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はじめに 02 絶好のチャンス 03 ミャンマー消費者調査 消費者マインド 支出構成 購買行動およびブランド選好 情報入手経路 購買チャネル 決済 22 今後の展望 23 コンタクト 25 はじめに ミャンマー経済の急速な台頭と

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はじめに

02

絶好のチャンス

03

ミャンマー消費者調査

07

1.

消費者マインド

09

2.

支出構成

11

3.

購買行動およびブランド選好

13

4.

情報入手経路

18

5.

購買チャネル

19

6.

決済

22

今後の展望

23

コンタクト

25

はじめに

ミャンマー経済の急速な台頭と著しい消費の伸びは、多くの消費財メーカーや小売企業の注目と 期待を集めている。ミャンマーは希望に満ちた国である。しかし、この市場で成功を収めるには、 チャンスを特定するだけでは不十分である。そのチャンスを、なぜ、どこで、そしていかにして、活か すべきかを見極めることが重要である。 後述するように、些細に見えることこそ、時に極めて大きな意味を持つものである。例えば、民族的 多様性に富んだミャンマー市場において、地域ごとに異なる嗜好への対応方法を学ぶことは、ロイ ヤルティーの高い消費者を獲得していく上で大いに役立つだろう。また、ミャンマー経済は今なお 圧倒的な現金主義であるが、将来的な変化の兆しが見られることから、企業はこの変化に合わせ て取引形態を変えていく必要があるだろう。 我々として初となるミャンマーでの消費者調査は、今年初めにヤンゴンとマンダレーの

2

都市で実 施された。調査結果からは、台頭しつつある中間所得層を中心として、消費者全体が非常に楽観 的であることが示された。これらの消費者は、所得水準の上昇に伴い、生活必需品以外への支出 をますます増加させている。中でも、娯楽関連への支出が増加する傾向が認められたが、これは ミャンマーに季節の行事や祝祭日が多いことが原因であると考えられる。 本調査では、ミャンマーの消費者の購買行動やブランド選好についても検証した。中でも特筆すべ きは価格感応度の低下であり、特にハイエンド製品を購入する際に価格以外の要素を重視する傾 向が強まっている。さらに、本レポートでは、ミャンマーの小売市場における消費者の情報入手経 路や購買チャネルについても取り上げている。トラディショナルトレードが市場を独占している一方 で、やはり都市部においてはモダントレードへの移行が始まっている。 本レポートがミャンマーの消費者に対する理解を深め、この前途有望な市場への参入において注 意すべきポイントを把握する一助となれば幸いである。 消費財・産業用製品部門 東南アジア産業担当リーダー ユージン・ホー

(3)

4. “Country Overview”. Myanmar Information Management Unit. http://www.themimu.info/ country-overview

5. “Myanmar’s new deep-sea port project offers a wealth of opportunities for investors”. MoneyWeek. 9 March 2015. http:// moneyweek.com/new-world-investing-in-myanmar-daweideep-port

6. Central Statistical Organisation (Myanmar). 1. “Which are the world’s fastest-growing

economies?”. World Economic Forum. 18 April 2016. https://www.weforum.org/ agenda/2016/04/worlds-fastest growing-economies

2. “GDP (current US$)”. The World Bank. http:// data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.MKTP. CD

3. “GDP per capita (current US$)”. The World Bank. http://data.worldbank.org/indicator/ NY.GDP.PCAP.CD

絶好のチャンス

ミャンマーは、長期にわたる国際社会での孤立 から一刻も早く脱却すべく、一連の政治・経済 改革に着手し始めている。ビジネスや貿易を後 押しする法律や規制の整備などの民主化に向 けた改革は、長年続いた外国政府による貿易 制裁の解除につながっている。

2016

年、ミャンマーは、世界経済フォーラムが 選ぶ世界で最も急速な成長を遂げている国と して世界の注目を浴びた。実質国内総生産(実 質

GDP

)成長率は

8.6%

と予測されており1 ミャンマーの経済規模は、

2015

年時点で

650

億米ドル相当2、国民

1

人当たり

GDP

では

1,200

米ドル3となっている(図

1

)。 アジアの中継地 バングラデシュ、中国、インド、ラオス、タイの各 国と国境を接するミャンマーは、世界の約

40%

にあたる人口に対するアクセスを有することに なる4。そのため、ミャンマーはアジアの中継地 として、戦略的貿易拠点となる可能性を秘めて いる(図

2

)。 インドと中国の貿易上の距離の短縮を目的とし たダウェイ経済特区(

SEZ

)開発計画は、ミャン マーの地理的優位性を活用して進められてい るプロジェクトの一例である。

SEZ

により、イン ド産の商品をインド洋に面した港から出荷し、 陸路でタイに輸送した後、鉄道で中国南部に運 ぶことが可能になる5。このマラッカ海峡に代わ る輸送ルートが確立されれば、ミャンマーと近 隣諸国との貿易が一層拡大することになる。 主な産業 ミャンマー最大の産業は製造業であり、

2014

2015

年で

GDP

19.9%

を占めている(図

3

)。 これに僅差で続くのは、農業(

19.7%

)と貿易 (

18.7%

)である6。外国からの直接投資が流入 する中、ミャンマーの製造業は一層の拡大を遂 げる可能性が高い。 現在のところ、農業経済が主流であることに変 わりはないが、ミャンマーは農業以外にもチー ク材、石油、沖合に埋蔵されている大量の天然 ガス、耕地、金属鉱物、さらには翡翠やルビー などの宝石類を含め、豊かな森林とエネルギー 資源を保有している。そのため、将来的には急 成長する近隣諸国に対して農産物や食品を供 給する輸出大国となる可能性がある(図

4

)。

1

:ミャンマーの実質

GDP

成長率(

2011

2015

年)

2

:ミャンマーと近隣諸国の地図および人口

3

:各産業の

GDP

に占める割合(

2014

2015

年) 19.9% 19.7% 18.7% 11.5% 8% 22.2% 製造業 農業 貿易 輸送 畜産・漁業 その他 2011 5.6% 7.3% 7.2% 8.4% 8.7% 2012 2013 2014 2015

出所:Asian Development Bank

出所:Central Statistical Organisation (Myanmar)

AH1 AH14 AH3 AH2 AH1 ダウェイ経済特区 アジアハイウェイ(AH)道路網 タイ 6,800万人 バングラデシュ 1.6億人 中国 13.8億人 インド 13億人 ミャンマー 5,200万人

(4)

11. “Digital landscape of Southeast Asia in Q4 2015”. Tech in Asia. 23 November 2015. https://www. techinasia.com/talk/digital-southeast-asia-q4-2015

12. “Mobile Phone Users Up Tenfold Since 2010”. Myanmar Business Today. 18 December 2014. http:// www.mmbiztoday.com/articles/mobile-phone-users-tenfold-2010

13. “Myanmar gets its first e-commerce payment platform”. Digital News Asia. 19 February 2015. https:// www.digitalnewsasia.com/digital-economy/myanmar-gets-its-first-e-commerce-payment-platform 7. “Singapore firms rush to Myanmar, a slice of good life in hand”. Channel NewsAsia. 9 May 2015. http://www.channelnewsasia.

com/news/singapore/singapore-firms-rush-to/1835624.html

8. “Singapore firms rush to Myanmar, a slice of good life in hand”. Channel NewsAsia. 9 May 2015. http://www.channelnewsasia. com/news/singapore/singapore-firms-rush-to/1835624.html

9. “Big foreign companies seek early bird edge in nascent consumer market”. Nikkei Asian Review. 11 December 2014. http://asia. nikkei.com/Business/Trends/Big-foreign-companies-seek-early-bird-edge-in-nascent-consumer-market

10. “Singapore firms rush to Myanmar, a slice of good life in hand”. Channel NewsAsia. 9 May 2015. http://www.channelnewsasia. com/news/singapore/singapore-firms-rush-to/1835624.html

4

:輸出入品の上位

5

品目(

2014

2015

年)

5

:東南アジアにおける携帯端末の普及率(

2015

年)

6

:東南アジアにおけるソーシャルメディアの普及率(

2015

年)

7

:東南アジアにおけるインターネットの普及率(

2015

年) 新興中流階級 ミャンマーにおける中間所得人口は、

2020

年までに倍増すると予想される7 こうした中流階級の台頭を背景に、美容・パーソナルケア製品、ホームケア製品など、生活必需品ではない商品の売上高が 伸びている。美容・パーソナルケア製品の市場規模は、

2009

年から年間

14%

の成長率で拡大し、

2013

年には

3

1,800

万 ドルに達している8 高額商品についても、需要の増加が見込まれている。ミャンマーの

1

人当たり

GDP

1,000

米ドル程度と東南アジアの最低 水準にとどまるものの、都市部における所得水準は急速に上昇している。例えば、ヤンゴン市民の所得は約

3,000

米ドルで、 これは一般的に乗用車の売上高が増加するとされている水準である9 消費支出が今後

10

年で

3

倍になると見込まれる中、多くの小売企業はミャンマーの中堅都市でも事業を拡大すべく、物流・ 流通網の整備に投資を行おうとしている10 デジタル経済に向かって 自由化の流れを受け、近年ではミャンマーの通 信業も極めて急速な成長を遂げている。ミャン マーにおける携帯端末、ソーシャルメディア、イ ンターネットの普及率は、他の東南アジア諸国 よりも低水準ではあるものの11(図

5

7

)、最近 の通信業の自由化により急速に上昇している。 例えば、ミャンマーにおける携帯端末の普及率 は、

2010

年から

2015

年の間でほぼ

10

倍に上 昇したと推定される12 また、ミャンマーでは、比較的早い段階から多く のユーザーがモバイルインターネットサービス の利用を開始している。モバイルインターネット の利用増加は、ソーシャルメディアプラット フォームや商用サイトにアクセスする消費者が 増えることも意味しており、小売企業やマーケ ティング担当者にとって、消費者に直接商品を 売り込む大きなチャンスが広がっていることが わかる。 さらに重要なのは、モバイルインターネットが 電子決済プラットフォームの導入を加速させる 可能性が高いことである。現状、消費者の多く は、銀行口座を所有していないか、所有してい てもあまり利用していない。このような圧倒的 に現金主義の経済においても、将来的には電 子決済プラットフォームが現金に取って代わる 現実的な決済方法となる可能性がある。東南 アジアの決済代行会社

2C2P

と全国的な決済 ネットワークであるミャンマー決済組合が立ち 上げた

2C2P e

コマース決済プラットフォーム は、オンライン店舗が簡単かつ効率的に決済処 理を行えるシステムの一例である13 非電気機械類・輸送機器 精製鉱油 ベースメタル 電気機械類 人工繊維・合成繊維 その他商品 天然ガス 衣料品 農産物 ベースメタル・鉱石 宝石・半宝石 その他商品

輸出上位

5

品目

輸入上位

5

品目

115

億米ドル

34% 20% 30% 49% 8% 8% 3% 2% 22% 15% 7% 2%

125

億米ドル

155% 150% 149% 146% 136% 126% 125% 112% 71% 69% 56% カンボジア ベトナム タイ シンガポール マレーシア ブルネイ インドネシア フィリピン 東ティモール ラオス ミャンマー 14% 14% 22% 24% 31% 40% 47% 58% 59% 67% 69% ブルネイ シンガポール マレーシア タイ フィリピン ベトナム インドネシア 東ティモール カンボジア ラオス ミャンマー 出所:Central Statistical Organisation (Myanmar)

出所:Tech in Asia 出所:Tech in Asia 出所:Tech in Asia 1% 9% 14% 32% 32% 34% 46% 54% 67% 81% 84% シンガポール ブルネイ マレーシア タイ フィリピン インドネシア ベトナム カンボジア ラオス ミャンマー 東ティモール

(5)

ミャンマー消費者調査

本レポートでは、デロイトが今年初めにヤンゴンとマンダ レーで実施した消費者調査から明らかとなった消費者行動 パターンを分析する。まず、消費者マインドの概観と支出パ ターンを確認した上で、具体的な購買行動とブランド選好に ついて詳しく検討する。その後、ミャンマーの消費者の情報 入手経路や購買チャネル、さらには圧倒的な現金主義であ るミャンマー経済が抱える決済上の課題についても分析す る。 調査方法

2016

年第

1

四半期に、ミャンマーの主要都市であるヤンゴ ンとマンダレーで、

350

世帯を対象とした対面インタビュー 調査を実施した。これらの都市を調査地域に選んだのは、 人口が最も多く、

GDP

に占める割合が大きいためである。 調査対象者の選定にあたっては、年齢、性別、世帯月収、教 育水準、意思決定権の有無という観点から、ミャンマー人口 を代表するようにサンプル数を割り当てた。 調査では、

8

つの製品カテゴリーについて支出構成、購買行 動、ブランド選好、情報入手経路、購買チャネル、

e

コマース の利用状況および地域性をヒアリングした。 製品カテゴリー大分類 小分類(例) 飲料(アルコール) ●ビール ●ウイスキー ●ワイン 飲料(アルコール以外) ●果物・野菜ジュース ●コーヒー飲料 ●茶飲料 ●清涼飲料 菓子類 ●ビスケット ●パン ●チョコレート ●焼き菓子 家庭用電化製品(大型) ●エアコン ●冷蔵庫 ●テレビ ●洗濯機 家庭用電化製品(小型) ●アイロン ●扇風機 ●ヘアドライヤー ●電子レンジ ●トースター 加工食品 ●朝食用シリアル ●インスタントラーメン ●イワシ缶詰 パーソナルケア・衛生用品 ●入浴・シャワー用品 ●ヘアケア製品 ●洗濯用品 ●口内洗浄液 ●歯ブラシ ●練り歯磨き タバコ ●紙巻きタバコ ●葉巻 ●刻みタバコ 50% 50% 15~24歳 25~34歳 35~49歳 50~64歳 19% 30% 24% 27% 世帯月収(百万ミャンマーチャット) 0.2未満 0.2~0.5 0.5~1 1~1.5 1.5~3 3超 15% 33% 25% 11% 10% 6% 調査回答者の属性構成 調査回答者の地理的分布 調査回答者の年齢分布 調査回答者の世帯月収分布 マンダレー ヤンゴン 43% 57% 調査回答者の性別分布 性、年齢、居住地の分布がミャンマーの消費者を代表する構成となるよう、調査対象グループに定員を設け、必 要に応じてデータの偏りを微調整するために重みづけを行った。

(6)

15. “Myanmar sets $2.80 (MMK 3,600) daily minimum wage in bid to boost investment”. Reuters. 29 August 2015. http://www. reuters.com/article/us-myanmar-economy- wagesidUSKCN0QY0A620150829 16. “Electricity price hike set for April 1”. The

Myanmar Times. 24 March 2014. http://www. mmtimes.com/index.php/business/9947-electricity-price-hike-set-for-april-1.html 14. “Myanmar Inflation Rate”. Trading Economics.

http://www.tradingeconomics.com/myanmar/ inflation-cpi

1.

消費者マインド

マインドの二分化 政治改革と海外からの直接投資の増加を背景 に、ミャンマーの消費者マインドは概して良好で あり、調査回答者の

62%

が多かれ少なかれ楽 観的な姿勢を示している(図

8

)。また、回答者 の過半数は、世帯収入の水準が上昇し、将来的 に雇用も拡大すると考えていた。 実際、今後

1

年間の支出意向に関する問いに対 し、支出を減らすと回答した消費者が

1%

に過 ぎなかったことも、楽観的な姿勢を顕著に示し ている。回答者の過半数は支出を増やすと回答 し、さらにその

98%

が支出を

10%

以上増やす と回答した。平均年間インフレ率が約

6.2%

で あることを踏まえると、これは著しい増加だと いえる14 しかし、こうした楽観的な姿勢は、すべての回 答者に共通しているわけではない。最も楽観的 であったのは世帯収入が

20

万~

150

万ミャン マーチャットの下流中間層から中間層に属する 回答者であった(図

9

)。この傾向は、医療、教 育、交通などの生活の基本的ニーズにとどまら ず、より高い生活水準を維持するだけの経済的 余裕があることに起因すると考えられる。この ような消費者は、ミャンマー最大の所得階層を 形成しており、多くの消費財メーカーや小売企 業にとって非常に収益性の高い顧客層となる 可能性がある。 一方で、世帯収入が最も高い階層では、他の階 層と比較して楽観的な姿勢にやや陰りが認め られた。この背景には、公正で開かれた市場競 争と厳格な税制の導入に伴い、従来の非課税 所得を享受できなくなる懸念が存在すると考え られる。さらには、

3,600

ミャンマーチャットの 日額最低賃金の導入15、中規模工場向け産業 用電力料金の

60%

引き上げ16、土地や不動産 の価格急騰などの事業運営コストの増加につ ながる動きが、この階層の消費者に影響を与え ていると考えられる。

8

:消費者の景況感と将来の支出意向(

2016

年)

9

:世帯月収別の消費者マインド 100% 80% 60% 40% 20% 0% 0.2未満 0.5~1 1~1.5 世帯月収(百万ミャンマーチャット) 0.2~0.5 1.5~3 3超 まったく同意する どちらとも言えない 同意しない まったく同意しない 16% 28% 調査回答者に占める割合 33% 22% 24% 6% 42% 45% 1% 6% 38% 34% 4% 47% 28% 3% 35% 29% 1% 2% 37% 32% 3% 35% 47% 2% 次の文にどれくらい同意しますか?私は経済について楽観的です。 同意する 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 同意する まったく同意する どちらとも言えない 同意しない まったく同意しない 増やす 変えない 減らす 10%未満 10~25% 26~50% 50%超 25% 28% 39% 31% 54% 45% 37% 35% 2% 2% 1% 1% 次の文にどれくらい同意しますか? 私は経済について楽観的です。 今後 1年間で、支出を変えようと 考えていますか? 今後 1年間で支出を増やそうと 考えている場合、 どれくらい増やすつもりですか? 調査回答者に占める割合 調査回答者に占める割合 調査回答者に占める割合

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

(7)

17. “ASEAN Tobacco Tax Report Card”. Southeast Asia Tobacco Control Alliance. February 2012. http://www.world-heart-federation.org/fileadmin/user_upload/documents/Tobacco/Singapore_ Workshop_2012/Resources/ASEAN_Tax_Report_Card_Final_Feb_2012.pdf

18. “Dealmaking excitement builds over beers in newly opened Myanmar”. The Straits Times. 15 June 2016. http://www.straitstimes.com/asia/se-asia/dealmaking-excitement-builds-over-beers-in-newly-opened-myanmar

19. Department of Statistics Singapore. 20. Statistics Bureau (Japan).

21. “Foreign travel market ‘booming’ as Myanmar look abroad”. The Myanmar Times. 20 February 2012. http://www.mmtimes.com/index.php/national-news/1068-foreign-travel-market-booming-as-myanmar-look-abroad.html

2.

支出構成

依然として生活必需品が優先 ミャンマーでは外食が一般的ではなく、自炊の方が安くて健康的であると考えられているため、所 得階層を問わず、支出における最大のウエイトを占めるのは食品(加工食品と菓子類を含む)で あった(図

10

、図

11

)。 一方で、支出に占める割合が最も小さいのはタバコであった。これは、都市部に居住する女性の多 くが非喫煙者であるためと考えられる。一般的に、ミャンマーにおけるタバコの消費量は、低所得 層と農村部で高いとされている。ミャンマー全体では、喫煙者は人口の約

23%

で、

ASEAN

諸国の 平均

25%

とほぼ同等であるものの、喫煙率の高いラオス(

40%

)やインドネシア(

35%

)には及ば ない17 ミャンマーでは、アルコール消費量も比較的少ない。例えば、ビールの消費量は

1

人当たり約

5

リッ トルで、近隣のベトナム(

40

リットル)やタイ(

30

リットル)と比べると非常に少ない18。この背景の一 つに、女性の多くがアルコールをあまり飲まないことが考えられる。女性消費者は、公共の場では 安全上の理由から、自宅では宗教的な制約により、飲酒を控える傾向がある。しかし、海外ビール メーカーの進出や国民の購買力向上に伴い、アルコール飲料の売上高は着実に増加すると予想 される。 娯楽への関心 教育、医療、通信、タバコ、交通に対する支出構成に所得階層による違いは認められなかったが、 世帯収入の上昇に伴い、家庭用清掃用品や娯楽・レジャーへの支出が大幅に増加する傾向が見ら れた。 娯楽やレジャーが平均的な世帯支出の

7%

を占めていることからも、ミャンマーの消費者が娯楽関 連分野に関心を持っていることは明らかである。これは、シンガポール(

6.5%

)19や日本(

10%

20 など、より成熟した市場に匹敵する高さである。この要因の一つとして、ミャンマーに季節の行事が 多く、祝祭日数も東南アジアで最も多い(年間最大

25

日)ことが考えられる。ただし、祝祭日は娯 楽のための余暇になるとはいえ、(ヤンゴンとマンダレーでは)そのための場所が不足しており、公 共交通機関も不便であることから、ミャンマー国内での娯楽の選択肢は限られている。そのため、 裕福な家庭では休暇期間中に海外旅行に行くことが多い。最も人気のある旅行先はタイであり、 シンガポール、マレーシア、ベトナム、カンボジアがそれに続く21

10

:世帯月収別の一世帯当たりの月平均支出額

11

:世帯月収別の一世帯当たりの月間支出額の内訳

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

世帯月収(百万ミャンマーチャット) 0.2未満 一世帯当たりの月平均支出額(ミャンマーチャット) 105,694 0.2~0.5 0.5~1 1~1.5 1.5~3 3超 202,407 311,328 382,037 464,231 771,667 0.2未満 世帯月収(百万ミャンマーチャット) 0.2~0.5 0.5~1 1~1.5 1.5~3 3超 一世帯当たりの月間支出額における割合 35% 31% 29% 26% 25% 27% 1% 2% 2% 4% 3% 4% 5% 4% 4% 4% 6% 5% 2% 1% 1% 2% 1% 7% 7% 9% 9% 10% 8% 7% 4% 3% 5% 4% 3% 6% 10% 9% 11% 11% 13% 9% 11% 11% 10% 8% 9% 3% 4% 5% 3% 11% 14% 6% 5% 5% 5% 5% 4% 6% 5% 7% 8% 6% 4% 7% 9% 7% 6% 4% 4% 5% 5% 7% 5% 6% 3% 1% 2% 1% 2% 1% 1% 食品* 外食 飲料 タバコ 衣類・靴 パーソナルケア・衛生用品 家庭用清掃用品 教育 医療・健康 その他 娯楽・レジャー 通信 交通 家賃・水道光熱費 *菓子類と加工食品を含む

(8)

3.

購買行動およびブランド選好

価格よりも実用性を重視 ミャンマーの消費者が飲料、菓子類、加工食品、パーソナルケア・衛生用品、タバコなどの消耗品 を購入する際に最も重視するのは、味、品質および価格であった。商品の選択肢が大幅に増え、消 費者の知識武装が進むにつれ、価格だけが購買決定の最重要要因だった時代は過去のものと なっている(図

12

)。 ここで特に注目すべきは、ミャンマーの消費者が味という個人的嗜好を重視している点である。こ うした嗜好は、ミャンマーの

8

大民族、その他の

135

民族で大きく異なる可能性がある。また、品質 の重要性も増しており、商品の鮮度と消費者の期待に見合った品質の両方が求められている。 一方で、家庭用電化製品では、耐久性や性能が重要な購買の意志決定要因となっている。この背 景には、ミャンマーの消費者が製品買い替えの手間を嫌うことと、より高度な性能を求めているこ とがある。価格も重要な考慮事項ではあるが、購買決定要因の一つに過ぎない。むしろ、消費者は アフターサービスやデザインなどの他の要因と価格とのバランスを考えている。また、ハイエンドの 家庭用品を購入する際には、一般的に価格はそれほど重視されなくなってきている。

12

:購入の際に重視する要素(製品カテゴリー別) 自動車に関する調査 デロイトでは、ミャンマーの消費者が自動車購入の際に重視する要因を明 らかにするため、自動車オーナーを対象としたインタビューを実施した。上 位に挙げられたのは、以下の

3

つである。 ・ 車体の耐久性:消費者は、ミャンマーのでこぼこ道にも耐えられ、安心感を与えてくれる、 頑丈な車体の自動車を求めている。 ・ 市場での販売状況:車両本体やスペアパーツが市場に出回っているかは重要なポイントで ある。実物の車両があれば、購入前に自動車モデルについて調べることができ、スペアパー ツをすぐに入手できれば、購入後の修理やメンテナンスが容易になるからである。 ・ 適正価格:消費者は自動車の減価償却率を考えることが多いため、新車、中古車にかかわ らず、適正価格であることはやはり重要である。 味 品質 価格 香り 信頼性 入手可能性 安全性 パッケージ PR活動 その他 67% 46% 37% 28% 25% 21% 21% 2% 2% 2% 飲料(アルコール) 味 品質 価格 香り 信頼性 入手可能性 安全性 パッケージ PR活動 その他 91% 53% 36% 27% 26% 17% 14% 12% 3% 1% 飲料(アルコール以外) 味 品質 価格 香り 信頼性 入手可能性 安全性 パッケージ PR活動 その他 87% 56% 34% 25% 21% 19% 18% 16% 2% 3% 菓子類 耐久性 アフターサービス 技術 価格 デザイン 信頼性 機能 入手可能性 PR活動 その他 54% 85% 48% 46% 31% 25% 12% 7% 5% 5% 家庭用電化製品(大型) 耐久性 アフターサービス 技術 価格 デザイン 信頼性 機能 入手可能性 PR活動 その他 84% 42% 37% 31% 31% 20% 15% 9% 5% 5% 家庭用電化製品(小型) 味 品質 価格 香り 信頼性 入手可能性 安全性 パッケージ PR活動 その他 32% 56% 84% 31% 26% 17% 16% 23% 3% 2% 加工食品 品質 香り 価格 信頼性 安全性 入手可能性 パッケージ PR活動 その他 56% 34% 34% 23% 21% 17% 5% 1% パーソナルケア・衛生用品 味 品質 信頼性 価格 香り 入手可能性 安全性 PR活動 その他 27% 37% 48% 26% 23% 16% 21% 5% 6% タバコ 74%

(9)

22. “Myanmar Beer: new logo, new fight”. The Myanmar Times. 22 October 2015. http://www.mmtimes. com/index.php/business/17132-myanmar-beer-new-logo-new-fight.html

23. “Myanmar Beer: new logo, new fight”. The Myanmar Times. 22 October 2015. http://www.mmtimes. com/index.php/business/17132-myanmar-beer-new-logo-new-fight.html 顧客ロイヤルティーは(今のところ)高い ミャンマーの消費者のロイヤルティーが比較的高いのは、実用的な代替品を入手しにくいためだと 考えられる。一般的に、ミャンマーの消費者はなじみのある低価格帯のものを求めるため、国産品 を好む傾向があるが、ここにも地域差が現れ始めている。例えば、モダントレードの店舗が市内各 地で急速に発達する中、ヤンゴンの消費者は輸入ブランドに触れる機会が比較的多くなり、海外ブ ランドを好むようになってきている。一方で、マンダレーの消費者は、国産品を選ぶ傾向がいまだに 強い。 ミャンマーで生産されていない家庭用電化製品などのカテゴリーでは、消費者は信頼性と品質が 高いと考えられる輸入ブランド志向が強い。こうした輸入製品は、輸入規制の厳格化、課税強化、 不利な為替レートにより割高になることも多い。しかし、高所得層の消費者は、製品の原産国にか かわらず、家庭用電化製品、加工食品、パーソナルケア・衛生用品などのカテゴリーでより幅広い ブランドや製品を購入する傾向がある。こうした選好は、これらの消費者層がよく利用するモダント レードが取り扱う商品の品揃えにも表れている。例えば、ホテルやバーなどのモダントレードの店 舗では、外国産のアルコール飲料や紙巻きタバコが広く販売されている。 ビールをめぐるロイヤルティー

2015

年、世界的な大手ビールメーカーであるハイネケンとカールスバーグ がミャンマー市場に参入した。両社が激しい攻勢をかけているにもかかわ らず、ミャンマー・ブルワリー(ミャンマーでトップのビールメーカー)は

80%

という圧倒的な市場シェアを維持している(密輸品や輸入ビールを含めた場合のシェアは

65

70%

)22。同社は、

Myanmar Beer

Andaman Gold

Myanmar Double Strong

などの製品ラインナップを揃え、ビールが主に消費されるミャンマー各地のビアステーショ ンで優位に立っている。 ミャンマー・ブルワリーは、その戦略の一つに国内の嗜好に応えることを掲げている。例え ば、同社の

Black Shield

はアルコール度数が高く、風味が強い。これは、強い風味を求めて ラガーとシュタウトを混ぜ合わせることの多いミャンマーの消費者の好みを捉えたもので ある23。また、同社の国産ビールである

Myanmar Beer

も国内の顧客から根強い支持を得 ており、その多くがこのブランドを誇りに思っている。 しかし、多くの商品情報に触れ、さまざまなブランドを試したいと考える若年層の消費者が 増加する中で、

Myanmar Beer

が長期的な支持を維持できるかは不透明である。 ブランドの争い 相対的に安価で、品質が高く、輸入しやすいタイ製品(飲料、菓子類、加工食品、パーソナルケア・ 衛生用品など)はミャンマーで幅広い支持を集めている。タイに次ぐミャンマーへの消費財輸出国 である日本も、高品質な製品で知られており、日本製消費財ブランド名の多くは消費者に良く知ら れている(図

13

15

)。 化粧品や家庭用品に代表される韓国ブランドも、ここ数ヵ月でミャンマー市場に参入し始めてい る。韓国製品は、「韓流」ファンで韓国の

TV

ドラマやポップミュージックの影響を受けている多くの 若年層や主婦層の人気を集めている。一方で、アルコール飲料とタバコでは、欧米ブランドが優位 に立っている。これは、ミャンマーの消費者が欧米ブランドを高級品と考え、かつ若々しさがあると いう点で選好しているためである。 中国ブランドには、時に安全性と品質に関するネガティブな印象が付きまとうが、すべての製品カ テゴリーに中国製品が存在し、中でも家庭用電化製品、パーソナルケア・衛生用品、タバコでは比 較的成功を収めている。ただし、消費者が中国製品を選ぶのは、価格に極めて敏感であるか、選 択肢が限られる場合に限られる傾向がある。

13

:世帯収入別のブランド選好 0.2未満 0.2~0.5 0.5~1 1~1.5 1.5~3 3超 タバコ 世帯月収(百万ミャンマーチャット) 加工食品 外国産 菓子類 飲料 (アルコール)(アルコール以外)飲料 パーソナルケア・衛生用品 家庭用 電化製品 (大型) 家庭用 電化製品 (小型) 75% 68% 80% 81% 70% 60% 86% 78% 78% 79% 78% 83% 95% 88% 94% 89% 92% 78% 69% 73% 69% 60% 63% 63% 60% 50% 59% 44% 43% 44% 91% 91% 100% 100% 100% 100% 85% 89% 83% 83% 76% 79% 100% 95% 100% 100% 100% 100% 9% 9% 5% 25% 32% 20% 19% 30% 40% 14% 22% 22% 21% 22% 17% 5% 12% 6% 11% 8% 22% 31% 27% 31% 40% 37% 37% 40% 50% 41% 56% 57% 56% 15% 11% 17% 17% 24% 21% 国産

(10)

4.

情報入手経路

14

:都市別のブランド選好

16

:最もよく利用する情報源

17

:製品カテゴリー別・ブランド種類別の情報源

15

:世帯収入別の輸入品原産国の選好 人と人とのつながり 個人的な人間関係がビジネスに不可欠という 文化を持つミャンマーで、最も信頼される情報 源は口コミである。多くの消費者は十分な情報 に接していないため、友人や同僚、親類が購買 決定の上で重要な役割を果たす場合がある (図

16

)。 特に都市部に居住するミャンマーの消費者は、 テレビの前や交通機関で相当な時間を過ごす ため、テレビや屋外用の広告板などの従来型メ ディアがマスマーケティングの重要なチャネルと なっている。都市部では印刷媒体やラジオの利 用が減少する一方、これら媒体の農村部での訴 求効果は依然として高い。また、インターネット や携帯端末の普及率上昇を受け、ソーシャルメ ディアの利用も広がり始めている。例えば、オン ライン事業を行っている新興企業の多くは、

Facebook

を主なコミュニケーションチャネル として利用している。 イベントや店頭での

PR

活動(割引、くじ引き、景 品など)などの直接的なマーケティングチャネ ルも、ミャンマーの消費者の間で支持を集めて いる。こうしたマーケティング手法は、口コミの 観点で有効な手段となる場合がある。例えば、 ミャンマーではアルコールやタバコに関連した マーケティングが禁止されているため、消費者 はこれらの製品を購入する際にほとんど口コミ に頼っている(図

17

)。そこで、アルコールメー カーやタバコメーカーは、

PR

スタッフの活用や ブランド認知度の向上を目的としたイベントへ の協賛など、店頭

PR

活動への投資に注力して いる。高額な家庭用電化製品などのハイエンド 製品では、消費者が割引やくじ引きのキャン ペーンに積極的に参加するため、同じく店頭

PR

活動が有効である。 4% 4% 5% 2% 3% 4% 5% 5% 1% タバコ 加工食品 菓子類 飲料 (アルコール) 飲料 (アルコール以外) パーソナルケア・ 衛生用品 家庭用電化製品 (大型) 家庭用電化製品 (小型) 印刷媒体 ソーシャルメディア ラジオ 友人、同僚、親類 テレビ 広告板 イベント 店頭のPR活動 その他 47% 30% 37% 31% 29% 34% 36% 70% 14% 2% 16% 15% 17% 17% 5% 4% 13% 10% 7% 7% 3% 1% 2% 5% 7% 9% 3% 4% 8% 4% 5% 5% 5% 3% 6% 4% 4% 4% 3% 2% 3% 3% 2% 3% 3% 12% 12% 19% 35% 32% 32% 31% 20% 20% 1% 2% 3% 2% 1% 3% 出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

タバコ 加工食品 菓子類 飲料 (アルコール) (アルコール以外)飲料 パーソナルケア・衛生用品 家庭用 電化製品 (大型) 家庭用 電化製品 (小型) 外国産 ヤンゴン 72% 28% 20% 62% 92% 86% 93% 43% マンダレー 80% 86% 22% 73% 3% 5% 3% 97% 95% 100% 97% 78% 87% 22% 13% 57% 14% 78% 27% 38% 8% 14% 7% 国産 タバコ 加工食品 菓子類 飲料 (アルコール) (アルコール以外)飲料 パーソナルケア・衛生用品 家庭用 電化製品 (大型) 家庭用 電化製品 (小型) 5% その他 中国 欧米 日本 タイ 韓国 10% 0.2未満 0.2~0.5 0.5~1 1~1.5 1.5~3 3超 世帯月収(百万ミャンマーチャット) 90% 67% 50% 40% 80% 70% 5% 33% 50% 60% 20% 30% 5% 83% 63% 73% 80% 83% 78% 17% 6% 26% 15% 11% 12% 12% 91% 87% 80% 70% 80% 85% 78% 58% 71% 65% 82% 95% 36% 43% 42% 33% 20% 31% 17% 25% 26% 34% 71% 33% 4% 11% 54% 10% 46% 9% 48% 12% 10% 19% 23% 16% 13% 16% 19% 10% 8% 5% 25% 20% 28% 31% 38% 82% 32% 54% 39% 49% 37% 43% 15% 26% 33% 20% 25% 62% 52% 56% 53% 70% 80% 15% 19% 11% 22% 12% 14% 9% 6% 21% 15% 20% 15% 28% 46% 41% 40% 50% 20% 19% 49% 11% 15% 17% 12% 22% 17% 16% 20% 24% 27% 21% 10% 16% 23% 4% 5% 9% 10% 17% 15% 15% 10% 5% 5% 5% 5% 20% 3% 3% 16% 11% 5% 5% 10% 7% 8%1% 5% 5% 6% 6% 4% 4% 3% 7% 10% テレビ 広告板 イベント 店頭のPR活動 印刷媒体 ソーシャルメディア ラジオ その他 34% 友人、同僚、親類 28% 15% 6% 3% 4% 1% 5% 5%

(11)

24. “Myanmar Retail Sector Ringing Up Sales”. Myanmar Business Today. 30 September 2015. http://www.mmbiztoday.com/articles/myanmar-retail-sector-ringing-sales

5.

購買チャネル

規模の経済は必ずしも働かない ミャンマーの小売業では、現在もトラディショナ ルトレードが重要な役割を果たしている。地元 にある個人経営の食料品店(グロッサリースト ア)、露天商や売店などの零細店舗は、消費者 のごく身近に存在していることが多いため、最 も利用頻度の高い購買チャネルの一つとなって いる(図

18

)。 ミャンマーの消費者は、小規模店舗では在庫回 転率が高く、スーパーマーケットなどの大規模 店よりも仕入れ頻度が高くなるという発想か ら、トラディショナルトレードの店舗で販売され る商品の方が鮮度が高いと考えている。また、 特に農村部の消費者は、より安価に商品が手 に入ると考え、トラディショナルトレードの店舗 を好む傾向にある。 一般的に、トラディショナルトレードを選ぶミャ ンマーの消費者は場所の利便性や価格の安さ などを優先するのに対し、モダントレードを選 ぶ消費者は在庫や品揃え、サービス水準をより 重視する傾向がある(図

19

)。

18

:調査回答者がよく利用する購買チャネル

20

:製品カテゴリー別・都市別のトラディショナルトレードとモダントレードの選好

19

:トラディショナルトレードを選ぶ理由とモダントレードを選ぶ理由 ヤンゴンではモダントレードへの支持が拡大 販売する商品のほとんどが輸入品であるコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどのモダン トレードは、ヤンゴンやマンダレーなどの大都市で消費者の支持を集め始めている(図

20

)。今回 の調査によると、これらの都市に居住する消費者は、トラディショナルトレードの店舗よりも、顧客 サービスの水準が高く、価格面でも引けを取らないモダントレードの店舗での購入に前向きな姿 勢を示している。また、これらの消費者はモダントレードの店舗の方が商品の品質が高いとも考え ている。 このようなモダントレードを選好する傾向は、トラディショナルトレードへの依存度が比較的高いマ ンダレーよりも、ヤンゴンで顕著である。さらに、消費者が購入する商品カテゴリーについても、こ れら

2

つのチャネルの間で違いが見られる。特にヤンゴンでは家庭用電化製品の大半がモダント レードで購入されているのに対し、タバコはトラディショナルトレードで購入されるのが一般的であ る。ヤンゴンでバーやクラブが相次いで開業し、歓楽街が拡大しているのを受け、モダントレードの 店舗におけるアルコールの売上高も徐々に伸び始めている。 ミャンマーにおけるモダントレードは、特に世帯収入が大幅に増加している都市部を中心に広がり つつある。また、平均的な家庭が生活必需品にかけられるトータル金額も、年率約

10%

で増加し 続けると予想されている24 信頼が最も重要 ブランドのショールームやスーパーマーケットなどのモダントレードは、品質の高い品ぞろえに定評 がある。消費者が模造品や違法な輸入品を販売するトラディショナルトレードへの不信感を募らせ る中、モダントレードはますます支持を集めており、特に高額な家庭用電化製品の購入に当たって は、所得階層を問わず強く支持されている(図

21

22

)。 トラディショナル トレード モダントレード 場所 入手可能性 品揃え サービス水準 価格 営業時間 PR活動 品質 36% 14% 26% 13% 15% 20% 4% 18% 16% 12% 5% 3% 8% 3% 6% 1% グロッサリーストア スーパーマーケット コンビニエンス ストア 電化製品店 露天商・売店 ブランド ショールーム ショッピング センター フードコート レストラン、バー オンライン 卸売市場 電話セールス 93% 51% 40% 17% 4% 12% 31% 31% 31% 1% 1% 0%

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

タバコ 加工食品 菓子類 飲料 (アルコール)(アルコール以外)飲料 パーソナルケア・衛生用品 家庭用 電化製品 (大型) 家庭用 電化製品 (小型) トラディショナルトレード モダントレード マンダレー ヤンゴン 71% 48% 29% 52% 81% 49% 19% 51% 84% 46% 16% 54% 80% 49% 20% 51% 77% 39% 23% 61% 63% 10% 37% 90% 63% 17% 37% 83% 95% 63% 5% 37%

(12)

25. “As banks grow, cash is still king in Myanmar”. Frontier Myanmar. 17 July 2016. http:// frontiermyanmar.net/en/as-banks-grow-cash-isstill-king-in-myanmar

26. “Regulation on Mobile Financial Services”. Central Bank of Myanmar. 30 March 2016. http://www.cbm.gov.mm/sites/default/ files/regulate_launder/_fil-r-01_mobile_ financial_services_regulation_eng_final_ website_4-4-2016_-5.pdf

6.

決済

21

:製品カテゴリー別・世帯収入別の購買チャネルの選好(電化製品以外)

23

:各決済手段の利用率

24

:銀行口座とキャッシュカードの所持率

25

:キャッシュカードを使用しない理由

26

:将来的にカード決済を利用したいか

22

:製品カテゴリー別・世帯収入別の購買チャネルの選好(電化製品) 現金決済がなお一般的 ミャンマーでは、今なお現金経済が主流であ る。そのため、マンションや自動車のような高額 商品であっても、現金で購入するのが一般的で ある25。これは都市部についても同様である。ヤ ンゴンとマンダレーの消費者を対象とした今回 の調査でも、回答者の多くが銀行口座やキャッ シュカードを所有しているにもかかわらず、実 にその

99%

が現金で決済を行っていた(図

23

24

)。 しかし、このような状況は変わろうとしている。 今年に入り、ミャンマー政府は景気の押し上げ と現代的な国内外取引の推進を目的として、モ バイル金融サービスに関する一連の規制を導 入した26。ミャンマーではインターネットと携帯 端末の普及が急速に進んでいることから、オン ライン決済、モバイル決済についても、本格的 に発展していくものと考えられる。 使いにくさや知識不足など、カードの利用拡大 にはなお課題があるものの、消費者の大部分 (

78%

)は、将来的なカード決済の利用に前向 きな姿勢を示している(図

25

26

)。 5% 3% 6% 0.2未満 0.2~0.5 0.5~1 1~1.5 1.5~3 3超 世帯月収(百万ミャンマーチャット) 64% 9% 18% 9% 31% 5% 19% 10% 27% 43% 29% 10% 10% 11% 36% 18% 10% 17% 8% 38% 10% 15% 10% 27% 59% 5% 10% 31% 8% 23% 15% 8% 7% 28% 6% 15% 15% 12% 51% 20% 16% 11% 35% 44% 38% 4% 29% 9% 15% 8% 21% 10% 18% 13% 30% 61% 31% 8% 21% 10% 7% 25% 15% 17% 13%7% 7% 48% 51% 19% 16% 10% 43% 3% 22% 10% 12% 10% 38% 28% 15% 13%6% 34% 24% 12% 18% 12% 0.2未満 0.2~0.5 0.5~1 1~1.5 1.5~3 3超 世帯月収(百万ミャンマーチャット) ショッピングセンター フードコート レストラン、バー グロッサリーストア スーパーマーケット 露天商・売店 コンビニエンスストア 52% 50% 5% 30% 7% 6% 15% 16% 12% 50% 18% 15% 12% 37% 37% 1% 29% 10% 13%10% 38% 3% 28% 10% 15% 7% 26% 9% 18% 9% 62% 9% 27% 2% 47% 17% 13% 14% 9% 46% 23% 15% 10% 6% 37% 30% 6% 17% 10% 32% 30% 14% 16% 6% 28% 31% 10% 14% 14% 7% 31% 62% 54% 3% 25% 16% 3% 22% 10% 57% 59% 14% 15% 12% 20% 20% 10% 30% 10% 10% 40% 11% 22% 16% 11% 4% 4% 4% 3% 2% 2% 3% 4% 3% 2% 3% 3% 2% 2% 3% タバコ 加工食品 パーソナルケア・衛生用品 菓子類 飲料(アルコール) 飲料(アルコール以外) 電化製品店 ブランドショールーム スーパーマーケット ショッピングセンター グロッサリーストア コンビニエンスストア 露天商・売店 電話セールス 世帯月収(百万ミャンマーチャット) 家庭用電化製品(大型) 家庭用電化製品(小型) 40% 35% 28% 48% 46% 14% 33% 26% 24% 36% 30% 33% 29% 29% 32% 53% 13% 11% 9%7% 7% 15% 11% 4% 8% 4% 18% 5% 1% 4% 33% 3% 8% 3% 6% 17% 17% 16% 8% 45% 19% 41% 46% 20% 35% 53% 15% 20% 2% 15% 7% 20%12% 12% 7% 18% 6% 33% 0.2未満 0.2~0.5 0.5~1 1~1.5 1.5~3 3超 99% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 現金 キャッシュカード 銀行振込み 調査回答者に占める割合 利用不可 利用可能 77% 64% 23% 36% 100% 20% 40% 60% 80% 0% マンダレー ヤンゴン 74% 84% 26% 16% 100% 60% 40% 80% 20% 銀行口座 調査回答者に占める割合 キャッシュカード 調査回答者に占める割合 銀行の顧客 サービスが悪い 52% 信頼できない 18% 3% 1% 不便 3% 使いにくい 変えたくない 23% 使い方が 分からない 調査回答者に占める割合 利用しない 利用する 78% 22% 80% 0% 20% 40% 60% 100% 調査回答者に占める割合

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

出所:Deloitte's Myanmar Consumer Survey

(13)

今後の展望

本レポートでは、

2016

年初旬にヤンゴンとマンダレーで実施した消費者調査の結果からハイライ トを紹介し、消費者の購買決定や購買行動を検討するとともに、急成長を遂げるミャンマー市場の トレンドについて概観した。 分析から得られた主なポイントは、以下の

4

点である。 第

1

に、楽観的な中間所得層の台頭に伴い、ミャンマーでは今後も消費財および小売市場の成長 に拍車がかかることが見込まれる。今回の調査では、こうした消費者の多くが製品の基本機能以 外の要素も重視するようになったことで、購買決定における価格の重要性が低下していることが明 らかとなった。こうした消費者層に対しては、高品質な製品と品揃えを確保するだけでなく、製品 やサービスを各地の嗜好に合わせてカスタマイズすることも必要である。民族的多様性に富んだ ミャンマー市場では、消費者の好みは独自の文化と民族に大きく左右される。 第

2

のポイントとして挙げられるのは、トラディショナルトレードからモダントレードへの必然的な移 行である。トラディショナルトレードは、立地や価格の優位性により市場における支配的な地位を 維持している。一方で、今回の調査からは、都市部、とりわけヤンゴンの消費者は、特に高額商品 を購入する際に、品質や顧客サービスの面で定評があるモダントレードを選択することが多くなっ ていることが明らかとなった。 第

3

のポイントは、捉えどころのない口コミというチャネルが、ミャンマーの消費者にとって最も影 響力を持っていることである。口コミ効果を得るためには、消費者の信頼を集めているインフルエ ンサーを対象とした、店頭

PR

活動やイベント、または特典を用意するなどの取り組みを検討する 必要がある。とはいえ、農村部や郊外を対象とする場合には、現在でも屋外用の広告板、ラジオ、 印刷媒体などの従来型メディアも重要なチャネルである。ソーシャルメディアは、現時点では黎明 期にあるものの、多くの新興企業がすでにその可能性に投資を始めている。デジタル化の動きに乗 り遅れたくない企業では、同様の取り組みが必要となるだろう。 最後のポイントは、ミャンマーの消費者市場は有望ではあるものの、いまだ数多くの課題を抱えて いることを十分に認識する必要があるということである。例えば、小売企業は慢性的なインフラ不 足を抱えるミャンマーで、コスト効率の高い流通網を構築するために、多大な努力を強いられてい る。また、ミャンマーでは現金経済が主流であり、金融機関の整備も不十分であることから、電子 決済の導入が今後の商取引上の課題となる可能性がある。 しかし、これらは克服できない課題ではない。ミャンマーで政治・経済改革が進み、それに伴い外 国投資が流入する中、状況は改善に向かうと見られる。この希望に満ちた国に秘められた巨大な 可能性を活かしたいと考える消費財メーカーや小売企業は、準備をしなければならない。新たな 成長の時代は、まだ始まったばかりなのである。

(14)

コンタクト

松尾 淳 パートナー/コンシューマービジネスリーダー

jmatsuo@tohmatsu.co.jp

高橋 俊成 シニアマネジャー/シンガポール駐在

ttakahashi@deloitte.com

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コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイトトーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。 Deloitte(デロイト)は、監査、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、リスクマネジメント、税務 およびこれらに関連するサービスを、さまざまな業種にわたる上場・非上場のクライアントに提供しています。 全世界150を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合化されたビジネスに 取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスを

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