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( Hb Kansas ) for a cyanosis patient

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Academic year: 2021

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(1)

函医誌 第31巻 第1号(2007) 21

は じ め に

 還元型ヘモグロビン血症は健康診断等ではヘモグロビ ンが正常からやや低下しているのみで見逃される事が多 い疾患である。本症例は外来受診時に顔色不良から酸素 飽和度を測定され,血液ガス検査を施行,還元型ヘモグ ロビン血症である事が明らかとなった症例である。顔色 不良の症例に対しては一般採血だけでなく,酸素飽和度 等の施行が望ましい。

症     例

57歳女性。現病歴:幼少時から顔色不良を指摘され,

頭痛に悩まされていた。慢性胃炎,糖尿病で当院消化器 科外来に通院していた。2003年2月24日にめまいで受診 し,血 液 ガ ス 検 査 で 酸 素 飽 和 度 が 低 下 し て い た が,

PaO 2は正常で自覚症状なく呼吸音も正常だったため放

置された。2006年6月28日に感冒様症状にて呼吸器科受

診し,PaO 2と酸素飽和度の解離,さらに還元型ヘモグ

ロビンが検出されたため内科紹介となった。

 既往歴:慢性胃炎,糖尿病にて当院消化器科でフォ ローされていた。

 理学所見:顔面,口唇,手足の爪がチアノーゼ様。心 音,肺音に異常なし,神経学的所見に異常なし。

 検査所見:血液検査所見において大きな異常を認め ず,血液ガス分析において酸素飽和度と血液中酸素濃度 の乖離を認めた。還元型ヘモグロビンを約40%認めた

(表1)。以上より異常ヘモグロビン症の存在を疑いヘモ グロビンの型判定を試みた。

血液ガス分析からチアノーゼを呈するヘモグロビン 異常が示唆され Hb  Kansas と診断し得た1例  

池田 容子 堤   豊** 中田 麻子**

井上万梨絵** 大矢 史恵** 市來 一彦**

白鳥 聡一** 川村 孝仁** 富樫  信***

政氏 伸夫** 村田 和弘

Blood gas analysis suggested the abnormality of hemoglobin and resulted to diagnose of the unstable hemoglobin disease

( Hb Kansas ) for a cyanosis patient

Yoko IKED A,Yutaka TSUTSUMI,Asako N A K A T A,

Marie INOUE,Fumie OHY A,Kazuhiko ICHIKI,

Souichi SHIRA TORI,Takahito K A W A MURA,Makoto TOG A SHI,

Nobuo M A S A UZI,Kazuhiro MURA T A

Key  words: unstable hemoglobin disease ―― Hb Kansas ――

blood gas analysis

 症例報告 

   *1エスアールエル エリアラボ管理課 市立函館病院   **市立函館病院 内科

 ***市立函館病院 中央検査部

表1 Laboratory data(2006.6.28)

/μL 4,000 WBC

mg/dL 0.5 T-Bil

/μL 456×10 RBC

g/dL 7.2 TP

g/dL 13.7 Hb

g/dL 4.7 Alb

43.8 Ht

IU/L 18 GOT

/μL 23.9×10 Plt

IU/L 14 GPT

96.1 MCV

IU/L 172 LDH

30.0 MCH

mg/dL 9 BUN

31.3 MCHC

mg/dL 0.4 Cre

mg/dL 4.0 UA

mmHg 36.5 pCO 2

mEq/L 143 Na

mmHg 84.6 pO 2

mEq/L 4.0 K

57.3 sO 2

mEq/L 108 Cl

0.7 MetHb

mg/dL 0.2 CRP

41.9 RHb

(2)

22 函医誌 第31巻 第1号(2007)

 方 法:①セルロースアセテート膜を用いた電気泳動 でヘモグロビン分画を実施した。②山口大学医学部に依 頼し検査していただいた。尿素CMセルロースカラムク ロマトグラフィーを用いて異常ヘモグロビンを分離し,

トリプシン消化ペプチドマッピング後に異常トリプシン ペプチドのアミノ酸配列を分析した。

 結 果:①ヘモグロビン分画検査を実施したところ,

ヘモグロビンA,ヘモグロビンF以外の判定不能な分画 24%認められたFig.1)。②遺伝子解析を実施したと ころ,βグロビン鎖のコドン102AACAsnACCThr によるHb Kansasであることが判明した(Fig.2)

考     察

 ヘモグロビン異常症は鎌状赤血球異状症に代表される 溶血性貧血を主に呈するものや,薬剤等の溶血発作,一 方で多血症を呈していながら小球性貧血であるものな ど,多少なりともある種の貧血を所見として呈している 事が多く,現在A群からF群までの5段階に分類し治療 の必要な群と必ずしも治療の必要でない群とに分類され てきている。この中で多少不安定だが溶血以外の症状を 呈するE群にこのHb Kansasは分類されている。これは 赤血球自体の酸素親和性が低いためにチアノーゼを呈す るものの,その一方で各種臓器に対しては,赤血球が酸 素を手放しやすく,言い換えれば供給しやすく,少ない 酸素で効率よく酸素を供給するため臨床的には特に大き な症状や問題なく経過する疾患群である。幼少時に顔色 が悪いとか唇が紫であったとしていじめに遭っている ケースが多く,この症例も同様の経過であった。この群 には逆に酸素親和性が高く酸素を手放しにくいために酸 素利用効率が悪く多血症になる症例も含まれ興味深い。

この分類法は治療の必要性の有無に従って記載されてお り,臨床に即したものとして有用性が高い。これらチア ノーゼを呈するケースはアスコルビン酸,つまりビタミ Cを補充する事でチアノーゼが軽減されることがわ かっており,美容のために試みる価値があるとされてい る。今回,本症例の家系を確立しようとしたが他家族と 疎遠なため不可能であった。

 不安定ヘモグロビン血症の解析は近年急速に進んでい る。一方で,未だ貧血として発見されるものの検査法が 一般の施設で行えないため,これらの疾患群であると予 想されるが診断をつけられない症例がいるのも現実であ る。

 今後,より簡便な検査法で判定されるように検査法が 改善されていく事が望まれる。また血液ガス分析等の簡 便な検査でこの疾患群をスクリーニング可能な事がある ため,外来で貧血の原因が分からない症例等には積極的 に施行してもよいものと考えられた。

ま  と  め

 血液ガス分析から異常ヘモグロビンの存在を疑い診断 し得たHb Kansasの症例を経験した。無症状であるため 詳細な問診と身体所見の必要性,さらに疑診例に対して は血液ガス分析等を含めた検査が必要であると考えられ た。

謝辞 稿を終えるにあたり、本症例につきましてご教示 を賜りました服部幸夫教授(山口大学医学部保健学科病 態検査学講座)に深謝致します。

  Fig. 1 ヘモグロビン分画検査にて判定不能な分画を

約24%認めた。

1:Hb-A 2 2:Hb-F 3:Hb-A

Fig. 2 遺伝子解析にてβグロビン鎖のコドン102AAC

(Asn)→ACC(Thr)の変異を認めた。

(3)

函医誌 第31巻 第1号(2007) 23

文     献

1)大庭雄三:ヘモグロビンの液体クロマトグラフィー による分析.臨検1986, 30, 337-346.

2)宮 地 隆 興:ヘ モ グ ロ ビ ン 異 常 症.臨 病1985, 75, 109-122.

3)宮地隆興,大庭雄三,山本きよみ:ヘモグロビン異 常 症 お よ び サ ラ セ ミ ア.内 科Mook 1985, 33, 211- 224.

4)宮 地 隆 興:ヘ モ グ ロ ビ ン 異 常 症.臨 成 人 病1989, 19, 111-118.

参照

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