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フィリピン共和国 マニラ首都圏ケソン市 フィリピン共和国環境負荷を低減する電動三輪自動車 (E トライシクル ) 都市交通システムの普及 実証事業業務完了報告書 平成 31 年 4 月 (2019 年 ) 独立行政法人 国際協力機構 (JICA) BEMAC 株式会社 国内 JR (

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(1)

フィリピン共和国

マニラ首都圏ケソン市

フィリピン共和国

環境負荷を低減する電動三輪自動車

(E トライシクル)

都市交通システムの普及・実証事業

業務完了報告書

平成 31 年 4 月

(2019 年)

独立行政法人

国際協力機構(JICA)

BEMAC 株式会社

(旧社名 渦潮電機株式会社)

国内

JR

19-052

(2)

<本報告書の利用についての注意・免責事項> ・本報告書の内容は、JICA が受託企業に作成を委託し、作成時点で入手した情報に 基づくものであり、その後の社会情勢の変化、法律改正等によって本報告書の内容 が変わる場合があります。また、掲載した情報・コメントは受託企業の判断による ものが含まれ、一般的な情報・解釈がこのとおりであることを保証するものではあ りません。本報告書を通じて提供される情報に基づいて何らかの行為をされる場合 には、必ずご自身の責任で行ってください。 ・利用者が本報告書を利用したことから生じる損害に関し、JICA 及び受託企業は、 いかなる責任も負いかねます。

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(3)

目次

巻頭写真 ... i

略語表 ... iii

地図 ... v

図表番号 ... vi

案件概要 ... viii

要約 ... ix

1.

事業の背景 ... 1

(1)事業実施国における開発課題の現状及びニーズの確認 ... 1

事業実施国の政治・経済の概況 ... 1

対象分野における開発課題 ... 3

事業実施国の関連計画、政策(外交政策含む)および法制度 ... 4

事業実施国の対象分野における ODA 事業の事例分析及び他ドナーの分

析 ... 4

(2)普及・実証を図る製品・技術の概要 ... 6

2.

普及・実証事業の概要 ... 8

(1)事業の目的 ... 8

(2)期待される成果 ... 8

(3)事業の実施方法・作業工程 ... 8

(4)投入(要員、機材、事業実施国側投入、その他) ... 10

(5)事業実施体制 ... 13

(6)事業実施国政府機関の概要 ... 15

3.

普及・実証事業の実績 ... 16

(1)活動項目毎の結果 ... 16

活動 1.維持管理体制の構築 ... 16

活動 2.E トライシクル運行の実施とモニタリング ... 17

活動 3. E トライシクル事業モデルの確立と普及活動 ... 42

(2)事業目的の達成状況 ... 69

(3)開発課題解決の観点から見た貢献 ... 71

(4)

(4)日本国内の地方経済・地域活性化への貢献 ... 71

(5)事業後の事業実施国政府機関の自立的な活動継続について ... 73

(6)今後の課題と対応策 ... 74

4.

本事業実施後のビジネス展開計画 ... 75

(1)今後の対象国におけるビジネス展開の方針・予定 ... 75

マーケット分析(競合製品及び代替製品の分析を含む) ... 75

ビジネス展開の仕組み ... 75

想定されるビジネス展開の計画・スケジュール ... 76

ビジネス展開可能性の評価 ... 76

(2)想定されるリスクと対応 ... 77

(3)普及・実証において検討した事業化による開発効果 ... 78

(4)本事業から得られた教訓と提言 ... 79

(5)

巻頭写真

ケソン市内を走る 既存のトライシクル(2016 年 3 月) S/C における協議の様子 (2016 年 4 月) EV Summit における E トライシクルの展示 (2016 年 4 月) トライシクルドライバーへのインタビュー (2016 年 6 月) ケソン市宣誓式にて貸与された 20 台の E トライシクル(2016 年 6 月) 第1 次実証運行の仮設駐機場(ケソン市 DPOS ビル駐車場)(2017 年 5 月)

(6)

テスト運行の給電設備(2017 年 5 月) 運行ルート表示(2017 年 5 月)

乗客ヒアリング調査(2017 年 5 月) 第2 次実証運行開始(2018 年 9 月)

(7)

略語表

略称 正式名称 日本語名称

ADB Asian Development Bank アジア開発銀行

AEV Alternative Energy Vehicle 代替燃料車

BEET (BEMAC)

BEMAC Electric Transportation

Philippines Incorporated 渦潮電機(株)の現地法人名 BMS Battery Management System 電池管理システム

CA City Administrator シティアドミニストレーター(ケソン市)

CAN Controller Area Network コントローラエリアネットワーク(車載用通信の国際標準規格)

C/P Counterpart カウンターパート

DOD Deed of Donation 譲渡証書

DOE Department of Energy エネルギー省

DNTR Department of Environment and Natural

Resources 環境天然資源省

DPOS Department of Public Order and Safety 公共秩序・安全局(ケソン市)

DTI Department of Trade and Industry 貿易産業省

ED Engineering Department 技術局(ケソン市)

EV Electric Vehicle 電気自動車

eVAP Electric Vehicle Association of the

Philippines フィリピン電気自動車連合

GDP Gross Domestic Product 国内総生産

GPS Global Positioning System 全地球測位システム GRDP Gross Regional Domestic Product 域内総生産

GSD General Services Department 総合サービス局(ケソン市)

IMF International Monetary Fund 国際通貨基金 JICA Japan International Cooperation Agency 国際協力機構 JODA Jeepney Operators and Drivers’

Association ジープニー事業者・運転手組合

LA Loan Agreement 借款協定

LED Light Emitting Diode 発光ダイオード

LGU Local Government Unit 地方自治体

LPTRP Local Public Transport Route Plan 地方公共交通路線計画

LTFRB Land Transportation franchising and

Regulatory Board 陸上交通許認可規制委員会

LTO Land Transportation Office 陸運局

MCU Motor Control Unit モータコントロールユニット(駆動用モーター制御ユニット) MRT Manila Light Rail Transit System マニラ・ライトレール

NCTS National Center for Transportation Studies

国立交通研究センター (フィリピン大学)

NEDA National Economic and Development

Authority 国家経済開発庁

NEDO New Energy and Industrial Technology Development Organization

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術 総合開発機構

(8)

PCU Power Control Unit 動力制御ユニット

PNP Philippines National Police フィリピン国家警察

PR Public Relations 広報

PUV Public Utility Vehicle 公共公益車両

S/C Steering Committee E トライシクル導入検討委員会

SNS Social Networking Service ソーシャルネットワーキングサービス

TODA Tricycle Operators and Drivers’

Association トライシクル事業者・運転手組合

TRU Tricycle Regulation Unit トライシクル規制ユニット(ケソン市)

UNDP United nations Development Programme 国連開発計画

(9)

地図

フィリピン国 出典:【世界地図・SekaiChizu】http://www.sekaichizu.jp/

(10)

図表番号

図 1-1 オートバイ・トライシクル登録台数(タクシー用)の経年推移 .. 2

図 2-1 業務実施体制図(当初)... 14

図 2-2 業務実施体制図(実績)... 14

図 3-1 本実証事業の管理体制(当初) ... 18

図 3-2 本実証事業の管理体制(実績) ... 18

図 3-3 実証運行ルート案および他の交通機関の運行ルート

(第 1 次実証) ... 22

図 3-4 実証運行ルート(第 2 次実証) ... 23

図 3-5 第一次実証運行ルート(確定) ... 24

図 3-6 テスト運行の PR 記事(ケソン市 facebook ページ、

2017 年 4 月 24 日付) ... 25

図 3-7 PR チラシ(BEET 作成) ... 25

図 3-8 運行ルート上の停留所サイン ... 26

図 3-9 日平均利用客数(試験運行及び第 1 次実証) ... 27

図 3-10 時間帯別利用客数および運行回数

(試験運行及び第 1 次実証)... 28

図 3-11 日平均利用客数(第 2 次実証) ... 29

図 3-12 週別日平均利用客数(第 2 次実証) ... 29

図 3-13 モニタリングソフトウェア画面 ... 33

図 3-14 E トライシクル利用者ヒアリング調査結果

(第 1 次実証)(1) ... 36

図 3-15 E トライシクル利用者ヒアリング調査結果

(第 1 次実証)(2) ... 36

図 3-16 ケソン E トライシクル利用者ヒアリング調査結果

(第 2 次実証)(1) ... 37

図 3-17 ケソン E トライシクル利用者ヒアリング調査結果

(第 2 次実証)(2) ... 38

図 3-18 週平均のドライバー収入・支出・利益

(試験運行及び第 1 次実証)... 39

図 3-19 週平均のドライバー収入・支出・利益(第 2 次実証) ... 40

図 3-20 環境負荷軽減効果の測定方法 ... 40

図 3-21 販売台数の推移 ... 46

図 3-22 マニラ市における E トライシクル運行地区 ... 48

(11)

図 3-23 マニラ市(ビノンド地区)における

E トライシクル運行地域 ... 50

図 3-24 マニラ E トライシクルドライバーヒアリング調査結果

(E トライシクル運行時) ... 51

図 3-25 マニラ E トライシクルドライバーヒアリング調査結果 ... 51

図 3-26 マニラ E トライシクル利用者ヒアリング調査結果(1)... 52

図 3-27 マニラ E トライシクル利用者ヒアリング調査結果(2)... 53

図 3-28 ボラカイ島での E トライシクル運行状況 ... 54

図 3-29 E トライシクル導入の意義と課題 ... 60

図 3-30 ケソン市人口集積(2015 年) ... 61

図 3-31 ケソン市商業集積地 ... 62

図 3-32 ケソン市の主な観光資源 ... 63

図 3-33 ケソン市内鉄道駅乗降客数(2014 年) ... 64

図 3-34 ケソン市における E トライシクル導入候補地域 ... 65

図 3-35 DOE 案件対象都市 ... 66

図 3-36 マニラ都市圏人口分布 ... 67

図 3-37 マニラ首都圏におけるトライシクルのフランチャイズ数 ... 68

図 4-1 ビジネス展開計画・戦略... 76

表 1-1 フィリピン全国、マニラ首都圏、ケソン市の人口 ... 1

表 1-2 フィリピンの一人当たり GDP および経済成長率 ... 1

表 1-3 フィリピン全国およびマニラ首都圏の登録車両台数 ... 2

表 1-4 ケソン市における TODA の数および登録トライシクルの台数 ... 3

表 1-5 我が国の ODA 事業(マニラ首都圏対象、交通分野) ... 5

表 1-6 DOE による E トライシクル導入事業の経緯 ... 5

表 1-7 普及・実証を図る製品の概要 ... 6

表 2-1 作業工程・実績 ... 9

表 2-2 要員の投入計画・実績(現地作業) ... 10

表 2-3 要員の投入計画・実績(国内作業) ... 11

表 2-4 本事業で投入した E トライシクル ... 12

表 2-5 カウンターパート機関の概要と選定理由... 15

表 3-1 E トライシクル事業の許認可等とその管轄機関 ... 17

表 3-2 ドライバー日報(雛型)... 20

表 3-3 車両 No426,421,434,437 主電池モジュール電圧

およびセル電圧値 ... 34

表 3-4 既存トライシクルとEトライシクルの排ガス量比較 ... 41

(12)

表 3-5 既存車両からの代替可能性の評価 ... 42

表 3-6 対象地域におけるトライシクル運営状況

(第一次実証運行地域)(2016 年 3 月調査) ... 43

表 3-7 対象地域におけるトライシクル運営状況

(第二次実証運行地域)(2019 年 1 月調査) ... 44

表 3-8 トライシクルとジープニーの運行/運営指標の比較 ... 45

表 3-9 E トライシクル運行時の収支計算結果 ... 58

表 3-10 フィリピンにおける気候変動戦略とエネルギー戦略 ... 59

表 3-11 人口集積上位 30 位 ... 67

案件概要

(13)

要約

Ⅰ. 提案事業の概要

案件名 (和文)環境負荷を低減する電動三輪自動車(E トライシクル)都市交通

システムの普及・実証事業

(英文)Verification Survey with the Private Sector for Disseminating Japanese Technologies for Environmentally Friendly Urban Transportation Systems Using Electric Tricycles

事業実施地 フィリピン共和国マニラ首都圏ケソン市

相手国 政府関係機関

ケソン市 公共秩序・安全局

(Department of Public Order and Safety, DPOS) 事業実施期間 2016 年 3 月~2019 年 6 月(3 年 4 ヶ月) 契約金額 99,750,000 円(税込) 事業の目的 化石燃料エンジン型車両による大気汚染が深刻化するフィリピン国で、 環境負荷の低減が可能な電動三輪自動車(E トライシクル)の導入を促進 するため、ケソン市において持続的に運用可能な E トライシクル事業の モデルが実証されるとともに、将来的な E トライシクルの普及に関わる 現地政府・民間事業者らの事業への理解が促進されることを目的とする。 事業の実施方針 <事業の基本方針> ① 関係者からなるステアリングコミッティ(以下、S/C とする)を設置 ② ケソン市、トライシクル組合、提案企業の役割分担を明確化 ③ 事故・盗難トラブルに十分留意して実施。既存のトライシクル業者の 市場や運行体制への影響を考慮した十分なリスク対策や公的機関及び 既存業者等との調整 ④ 運行実績、運行収益・費用のモニタリングにより便益・効果を定量化。 また、これを運行体制・方法の改善にも活用 <事業の実施方法> ① E トライシクル運行・維持管理体制の構築 (車両基地の整備と運営要員訓練、維持管理の技術指導等) ② E トライシクル運行の実施とモニタリング (実施体制検討、テスト走行、実証運行、モニタリング結果分析等) ③ E トライシクル事業モデルの確立と普及活動 (市場調査、事業モデル構築、ビジネス展開計画策定、PR 活動等) 実績 (1)実証活動の開始に向けた諸準備 E トライシクル事業の運営管理体制および維持管理体制の骨子を作成し、 S/C での承認を得た。また実証運行の基盤となる車両基地・給電設備の基

(14)

本的な設計やスペックの検討、工事発注先企業の洗い出しを行った。 (2)機材の供与と車両基地・給電設備の整備 ・20 台の E トライシクルをケソン市に供与(2016 年 10 月 18 日付けで DOD を締結) ・車両基地・給電設備は、ケソン市との調整により第 1 次実証運行では DPOS 前駐車場に、第 2 次実証運行では旧 TRU 事務所に設置した。 (3)相手国政府機関との協議 ・2017 年 5 月の S/C にて、ケソン市による本事業へのより積極的な参画 について打診したが、ケソン市側は直接的な車両運行への関与が法的 に不可能であったため、別途運行管理者を組織し実証運行を実施した。 (4)機材を用いた実証活動の実施 ・第1 次・第 2 次実証運行の実施を通して、E トライシクル事業の運営に 関するデータを蓄積し、既存のトライシクルからの転換に寄与する要 素の洗い出しを行った。 (5)ビジネス展開計画 ・第1 次・第 2 次実証運行、および環境負荷軽減量の分析を通して、経済 面・社会面・環境面で持続的な E トライシクルの運行が可能であるこ とを示した。本事業で得られた知見に基づき、ケソン市における E ト ライシクル事業の継続と拡大に向けた提言を行った。 課題 ・ケソン市における事業の拡大に向けた継続的な働きかけ(E トライシク ルの追加導入と、恒久的に使用できる車両基地の確保)。 事業後の展開 ・ケソン市におけるADB 事業の支援と他地区への展開 ・本事業の運用モデルを基に導入検討が可能な他のLGU への事業展開 ・他企業との業務提携を通した事業の拡大 Ⅱ. 提案企業の概要 企業名 BEMAC 株式会社(2019/4/1 より渦潮電機株式会社から BEMAC 株式会社へ社名変更) 企業所在地 愛媛県今治市 設立年月日 1956 年 7 月 業種 製造業 主要事業・製品 船舶およびビル・工場・施設等の陸上プラント制御・配電・通信 機器の製造・販売・工事、EV 事業 資本金 9,000 万円(2019 年 2 月時点) 売上高 約258 億円(2017 年度実績) 従業員数 単体:970 名(2018 年 6 月 現在) グループ計:1,745 名(2018 年 6 月 現在)

(15)

1. 事業の背景

(1)事業実施国における開発課題の現状及びニーズの確認 ① 事業実施国の政治・経済の概況 フィリピン共和国(以下「フィ」国)は東南アジアに位置する共和制国家である。人 口は「フィ」国統計局による2015 年の統計で 1 億人を超えている。政治面では、2016 年6 月にドゥテルテ新政権が発足し、主に違法薬物や犯罪・汚職対策、ミンダナオ和 平等を重要な課題に挙げている。経済面では、全国の一人あたりGDP が 2,947USD(2016 年)、2012 年以降の経済成長率が毎年約 6~7%となっており、安定した成長を続けて いる。また、ケソン市を含むマニラ首都圏は、GRDP で全国の 36.4%を占め、一人あた りGRDP は全国平均の約 3 倍と、国内最大の経済圏となっている1 外交面2では、基本政策として(1)二国間及び地域的枠組みへの参加による政治・安 全保障協力の推進、(2)経済外交を通じた外資導入及び雇用創出による経済発展、(3) 海外出稼ぎ労働者の保護の3 つを掲げている。これらの政策の下、我が国とも貿易や 経済協力を主軸として極めて良好な関係を維持しており、2011 年 9 月には「フィ」国 と我が国との二国間関係を「戦略的パートナーシップ」と位置づけている。また、我 が国は2014 年時点で「フィ」国にとって最大の援助供与国となっている。 表 1-1 フィリピン全国、マニラ首都圏、ケソン市の人口 地域 人口(人) 全国 100,981,437 マニラ首都圏 12,877,253 ケソン市 2,936,116

出典:Philippine Statistics Authority, 2015

表 1-2 フィリピンの一人当たり GDP および経済成長率 2011 2012 2013 2014 2015 2016 一人当たりGDP(米ドル) 2,364 2,591 2,770 2,844 2,858 2,947 経済成長率(%) 3.6 6.8 7.2 6.1 5.8 6.8 出典:IMF 「フィ」国およびマニラ首都圏の登録車両台数は表 1-3 のとおりである。全国にお ける旅客輸送用のオートバイ・トライシクルは約65 万台(ほぼトライシクルと思われ る)であり、うちマニラ首都圏では7.3 万台が登録されている(但し、未登録のトライ シクルを含めると300 万台以上という話もある)。

1 Philippines Statistics Authority, 2016(http://psa.gov.ph/regional-accounts/grdp)

(16)

表 1-3 フィリピン全国およびマニラ首都圏の登録車両台数 (単位:台) 地域 用途 車種 計 乗用車 実用車 商用車 バス トラック オートバイ / トライシクル トレーラー 全 国 民間 830,131 1,548,413 343,667 7,429 325,412 3,584,848 33,915 6,673,815 タクシー用 31,625 209,342 17 23,743 23,807 647,554 3,985 940,073 政府 2,878 36,738 2,534 474 9,159 18,256 2,220 72,259 外交 3,375 0 0 0 1 0 0 3,376 免税枠 139 79 178 19 66 9 25 515 計 868,148 1,794,572 346,396 31,665 358,445 4,250,667 40,145 7,690,038 マ ニ ラ 首 都 圏 民間 429,842 505,303 184,860 3,118 67,856 697,199 16,529 1,904,707 タクシー用 18,714 64,684 0 10,761 9,195 73,401 1,352 178,107 政府 1,287 8,745 763 110 1,470 2,691 152 15,218 外交 3,116 0 0 0 0 0 0 3,116 免税枠 0 0 0 0 0 0 0 0 計 452,959 578,732 185,623 13,989 78,521 773,291 18,033 2,101,148 出典:LTO, 2013 一方、「フィ」国およびマニラ首都圏におけるオートバイ・トライシクルの登録台数 (タクシー用)を経年でみると、2011 年をピークに減少傾向にあり、政府および地方 自治体によるガソリンエンジンのトライシクルの台数を抑制させる政策が反映された 結果と推察される。 出典:LTO, 2013 図 1-1 オートバイ・トライシクル登録台数(タクシー用)の経年推移 本事業の対象であるケソン市におけるトライシクル事業者・運転手組合(Tricycle Operators and Drivers’ Association: TODA、以下 TODA)の数および登録トライシクルの

台数を以下の表 1-4 に示す。2019 年時点で、ケソン市内には 150 の TODA が存在し、 承認済トライシクル台数は24,713 台となっている。また、2015 年時点でのトライシク 600,000 610,000 620,000 630,000 640,000 650,000 660,000 670,000 2010 2011 2012 2013 全国 (台) 66,000 68,000 70,000 72,000 74,000 76,000 78,000 2010 2011 2012 2013 マニラ首都圏 (台)

(17)

ル登録台数は19,429 台となっている。 表 1-4 ケソン市における TODA の数および登録トライシクルの台数 District TODA 承認済台数 (2019 年) 登録台数 (2015 年) District 1 29 4,736 3,553 District 2 14 4,281 3,749 District 3 19 2,668 2,209 District 4 (実証事業対象) 34 3,863 2,798 District 5 34 5,456 4,154 District 6 20 3,709 2,966 計 150 24,713 19,429 出典:DPOS (2015, 2019) ②対象分野における開発課題 「フィ」国では、交通・運輸セクターのエネルギー消費を主因として大気汚染ガス 排出量が近年大幅に増加している。中でも、本事業の対象地域であるマニラ首都圏の 交通事情は急速な人口増加や経済発展に伴い悪化の一途を辿っており、排気ガスによ る大気汚染も健康被害をもたらすレベルにまで深刻化している。また、「フィ」国で は安価な公共交通機関としてサイドカー付オートバイ(トライシクル)が広く庶民の 足として利用されている。その数は 65 万台に及んでいるが、トライシクルからの排気 ガスは道路交通部門全体の排気ガス量の大部分を占め3、交通渋滞が慢性化するマニラ 首都圏の呼吸器系健康被害の一因と考えられている。「フィ」国国家経済開発庁(NEDA) は昨年の 3 月に、マニラ首都圏の 2030 年における理想的な交通ネットワーク計画とし ての「ドリームプラン」を完成させ、最終的に実現すべき課題として「交通混雑の解 消」、「災害リスク地域の居住者の削減」、「スムーズなモビリティーの確保」、「低 所得者層の交通にかかる費用の低減」、「大気汚染の除去」を提唱している。

また、「フィ」国エネルギー省(DOE)は、EV 車両戦略(E-VEHICLE STRATEGY) として 2020 年までに国内の化石燃料エンジン型車両を半減させ E トライシクルに転 換する方針を打ち出しており4、2013 年 1 月にはアジア開発銀行(ADB)の支援の下、 2016 年までに 10 万台のトライシクルをリチウムイオン電池搭載の E トライシクルに 置き換えるプロジェクトが開始された。ただし、2016 年の「フィ」国政権交代でのエ ネルギー省指針により、同プロジェクトは 3,000 台の E トライシクルのみの調達とし

3 「トライシクル」に使用されている旧式のエンジンは燃費が悪く、大量の排気ガスを出す。「トライシ クル」による排気ガスは、道路交通部門全体の排気ガス量の67%を占める。(経済産業省「平成 24 年度 地球温暖化対策技術普及等推進事業 フィリピンにおけるガソリン内燃機関三輪自動車の電気三輪自動車 への置き換えに関する技術・製品の普及事業の推進及び関連法規制・政策の調査 報告書」2013 年 3 月)

(18)

て縮小された。 このような政府方針のもと、「フィ」国では主要な開発課題の一つである大気汚染 の改善を目指し、既存のトライシクルから E トライシクルへの転換に向けた複数の地 方自治体による導入の検討や民間企業による E トライシクル生産体制構築などの様々 な取り組みがなされてきた。しかしながら、E トライシクル事業の確立と拡大に係る 以下の課題が解決されていないことから、現時点では本格的な普及に至っていない。  各種関係機関の役割分担の明確化、部品の安定供給等を含む維持管理体制の構築  円滑な事業運営に必要な制度設計、財務・環境面で妥当な事業モデルの構築を含む 運営管理体制の構築  各種関係機関、既存トライシクル組合、利用者等への PR を含む普及展開手法の確 立 ③ 事業実施国の関連計画、政策(外交政策含む)および法制度 現在までのところ、E トライシクルに特化した法律はなく、既存のトライシクルの 導入及び運営に関する法制度が適用されている。 関連する法制度としては、2013 年 1 月 28 日に可決された上院法案 2856 号「電気 自動車、ハイブリッド車、その他の代替燃料車(AEV)の製造、組立、転換、輸入のイ ンセンティブおよびその他の目的のインセンティブ提供に関する法(AEV 法)」(Senate

Bill No. 2856 entitled: “An act providing incentives for the manufacture, assembly, conversion and importation of electric, hybrid and other alternative fuel vehicles and for other purposes”) と、それを根拠として 2018 年から実施されている公共交通車両(PUV)近代化プログ ラム(Public Utility Vehicle Modernization Program)が挙げられる。

同プログラムの内容の一つである LPTRP(Local Public Transport Route Plan)では、 公共交通手段全般において末端部分を補完する交通手段として、トライシクルの役割 が規定されている(活動 3-2.で後述)。 ④ 事業実施国の対象分野における ODA 事業の事例分析及び他ドナーの分析 1) ODA 事業の概要 我が国は、対「フィ」国国別援助方針の重点目標(中目標)「投資促進を通じた 持続的経済成長」の下での運輸・交通網整備を進めている。マニラ首都圏において は、2015 年 6 月に「マニラ首都圏の運輸交通セクターにおける質の高いインフラ整 備のための協力ロードマップ」を策定し、以下の表 1-5 に示す協力事業を実施して きている。 運輸交通セクターにおいて実施中の ODA 事業は、都市および拠点間をつなぐ幹 線となる道路網の整備・保全や、大量旅客輸送のための交通手段の整備・拡張が中 心である。他方で、本事業はパラトランジット(鉄道・バス等の大量輸送機関と、

(19)

自家用車などの中間に位置づけられる交通機関)としての新たな都市交通システム の実証と普及を図るものであり、同 ODA 事業により整備を図る大量旅客輸送の末 端部分を補完する交通機関となるものである。つまり、本事業はこれまで特定かつ 小規模の生活圏内において既存のトライシクルやジープニーが担ってきた乗客輸送 の役割を代替あるいは補完するものとして、E トライシクル事業に求められるビジ ネスモデルや運営管理体制、維持管理体制の実証と、「フィ」国や自治体、民間事 業者等に対する普及に向けた働きかけを行うものと位置づけられる。 表 1-5 我が国の ODA 事業(マニラ首都圏対象、交通分野) 事業名 事業の種類 実施期間 総合交通計画管理能力向上プロジェクト 技プロ 2011 年~2014 年 マニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張事業 有償 2013 年(LA)~2020 年度 環状3 号線建設事業準備調査 協力準備調査 ~2019 年度 クラーク空港高速鉄道(通勤線区間)事業準備調査 協力準備調査 2013 年~2014 年 南北通勤線事業(フェーズ II-A)補足準備調査(旧 クラーク空港高速鉄道) 協力準備調査 2014 年~2015 年度 マニラ首都圏ビジネス中心地区マストランジット 建設事業準備調査 協力準備調査 2013 年~2015 年度 道路改良・保全事業 有償 2011 年(LA)~2022 年度以降 中部ルソン接続高速道路建設計画 有償 2012 年(LA)~2019 年度 幹線道路バイパス建設計画(Ⅱ) 有償 2012 年(LA)~2018 年度 幹線道路バイパス建設計画(III) 有償 2017 年~2020 年度 物流インフラ開発計画 有償 2009 年(LA)~2016 年度 メトロマニラ立体交差建設事業(Ⅵ) 有償 2014 年(LA)~2022 年度 南北通勤鉄道事業(マロロス-ツツバン) 有償 2015 年(LA)~2021 年度 マロロス-クラーク鉄道事業及び南北鉄道事業南 線(通勤線)に係る協力準備調査(補完)・詳細設 計調査 詳細設計 2017 年~2019 年 メガマニラ圏地下鉄事業準備調査 協力準備調査 ~2018 年度 マニラ首都圏地下鉄事業(フェーズ1) 有償 2017 年~2022 年度以降 フィリピン鉄道訓練センター設立・運営能力強化支 援プロジェクト 技プロ 2018 年~2022 年度 MRT3 号線システムに係る情報収集・確認調査 情報収集調査 2017 年~2018 年度 高規格道路網開発マスタープランプロジェクトフ ェーズ2 開発計画 2018 年~2019 年度 出典:対フィリピン共和国事業展開計画(2015 年 4 月版・2018 年 4 月版、外務省)を基に提案企業作成

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(2)普及・実証を図る製品・技術の概要 普及・実証を図る製品の概要を以下の表 1-6 に示す。 表 1-6 普及・実証を図る製品の概要 名称 BEMAC[68VM] スペック (仕様) ・ 全長3.3m/全幅1.5m/全高1.9m、車両重量: 505kg、 乗員:7名(運転手含む) ・ 最高速度:50km/h ・ 一充電走行距離: 60km(定地定速走行時) ・ 駆動用バッテリー: リチウムイオン電池(充電 時間は220V電源で3時間) ・ バッテリー総電力量: 4.4kWh、交流モーター最 高出力: 10kW、定格出力: 5kW ・ 出力モード:パワー/エコモード 特徴 ・ 長寿命バッテリー搭載型(5年保証) ・ 「フィ」国の使用環境に耐え、道路冠水時の退避走行、優れた登坂能力 (荷重300kgで道路勾配16%) ・ 特別な充電設備を必要としない充電器搭載型モデル 競合他社 製品と比 べた比較 優位性 四輪車の設計手法をベースに、四輪車並みの快適な乗り心地、急発進・急停 車の制御による安全走行、電費向上、電池の長寿命化を実現している。また、 他に以下のような優れた特徴を有する。 ・ 開発時の多様な耐久試験(悪路、振動、1 万 km 走行)による優れた耐久 性 ・ 量産体制の構築による安定的な品質と供給能力 ・ 愛媛県共同開発の車両/電池制御技術を活用した低電費(回生5等)性能 ・ リチウムイオン電池を搭載しており、特別な充電設備が不必要

5 減速時にモーターの特性を利用して電気エネルギーを作り出し、再利用する仕組み。(参考:本田技研 工業WEB サイト http://www.honda.co.jp/e-dream/backnum/archive/e-dream28/p2.html )

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国内外の 販売実績 注)2019 年 1 月現在の主要販売地域のみ記載 地域 販売先 台数 納期 備考 マニラ 首都圏 マニラ市 280 台 納入済 マニラ市長主導によるプロジェクト。 280 台納入済み。追加の入札に向け交渉 中。 ボラカ イ島 地場ディ ーラー 187 台 納入済 ボラカイ島ではガソリントライシクル の新規免許発行が停止されたため E ト ライシクルの需要が増大 マニラ 首都圏 イントラ ムロス 60 台 納入済 Softbank が NEDO 実証事業を実施 フィリ ピン DOE 3,000 台 完成済 3,000 台の車両を受注 サイズ 全長3.3m/全幅 1.5m/全高 1.9m 設置場所 フィリピン国マニラ首都圏ケソン市 今回提案 する機材 の数量 「68VM」 20 台、車両基地・給電設備 1 箇所 出典:提案企業作成

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2. 普及・実証事業の概要

(1)事業の目的 本事業では、化石燃料エンジン型車両による大気汚染が深刻化する「フィ」国で、 環境負荷の低減が可能な電動三輪自動車(E トライシクル)の導入を促進するため、 ケソン市において持続的に運用可能な E トライシクル事業のモデルが実証されると ともに、将来的な E トライシクルの普及に関わる現地政府・民間事業者らの事業への 理解が促進されることを目的とする。 (2)期待される成果 本事業による期待される成果は、以下のとおり。 成果 1.ケソン市において20 台の E トライシクルが導入され、現地行政機関と運行 事業者による自立的かつ持続可能な維持管理体制が構築される。 成果 2.ケソン市においてE トライシクルによる運行事業を通じ、経済面・社会面・ 環境面において既存車両からの代替可能性が実証される。 成果 3.ケソン市において自立的かつ持続可能なE トライシクル事業のモデルが確立 され、「フィ」国の官民による E トライシクル事業の普及展開案が策定され る。 (3)事業の実施方法・作業工程 本事業は以下の表 2-1 に示す活動内容および作業工程で計画・実施した。

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表 2-1 作業工程・実績 出典:提案企業作成 ③ Eトライシクル運行事業のモニタリング計画の策定 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 凡例 当初計画        実績 ② Eトライシクルに係る仕様検討および資機材発注 ③ 導入する Eトライシクル20台分の車両基地・給電設備の整備 ④ Eトライシクルの維持管理体制の構築 8 9 10 11 12 1 1 2 3 4 5 6 7 6 7 8 9 10 11 12 2016 4 5 3 4 5 6 11 12 2 3 4 2017 2 3 ①ケソン市におけるトライシクル市場調査(実証活動開始前) ② フィリピンにおけるEトライシクル市場調査(実証事業開始後) ③ ケソン市におけるEトライシクル事業モデルの策定 ④ フィリピンの公的機関及び民間事業者に対するEトライシクル事業の 普及に向けた提言の策定 活 動 内 容 1) 維持管理体制の構築 ① 官・民関係者への事業説明・協議および必要資料の収集 ⑥ Eトライシクル運行事業の実施 ⑦ Eトライシクルの運行実績データの収集 ⑪ モニタリング結果を踏まえた経済面・社会面・環境面における既存車 両からの代替可能性の分析 3) Eトライシクル 事業モデルの確立と 普及活動 ⑤ 受注者のフィリピンをはじめとする東南アジア におけるEトライシクル事 業展開計画の策定 報告書等提出時期 月報 進捗報告書 業務完了報告書(案) 業務完了報告書 ⑤ Eトライシクルの日常メンテナンスマニュアルの策定及び技術指導 2) Eトライシクルの運行 の実施とモニタリング ① Eトライシクル運行事業の監督・許認可に係る手続きの明確化 ② Eトライシクル事業の運営・管理体制の構築 ④ Eトライシクルの運行方式・場所の検討 ⑤ Eトライシクルの試験運行 ⑧ Eトライシクルの利用者データの収集 ⑨ Eトライシクル運行事業の収益・費用データの収集 ⑩ 上記⑦・⑧・⑨の運行結果を踏まえた環境負荷軽減度の分析 7 8 9 10 1 2 2018 1 2019

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(4)投入(要員、機材、事業実施国側投入、その他) 要員の投入計画・実績を以下の要員計画表に示す。

表 2-2 要員の投入計画・実績(現地作業)

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表 2-3 要員の投入計画・実績(国内作業)

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・供与資機材リスト

本事業で日本側から投入する資機材は、E トライシクル 20 台および給電設備である。

このうち E トライシクルの詳細を以下の表 2-4 に示す。E トライシクルは、譲渡証書 (Deed of Donation: DOD、以下 DOD)の締結(2016 年 10 月 18 日署名済)により、そ の所有権が JICA からケソン市に移転された。

表 2-4 本事業で投入した E トライシクル

機材名 Unit

# Chassis No. Motor No.

数量 (台) 設置年月 設置先 1 68VM Electric Tricycle 430 BMC201600421C AMT7149000541 1 Deed of Donation への署名日 (2016 年 10 月 18 日) ケ ソ ン 市 庁 舎 内 2 434 BMC201600425C AMT7149000542 1 3 426 BMC201600417C AMT7149000543 1 4 431 BMC201600422C AMT7149000545 1 5 425 BMC201600416C AMT7149000553 1 6 451 BMC201600441C AMT7149000565 1 7 446 BMC201600436C AMT7149000568 1 8 448 BMC201600438C AMT7149000570 1 9 441 BMC201600432C AMT7149000576 1 10 437 BMC201600428C AMT7149000578 1 11 472 BMC201600462C AMT7149000580 1 12 473 BMC201600463C AMT7149000581 1 13 467 BMC201600457C AMT7149000582 1 14 463 BMC201600453C AMT7149000585 1 15 475 BMC201600465C AMT7149000586 1 16 469 BMC201600459C AMT7149000587 1 17 470 BMC201600460C AMT7149000588 1 18 471 BMC201600461C AMT7149000589 1 19 466 BMC201600456C AMT7149000590 1 20 462 BMC201600452C AMT7149000591 1 出典:提案企業作成 また、本事業で供与する給電設備については、添付資料 3 に平面図、配電図、スペ ック等を記載している。 事業実施国政府機関側の投入として、本事業開始時は以下を挙げていた。  ケソン市における本事業担当者の配置  調査団の執務スペースおよび合同調整委員会の開催場所の提供  ケソン市庁舎敷地内の車両基地候補地の提供と、その路面の舗装、屋根の建設、 および E トライシクル 20 台の充電容量を満たす電力供給のための送電線の導入

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これらのうち、車両基地の設計計画については、2017 年 5 月まではケソン市庁舎敷 地内に新規に建設する方針が示されていたものの、その後のケソン市側の方針変更に より、本事業の第 1 次運行は公共秩序・安全局(Department of Public Order and Safety: DPOS、以下 DPOS)事務所前の駐車場、第 2 次運行は旧トライシクル規制ユニット (Tricycle Regulation Unit: TRU、以下 TRU)事務所をそれぞれ拠点として実施され、新 規の建設が行われる見通しは立っていない。 (5)事業実施体制 事業実施に際しては、提案企業と現地子会社の BEET が主体となり、車両基地・給 電設備の整備、実証事業運営・管理体制のおよび維持管理体制の構築、事業モデルの 確立と普及活動、運行データ収集などを行う。また、当初はケソン市が実証事業の運 営・管理、モニタリングを担い、TODA がケソン市との業務委託契約の下、実証運行 の実施や日常メンテナンスを担うことを想定していたが(図 2-1)、ケソン市からの 要請を受けて、第三者の民間企業を選定し運営管理業務を委託する形で実証運行を実 施した(図 2-2)。 提案企業および BEET は、メンテナンスの技術指導やドライバーの人材育成ノウハ ウをトライシクル組合に提供する。 提案企業の支援体制として、JICA 調査案件をはじめ途上国での豊富な業務経験を持 つコンサルタント(八千代エンジニヤリング(株)3 名、うち 1 名は 2017 年 9 月から MSC パートナーズ(株)に所属変更し継続して従事)を外部人材として配置する。ま た、本事業に用いる E トライシクルに搭載された電池制御ユニットは、愛媛県と提案 企業の共同開発成果を活用し開発したものである。このため、本事業においても技術 的な知見を有する共同研究の愛媛県担当者を外部人材としてアサインする。

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出典:提案企業作成

図 2-1 業務実施体制図(当初)

出典:提案企業作成

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(6)事業実施国政府機関の概要

本事業におけるカウンターパートは、マニラ首都圏ケソン市で、自治省が管轄する 地方自治体である。対象地域としての選定理由、期待する役割等を以下に示す。

表 2-5 カウンターパート機関の概要と選定理由

機関名 ケソン市(正式名称:The Local Government of Quezon City)、 Department of Public Order and Safety(DPOS)

機関基礎情報

<ケソン市>  設立:1939 年

 所在地:Elliptical Road, Brgy. Central, Diliman, Quezon City, 1100 Philippines  マニラ首都圏内の人口293 万人を擁する大都市。自治省の管轄 <DPOS>  主な業務内容:公共の安全確保、公共交通管理上のサービス提 供、公共の安全性向上のための計画・プログラムの策定、災害 救援・保護サービス、ジープニー・トライシクル等に関連する 許認可の発行、路上の安全確保に関連する許認可の発行など  本事業との関連では、トライシクル組合に対する営業許可(暫 定営業許可も含む)の発出も行っている 選定理由  大気汚染の解消が喫緊の課題となっている。  実証場所となる中心市街地数キロ圏は、官公庁、MRT、学校、 大規模ショッピングセンター等が存在する環境を重視すべき地 区であり、マニラ首都圏の中でも対策の優先度が高い。人の移 動も多いため、様々なパターンの実証が可能。  市がE トライシクルの導入に前向きで、用地確保や TODA との 調整等の協力も得やすい。  BEET が製品を納入したフィリピン大学が地区内にあり、本事 業への当機関の協力を得やすい。 カ ウ ン タ ー パ ー ト 機 関 に 期 待 す る役割・負担事項  車両基地用途として市有地または市有・市管理の施設の貸出  E トライシクル実証実験に対する許認可(ルート・料金等)  現地トライシクル組合との交渉の仲介  実証事業終了後の本格導入支援

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3. 普及・実証事業の実績

(1)活動項目毎の結果 活動 1.維持管理体制の構築

活動 1-1. 官・民関係者への事業説明・協議(2016 年 3 月~2016 年 4 月)

2016 年 3 月および 4 月にステアリングコミッティ(以下 S/C)を開催し、カウンタ

ーパート機関であるケソン市のDPOS と、ケソン市 GSD および ED、NCTS6TODA、

JICA フィリピン事務所の参加の下、本事業の説明・協議を行った。また、実証運行(第 一次実証運行)の運行ルート、運営管理体制、維持管理体制等についてケソン市側の 合意を得た。各項目の内容、およびS/C での合意後にケソン市から提示された内容変 更等について、以下に示す活動項目に沿って後述する。 活動 1-2. E トライシクルに係る仕様検討および資機材発注(2016 年 3 月~2016 年 9 月) 本事業の実証活動で使用する20 台の E トライシクルについてケソン市と協議し、車 両、メンテナンス部材、駐機ステーションの仕様を決定するとともに、これらの製造・ 調達に要する資機材を発注した。また、調達機材の譲渡方法(覚え書きの内容等)や、 車両登録、保険加入手続きを確認すると共に、車両基地の確保をケソン市に打診し、 提示された候補地の視察を行った。 活動 1-3. 導入する E トライシクル 20 台分の車両基地・給電設備の整備(2016 年 5 月~ 2017 年 6 月) 2016 年 7 月には、ケソン市から提示された候補地への車両基地・給電設備の建設に 必要となる仕様の検討や図面の作成を行い、提案企業が担う給電設備の設計図やスペ ックについて、担当部局であるケソン市ED の同意を得た。しかし、同年 8 月に候補 地の変更がケソン市より通知され、ケソン市が代替地を検討することとなった。ただ し、スケジュールに遅れが出ることが予想されたため、ケソン市に一時的な駐機場・ 給電設備の設置を依頼した。結果として、2017 年 3 月に、DPOS 本部ビルの駐車場に 5 台分の給電設備が設置し、第一次実証運行を開始することとなった。また、2018 年 9 月からの第 2 次運行に先立ち、拠点となる旧 TRU 事務所の車庫に 20 台分の給電設 備を設置した。

6 GSD: General Services Department(総合サービス局)、ED: Engineering Department(技術局)、NCTS:

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活動 1-4. E トライシクルの維持管理体制の構築(2016 年 5 月~2016 年 9 月) ケソン市敷地内の車両基地を拠点に、日常業務中の点検や日々の維持管理について はオペレーター及びドライバーが、定期的な車両のチェックやメンテナンスについて は提案企業が実施する体制を検討し、S/C での合意を得た。 活動 1-5. E トライシクルの日常メンテナンスマニュアルの策定及び技術指導(2016 年 6 月 ~2016 年 9 月) 提案企業および BEET のアフターセールス部署が主体となって、E トライシクルの 日常点検マニュアルを作成した。これを用いたドライバーへの技術指導を、第 1 次・ 第2 次実証運行に先立って、運行管理を担う第三者企業と連携して実施した。 活動 2.E トライシクル運行の実施とモニタリング 活動 2-1. E トライシクル運行事業の監督・許認可に係る手続きの明確化(2016 年 3 月~ 2016 年 4 月) E トライシクル事業の実施に必要とされる許認可や証明書類、およびそれらの管轄 機関等について、以下の表 3-1 に示す。陸運局(Land Transportation Office: LTO、以下 LTO)をはじめとした管轄機関は、E トライシクルに関する許認可や証明書類の発行自 体が初めてのケースがあり、説明や手続きに時間を要したものの、最終的には実証運 行に必要な許認可や登録をすべて取得した。 表 3-1 E トライシクル事業の許認可等とその管轄機関 許認可・証明 書等の名称 管轄機関 備考 1 Certificate of Stock Reported

LTO ・車両のChassis No.を記載

・LTO への車両登録申請に必要 2 Motor Vehicle Clearance PNP ・車両のMotor No.を記載 ・LTO への車両登録申請に必要 3 Vehicle registration LTO ・申請には上記1、2 および DOD が必要 4 Temporary Franchise 第1 次運行:DPOS 第2 次運行:Tricycle Franchise Board (ケ ソン市) 5 Barangay operation permit 運行ルートを含む地 域のBarangay 出典:提案企業作成

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活動 2-2. E トライシクル事業の運営・管理体制の構築(2016 年 4 月~2016 年 5 月) 本実証事業の管理体制については当初、図 3-1 のように計画し、S/C での承認を得 た。ただし、E トライシクルの運行管理業務については、事業開始当初はケソン市が担 う想定であったものの、ケソン市がドライバーとの雇用契約締結および金銭授受に難 色を示したことや、「フィ」国における外資規制により、提案企業が同国内で運行管理 事業を実施できない等の理由から、ケソン市と調整し、現地民間事業者に委託した上 で実施した。(図 3-2)。 図 3-1 本実証事業の管理体制(当初) 図 3-2 本実証事業の管理体制(実績) BEMAC (Uzushio Electric Company)

JICA  Quezon  City GSD TRU 車両 提供 駐機場用地提供 および管理 駐機場 設置 TODA(トライシクル組合) 車両 貸し出し 実証ルート 許認可 ドライバー 乗客 輸送 サービス 料金支払い ドライバー 選定 レンタルフィー 運転日報の提出 車両運行データ 運営データ ドライバー提供 調査協力費、 運転・メンテナンス講習 パーツ提供、修理 調査協力 車両登録 保険料・電気代支払い

BEMAC (Uzushio Electric Company) JICA

 Quezon City (GSD, TRU) Vehicle Land Provision, Vehicle rental, Verification route permission Installation of depot, Payment of electricity TODA Drivers Passengers Transport service Fare Selection of drivers Vehicle operation data, Cost and income data Managing operation, Cooperation fee Vehicle registration, Payment of insurance and electricity Operating Company (Outsourcing) All operation data Seminar of driving skill and maintenance/repair, Parts supply Outsourcing to manage operation

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活動 2-3. E トライシクル運行事業のモニタリング計画の策定(2016 年 4 月~2016 年 5 月) 本事業では、E トライシクルの運行に係る以下の項目についてのモニタリングを行 った。 (1) 利用者データの調査項目(E トライシクル利用者に聞き取り)  利用者(性別、年齢層)  車両 No(運転手名)  発着地  利用目的  利用理由  利用頻度  料金の妥当性  乗車快適性  都市のイメージアップ度  総合的な利用満足度  改善点  利用しない場合の交通手段 (2) 運行実績データの調査項目(個々の E トライシクル運転者が日報で報告)  車両 No(運転手名)  走行距離  稼働時間  利用人数  料金収入 (3) 運転者への調査項目(運転者へのヒアリング)  車両 No(運転手名)  運転の快適性  維持管理の容易性  利用者からの評価  利用者を増やす方策  Eトライシクル運行継続の意向  問題点及び改善点 (4) オペレーターへの調査項目(ヒアリング)  E トライシクルの運行およびその管理体制  従事するドライバーの選定条件や就業管理  運行方法や車両に関する改善要望や教訓・課題

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本調査で特に重要となるE トライシクル導入に係るモニタリング(上記(3))を実施 するため、1台当たりの日走行距離、稼働時間、利用人数、料金収入、充電容量等の把 握に用いるドライバー日報の雛型(表 3-2)を作成し、S/C での承認を得た。 実証運行期間中に、オペレーターの指導の下、ドライバーが日々の運行データをド ライバー日報に記入し、業務終了時にオペレーターが回収しデータ化した。 表 3-2 ドライバー日報(雛型) 出典:提案企業作成 活動 2-4. E トライシクルの運行方式、場所の検討(2016 年 4 月~2016 年 5 月) (1)第 1 次実証運行の運行方式・運行場所 まず、E トライシクルの運行を担うドライバーの選定基準として、提案企業から以 下の項目をケソン市側に提案し合意を得た。  ID および運転免許証の所持者で、TODA からの推薦があること  トライシクル運転年数が 5 年以上かつ無事故相当で、ドラッグチェックをパスす

Car No. Date Driver Name Garage-Out

Daily Operation Record of the E-Tricycle

1

Arrival Time

Total Number of Passengers Total Income

Time Meter Indicator Time Meter Indicator Garage-In

Remarks

1. Delay due to traffic congestion

2. Occupied (From: To: ) 3. Other Obsevations: Handicapped Students Meter Meter Start Time Number of Passenger Regular Senior Total Income Total Passenger

Total Passenger Total Income

Meter

Regular Senior Handicapped Students Start Time Meter Arrival Time

Number of Passenger

1. Delay due to traffic congestion

2. Occupied (From: To: ) 3. Other Obsevations:

2

Remarks

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ること  以下の勤務条件に対応可能であること  最大週 6 日勤務  午前 5 時 30 分集合、運行は午前 6 時~午後 6 時(その後の実証運行現場では、 利用者のニーズ等を考慮して適宜調整した)  充電時間(1 日 2 回程度)と昼食休憩時間を差し引いて、実働は 8 時間以内  管理者が指示する運行方法・スケジュールを守れること  毎日の運行管理表の記載が可能なこと  良心をもって正確なデータ提供および売上金の管理・申告ができること  勤務時間中は E トライシクルの運行・管理業務のみに専念できること  上述のルールおよび管理者の指示には常に従い、管理者がルール違反と判断した 場合には、解雇も含めた処置の可能性もある旨に合意できること 実証運行の実施箇所について、ケソン市TRU およびトライシクル組合との協議を経 て、各地域(住宅地域、業務地域、商業地域)のニーズを踏まえた2 つのルート案(図 3-3、拡大図は添付資料1)を設定し、S/C での合意を得た。運行ルートは、ケソン市 庁舎敷地内を出発点・帰着点として、ケソン市役所やLTO、大規模病院、フィリピン 大学などの公共施設を含めた地域を周遊するものであり、多くの旅客需要が期待され る地域である。既存公共交通機関としては、LRT、バス、ジープニーが路線を設定して いる他、既存トライシクルのターミナルが数多く配置されている。既存トライシクル は原則として国道を走行することができず、他の交通機関の端末交通を担うことで住 み分けがなされている。 ルート案の検討に際しては、まずケソン市 TRU が協力可能な TODA と調整の上、 複数のTODA を跨ぐ長距離トリップ(高料金)の利用者を対象とした路線を設定した。 なお、既存のトライシクル事業への負の影響を少なくするため、停留所は既存トライ シクルの乗車ターミナルから離れた位置に設定している。 運行方式として、利用者は停留所でのみ乗車可能だが、降車はどこでも自由とする 形で実施し、より利便性・効率性・収益性の高い乗降形式について適宜検討すること とした。 運行管理方法については以下の内容を基本としつつ、運行管理を担う第三者企業と 協議の上で最終化した。  営業時間は 6 時~20 時までの 14 時間(テスト運行はまず 7 時~18 時で実施)  空き時間を使って少しずつ充電し、オフピーク時は充電時間を増やす運用  バッテリー残量が出発時に 20%以下(残量表示で管理)とならないような充電時 間設定

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運賃設定については、1km までは 8 ペソ、それ以降 1km ごとに 1 ペソという公定料 金と、停留所間の距離に基づいて運賃表を作成した。 図 3-3 実証運行ルート案および他の交通機関の運行ルート(第 1 次実証) (2)第 2 次実証運行の運行方式・運行場所 ドライバーの選定は、概ね第1 次実証運行と同様の条件にて実施した。 ★Existing TC terminal ★ ★ ★ Jeepney line

Bus line LRT line

City Hall Lung Center

Heart Center

East Avenue Medical Center

Land Transportation Office

AFP Medical Center City Police Department Supermarket ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ E-TC Route LRT Sta. LRT Sta. LRT Sta. Bus-Jeepney Sta.

National Housing Authority

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実証運行の実施箇所については、第 1 次実証運行では対象に含まれなかった、MRT 駅等の公共交通との接続や、学校や教会等の地域施設との接続、既存のトライシクル の営業エリアから外れている地域等の観点から、図 3-4 に示すルート案を設定し、S/C での合意を得た。 また、運行方式として、第 1 次実証運行で実施していない自由運行方式(定められ た停留所から乗車し、エリア内であればどこでも降車可)に加えて、任意の拠点間の シャトル運行も可とする形で実施し、利用者のニーズに柔軟に対応できる形式とした。 運行管理方法については、運賃設定は概ね第1 次実証運行と同様の内容で実施した。 図 3-4 実証運行ルート(第 2 次実証) 活動 2-5. E トライシクルの試験運行(2017 年 4 月~2017 年 6 月) 試験運行は、前述の運行ルートのうち、より大きな旅客需要が見込まれる東ルートを 対象に、2017 年 4 月 24 日から 2 ヶ月間、計 5 台で実施した。ルートの詳細および停留 所を下図に示す。利用者は停留所でのみ乗車可能で、降車はルート上のどこでも自由と

なっている。TRU との調整の結果、利用客からの要請があった場合の Philcoa Terminal

へのルート延長(降車のみ)が認められた。また、TRU からの提案により、3、4、7 の

停留所が追加された。運行時間については当初 7am~7pm で開始したが、利用者の要望 を受けて第 2 週から 6am~6pm へと変更された。テスト運行に際して実施された広報 活動としては、パンフレットの配布、Facebook や新聞を用いた告知がなされた。

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出典:提案企業作成

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図 3-6 テスト運行の PR 記事(ケソン市 facebook ページ、2017 年 4 月 24 日付) 図 3-7 PR チラシ(BEET 作成) 活動 2-6. E トライシクル運行事業の実施(2017 年 7 月~2018 年 12 月) 第 1 次実証運行は、2017 年 7 月 25 日~9 月 24 日までの 2 ヶ月間、試験運行と同じル ートで 5 台の E トライシクルを用いて実施した。再開後の運行事業は、停留所サイン(図 3-8)の設置により市民への周知を図るとともに、サインの設置による乗客数の変動につ いて検証することを目的として実施した。

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図 3-8 運行ルート上の停留所サイン 第2 次実証運行は、2018 年 9 月 24 日から 12 月 23 日までの約 4 ヶ月間にわたり実施し た。図 3-4 に示した運行ルートを基本としつつ、地域周辺のTODA からの要望を考慮して 一部の停留所等を降車のみに変更する等、運行方式を微修正しつつ実施した。 また、乗客からの要望やドライバーからの提案を踏まえ、運行地域内の公共施設(学校、 教会等)と幹線道路他の交通拠点(MRT 駅、ジープニー乗車場)との間で特に需要が集中 する時間帯や特定の曜日にターゲットを絞り、E トライシクルの運行本数を増加させた。 その結果、一定の収益性を確保し得る乗客数を安定的に確保することができた(乗客数に ついては図 3-12、収益モデルについては表 3-9 を参照)。

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活動 2-7. E トライシクルの運行実績データの収集(2017 年 7 月~2018 年 12 月) (1)第 1 次実証運行 試験運行、第1 次実証運行とも稼働が安定化した第 3 週目以降において、運転者 あたりの日利用者数は40~60 名程度であり、最大は 5 月 15 日の 84 名、最小は 6 月 1 日の 29 名となった(運行開始後 2 週目までは除く)。日変動が大きいが、平均する とフェーズ1 で 1 台当たり 47 人/日、フェーズ 2 で 46 人/日とほとんど変わらない 結果となった。ただし、全利用者数で見るとフェーズ1 の 160 人/日が、フェーズ 2 では200 人/日まで増加しており、認知度向上の成果と想定される。 出典:提案企業作成 図 3-9 日平均利用客数(試験運行及び第 1 次実証) 試験運行 第 1 次実証運行 47 人 46 人 160 人 200 人 (平均) (平均) (平均) (平均)

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時間帯別の利用客数は変動が大きい。最も多い利用者数は 38 人/時、逆に最も少 ない利用者数は 4 人/時である。1 日に 3 回(朝方(通勤・通学時)、昼食時、夕方 (帰宅時))のピークが見られるが、大きいピークを示すのは朝方と夕方である。車 両1運行あたりの利用者数は概ね 3~4 人となっているが、3 人を下回る時間帯も見 られる。公共交通サービスとしては 1 時間あたりに一定回数の運行を確保すべきであ ろうが、採算性確保のためには需要と供給のバランスを取る必要があり、路線限定運 行の場合の課題となろう。 出典:提案企業作成 図 3-10 時間帯別利用客数および運行回数(試験運行及び第 1 次実証) 試験運行 第 1 次実証運行 From 18-May to 9-Jun

14 34 19 9 6 9 21 8 4 13 29 35 2.2 3.9 2.6 2.3 2.3 3.0 3.8 2.7 1.6 3.1 4.8 5.9 0 2 4 6 8 10 12 14 16 0 5 10 15 20 25 30 35 40 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 ti m es /h o u r p er so n s/h o u r

Number of passengers per time zone per day

Total number of passengers

Average number of passengers per rap Number of operation

試験運行

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(2)第 2 次実証運行 運行開始後、第5 週までは乗客数が安定しなかったものの、第 6 週以降は増加に転 じ、認知度向上により第12 週まで増加傾向が続いた。週次平均の最大値は第 12 週の 139 名であり、既存のトライシクルを超える収益性(表 3-9 で後述)が期待できるだ けの需要を確保できることが証明された。 出典:提案企業作成 図 3-11 日平均利用客数(第 2 次実証) 出典:提案企業作成 図 3-12 週別日平均利用客数(第 2 次実証) (3)リチウムイオン電池健全性調査 ① 調査目的 愛媛県産業技術研究所が開発協力した渦潮電機社製 E トライシクル搭載のリチウム イオン電池管理システムについて、EV 商用版が展開されている「フィ」国で、試験運 行を行っている車両に GPS 及びデーターロガーを取付け、BMS の稼働及びリチウム

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イオン電池の状況調査結果から、性能評価及び次期運用への助言を行う。 ② 充電ステーション調査 ケソン市の充電ステーション予定地及びマニラ市の充電ステーション 2 カ所の充電 環境調査を実施。 1) ケソン市充電ステーション調査 本事業目的でケソン市 TRU サテライトオフィス内に設置された充電ステーション 設備を調査。充電ステーションの電源設備は、提案企業が設計した分電盤を現地設備 会社が作製したものである。配線用遮断器及び漏電遮断器のブレーカー、電力メータ ー等の制御装置により漏電等の安全対策も施され、ケーブル径も適正なものが使われ、 ケーブル類の配線も整然とまとまっており、信頼性の高い電源設備である。分電盤か ら分配された 5 カ所(現状 4 カ所)からそれぞれ 4 台同時に充電可能であった。 運行管理者へのヒアリングでも、E トライシクルの充電に特に問題は発生していな いとのことであった。 ケソン市充電ステーション E トライシクル充電箇所 分電盤 分電盤

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本充電ステーションにおいて、E トライシクルに供給される電源ラインの品質を確 認するため、パワーアナライザーを使用して、E トライシクルに供給される電源波形 のリアルタイム観測及び電圧変動の測定、記録、解析を行った。 電源ラインの品質確認 パワーアナライザー(HIOKI 社製:3196)

結果を下図に示す。電圧・電流波形ひずみ、電圧ディップ、電圧スウェル、逆相電圧 の発生など電源異常はないことを確認した。時間帯によっては、周辺地域の電力負荷 と思われる若干の電圧降下が見受けられたが、E トライシクルの充電に影響を与える 電圧変動ではなかった。比較的安定した電源環境であることを確認した。 電源波形のリアルタイム観測及び電圧変動の測定結果(一部データ抜粋)

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2) マニラ市充電ステーション調査 E トライシクル 280 台の運行を行っているマニラ市の充電ステーション 2 カ所の電源 設備を調査。マニラ市設営になるこれらの電源環境はかなり悪く、電圧・電流波形のひ ずみや電圧降下が頻繁に発生する模様。また、充電ステーションの敷地内にあるトイレ の LED 照明のスイッチング電源によるスパイクノイズで E トライシクルの充電器が破 損する問題も発生したことから、E トライシクル側の充電器を変更する計画である。 現在、試験的に充電課金システムも運用中であったが、下記の写真からも分かるよう に分電盤の電子部品の実装やケーブル類の取り回しが煩雑であり、ノイズ対策等も含め、 安定した電源環境とするためには、分電盤及び電圧レギュレータ等の電源環境設備の設 計を見直す必要があると思われる。 充電ステーション(Manila, Motorpool) E トライシクル充電箇所 分電盤 電圧レギュレータ 課金システム ケーブル類

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充電ステーション(San Nicolas) レギュレータ及び課金システム ③ 主電池の使用状況及びリチウムイオン電池管理システムの性能評価 1) バッテリーモジュール温度及びセル電圧確認 運行試験を行っている車両 15 台の中からトータル走行距離が異なる車両 5 台をピ ックアップして、搭載しているバッテリーのモジュール温度及びセル電圧を CAN によ りモニタリングするソフトウェアで測定を行った。 図 3-13 モニタリングソフトウェア画面 各車両のモジュール温度は走行距離に関係なく安定しており、モジュール間の温度 差もなく異常発熱などは発生していないことから、安全性の高いバッテリーモジュー ルといえる。 各車両の 48 個のセル電圧及びモジュール電圧は安定しており、セル間における最大 最小値の電圧差も 0.001~0.006V と非常に小さい数値を示している。このことは、BMS のセルバランス機能により、各セル電圧を常時モニタリングしつつ、セルバランス制

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御が正確に行えているということであり、BMS の信頼性の高さがうかがえる。また、 セルもバランスが確保できる品質の安定したものであるといえる。 下記に各車両のバッテリーモジュール温度および主電池(リチウムイオン電池)の各 モジュール・セル電圧計測値を示す。 表 3-3 車両 No426,421,434,437 主電池モジュール電圧およびセル電圧値 出典:提案企業作成

表 1-3  フィリピン全国およびマニラ首都圏の登録車両台数  (単位:台)  地域  用途  車種  乗用車  実用車  商用車  バス  トラック  計 オートバイ/  トライシクル トレーラー  全  国  民間  830,131  1,548,413  343,667  7,429  325,412  3,584,848  33,915  6,673,815 タクシー用 31,625 209,342 17  23,743 23,807 647,554 3,985 940,073 政府 2,878 3
表 2-1  作業工程・実績  出典:提案企業作成 ③ Eトライシクル運行事業のモニタリング計画の策定 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲▲▲▲▲凡例当初計画        実績② Eトライシクルに係る仕様検討および資機材発注③ 導入する Eトライシクル20台分の車両基地・給電設備の整備④ Eトライシクルの維持管理体制の構築8910 11 1211234567678910 11 122016453
表 2-2  要員の投入計画・実績(現地作業)
表 2-3  要員の投入計画・実績(国内作業)
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参照

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