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図 2. 社会人基礎力の3つの能力

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Academic year: 2021

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築 山 泰 典

1)

神 野 賢 治

1)

田 中 忠 道

1)

(2)

経済産業省は、 団塊世代者の定年退職による産 業人材の減少による2007年問題を背景とし、 若手 人材の確保・育成を重要な課題と捉え、 2005年7 月に 「社会人基礎力に関する研究会」 を設置し 1)。 この会で協議された主たる対象者は、 「大 学進学率が5割に達する状況であること」 より大 学生とされる。 その後、 この研究会は8回の会合 が持たれ、 2006年1月には 「社会人基礎力に関す る研究会」 中間取りまとめ2) が報告された。 こ の中で、 「職場や地域社会で活躍する上で必要と なる能力」 は、 「基礎学力」 と 「専門的知識」 と に関連付けた 「社会人基礎力」 によって示された (図 1 )。 そして、 この社会人基礎力の能力要素 として 「前に踏み出す力 (アクション)」、 「考え 抜く力 (シンキング)」、 「チームで働く力 (チー ムワーク)」 の3分類を示し (図 2 )、 それぞれ 下位項目として3項目 (主体性・働きかけ力・実 行力)、 3項目 (課題発見力・計画力・創造力)、

6項目 (発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・

規律性・ストレスコントロール力) を挙げている (表 1)。 これら社会人基礎力の育成が、 大学教 育に求められる今日的課題であると言えよう。

野外教育分野では、 青少年に対する多様な教育 的アプローチがなされており、 大学生を対象とし た研究報告もみられる。 社会人基礎力は、 新しい 概念であるため、 まだ直接的に測定された研究報 告はないが、 先に述べた下位項目に関連性を見出 すことが出来る。 例えば、 主体性 実行力 に関連があると思われるものに 自己概念 があ り、 その変化を捉えた 「大学キャンプ実習が参加 者に及ぼす効果」 に関する研究においては、 キャ ンプ経験後に自己概念の向上を認めたとして、 川 村ら3)、 影山ら4)、 遠藤ら5)、 が報告している。

また築山ら6)の研究では、 自己概念の向上がセル フエフィカシーの向上につながり、 結果として性 格傾向のうち 「抑うつ傾向の低下」、 「客観性の向 上」、 「思考的外交性の向上」 を変化させるとの報 告もあり、 このことは社会人基礎力に示される

「チームワーク」 とに関連性があるものと推測さ れる。 また、 キャンプの持つ矯正作用を検討する

― 14 ―

図 1. 職場や地域社会で活躍する上で 必要となる能力について

図 2. 社会人基礎力の3つの能力

表 1. 社会人基礎力の能力要素

(3)

ものとしては、 タイプA・B特性に対する検討と して遠藤ら7) の研究もあり、 ここではタイプB をタイプA方向へ、 すなわち、 「無気力傾向の学 生」 が、 「短時間にできるだけ多くのことを成し 遂げようとする努力を絶え間なく、 必要とあれば 他人に対抗してでもむきになって、 続ける人に見 られる行動と感情の集合体」 の方向に変化すると の行動変容を示す結果を示しており、 「主体性」、

「発信力」 などの項目との関連も考えられる。

一般的に、 キャンプ活動はそこでの生活活動全 てが、 日常生活とは全く異なる非日常的空間での 生活であることから、 その生活に適応すること自 体を 「ストレスへの適応」 と解釈することも出来 8)。 その点で、 ストレス現象に対して対象者を 小中学生としているが、 ラザルスらの心理的スト レス理論を用いた西田ら9) の研究において、 キャ ンプ経験に非好意的な認知評価を持つ児童の感情 に変化を及ぼす影響を示した上で、 「ストレス反 応の効果に、 認知的評価が影響を及ぼしている可 能性」 を示唆している。 また、 特にソーシャルサ ポートそしてストレス対処行動 (コーピング) に 着目した中川ら10) の研究では、 キャンプ中の活 動における様々な成功体験がポジティブなストレ ス対処行動につながることを示している。 このこ とは、 社会人基礎力におけるチームワークの下位 項目として示されている 「ストレスコントロール 力」 に関連性を見出すものである。

この 「社会人基礎力」 といった表現で大学教育 に求められる状況と、 過去の小・中学校における

「生きる力」 育成の必要性が高まった状況とに、

対象者の年齢は異なるものの、 それぞれの発育段 階に応じた社会技能 (ソーシャル・スキル) を求 めている点では、 類似性を感じる。 具体的には 1996年、 第15期中央教育審議会第一次答申 「21世 紀を展望した我が国の教育の在り方」 により、

「ゆとり教育」 と 「生きる力」 をはぐくむことの 重要性が示され、 その具体的手法として生活体験・

自然体験・社会体験などの体験学習の必要性が挙 げられたことである。 その後、 学力低下の問題な どから、 2007年11月の中央教育審議会 初等中等

教育分科会教育課程部会発行の 「教育課程部会に おけるこれまでの審議のまとめ」 によると、 授業 時間の確保による学力向上を目的とし、 ゆとり教 育の見直しを図る一方で、 「生きる力」 について は、 その理念の共有化を盛り込み、 現状より積極 的展開が示されている11)

野外教育の分野において、 橘ら12) は、 自然体 験事業の評価を目的としながら、 「生きる力」 の 構成概念を明らかにするために 「生きる力を構成 する指標」 を示し、 その後 「IKR評定用紙」 を 作成し、 長期自然体験活動が子どもの生きる力向 上に有効であるとした13)

以上の観点より、 野外教育分野で過去の研究で 用いられてきた研究手法を用い、 「社会人基礎力」

を形成する内容・項目を包括的に捉え、 キャンプ 経験が社会人基礎力に及ぼす影響を測定すること は今日的大学教育課題としての社会人基礎力育成 に対する具体策の一手法であると考え、 本研究の 主たる目的とする。

2.1. 被験者

2006年8月28日〜31日及び同年9月4日〜7日 に、 前・後段と二期に分けて3年次生を対象に実 施された、 福岡大学スポーツ科学部キャンプ実習 に参加した学生189名 (男性136名、 女性53名) で ある。 尚、 実施プログラムは、 前・後段と同様の ものである。

2.2. キャンプの概要

本キャンプ実習は、 大分県玖珠郡九重町のやま なみ荘キャンプ場で3泊4日の日程で実施され、

目的として1)野外での生活体験を通じて共同の 精神を養う、 2)キャンプにおける必要な技術を 習得する、 3)自然への理解を深める、 4)野外教 育の指導者に必要な資質を向上すること、 の4点 を挙げている。 また、 宿泊は全てテント泊であり、

食事も全て自炊により実施した。

班編成については、 クラブ活動や所属ゼミが異

(4)

なる者で1班8〜9名の男女混合とし、 前段11班、

後段12班の構成とした。 キャンプの運営指導に関 しては、 前段7名、 後段9名の福岡大学スポーツ 科学部教員があたり、 うち3名は両段ともに関わ り2つのキャンプ運営・活動が同様に実施される よう配慮した。 組織キャンプにおいては、 各班に 担当のキャンプカウンセラーを配置することが一 般的であるが、 指導者養成の観点からも、 各班の 班長にその役割を任せる形式とした。 また、 班長 以外にも班員全員に何らかの役割を持たせる運営 形式を採った。

キャンププログラムは、 初日にロープワーク等 の講習を経て、 テント設営やカマド作り等のサイ ト設営を行い、 2日目にグループの機能性を高め るプログラムとして班で冒険的な要素を含む課題 を解決していくイニシアティブゲームを実施、 そ の後読図、 コンパスワークの講習を開催した。 3 日目にはメインプログラムとして設定した沢登り とスタンツ発表を含むキャンプファイヤーを行っ た。 最終日は、 撤収作業の後、 30分程度の1人で 過ごす 「ソロの時間」 を設定し、 個人としてのふ りかえりの時とした。 また、 毎夜には班別ミーティ

ングとして班長を中心に各班でふりかえり活動を 実施した (表 2 )。

2.3. 検査及び手続き

2.3.1. 自己評価による社会人基礎力

社会人基礎力によって示される12項目に対して

「自分に力がある (自信がある)」 と考える場合は

を、 「普通」 と考える場合は 空欄のまま に、 そして 「自分に力がない (自信がない)」 と 考える場合は × を記入させる3件法でキャン プ実施前に自己評価させた。

2.3.2. コーピング検査

ストレスコントロール力を捉えるために、 神村 ら が 開 発 し た14) 24 ( 24) を用いた。 これは、 ストレス対処行 動としての個人のコーピングスタイルを 「問題焦 点あるいは情動焦点」、 「関与あるいは回避」、 「認 知系機能あるいは行動系機能」 という3次元から、

1)情報収集 2)計画立案 3)カタルシス 4)肯定 的解釈 5)責任転嫁 6)放棄・諦め 7)気晴らし 8)回避的思考の8象限で捉えることが出来る24 項目からなる質問紙である。 これら、 項目に対し て 「1:そのようにした (考えた) ことはこれま でない」 から 「5:いつもそのようにしてきた (考えてきた)」 の5件法で回答するものである。

1つの象限は3項目の合計点で評価することから、

3−15点の範囲で示されることになる。

2.3.3. 生きる力検査

キャンプが社会技能 (ソーシャル・スキル) 向 上に及ぼす影響を測定する尺度として、 橘らによっ て開発された 「 ( ) 評定尺度」

を使用した。 この調査用紙は、 小・中学生用に開 発された質問紙であるため、 合計点である生きる 力得点は用いず、 指標による比較検討を行うこと を目的とし使用することを、 先に述べておきたい。

この質問紙は、 1)非依存 2)積極性 3)明朗性 4)交友・協調 5)現実肯定 6)視野・判断 7)適 応行動 8)自己規制 9)自然への関心 10)真面目

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表−2. キャンププログラム概要

(5)

勤勉 11)思いやり 12)日常的行動 13)身体的耐性 14)野外生活・技能の14指標を示すことが出来る 70項目からなる質問紙である。 それぞれの項目に 対し 「6:とてもよくあてはまる」 から 「1:まっ たくあてはまらない」 までの6件法で回答するも のである。 それぞれの指標は5項目の合計点で評 価することから、 5−30点の範囲で示されること となる。

2.3.4. 自己成長性検査

自己概念を測定する尺度としては、 一般的に用 いられることが多い、 「自己成長性検査」 を用い る。 この作者でもある梶田15)16) によれば、 自己成 長とは、 「自己形成ないし自己実現に関する態度 や意欲」 に関する自己意識としている。 この尺度 は31項目からなり、 それぞれの項目に対し、 「5:

非常にあてはまる」 から 「1:全くあてはまらな い」 の5件法で回答するものである。 また、 この 尺度は、 Ⅰ 達成動機 (8項目) Ⅱ 努力主義(9 項目) Ⅲ 自信と自己受容 (8項目) Ⅳ 他者の まなざしの意識 (8項目) の4軸 (因子) から構 成され、 各軸に重複する項目もあるため4軸に示 した数の和は33項目となる。 この時、 1項目につ いては重複項目である上、 一方は逆転項目として 計算する必要があるため、 合計点はこの4因子の 点数を合計して算出し、 31点から161点の範囲と なる。

2.3.5. 検査の手続き

キャンプ前 ( ) の調査は、 8月上旬に実 施した事前ガイダンス時に集団調査法にて実施し た。 また、 キャンプ後 ( ) に関しては、 キャ ンプ実習最終日の閉校式前に集団調査法にて実施 した。 尚、 自己評価による社会人基礎力調査は、

キャンプ前 ( ) のみの実施し、 他の検査尺 度はキャンプ前後に調査を実施した。

2.3.6. 統計処理

得られたデータはエス・ピー・エス・エス社の 10 0 を用いて、 対応のある平

均値の差の検定及び対応のない平均値の検定 (共 に 検定) を行った。 尚、 統計的有意水準は5%

を用いた。

3.1. 回収率

キャンプ参加者189名に対し調査を行ったが、

1)事前のガイダンスに参加せずに調査できなかっ た者、 2)回答内容に欠落する項目が多かった者 など、 存在したため回収率は75 7% (143名;男 性:101名, 女性:42名) であった。

3.2. 自己評価による社会人基礎力

キャンプ実施前に、 経済産業省が示した社会人 基礎力12項目に対して 「自分に力がある (自信が ある)」 と答えた者の割合と、 「自分に力がない (自信がない)」 と答えた者の割合を示した (図 3)。 この時、 「ある」 との回答割合が60%以上を 示す高い項目は、 「規律性 (79 7%)」、 「傾聴力 (74 8%)」、「柔軟性 (65 7%)」、「主体性 (61 5%)」、

「情況把握力 (60 8%)」 の5項目であった。 また、

「ない」 との回答割合は、 全体的に低い結果であっ たが、 20%以上を示した項目は、 「発信力 (35 0

%)」、 「創造力 (34 3%)」、 「働きかけ力 (32 2%)」、

「ストレスコントロール力 (26 6%)」、 「計画力 (22 4%)」 の5項目であった。

また、 12項目のうち 「力がある」 と回答した項 目数は5項目が最頻値を示している (図 4 )。

一方で、 「力がない」 と回答した項目数は0項目 が最頻値を示している (図 5 )。 全体的に社会 人基礎力に示された項目に対して、 「力がある (自信がある)」 とする自己評価の高さが認められ る。

3 3 コーピング尺度

コーピング尺度において、 8領域ごとにキャン プ前後 ( ) での平均値及び標準偏差を 示し、 検定を行った (表 3 )。 この時、 「カタ ルシス」 ( 2 42 05)、 「気晴らし」 ( 3 94

(6)

001)、 「肯定的解釈」 ( 2 11 05)、 「計画 立案」 ( 2 09 05) に有意な向上が認められ、

「放棄・諦め」 に有意傾向が認められた ( 3 94 1)。 これらの、 有意な向上が認められた4項目 が示すコーピングスタイルとして、 「カタルシス 関与・問題焦点・行動 」 に、 「気晴らしは 回避・情動焦点・行動 」 に、 「肯定的解釈は

関与・情動焦点・認知 」 に、 「計画立案は 与・問題焦点・認知 」 のそれぞれ向かう傾向が 挙げられる。 この時、 コーピングスタイルとして の、 善し悪しを判断は出来ないが17)、 「回避と関 与」 を比較した場合、 「関与」 のほうが積極的コー ピングスタイルと解釈できる。 そのため、 キャン プ経験により参加者は、 ストレスに対する行動と して、 「積極的なコーピングスタイルを取る傾向」

に向かうとの結果が示された。

3.4. 生きる力

が示す14指標ごとに平均値及び標準偏差 を示し、 キャンプ前後 ( ) での 検定を 行った (表 4)。 この時、 「非依存」 ( 3 67 001)、 「積極性」 ( 2 17 05)、 「明朗性」 ( 2 10 05)、 「交友・協調」 ( 2 50 05)、

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図 3. 社会人の基礎力自己評価

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図 4. 項目別 「あり」 との回答数

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表 3. コーピング尺度変化

図 5. 項目別 「なし」 との回答数

(7)

「視野・判断」 ( 2 28 05)、 「日常的行動」

( 2 86 05)、「野外生活技能」( 3 00 01) の7項目についてキャンプ経験後に有意な向上が 認められた。 また、 「自己規制」 ( 1 80 1)、

「真面目勤勉」 ( 1 85 1)、 「身体的耐性」

( 1 94 1) の3項目に関しても有意傾向と しての向上が認められ、 14項目中10項目に関して 顕著な向上が認められた。 この時、 変化が認めら れなかった4項目のうち 「現実肯定」 「適応行動」

「思いやり」 の3項目はキャンプ前の得点がそれ ぞれ22 14点、 21 87点、 21 57点と高い点数を示し ている。 そのため、 変化しにくい値である 「天井 値」 に近い状態であり向上の余地がなかったと推 測できる。

3.5. 自己成長性

自己成長性尺度が示す、 4指標ごとに平均値及 び標準偏差を示し、 キャンプ前後 ( ) でt検定を行った (表5)。 「努力主義」 において 有意な向上が認められた ( 3 58 001)。 し かし、 「自信・自己受容」 に関しては、 有意な低

下が示される結果となった ( 2 46 05)。

4.1. 社会人基礎力に対する自己評価

平成18年4月に経済産業省より発行された 「社 会人基礎力に関する緊急調査」 の中に参考資料と して、 「企業が求める人材像と若者の認識とのギャッ プ」 を示したものがある18)。 これは、 企業に関す るデータについては、 経済産業省調査によって東 証一部上場企業を対象に調査されたデータ (「求 める人材」 158、 「若手社員に不足が見られる 能力」 211) であり、 一方の若者に関するデー タは、 みんなの就職株式会社 「社会人基礎力に関 するアンケート」 からの出典とされる、 2006年卒、

2007年卒の学生 (主に大学3年生 4年生および、

大学院1年生、 2年生) 3127名を対象としたもの である (図 6 )。 この結果として、 大手企業が 求める人材像と若者が強みと感じている能力との 間に、 「主体性」、 「実行力」、 「課題発見力」 の3 項目で特にギャップが大きいことが示されている。

また若手社員に、 不足が見られると企業が考える 能力と、 若者が弱みに感じている能力の間では、

「主体性」 や 「課題発見力」 で特にギャップが大 きいことが示されている。 これら項目が具体的に 大学教育に求められる育成課題であると考えられ る。

ここで、 示された全国調査の結果と今回の調査 対象者が示した、 社会人基礎力に関する結果とを 項目ごとの比較を行うと、 本研究の対象における

「自信があると回答している者の割合の高さ」 が 見てとれる (図 7 )。 特に、 企業が若者に求め る社会人基礎力として、 高い必要性を示す 「主体 性」 「実行力」 「課題発見力」 に関しても、 全国平 均との比較 (全国 対象者) で、 「主体性」 は、

28 9% 61 5%、 「実行力」 は35 3% 53 3%、 そし て 「課題発見力」 は39 3% 56 5%と、 いずれの 項目においても、 過半数の者が 「力がある」 と回 答し全国調査を大きく上回っている。

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表 4. IKR14項目の変化

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表 5. 自己成長性尺度の変化

(8)

一方、 これら項目に対して 「力がない (自信が ない)」 と回答している者の割合を比較すると、

「力がある」 と回答した割合の分布よりも、 全国 調査の結果に近い様相を示している (図 8 )。

しかし、 その中に差異を見出すなら、 全国調査デー タと10 以上の違いが見られる項目として、 「主 体性」 については、 全国調査では28 1 と高い割 合を示しているのに対し、 本研究の対象者は14 7

でと低い割合を示す。 また、 「発信力」 に関し ては全国調査では17 6 に対し、 本研究対象者は 35 0 となっており、 本研究の対象者の特性とし て 「発信力に対する苦手意識」 が示される。

本研究における社会人基礎力に関する結果では、

能力が 「ない」 よりも 「ある」 とする者の割合が 高い傾向を示している。 また選択した項目数別に

「あり」 「なし」 の回答数を比較すると、 「あり」

― 20 ―

図 6. 企業が求める人材像と若者の認識とのギャップ

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図 7. 社会人基礎力項目別 「あり」 回答割合 (全国値と対象者との比較)

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図 8. 社会人基礎力項目別 「なし」 回答割合

(全国値と対象者との比較)

(9)

は5項目選択している者が20名 (14 0 ) と最頻 値を示すが、 過半数の7項目以上を選択している 者は74名 (51 7 ) と過半数を示す (前出 図 4 参照)。 一方で、 「なし」 関して同様に、 回答数か ら検証すると、 「力がないものはない」 とする0 項目が44名 (30 8 ) と最頻値を示す結果であり、

2項目以下の回答者数は89名 (62 2 ) と高い割 合を示している (前出 図 4 参照)。

社会人基礎力に対して、 自己評価させた結果か ら 「力があるとする項目数7項目以上、 力がない とする項目数は2項目以下と高肯定感回答者」 は、

47名で全体の32 9 存在した。 これらの者を 「自 身に対する高い社会人基礎力認知群:

47」 (以下: と略 す) とした。 そして、 「力があるとする項目数6 項目以下、 力がないとする項目数は3項目以上と 一般的肯定感回答者」 の対象者を 「自身に対する 一 般 的 社 会 人 基 礎 力 認 知 群 :

96」 (以下: 略す)と し、 両群の比較検討を加えていきたい。

4.2. 自己評価による社会人基礎力高・低群比較 4.2.1. コーピング項目の比較検討

キャンプ事前調査における、 コーピング項目の 違いを に分けて示す (表 6 )。

結果、 と比べ、 「放棄・諦め」

の 低 さ ( 2 75 01) 、 「 計 画 立 案 」 の 高 さ ( 2 89 01) について有意な差が示され、 「肯 定 的 解 釈 」 の 高 さ に も 有 意 傾 向 が 示 さ れ た ( 1 92 1) 。 こ の 結 果 か ら 、

に比べ、 日常的なコーピングスタイルとし

て、 目の前の困難な事柄に対して、 「諦めたり放 棄したりせずに、 解決に向けた計画立案行動を取 り、 肯定的に前向きに解釈している」 とのポジティ ブなスタイルを持つと考えられる。 社会人基礎力 に対する自己評価の相違が、 実際のストレスに対 するコーピングスタイルの違いにつながっている ことが示された。

次に、 キャンプ前後のコーピングスタイルの変 化を に分けて検討する。 まず、

の特徴として、 「気晴らし」 の項目に有 意な向上 ( 4 01 001) が、 「計画立案」 に有 意な向上傾向 ( 1 83 1) がそれぞれ認めら れた(表 7 )。 計画立案に関しては、 事前の結果 でも と比べ、 高い傾向が認められたか、

キャンプを通じてその傾向が強まることが示され た。 一方で、 については、 「カタルシス」

( 3 46 01)、 「気晴らし」 ( 2 03 05)、

「回避的思考」 ( 2 11 05)、 「肯定的解釈」

( 2 41 05) に有意な向上が認められた (表 8 )。

有意な差は認められなかったものの、 得点の上 下を考えると は 「カタルシス」 「回避的 思考」 の項目において低下が示され、 ついては有意な向上が認められている。 カタルシ

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表 6. H-SAG と N-SAG のコーピング項目比較

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表 7. H-SAG のコーピング項目 キャンプ前後比較

表 8. N-SAG のコーピング項目 キャンプ前後比較

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(10)

スと回避的思考との関連性を考察すると、 自身の 主体性が関連するものと考える。 すなわち、

は、 より主体的傾向に近づき、 主体的傾向が弱まる結果が示されたと解釈する。

また、 ここで、 および ともに

「気晴らし」 に有意な向上が認められた結果から、

スポーツを専門的に学び、 日常的に関わる機会の 多い対象者にとって、 今回のキャンププログラム は冒険的要素が弱く、 日常生活と比べストレス強 度が低く、 気晴らし的なものに感じられ、 「リフ レッシュ効果」 につながったもと推測する。

また、 コーピングスタイルに関して、

との間にキャンプ事前調査から及びキャ ンプ前後の比較から相違が認められ、 対するコーピングスタイルのほうがポジティブに 解釈しやすい傾向が認められたことは、 社会人基 礎力に対する自己評価結果の違いは、 単なる自己 認識に対する厳しさ・甘さの相違ではなく、 自己 に備わった 「社会人基礎力」 を正当に判断してい る様相が認められる。

4.2.2. 生きる力 (IKR) 項目の比較検討

キャンプ事前調査における、 生きる力項目の違 いを に分けて示す (表 9)。

ここでも、 と比べ、 「非依存」

( 3 48 01) 「積極性」 ( 2 69 01) 「明朗 性 」 ( 1 99 05) 「 交 友 ・ 協 調 」 ( 2 55

05) 「視野・判断」 ( 3 33 01) 「適応行動」

( 2 74 01) において有意な高さを示し、 「自 己 規 制 」 ( 1 87 1) 「 思 い や り 」 ( 1 81

1) 「日常的行動」 ( 1 76 1) に関しても 有意傾向が認められた。 生きる力で示される項目 を、 社会人基礎力と直接的に関わっていると考え ると、 社会人基礎力を高く自己評価した対象者は、

事実として、 それら能力を身につけている傾向に あることが示された。

次に、 キャンプ前後の生きる力項目の変化を に分けて検討する。 まず、

に関して、 結果として全ての項目で有意な 向上は認められず、 キャンプ経験による変化は認 められなかった (表 10 )。 一方で、 につ いては、 「非依存」 ( 3 99 001)、 「積極性」

( 2 14 05)、 「交友・協調」 ( 2 74 01)、

― 22 ―

表 9. H-SAG と N-SAG の IKR 項目比較

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表 10. H-SAG の IKR14項目 キャンプ前後比較 㪟㪄㪪㪘㪞

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表 11. N-SAG の IKR14項目 キャンプ前後比較

(11)

「視野・判断」 ( 2 74 01)、 「日常的行動」

( 2 70 01) に有意な向上が認められ、 「明 朗性」 ( 1 66 1)、 「適応行動」 ( 1 93 1)、 「自己規制」 ( 1 80 1)、 「身体的耐性」

( 1 81 1)に有意な向上傾向が認められた (表 11 )。

のキャンプ前後の 14項 目に関して、 キャンプ前後における変化を比較し たところ、 に関して有意な向上が認めら れず、 に関しては、 5項目について有意 な向上が、 また4項目について有意傾向の向上が 認められたことは、 一般的な社会人基礎力を持つ と考える対象者には、 本キャンプによる向上効果 が見られるものと考えた。 しかし、 キャンプ後の 14項目について、 の得点 を比較したところ、 全ての項目で が上回 る結果を示しており、 キャンプ経験による

得点の向上は認められるものの、

キャンプ前に示された 「 の方が

と比べ高い」 との結果を消失させるまでには至ら ないとの結果を示した (表 9 )。

これらの内容より、 1)社会人基礎力が高いと 自己評価する者の社会人基礎力は実際高い傾向を 示し、 それらは、 日常生活における何らかの影響、

特に参加者の特性を考えるならば、 部活動の影響 が社会人基礎能力を高めることにつながっている 可能性があるのではないかと考えられた 2)スト レスに対するコーピングスタイルの変化から 「気 晴らし要素の向上」 が認められたことからも、 こ れら対象者に対する教育キャンプとしては心身へ

のストレス強度が低く、 冒険的要素が低いものと 考えられた 3)社会人基礎力の自己評価傾向が全 国平均に近い対象者はキャンプ経験による、

項目得点の向上傾向が認められ、 現状3年次にキャ ンプ実習は設定されているが、 2年次以前の早期 に実施する方が、 学業・部活ともに良い影響を与 えるものと考える 以上、 3点の結果が得られた。

4.2.3. 自己成長性尺度項目の比較検討

キャンプ事前調査における、 自己成長性尺度項 目の違いを に分けて示す (表 12 )。 この時、 と比べ、 「達成 動機」 ( 2 07 05)、 「努力主義」 ( 3 45 01)、 「自信・自己受容」 ( 3 23 01) について 有意な高さが示された一方で、 「他者のまなざし 意 識 」 に つ い て は 有 意 に 低 い 傾 向 が 示 さ れ た ( 1 93 1)。 ここでは、 の特性とし て、 他者からの目を気にせず、 自信を持ち目的達 成に向けて努力する特性が示されているものと考 える。

次に、 キャンプ前後の自己成長性尺度項目の変 化を に分けて検討する。 まず、

に関しては、 「達成動機」 ( 2 41 05)、

「努力主義」 ( 2 59 05) の項目に有意な向上 が認められた (表 13 )。 一方で、 につい ては、 「努力主義」 ( 2 56 05) に 有意な向 上が認められたが、 「自信・自己受容」 ( 2 04

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図 9. キャンプ後の H-SAG と N-SAG の IKR14項目得点比較

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表-13. H-SAG の自己成長性尺度 キャンプ前後比較

表-12. H-SAG と N-SAG の自己成長性尺度 項目比較

(12)

05) に有意な低下が認められた (表 14 )。

この結果に関して、 の項目でも考察した ように、 プログラムにおけるストレス強度設定が 弱かった影響も考えられるが、 先行研究では、 キャ ンププログラムにおける 「ふりかえり」 活動が、

自己認識を深める効果につながっていることも示 されている19)。 今回のキャンプ実習においては、

班担当のカウンセラーを配置せず、 グループメン バーから班長を選出させ、 グループカウンセラー の役割を担わせたことにより、 グループにおける ファシリテート機能が上手く働かなかったことの 影響も考えられ、 「ふりかえり」 活動が上手く機 能しなかったことの影響も考えられる。

大学教育で養成が求められる 「社会人基礎力」

を包括的に検証するため、 「ストレスコーピング 尺度」 と、 野外教育分野で用いられてきた 「生き る力尺度」 と 「自己成長性尺度」 を用いて、 キャ ンプ実習実施前後での変化を検証してきた。 その 結果として

1) ストレスに対するコーピングスタイルとして、

より積極的関与方向に向かう傾向が示された。

2) 生きる力14項目の内、 10項目において有意な 上昇傾向が認められた。

3) 自己成長性尺度において、 努力主義に向かう 傾向が示された

4) 自己成長性尺度において、 自信・自己受容が 低下傾向を示した

次に、 直接的に、 社会人基礎力を定義された12 項目別に、 「力がある (自信がある)」 「力がない (自信がない)」 と、 それぞれ自己評価させた結果、

全国平均の比較からも

5) 対象者の内46名 (32 2 ) が自身の社会人基 礎力は高いと認識している傾向を示した その後、 これら、 46名を とし他の対象 者を と2群に分けて、 各種尺度の比較検 討を行った結果

6) と比較して、 キャンプ前 の調査から積極的なストレスコーピングスタ イルを持ち、 その傾向はキャンプ後により強 まる傾向を示した。 そして、 はキャ ンプ後そのコーピングスタイルは積極的な方 向に変化する傾向を示した

7) と比較して生きる力尺度 においても、 14項目中9項目で有意に高い傾 向が認められた。 はキャンプ後に生 きる力尺度の変化は認められなかったが、

はキャンプ後、 14項目中9項目で有 意 な 向 上 傾 向 が 認 め ら れ 。

の特性に近づいた。

8) 自己成長性尺度においても、 キャンプ前調査

結果から と比較して有意

に高く、 ポジティブな自己概念を持っている 傾向が示された。 についてはキャン プ後、 「達成動機」 「努力主義」 により向かう 傾向が示された、 については、 「努 力主義」 に向かうが、 「自信・自己受容」 は 低下を示す結果が示された

と、 以上8点の知見を得た。

「社会人基礎力がある」 と自己評価する対象者 に対し、 自己評価の甘さを感じマイナスイメージ で捉えていたが、 今回用いた尺度の結果から、 実 際彼らにそれら能力の存在が示される結果となっ た。 対象者はスポーツを専門とする学生達であり、

彼らの日常的スポーツとの関わりの中で社会人基 礎力養成につながる経験があるものと解釈した。

また、 研究的側面でなく、 今後のキャンプ実習 プログラムの運営、 企画立案につなげる意味で、

①コーピングスタイルに対する分析結果からキャ ンプにおいて気晴らし要素の向上が認められた② キャンプの効果は、 社会人基礎力を一般的水準で

― 24 ―

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表-14. N-SAG の自己成長性尺度 キャンプ前後比較

表 9. H-SAG と N-SAG の IKR 項目比較
図 9. キャンプ後の H-SAG と N-SAG の IKR14項目得点比較

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