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Cooperation in the education for foreign students

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Academic year: 2021

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渡 辺 誠 治

.はじめに

「留学生 万人計画」骨子(平成 年)の「大学等のグローバル化の推進」

の項目の一つとして次の記述がある。

交換留学、単位互換、ダブルディグリーなど国際的な大学間の共同・連携や短 期留学、サマースクールなどの交流促進、学生の流動性向上、カリキュラムの質 的保証などにより大学等の魅力を国際的に向上。

本学にも海外の協定校からの短期留学生や + に基づく編入学生が在籍 しているが、大学間の学生の流動性を向上させ、留学生を含む教育全体の質 を向上させるためには大学間をはじめとする様々なレベルでの連携が必要で ある。

では、連携を実現していくためには何をどこから始めることが必要なのか。

連携とはそもそも何と何の連携なのか。それを探るために本学に留学してい る 名の学生を対象に予備的なインタビュー調査を行った。

本稿の目的は、その予備的調査の結果に基づき、今後取り組んでいくべき 諸々の課題を明らかにすることである。

.アーティキュレーション(連携)

當作( )は言語教育における連携の重要性について「アーティキュレー ション」という術語を用いて説明している。以下、當作(同)の関係する箇 所を要約する。

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アーティキュレーションは、「連続性、連関、連携」などと訳される。言語教 育におけるアーティキュレーションには、次の つのタイプがある。

「縦のアーティキュレーション」

「横のアーティキュレーション」

「科目間のアーティキュレーション」

つのアーティキュレーションが達成されていないと、教育の効果が上がらず、

時間的、財政的損失は膨大なものとなる。

アーティキュレーション達成の第一歩は、関係する教師が相互のプログラムを よく知ることである。その上でアーティキュレーション達成のためにプログラム をどのように改良していけばよいのか、教師同士で時間をかけて話し合い、つな がりのある一連の日本語プログラムを作りあげていく。

本稿での文脈にこれを当てはめると、「縦のアーティキュレーション」は 海外の送り出し校とその受け入れ校である本学との連携であり、「横のアー ティキュレーション」は本学における JSL(留学生対象の日本語科目)科目 間の連携であり、「科目間のアーティキュレーション」は JSL 科目と専門教 育科目との間の連携と、大ざっぱに捉えることができる。

.予備調査の概要

概要

当該予備調査は、 年 月初旬に活水女子大学に留学をしている留学生 のうち、 名を対象に半構造的なインタビュー調査を実施した。インタビュー は、 名を 人、 人、 人、 人の つのグループに分け、それぞれのグ ループに対して 分〜 分程度行った。今回の予備調査の主な目的は、留学 中の学習に対する意識を尋ね、現行のプログラムについての課題を見いだす ことである。だたし、インタビューの中で日本での友人関係構築についても 興味深いコメントが見られたので補説として言及することにする。

. . 対象

名の学生の留学形態は、短期留学生(交換・私費)、編入学生など様々 であるが、いずれの学生も来日 年未満である。うち 名は 年 月、

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名は 年 月の来日である。また、 名とも海外の大学で日本語を専攻し、

名は .年海外の大学で日本語を学んだ後、本学に編入学し本学に 年在 籍、 名は、 .年海外の大学で日本語を学んだ後、 年 月に短期留学 生として来日し、現在に至っている。

それぞれの学生の日本語能力は、漢字圏の学生が N レベル、非漢字圏の 学生が N レベルであり、聴解に関しては大学の一般の講義がある程度〜ほ ぼ理解できる程度のレベル、発話に関しては流暢さにかなり個人差があるも のの一定の時間的な余裕があれば大学の制度や人間関係、心情など抽象度の 比較的高い話題についても正確に述べられるレベルである。

. . 方法

インタビューは、項目毎に一人一人話してもらった後、他のメンバーとそ の項目について自由に話し合ってもらう時間を作った。よりリラックスして 話すことで問答形式では出てきにくい心情が出てきやすいためである。

. . 項目

インタビューの具体的な内容は、主に、学習面に関することだが、生活や 友人関係に関することがらについても尋ねた。特に、送り出し校と受け入れ 校との学習面での連続性が調査の主題の一つであるので、来日前の期待や不 安、来日後の状況について詳しく聞いた。友人関係の構築については、元々 は、次回のインタビューの主題にするつもりであったが、話の自然な流れか ら、それについて興味深いコメントが初めのグループから聞けたので、その 後のグループに対してもインタビュー項目として取り上げた。

.調査の結果

日本語の学習、生活、友人関係などについて来日前と来日後に分けて、調 査結果を報告する。

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来日前

日本への留学に対して来日前にどのような意識を持っていたのか、「留学 の動機」と「留学に対する不安」について尋ねた。「留学に対する不安」で は、「経済的側面」「友人関係の側面」「学習の側面」について尋ねた。

. . 留学の動機

日本への留学を決めた理由は、今回、インタビューをした学生は全員が共 通して「日本に対する関心」を挙げた。就職のため、あるいは、親や先生に 強く勧められたからといった回答はなかった。その他、「日本語能力の向上 のため」「子供の時からの外国への憧れ」「日本語の専門なのだから当然」な どの回答があった。

「日本に対する関心」の具体的な内容として「アニメと同じ環境」「ドラ マどおりの風景と生活」を挙げた学生が 名いた。しかし、実際の日本はイ メージとはかなり異なっていたという。来日前のイメージは、高層ビルが建 ち並ぶ、非常に清潔な、現代的な生活様式と旺盛な消費であったが、実際の 日本は、長崎はもちろん、東京も福岡も熊本もそうではなかったという。し かし、それは決してマイナスのイメージではなく、「文化や伝統の感じられ る落ち着いた街の雰囲気」として高く評価していた。また、日本の大学生の 消費に対する節約志向に驚きと敬意を感じていると述べた学生が数名いた

( 名で話した時に全員がそう感じると言った)。

また、日本食に期待してきた、という学生が 名いたが、いずれも失望し たという。食事に対して高い評価をしている学生は今回の予備調査の中には いなかった。

「日本留学に対して最も期待したこと」としては「日本語力の向上」が全 員に共通してみられた。「専門分野の研究」に関する期待を挙げた学生はい なかった。

. . 留学に対する不安

来日前の「不安」について尋ねた。具体的には「経済面」「友人関係」「学

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習面」の 点に対する「不安」である。

. . . 経済的側面

来日前に「経済面」の「不安」を感じていたと答えたのは 名だけだった。

生活費が足りるかという不安である。

一方、留学が親に大きな経済的負担をかけているという意識(プレッ シャー)を持っている学生が 名いた。これは 名のグループでの話し合い の中で全員から出てきたものなので、潜在的にはもっといる可能性が高い。

さらに、このグループの 人の「留学の結果を出せないと親に恥をかかせる ことになる」という発言に対して他の 人は頷いていた。こうした意識が彼 らの間で共有されていることが窺われる。

. . . 友人関係、及び学習の側面

来日前に日本での「友人関係」に対して不安を感じていた学生は 名で、

いずれも自国の大学に入学した時と同じ感覚だという。これは個人的な性格 の問題と言っていた。「学習面」の不安を感じていたとする学生も 名と少 数であった。

来日後

来日して約 ヶ月或いは ヶ月が経過した現時点における留学に対する評 価を尋ねた。具体的には、「学習成果の側面」「カリキュラムの側面」「友人 関係の側面」について尋ねた。

. . 学習成果の側面

来日後の自己の日本語力について、「向上したと感じる側面」と「向上し ていないと感じる側面」を尋ねた。また、その原因として考えられる点につ いても尋ねた。なお、今回は、専門領域の学習については具体的に尋ねなかっ た。

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. . . 向上したと感じる側面

①聴解力

調査対象者全員が日本語の聴解力の向上を挙げている。母国にいたときと 比べ、日本語に「晒されている」時間が圧倒的に長いわけだから当然の結果 と言えよう。

②会話における発話の適切さへの気づき

日本での友人関係の構築に満足していると回答している学生から興味深い 話を聞いた――自国の大学での日本語学習は日本語で表現できる内容、事柄 を広げていくことが目標だった。そのために多くの表現や単語、文型を学ん だ。日本で学んだ表現や単語、文型は、自国にいたときよりむしろ少ないと 思う。しかし、日本では、具体的な場面や相手に対して、今ここで何を言え ばいいか、どのような表現で言えば適切か、ということが分かるようになっ た――。これは言語使用における「適切さへの気づき」と言うことができる だろう。我々教師は、留学の利点として「適切さの習得」という側面の存在 をしっかりと認識して、それに対する学生の「気づき」を促すような教育の あり方を模索しなければならない。

. . . 向上していないと感じる側面

①語彙力

調査対象者全員が自国で日本語を学んでいる時と比べて向上していない日 本語の側面として「語彙力」を挙げている。これは筆者にとってはやや意外 であった。というのは、今回の調査対象の学生は留学生対象の日本語の授業 と同時に、あるいはそれ以上に、専門科目も受講している。そのため講義を 聴いたりノートを取ったり教科書を予習復習のために読んだりする際、多量 の未知の単語と接触しているはずだからである。筆者のこうした疑問を彼ら に投げかけると一様に次のような答えが返ってきた。

①自国ではテキストに出てくる新しい単語については必ず単語テストが あったので意識的に覚えることができた。

②日本では確かに大量の日本語に晒されているが、未知の単語の意味を

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一々調べなくても前後関係からの類推によって意味が把握される場合が 多い。そうした場合、未知の単語の意味を一々調べることは少ない。調 べない理由は、接触する日本語が大量であるため調べるための時間がな い場合が多い。

③辞書で調べたり前後関係からの類推によって単語の意味が分かっても、

その単語が出てくる文章の意味がわかると、その単語を忘れてしまう場 合が多い。

④漢字語彙については母語の知識を活用して意味を類推して読解する(中 国人留学生)。その単語の発音や日本語としての意味を調べることはあ まりない。

これに対する対策としては、常識的だが「単語帳」を作らせることが有効 であると思われる。「単語帳」にはその日その日に出会った未知の単語の中 から覚えておきたい単語だけを書く。そして、 週間に 回程度、他の学生 と「単語帳」を交換してクイズを作り、お互いに採点する。他の学生と「単 語帳」を交換するのは、語彙の幅が広がることとモティベーションが向上す ることが期待されるからである。また多くの学生がスマートフォンの辞書を 使用しているので、もしその辞書の中に「検索履歴」機能があれば、それを うまく利用することも有効かもしれない。

② N 、N レベルの文型、表現

日本語との接触時間は自国にいた時(留学前)より留学中のほうが比較に ならないほど多いはずだが、教室で日本語をフォーマルに学ぶ時間は留学中 の方が少ない。そのため、日常会話ではあまり使用する機会のない表現や文 型(学生の言葉では、N 、N レベルの日本語)が向上していないと感じ ている学生が多い。

海外の大学の日本語専攻コースにおける「総合日本語」や「精読」などの 授業では、質・量ともに非常に密度の濃い授業が行われている場合が多い。

そこでは日本語の表現の理解・解釈だけではなく多かれ少なかれ言語形式に も着目して output までを視野に入れた指導がなされる。一方、日本(本学 での留学)では専門の講義や日常生活の中で日本語と接触する時間は海外に

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比べ圧倒的に長い。したがって、日本語の input は自国にいた時(留学前)

よりずっと増えているはずだが、学生の大半が表現や文型の習得に満足して いないと感じているのは、日本での多量の input が、自国で学んだ日本語の 文型や表現ほど、自分のものになっていない(intake されていない)と感じ ているからであろう。

多量の input に晒されていることは言語習得にとって有利な状況のはずで ある。現に聴解力は向上していると自己評価をしている。多量の input の中 からある表現を適切に選択し、それを内在化させ、output へと繋いでいく という作業を各学生が主体的に行う仕組みを考える必要がある。

. . カリキュラムの側面

本学の留学生は、留学の種類にかかわらず、原則として、留学生を対象と したすべての JSL の授業と、すべての専門教育科目の講義や演習を受講す ることができる。JSL の授業は、前期後期それぞれ 科目が開講されている。

また専門教育科目の授業のいくつかは、留学生と日本人学生(日本で生まれ 育った学生)とが協働で学ぶことを通してより付加価値の高い授業となるよ う様々な工夫をしている。また、これらの授業は JSL と専門教育の授業を 繋ぐ役割が期待されている。以下、インタビューを通して見えてきた課題と そこから示唆されるカリキュラムや授業の方法の改善の方向性について述べ る。

. . . JSL 科目と専門教育科目の関連性

今回インタビューをした学生は JSL 科目と同時に専門教育科目も受講し ている学生であるが、インタビューをしたほとんどの学生が JSL 科目と専 門教育科目の関連性の問題について指摘した。今回言及された JSL 科目と 専門教育科目との間の関連性には内容の側面とレベルの側面がある。

①内容の側面

今回の調査対象者は本学で専門教育科目を受講し、自国の大学に提出する 卒業論文や本学に提出するレポート、卒業論文に追われている学生達である。

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彼らにとって卒論やレポートの作成は留学中の学習活動の中で大きな比重を 占めるものである。彼らの中には JSL 科目の必要性を十分に認めながらも それらの教育内容が卒論やレポートの作成と直接関連しないことに対して一 種のいらだちを感じている学生がいた。JSL 科目と専門教育科目との間の内 容面での関連性は長年の課題であるが、留学の質を高めるためにはこの方面 での成果ある施策を行うことが強く求められる。また留学生が専門教育科目 の内容をより深く理解しより深く授業活動にコミットメントすることは、当 該授業の質を向上させ、当該授業の多文化多言語性がその授業の価値を高め ることにもつながる。したがって、JSL 科目と専門教育科目との間の内容面 での関連性は具体的な対策を取るべき喫緊の課題の一つである。

②レベルの側面

多くの学生から JSL 科目と専門教育科目との間の難易度のギャップに対 する指摘があった。今回インタビューした学生にとって JSL 科目の多くは ややレベルが易しいと感じられている。一方、専門教育科目は非常に難しい と感じられている。学生の表現によれば、そのギャップを埋める授業がない との指摘である。

ただし、ここで注意すべきは、専門教育科目が非常に難しいと感じるのは、

専門教育科目のどの側面に対してかという点である。これには恐らく当該学 生の専門領域に関するレディネス、日本語力、担当教員の授業運営の仕方、

動機付けなど様々な要因が絡んでいるので、今後、詳細な調査をすべきであ る。しかし、今回インタビューをした学生に関して言えば、一部の科目を除 き講義の内容は基本的に聞いて理解している、とのことである。

とすると、ここでの問題の原因は、単に日本語のレベルの問題というより も、( )専門教育科目で遭遇する大量の日本語の input を「 . . . ②」

で述べたように日本語表現として intake することができないことに起因す る非充足感、( )授業内容を理解はできてもその内容を表出するための言 語処理が間に合わず当該授業に十全にコミットメントすることができないこ とに対するいらだち、なども十分に考えられる。その点を踏まえ今後の研究 課題としたい。

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. . . 来日前の学習内容と来日後の専門教育科目の内容に関する関 連性

前節で述べたように、編入留学生や一定の日本語力を有する短期留学生の 多くは本学留学後、専門教育科目を受講することになる。前節では、本学に おける JSL 科目と専門教育科目との間の関連性の問題について触れたが、

専門教育科目の内容と留学前の自国での教育内容との関連性についても確認 する必要があることは明らかである。

留学前、自国の大学では外国語としての日本語の学習が非常に大きな比重 を占めている。それに対して本学では初年次教育や基盤科目などによって専 門教育科目の内容や方法に関するレディネスを徐々に高めていっている。留 学生はこの初年次教育や基盤科目の段階を飛び越えて直接狭義の専門教育科 目を受講することになる場合も少なくない。日本留学において専門教育科目 での教育の質を向上させるためには専門教育科目で求められる知識や技能を 来日前にある程度身に付けておくことが望まれるであろう。そのためには送 り出し校と受け入れ校との教育内容の連携が必要になる。

. . . 演習での発表

高度な日本語表現を学ぶ機会が自国にいたときよりも限定されているとい う否定的な評価について前に述べたが、演習(ゼミ)での発表は日本語の話 す力を鍛えるためにとても役立つというコメントを複数の学生がしている。

発表はあらかじめ準備することができるため討論と違い言語形式に対する フィードバックが時間的に可能である。発表が成功すれば、それは日本語の 表出のための最良のトレーニングになるばかりでなく、留学生がその演習に 深くコミットメントしていくきっかけとなる。討論では、言語処理が追いつ かずに、思考まで手が回らないことが容易に起こるが、発表の場合は準備に 時間をかけることで本来の思考を表現することができるからである。ただ演 習での発表は「諸刃の剣」という側面も持つ。外国語で質の高い発表をする ことは極めて難しい。発音や文法的正確さだけではなく、談話全体を見渡す 談話構成能力も必須であるし、外国語の言語処理のために疲弊している認知

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資源を使って十分な思考ができなければならない。これらのうち、どれか一 つでも欠けると、ネイティブスピーカーにとって留学生の発表は「特別なも の」になってしまう。ゼミでの発表が持つ可能性を最大に引き出す支援のあ り方も今後の重要な課題である。

. . (補説)友人関係の側面

日本での友人関係の構築に満足を感じている学生は友人を作るために日本 語力はあまり関係ないと言う。逆に、日本での友人関係の構築に十分満足し ていない学生はその重要な原因の一つを自分の日本語力の不足と認識してい る場合が多い。この認識は客観的な日本語力と全く一致しない。友人関係に 満足していないとする学生のなかには、満足しているとする学生より明らか に高度な日本語力を有している者が多数いるからである。筆者はこれらのコ メントには非常に深い意味が隠されていると考えている。今後の分析の課題 としておく。

日本での友人関係の構築に満足を感じている学生には共通の行動パターン があるようである。まず、日本人に対してよく質問するということが挙げら れる。寮などで日本人学生のグループといると、日本の芸能人やアーティス トの話題になることがよくあるという。それらの固有名詞はほとんど分から ない。そこでいちいち質問するという。すると、日本人はスマートフォンの 画像などを見せながら非常に親切に教えてくれる場合が多いという。日本人 の側からすれば、自分の関心のある芸能人やアーティストに対して外国人が 関心を持って質問をしてくれるということは、その日本人のポジティブ・

フェイスを刺激する心地よい行動として捉えられる場合が多いのではないか と考えられる。

一方、日本での友人関係の構築に十分満足していない学生のほとんどは、

日本人学生との間に共通の話題がないと言う。日本の芸能人やアーティスト の名前を知らないからである。そして、質問することはコミュニケーション を妨げることになると考えている。

また、友人関係の構築に満足を感じている留学生は、自分の日本語の間違

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いは友人関係構築の妨げには全くならないと言う。むしろ、正確でない日本 語は自分の留学生としての個性として肯定的に日本人学生に受け入れられて いると感じている。自分は外国人留学生であるから許される面がたくさんあ ると認識している。こうした認識をどう評価するかは多少微妙なところもあ るかもしれない。しかし、日本人同士でも距離を近づけようとする場合、ス ラングや方言やタメ語など規範からのズレを意識した表現を用いる場合があ るように、彼らは外国人であるがゆえの日本語の不完全性をポジティブ・ポ ライトネス・ストラテジーとして活用しているようにも見受けられる。日本 語力の不足が友人関係構築を妨げていると考えている学生からはこうしたコ メントは全く聞かれない。

.今後の課題 ―― 「まとめ」にかえて

本稿では 名の留学生に対する予備的なインタビュー調査に基づき、留学 生教育を巡る課題を探った。今後の課題を以下に挙げる。

第一に、今回の調査は、予備的な、比較的インフォーマルなものであった。

今回の調査結果を踏まえて、調査項目を精査し、より精密な調査をすること が必要である。

第二に、教育方法についての課題を挙げる。

留学中、語彙力が向上していないと多くの留学生が感じている。様々な局 面で出会う単語の意味理解だけではなく形式への関心を促し記憶を強化する 施策として「単語帳」などの方法を検討する。

日常会話で使用する機会の少ない比較的高度な日本語表現の学習が不十分 であると感じている学生が多かった。留学の利点である目標言語との接触時 間の長さを十分に活用しつつ、その中から特定の言語形式への気づきが促さ れるような仕組みを作るにはどうすればよいのか考察していく。

第三に、カリキュラムに関する課題である。

カリキュラムの課題は、本学内における JSL 科目と専門教育科目との連 携、および留学前の自国の大学での教育内容と留学後の本学での教育内容と の連携という つの連携に分けられる。さらに、前者は、内容面の連続性と

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レベルの連続性という つの側面がある。大学間、授業間の意思疎通を促進 していくことが最も重要な今後の課題である。

参考文献

當作靖彦( )「日本語教育は生き残れるか:「なぜ」教えるのかを考える」

日本語教育学会 国際交流基金 公開シンポジウム資料

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留学生教育の質の向上のためには様々なレベルにおける連携が不可欠であ る。そのためには、まず現在の留学生教育の課題を明らかにすることが必要 である。そのために、本稿では 名の留学生に対する予備的なインタビュー 調査を行い、留学生教育を巡る課題を探った。そして、教育方法、カリキュ ラムの つの側面における課題を明らかにした。

Cooperation in the education for foreign students

Seiji Watanabe

[Abstract]

Cooperation in various levels is indispensable in order to improve the quality of education for foreign students. For this purpose, at first it is necessary to clarify problems of the current foreign students education. This paper will report the problems that became clear through the interview to 14 foreign students.

参照

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