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``い じめ"への対処 と大学 生期の適応

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(1)

̀ ̀ い じめ"への対処 と大学 生期の適応 (Ⅱ)

一女子学生 における過去 の 「い じめ ・い じめ られ体験」 と適応感 ‑

C o pi ngt o "I j i me ' '( B ul l yi ng)a n dt h eA dj us t m e nti n C ol l eg eY e ars

‑o naf t e r→ ef f ec t st oa dj u s t me n tf e el i ngi nf e m al es t u d e nt s一

弘前大学教育学部 豊 嶋 秋 彦 ( 1 ) 青森県八戸児童相談所 順毛 (石永 )なお美

Ⅰ. 問題 と方法

Ⅰ‑ 1. 問題 と 目的

1 ‑2. 資料 収集 と分析の方法

Ⅱ. 「い じめ ・い じめ られ体験 」 と適応感

Ⅱ‑ 1.被害 ・加害体験強度 と適応感

Ⅱ‑ 2.被害の時期 ・対処 と適応感

Ⅱ‑ 3.加害の時期,周囲の い じめへの対応 と適応感

Ⅲ. 「い じめ ・い じめ られ体験 」への意味づ け と適応感

Ⅳ.要約 と展望

Ⅰ.問題 と方法

Ⅰ‑ 1 .問題 と日的

大学 (学校 )精神保健 もそれを包括す る大学 ( 学校 )敏育 も,生徒 ・学生の在学 中の適応援助 一 指導 のみが主 目的なので はな く,次の生活段 階 ・次の発達段 階における適応 を準備 し,究極 的には 成人期 にお ける適応 を保証す るための予期的社会化 の制度 ・機能 と してのみ意味があ る。 この文脈 で は,不登校 ・い じめ とい った様 々な 「学校 ・教育 の社会 問題」 も,それ ら現象の その時点おける 構造 や背景要因の探索 に焦点をあて るアプ ローチ とともに, それ ら現象の 当事者た ちが どんな認知 的 ・行動 的対処 を行 い, それか次の生活 ( 発達 )段 階や成人期 に どんな適応 を見せ てい くのか とい う対処 一長期的影響 (予後)に焦点をあてた アプ ローチ も必須 であ ろう。 しか し,不登校 とな らん で広 く進行 して いる 「い じめ」に関す る後者のアプ ローチは,奥村 ほか ( 1 9 8 7 ,1 9 8 8 a . b) , 山本 ・ 坂西 ( 1 9 8 8 ) ,坂西 ・山本 (1 9 8 9 ) ,加藤 ( 1 9 9 1 ) な ど大学保健管理 に携わ る研究者 によ るものは あ って も, 「学校 ・教育 の社会 問題」 に専 ら関わ るべ き教育心理学会 において は小 島 ( 1 9 9 0 ) な ど 極 く少数 か見 出され るに過 ぎない。そ こで我 々は学校期 にお ける「い じめ ・い じめ られ」(以下 , 「被

( 1 ) 保健管理センター非常勤カウンセラー

‑35‑

(2)

書」 ・ 「 加害」)か大学期の全体的 ( h ol i sti c) な適応 に及ぼす長期的影響を探索す る研究プロジェ ク トを組み, これまで " 被害体験か大学期の適応や 自我同一性地位を低下 させ る" という仮説 ( 石 永 1 9 9 2 ) の もとに, 自我同一性地位を全体的適応の指標 と した分析によって,概略次の ような知 見をえた ( 石永 ・豊嶋 1 9 9 2 , 豊嶋 ・石永ほか 1 9 9 3 ) 0

被書体験を もつ学生の場合,強い被害感が大学までの生き方あ り方の迷いを強め,小学校低学年での被 害が大学期における傾注の構えを抑制す るとい う意味で, 自我同一性の達成を阻害す るが,被害に対 し て反撃や友人への相談 とい った積極的対処ができることや,被害体験を事後的に 「成長のきっかけにな

った」と意味づけできた場合, 自我同一性は達成的になる。加害体験をもつ学生においては,それを加 害 として捉え返す ことができると生き方あ り方の迷いを促進 し,大学期における傾注が強ま り,また, 小学校高学年期の加害体験が大学期の傾注の構えと自我同一性地位を押 し上げる機能ももつ。他方,被 害体験を持たずに加害体験だけを持つ ものでは, 「 い じめ られた子はその後反省 して皆と仲良 くな った ので,良か った」 とい う<秩序化の名を借 りた正当化 > ( 森 田 1 9 8 5 ) を行 うほど, 自我同一性が達成 的になる磯制も窺われ る。周囲のい じめに対す る対応 ( 役割)に関 しては, 「観衆 」 ( 森 田 同)とし て関わると大学期の 自我同一性は拡散的地位にまで しか達 しない。

しか し学生の全体的適応にとって 自我同一性は指標の一つに過ぎず,それ とは別に人格適応や社 会 ( 文化)適応 といった主観的 ・客観的適応 もまた指標 となる。さらに自我同一性 と,主観的人格 適応の トータルな指標の一つである総括的適応感 ( s u m mari z e df e el i ngoft ot aladj u st me nt . 以 下 SA と略記)とは正の関連性を もつ ( 芳野ほか 1 9 8 9 ) 一方で,例えば高校 ・大学受験期の生活 空間体制など大学生にとっての過去要因が, 自我同一性 と SA に対 して逆方 向に機能す る場合 もあ ることも知 られている ( 豊嶋ほか 1 9 9 4 ) 。そこで本研究においては,前報 と同 じ弘前大学女子寮 寮生か らえた資料 によって,大学生期の SA や大学生活における主要生活空 間領域における適応感 に及ぼす影響を探索す ることを第‑の 目的と したい。なお主要な生活空間領域 と しては,学業,交 友,家族 との関係,部 ・サークル活動 ( 以下, 「 サークル」 と略),寮活動を含む寮生活の計 5領 域か選ばれた。その うち寮生活の領域 とは,対象者の生活空間構造における即 日的な中核領域の一 つ として位置づけることかでき,それ故に寮生活適応感は, SA と並んで全体的適応の指標 と見倣 しうるであろう。 というのは,調査時期であ った学年末の在寮生 とは寮生活や寮文化に感 じた様 々 な違和感か ら来 る退寮志 向1 )を抑え克服できた者であ って,彼等にとっての寮 とは " 主我 と客我の 分化を迫 られず,異和を生 じさせない 「 基本的な場面 」 ' ' 2) ( 安倍 1 9 5 6 ,1 5 0 ‑ 1 5 2 頁) と して機能 す ると考え られるか らである.またサークルでの適応感 とは,サークル活動それ 自体か らえ られ る 適応感 と, <活動を媒介 としたサークル集団との交流 >に関す る適応感 との重合によって形成 され 従 って交友適応感の側面 も併せ持つ ことを指摘 してお く。

第二の 目的は①〜③の仮説の検証におかれる。前 出の石永 (1 9 9 2 ) 仮説は 自我同一性 との関連 に おいては部分的に支持 されたに留 まったか,一方で奥村ほか等の先行諸研究は,大学期における心 理的生理的な症状 ・症候 ・障害 といった精神不健康の背景に過去の被害体験があることを示 してい る。従 ってより広 く, " 全体的適応感 に対 してネガテ ィブな長期的影響を及ぼす' 'との仮説か提 出 可能であ り,先ず この仮説の検証が 目指される ( 仮説①)0

次に, ̀ ̀ 被害体験を契境 と した人格発達 もあ りうる' 'とい う清水 ( 1 9 8 6 ,1 4 7 頁)の仮説 ( 仮説②)

の検証であ り,被害体験のある者 にとって,大学期の交友適応感を中心に した良好な適応は <人格

(3)

発達 >の指標 となるであろう 。 従 って被害関連の諸変数の うち,大学期の適応感にポ ジテ ィブな関 連を持つ変数の指 し示す意味を検討す ることによって, この仮説の間接的な検証か可能である 。 さ らに被害体験を 「成長の きっかけにな った」 とす る意味づけとの適応感 との関連性を調べ ることに よって も,間接的な検証かできるであろう 。

さらに,奥村 ほか ( 1 9 8 7 ) が 「< い じめ られ体験 >による心の傷か,その個人に大学‑入学す る 年 にな って も,稚拙な対人関係 しか持てないとい う形で影響を及ぼ し‑ ( 後略) ‑」 ( 2 2 9 貢) と述 べ,山本 ・坂酉 ( 1 9 8 8 ) か大学生期における<他者の態度‑の敏感 さ>を,坂西 ・山本 ( 1 9 8 9 ) か 大学生期 における<対人的おびえ と拒絶の予期不安 >を抽出 したことを承けて提出す る, " 被害体 験か交友領域の非適応感を もた らす" という仮説の検証であ る ( 仮説③) 0

最後 に副次的 目的と して,本研究の分析の 中で提出される新仮説 ( 仮説④)を稿の展開過程で検

証す ることも目指 され る 。 l

I‑2. 資料収集 と分析の方法

表 1 .被害 ・加害体廉の状況 資料の収集は,本稿の第二筆者か 4 年間に

わた って生活拠点 と してきた弘前大学女子寮 において ,1 月末,寮 内における個別的依頼 ・ 掲示 によって無記名式の質 問紙を配布 し留め 置き,対面を要 しない方法で回収 した 。 従 っ て本調査は調査者 と被調査者 との 間にラポー トか確立 してお り,かつ フィール ドワークに近 似の手法 による ̀ ̀ 内側か らの調査"である点 に特色かある D 有効 画収数は 1 2 2 ( 調査実施時 の月末在籍寮生の 5 9 . 2 % ) であ り,その <被害

被 害 体 験 加 害 体 験 n ( %) ∩ ( % )

あ り 1 2 .たいへん .か な り あ あ る る ( 冨 S . 6

) 1

5 0 (4 ( 8 . . 2) 1) ( 諾. 8 ) 5 0 (0 ) (4 . 1)

3 . 少しある 6 8( 5 5 . 7 ) 6 8 ( 5 5 , 7 )

4 . 全 く な い 3 8( 3 1 .1) 4 8 ( 3 9 . 3 ) ()内は有効資料1 2 2 名に対する%Q

・加害体験強度 >の分布状況を表 1に示す。

被害体験を もつ学生の割合は,奥村ほか ( 1 9 8 7 , 1 9 8 8 a . b) , 山本 ・坂西 ( 1 9 8 8 ) か公式調査によっ てえた数値の 2 倍〜数倍 に達 しているが,̀ ̀ 内側か らの調査' 'であることによって公式調査か被 りや すい防衛等によるバイアスか ら免れえたため と思われ る 3)0

表 2. 目的変数 ( 適応感 )の分布状況

尺 皮

値 評 適 応 の 領 域 友 家 サー クル 活 寮 活 動 総括 的適応 寮 生 活 感 ( SA) 1 うまくいって とても 31 ( 2 5 . 4 ) 4 0 ( 3 2 . 8 ) 1 4 ( l l . 5 ) l l (9 . 0 ) 1 4( l l . 5 ) 5(4 . 1) 2 い る どちらかというと 7 7 ( 6 3 . 1 ) 6 6 ( 5 4 . 1 ) 4 1 ( 3 3 . 6 ) 8 2 ( 6 7 . 2 ) 8 5( 6 9 . 7 ) 7 6 ( 6 2 , 3) 3 うまくいって どちらかというと 1 3 ( 1 0 . 7) ll( 9 . 0 ) 1 3 ( 1 0 . 7 ) 2 4( 1 9 . 7 ) 2 0 ( 1 6 . 4 ) 3 7( 3 0 . 3) 4 い な い 全 く 1 (0 . 8 ) 3(2 . 5 ) 5(4 . 1 ) 3(7 . 5 ) 2 (1 . 6 ) 4(3 . 3) N A 0 2 (1 . 6 ) 4 9 ( 4 0 . 2 ) 2(1 . 6 ) 1 (0 . 8 ) 0 (0 )

()内は有効資料に対する%。

37

(4)

質 問紙 は豊 嶋 ・石永 ほか ( 1 9 9 3 ) の文末 資料 ( 42‑4 4 頁 ) の通 りで あ るが , SA は 「学 生 生 活 は 全体 と して うま く い って い ます か」 とい う設 問に対 す る 「1 .とて も うま くい って い る」 か ら 「4.全 くうま く い って いな い」 までの 4 点尺度 に よ って測 定 され た。大学生 活 にお け る主 要生 活 空 間領 域 にお け る領 域 別 の主 観 的適 応 感 も, SA と同様 の 4 点尺 度 で捉 え る。 SA お よび領 域 別適 応 感 の 状 況 は表 2 の通 りで あ る。

以 下 で は これ らの適応 感 諸変 数 を 目的変数 と し, <被 害 ・加 害体 験 強度 > <被 害 ・加 害 の 時期 >

Ⅰ. に は , 「被 害 あ り」だ が加害 体験 には NA の者 1 名 が含 まれ る。

この他 に , 「加 害 な し」 で被 害体験 には NA の者 が 1 名 存 在 す る。

図 1 . 被 害 ・加事体敦 の有 無に よ る 6 群

<被害 へ の対 処 > <被 害 ・加 害 へ の意 味づ け > <周 囲の い じめへ の 対応 >の諸変 数 を説 明変 数 と した 分析 が行 わ れ るが 4 ),被 害 ・加 害 の有無 に よ って構 成 した 図 1の 6 群( Ⅰ〜Ⅵ ;以 下 「被加 害 6 群 」)

別 の分 析 も施 され て い く。 説 明変 数 の うち <被 害 ・加 害体 験 強度 >

<被 害 ・加 害 へ の意 味づ け >は, 間隔尺度変 数 と して設定 され た。

<被 害 へ の対 処 > <被 害 ・加害 へ の意 味づ け > <周 囲の い じめへ の 対応 >で用 意 され た項 目 (表 3) は,奥村 ほか ( 1 9 8 7 ,1 9 8 8 a) ,森 田 ( 1 9 85) ,井上 ほか (1 9 8 7 ) な どに 依 拠 した。

義3. ( 被 害 へ の対処日被害 ・加 害へ の意 味づ け日周 E i l の い じめへ の対応)の項 目 リス ト

被 [ 我慢 した,耐えた 無視 した 加害‑ 意 づ の 味 け ) [ 辛一種の遊びで,大 して悪いこととは思わない 三 ⊂ 巨 コ多 自分だけで反撃 した 4 余 りいいことではないが,社会や学校にも問題がある

ヘ 肢 家族などに相談 した 点 い じめ られた方にも,多少の問題があり,仕方がない の 選 友達に相談 した 尺 悪いことを したと,後悔 している

処 択 」 . 」 先生に相 逃げ回 い じめた っ 談 人 た と仲良 くなろうとした し り,欠席 した た 皮 」. 」 い じめ られた子は反省 して皆と仲良 くな ったか ら,良か つた

周囲の い じめ

へ の 「 主 A.積極的 とめた ( 「 やめてほ しいと思いつつ,見ていた ( とめたいと思いつつ,見ていた (同情的傍観) 仲裁) 消極的傍観) 被 生 ⊂ : コ

へ の [ 自分の成長のきっかけにな った

対 応

4 辛

点 くや しい .許せない 嫌な思い出で,思い出 した くない 応 皮 杏 B.消穂的

意 咲 ′ 尺 ヽ 一 対 応 肢 対 応 その場か ら離れた ( 場面逃避)

辛 「 1 . とてもそう思う」から 「4. まった くそう思わない」まで。 ヽ

(5)

Ⅲ. 「い じめ ・い じめ られ体壊」と適応感

Ⅱ‑ 1 .被害 ・加害体攻強度 と適応感

先ず仮 説① を検証す る。 Ⅰ群 (被害体験 も加害体 験 もない者)を も含む全対象者 における被 ・加 害体験強度 と適応感 と

の相関は,表 4 の如 く 全般 的 には弱い。 しか し全体 的適応 の指標 と 見倣 され る寮生活適応 感 とSAは,被害体験 が強 いほ ど不 良にな り, 仮説① は支持 された。

これを被 加害 6 群 別 に 見 ると,被害体 験強度 と寮生活適応 感 ・SA の 間に有意 な相 関係数 を もつか,係数 はⅣ( 被

義4. 被害 ・加害体験強度 と適応感得点 との

相 関 係 数

適 応 感 変 数 r 全対象者における相関 被 .加 害 被 害体 験 強 度 との 相 関 6群 別 の 1 ) 被 害 体 験 n r 加 害 体 験 Ⅱ. n r 被害 のみ Ⅲ. 被害 . あt ) 一 Ⅳ. 被 .加 書あり 領 学 業 1 2 1 . 0 2 2 1 2 1 . 0 0 3 ‑ ‑ ‑ 域 交 友 1 2 1 ‑ .1 1 8 1 2 1 ∴1 4 3 ‑ ‑ . 2 4 2 * ‑ . 3 1 9 *

別 家 族 1 1 9 ∴0 5 4 1 1 9 ‑ . 0 4 0 一 ‑ ‑ . 2 3 2 * ‑ . 3 2 6 * 応

感 寮活動 .寮生活 1 1 9 ‑ . 2 5 6 * * 1 1 9 ‑ . 0 5 0 ‑ ∴3 8 6 * * ‑ . 5 0 8 * * *

1 ) 加害体験強度とのr. は全て P>0 .l o oP<0 .1 0 のもののみ表示 したO

。P<0 .1 0 ,*P<0 .0 5 ,* *P<0 , 0 1 ,**P<0 . 0 0 1 。 害 ・加害 ともにあ り)

群 で相対 的に高 いの に対 して, Ⅲ ( 被害のみ)群 では有意 に達 しない。従 って仮説①か ら進んで,

" 被害体 験 に加 害体験が重 なることによ って,大学期の全体 的適応感 は一層抑制 され る' 'と括 るこ とがで き よ う。

次 に仮 説③ ( " 被害体験か 交友領域 の非適応感 を もた ら す")に関 しては,全対象者 につ いては有意 な相 関はえ ら れ なか ったが, Ⅲ ・ Ⅳ群 で被 害体験か 強 いほ ど交友適応感 が低下 しやす い関係 が認 め ら れ る。 Ⅲ群 では相 関が見 出せ な いか ら, " 被害体験 に加害 体験が重 な ることに よ って大

蓑5. 枚加害 6 群 における適応感得点の比較

早 交 友 家 族 部活 .サ‑クル

n 烹 SD n 烹 SD n 烹 SD

Ⅰ. 被 .加害な し 2 2 1 . 7 7 . 5 3 21 2 . 0 5 . 6 7 1 5 2 . 4 0 , 7 4

Ⅱ. 被 害 の み 2 5 1 . 6 8 . 6 3 2 5 1 . 5 6 . 5 8 2 0 1 . 9 0 . 7 9

Ⅲ . 被 害 あ り 8 3 1 . 8 6 . 6 3 8 2 1 . 7 6 . 7 3 4 6 2 . 0 0 . 7 9

Ⅳ. 被 .加害あり 5 7 1 . 9 1 , 6 1 5 6 1 . 8 4 . 7 8 3 6 2 . 0 8 . 8 0 V. 加 害 あ り 7 3 1 . 9 3 . 6 1 7 2 1 . 81 . 7 2 3 7 2 . l l . 8 1

Ⅵ. 加 害 の み 1 6 2 . 0 0 . 6 3 1 6 1 . 6 9 , 4 8 1 1 2 . 1 8 . 8 7

・群間差の認められた領域のみ表示 した 。

・宝は高得点ほど非適応的。不等号は王の高低を示すG

・ 。P<0 . 1 0 ,*P<0 . 0 5 。

学期の交友適応感が抑制 され る' 'のであ る。一方, Ⅲ ( 被害 のみ)群 では交友適応感 にお いては相 関が認 め られ ないれ サ ー クル適応感で高 い負の相 関か認 め られたo これは被害体験 だけを持つ者 の場合,被害体験が強 いは どサ ー クル活動や <活動 を媒介 と したサ ー クル集 団 との交流 >に関す る 適応感か低下す ることを意味す る 。 これ らか ら仮説③ も支持 をえた。

他方 ,被加害 6 群 の適応感得点を調べ ると, Ⅲ群 に比べ V ( 加害あ り)群 の交友適応感 か不 良な 傾 向かあ り (表 5), " 加害体験 を持つ者 は大学期 にな って も交友 関係 に非適応感をえやす い" と

‑ 39 ‑

(6)

示唆 され た。過去の加害 の要因 とな っていた何かか,大学期の交友領域 にもネガテ ィブに影響 し続 けているとか,過去の加害を加害体験 と して捉え返す,いわば 自責的な認知様式か大学期の交友領 域 に も過敏 な捉え返 しを させ るとい う解釈 も可能であろう。

以上要す るに,被害 ・加害 ともに,あるいは重合 して,大学期の交友適応感を低下 させ ると結論 できるか, これは新知見 と して よ りも仮説③の拡張 と位置づ けるべ きであろ う 。 とい うのは第‑ に, 森 田 ( 1 9 8 5 ) も指摘 し我 々の対象者 においては一層 そうであ る (図 1 参照) ように,被害 も加害 も 体験す る事例か相対的に多 く,過去の交友領域 において被害 一加害の連鎖か形成 されやす い と考え られ るか ら,被害 ・加害のいずれか一方のみが大学期の交友適応感 に影響を及ぼす と見 るよ りも, 双方 とも影響を及 ぼす と見 る方か 自然だか らであ る 。 第二の根拠 は,"「い じめ」 と 「い じめ られ」

の どち らであれ い じめ に関わ る中学生 に枯木 ・下 向き枝 ・曲が った枝 など,バー ンズの 「 無力 的 で とげ とげ しい」バ ウムが多 い" (福 島 1 9 9 1 , 3 0 ‑ 3 1 頁) とい う共通特徴か指摘 されてお り,かか る共通特徴が交友領域 に特 にネガ テ ィブな磯能を果 たす と考 え られ るか らである。 こう して被害 ・ 加害 ともに大学期の交友適応感を低下 させ,被害 ・加害の双方か揃 うと一層低下す ることになる 。

これに対 してサークル適応感 と家族適応感では,両者 ともに,被加害 6 群 間比較 (表 5 ) におい て, Ⅰ (被加害な し)群 の適応感れ 被害 あるいは加害体験かあ るものよ りも不良であるとい う新 知見かえ られた. この うちサー クル適応感は,前 出の ように Ⅱ ( 被害のみ)群では被害体験が強 い ほ ど不 良にな るのだが, それで も, Ⅱ群 を含めて被害体験を持つ者の方が全体 と して Ⅰ群 よ りも良 好なのであ る。被害体験 という交友領域 における外傷を,交友領域で直接 回復す るのではな く,間 接的に ・ク ッシ ョンをお いて, <サー クル活動を媒介 に した交流 >の 中で回復 しようとい う構えか 生 じることを通 して,サ ー クル適応感が良好 にな るのか も知れない.

家族適応感は被害 ・加害 いずれであ って もい じめに関わ った者の方 か Ⅰ群 よ りも良好 である。 そ の機制 と しては,い じめを契機 と した家族 関係の緊密化 とい うポジテ ィブな磯制か考え られ るか, 逆 に,次の よ うなネガテ ィブな磯制 も関与 しているか も知れない。即 ち,福 島の指摘 したバ ウム特 徴である枯木か ら示唆 され る劣等感 ・無力感 ・抑欝感 ・罪責感,下 向き枝か ら示唆され る失敗感 ・ 喪失感 ・葛藤等の不適応 ,曲が った枝か ら示唆され る,精神的エネルギーの流れの妨害 とそれ故の スムーズな流れへの努力 (高橋 ・高橋 1 9 8 6 ) な ど,否定的感情 ・葛藤,それ らの安定化 ・再適応 への努力か家族への しが みつきや準拠を強めさせ,その結果 と して大学期の家族適応感か主観的に は良好 な ものに保たれ る, とい う機制である 。

この節 では先ず仮説① ・③か確 かめ られ 次 に,被害体験 に加害体験か重 なることによ って大学 期の全体 的適応感 と交友適応感が一層抑制 され 加害体験を持つ者は大学期 にな って も交友 関係 に 非適応感 をえやす く,被害あ るいは加害体験をもつ者のサー クル適応感 と家族適応感が,被加害 な

し群 よ りも良好 になるな どの関係か見 出され,かか る関係か作 られ る磯制か次の ように考察 された。

即ち,劣等感 ・無力感 な ど生活空 間構造内の交友領域での障害か被害 ・加害体験 と大学期の不 良な

適応 とを もた らし,その補償 あるいは回復 の水路 と して,第‑ に <集 団的活動を媒介 にで きること

によって クッシ ョンをおける間接 的交流の場 >たるサークル による自我支持を求め,第二 に,家族

への しが みつ きや準拠 を もた らす とい う磯制や,大学期にな って も過去の加害体験を 自責 的に認知

させ る対人的過敏 さか交友領域での非適応感をもた らす とい う磯制であ る。なお,仮説② を支持す

(7)

るデータは見 出 されなか った。

Ⅲ‑2. 被害 の 時期 ・対処 と適応感

ここで は Ⅲ (被害 あ り)群 を対象 と して, <被害 の 時期 >お よび <被害 への対処 > (いずれ も, 該 当の選 択肢全 て を無制 限選択 ) と大学期の適応感 との関係 か,当該項 目の選択者 と非選 択者 の適 応感得 点の比較 に よ って探索 され る。 <被害の 時期 >に関 しては補助 的 に 「被害 な し」者 (Ⅰ群 +

Ⅵ群 ;表 中 C 群 ) との差 も調べ られた。差 か見 出され た項 目 ・領域 につ いて,結果 を表 6に一 括す る。 なお <被害 の 時期 >の選択肢 と しては小学校低学年 ・高学年 ・中学校 ・高校 ・浪人期 の 5時期 を設定 したが, 浪人期 に被害体験 を もつ者 は皆無 で あ った。 <被害への対処 >の選択肢 は 8 つ (表

3 参照) であ る。

義6. ( 被害の時期)搬 害への対処)と適応感

選 択 肢 領 域 Ⅲ (被 害 あ り )群 l l 芸詔 聖 霊 C. 被 害 な し者 (Ⅰ 十Ⅵ群) 比 較 a. 選 択 者 b. 非 選 択者

a: C ら : C n 烹 SD n 烹 SD

F 絵 蔓 葦 家 族 1 9 2 .1 6 . 9 0 6 3 1 . 6 3 . 6 3 > 2 . 3 7 ' 37 1 . 8 9 . 6 1 >* ‑ 寮 生 活 1 9 2 . 4 2 . 6 1 6 2 2 .1 0 . 6 7 > 1 . 8 8 0

3 8

2 .l l . 4 5 >* ‑ S A 1 9 2 . 3 7 . 6 8 6 4 2 . 0 3 . 5 9 > 2 .l l '

3 7

2 . 0 0 , 4 7 >* ‑

皇 ⊂ コ ( サークル )( 2 2 1 . 8 6 . 5 6 )( 4 4 2 , 2 7 . 7 2 ) ( 2 6 2 . 3 1 . 7 8 ) <* ‑

の 時

期 「 司 二 子‑ S A 3 7 1 . 9 5 . 5 2 4 6 2 . 2 4 . 6 7 < 2 .1 9 ' 3 7 2 , 0 0 , 4 7 < ○ 中 学 校 ( ( 家 サークル) 族) ( ( 3 1 4 16 9 2 .l 2 6 l . 9 4) 9 ) ( ( 4 2 8 18 7 1 . 9 5 7 3 . 6 4) 8) ‑ ( ( 3 2 7 18 6 2 . 3 9 1 : 6 7 1) 9 ) < ○ ‑ < ○

高 校

㌔ 交 友 5 2 . 4 0 . 5 5 7 8 1 . 8 2 . 6 2 > 2 . 0 4' 3 8 1 . 8 7 . 5 8 >○ ‑ サ ー ク ル 3 3 . 6 7 . 5 8 4 3 1 . 8 8 . 6 6 > 4 . 5 3

■ ‥

2 6 2 . 31 . 7 9 >* * <*

寮 生 活 4 2 . 7 5 . 5 0 7 7 2 .1 4 . 6 6 > 1 , 8 0 0 3 8 2 .l l . 4 5 >* ‑ S A 5 2 . 6 0 . 5 5 7 8 2 . 0 8 . 6 2 > 1 . 8 4 0 3 7 2 . 0 0 . 4 7 >* ‑

友 人 に 相 談 交 友 1 2 1 . 5 0 . 6 7 7 1 1 . 9 2 . 6 0 < 2 . l r

処 サ ー ク ル 8 1 . 5 0 . 5 3 3 8 2 .1 0 . 8 0 < 2 . 0 4' ・ 不等号は高 票は高得点ほど非適応的○ 低 を示す○

oP<0 .1 0 , *P<0 . 0 5 ,* * P<0 . 0 1 ,* * *P<0 . 0 0 1 0

(1)被 害 の時期 特 定時期 の特定領域 に限定 的な知見 の羅列 を避 け,比較 的広範 に現 れて い る 特徴 や時期 ごと ・領域 ごとの特徴 を ま とめ る と,次 の諸項 か え られ るO但 し第 7 項 は 限定 的知見 で あ る。

1) 一部 を除 いて群 間差 は次の よ うなパ ター ンを示す。選択者 (その時期 に被害か あ った者 ) と非 選択者 (その時期 には被害 が な く他 の時期 に被害か あ った者 ) との 間で差 か認 め られ る と,選択者 と 「被害 な し」者 との 間で も同方 向の差 か見 出され,その一 方で,非選択者 と C 群 の 闇では差 かな い, とい うパ ター ンで あ るC即 ちその時期 に被害体 験か あ る と,他 の時期 にお ける被害の有無 とは 無 関係 に大学期 の適応感 か規定 され ることが多 いの であ る。勿論,前節 で見 た よ うに被害 時期 とは

141‑

(8)

無関係の <一般的な >被害強度 ・被害の有無が大学期の適応感に影響す るのではあるか,それ と同 時に,被害時期か大学期の適応感 に対 して特異的な,他の時期の被害 よりもその時期の被害 こそか 影響力を もつ とい う意味で <不可逆的な >,影響を及ぼす ことか多 いと示唆 された。

2) 中学校期の被害体験か大学期の適応感 に及ぼす影響 は全般 に弱い。 これは, 中学校期の被害体 験 ・加害体験か どち らも, 自我 同一性 との関係が弱か った事実 ( 豊嶋 ・石永 ほか 1 9 9 3 , 3 0 ‑ 31 貢) とも符号す る。なお家族適応感では中学校期の選択者 か C 群 に比べて良好であるが,非選択者 との 間では差かないので,中学校期の被害の強い特徴 とは言 い難 いoサー クル適応感 において非選択者 と C 群 との間で見 出された差 とともに,前節で指摘 された " 被害 または加害体験かある者のサーク ル適応感 と家族適応感 か Ⅰ群 よ りも良好 になる"関係が,中学校期の被害において特 に明 らかであ ることを示すデータと見 るべきであろう。

3) 高校期 と小学校期の被害体験 は,全体的適応感 ( 寮生活適応感および SA)に関係 している。

但 し小学校低学年期 と高校期の被害体験は大学期の全体的適応感を低下 させ るのに対 して,小学校 高学年の被害は逆 に全体 的適応感を向上 させ ると見 られる。

これ らの うち,先ず高校期の被害体験 による低下 は二つの理 由 ・磯制か関与 していよう。第‑は, それか直近の体験であるために外傷 と して残 りやす いことである 。 第二は,我 々の対象者の殆 どか

<進学校 >かまたは <進学 クラス >出身であることを考え ると,森 田 ( 1 9 8 5 ) が指摘 した大学進学 志望者の価値 的雰囲気 ( 文化)の 中での被害体験か,多数派か らの疎外感を うみ,外傷を強め深め るという機制であるO ここで <進学校 >の価値的雰囲気 とは, " 受験戦争の レールを踏み外すまい とい じめに距離をおき,傍観者 に留ま りかちな安定志向の <良い子 >集 団' ' ( 森 田 1 9 8 5 ,3 3 頁) が形成す るであろう文化であ って,そこでは 「い じめ」は極 く少数 とな り,被害者を支え援助す る ような友人関係 もえに くくなると考え られる 。 事実,我 々の対象者 において高校期 に被害体験を持 つ者は 6 名,加害体験を持つ者は 1 名に留まっている。

次 に,小学校低学年期 の被害 による全体的適応感の低下は,よ り基底的な次の二つの適応障害 に 関係 して いるか も知れない。第‑は,学校生活や同年令集 団との関わ りの基底か確立 され るべ き時 期 に,大学期 にな って もなお 「被害」 として認知 され続けるほ どの被害を体験 して しまったことに よる基底的な学校 (あるいは集 団生活)適応障害である。第二の適応障害 とは,前述の よ うに被害 体験は一般 に家族適応感 にはポジテ ィブに機能す るにもかかわ らず, この時期の被害体験 はそれに ネガテ ィブに機能す るという逆転か ら示唆され るものである。即 ち,小学校低学年期の前後,ある いはそれ以前 に存在 した家族 との間の基底的適応障害か この時期の被害体験 とネガテ ィブに相互作 用 しあい,その結果,大学期の家族適応感 も全体的適応感 も抑制 されるとい う機制か関与 している か も知れない。

なお小学校高学年期の被害 と全体的適応感 との関係は,次項で考察 される 。

4) 小学校高学年期の被害は,他の時期 とは逆 に,大学期の適応感 に対 してポジテ ィブな影響を及

ぼ している。選択者 と非選択者の間には差か認めかたいサークル適応感 において も,選択者 と C 群

の間に同方 向の差かあること,さ らに, SAにおいては非選択者 ( 他の時期 に被害あ り) と比べて

も C 群か不良な適応感を示す ことは,高学年での被害か大学期の適応感 に及ぼすポジテ ィブな影響

を一層鮮 明にす る。要す るに大学期の適応 に対す る機能か ら見 ると,小学校高学年 における被害体

験の意味は他の時期 とは異質であると言えよう 。 ここか ら二つの解釈が導き うる。

(9)

第一の解釈は, "この時期 になると,被害体験を契機 に して,交友関係の とり方 ・学校生活の送 り方 につ いて試行錯誤や模索かで きるようにな り,結果的に却 ってその後の交友適応や集 団的活動 での適応,ひいては全体 的適応感な どが改善 してい ぐ'とい う解釈である。この場合, 仮説② (" 被 害体験を契機 と した人格発達 もあ りうる' ')は間接的な支持をえたことになる。但 しその場合で も, 他の時期,特 に小学校低学年期 と高校期の被害体験 は大学期の適応感を低下 させやす いか ら,仮説

② には " 小学校低学年期 ( 被害体験か基底的な適応 障害に関係 しやすい時期)を過ぎてか らの被害 であ り,かつ直近の被害で もないこど'という限定を付す必要があろう。

他方, この時期の加害体験は他の時期のそれ とは逆に,大学期の 自我同一性に対 して もやは りポ ジテ ィブな影響を与え, さらに, この時期の被害体験は 自我 同一性 にネガテ ィブな影響は与えない ことが示 されている ( 豊嶋 ・石永 ほか 1 9 9 3 , 3 1 ‑ 3 2 頁)。 これに注 目す ると第二の解釈 も導 出でき よう。即 ち被害 にせ よ加害 にせ よこの時期の 「い じめ」は,ダイナ ミックな交友関係の中で生 じや す く,そのダイナ ミズムに入 っていけるほどの活動性や積極性か,その時期 における被害や加害を もた らす とともに,後続の交友〜集団的活動領域 における良好な適応感や良好な全体的適応感を準 備 してい く, とい う解釈である。

5) 3 , 4 項での指摘をまとめると,次の仮説を提 出できよう。 " 被害 も加害 も小学校低学年 と高 校期 における体験が,大学期の全体的適応感 と自我 同一性 との双方 に対 してネガテ ィブな影響を与 えるのに対 して,小学校高学年での体験かポジティブに影響 し,その一方で中学校期 における体験 の影響力 は弱い' 'という仮説 ( 仮説④)である。なおこの仮説の中の加害体験 と全体的適応感 との 関係 につ いては, Ⅱ‑ 3 節で検証 される。

6) 大学期の学業適応感は, どの時期の被害体験 とも関係か弱い。表 4 の通 り,全対象者 において も被加害 6 群別に見て も,被害体験強度 と学業適応感 との相関か見 出せなか った ことと併せ ると, 大学親の学業は過去の被害体験 とは相対的に独立 した生活空 間領域を構成 していると言え よう0 7) 高校期の被害体験 と大学期のサークル適応感の関係はt字型を呈す る。 この時期 に被害体験か あるとサークル適応感は極 く不良 とな り,他の時期の被害体験か良好なサー クル適応感を もた らし, 被害体験が全 くないとやや不良になるとい う関係である。高校期の被害体験が直近の体験であるた めに不良 になる磯制 と,前章で述べた, " 交友領域 における外傷を,間接的に ・ク ッシ ョンをおい て, <集 団的活動を媒介 に した交流 >の中で回復 しよう"とい う補償の構え とか重な って,かか る 関係が もた らされたと解 される 。

( 2)被害への対処 8 つの対処夫 々の選択の有無 と大学期の適応 との関係か探索 され ( 表 6) ,

「我慢 した,耐えた」 という対処か大学期の交友適応感を不 良に し, 「 友達 に相談 した」 との対処 が交友 とサークル適応感を良好 に し, 「 逃げ回 った り,欠席 した」か寮生活適応感を良好 にす ると 示唆された。 また 8つの対処 につ いて選択に 1点,非選択に 0点を割 り当てて実施 した数量化 Ⅲ類 によってえ られた主要 5 軸のカテゴ リー係数 ( 表 7) との相 関係数 も調べ られたか,軸 2 ( 「 友人

‑の相談」)においてのみ関連か認め られたQ交友適応感 との間で 1 . 3 1 8(p<0 . 0 5 ) ,サークル 適応感 との間で ‑ . 2 4 9(p<0 . 1 0 ) である。 これを Ⅱ ( 被害のみ)群 に限って見 ると,交友適応感

と軸 2 の相関係数は ‑ . 4 3 4(p<0 . 0 5 ) になる。

これ らの うち,友人への相談がポジティブに横能す ることは,周囲の人への相談が被害の軽減や

‑ 43‑

(10)

表 7. ( 被害への対処)に対 する数量化 皿類の軸 とカテゴ リー係数

被 害 へ の対 処 軸 1: 軸2 : 軸3: 軸4: 軸

5

: 1 ) 我 慢 . 耐 え た .1 4 8 ‑ . 2 3 7 ‑ , 2 9 1 . 0 2 8 ‑ . 0 1 6 2) 無 視 . 2 21 ‑ . 1 1 1 ‑ . 2 3 7 . 2 9 4 . 0 0 9

3 )自 分 だ け で 反 撃 ‑. ‑, ‑. . . 5 3 6 0 0 5 9 3 7 2 3 6 3 7 9 潤 . 7 5 8 . 3 8 5 ‑. 3 4 5 4) 家 族 に 相 談 . 2 4 3 ‑ . 1 0 3 . 1 4 5 5 ) 友 達 に 相 談 ∴1 5 9 ‑ . 2 5 7 . 0 2 8 6 ) 先 生 に 相 談 . 0 8 5 . 2 2 0 . 7 8 5 7 ) 逃 げ 回 り .欠

‑ . 2 6 7 ‑ . 1 0 8 ‑. 4 8 4 8 ) 仲良 くなろうとした ,1 5 9 ‑ . 2 4 5 . 3 5 0 ‑. 7 9 3 . 0 9 1

・軸 6 以下は寄与率が 7% 以下であるので軸 5 までで打ち切った。

「い じめ」の解消を もた らす と した山本 ・坂西 ( 1 9 8 8 ) に符合 してい るO Lか しそれか大 学期の交 友 ・サ ー クル領域の適応感を良好 にす る現象 を説 明す るため には・ 山本 ・坂西の言 う " 直接の解決 効果' ・だ けではな く,友人 に相談 できるだけの交友 スキル ・レデ ィネスか既 にその時点であ った こ とや,友 人 による 自我支持の体験 によ って,後続 の交友や <集 団活動 を媒介 と した交流 >が支え ら れて い く機制 も想定すべ きであ ろ う 。 しか しいずれ にせ よ,被害体験 を契機 に した友人 との交流か 後鏡 の交友 ・交流適応感 を支えて い くと解 され, その よ うな対処が とれた被害者 には, "い じめを き っか け と した発達"かえ られやす い と言 え,その意味で仮 説② は部分 的に支持 された。

「 我慢 した,耐えた」 とい う. いわば消極 的 ・非 ( 漢)対 人 的な孤独な対処が交友適応感を抑制 す るのは,被害時点 におけ る交友か らの 自我支持の不十分 さや,友人 に助 けを求 め るスキル ・レデ ィ ネスの不 十分 さが,大学期 にな って も対人交流の困難 と して尾をひ くためか も知れない。

「 逃 げ回 った り,欠席 した」か寮生活適応感を良好 にす る墳制は不詳であ る。事実 と して指摘す るに留 め る 。

以上本 節 では,先ず <被害の時期 >の分析 にお いて,小学校 高学年 に限定すれば仮説② (" 被害体 験 を契機 と した人格発達 もあ りうる' ')か支持 され た。次 に,被害の時期か,他の時期 における被 害の有無 にかかわ らず,大学期の適応感 に特異 的 ・<不可逆 的 >な影響を及 ぼす ことか多 い こと, 小学校低 学年 と高校期の被害体験 か大学期の全体 的適応感 にネガ テ ィブに機能 し,小学校 高学年の 被害体験 か交友適応感 と全体 的適応感 にポ ジテ ィブに墳能す ること, 中学校期の被害体験 は大学期 の適応感 との関係 が弱い ことか見 出され,それ らの磯制 ・要 因か考察 され,特 に小学校低 学年 での 被害 につ いて は,学校生活 ( 集 団生活)お よび/ または家族 関係の, よ り基底的な適応 障害 に関係 す るとの解釈 を提 出 した。 さ らに, 自我 同一性 に関す る前報の知見 とも総合 して,被害 ・加害の 時 期 と全体 的適応の関係 について表 8 の よ うな新仮説 ( 仮説④ )が提 出された。 その うち小学校高学 年 での被 害 ・加害が果たすポ ジテ ィブな機能 については, "この時期のダイナ ミックな交友 関係 に 入 ってい け ることが, この時期の被害 と加害 を体験 させやす くす るか,それ と同時 に後続 の交友 〜 集 団的活動領域での適応 や全体 的適応の レデ ィネス とな る" とい う説明仮説か提 出された。最後 に,

<被害への対処 >の分析 か らは,友人への相談が大学期の交友やサー クル領域 におけ る適応感を支

(11)

え るのに対 して, 「 我慢 ・耐え る」 とい った消極的で孤独な対 処が交友適応感を抑制す ることか知 られ その機制か考察 され た。また友人‑の相談かできた者の場合,被害体験 と相談 とか 契機 にな って後続の発達が支え られ るとい う意味では,仮説② は部分的 に支持 された。

Ⅲ‑3. 加害の時期,周囲のい じめへの対応 と適応感

( 1)加害の時期 表 9 にⅤ (加害あ り)群の間での比較結 果 と, 「加害 な し」者 (Ⅰ群 十 Ⅲ群 ;麦 9の 「C] 群) との比 較結果を一括 した。以下,探索的 アプ ローチの後 に仮説④か検 証 され る。

ノ表 9. く 加害の時期)と適応感

姦8. 枚加害の時期 と大学期の 適応 との関係 についての 仮説的モデル

自 我 被加害の 全体的 同一性 時 期 適応感

‑ ノ 」 、 学校低学年 ‑ 十 小学校高学年 十

0 0

I‑被加害体験があるほど低下 十‑被加害体験があるほど向上 0・ ・ ・ 被加害体験との関係が弔い

a. 選 択 者 b. 非選択者

a: C b : C

低 学 年 サ ー ク ル 6 2 , 8 31 . 1 7 31 1 . 9 7 . 6 6 > 2 . 5 8 * 3 5 2 .l l . 8 0 >○ ‑ 家 族 3 6 1 . 6 1 . 6 9 3 6 2 . 0 0 , 7 2 < 2 . 3 5 * 4 6 1 . 7 8 . 6 6 ‑ ‑ ‑ (S A )( 3 7 2 . 0 0 . 5 3 )( 3 6 2 . 2 2 . 6 4) 4 6 1 . 9 8 . 4 9 >○

・差の認められた領域のみ表示Q ()は a‑b 差なしO

・王は高得点ほど非適応的o不等号は高低を示す C

・ 。P<0 .1 0 , *P<0 . 0 5 。

選択者 と非選択者の間で差か認 め られたのは,小学校低学年期の加害体験 とサークル適応感,小 学校高学年期の加害体験 と家族適応感の二者のみであ り,加害体験時期 と大学期の適応感 との関係 は全般 に弱い。 しか し選択者 と C 群の比較 にも注意す ると,小学校低学年 と中学校 における加害が 交友適応感を不 良にす る傾向か見 出され る。 これ らか ら次の小括 と考察が導かれ る。

1) 小学校低学年 と中学期の加害体験か大学期の交友や <集 団的活動を媒介 に した交流 >領域 にお ける適応感を低下 させ る。 Ⅱ‑ 1節で見 出 した ̀ 加 害体験を持つ者は大学期 にな って も交友関係 に 非適応感をえやす い" とい う関係 は,特に小学校低学年 と中学期の加害体験 につ いてあてはまるの である。 " 過去の加害の要因 とな っていた何かが,大学期の交友領域 にもネガテ ィブに影響 し続 け る" とか " 過去の行為を加害体験 と して 自責的に認知す る対人的過敏 さか交友領域での非適応感を もた らす ' ' (Ⅱ‑ 1節) とい う解釈か可能であろう。

2) 小学校高学年の加害体験か大学期の家族適応感 を良好 にす ると示唆 され るが, これは Ⅱ‑ 1節 で述べ た, " 加害体験を持つ者 における良好 な家族適応感"は特 に小学校高学年 における加害で明 かであると言え よう。その機制 と しては "「い じめ」を契機 に した家族関係 の緊密化"や "「い じ

‑ 4 5 1

(12)

め」 に向かわせ るよ うな劣等感 ・無力感 による家族への しがみつきや準拠" (Ⅱ‑ 1節)などが考 え られ る 。

3) 小学校高学年での加害体験は他の時期の加害体験 とは逆 に,大学期の適応感 にポ ジテ ィブな機 能をもち, これは次 に論 じられ る仮説④の下位命題の検証 にもなる 。

4) 仮説④ を検証す ると,先ず高校期の加害 については, この時期 に加害体験を持つ者か 1名 に過 ぎないか ら保留 され 次 に,高校期以外の時期での加害体験 について も,寮生活適応感 と SA とも に選択者 と非選択者の間に差かない ( p> 0 . 1 0) 。 こうして仮説④ は棄却できるかに見え る。

しか し,小学校高学年での非選択者,即ちこの時期以外で加害体験を持つ群 ( 高校での加害体験 あ りは 1名なので,実質 的には小低学年 と中学期 に加害体験 を持つ者か ら構成 され る)は, C群 よ りも SA が不 良である (表 8 の 「b: C」 列) 。 また小学校高学年での選択者の SA 得点 ( 2 . 0 0 ) と非選択者の得点 ( 2 . 22 ) の差 は,有意水準が 1 0 .9 % ( t ‑ 1 .5 8 ) に達 している。 このよ うな根拠 によって,仮説④を構成す る ̀ ̀ 小学校高学年での加害体験か大学期の全体 的適応感を良好 にす る' ' とい う命題は,支持 され る。 さ らに,小学校低学年 または中学期の加害体験か全体 的適応感を不 良 に してい ること,および,中学期の全体的適応感 には差か見 出されなか った ことによって,仮説④ を構成す る " 小学校低学年での加害体験は全体 的適応感を不 良にす る' ' "中学期の加害体験は全体 的適応感 との関係か弱い' 'とい う二つの命題 も消極 的な証拠をえた。加えて,中学期 につ いては選 択者 と非選択者の間で差が認め られた領域が皆無であることも, "中学期の加害体験は関係が弱い ' 'とい う命題を間接的に支持 している。とい うのはこの調査で設定 した生活空間領域別の適応感は, 理論的に見て も, 我 々の一連の大学生研究の多 くの資料 によって も, 一般 に全体 的適応感 との間でポ

ジテ ィブな関連を もつ と見倣 しうるか らである 。 ちなみに対象者 における領域別適応感 と SA との 相関係数 は,学業適応感 との間で . 41 0 ,交友適応感で .5 3 6 ,家族適応感で .3 6 1 ,サークル適応感で .1 7 3 ,寮生活適応感で .40 9 であ り,寮生活適応感 との相関係数は,学業適応感 との間で .2 6 3 ,交友 適応感で . 43 1 ,家族適応感で . 3 8 5 ,サークル適応感で ,0 9 2 であ った ( サークル適応感が n‑72‑7 3 , ms . 。他 は n‑1 1 8‑1 2 1 , p<0 . 0 0 1 ) 。 これ らか ら,仮説④は高校期を除き,支持 された。

( 2)周 囲のい じめへの対応 時期別 ( 小 ・中 ・高の 3時期)に表 3の 5つの対応型か ら主対応 義1 0. く 周囲のい じめへの対応)と適応感

期 領 域 A. n 債権 的対応 烹 S D ら n .消極 的対応 烹 S D n C. 観 叉 衆 S D 比 較( t 検定 ) 小 卒 業 4 9 2 . 3 1 . 6 5 2 9 2 . 2 8 . 5 3 7 2 . 7 1 . 7 6 Ⅱ< Ⅲo

学 交 友 4 9 1 . 8 8 . 7 3 2 9 1 . 8 3 . 5 4 7 2 . 2 9 . 4 9 Ⅱ< Ⅲ*

枚 サ ー クル 3 2 2 .1 3 . 8 3 1 8 2 . 0 0 . 6 9 2 3 . 0 0 1 . 4 1 Ⅱ< Ⅲ○

学 校 交 寮 生 活 友 3 3 2 1 1 2 . . 6 0 6 . 0 . 5 6 5 4 3 4 4 1 4 2 . . 8 1 8 . 9 . 5 5 8 0 3 2 3 2 . . 3 0 3 . 0 . 5 0 8 0 Ⅱ> Ⅰ<ⅡO,Ⅰ< Ⅲ* Ⅲ*

E j l 司

枚 学 業 1 0 2 . 6 0 . 5 2 1 6 2.38 . 6 2 2 2 . 0 0 . 0 0 Ⅰ> Ⅲ* * ,Ⅱ> Ⅲ*

交 友 1 0 2 . 3 0 . 6 7 1 6 1.81 . 54 2 1 . 5 0 . 7 1 Ⅰ> Ⅱo 家 族 1 0 2 . 4 0 . 8 4 1 6 1.88 .50 2 1 . 5 0 . 7 1 Ⅰ> Ⅱo

。P< 0 . 1 0 , *P< 0 . 0 5 ,* *P< 0 . 0 1 0

を‑肢選択 させ

たか,複数選択

者 も多か ったた

めに 「積極的対

応 」 「消極的対

応 」 「観衆」の

3 型に反応を大

別 5) し統計処理

理を行 った ( 表

1 0) 。比較的広範

に現れている特

徴や,時期 ごと

(13)

・領域 ごとの特徴をまとめる

1) 周囲のい じめへの対応の仕方は,時期か違 うと大学期の適応感に異なる方向の影響を及ぼす と 見 られることか興味深い。小学校 〜中学期,ことに小学校期の対応は, 観衆的対応 (おも しろがる ・ はやすな ど)ほど大学期の適応感が不良にな り,積極的対応 ( 仲裁および同情的傍観)を とるほど 良好 になるのに,中学〜高校期, ことに高校期では,観衆や消極的対応ほど大学期の適応感か良好 に,積極的対応 ( 消極的傍戟および場面逃避)ほど不良になるという逆転がそれであるO この うち, 小学校〜中学期の結果は,この時期に対人的積極性や援助の規範 ・スキルを獲得 しているほど,学 業領域を含む生活諸領域 にその後 も積極的に関わ り,支え られていきやすいことを示唆す るもので ある それに対 して中学〜高校期の結果は,やや解釈か困難である。 <傍観的な " 良い子" >を主 流派 とす る高校の生徒文化の中で,積極的対応か却 って疎外感をもた らして後続の適応感か広 く阻 害されるのか も知れない.あるいは,拡散的同一性 ( D‑ N 中間)地位者か圧倒的多数派を形成する 大学社会 一案集団 ( 豊嶋 ・石永 1 9 9 3 ) において, " 私生活の安息を妨げぬ限 りで,数人の小 グル ープに依存す るが, 自分を傷つけぬために現実‑のコ ミッ トメン トを回避 し,他者 との深 い関わ り を欠 く 「繭の 中のカイコ」状況" ( 石井 1 9 8 1 ) という学生文化の中で,主観的に良好な適応感を 良好 に保つためには,中 ・高期か ら既に他者援助を避け浅 く軽い対人交流様式を身につけておいた 方がよい, ということか も知れない。

2) 周囲のい じめに対す るどの時期の対応 も,方向性の違いはあれ大学期の交友適応感に影響を及 ぼす と示唆された。全ての時期について関連性を持つ領域は他にはな く,小学校ではサークル適応 感 との関連 も見出されているか ら,周囲のい じめに対 して援助的な関わ りか とれるか否かや,援助 的感情 ・対決‑の構えが喚起 されるか否かか,大学期の交友 ・対人交流に広 く影響す ると言えよう 。

但 し,中学期 までの対応が持つ影響 と高校期のそれ とに方向性の逆転があることは,前項で指摘 し た通 り̀ である 。

3) 寮生活適応感に対 しては,中学期以降の積極的対応がむ しろネガテ ィブな関連を持つ。中 ・高 期 という比較的近い時期 に " 援助的な関わ り ・感情,他者‑の対決の構え"を現 していた というこ とは,大学期にな ってもかかる構えを出 しやすいと示唆され,それか寮 とい う共同生活の場では却 って疎まれた り空転す ることによって,寮生活適応感か低下するのか も知れない。

以上本節では,先ず <加害の時期 >に関 して仮説④か概ね支持 されたほか, <周囲のい じめ>に 積極的 ・援助的な行動や構えではな く観衆 として関わ った り,小学校低学年 と中学期 に加害体験か あると,大学期の適応感は交友や <集団活動を媒介 と した交流 >の領域を中心に低下 しやすいこと,

しか しそれ とは逆に,小学校高学年の加害や,高校期の <周囲のい じめ>に対す る消極的あるいは 観衆的関わ りは,比較的多 くの領域で大学期の適応感を良好 にすること,中 ・高期の <周囲のい じ め>に対す る積極的対応か大学期の寮生活適応感を悪化 させ ることなどが示 された。 これ らの うち 高校期の <周囲のい じめ >に対す る積極的 ・援助的対応か大学期の適応感に対 して持っネガティブ な影響は,大学進学志望者集団における傍観者的な価値的雰囲気 と,浅い交流 ・拡散的な適応によ って特徴づけ られる学生文化 との関連で考察 されたか,要す るに,加害 も<周囲のい じめ >への対 応 も,その時期によって大学期の適応感に対 して与える影響の方向か異なることか重要な知見 と言 えよう 。

‑ 47 ‑

(14)

D I. 「い じめ ・い じめ られ体墳」への意味づけと適応感

Ⅲ ( 被害 あ り)群 における 「過去の被害への意味づけ」得 点,および, V ( 加害 あ り)群 におけ る 「 過去 の加害への意味づけ」得点 と適応感得点 との相関係数 によ って,意味づけ との関係 を鳥取

表 1 1 . く被害 ・加害への意味づけ)適応感 の相関関係

‑被害あ L J( 皿) 群 と加害あ L )(Ⅴ) 群 について ‑

現 在 の 意 味 づ け 学 業 交 領 友 家 族 サークル 域 寮 生 活 /s A

坐 ⊂ : : : : I あ り

群 被 皇 ⊂ コ思い 出 した くない 気 に して い な い しつ け .戟 育 を ‑ . . 3 2 8 7 8' 1 ‥ ‑ . 3 1 7 日

・十はその項目への同意が強いほど適応感が良好になる。‑は逆。

・空欄 P>0 .1 0 , oP<0 .1 0 , *P<0 . 0 5 , * *P<0 . 0 1 0

轟1 乙 く 被害 ・加害への意味づ け)適応感の相 関関係

一被害 のみ (Ⅰ) 杏,被加害あ り( Ⅳ) 群,加害 のみ ( Ⅵ ) 群 について ‑

群 現在の意味づけ( 軸) 領 域 S A

学 業 交 友 家 族 サ‑クル 寮 生 活 被 対 成 長 の き っ か け Ⅱ くや しい .許せない 4 2 7' . 3 7 9 0 . 3 8 4 0 . 4 3 8

'

. 5 2 6 ‥ 皇 ⊂ = ー

辛 被 み 皇 ⊂ = ー思い 出 した くない 気 に して い な い しつ け .教 育 を ‑ : . , 4 5 3 4 4 2 3. 9日 8 0 ‑ . 4 0 6 ■

Ⅳ 対 成 長 の き っ か け 被 思い 出 した くない くや しい .許せない ‑ ‑ . . 3 4 4 4 4日 ‑ 7 日 ‑ . . 2 3 3 4 2 7 0 日 ‑ ‑ . . 3 3 7 1 5 1 日 ■ 被

皇 三 ⊂ 巨 コ気 に して い な い しつ け .戟 育 を , 3 3 5■ . 2 3 2 0 . 2 9 9 ■

⊂ = ー 義 り

群 対 加 圭 一 = コ一 種 の 遊 び 社会 .学校にも問題 被 害 者 に も 問 題 後 悔 し て い る かえ って良か つた ‑ , 2 3 3 0 ‑ ‑ . . . 2 2 3 4 2 5 9 3 7 0 0 ■ ‑ . 2 6 2 0 ‑ . 2 3 3 0

・十はその項 目への同意が強いほど適応感得点が良好になる。‑は逆 。

・空欄 P>0 .1 0 , 。P<0 .1 0 ,* P<0 . 0 5 ,* P<0 . 0 1 0

す る ( 表 1 1 )。 しか し前報 で見 たよ うに, 例えば Ⅲ (被害あ り) 群の 中で もⅡ ( 被害 のみ)群 とⅣ ( 被加 害あ り)群 とでは異 なる結果かえ られ る 可能性かあ る。 そ こ で,次 に他の群 ( Ⅱ

;被害の み,Ⅳ ;被 加害 あ り,Ⅵ ; 加害 のみ)で 同様の分析 か行われた。 Ⅲ群 に よる知見か 1‑ 4項 に,次に, 5 項以下 では D, Ⅳ , Ⅵ群の 分析結果 (表 1 2 ) か まとめ られ る。

1) 被害 ・加害 いず れ‑の意 味づ け もSA

との関連が弱いか, 寮生活適応感 との関 連か認 め られ るとい う意味で全体 的適応 感 と関係 してお り, 交友適応感 とも関連 をもつ。

2) 被害‑の意味づ けでは . 「くや しい ・ 許せな い」 「 思 いだ

した くない」 とい う

外傷的な こだわ りが

強いほ ど,交友 およ

び生活の場 (寮 と家

(15)

族)での適応感か低下 し, 「 気に していない」 とい う "こだわ りか らの解放"か進んでいるほど交 友適応感か良好 になる。一次元的に,被害体験への こだわ りの有無が鍵であることかわか る。

3) 前述の "こだわ りか らの解放"か大学期の適応感を良好 にす るとの知見は,解放かできた場合 については,仮説② (" 被害体験を契機 と した人格発達 もあ りうる")か支持 され ることを意味す るが,解放 とは発達の契機 とも発達の所産 とも決めがたい。従 って,仮説②はここでは保管された と見 るべきであろう。 しか も 「 成長のきっかけ」 と適応感 との関係は全般 に弱い。そ う認知できよ うができまいか <人格発達 >との リニア‑な関連はないのである。 Ⅲ群の 「被害‑の意味づけ」の 分析の限 りでは,総 じて,仮説② は明確な支持を欠 く。

4) 加害への意味づ けではやや複雑な関係か見 出された。 「 後悔 している」の結果か ら,加害が外 傷体験 と して残 るほ ど交友適応感 と全体的適応感か低下す ることか知 られるか,それに対 して 「社 会 ・学校 にも問題かある 」 「 被害者にも問題かある」 といった責任転嫁 ・合理化の構えが強いほど, 学業適応感 は低下す るものの,交友や <集 団活動を媒介 と した交流 >における適応感は良好 になる のである。大学期の交友 ・交流適応感か,浅い レヴェルの, 自己直面や対決を欠 くものに留ま りか ちなことが示唆され る。 とはいえ 「 社会 ・学校にも問題」は交友適応感を低下 させ も しているので,

" 責任転嫁 ・合理化"か この領域 に果たす機能は両向的 とも言えよう。

5) ここでは Ⅱ ( 被害のみ)群か らの知見がまとめ られる。

①被害体験を 「 成長のき っかけ」 と意味づけできているほど,交友 ・家族 ・寮生活適応感 とSAと が良好 になる。 さらに 「思 いだ した くない」 と認知す るほど,交友適応感が低下す る。また,既に

Ⅱ‑ 2 節の (2) で触れたことであるが , Ⅲ群において,交友適応感 と数量化 Ⅲ類による軸 2 ( 「 友人 への相談」) との間には ‑ . 4 3 4( p< 0 . 0 5 ) の相関係数え られ,友人‑の相談が後続の適応感を支え ることもわか る。被害体験に直面す る構えか強 く,友人に相談でき,成長の契機 とな しえた者にお いては, ̀ 大学期の交友や生活の場 ( 家族,秦)における適応感 と全体 的適応感か良好 にな り, その 意味で仮説②は支持 され た と言え よう。 しか し逆に言えば,被害体験への直面や友人か らの支えに 欠け,成長のき っかけと認知す るのに失敗 した場合,大学期の適応感は抑制 されるか ら,仮説②は

く被害体験‑の適切な対処 >という媒介かあって始めて成立す る仮説に過ぎぬ と見倣すべ きである。

実はこれまでの仮説② に関す る検討では, " 友人‑の相談を媒介 に した発達" と " 小学校高学年期 のダイナ ミックな友人関係に入れ る中での被害体験 による発達" とかあ りうると考察 されたに留ま っている。いずれ も媒介項や前提条件か付 され る。仮説②を無媒介 に提示す ることは,加害者や, い じめに有効な対処ができない教 師の合理化 と遁辞を利す る危険があると主張 したい。

②学業適応感は 「くや しい ・許せ ない 」 「 思いだ した くない 」 「( 親や教師が もっと) しつけ ・教 育を」 とす るほ ど良好に, 「 気に していない」 とす るほ ど不良になる。外傷的なこだわ りが強いほ ど,権威依存あるいは知性化によ ってこだわ りを処理す る構えが強いほど,学業に傾注 した り学業 か ら自我支持をえ ようとす ると示唆され,外傷 によって低下 した 自尊を回復す る通路 と して学業か 機能 しているのか も知れない。ちなみに学業は前章 まででは 「い じめ」 との関連が弱い領域であ っ た し, この章で も他の群では<意味づけ>との関連 は弱いにもかかわ らず, Ⅱ群 においてのみかか る関係が見 出され ることは興味深 い。大学期の学業適応感の特殊性が示唆されたと言え よう。

6) Ⅳ (被害 ・加害 ともにあ り)群での結果はⅢ ・ Ⅴ群 とほぼ同様であ り,被害 ・加害への意味

けと大学期の適応感 との関連性は Ⅲ〜 V群で共通す ると言え る。但 し, 「社会 ・学校 にも問題」 と

‑4 9‑

(16)

い う認知 か強いほ ど SA が不良になるのはこの群でのみ明かな関係であ り,逆 に, Ⅴ群では認め ら れた 「 社会 ・学校 にも問題」 とす るは どサークル適応感か良好 になる関係は, この群では見 出 しえ ない。従 って この群 においては,過去の加害の " 責任転嫁 ・合理化の構え"か大学期の適応感を良 好にす る程度は, Ⅴ群 よ りも小 さいと言える。

7) Ⅵ (加害のみ)群では, 「 一種の遊び 」 「 被害者にも問題かある」 とい った " 責任転嫁 ・合理 化の構え"か強いは どサークル ・寮生活適応感を良好 に し, 「 後悔 している」か学業適応感を良好 にす る関係が認 め られた。過去の加害体験‑の こだわ り ・自責感か, <集 団的活動を媒介 と した交 流 >や集 団生活 における適応感を抑制す る一方で,禰償的に学業に向かわせ ることか窺われ る。

以上,本章の探索的アプ ローチか らは,被害体験 に対す る外傷的なこだわ りの強 さか不 良な交友 適応感 に結び付 くこと,加害体験を持たない被害体験のみの者では,被害体験に直面でき友人‑の 相談や成長の契機 と しての捉え返 しを媒介 に,交友適応感 と全体的適応感か良好 になること,良好 な学業適応感 は,一方では被害体験‑の こだわ り ・知性化 による防衛, 他方 では, 加害体験‑の こだ わ り ・自責感か ら. もた らされやす いこと,加害体験 を " 責任転嫁 ・合理化' 'す る構えか交友 ・<集 団的活動 を媒介 と した交流 >での適応感や全体的適応感を良好 にす ることな どが示唆され た。次 に 仮説② ( " 被害体験を契機 と した人格発達 もあ りうる")については,被害‑の直面 と友人への相 談 とい った <適切な対処 >が とられ,成長感か事後 的にえ られ る限 りにおいて大学期の高い適応か もた らされ ると解 され,仮説は一応の支持をえたか, しか し仮説②を無 限定 ・無媒介 に主張す るの は粗す ぎ,実践的 ・教育的に危険が大きいと指摘 された。

Ⅳ. . 要約 と展望

女子学生 に対す る " 内側か らの調査"によってえ られた資料か ら,大学期の主要生活空 間領域 に おける適応感お よび全体的適応感 と<被害 ・加害体験強度 ><被害の時期 ><被害への対処 ><加 害の時期 ><周囲のい じめ‑の対応 ><被書 ・加害‑の意味づけ >との関係を探索 しなが ら,前報 や先行研究か ら導かれた仮説① ( 被害体験が全体的適応感 に対 してネガテ ィブな長期的影響を及ぼ す),仮説② ( 被害体験 を契機 に した人格発達 もあ りうる),仮説③ ( 被害体験か交友領域での非 適応を もた らす)の検証 と,本稿の展開のなかで提 出された仮説④ (自我同一性 と全体的適応感の 双方 に対 して,小学校低学年期の被害 ・加害がネガテ ィブに,高学年期のそれ らかポジテ ィブに機 能 し,中学期のそれ らは関連が弱 く,高校期のそれ らは再びネガテ ィブに機能す る)の検証か行わ れた。

仮説検証的アプ ローチの結果をまとめると,先ず仮説①③ は,被害体験の強度および有無 との関

係の分析 によって支持 され, さらに進んで,加害体験 も大学期の交友適応感を抑制す ること, " 被

害体験 に加害体験が重な ることによって大学期の交友適応感 と全体的適応感 を一層抑制す る" との

理解かえ られた。仮説④ も,高校期 に加害体験を持つ者か 1名のみのために高校期の加害 について

は留保 されたものの,基本的に支持 され, ̀ ̀ 小学校 高学年期 における被害 ・加害が大学期の適応感

に対 してポ ジテ ィブな機能を果 たす" という予想外の結果については, この時期のダイナ ミックな

(17)

児童間交友関係のなかに入れるレデ ィネスがあって始めて この時期の 「い じめ」が発生 し,その交 友 レデ ィネスが大学期の適応感にポジテ ィブに機能す るとい う理解が提出された。 しか し仮説②に 関 しては,部分的に支持す るデータはえ られたものの,基本的には,被害への直面 ・友人への相談 といった <適切な対処 >がとられ,事後的に成長感かえ られた限 りにおいて成立す るに過 ぎぬ こと が明 らかにな った。

探索的アプ ローチでは Ⅱ章以下の章 ・節の文末小括の如 く,多様な知見 と解釈か提示 されたか, この章で既述 した以外の主なものを摘記す ると次の通 りである。

a. 被害 ・加害体験による家族への しがみつきや準拠か ら,大学期の良好な家族適応感へ。

b. 被害 ・加害体験による交友領域の障害感か ら, 大学期における補償あるいは回復の水路 としての サークル 関与 と良好なサークル適応感へo

c. 被害体験を契機 と した友人への相談か ら, 大学期の交友 ・<集団活動を媒介 とした交流 >領域に おける良好な適応感へ。消極的 ・孤独な対処か ら不良な適応感へ。

d. 周囲のい じめに対す る積極的 ・援助的構えか ら大学期の良好な交友 ・交流適応感へ。 観衆 と して の関わ りか らそれ らの抑制へ。

e. 高校期の観衆 と しての関わ りか ら,大学期の広い領域での良好な適応感へ。なおこれについては, 大学進学志望者の価値的雰囲気 ( 文化)や学生文化 との関連で考察 されたo

f.被害体験に対す る外傷的なこだわ りの強さか ら,大学期の不良な交友適応感へ。

g , 被害 ・加害体験への こだわ り ・被害体験の知性化による防衛か ら, 大学期の良好な学業適応感へ。

h. 加害体験の " 責任転嫁 ・合理化"か ら,大学期の良好な交友 ・交流適応感と全体的適応感へO そ して全般に,仮説④が提出 ・支持 されたことに如実に示 されるように,被害 ・加害 ・被害への 対処 ・周囲のい じめへの対応のいずれにおいても,それが どの時期のものであるかによって,例え ばある時期の一定の体験 ・反応はポジテ ィブに機能す るのに別の時期の同 じ体験や反応はネガテ ィ ブに機能す るとJ、うように,大学期の適応に異なる方向の長期的影響を与えることが多 い事実 と, 被害体験の時期が大学期の適応感に影響を及ぼす場合,他の時期での被害の有無 とは無関係に不可 逆的な影響を及ぼす ことが多 い事実 とか新知見 と言えよう。

このよ うな<い じめの意味の時期に応 じた違い>を視点 と した検討は, 小学校高学年に 「い じめ」

件数か ピークを呈す る諸統計を " 高学年期において 「い じめ」 と 「けんか」の弁別能力か未発達な ゆえのバイアス ' ' 6) と批評 した武井 ( 1 9 8 7 ,1 1 5 ‑ 1 1 7 頁)

にも認め られ るが,従来必ず しも一般的ではないように 思われ る。本稿では,武井の論脈 とは全 く別にではある か,奇 しくも同 じく小学校高学年のい じめ>異質説が導 かれた。かかる視点か らの研究か,事実認識のためにも, 適応援助実践のためにも一層必要であろうo

最後にこの研究プ ロジェク ト全体の分析枠組(図 2 ) に これまでの一連の研究を位置づけ,今後の展開方向を述 べて結語 とす る。前報では‑の分析考察か,石永 ( 1 9 9 2 ) , 石永 ・豊嶋 (1 9 9 2 ) では‑ ‑>の分析がなされ, 本稿では=ウ 方向か詳細に論究 された。我 々の次の課題は 「い じめ ・

‑ 5 1 ‑

図 2. 本研究プロジェク トの

分析枠81

表 7. ( 被害への対処)に対 する数量化 皿類の軸 とカテゴ リー係数 被 害 へ の対 処 軸 1: 軸2 : 軸3: 軸4: 軸 5 : 1 ) 我 慢 . 耐 え た .1 4 8 ‑

参照

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