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学位論文題名Analyses of population dynamlCSandeStabliShmentofharVeSt−baSedpopulationeStimationmethodSinthe Sikadeer(Cを〆ぴ勿S勿りゆ〇刀)inHOkkaidO,Japan

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 上 野 真 由 美

     学位論文題名

Analyses of population dynamlCSandeStabliShmentof harVeSt − baSedpopulationeStimationmethodSinthe     Sikadeer (C を〆ぴ勿 S 勿りゆ〇刀)inHOkkaidO , Japan

(北海道に生息するニホンジカ(Cervus nippon) 個体群の動態解明と

    

捕獲数を用いた個体数推定法の確立)

学 位論文内容の要旨

    シカをはじめとする有蹄類は、捕食者の減少・森林の草地化・里山での人間活動の衰退によっ て世界各地で激増し、森林生態系の改変や農林業被害・交通事故の増加といった問題を起こして人 間社会との軋轢を高めている。そのため、有害駆除や狩猟による捕獲(以下、捕獲)を通じて個体 数をコントロールする試みが行われている。我が国においては1日の捕獲許可数や捕獲期間といっ た規制を緩和することによって捕獲努力量を一定レベルまで上げることに成功したが、いまだ個体 数を目標レベルにまで減少させた地域はない。そのため、捕獲の個体数削減効果の検証と確度の高 い目標捕獲数の算定が求められている。本研究は、ニホンジカの個体数を高い確度で、かつ現実的 な手法で推定する方法を確立し、捕獲による個体数削減効果を検証することを目的に、以下の3つ の課題に取り組んだ。まず、齢別捕獲数を用いた実用的な個体数復元法を確立するため、水産資源 管理学において発展してきたコホート解析を陸棲大型哺乳類に適用できるよう改良した(2章)。

次に、2章で検討した手法を用いてニホンジカ個体群の動態を分析し、捕獲による個体数削減効果 を検証した(3章)。最後に3章における復元個体数を用いて、自然増加率をモデル化し、大規模 スケールでの個体数推定法を確立した(4章)。総合討論では、4章で確立した手法を全国で実施す るにあたっての問題点を提起した(5章)。

  2章 で検討し たコホート解析とは、齢別捕獲数を出生年ごとに集計し、足し合わせることで、

過去の個体数を復元する手法である。この原理に忠実な方法(以下、オリジナルコホート解析)で は、ある年(1年間)の個体数復元のためには寿命と同じ年数にわたる齢別捕獲数を必要とするた め、寿命の長い陸棲大型哺乳類においては適用例が非常に少なぃ。水産資源管理学では、齢別捕獲 数データと同じ期間の個体数復元を可能にする方法が開発されているが、この手法では捕獲率につ いていくっかの仮定を置く必要があるため、陸棲大型哺乳類への適用にあたってそれらの仮定が妥 当であるか、また、より適切な仮定は存在するのかを検討する必要がある。本研究では、24年間 にわたり収集されてきたノルウェーのへラジカ個体群の齢別捕獲数を用いて、仮定に依存しないオ リジナルコホート解析によって算出された齢別個体数を真に近い値と考え、それぞれの仮定の妥当 性を検討した。その結果、捕獲データの最終年における齢別捕獲率は、捕獲率の年変化に一定の傾

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向が見られない限り、過去数年間の平均捕獲率に等しいと仮定することが、後半年の復元個体数の 正確性を著しく高めることを明らかにした。このように、より適切な仮定に基づぃたコホート解析 を確 立し 、大 型陸 棲哺 乳類 に おけ る齢 別捕 獲数 を用 いた 個体 数復元法の実用化に貢献した。

  3章では、個 体数コントロールを目的とした捕獲の個体数削減効果を検証するため、1990‑2001 年における北海道東部足寄町ニホンジカ個体群を対象にその動態を分析した。2章で検討した手法 を用いて、同期間の性・齢別個体数(1歳以上)を復元した。足寄町で行われた最も大きな規制緩 和は1998年に 実施 され 、捕 獲 許可 数が11頭から2頭になり 、その内訳は、オスについては最 大1頭 、メスについては最大2頭であり、積極的なメスジカ捕 獲が奨励された。90年代前半にお いて、メスの捕獲率は低い値で推移し、個体数は増加の一途をたどった。一方で、個体数の増加に 伴い、子(0歳 個体)の生存率が低下するなど、個体群成長率への密度効果が検出され、個体群自 己制御機構の存在が示唆された。しかし、最も生息密度が高い条件下においても個体群成長率は依 然として正であり、個体数の減少には至ら ず、積極的なメスジカ捕獲が開始された1998年の翌年 に初めて個体数が減少した。この個体数の減少には、捕獲率の上昇だけでなく1歳個体の加入率の 低下も寄与していた。加入率が低下した原因のーっとして、子の母親にあたる2歳以上メスの捕獲 率の上昇が明らかになった。2歳以上メスの捕獲が加入率を低下させた理由には、母親を失った孤 児は生存に不利であり1歳になるまでに死亡しやすいことが考えられた。以上の分析から、個体数 が過剰な状態にあるニホンジカを減少させ るためにはメスジカの大量捕獲が不可欠であることを 立証した。

  4章では、3章で得られた復元個体数を使 って自然増加率の推定モデルを作成し、大規模スケー ルでの個体数推定法を検討した。Matsuda etal・(2002)やYamamura etal.(2008)は、ライトセンサス で得られた個体数指数の動向を参照しながら、捕獲実績に基づぃて個体数を推定する手法を開発し た。しかし、これらの手法では対象個体群の自然増加率を独立に推定する必要がある。従来は、あ る特定地域で得られた値を仮定値として用いてきたが、挿入する値によって推定個体数が大きく異 なってしまうという問題があった。3章において自然増加率ーの密度効果が検出されたことを考え ると、自然増加率の時間的変化を考慮にいれることによって、確度の高い個体数推定が可能になる と期待された。そこで、3章で実施した足寄町個体群の復元個体数から自然増加率の推定モデル(以 下、足寄モデル)を作成し、その上位個体群にあたる北海道東部個体群の個体数推定法を検討した。

まず、足寄モデルの妥当性を検討するため、足寄町個体群を対象に、ライトセンサスで得られた個 体数指数の動向を参照しながら、捕獲実績に基づぃて個体数推定を行った。真の値に近いと考えら れる復元個体数と比較した結果、各年の推定値およびその年変化の動向は復元個体数のそれに近く、

足寄モデルの妥当性が裏付けられた。次に、この足寄モデルを道東個体群の個体数推定に適用し、

従来の手法による推定結果と比較した。その結果、新しい推定値の年変化は妥当で、個体数は自然 増加率に1。15を仮定した場合に近い値が得られた。このように、本章ではモデル個体群における 詳細な情報を取り入れることによって自然増加率の推定モデルを作成し、大規模スケールでの確度 の高い個体数推定法を確立した。

  捕獲数は、ニホンジカ特定鳥獣保護管理 計画が実施されている都道府県において最も熱心に収 集されているデータである。4章で示したように、、モデル地区における齢別捕獲数といった個体群 の詳細なデータと、広域レベルでの捕獲数や個体数指数といった簡易データを組み合わせることに

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よって、大規模スケールでの個体数推定が可能になり、個体数管理に必要な確度の高い目標捕獲数 を得ることができると期待される。本手法を実践するためには齢別捕獲数データを回収するモデル 地区を増やす必要カミある。継続的に齢別捕獲データを収集するシステムを確立することが、今後の ニホンジカの個体数管理において重要であると考えられる(5章)。

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学位 論文 審査の要旨 主査    教授   齊藤   隆 副査    教授   齋藤   裕 副査    教授   秋元信一

副 査   名 誉 教 授 前 川 光 司

副査   教授   梶   光一(東京農工大学共生科学

    

技術院)

    

学位 論文 題 名

Analyses of population dynamlCSandeStabliShmentof   harVeSt

baSedpopulationeStimationmethodSinthe     Sikadeer

C

を ァ ぴ勿

S

刀 り 】ウ〇刀)inHOkkaidO ,Japan

( 北 海道 に 生 息す る ニホ ン ジカ(Cervus nippon)個 体群の動 態解明と     捕 獲 数を 用 い た個 体 数推 定 法 の確 立 )

本 研 究 は110ベ ー ジ の 英 文論 文 で 、引 用 文献151を 含み 、5章 で構 成 さ れて い る。

他 に 参 考 論 文8編 が 添 え ら れ て い る 。

シカ 類 は 世界各 地で激増 し、人間 社会との 軋轢を高 めている ため、駆除 や狩猟に よる 捕獲 ( 以 下、捕 獲)を通 じた個体 数コント 口ールが 試みられ ている。し かし、い まだ に個 体 数 を目標 レベルに まで減少 させた例 はなく、 捕獲の個 体数削減効 果の検証 と個 体数 管 理 に必要 な分析手 法の確立 が求めら れている 。本研究 は、捕獲効 果の検証 と捕 獲数を用 いた個体数推定法の確立を目的に、以下の3つの課題に取り組んだものである。

課題1: 齢 別捕 獲 数 を用 い た 個体 数 復元 法 を確立(2章)。課 題2:二ホン ジカ個体 群 の動 態 分 析と捕 獲効果の 検証(3章 )。課題3:大規模 スケール での個体数 推定法の 確 立(4章) 。また、 総合討論 として、4章 で検討した手法を実施する場合の問題点を議論 している (5章)。

2章では 、齢別捕 獲数を出生 年ごとに 集計することで、過去の個体数を復元する手法で あるコ ホート解 析法の改良 を行って いる。原 理に忠実 な方法( 以下、オリジナルコホ ート解 析)は、 ある年の個 体数復元 のために 寿命と同 じ年数の 齢別捕獲数が必要なた め、寿 命の長い陸棲大型哺乳類ではほとんど適用されていない。水産資源管理学では、

捕獲デ ータと同 期間の個体 数復元を 可能にす る方法が 開発され ているが、捕獲率にい くっか の仮定を 置くため、 陸棲大型 哺乳類に 適用する ためには 、それらの仮定の妥当 性やよ り適切な 仮定の探索 が必要で ある。こ の章では 、ノルウ ェーのへラジカの長期 間にわ たる齢別 捕獲数を用 いて、オ リジナル コホート 解析によ って算出した齢別個体

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数を 真に 近い 値と 考え 、仮 定の 妥当 性を 検討 した。その結果、データの最終年におけ る齢 別捕 獲率 は、 捕獲 率の 年変 化に 一定 の傾 向が見られない限り、過去数年間の平均 捕獲 率に 等し いと 仮定 する こと が、 後半 年の 復元個体数の正確性を著しく高めること を明 らか にし た。 この よう に、 より 適切 な仮 定を得ることで、陸棲大型哺乳類におけ る個体数復元法の改良に貢献した。

3

章では、2 章で検討した手法を用いて、1990 ―2001 年における北海道足寄町二ホンジカ 個体 群の 動態 を分 析し 、個 体数 コン ト口 ール に対する捕獲の効果を検証した。90 年代 前半 にお いて 、メ スの 捕獲 率は 低い 値で 推移 し、個体数は増加し続けた。一方、個体 群成長率への密度効果が検出され、個体群自己制御機構の存在が示唆された。しかし、

密度 が最 も高 い時 でさ え個 体群 成長 率は 正で あり、密度効果によって個体数は減少し なか った 。個 体数 が初 めて 減少 した のは 、積 極的なメスジカ捕獲が開始された1998 年 の翌年で、捕獲率の上昇だけでなく1 歳個体の加入率の低下がこの減少に寄与していた。

加入 率の 低下 には 、子 の母 親に あた る2 歳 以上 メスの捕獲率の上昇が作用していた。2 歳以 上メ スの 捕獲 が加 入率 を低 下さ せた 理由 には、母親を失った孤児は生存に不利で ある こと が考 えら れた 。以 上の 分析 から 、個 体数が過剰な状態にあるニホンジカを減 少 さ せ る た め に は メ ス ジ カ の 大 量 捕 獲 が 不 可 欠 で あ る こ と が 立 証 さ れ た 。

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章で は、

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章 で復 元し た個体 数を使って自然増加率の推定モデルを作成し、大規模ス ケールでの新たな個体数推定法を検討した。Matsuda et al. (2002 )やYamamura et al.

(2008) は、ライトセンサスで得られた個体数指数の動向を参照しながら、捕獲実績に 基づ いて 個体 数を 推定 する手 法を開発した。しかし、仮定する自然増加率の大きさに よって推定個体数が大きく異なるという問題があった。3 章の分析に基づき、密度効果 を考慮した自然増加率の時間的変化をモデル化することによって、この問題を解決し、

より 確度 の高 い個 体数 推定が 可能になると考えられた。足寄町の復元個体数から自然 増加 率の 推定 モデ ル( 以下、 足寄モデル)を作成し、その上位個体群にあたる道東個 体群 の個 体数 推定 法を 検討し た。その結果、新しい推定値の年変化は妥当で、個体数 は自然増加率に1 . 15 を仮定した場合に近い値が得られた。このように、本章ではモデ ル個 体群 から 得た 詳細 な情報 を取り入れた個体数推定法を確立し、確度の高い個体数 推定を可能にした。

5

章で は4 章で検討した手法を実施する場合の問題点を議論し、個体群動態に関する詳 細 な情 報を得ることができるモデル個体群の重要性を指摘し、モデル地区からのデー 夕 収集 シス テム の確 立を 提言 した 。

以 上の ように本研究は、シカ類の個体数コント口ールに不可欠な捕獲の個体数削減効

果 を検 証し、個体数管理に必要な個体数推定法の確立に貢献した。よって審査員一同

は 、上 野真由美が博士(農学)の学位を受けるに充分な資格を有するものと認めた。

参照

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