熊本大学学術リポジトリ
一次設計された中低層鋼構造骨組の強度特性に関す る一考察
著者 小川, 厚治
雑誌名 部材の耐力劣化域を考慮に入れた鋼骨組の耐震安全 性評価基準に関する研究
ページ 43‑50
発行年 1996‑03 その他の言語のタイ
トル
イチジ セッケイ サレタ チュウテイソウ コウコウ ゾウ ホネグミ ノ キョウド トクセイ ニ カンスル イチ コウサツ
URL http://hdl.handle.net/2298/9690
一次設計きれた中低層鋼構造骨組の強度特性に関する-考察
ることによって、一次設計によって断面算定きれた鋼構 造骨組の一般的な強度特性について検討する。
2.考察対象骨組
考察対象骨組としては、無限均等スパン骨組を想定し た。スパン数の少ない骨組、特に1スパンの骨組では、
外柱は梁からの付加圧縮軸力を受ける風下側外柱の軸力 を考慮して断面算定されるが、風上側外柱は梁からの付 加引張軸力によって軸力が減少するので、許容応力度に よって断面算定がなされる場合には、柱はここで示す検 討結果より大きな曲げ強度をもつことになる。
構成部材は柱と梁とし、接合部パネルは無視した。な お、接合部パネルと柱の強度比については既に文献5)に おいて検討が行われている。梁はH形鋼とし、Fの値は BF=2.4~3.3tf7cm2とした。柱は冷問ロール成形角形鋼 管とし、BCR295を想定して、Fの値はcF=3.Otf7cm2と
した。BCR材を想定したのは、現状で一般的に用いられ ているSTKR材を想定すれば降伏応力度がFの値に比べ 序
1.
耐震設計上最適な骨組構造物の終局強度分布1,2)や、
変形性能と耐震設計上要求きれる必要保有水平耐力と の関係3,4)に関しては、既に多くの研究がある。しか
し、既に良く知られているように、中低層の鋼構造骨 組では二次設計が断面算定の主要な条件となることは 稀で、一次設計における変形制限や許容応力度によっ て断面が決定きれいるのが普通であろう。
一次設計によって断面決定が為された骨組は、当然 二次設計における骨組全体としての必要保有水平耐力 には少なくとも幾分かの余力があることは期待でき る。その一方で、他の要因から断面決定が行われてい るがゆえに、各層、各部材の終局強度分布は適正なも のから外れて部分的に大きな余力をもつ可能性があ り、これが大地震時の局所的な損傷集中の原因になる ことが危1倶される。
この報告では、考察対象とする骨組を極力単純化す
-43‐
層数Nは4,8,12の3種とし、骨組寸法は、各層の階高 hiをすべて一定値hとして、次の2種を設定した。
階高:ハー3m、スパン:!=6m 階高:ハー4m、スパン:ノー12m
骨組重量はw=800kg/m2で床上に一様に分布するもの とし、1つの構面の支配幅Lは6mと12mの2種とした。
3.-次設計の方法
一次設計の条件は以下のように設定した。
[1]荷重条件は鉛直荷重時と地震荷重時の2つとする。一 次設計用のi層の1本の柱の地震層せん断力Qiは次式と
した。
Q=CoR,Aj(jv+1-j)w (4)
ここでWは1つの層の柱1本当たりの重量である。すな わち、
W=WJL
(5)cb,R,,Aiはセンター指針`)による標準せん断力係数、
振動特性係数、層せん断力分布係数であり、C・は0.2 とし、R`は第二種地盤を想定して算定した。骨組の基
本固有周期Tは次式としている。
T=0.03N〃
(6)また、地震荷重時の鉛直荷重は鉛直荷重時と同じとし ている。
[2]最大応力度oが許容応力度′以下であること。ただ し、地震荷重時許容応力度はFの値と等しいとし、鉛 直荷重時許容応力度ほFの値の2/3とした。
[3]地震荷重時の層間変形角が1/200以下であること。
通常の一次設計は、断面の仮定に始まり、上記の条件 を満たすように試行錯誤的に断面を修正しながら、全鋼 材量の最小化や部材強度分布の適正化なども考慮して、
断面を決定するものになる。ここでは、梁降伏型の設計 の優位`性が既に一般的に認識されていることを前提とし て、許容応力度に関する前記[2]の設計条件で梁断面を決 定し、柱は許容応力度に対して余裕を持たせながら層間 変形角に関する前記[3]の設計条件を満たすように断面を 決定することを原則とした。
図1~3は〈実務的に試設計された骨組8)の設計結果を 示したものである。図示した例は、ARと呼ばれている 均等6,,4スパンの骨組で、図1は12層、図2は8層、図3
は4層であり、(a)図は各部材の最大応力度oと許容応力 度′との比を、(b)図は層間変形角0を示している。図 1~3によると、層間変形角や梁の最大応力度は設計条件 に近い厳しい値を取っているのに対して、柱の最大応力 度は許容応力度に対してかなり余裕があり、ここで設定 した設計原則が非現実的ではないことを例示している。
本論における設計手順は次の通りである。
[1]1本の柱が受け持つ床重量のうち次式の荷重Vが梁中 央に集中するものとし、残りは直交梁などを介して直 て極端に大きいために、その差異が梁柱強度比に支配的
影響をもつからである。保有水平耐力算定用の鋼材の降
伏応力度9はFの値の1.1倍とした`)。
。y=1.1F
(1)断面の幅厚比は表1に示す2種類の組合せとし、梁せ いと幅の比は2.5とした。同表中のランクの欄には、セ ンター指針6)、鋼構造限界状態設計規準案7)、建築耐震 設計における保有耐力と変形性能3)の3つによる部材種別 を示している。ただし、センター指針による柱の区分は SM490に準じ、梁の区分はFの値が2.4tf7Cm2と3.3tf7Cm2 との2つの場合について示している。caseCは幅厚比の小 さい断面を、caseTは幅厚比が比較的大きい断面を想定 したものである。
表1部材断面の幅厚比 幅厚比|ランク幅厚比
D/『F=30WcmBノ2F(D-2r)/wF=24Wcm2F=33tf/cm
case 20FAPII650FAPIIFAPII
case 30FBPmm960FAPIIIFCpⅣⅡI
pr
FDョ
TllDll上本研究では上記のように幅厚比はそれぞれの骨組につ いて一定値としている。柱の断面性能は、幅厚比を
7,=D/rとして次式で表される。
断面積:6A=4(7,-1)t2
断面係数:。z=書(''2-3『,)`ヨ(2) 塑性断面係数:凸=こい2-2,`)', 断面2次モーメント:c'=署(ァ,3-3'’2)針
同様に、梁の断面係数βZ、塑性断面係数BZj,、断面2次
モーメント8Jは次式で表される。BZ=[(2γr7-1)24(γ〃-1)4]/3 γ +3γ〃7W
作2[w昨D坐iニエ]`J(3)
,H"(2Ⅳ、2些誓fi二12]'`
ここで、
〃 一一
B万D γ ll DlB
恥
-44-
柱 幅厚比 ランク
D/’ F=3.0㎡/c、 2
幅E Z比 賞
B/2F (、-21)/w
Pnp」
、
ランク
F=2.4tf/c、 2 F=3.3tf/c、 2
caseC 20 FA,P1,1 6 50 FA,P1,1 FA,P1,1
caseT 30 FB,P、,、 9 60 FA,P11,1 FC,PⅣ,ⅡI
c戸¥
Story
(8)
1
Ni=(Ⅳ+1-j)W[2]各部材の最大応力度が丁度許容応力度になるように 断面を算定する。ただし、梁のFの値はここではZ4tf7 cm2とし、断面算定は次式によった。
Bi=′BZj
(9)
ここで、Bziはj層の梁の断面係数である。また、柱の
断面算定には次式を用いた。
Ni/cAi+Ci/cZi='(10)
ここで、cAi,cZjはj層の柱の断面積および断面係数
である。本研究では、各骨組について部材幅厚比は一 定値としているので、柱の断面性能は(2),(8),(10)式か
ら、梁の断面性能は(3),(8),(9)式から算定できる。
[3]上記[2]で算定した断面を用いて、層間変形角eを求 める。ただし、j層の層間変形角Oiの算定には次の略 算式,)を用いた。
‐般層:α薑,鈴,,w(⑬lM`叩胸’
BIi-,+BIi最下層:@F,鍔(鈴芸烏
(11)[4]上記[3]で求めた層間変形角0が1/ZOOより大きい場合 には、層間変形角eが1/200となるように柱の断面を修 正する。この修正を行うと、柱は許容応力度に対して 余力をもつことになる。最下層については柱脚固定の 影響で他の層に比べて居間変形角が小きくなるが、こ こでの断面修正の結果最下層の柱が第2層より小さくな る場合には、最下層の柱は第2層の柱と同一断面とす る。
[5]上記[3]で求めた層間変形角eが1/200未満の場合に は、この層の下側の梁(i-1層の梁)のFの値を大き くして全鋼材量の減少を計る。このFの値は、(9)式の 最大応力度に関する条件と(11)式の層間変形角に関す る条件を同時に満足する最適値として算定するが、そ の最適値がa3tf7Cm2より大きい場合にはFの値は3.3tf/
cm2として、(9)式より梁の断面算定を行う。したがっ て、梁のFの値として3.3WCm2を与えた層では層間変 形角制限には余裕がある。
4.骨組の強度特性
ここでは、次式で示すQ"iを層の層せん断力の基準と
なる値として、骨組の相対的な強度を考える。すなわ ち、
Q"ノー尺,AiUV+1-i)W (12)
(12)式の地震荷重を比例載荷したときの崩壊荷重係数
DJを表Zに示す。Dsの記号を用いているように、この
5
10【 10【
0 )_20-406〔
(a)応力度 (b)層間変形角 図1AR-12(12層)
Story Story
7531
0 05 lU【
、-204060.8
(a)応力度 (b)層間変形角 図ZAR-O8(8層)
Story Story
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lllel 3 3
01
1 120-40.60.11 0002-0.005
(a)応力度 (b)層間変形角 図3AR-O4(4層)
接柱梁節点に作用すると仮定した。
v=wノmin(LL)
2
(7)したがって、鉛直荷重による曲げモーメント分布は図
/、
4(a)のようにな})、水平荷重を受ける時の柱の曲げ モーメント反曲点位置を部材中央と仮定すると、水平 荷重によるi層の曲げモーメント分布は図4(b)のように なる。すなわち、地震荷重時のj層の梁端曲げモーメ
ントBiおよび柱端曲げモーメントcハ軸力Niは次式
となる。
Bi=Qih'十Qi+ハ1十号 4
Vノ
Qihi+Qi+’ハj+’iii二丘il1ゴーil
(a)鉛直荷重図4 曲げモーメント分布
-45‐
Storv
0.002
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OOO 1
9 7 5 3
1
T).40.60.81.0.002
▼0.0 020Hz40.60.81.
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雨
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〃、ロ
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次式で表される。
"i≦0.5のとき
oiM,=('一二町2)c丹cC,
"j>0.5のとき、
。炸書(1-"i)c丹c弓
ただし、〃ノーNi/cAicっy
表2崩壊荷重係数
caseCcaseTcaseCcaseT mmO4153033410341503254 6m05334046040401803678 1203364031840285802855 6m0413(4)0387(4)0323(8)0314(5)
(14.a)
(14b)
値は二次設計に用いられる構造特性係数に相当する値で ある。表2によると、層数Nが少ないほど、支配幅Lが 短い程、部材の断面幅厚比が小さい程、部材長Jおよび hが長い程、変形角制限が厳しい条件となり、その結
果、崩壊荷重係数DJが大きくなることがわかる。崩壊 荷重係数DJの値は最小でも4層骨組では0.318,8層骨組
では0.285,12層骨組では0.276であり、概ね03程度以上 の値を取っており、必要保有耐力確保のための二次設計 で部材断面を決定することが稀なことを示している。
この崩壊荷重係数に対応する崩壊機構はすべて最下層 を含む機構であったので、機構を形成した最も上層の層 番号を表Z中の括弧内に示している。この括弧内の数字 が層数Nに等しい場合は全層にわたる組合せ機構が形 成されたことを表すが、大半の骨組はそのような結果に なっており、梁が降伏しやすい傾向が現われている。一 方、この骨組中では1例だけ、すなわち、スパン長ノ、
支配幅L共に12mで幅厚比の大きい断面を用いた4層骨 組のみが最下層で層崩壊機構を形成している。ただし、
その崩壊荷重係数DJは0.334で必ずしも小さくない。
鉛直荷重を載荷した状態で、(12)式による値を基準と する比例水平荷重を載荷した時、各部材の両端(一部の 梁材については風下側材端と中央の2箇所)に塑性ヒン ジが形成されるときの荷重係数を、その部材についての
強度係数IDsと定義する。ただし、各部材のIDsの算定 に当たっては他の部材は弾性とし、柱の反曲点は部材中 央にあると仮定している。各種の崩壊機構に対応する崩 壊荷重係数は、その機構において塑性ヒンジを想定する 部材の強度係数JDSの平均値的な値となる。
i層の梁の塑性モーメントをBiMpとすると、その強
度係数Bpsは、中間荷重の大きさによってヒンジ形成 位置が変化することを考慮して次式で表される。
β,M,三等のとき
ZBiMp=BiDsQMJihけQ灘i+’ハi+’ 2
(13.a)帽の柱の強度係数cjDsは次式となる。
ZcjMp=cjDsQmhj (15)
以上のようにして求めた各部材の強度係数を図5に示 す。図中、o印は梁の強度係数であり、園および圃印は 柱の強度係数であって、国印は層間変形角制限によって 断面が決定されている柱であり、圃印は許容応力度に よって断面が決定された柱である。
図5によると、梁の強度係数BjDsは、すべての骨組に ついて類似しており、下層にいくにしたがって減少する 傾向がある。終局状態で部材中央に塑性ヒンジが形成さ れることが予想される最上層近傍の一部の梁材を除く と、梁の強度係数BiDsは(13.a)式から次のように表され
る。
4BjMp
BjDs=gMij+QⅨj+,ハノ+,
‐q鍔川(…MMW1 V〃8
(16)
上式から明らかなように、図4に示した鉛直荷重による 曲げモーメントW/8と水平荷重による曲げモーメント (Qihi+Qj+'恥+')/4の比に梁の強度係数BiDsは依存 し、水平荷重による曲げモーメントが大きくなる下層部 ではBiDsは小さくなってその下限値は次の値となる。
芸鶚薑川
BjDs-今Co (17)
(16)式からも分かるように、梁強度係数BiDsに及ぼす
支配幅Lの影響は小さく、梁断面幅厚比の影響も形状係 数のみで小きい。梁スパン長Jが長くなると、鉛直荷重 による曲げモーメントが増大する結果、梁強度係数 BjDsはわずかに増大する傾向がある。
図5では、相対的に弱い下層部の梁材については梁強 度係数BjDsは概ね一定値となっており、特定層の梁が 他の梁に比べて極端に弱くなってその梁に損傷が集中す るような現象'0)は予測し難い。図5(rMt),(v),(x)に示す梁 スパン長ノが12mの4層骨組では、第2層に比べ最下層の 梁強度係数BjDsは6.5%程度低下しているが、隣接層で 梁強度係数BjDSの変化が大きい場合には、(17)式による 下限値に比べ梁強度係数BiDsはかなり大きくなる。
β,M,<等のとき
4圃附号臺,の`1MHaMj十!('3b) 2
j層の柱の塑性モーメントciMpは軸力比"iに応じて
-46‐
ノ L Ⅳ=4
caseC caseT
/V=8 caseC caseT
1V=12 caseC caseT 12m 12m
6m
0.415(3) 0.533(4
0.334(1) 0.460(4)
0.341(5)
0.401(8)
0.325(4) 0367(8)
0.325(6〕
0.369(12) 0.322(6)
0.347(11 6m 12m
6m
0.336(4) 0.413(4)
0.318(4) 0.387(4)
0.285(8) 0.323(8)
0.285(5) 0.314(5)
0.276(12)
0.299(12)
0.277(9)
0.295(6)
Story Story Story
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11
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(a)cascC,1V=12,1=6m,Z=6m(b)caseC,1V=12,ノー12m,Z声6m(c)caseT,Ⅳ=12,J=6m,L=6m(。)caseT,ノV=12,ノー12m,Z=6m
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Story
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97531 97531
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(e)caseC,Ⅳ=12,ノー6m,L=12m(f)caseC,Ⅳ=12,J=12m,L=12m(9)caseT,Ⅳ=12,J=6m,Z=12m(h)caseT,Ⅳ=12,1=12m,L=12m
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図5各部材の強度係数
-47‐
Storv
-10
0.20.6
~、40.60.1 9 7 5 3
1 0.20.4
 ̄0.60.
02が40.60.81.
1 9 7 5 3
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1 9 7 5 3
1 0.2で、40.60
0.2U、40.6U、
(i)
0.20.本0.6081.0
case C,ノV=8,ノー6,,1=6m
0)9塁.c腱8,仁fRh,L=:盆 U・zU、4U、6U、
7 5 3 1
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Ds柱強度係数ciDsは、帽が単独で層崩壊機構を形成す
ると仮定したときの崩壊荷重係数に相当する値である。
図5によると、柱強度係数ciDsも、全体的には下層にい
くにしたがって減少する傾向が認められる。これは大部 分の柱が層間変形角制限によって柱断面が決定されてい るためで、上層ほど梁のせいが小さくなり梁の弾性限回 転角が大きくなって、柱に許容される変形がJ、きくなる ためである。
図5中に■印で示した柱は、層間変形角制限ではなく 許容応力度によって断面が決定している。これらの柱に ついては前記とは逆に下層ほど柱強度係数が増大する傾 向が認められる。許容応力度によって断面が決定された 柱の強度係数ciDsは次式で表きれる。
〃i≦0.5のとき、
。p鈩旦昊砦可
(18.a) ̄q鶉奪:
Story
L=6m
ocaseC,!=6m
◇caseC,ノー12m
△caseT,!=6m pcaseT,!=12m L=12m
ocaseC,!=6m
・caseC,!=l2m
AcaseT,!=6m 5回caseT,に12m19753
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(a)Ⅳ=12
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(b)Ⅳ=80.10.20.3
(c)Ⅳ=4図7柱の軸力比
る。したがって、柱強度係数ciDs、すなわち、層崩壊
機構の荷重係数の最小値は032程度となる。
図6の結果からも分かるように、許容応力度によって 断面が決定された場合には柱の強度係数ciDsは概ね一 定した値となり、図5においても国印で示した柱強度係
数cjDsは緩やかに変化している。一方、層間変形角制
限によって断面が決定されている国印で示した柱の強度
係数ciDsは隣接する層の間でもかなり変化しており、
特に4層骨組の最下層の層の柱強度係数c1Dsが第2層の 柱強度係数c2DJに比べて小さくなっているのは、損傷
集中を起こす大きな要因として注目きれる。柱の断面が 層間変形角制限によって決定きれる場合には、最下層は 柱脚固定の影響で層間変形角はかなり小さくなるので、
これらの最下層の柱の多くは第2層と同じ断面が用いら れている。2つの層に同じ断面を用いた場合、最下層と
第2層の柱強度係数の比は、最下層の柱軸力比",を用い
て次式で表される。
’一二"l1
clDS-A2(Ⅳ-1)ん2
- ̄AwA11-会["』(鍔-1)]'(',)
c2DJ図8は上式による最下層と第2層の柱強度係数の比を示し たものである。図8から分かるように、この強度係数の
比clDs/c2DSは層数が多いほど、最下層の軸力比が小
さいほど'に近づく傾向はあるが、最下層と第2層の柱を 同じ断面とすると、4層骨組では最下層の軸力比",が0,
であっても最下層の柱強度係数は第2層より14%程度小 さくなり、12層骨組でも最下層の軸力比〃,が。.4であれ
"i>0.5のとき、
、〃恥
MnlJ
4-31 く一
門一叔 凸一P
G(18.b)
CiDs
図6は上式による柱強度係数ciDsと軸力比"jの関係を 示したものである。軸力比"iが大きいほど柱強度比 ciDsは大きくなる傾向があり、その結果、■印で示し た柱強度係数ciDsは下層程大きくなっている。
MmM旧皿皿0 0
0.30.40.50.60.70.8
軸力比-柱強度比関係00.10.2
図6図7はここで示した骨組の各柱の軸力比"iを示してい る。柱の軸力比"iは0.04~0.45程度の範囲にあり、図6に よればこのとき柱強度係数cjDsは0.27~0.37程度の範囲
で緩やかに変化している。
図7中、大きな○で囲んだ柱は許容応力度によって断 面が決定した柱であるが、これらの柱の軸力比"iの最小 値は0.23であり、このとき柱強度係数ciDsは0.32とな
-48‐
・----句一一一一一F----句一一一一一F----可一一一一一「----可一一一一一
0100
10・----ヨーーーーート----コ-----トーーーーゴー----トーーーーペー----
0
1〃
I
l±頂部節点を除いて0.8程度以下に収まっている。この結 果は、設計条件として梁柱強度比に0.8程度の上限値を設 定することが、設計上の厳しい制約条件とはならないこ とを示唆するものである。一方、ここでは、暗黙のうち に梁降伏型骨組が実現することを狙って、梁は最大応力 度と許容応力度が一致するように断面算定を行い、柱は 許容応力度に対して余裕を持たせながら層間変形角制限 を満たすように断面を算定することを原則としている。
図5(x)に團印で示しているように、4層のスパン長J、支 配幅L共に12mで、幅厚比の大きい断面を用いた骨組の 柱はすべて許容応力度に対しては幾分かの余裕があるよ
うに設計されている。しかし、図,(c)によると、この骨 組の梁柱強度比βjはすべての層で1以上となっている。
梁柱強度比を一定値以下に収めるには、特にスパン長が 長い骨組についてより明確に設計条件を設定することが 必要である。
5.結論
ここでは、梁は最大応力度と許容応力度が一致するよ うに断面算定を行い、柱は許容応力度に対して余裕を持 たせながら層間変形角制限を満たすように断面を算定す ることを設計原則として、種々の骨組の一次設計を行 い、二次設計用地震荷重を比例載荷したときの塑性ヒン ジ形成時荷重係数として定義した強度係数を用いて、こ れらの骨組の強度特性について考察した。その結果を要 約すると以下のようになる。
(1)ここで設計した骨組の保有水平耐力を構造特性係数 に相当する値に変換すると、その最小値は0.276であ り、大部分は0.3以上となっている。したがって、構造 特性係数として0.3以下の値を用いて二次設計するので あれば、二次設計によって断面修正が必要となる可能 性は究めて小さい。
(2)許容応力度によって設計された梁は、終局状態では 下の層程相対的に弱くなる性質があるが、下層部にお けるはりの強度係数は0.25に漸近するように緩やかに 変化し、許容応力度設計によって特定層の梁のみが極 端に弱くなるような現象は予測し難い。
(3)ここでの設計原則にしたがって層間変形角制限から 断面が決定した柱は、下層部ほど相対的に弱くなる傾 向がある。一方、許容応力度によって設計された柱 は、逆に下層部ほど相対的に強くなる性質があるが、
その変化は非常に緩やかである。
(4)最大応力度が許容応力度に一致するように設計され た柱の強度係数は最小でも0.32程度であり、この値が 層崩壊機構を形成するときの崩壊荷重係数の下限値と
予測される。
(5)層間変形角制限を満たすように柱が設計される場合 には、柱脚固定の影響で最下層の必要断面は第2層より 小さくなることが多い。このとき、最下層の柱は第2層
1.0 CC
DDlfii=i二にril襄二 |||"FOタ
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0.8
0.6
0.4 24681012
図8第1層と第2層の柱強度係数の比
ば最下層の柱強度係数は第2層より6%程度小さくなる。
ここでは階高はすべて一定力,=ん2としているが、最下 層の階高が他の層に比べて高い骨組の方がむしろ普通で あろう。このような骨組では、(19)式に示すように最下 層と第2層の柱強度係数の比は更に小さくなる。した がって、最下層と第2層の柱を同じ断面とすることは、
損傷集中の大きな要因となる可能性が高い。
j層の梁柱強度比βiを、j層の柱の柱頭節点における
梁強度和と柱強度和の比として次式で定義する。
ZBiMp
,,M,三等のとき、βi=。,M,+c吟防
4,,M,一号
‘,M,<等のとき、β,=洲+川M,(20)
上式で定義した梁柱強度比βiを図9に示す。図9による と、図中に■印で示したスパン長ノ、支配幅L共に12m で、幅厚比の比較的大きい断面を用いた骨組の梁柱強度
比βiが大きくなっているが、他の骨組の梁柱強度比β』
Story
19753
10206 ̄1.C
(b)Ⅳ=8
L=6m
ocaseC,【=6m
◇caseC,ノー12m
△caseT,!=6m
pcaseT,!=l2mL=12m
④caseC,J=6m
◆caseC,/=12m
▲caseT,l=6m
■caseT,【=12m 0.20.61.0141.8
(a)Ⅳ=12 Story
3 1 TlWW1T区
0.20.61.01.41.8
(C)Ⅳ=4
図9梁柱強度比
-49‐
Story
0.乞汀6
百一-1.01.4
一一一一一・J
一一一一一一一一|■■■■● 一一一一一』』■■
と同じ断面として設計しても、最下層の柱の強度係数 は第2層と比べてかなり弱くなり、これが損傷集中の大 きな要因となる可能性がある。
(6)梁柱強度比は、頂部節点を除くと、大部分0.8程度以 下となるが、ここでの設計原則にしたがっても、スパ
ン長の長い骨組では1を超える場合が生じる。
以上、ここでの検討は、部材の断面性能は連続量とし て扱い、設定した条件を丁度満たす任意の断面が存在す ることを前提としている。実施設計された骨組の強度特 性については、ここで挙げた以外に、断面選択の自由度 や、施工の簡略化を目的とした部材寸法の画一化3)、鋼 材の降伏応力度のばらつき'1)等についても考慮が必要で ある。
参考文献
1)加藤勉、秋山宏、大井厳一:強震による損傷を一定にする最適降伏 せん断力係数分布について(中低層鋼構造骨組を対象として)、日
本建築学会大会学術鱒漬梗概集、1976.10、pp647-6482)小川厚治:鋼栂造骨組栂成部材の適正強度分布に関する研究(その 1動的崩壊機栂特性とエネルギー吸収能力)、日本建築学会論文
報告集、1983.1、pp、13-223)日本建築学会:建築耐震股叶における保有耐力と変形性能(1990)、
pp261-214
4)井上_朗:塑性歪履歴を受ける鋼栂造部材の耐鰹性能判定に関する
-考察、撫造工学輪文集、VoL41B、1995.3、pp,621-629