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分担研究報告書   

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)

分担研究報告書   

難治性気道疾患分科会報告① 

研究分担者  長谷川好規(名古屋大学教授) 

 

研究要旨 

本部会の目的は、難治性気道疾患における臨床課題を明らかにして、その分析を市民への理解と啓発、診断・

治療の推進につなげるものである。線毛機能不全症候群(PCD)は先天性の粘膜線毛クリアランスの障害によっ て特徴づけられる遺伝性疾患群である。PCD の白人の有病率は、1 万から 3 万人に1人とされているが、本邦 での有病率の疫学的調査はこれまでにないと思われる。発病の機構として、線毛の構成蛋白遺伝子の変異に よる常染色体劣性遺伝と考えられているが、本邦においてそれぞれの遺伝子がどのような頻度で見られるか の検討については報告されていない。また、日常で簡便に診断出来る診断基準はなく、効果的な治療方法も 未確立である。本邦における PCD の罹患率や患者数の把握が必要であり、PCD の全国調査が必要であると考え た。また、集積した症例の臨床像を明らかにして、PCD の遺伝子診断方法の確立を目指すうえでの基盤構築が 必要であると考えられた。 

  A. 研究目的 

線毛機能不全症候群(PCD)は先天性の粘膜線毛クリ アランスの障害によって特徴づけられる遺伝性疾患 群である。本邦の疫学研究はなされていないが、白 人の有病率が 1 万から 3 万人に1人とされることか ら、本邦では 1000〜3000 人と推察される。発病の機 構は、線毛の構成蛋白遺伝子の変異による常染色体 劣性遺伝であり、多くの遺伝子が報告されているが、

我が国においてどのような頻度で見られるかの検討 はない。本年度は、医療機関に対してアンケート調 査を実施して、 PCD 患者の実態調査を主目的とした。 

 

B. 研究方法   

長谷川らは、PCD 一次症例調査を踏まえた二次調査 を行った。名古屋大学医学部附属病院倫理委員会の 承認を得て(承認番号:2018‑0080)、二次症例調査 への参加協力同意施設への研究計画書の送付、依頼 を行い、施設承認を進めた。PCD 症例を集積して臨 床上の特徴を抽出することとした。 

 

C. 結果 

・PCD の全国調査 (担当:橋本直純  名古屋大学大 学院医学研究科呼吸器内科准教授) 

1. PCD 一次症例調査 

1‑1) 全国 1823 施設にアンケートを郵送して、 平成 28 年 11 月 24 日時点で 438 施設 から回答を得た (24.0%)。 

1‑2) その内、2 次調査への協力可能とする 回答は 54 施設から得られた。  

1‑3) PCD の確定診断に至ったとする回答が得られたの は、 40 施設であった。  

1‑4) PCD の確定診断に至った症例は、96 名であった。  

 1‑4‑a) 現在通院されている症例は 61 名であった。  

 1‑4‑b) 過去に診療した症例は 35 名であった。  

1‑5) 臨床的にカルタゲナー症候群を経験したとする回

答が得られたのは 21 施設であった。  

2. PCD 二次調査  2‑1) 症例集積状況 

二次調査への協力施設として、成果報告会 の時点で 7 施設から症例提示がなされて、合計 9 症 例の臨床情報・画像提供が集積された。各施設 IRB 審査完了 2 施設があり、報告会後に 2 例の症例が新 たに追加された。各施設 IRB 審査審議中は 2 施設で あった。結果として、本報告書の提出時点で 11 例の 症例集積ができた。 

2‑2) 症例分析.  

2‑2‑a)診断方法:  臨床診断で PCD とした症例は 9 例であった。その実施場所はすべて自施設での診断 であった。 

2‑2‑b)診断に用いた検査方法:透過型電子顕微鏡検 査の実施できたのは 7 例であった。鼻腔 NO 検査が行 われた症例は、3 症例であった。遺伝子検査が実施 できたのは 3 症例であり、いずれも鼻腔 NO 検査が行 えた症例であった。高頻度ビデオ顕微鏡解析が行え た症例はなかった。 

2‑2‑c) 臨床像の特徴:上気道・下気道症状を認めた のは全例(9 例)であった。内蔵逆位もしくは臓器 位置異常を認めたのは 4 例であった。慢性副鼻腔炎 を認めたのは 8 例であった。胸部 CT は全例に行われ ていたが、慢性下気道症状で観察される、小粒状陰 影、斑状陰影、一部気管支拡張像を認めるが PCD 特 異的な所見とは結論付けることが困難であった。 

 

D. 考察 

PCD

に共通する臨床像として繰り返す上気道・下気

道症状を伴っていることであった。内蔵逆位もしく

は臓器位置異常を認めたのは約 50%であったことか

ら、慢性の上気道・下気道症状を伴う疾患の鑑別に

PCD を含めることが発見の第一になると考えられた。

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一方、PCD の診断方法は透過型電子顕微鏡検査で行 われることが多く、遺伝子検査、鼻腔 NO 検査、高頻 度ビデオ顕微鏡解析が組み合わされて行うことが推 奨されているが(文献1) 、透過型電子顕微鏡検査で 行われることが多く、遺伝子検査、鼻腔 NO 検査、高 頻度ビデオ顕微鏡解析などを行われる症例は限られ ていた。遺伝子検査は 1 施設でのみ実施されており、

症例診断で行える環境を整えることが重要であると 考えられた(文献2) 。また、PCD 診断がなされた場 合自施設で実施されており、統一した診断基準をも って行うことが困難な実態が把握された。 

難治性気道疾患分科会は本邦で初めて

PCD

全国 調査を行った。今後

PCD

の症例を継続敵に把握し て、遺伝子検査を含めた適切な診断手順を確立して いくことにつなげることが重要であると考えるに至 った。

最後に、本報告の二次調査に症例提示いただきま した国立病院機構三重病院増田佐和子先生、京都大 学医学部附属病院半田智宏先生、長崎大学医学部附 属病院坂本憲穂先生、福島県立医科大医学部附属病 院鈴木康仁先生、聖隷浜松病院中村秀範先生、名古 屋大学医学部附属病院鈴木淳先生に感謝申し上げま す。 

  E.文献 

1. Shapiro AJ, Zariwala MA, Ferkol T, Davis SD,  Sagel SD, Dell SD, Rosenfeld M, Olivier KN,  Milla C, Daniel SJ et al: Diagnosis,monitoring,  and treatment of primary ciliary dyskinesia: 

PCD  foundation  consensus  recommendations 

based  on  state  of  the  art  review.  Pediatr  Pulmonol 2016, 51(2):115‑132. 

2. Takeuchi K, Kitano M, Kiyotoshi H, Ikegami K,  Ogawa  S,  Ikejiri  M,  Nagao  M,  Fujisawa  T,  Nakatani  K:  A  targeted  next‑generation  sequencing panel reveals novel mutations in  Japanese  patients  with  primary  ciliary  dyskinesia. Auris Nasus Larynx 2017 

 

F.健康危険情報:なし   

G.研究発表 

1. 論文発表:なし  2. 学会発表 

1)Hashimoto N, Hasegawa Y, Keicho N, Takeuchi K,  Takase  M,  Hijikata  M,  Homma  S,  Inase  N.  The  nation‑wide  survey  of  primary  ciliary  dyskinesia  in  Japan.  European  Respiratory  Society  Annual  Congress  2018,  Paris,  France.2018 Sep. 

2)Hashimoto N, Hasegawa Y, Keicho N, Takeuchi K,  Takase M, Hijikata M, Homma S, Inase N. Primary  ciliary dyskinesia in Japan. 23rd Congress of  the  Asian  Pacific  Society  of  Respirology,  Taipei, Taiwan. 2018 Dec. 

 

H.知的財産権の出願・登録状況:なし   

 

参照

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