査を行った。

現在の患者の現状を調査し、 今後の課題を報告する。 コロナ禍での患者を取り巻く環境やス モン症状等の変化、 また様々の合併症や ADL を把握し過去の状態と比較した。

(2)

D. 考察

今回の報告は 15 名のアンケートから得られた島根 県・鳥取県のスモン患者の現状である。

アンケート郵送数、 検診数は徐々に減少しており、

10 年前と比べてアンケート郵送数は 37 名から 25 名に 減少しており、 調査対象者も 27 名から 15 名に減少し ていた。

運動機能は移動が自立されている方が約 6 割、 重介 護の方が約 3 割と二分化される傾向であった。

70 歳 代 の 方 は 、 積 極 的 に 地 域 活 動 に 参 加 さ れ て い る方も多くいる一方で、 運動機能の障害が高度なため、

兄弟の支援が欠かせない方もおられた。 スモン患者さ んの症状は軽症から重度まで様々である。 経時的な変

化に加齢の影響が加わってくる。 脊髄症状が目立ち、

痙性対麻痺の状態の方にはリハビリテーションの適応 になると思われる方が数名おられた。 リハビリテーショ ンの方法として医療資源をどう活用していくか熟慮し なければならない。

医療費の負担については、 初診で他院を受診する際 等、 引き続き注視する必要がある。 「スモン患者さん が使える医療制度サービスハンドブック」 を有効利用 できるように促していきたい。

医療費負担はないが、 介護保険での負担軽減につい ての要望が今年もあった。 約 2〜3 万円の介護保険料 の負担の方が多くみられた。 介護保険のサービス利用 の内容は通常のデイサービスなどが多かった。

― 133 ―

70ṓ௦ 47%

80ṓ௦ 20%

90ṓ௦ 33%

図 1 年齢構成

࡞ࡋ 53%

せᨭ᥼㸯 7%

せ௓ㆤ㸯 13%

せ௓ㆤ㸲 20%

せ௓ㆤ㸳 7%

図 3 介護度別認定状況

.

⊂Ṍ 40%

᮫࣭⪁ே㌴

20%

㌴࠸ࡍ 13%

⮩ᗋ 27%

図 4 歩行能力

.

࡞ࡋ 67%

㍍ᗘ 20%

㧗ᗘ 13%

図 5 認知障害

᪋タ 26%

1ே

27%

㸰ே

20%

3ே௨ୖ

27%

図 2 生活環境

.

࡞ࡋ 13%

୍㒊㈇ᢸ බ㈝ 27%

60%

図 6 医療費の支払い

(3)

今年度は新型コロナウイルス感染の拡大に伴い、 県 をまたぐ移動を控えざるおえない状況となった。 毎年、

個別訪問での対面検診を楽しみにして待っておられる 方も多く、 実現できなかったことは遺憾であった。 集 う会での患者さん方の語らいは、 共感できる者同士の 空間として、 重要な役割を担っていた。 今回、 集う会 の継続が途切れたことは大変残念であった。 スモンは 世間一般には遠い昔の出来事に陥りがちであるが、 我々 が関心を持ち続けることが緊要な事と思われる。

アンケートに記入いただいた患者さん方からの言葉 とそれぞれに対する感想を述べる。 「スモンの病気が 分からない人が多い」。 いまだにスモンへの認識が不 足している現状がある。 スモンは難病政策の契機となっ た疾患である。 指定難病申請時に一般の方への啓蒙と して何らかの形でスモンについて通知できる文書の必 要性を考える。 「老後のことがとても心配。 子供もい ないので」、 「老化現象はいろいろあり、 これからが大 変と思います」。 将来への不安は年齢が高くなるにつ れ付きまとうものであり、 独居の方も増加している。

社会生活の中で孤立しない環境づくりが大切と思われ る 。 ス モ ン 検 診 の 重 要 な 役 割 の 一 つ と 考 え て い る 。

「80 歳になり、 ここまで生きるとは思っていませんで した」。 発症から 50 年以上となる当時の事を振り返れ ば、 個々の患者さんの人生に及ぼした多大な影響がし のばれる。 「コロナで色々な行事がなくなり家に居る ことが多い」。 新型コロナ感染は生活の多方面に影響 を与えていると思われる。 フレイル、 サルコペニアに 陥らないように注意を促す必要がある。 「発症当時の 事を思えば今は良好、 欲を言えばきりがない。 ここま で良くなった事に感謝」。 患者さんから我々が学ぶべ き心構えを教えていただいた。

今回、 アンケートのみの調査となったが、 いかにし てかかわりを継続し、 深められるか我々が試されてい ると認識し、 来年以降につなげていきたい。

コロナ感染の状況は日々変動することを考えると、

まとまった時期に、 個別検診を集中して行うことは来 年以降もむつかしい面が生じると思われる。 地域を限 定した形で、 時期を分散させた個別検診を行う方策を 考えたい。 来年度以降の検診ならびに集う会の再開を 目途に計画を立てていきたい。

E. 結論

重介護者の割合が増加しており、 高齢化の影響がう かがわれた。 アンケート調査ではわからない点も多く、

患者さんに寄り添える時間として対面での検診ならび に集う会の再開を祈念するとともに、 良策を講じてい きたい。

G. 研究発表 なし

H. 知的財産権の出願・登録状況 なし

I. 文献

1 ) 下田光太郎ほか:山陰地区における平成 22 年度 スモン患者検診, 厚生労働科学研究費補助金 (難治 性疾患克服研究事業), スモンに関する調査研究班・

平成 22 年度総括・分担研究報告書, pp. 61-64, 2011 2 ) 下田光太郎ほか:山陰地区における平成 28 年度 スモン患者検診, 厚生労働行政推進調査事業費補助 金 (難治性疾患等政策研究事業 (難治性疾患政策研 究事業)), スモンに関する調査研究班・平成 28 年 度総括・分担研究報告書, pp. 114-117, 2017 3 ) 下田光太郎ほか:山陰地区スモン患者検診 16 年

を振り返って, 厚生労働行政推進調査事業費補助金 (難治性疾患等政策研究事業 (難治性疾患政策研究 事業)), スモンに関する調査研究班・平成 29 年度 総括・分担研究報告書, pp. 90-94, 2018

4 ) 土居充ほか:平成 30 年度山陰地区スモン患者の 実態, 厚生労働行政推進調査事業費補助金 (難治性 疾患等政策研究事業 (難治性疾患政策研究事業)), スモンに関する調査研究班・平成 30 年度総括・分 担研究報告書, pp. 104-107, 2019

5 ) 土居充ほか:令和 1 年度山陰地区スモン患者の実 態, 厚生労働行政推進調査事業費補助金 (難治性疾 患政策研究事業), スモンに関する調査研究班・令 和元年度総括・分担研究報告書, pp. 114-117, 2020

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参照

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