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看取り経験が少ない病棟看護師への関わり

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Academic year: 2021

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看取り経験が少ない病棟看護師への関わり

キーワード:看取り 緩和ケアチーム 終末期がん患者

○糸山美妃(緩和ケア認定看護師) 佐々木照美(緩和ケア認定看護師)

吉田美穂(がん化学療法看護認定看護師) 井手麻利子(緩和ケアチーム)

は じ め に

N 病 院 の 緩 和 ケ ア チ ー ム が 発 足 し 5 年 目 に な る 。こ れ ま で 介 入 し た 事 例 は 340 を 超 え 、院 内 で 認 知 さ れ 依 頼 数 も 増 加 し て き て い る 。N 病 院 の 緩 和 ケ ア チ ー ム は 、コ ン サ ル テ ー シ ョ ン 型 で あ り 、主 導 権 は 主 治 医 、病 棟 看 護 師 が 持 っ て い る 。ラ ウ ン ド 時 に は 、日 頃 関 わ っ て い る 病 棟 看 護 師 や 主 治 医 の 想 い を 大 切 に し 、 意 見 交 換 ・ 情 報 の 共 有 に 努 め 、病 棟 看 護 師 が 安 心 し て 自 信 を 持 っ て ケ ア で き る よ う に 介 入 し て き た 。

今 回 、看 取 り 経 験 が 少 な い A 病 棟 に 終 末 期 が ん 患 者 が 入 院 し た 。病 棟 看 護 師 は 、 患 者 に 正 確 な 情 報 が 伝 え ら れ て い な い た め に 、ど の よ う な 関 わ り 方 を す れ ば よ い の か 戸 惑 っ て い た 。そ こ で 、緩 和 ケ ア チ ー ム と し て 、終 末 期 が ん 患 者 へ の 看 護 の 指 針 を ア ド バ イ ス し た 。そ の こ と を 元 に 、病 棟 看 護 師 が 効 果 的 な 関 わ り を す る こ と が で き た 。こ の 症 例 を 通 し 、 終 末 期 が ん 看 護 に つ い て 、緩 和 ケ ア チ ー ム と し て の 在 り 方 の 方 向 性 を 見 出 す こ と が で き た の で 報 告 す る 。

Ⅰ . 研 究 目 的

看 取 り 経 験 が 少 な い 病 棟 の 看 護 師 に 対 し て 、緩 和 ケ ア チ ー ム と し て 、ど の よ う な 関 わ り が 必 要 か を 見 出 す 。

Ⅱ . 研 究 方 法

1. 研 究 対 象 : 看 取 り 経 験 が 少 な い A 病 棟 の 看 護 師

2. 研 究 期 間 : 平 成 22 年 7 月 18 日 ~ 10 月 2 日 3. 倫 理 的 配 慮

研 究 対 象 者 に 研 究 の 目 的 を 説 明 し 同 意 を 得 た 。

Ⅲ . 事 例 紹 介

患 者 : S 氏 、 60 歳 代 、 女 性 、

現 病 歴 : 平 成 20 年 左 乳 が ん で 入 院 し 、 化 学 療 法 後 、 平 成 21 年 手 術 施 行 。 そ の 後 、 外 来 化 学 療 法 を 行 っ て い た が 、 今 回 自 宅 で 転 倒 し 、 7 月 18 日 左 大 腿 骨 転 子 下 骨 折 で 入 院 。入 院 時 は 骨 髄 抑 制 、肝 機 能 、腎 機 能 が 悪 く 手 術 が で き な い 状 況 で あ っ た 。

家 族 構 成 :

友 人 6 人 と 共 同 生 活 。 キ ー パ ー ソ ン : 友 人

兄 と は 連 絡 を 取 っ て い な い 。

入 院 期 間 : 平 成 22 年 7 月 18 日 ~ 10 月 2 日 転 帰 : 死 亡 退 院

Ⅳ . 結 果

「 表 1 緩 和 ケ ア チ ー ム 介 入 の 実 際 」 参 照

Ⅴ . 考 察

終 末 期 に あ る 患 者 の ケ ア に つ い て 一 般 病 棟 の 看 護 師 は 、多 様 な 困 難 や 悩 み を 感 じ て い る と の 報 告 が あ る 。緩 和 ケ ア チ ー ム の 役 割 の ひ と つ と し て 、病 棟 看 護 師 の 情 緒 的 サ ポ ー ト が 挙 げ ら れ る 。心 身 の 苦 痛 を 伴 う 患 者 に 寄 り 添 う の は 容 易 な こ と で は な い 。 緩 和 ケ ア チ ー ム は 、病 棟 看 護 師 が で き る 限 り の ケ ア を 提 供 し て い る の か を 客 観 的 に み つ め 、保 証 し た り 、と も に 考 え た り す る 役 割 が あ る 。そ れ は 、 病 棟 ス タ ッ フ の ス ト レ ス の 観 点 か ら 、非 常 に 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。

病 棟 看 護 師 は 、終 末 期 の 状 態 で 骨 折 し 、手 術

で き る か ど う か も わ か ら な い 状 況 で 入 院 し て

き た 患 者 に 対 し 、 QOL の 維 持 、 向 上 を は か る た

め の 介 入 方 法 に つ い て 戸 惑 っ て い た 。 そ こ で 、

カ ン フ ァ レ ン ス や ラ ウ ン ド の 中 で 、こ れ ま で 患

者 が ど の よ う な 人 生 を 歩 ん で き た か 、ど の よ う

な 闘 病 生 活 を 送 っ て き た か 、ど の よ う な サ ポ ー

ト を 力 に し て き た か な ど 、外 来 通 院 時 や 前 回 入

院 時 に 介 入 し て い た 緩 和 ケ ア チ ー ム メ ン バ ー

が 情 報 提 供 を し た 。そ の こ と に よ り 、病 棟 看 護

師 が 全 体 像 を 把 握 す る こ と に つ な が っ た 。

(2)

緩 和 ケ ア チ ー ム 内 で は 、依 頼 内 容 の 共 通 認 識 を し 、具 体 的 な ケ ア 方 法 に つ い て 提 案 し た 。そ の 内 容 は 、胸 腹 水 コ ン ト ロ ー ル 、呼 吸 困 難 の コ ン ト ロ ー ル 、療 養 場 所 に つ い て で あ る 。薬 剤 師 に よ る 薬 剤 の 使 用 方 法 と 評 価 方 法 、看 護 師 に よ る ベ ッ ド サ イ ド で の ス キ ン ケ ア 方 法 、安 楽 な 体 位 の 工 夫 に つ い て ア ド バ イ ス を 行 っ た 。こ れ ら の 教 育 的 な 関 わ り に よ り 、病 棟 看 護 師 は 、専 門 的 知 識 を 得 て 統 一 し た 看 護 が 提 供 で き て い た 。

タ イ ム リ ー な 関 わ り と し て は 、病 棟 看 護 師 か ら 連 絡 が あ り 、病 棟 を 訪 問 し た 。病 棟 看 護 師 が S 氏 の こ と を 一 生 懸 命 に 考 え て い る こ と を 認 め 、 病 棟 看 護 師 の 感 情 に 焦 点 を あ て 、想 い の 表 出 を は か っ た 。 そ し て 、 S 氏 に と っ て 何 が 最 善 で あ る か と い こ と に つ い て 共 に 考 え た 。こ の 関 わ り に よ り 、病 棟 看 護 師 か ら「 聴 い て も ら っ て よ か っ た 」 と の 反 応 が あ っ た 。 病 棟 看 護 師 は 、 S 氏 や 友 人 に 積 極 的 に 関 わ り 想 い を 捉 え た う え で 、 イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト に 同 席 す る こ と が で き た 。病 棟 看 護 師 の 経 験 や 考 え 方 な ど を 踏 ま え た う え で ア ド バ イ ス す る こ と が 大 切 で あ る 。

病 棟 看 護 師 は 、病 状 が 悪 く な っ て い る こ と や 緩 和 ケ ア 目 的 の 転 院 で あ る こ と を 、キ ー パ ー ソ ン で あ る 友 人 の 希 望 で 伝 え ら れ て い な か っ た こ と に 対 し 戸 惑 っ て い た 。 S 氏 は 、 リ ハ ビ リ を し て 歩 き た い と い う 希 望 が あ り 、転 院 に つ い て は 同 意 し て い た 。 緩 和 ケ ア チ ー ム と し て は 、 S 氏 は 、余 命 告 知 を し な く て も 、が ん の 末 期 と 診 断 さ れ 、 QOL 維 持 に つ と め 、 S 氏 ら し く 闘 病 し て き た と 捉 え て い た 。患 者 の 希 望 に 沿 っ た 治 療 や 方 向 性 が 示 さ れ て い た 。「 が ん 体 験 お よ び そ の ケ ア に は 、常 に ネ ガ テ ィ ブ な イ メ ー ジ が つ き ま と っ て 離 れ な い 。自 分 の 生 存 自 体 が 脅 か さ れ る が ん 体 験 に は 、そ の 苦 悩 体 験 ま る ご と を 支 え て い け る よ う な ケ ア で な く て は な ら ず 、も っ と 別 な 何 か が 必 要 で あ る 。つ ま り 、が ん の 診 断 を 受 け た り 、治 療 を 重 ね る ク ラ イ エ ン ト 自 身 が そ れ で み じ め に な る の で は な く 、ど ん な に つ ら く み じ め な 体 験 で も 、そ れ を 意 味 あ る 体 験 に す る 方 法 を 見 つ け て 、 そ の 体 験 を 通 し て 成 長 す る 、 あ る い は 成 熟 す る こ と を 支 え ら れ る よ う な ケ ア が 必 要 で あ り 、ね が わ く ば ナ ー ス 自 身 も ク ラ イ エ ン ト と の こ の 体 験 を 通 し て 成 長 し た い も の で あ る ¹⁾。」 と 述 べ て い る 。

緩 和 ケ ア チ ー ム と し て は 、看 取 り 経 験 の 少 な い 病 棟 で の 緩 和 ケ ア の 普 及 、看 護 観 や 死 生 観 を 深 め る こ と が で き る よ う な 関 わ り を 一 事 例 、一 事 例 を 大 切 に 継 続 し て い き た い 。そ の た め に は 、 多 職 種 で の タ イ ム リ ー な カ ン フ ァ レ ン ス や デ ス カ ン フ ァ レ ン ス を 行 な い 、緩 和 ケ ア の 質 向 上

を 目 指 し て い く 。

Ⅵ . 結 論

1 . 病 棟 看 護 師 に 寄 り 添 っ て 関 わ る こ と で 、 統 一 し た 看 護 が 提 供 で き る 。

2 . 告 知 す る こ と が す べ て で は な く 、 全 人 的 に 患 者 を 捉 え て 、 緩 和 ケ ア を 提 供 す る 。 3 . ラ ウ ン ド や カ ン フ ァ レ ン ス で 教 育 的 な 関 わ

り を す る こ と が 、緩 和 ケ ア の 質 の 向 上 に つ な が る 。

お わ り に

今 後 も 一 事 例 一 事 例 を 大 切 に し 、学 ぶ 姿 勢 を 忘 れ ず に 緩 和 ケ ア チ ー ム と し て 成 長 し て い き た い 。

引 用 文 献

1 ) 遠 藤 恵 美 子 : 希 望 と し て の が ん 看 護 マ ー ガ レ ッ ト ・ ニ ュ ー マ ン “ 健 康 の 理 論 ” が ひ ら く も の 、 p 2~ 3、 医 学 書 院 、 2001

参 考 文 献

1) 恒 藤 暁 : 系 統 看 護 学 講 座 別 巻 10 緩 和 ケ ア 、 医 学 書 院 、 2007

2 ) 浅 野 美 知 恵 : 絵 で 見 る タ ー ミ ナ ル ケ ア 人 生 の 最 期 を 生 き 抜 く 人 へ の 限 り な い 援 助 、学 習 研 究 社 、 2006

3 ) ナ ー シ ン グ ・ ト ゥ デ イ 編 : 一 般 病 棟 で も で

き る ! 終 末 期 が ん 患 者 の 緩 和 ケ ア 、日 本 看 護

協 会 出 版 社 、 2006

(3)

表 1 緩和ケアチーム介入の実際

日付 経過 緩和ケアチームの動き 病棟看護師の動き 患者・友人の反応

7/19

病棟師長より緩和ケア認定看護師に電話あり、患者訪問。カル テより情報収集行う。受け持ち看護師と情報交換。継続的な介 入が必要と判断し、「緩和ケアチームラウンド希望用紙」提出 を依頼した。

病棟師長、緩和ケア認定看護師へ電話連絡。

「がんで全身状態が悪く、骨折し牽引もしていて動け ない。手術もできるか分からない患者のQOLをどう 維持したらよいのか?」という相談をした。

転んで骨が折れちゃった。じっとしとったら痛く ないよ。今、白血球が低くて手術できないって。

できるといいけどね。

7/26 ラウンド① 病棟看護師と情報共有。

胸・腹水による呼吸困難あり、利尿剤またはステロイドの使用 を提案。患者訪問し、様子を伺う。

呼吸困難、腹満感、便秘に対する症状マネジメント目 的で、「緩和ケアチームラウンド希望用紙」提出。

昨日ピンクの薬(プルゼニド)2個飲んだらいっぱ い出たと笑顔で話す。

8/3

ラウンド② (手術になる可能性が

ある)

病棟看護師と情報共有。患者訪問。

リスクの高い手術となるため、インフォームドコンセント(以

下I.Cとする)に同席したいことを伝えた。

腹水コントロールのため、ステロイドまたは利尿剤使 用について、医師へ相談。

手術できるから、先が見えるようになりました。

8/9

ラウンド③ (外科医師より、本人へ

手術のI.C)

病棟看護師と情報共有。患者訪問。

手術のI.Cに緩和ケアチームメンバーが同席した。

I.Cに同席。 どうにかして手術してほしい。

8/10

(整外医師より、本人、

友人へ手術のI.C。急 変時DNR)

病棟看護師と情報共有。患者訪問。

8/11 手術決定。

I.Cに同席。 極めてリスクの高い手術となること説明され、涙 組みながら「それでも手術をします」との返事。

友人:本人が決めたのだからそれでいいです。

8/17 ラウンド④ 本日より利尿剤開始されており、経過観察とした。 腹満持続。

8/23 ラウンド⑤ 8/22より利尿剤増量されており、経過観察とした。 お腹が張って座れない。

9/13 ラウンド⑥

本人だけではなく、友人からも情報を得ていく。また、看護師 として何ができるのかを考えていくよう提案。

余命告知については、メリット・デメリットがあり、プライマ リー看護師へ友人とも話し合うことが必要であること伝えた。

今後の方向性を共有するための合同カンファレンスを行うよ う提案した。

「本人が病状や今後をどう捉えているか分からない」

と緩和ケア認定看護師に相談。

S氏、友人へ関わり現状や今後についての想いを捉え る。

友人へ、余命告知のメリット・デメリットについて話 合う。

まずは、車いすに移れるようになることが目標。

友人:本人が苦しまないように。そろそろ覚悟を 決めないといけない。精神的な落ち込みが激しい ので、余命告知については悩む。

9/15 I.C(本人へは、リハビ

リ目的で転院と説明)

緩和ケアチームメンバー同席。 I.Cに同席。 友人:精神的なショックが大きいから、厳しいこ

とは言わないでほしい。

9/21

ラウンド⑦

今後の方向性を共有するための合同カンファレンスを行うよ う提案した。 腹水コントロールのため、9/16よりリンデロン 4mg開始しており経過観察。

主治医へカンファレンスしたいこと伝える。

転院調整のため、MSWと連携。

家族背景について、再度情報収集。

兄はすぐ怒るから怖い。連絡とってほしくない。

9/27

ラウンド⑧ 病棟看護師と情報共有。患者訪問。

リンデロン開始後、食欲増進、鎮咳効果あり。

転院調整。 食欲出てきた。咳もおさまってきている。

腹満持続。

参照

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