Value of the extracellular water ratio for assessment of cirrhotic patients with and without ascites
著者 原 なぎさ
発行年 2010‑03‑25
URL http://hdl.handle.net/10076/11394
学 位 論 文 の 要 旨
所 属 三 重 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科
生 命 医 科 学 専 攻 病 態 制 御 医 学 講 座 氏 名 原 なぎさ
主論文の題名
Value of the extracellular water ratio for assessment of cirrhotic patients with and without ascites
主論文の要旨
【目的】浮腫、腹水は非代償期の肝硬変患者にしばしばみられる合併症で、腹水の貯留はQOLの低下を来 し、生命予後も不良であるとの報告がある。近年、多周波インピーダンス(BIA)法を用いた体組成測定装 置が開発され、体水分量の測定が容易となってきた。そこで、LCを対象にBIA法を用いて体水分量を測定 し、肝重症度、利尿剤服用の有無、腹水との関連について比較し、さらに、腹水出現予測について検討し た。【方法】対象は肝硬変109例(男性61例、女性48例、平均年齢67±9歳、成因はHBV7例、HCV78例、ア ルコール12例、その他12例、肝重症度はChild-Pugh A40例、B58例、C11例、International Ascites Club 基準による腹水なし62例、grade 1 38例、grade 2 10例)および健常者34例(男性15例、女性19例、平均 年齢62±8歳)、慢性肝炎31例(男性12例、女性19例、平均年齢60±12歳)。 体組成測定装置InBody720 を用いて体水分量測定を行い、肝重症度、腹水の量、利尿剤の有無による比較を行った。さらに腹水のな い肝硬変44例について経過観察を行い、腹水出現の有無を検討した。評価項目は、細胞内水分量(ICW)、
細胞外水分量(ECW)、体水分量(TBW)、細胞外水分率(ECW率)であり、さらに、体幹、上肢、下肢のE CW率を測定した。血液検査として、血小板数、血清アルブミン値、T-Bill、PT%、ALT、Naを測定した。
【成績】健常者、慢性肝炎、肝硬変における体水分量(ICW、ECW、TBW)の群間比較においては有意差を認 めなかった。しかし、ECW率については、肝硬変(0.399±0.012)は、健常者(0.389±0.009)および慢性肝 炎(0.389±0.009)と比較し有意な高値を示した(p<0.001)。肝硬変における肝重症度ChildA、B、Cでの群 間比較では、体水分量(ICW、ECW、TBW)に有意差はなかったが、ECW率においてChildA(0.393±0.008)と比 較し、ChildB(0.402±0.001)、ChildC(0.405±0.022)では有意な高値を示した(p<0.001、p<0.05)。腹水 の量(腹水なし、grade1、grade2)による体水分量(ICW、ECW、TBW)の群間比較では、3群間で有意な差を認 めなかったが、ECW率では腹水がない症例(0.396±0.001)と比較しgrade2(0.411±0.018)において有意な 高値を示した(p<0.05)。部 位 別 ECW率に つ いて の 検討 で は、上 肢 ECW率 は、腹水 な し (0.382±0.007)、
grade1(0.384±0.006)、 grade2(0.385±0.006)の 間 に 有 意 差 は な か っ た。体 幹 に お い て は 、 腹水 な し (0.396±0.010)と 比 較 し 、 grade1(0.403±0.012)、 grade2(0.412±0.017)の 症 例 で は 有 意 に 高 値 を 示し た (p<0.05、p<0.001)。下 肢 も 同様 に 、腹 水 な し (0.399±0.012)と 比 較 し、grade2(0.41 5±0.020)で は有 意 に高値 を 示 した 。 又、 肝 硬変を 利 尿 剤服 用 の有 無 で検討 し た とこ ろ ICW、ECW、
TBW、ECW率のいずれにおいても有 意 差 は な か っ た 。 腹 水 出 現 の ECW率 = 0.398を カ ッ ト オ フ 値 と す る と 感 度 86%、特異 度 65%と良 好 な 値が 得 られ た ことか ら 、腹水のない肝硬変44例をECW率 正 常 群(< 0.
398)、 ECW率 高 値 群 (≧ 0.398)に 分 け て 経過観察(平均観 察 期 間 7.7カ 月 ) し た と こ ろ 、 7 例 の 患者 で 新 た な 腹水 が 出 現し た。 腹 水 が 出現 し た 7例中 6例 は ECW率 高値 群 、 1例 はECW率 正 常 群で あ り 、E CW率 高 値 群で 有 意 に高 率に 腹 水 出 現が み ら れた (p<0.05)。 年 齢、 ア ル ブミン 、 血 小 板、 ビ リ ルビ ン 、 PT、 ALT、 ナ ト リウム 、 BMIで も同 様 の 解析を 行 っ た とこ ろ 、 アル ブミ ン に お いて 、 ア ルブ ミ ン = 3.5をカ ッ トオ フ とす る と 感度 100%、特異 度 43%で 良 好な 値 が得 ら れたこ と か ら、アル ブ ミン 3.
5未 満 の 低ア ル ブミ ン 群か ら 有 意に 高 率に 腹 水の出 現 が みら れ た が (p<0.05)、そ の他 の 臨床 パ ラメ ー タ ー にお い ては 腹 水出現 の 予 測と 関 連す る 因子を 認 め なか っ た。さら に、Cox比 例 ハザ ー ドモ デ ル を 用 いて 腹 水出 現 の有無 に 関 与す る 因子 の 検討を 行 っ たと こ ろ、アル ブミ ン は 有意 で はな く、E CW率 の み が腹 水 出 現に 寄与 す る 因 子と 判 定 され た (p<0.05)。 【結 論 】 BIA法 を 用 い た ECW率 の 測定 は 簡 便 で、肝硬 変 の水 分管 理 に 有用 で ある こ とが示 唆 さ れ た 。又 、ECW率が 高 値 を示 し た症 例 では 高 率 に 腹水 を 発症 し た。
(注)2,000字以内にまとめて記入すること。