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学位論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

( 共 生 環 境 学 専 攻 長 山 田 孝

( 副 専 攻 長 陳 山 鵬 ; 震

学位論文審査の結果の要旨

専 攻 共生環境学 氏 名 張 瑳 ( チ ョ ウ キ ン )

主 査

授 授 教 教 教

端 限 鵬

ヨ フ キ デ

三 藤 山 ョ 佐 陳

⑧@⑤ 

審 査 委 員 国 l 査 副 査

論 文 題 目 Development of b i o d e g r a d a b l e  b i o m a s s  b o a r d  a n d  i t s  m e c h a n i c a l  p r o p e r t i e s   usmg nce s t r a w  

(稲ワラを用いた生分解可能なバイオマスボードの開発及びその強度 に関する研究)

(題目変更の有無)

(論文審査の結果の要旨)

石油等の化石資源の枯渇によって新しい資源の開発が不可欠となっているが,

l

その中で再生 可能なバイオマス資源の利用が注目されている バイオマス資源の中に植物バイオマスが無尽 蔵であると言える.例えば,樹木や雑草,農産物のワラ,海藻・海草等がある.食糧生産に伴 って農産物の副産物としてのワラが大量に生産されている.これらのワラはほとんど利用され ていないのが現状である.本研究では,稲ワラを用いて生分解可能なバイオボードの開発を目 的とし,接着剤を使用せずに水の中でセルロース同士を水素結合させ,板状の材料バイオボー ドを開発することを目指す.稲ワラの繊維を単離させるために,リファイニング処理を行う必 要がある.本研究では,稲ワラに対するリファイニング処理の過程において化学物質を使わ ず,物理的な手法を用いて機械ノ号ルフ。を造る.リファイニング処理をしたパルプの中には,セ ルロース,へミセルロース,リク、ニン等が含まれる.このようにワラのすべての成分をそのま ま利用し,バイオボードを成形する 本研究で考案したバイオボードの作成プロセスは下図の 通りである.

作製方法としては,まず稲ワラを約 1 . 5cm 細断し, 22 ℃の水に96 時間浸演した後,ビートリ

ファイナーを用いてリファイニング、処理を行った.リファイニングしたパルプを 5.6mm の舗を

通した後,一辺長さ lOOmm ,深さ 40mm の正方形型に充填してからホットプレス機にセットし

て,圧縮成形を行った.作製条件として負荷圧力は 2MPa から lOMPa まで2MPa 間隔で5 種類,設

定乾燥温度はl1 0 ℃とした.同じ条件下でバイオボードを 2 枚 , 5 種類の作製条件で合わせて 1 0 枚

作 製 し た これらのバイオボードの密度と含水率を測定した結果,密度は 0 .79g/cm3‑0.85g/cm3 

であり,含水率は5.25% 〜 7.16% であった.バイオボードの強度を調べるために,これらのバイ

オボードから試験片を切り取って曲げ試験と引張試験に供試した.曲げ試験の結果より, 5 種

(2)

氏 名 張 嘩

類の負荷圧力で作製したバイオボードの破断応力は 9.73Mpa‑20.28MPa の範囲内で変動する.

引張試験では,破断応力の変動が大きく 6.43MPa I0.89MPa であった.この実験の結果より,い ずれの作製条件下においてもバイオボードを作製することができたので,作製プロセスの妥 当性が確認された.引張試験と曲げ試験の結果から作製したパイオボードの破断応力にはバ ラツキがあるものの,一定の強度を持つことが分かつた.

また,乾燥温度によるバイオボード強度への影響を調べるために,リファイニング後のパ ルプを 5.6mm の簡を通した後,圧力 SMPa を一定とし,乾燥温度を lI O ℃ , 1 3 0 ℃ , l  S O ' C ,   170 

℃ , I 9 0 ° C と変化させてバイオボードを作製した.実験結果より、バイオボードの密度は 0 . 8 3 g / c m 3 〜 0 . 9 l g / c m 3 で,含水率は 3 目 78% 〜 7.00% であった.曲げ試験の破断応力は 13.35MPa 19.62M Pa ,引張試験の破断応力は 3.00MPa 22MPa であった.乾燥温度の場加につれてバイオボー

ドの強度が若干増えた.乾燥温度 1 9 0 ℃のとき,破断応力は最大となった.

さらに,稲ワラのリファイニング、程度つまりパルプの細かさがバイオボードの強度に対す る影響を調べるために,リファイニングしたパルプを目開き 5.6mmx5.6mm の飾, 4.0mm × 4 . 0 mm の節, 2

Ommx2.0mm の簡を通したものを使って,それぞれバイオボードを作製した.パ ルプの長さ 2.0mm 以下のものを SF パルプ,パルプ長さ 2.0mm 〜 4.0mm のものを MF パルプ,パ ルプ長さ 4.0mm 〜 5.6mm のものを LF パルプとする.作製条件については負荷圧力を 2.0MPa 〜 8 . OMP の 5 種類,乾燥温度を lI O ℃とした.この細かさの異なる 3 種類のパルプを用いて 1 5 枚の バイオボードを作製した.その結果, LF パルプ, MF パルプ, SF パルプを用いて作製したバ イオボードの密度の範囲はそれぞれ 0 . 8 9 g / c m 3 l . 0 2 g / c m 3 , 0 . 9 3 g / c m 3 l .  l  2 g / c m 3 ,   0 . 9 8 g / c m 3 I .   3 g / c m 3 で、あり,含水率の変動はそれぞれ 5.68% 6 . 4 6 % , 5.66% 6 . 4 2 % ,   5.66% 6.37% であった.

曲げ試験においてバイオボードの破断応力は, LF パルプ 8.85MPa 〜 35.97MPa, MF パルプ 9 . 2 2 M P a ・ 〜 2  l  . 2 0 M P a ,   SF パルフ。 l 5 .  l  5MPa‑45.03MPa で、あった.引張試験においてバイオボードの破 断応力は, LF パルプでは 4.54MPa 〜 ll . 8 0 M P a ,   MF パルプでは 4.53MPa 1 3 . 1 9 M P a , SF パルプで

5

は 6.32MPa 〜 3 3 . 日 MPa であった.この結果よりパルプが細かいほど強度が高いことが分かる 食品トレイの強度と比較するために,ポリスチレン製食品トレイについて曲げ試験を行った.

その結果,ポリスチレン食品トレイの破断応カは l.606MPa であった.したがって,本研究で 作製したバイオボードはポリスチレン食品トレイより強度がはるかに高いことが分かつた.

以上の研究は,提案したプロセスを用いて稲ワラに対し物理的なリファイニング処理を施し,

圧縮成形を行い,バイオボードを作製することができた リファイニング、処理において化合物 等を一切使用せず,機械的に繊維を単離させて稲ワラのメカニカルパルプを造ることができた.

圧縮成形過程においても接着剤等も使わず水を介して水素結合を導き,繊維の再結合を実現し た.作製したバイオボードは一定の強度を持ち,完全生分解可能なバイオマス材料であるので,

使用後廃棄しでも環境に全く負荷をかけない再生可能なものである.バイオボードの性能試験

結果より建材,農業資材,包装材料としての利用可能性が示された.限られた化石資源がいず

れ枯渇するので,再生可能なバイオマス資源、の利用が極めて重要であることは言うまでもない

上記の研究成果については,学術論文(英語)として学術誌に 2 編掲載または掲載予定である

本研究の成果について国際学会で 2 回,圏内学会で 2 回発表を行い,多くの研究者から関心を

寄せられた したがって,この研究の成果に対して博士学位を授与するに十分の資格があると

判断した.

参照

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