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ある種の結び目の多項式不変量とその応用

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Academic year: 2021

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ある種の結び目の多項式不変量とその応用

On polynominal invariants of certain knots and their applications

数学専攻 福田 修平

FUKUDA SHUHEI

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はじめに

R3(あるいはS3)内にうめこまれたS1に同相なものを結び目という。また、成分数が2以上のものを絡み 目という。ある2つの結び目が「ほどく」という操作でうつり合うか、を研究するのが結び目理論である。

 結び目の分類で力になるのが、不変量である。本論文では、その中で、多項式不変量に着目し、スケイン 関係式を用いて様々な結び目の多項式不変量を計算していく。

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諸定義

ここでは、交点、ライデマイスター変形、絡み数、交点符号和などの定義を説明している。

ある2つの結び目K1, K1が有限回のライデマイスター変形でうつり合う(「ほどく」という操作でうつ り合う)とき、

K1K2は同値であるといい、K1K2と表す。

ある結び目Kに対し決まる多項式をPK(t)とする。多項式不変量とは、

K1 K2 ⇒PK1(t) =PK2(t) を満たす多項式のことである。

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アレキサンダー多項式

ここでは、アレキサンダー多項式を大きく分けて3つの観点からアプローチし、定義していく。

2.1 ザイフェルト曲面からのアプローチ

ある結び目に対してザイフェルト曲面、ザイフェルト行列を定義し、アレキサンダー多項式を定義する。

定理 2.1 アレキサンダー多項式

MKを結び目Kk×kのザイフェルト行列、MKT MKの転置行列としたとき、

ΔK(t) =t−k/2det(MK−tMKT)

は結び目の不変量となる。また、このΔK(t)をアレキサンダー多項式という。

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(2)

2.2 スケイン図形からのアプローチ

スケイン図形、スケイン操作を定義し、アレキサンダー多項式を定義する。

定義 2.2

スケイン図形D+,D,D0に対し等式 1. Δ(t) = 1

2. ΔD+(t)ΔD(t) = (t−1/2−t1/2D0(t)

を満たす多項式ΔK(t)をアレキサンダー多項式という。

また一般に、各スケイン図形D+,D,D0の多項式に対する上のような関係式をスケイン関係式という。

2.7では、スケイン関係式を用いてホップ絡み目がn個連なった絡み目Knのアレキサンダー多項式を 計算し、

ΔKn(t) = (t−1/2−t1/2)n−1 を得る。

2.3 組みひも、ビューラウ行列からのアプローチ

ここでは組みひも、組みひも群、ビューラウ行列を定義しアレキサンダー多項式を再定義する。

定理 2.3 βˆを閉じた組みひも、R(β)をビューラウ行列とする時、

Δβˆ(t) = 1+t+t2+···+t1 n−1det(R(β)−I) 2.4 アレキサンダー多項式の興味深い例

K ⇒ ∇K(t) = 1は自明であるが、実は逆は成り立たたず、K(t) = 1なる、自明でない結び目K が無数に存在する。

ここではそのような結び目を紹介する。

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ジョーンズ多項式

ここでは、多項式不変量ジョーンズ多項式をスケイン図式の観点から説明する。また、ジョーンズ多項式 が不変量になる過程も詳しく説明する。

定義 3.1

スケイン図形D+,D,D0に対し等式 1.V(t) = 1

2.t−1VD+(t)−tVD(t) + (t12 −t12)VD0(t) = 0

を満たすVK(t)をジョーンズ多項式という。

3.3では、初等トーラス絡み目T(n,2)のジョーンズ多項式をスケイン関係式から計算し、次の定理、

系を得る。

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定理 3.2

VT(n,2)(t) = (−1)n−1·(tn+32 +tn+12 +tn−12 )−t3n+12 t+ 1

3.3

VT(2m−1,2)(t) =tm−1(t+2m

k=1

(−t)k−1)

3.1 ジョーンズ多項式の特徴

ここでは、アレキサンダー多項式にはない強力な特徴を紹介する。

定理 3.4 KKの鏡像としたとき

VK(t) =VK(t−1) 3.2 ジョーンズ多項式の未解決問題

先のアレキサンダー多項式では、ΔK(t) = 1となる非自明な結び目が(沢山)あった。しかし、ジョーン ズ多項式にはそのような結び目はあるのだろうか?実はまだこのことに関しては未解決である。

未解決問題

VK(t) = 1 ⇐⇒ K   か?

もし肯定的に解決されれば、自明な結び目に関して 完全な 不変量になる。

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多項式不変量と種々の不変量との関係

ここでは、交点数、種数などの不変量とアレキサンダー多項式、ジョーンズ多項式との関係を説明し、

定理 4.1

K1, K2を交代結び目とするとき

c(K1K2) =c(K1) +c(K2) を解説する。

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まとめ

多項式不変量は結び目の同値性だけでなく、数々の未解決問題を証明することに成功してきた。しかし、

先に紹介したように一般の結び目についてはいまだにわかっていないことが多い。紹介したアレキサンダー、

ジョーンズ多項式のほかにまだ多項式不変量は沢山ある。これら未解決問題に多項式不変量はどれだけ太 刀打ちできるのだろうか?興味深い命題である。

 また、今回はスケイン関係式に着目した訳だが、その計算の利便性を深く感じた。しかし一方で、ある種 一般的な結び目に対しての計算にどれだけ太刀打ちできるのだろうか、という新たな好奇心が湧いた。

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