博士課程用(甲)
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(様式4)
学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨
( 高草木 陽介 ) 印
(学位論文のタイトル)
Predictive factors of acute skin reactions to carbon ion radiotherapy for the treatment of malignant bone and soft tissue tumors
(悪性骨軟部組織腫瘍に対する重粒子線治療における急性期皮膚反応の予測因子)
(学位論文の要旨)
【序論】
切除不能の局所進行悪性骨軟部組織腫瘍に対しては放射線治療が行われるが、悪性骨軟部組織 腫瘍は一般にX線抵抗性であり、その治療効果は不十分である。重粒子線は高い生物学的効果と 良好な線量集中性を有し、その特性から悪性骨軟部組織腫瘍に対しても良好な局所制御率が報告 されてきた。しかし、重粒子線治療の対象となる局所進行悪性骨軟部組織腫瘍では、皮膚と腫瘍 が近接する場合、皮膚に高線量が投与されるために、重篤な皮膚障害を生じることが報告されて きた。Yanagiらは重粒子線治療におけるGrade 3以上の晩期皮膚反応の予測因子についてS60(60G yが照射される面積)>20cm2と報告したが、重粒子線治療と急性期皮膚反応の関連性については未 だ明らかではない。そのため、我々は悪性骨軟部組織腫瘍に対する重粒子線治療における急性期 皮膚反応の予測因子について研究した。
【材料と方法】
対象は、当院で2010年11月から2012年12月までに悪性骨軟部組織腫瘍に対する重粒子線治療を 施行した連続する22名である。22名のうち、仰臥位と腹臥位で体輪郭が大きく異なり正確な皮膚 線量の計算が不可能であった1例を除いた21名22部位を解析した。男性16名、女性5名で年齢の 中央値は61.5歳(19-79歳)であった。腫瘍の部位別では骨盤9例、四肢4例、体幹4例、傍脊椎3例、
腹膜1例であった。病理組織学的には脊索種5例、悪性線維性組織球腫3例、軟骨肉腫3例、脂肪肉 腫2例、悪性末梢神経鞘腫2例、その他5例であった。
重粒子線治療は総線量70.4Gy(RBE)/16分割/4週を基本とし、仙骨脊索種では67.2Gy(RBE)/16分 割、傍脊椎腫瘍では64.0Gy(RBE)/16分割をそれぞれ用いた。処方線量の95%以上で計画標的体積 が照射されるように治療計画を作成した。多方向のビームを用いることや、腫瘍の縮小に応じて 治療計画を調整することで皮膚線量の低減に努めた。
治療終了後90日以内に生じた皮膚反応を急性期皮膚反応とし、Common Terminology Criteria for Adverse Events version4.0を用いて評価した。急性期皮膚反応においてリスク対象となる 中心的な組織は表皮であり、その厚さは平均0.2mmとされている。本研究では皮膚表面から0.2mm の厚さの構造物を「皮膚」として定義し、その構造物に照射される平均線量を「皮膚線量」と定 義した。皮膚腫瘍距離(STD)、皮膚最大線量(Dmax)、SX(X Gy照射される皮膚の面積)の3つのパ ラメーターと急性期皮膚反応との関連について解析した。皮膚線量の評価にはMIM maestro vers ion 5.6を用いた。
博士課程用(甲)
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統計学的処理はStudent’s t-testによりP値が0.05未満を有意差があると見なした。カットオ フ値の算出にはReceiver operating characteristic(ROC)曲線を用いた。
【結果】
全例で急性期皮膚反応を認め、Grade1(G1)が15例、Grade2(G2)が7例であった。STDの中央値は 18mm(幅: 1-60mm)で、G1群では23mm(幅: 4-60mm)、G2群では5mm(幅: 1-25mm)であった(P = 0.00 7)。ROC曲線により算出したカットオフ値は11mmで、感度は86%、特異度は87%であった。Dmax の中央値は48Gy(RBE)(幅: 24-72Gy(RBE))で、G1群では39Gy(RBE)(幅: 24-53Gy(RBE))、G2群では 62Gy(RBE)(幅: 52-72Gy(RBE))であった(P < 0.0001)。ROC曲線により算出したカットオフ値は52 Gy(RBE)で、感度は100%、特異度は93%であった。線量面積ヒストグラムの解析ではS30, S40, S50, S60で有意差を認め、S40で最もP値が低かった(P = 0.002)。S40の中央値は14.2cm2(幅: 0- 196cm2)で、G1群では0 cm2 (幅: 0-102 cm2)、G2群では57 cm2(幅: 25-196 cm2)であった。ROC 曲線により算出したカットオフ値は25 cm2で、感度は100%、特異度は80%であった。
【考察】
本研究ではSTD, Dmax, S40がG2急性期皮膚反応の予測因子であることが見出された。我々の知 りうる限り、急性期皮膚反応と重粒子線治療との関連について初の報告である。
急性期皮膚反応は放射線治療において一般的な有害事象であり、患者のQOLを低下させる。強 度変調放射線治療や定位放射線治療といった近年の新たな放射線治療方法の出現により、皮膚は リスク臓器の一つであると認識されるようになってきた。特に重粒子線治療においては、皮膚は 処方線量と同等の線量が照射されると重篤な皮膚障害が生じることが報告されている。
皮膚線量の評価については標準化された方法はない。今回我々は皮膚表面から表皮の平均厚で ある0.2mmの領域を皮膚として線量を評価し、急性期皮膚反応と線量との関連性を見出した。本 評価法を引き続き用いその有用性について今後も研究を継続する予定である。
本研究では悪性骨軟部組織腫瘍に対する重粒子線治療における急性期皮膚反応の予測因子を見 出した。この研究結果は安全な治療を提供するための治療計画の最適化に有用と考えられる。
【参考文献】
(1) Yanagi T, Kamada T, Tsuji H, Imai R, Serizawa I, Tsujii H. Dose-volume histogram a nd dose-surface histogram analysis for skin reactions to carbon ion radiotherapy for b one and soft tissue sarcoma. Radiother Oncol 2010;95:60– 5.