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資 本 的 支 出 に か ん す る 投 下 資 本 利 益 率 の 意 義 と 測 定 法

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(1)

資本的支出にかんする 投下資本利益率の意義と測定法

一︑序

l 序

﹁わが国での最大の石油会社の一つにかぞえられるある会社の社長は︑徹底した経営の分権化計画をなしとげよう

としているのであるが︑最近つぎのようにのべている︒

ヲわたくLが委譲を一番あとまわしにしたいとおもう権限は︑資本的支出にかんする決定権である﹄しかれの言葉

資本的支出にかんする投下資本利益率の意義と測定法      二一

(2)

第三九年第二冊

は十分に納得のゆくところであるcなぜならば︑資本的支出にかλする決定は︑会社の将来の発展のための骨格をか たちずくるし︑また作業能率と競争力をきめる大きな要素であるからであるGだから︑レ﹂れらの会杜投資の決定につ

いての知識は︑会社の将来利益と成長にたいして深甚なる影響をおよぼすわけである︒﹂

乙れは︑ジョウル・デイlン教授の論文︑=冨

g ω

m

so

=

資本的支出計画の企業にとっての重要性︑したがって資本的支出計画の作成法の重要性を的確に表現しえているもの

とおもわれる︒このように重要な資本的支出計画を立てる際にもっとも大切なものは︑個々の資本的支出にかんする

投下資本利益率

50 3Z

BEES‑

ロ ︿ 2 25 E

本稿は︑そのような投下資本利益率についてつぎの

ような観点から考察をくわえたものである︒すなわち︑資本的支出計画の作成にあたって投下資本利益率がどのよう

にもちいられるか︑投下資本利益率をもちいた資本的支出計画の作成がそれ以外のものによる資本的支出計画の作成

にくらべてどのようにすぐれているか︑投下資本利益率算定の基礎となる投下資本額ならびに年々の将来利益を測定

する際にはどのような点に注意すべきか︑このようにして算定された投下資本額と年々の将来利益の予測値をどのよ

うに組合わせて投下資本利益率を計算すべきか︑この四つの観点である︒

なお︑デイiン教授は︑資本的支出か否かを決定する基準を︑当該支出の﹁現金えの転換速度﹂吾OBZ

z s

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2

ぎのE

SF

にもとめている︒したがってそのような転換速度の遅い支出が資本的支出である︒したがってまた

﹁資本的支出﹂という概念は﹁設備投資﹂という概念と同じではなや︑前者は後者をその一部として包括するより広

義の概念であり︑新製品ないし新製法にたいする大規模の研究や経営者教育などを目的とする支出をも含むととに注

qL 意しなければならない︒

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資本的支出項目を選択し︑したがってまた資本的支出の総額を決定する乙とは︑乙れをいいかえれば個々の資本的

支出項目のそれぞれに一定額の企業資金を配分してゆくことである︒企業資金を配分するためには︑資金にたいする

需要表と切捨牧益率の二つが必要である︒資金にたいする需要表は各資本的支出項目の枚益性にかんするものである

一方切捨政益率はこれらの資本的支出をまかなうのに必要な資金のコストにかんするものである︒つまり︑投下

資本にかんする収益性とコストの比較によって支出項目を選択し︑支出総額を決定しようとするのである︒

資金の需要表はつぎのようにしてえられる︒まず︑会社全体中に見出し︑予見しうる資本的支出にたいする﹁要請

L aa00

ω =

を全部提出せしめる︒つぎに︑乙のようにして集めた投資提案のそれぞれについて︑それが生みだす

費用節約額または利益追加額を見積って︑追加資本的支出にかんする投下資本利益率を計算する︒第三に︑

にして計算した投下資本利益率を基準にして︑その大きさの順に投資項目を配列する︒最後に︑﹁そのような一連の

乙のよう

(4)

第三九年第二冊

投下資本利益率の各々について︑それと等しいかあるいはそれより大きい利益率をあげうるためには︑なに程の額ま

で資金を投下しうるか﹂を判定しうるために︑各投資項目の金額を累計してゆく︒

累積需要額

2(ドル) 40  240  1440  4840 

資 金 の 需 要 表

資本的支出額 2(ドル) 38  200  1200  3400 

資本的支出にかんす る投下資本利益率

100%以上

50‑100% 

25‑50% 

1525%

515%

C註 〕 本 表 のABの見出しはデイF シ教授のも

のに多少の変更をくわえてあるo

戸のようにして出来上った資金の需要表を例示すれば︑上表のようなものであ

る︒このように資金の需要表の作成のためには︑追加資本的支出にかんする投下

資本利益率の計算が中心をしめることが知られる︒きて資本的支出項目を選訳し

資本的支出の総額を決定するためには︑このようにしてえられた資金の需要表に

おいて︑資本的支出の総額における最後の投資単位の投下資本利益率が何パーセ

ント以上であることを必要とするかを決定すればよい︒たとえば︑予定投資の最

後の一単位が一五パーセント以上の投下資本利益率をあげる必要をもつならば︑

資本的支出の総額は一四四0ドルと決定されることになる︒ここでもちいられた

一五パーセントのととき投下資本利益率を切捨枚益率とよぷ︒したがってつぎに

資本的支出の決定において資金の需要表とならんでこのように不可欠な切捨枚益

率について簡単に考察してみよう︒

多額の資金を長期間にわたって拘束し︑固定する資本的支出は︑このように固

定され拘束される資金のコストをなに程か上回る利益をあげなければならない乙とは当然である︒したがって︑切捨

牧益率はなんらかの意味で長期資金のコストと関係をもっている︒ただ企業資金の配分に際して経営者が資金コスト

をどのように利用するか︑また資金コストにたいしてどのような態度をとるかによって各種の切捨牧益率が考えられ

(5)

lン教授はつぎのような四種の切捨枚益率を考えている︒ω

C2

5Z

F

22 03 ZO

BZEω基礎的最低牧益率g

g

c s

s z

g g

z m ω

ω安定的長期牧益率

ω E g o

︒ ぉ ・

2

gz

28

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O

SZB

いま︑これらの切捨枚益率について簡単に説明してみよう︒

し "

か 平し 票

資 き

リ 争 '

出~

l frl持ム""桔

L

(J  年関投資量および調達額

資〔註〕 変動的有効牧益率にかんするこつのグ

ラフは、説明の便宜上デイ{ン教授の

原著に若干の変更をくわえてある。

'

I

調

変動的有効牧益率

変動的有効収益率

~,

乙れは理論的には︑年間の資本需要曲線Dと資本供給曲線Sの交点の

高さによって与えられる切捨枚益率である︒変動的有効枚益率と呼ばれ

るのは︑当該計画年度が景気循環のどのような局面に位置するかによっ

て︑その高きが相違するからである︒資本的支出をまかなうための資金

調達をもっぱら利益の社内留保にもとめようとする企業にあっては︑資

本供給曲線は留保利益額までは原点から績軸にそってすすみ︑それから

は垂直に上昇する直線によって表わされる︒乙の直線Sと資本需要曲線

Dとの交点によって決定される高きが︑変動的有効牧益率を表わすので

このような企業については︑切捨牧益率は一応資本コストと関係がな

(6)

第三九年第二冊

利 益 留 保 額 "

l外郎調.,達額 01 . .J..-'- ‘、~:

f資ホ的支出の総額‑‑

FR投資宣およ.ぴ調達額

捻下資本利益率および食全コヨト

企業にとっては︑変動的有効枚益率は︑資本的支出の総額にかんする資金コス

トの高さを意味することになる︒このような企業にあっては資本供給曲線は留

保利益額までは原点から横軸にそって右にすすみ︑それからは調達市場によっ

て支配される資金コストを反映して市場の資金供給能力の限界点まで大体水平

ついで急激に上昇するものとおもわれる︒

変動的有効牧益率は理論的にはこのようにして決定されるが︑実際には資本

的支出についてその金額を増減し︑その支出時期を操作するための手段として

経営者の判断がくわえられて決定されるのである︒

なお︑デイlン教授は︑好況期および不況期に資本の需要ならびに供給曲線

がそれぞれどのようにシフトし︑したがってその交点がどのように移動するか︑

またそのような移動が利益の配当︑社内留保︑および外部資本調達などの諸政策にたいしてどのような影響をあたえ

るかについてのべているが︑本稿は切捨牧益率の研究を目的とするものではないから︑

ここでは省略する︒

基礎的最低枚益率

乙れは︑利益留保によって調達しうる資金額を外部から調達したと仮定するぱあいに予想される資金コストであり

変動的有効牧益率の最低基準として利用されるものである︒したがってそれは︑資金にたいする需要が低く︑

たいして利益留保によって調達しうる資金が潤沢であるようなぱあいに︑変動的有効枚益率に代るその補助牧益率と

して︑短期間にかんする資本的支出の決定に際して利用されるものである︒

基本的最低枚益率の設定によって︑われわれはそのようなばあいにも外部資金コストに相当する利益をあげえない

(7)

F

E...=

配当主曽加害自国留保利益減少傾 年間投資量および調達額 投 !

%~

〔註〕 デイ‑ y教授は、基礎的最低牧益率を

説明するためのグラフをしめしていな い。したがって、乙のグラフは、デイ 戸シ教授の原著によったものでない。

ような枚益性の低い資本的支出を避ける乙とができ︑したがってまた

利益の留保額を適正なものとすることができるのである︒

基本的最低収益率を変動的有効牧益率のなかに含めるならば︑変動

的有効枚益率は自己金融企業のばあいも含めて︑すべて短期間にわた

る資本的支出の総額にかんする外部資金コストの高さを意味する乙と

(3) 

安定的長期牧益率

これは︑たとえば五!一0年間といったような長期間についての資

本的支出総額にかんする外部資金コストである︒換言すれば︑そのよ

うな長期間について資本需要曲線と資本供給曲線を予測し︑その交点

によってあたえられる高さをもった切捨牧益率である︒したがって景気循環を含むとおもわれるそのような長期間に

わたって安定した高さをもっ切捨蚊益率である︒

この切捨収益率は長期間の予測にもとずくものではあるが︑変動的有効枚益率や基礎的最低枚益率と同じく一年と

いったような短期間についての資金配分の決定に際しでもちいられるものである︒その目的は︑需要停滞期に収益性

の低い資本的支出項目に資金を浪費することによって︑︑需要旺盛期に収益性の高い資本的支出項目に資金を投下でき

なくなることを防止することである︒このような長期的切捨率設定の可能性はともかくとして︑それは変動的有効枚

益率がなしうる資本的支出決定の短期性による限界を打破して︑それより一層有利な資本的支出決定をお乙なうこと

をねらったものとおもわれる︒

(8)

第三九年第二冊

乙れは︑まったく資本的支出の総額にかんする資金コストと関係をもたない切捨枚益率である︒資本的支出項目の

なかには︑たとえ計算できる枚益性が低く資金コストを回牧しうる見込みをもたなくても︑数字的に計算できない無

形の牧益性が大きなものがある︒たとえば戦略的性格をそなえた投資である︒このような資本的支出項目を川

‑ m

同で紹介したような資金コストによる切捨枚益率をもって棄却してしまうならば︑企業にとってもっとも正しい資本

的支出項目の選択や支出総額の決定はおこなわれないであろう︒このような事態に対処するために考案されたのが︑

乙の例外的牧益率である︒したがってそれは︑特定投資にたいしてのみ例外的に適用される例外的に低い切捨収益率

以上︑四種の切捨収益率について簡単に紹介してみた︒これらの切捨枚益率を資金の需要表に適用する乙とによっ

て︑われわれは資本的支出項目を選択し︑資本的支出の総額を決定するのである︒資金の需要表と切捨蚊益率の二つ

を決定するための作業が不可欠なわけである︒しかし︑まずはじめに切捨牧益率を適用すべき資金の需要表が決定さ

れていなければならない︒そして資金の需要表を作成するための作業において中心的地位をしめるのが︑資本的支出

項目のそれぞれにかんする投下資本利益率の測定である︒資金配分の決定において︑資本的支出にかんする投下資本

利益率がもっている意義は以上のごとくである︒

(3)  (2)  (1) 

u o m

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OK

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(9)

調

調

三つの資金配分基準

われわれはこれまでによって︑資本的支出にかんする投下資本利益率の︑企業資金の配分に際しての意義を知った

のであるが︑企業資金の配分基準として現在もちいられているものは投下資本利益率ピけでない︒投下資本利益率の

ほかに︑資本的支出の延期可能性︑資本的支出の回収期間などが広くもちいられている︒

金配分基準にくらべて投下資本利益率がどのようにすぐれているかを考察し︑

の資金配分基準そのものとしての意義を究明してみたいとおもう︒ これらの資

資本的支出にかんする投下資本利益率

ところで︑われわれはすぐれた資金配分基準の要件をつぎのようにしめすことができるであろう︒

客観的に︑また数字的に測定しうるものであること︒ω収益性を測定するものである乙と︒

川例外部資金コストと比較しうるものである乙と︒

川は︑各投資計画を資金配分の優先順に並べることができるための要件である︒聞は︑企業にとって各投資計画が

もっ価値をもっとも正しく評価しうるための基本的要件である︒したがってそれは︑資金配分の優先順を企業にとっ

て有意義なものとするための要件である︒それはまた外部資金コストとの対決を可能にするための前提的要件でもあ

る︒附は︑資金配分の全体を﹁牧益は費用を償わねばならぬ﹂という経済原則に従わせるための要件である︒この

要件は︑投下資本利益率の計算法にかんするものであるから︑後述の第五節において検討するととにしたい︒

(10)

第三九年第二冊

一 一 一

O

このような︑すぐれた資金配分基準にかんする要件を念頭におきながら︑現在もっとも広くもちいられている三つ

の資金配分基準︑川町延期可能性︑伽回牧期間︑町投下資本利益率について︑それぞれの優劣を検討してみよう︒

ωS

SE

乙れは︑延期不可能な投資計画の順に資金を配分してゆこうとするものである︒延期不可能性は︑数すくない例外

をのぞいて客観的に測定することができず︑またすべてのばあいに数字的に表現することができない︒したがって︑

すぐれた配分基準の要件の川を欠くことになる︒

客観的に測定が可能なばあいとは︑鉄道における踏切の立体化︑食品加工々場における衛生施設の設置︑法律上の

煤煙コントロール装置の取りつげ︑などのような政府の要請による投資計画とか︑鉄道における幹線流失個所の取替

のような事業の継続性と関係してくるような投資計画である︒延期不可能性は︑このような数すくない例外を除けば

すべて客観的に測定する乙とができず︑その測定には主観的要素が濃厚に入りこむことになる︒このことは︑数字的

表現の不可能性とあいまって︑延期不可能性基準にまつわるつぎのような大きな欠点を生ぜしめることになる︒

それは︑乙の基準を採用するならば︑資金の配分が人格的な争い

ωg Eg

02

2によって決定され

Lるようになる︑という乙とである︒そこでは︑投資計画の経済的価値を客観的に評価するための努力よりも︑投資計

画を進言する際の説得技術と執劫さの万が幅をきかすという乙とになるのである︒乙のようにして︑経済的にみて望

ましくない計画が強引に採用される一万で︑多額の費用節約と高利潤を生みだす投資の大部分が無限に延期されてし

まう可能性が生じてくることになるD

資金配分基準として延期不可能性を採用するばあいの最大の欠点は︑

いう概念とまったく概念範需を異にする︑ということから生じてくるc ﹁延期不可能性﹂という概念が﹁牧益性﹂と

つまり︑すぐれた資金配分基準の要件の似

(11)

を欠いているととから生じてくるのである︒延期不可能性の大小は︑枚益性の大小とはなんら必然的な関係をもたな

事実デイlン教授は︑牧益性の高い投資項目のなかには延期可能性の大きなものが多いとして︑つぎのようにのべ

﹁投資項目を延期可能性によって選択する乙とは論理的でなく︑したがって最大利益を生みだす資金配分に

導くようにはおもわれない︒多額の費用節約と高利潤を生みだす大部分の投資は︑いつまでも延期できるといってよ

い︒たとえば︑今月中に手にいれなければ競争相手に渡ってしまう給油所にたいする投資が︑六パーセントの利益を

生みにすのにたいして︑永遠に延期する乙とのできる送油管路にたいする投資は︑費用節約のかたちで三Oパーセン

トの利益を生みどすであろう︒このような事態のもとにあっては︑会社は︑二つの計画のうち延期できない計画より

qu

 

延期できる計画に金をにす方が得なのである︒﹂

資金配分基準として延期不可能性を採用するばあいのもうひとつの欠点は︑投資態度が︑きわめて受動的︑消極的に

なるという乙とである︒このような投資態度にあっては︑販売高の拡張や技術革新を目的とする投資計画は後回しに

される可能性が大きく︑したがって企業経営を停滞的ならしめる危険をも有するのである︒

必 品

M

VS

W3

ュ ︒ 円

回収期間

回枚期間とは︑当該投資計画が生みだす減価償却費控除以前利益によって︑当初の支出額を回政するのに要する年

数である︒たとえば︑原価一︑五五0ドルの機械が一年目︑二年目︑三年目︑:::に生みだす組利益が︑それぞれ五

0 0ドル︑五二0ドル︑五三0ドル︑五三0ドル︑:::であると予測されれば︑この投資の回政期間は三年と計算さ

れることになる︒回牧期間法とは︑このようにして計算された回収期間の短いものの順に︑資金を配分してゆこうと

'

ιこのように国政期間は︑客観的に測定しうる可能性が大きく︑また数字によって表現することがで

(12)

第三九年第二冊

きるから︑乙れによって各投資計画を資金配分の優先順に並べる乙とができる︒したがって︑すぐれた資金配分基準

の要件の川をみたす乙とになる︒

しかし問題は︑このようにして決定された資金配分のための優先順位が︑企業にとってどれだけ有意義なものであ

るか︑ということである︒換言すれば︑回牧期間は牧益性を測定するものであり︑したがってすぐれた資金配分基準

要件の

ω

をみたすものであるかどうか︑というζとである︒定義から明らかなように︑回牧期間は︑投資がその全

命数にわたって生みだす利益ではなく︑命数の一部分(すなわちはじめの方の年度)にわたって生みだす利益のみを

考察範囲のなかにいれている︒はじめの方の年度に生みだす利益が大でさえあれば︑当該投資項目は企業にとって望

ましいものと判定されるのである︒当初支出の回政後に生みだされる利益の大ききは無論の乙と︑利益の発生自体が

どれほど長い間にわたって継続するか︑ということさえも考慮されないのである︒乙の事実からわれわれは︑回牧期

聞が投資の牧益性の測定を狙っているものでない乙とを知ることができよう︒

しいま︑回牧期間と牧益性との聞に必然的な関係がないことを︑マックリーンが掲げる仮設例によって説明してみよ

Uう︒次頁のグラフおよび数字を参照されたい︒乙の例では︑回政期間は︑はじめの方の年度で高校入を生みだす短命

の計画Aの八年がもっとも短く︑はじめの方の年度で低政入を生みだす長命の計画Cの一一・五年がもっとも長い︒

したがって回収期間法によれば︑計画Aが乙の三つのうちでもっとも価値があると判定される︒しかしながら枚益性 をしめす投下資本利益率は︑計画Aの五パーセントがもっとも低く︑計画Cの八・五パーセントがもっとも高い︒し たがって投下資本利益率によれば︑計画Cが乙の三つのうちでもっとも価値があると判定されるのである︒

回牧期間が牧益性の測定をねらうものでないとすれば︑それが測定しようとするものはなんであろうか︒国政期間

は︑投資がはじめの方の年度で生みピす減価償却費控除以前の利益︑すなわち現金牧入の大ききを問題とする乙とに

(13)

(島民{主 1.000ド ル }

50  40 

30  20 

10 

25

計 画 C 230000ドル

25 20

計 画 B 267000L

18 10 15

計 画 A 372000)1.

13

23000ドル 10 11.5

8.5% 

26700L

10 8.7

8 %  

﹁支出現金がどれほどすみやかに会社の金庫

37200)1.

10

8

5 %   当初投下資本額

投 資 命 数 税金控除後滅価 償却費控除前の 年平均利益 平均利益による 回 牧 期 間 実際利益による 回 牧 期 間 投下資本利益率

に戻りうるかという単純な問題に答えることをねらっ

du 

ていることは明らかである︒したがって︑回収期間

は︑投資計画の枚益性の測定を意図するものではなく

むしろ当該投資計画の流動性にたいする貢献度合の測

定を意図するものであるといえよう︒ターボlの表現

をかりれば︑回牧期間は﹁投資の回転速度もしくは流

=

aJ FO  

︒同

4を教えるものである︒かくして回牧期

5年

1年

Hg

40

s

z s g

聞は︑すぐれた資金配分基準の仰をみたすものではな

いかなる企業といえども流動性を無視することはで

きない︒しかし︑資金配分の優先順を流動性にたいす

る貢献度合にもとめる乙とによって︑枚益性を犠牲に

する必要はないのである︒大部分の企業では︑そのような犠牲のコストにくらべて一層少いコストをもって︑必要な

QU 流動性を達成する乙とができるからである︒

しかしながら資金の内部形成力がはなはだしく限定され︑しかも企業外部に資金の調達源泉を見出しえないような

﹁企業の現金にた企業においては︑回牧期間も意義をもっている︒乙の点はデイlン教授の指摘するとおりである︒

(14)

いする欲求が強烈で︑しかも短期間についてすら借入れることを欲しないか︑精入れることができないときには︑す

n u 

みやかに現金を国政する投資の方が政益性の大きな投資より選好されるだろう︒﹂

われわれは以上において︑回牧期聞がすぐれた資金配分基準の要件をすべてみたすものでないことを考察してき

た︒しかし︑技術進歩の速度がいちじるしく︑新設備がたえず技術的陳魔化︒Z

28

8の危険にさらされている

現代社会にあっては︑回収期間法がほとんど無価値であると断定する乙とは困難であるとおもわれる︒乙の点につい

ては︑小林靖雄助教授がつぎのようにのべておられる︒

拠はないにせよ︑とにかく短期の確実性を根拠にしている強みだけは︑企業の投資の安全性にとって︑十分いぎをも

っていることを認めなければならない︒それはその他の諸万式と比較して︑方式自体の抽象的精密化はないが︑現実

の企業の立場からは︑実施しうる具体的いみをもっているのであるよ

gg

o

B

Eg

sz

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BO

E

投下資本利益率は︑投下資金の大きさと︑投資が自己の命数の全体にわたって生みだす純利益の大きさとの関係を

︒州凶同

V F Z

︼当

ω ω g m

h w

﹁そこで実際界で行われる短期資本回収法が︑その理論的根

測定しようとするものである︒乙乙に純利益とは︑資本損耗費または減価償却費を考慮にいれ

た利益である︒投下資本利益率は︑測定の正確さの点では近い将来の利益だけを問題とする回牧期間におよばない︒

しかし︑延期可能性の測定に主観的要素が混入しやすいばあいと乙となって︑投下資本利益率の測定態度は客観的で

ある︒このような意味で︑投下資本利益率は数字的表現の可能性とあいまって︑すぐれた資金配分基準の要件の

ω

みたすものといえる︒

投下資本利益率の定義から︑それが投資の吹益性の測定をねらうものであり︑したがってすぐれた資金配分基準の

要件の似をみたすものである乙とは明らかである︒たとえ︑投資命数やその聞の利益額の予測が相当困難でも︑その

(15)

ような予測と取組ちうとする点に本法の大きな特色がある︒回収期間法のように︑当初支出回収までの利益額のみを

計算にいれ︑その後において当該計画が生みだす利益を無視するのでは︑企業は丁度餌だけを取戻そうとするような

ものである︒問題は餌を取戻したうえに︑どれほど多くの牧獲をうるかにあるはずである︒マックリーンも︑

われわれが投下した金額だけをわれわれに返してくれる計画にぎだす理由がないのは勿論である︒ひとつの曜の

真の価値は︑当初支出の回収後にそれがどれだけ多くの所得を生むかによってきまるのである﹂と指摘している︒し

たがって︑当初支出回牧後の利益にも重点をおく投下資本利益率は︑政益性の正しい測定をねらった合理的な資金配

分基準といえよう︒同時にそれはまた︑資金配分の在り方を積極的︑能動的なものにするようにおもわれる︒それは

延期可能性による資金配分が消極的︑受動的であり︑回収期聞による資金配分が保守的である点と比較して︑ひとつ

の利点といえよう︒

投下資本利益率が牧益性の測定を意図していることから︑配分資金の外部コストとの比較可能性が生みだされてく

る︒もっとも︑投下資本利益率のすべてが外部資金コストとの比較が可能であり︑したがってすぐれた資金配分基準

要件の間をもみたすものとはいえない︒投下資本利益率には︑その計算法によって各種のものが考えられるからであ

る︒乙の点の究明は︑後出の第五節の課題でもあるからここではふれない︒いずれにしても︑外部資金コストと比較

しうる可能性を'もっということは︑投下資本利益率のすぐれている点である︒

最後に︑このような諸利点からつぎのような事実が結論される︒それは︑投下資本利益率による資金配分は︑株主・

の利益を一層大きくするというととである︒というのは︑資本の生産性を正しく測定し︑これを容認可能な牧益性に

かんする適切な基準(外部資金コスト)と比較するととによって︑資金の流れをもっとも有利な用途にむけるからで

ある︒乙れを逆にいえば︑重役が株主の利益を考えるかぎり︑資本的支出にかんする投下資本利益率の測定によって

(16)

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3'~ J.Dean, Measuring the Productivity of Capital, P. 123. 

~ J. Dean, Capital Budgeting, P. 28. 

~ r回醤震直」叫嬰耳n←}QHEMm:t!米田'tJ:t!ム必ム心'tJ~lQO~AJ吋包P

Payback period...J.Dean, R. H. Baldwin. 

Payout period ...J. Dean, J. G. Mclean. 

Payoff period ……G. Terborgh, R. 1. Reul. 

ili J. G. McLean, How to Evaluate New Capital Investment, Harvard Business Rcview, Nov. Dec. 1958. PP.61‑62. 

J.Dean, Measuring the Productivity of Capital, .124. 

G. Terborgh, Business Investment Policy, 1958, P.29. J. Dean, Capital Budgeting, P. 27. 

雪合掌腰器「堪郡高圃J1111111叫。J. G. McLean, op. cit., p. 60. 

J.Dean, Measuring the Productivity of Capital, P. 125. 

E1 居期1~t1152~~Q~ε、~~鉱山以やムν:t!'"'l'.o\\-争本入Q~~匝闇:!bIHê暗記..,4lAJv閤緯右届耳n~説。週明みJtlNミ刊~~('

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(17)

測定における問題点

われわれはこれまで︑投下資本利益率の意義をニつの観点から考察してきた︒すなわち第二節においては︑投下資

本利益率が企業資金を配分する際にどのようにもちいられるか︑といういわば資金配分基準としての機能の観点から︑

第三節においては︑投下資本利益率が他の資金配分基準とくらべてどのようにすぐれているか︑といういわば資金配

分基準そのものとしての優劣の観点から︑それぞれその意義を考察してきたのである︒

そこでつぎにわれわれは︑投下資本利益率の測定法を問題としなければならない︒その際われわれは︑測定法の問

題を二つの部分にわけで考察してみたいとおもう︒ひとつは︑資本的支出項目の投資価値を決定する三つの基纏要素

同生みだされる利益︑向経済的命数︑肺拘束される資本額︑を正しく測定しようとする際に絶対に不可欠なそれらに

ついての正しい概念および正しい測定態度の検討である︒もうひとつは︑このような基礎要素にかんする測定値をど

のように結合してひとつの投下資本利益率とするか︑という計算万法の検討である︒本節では前者をあっかい︑後者

の問題は第五節であっかう乙とにしたい︒

資本的支出項目の投資価値を決定する基礎要素について正しい概念をえ︑正しい測定態度を知る乙とがどうして問

題となるのか︒いま︑投資価値の測定に際して広くみられる誤りをデイiン教授にしたがい検討することによって︑

このことを明らかにしてみよ引︒デイi

0項目の誤りをかかげているが︑そのうちはじめの五項目は︑一

般的測定態度における誤りであり︑あとの五項目は︑投下資本利益率を計算するための基礎数字を測定する際の個別

的な誤りである︒はじめの五項目については簡単にふれ︑あとの五項目については詳細に検討したあとで︑これら基

礎数字の正しい測定法を具体的に規定してみようむ

参照

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