静岡県における学校と児童養護施設の連携に関する 調査研究
著者 井出 智博, 森岡 真樹, 八木 孝憲
雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 人文・社会・自然科学 篇
巻 66
ページ 27‑42
発行年 2016‑03
出版者 静岡大学学術院教育学領域
URL http://doi.org/10.14945/00009517
静岡大学教育学部研究報告 (人文 。社会 自然科学篇)第66号
(20163)27〜
4227
静岡県 における学校 と児童養護施設の連携 に関する調査研究
The Collaboration between Schools and Children's Homes in Shizuoka Prefecture
井 出 智 博 ・ 森 岡 真 樹
1・八 木 孝 憲 2
Tomo血o IDE,Masakl MORIOKA,Takano五 Y癒
(平成27年
10月 1日
受 理)
h Jhお study,we researched about the collaboraton between school and chidrざ s home in Shizuoka Prefecture and showed key points to develop them 14 cluldren's homes and 28
schoOL(14p―
ary schook and 14 Juttor blgh schools)whiCh Student frOm these cllldren's home belonged to were surverd by Ques」 bnlla■
res As results,■showed that students from chldrers home have learmg and behavloral problems at school, and the schools were h
dl■
cul」 es of support tO them On the other hand,special needs educatlon systems were nOt
utilzed for their support enough We proposed the following points to develop colaborationbetween school and chldren's home h Shizuoka PrefeCture:(1)Enforcement of m service
tr」血
g in the school about understandmg and approachmg to students from tlle chidrers hOme,12)ConstrucuOn Of the cooperaion system include the Cluld Guldance Centers,13) Agreement of the recotttiOn about the informaton sharing about students between the
school and the children's home,141 Udizing spedal needs educatlon systems for student frOmthe children's home,(5)Additional ration of teachers and school stals,(6)SuppOrt Of interpersonal relaionshlps of the student,(7)Development of the comprehensive learning
support plan beいveen school and chldren's home
Key Words:School,Chidren's hoine,Chld abuse,Learmg Support Collaboration
I 問題と目的
児童養護施設
(以下
,施設
)とは
,児童福祉施設の
1つで
,様々な理 由によって家族 と生活 す ることがで きない子 どもたちが暮 らしている。彼 らが施設で暮 らす ことになった理由は様 々 であるが
,多くの子 どもが虐待やネグレク トの他
,養育者の精神疾患や拘留等
,広い意味での 不適切 な養育
(maltreament)を経験 してい る。それは同時 に
,彼らが家族背景や成育歴 の 複雑 さを抱えていることを意味 している。不適切 な養育 を経験 した子 どもは
,高い攻撃性 を示 した り
,引きこ もりの問題 を呈 した りす るな ど
,心理 ・社会的問題 を示す こと (HerFenkOm
&Herrenkohl,21X17;Sternberg et」
,2006:Rogosch&Cたchetu,1994他
)や ,学習や学 校生活 に関連す る困難 さを抱 えていることが示 されている。例 えば
,Vondra et al(1989)は 1児童養護施設 春風寮2児童養護施設 松風荘
28
井 出 智 博 森 岡 真 樹 人 木 孝 憲虐待 を受けた子 どもの学習や学校生活への動機づけが低下することを示 し
,【mrd(1999)は虐待 を経験 した子どもが特殊学級・学校に移籍 した り
,留年 したりすることが多いというこ とを示 している。さらに
,Perez&WidOm(1994)はそうした問題が大人になっても持続す ることを示 している。こうした先行研究は海外のものが多いが
,わが国でも虐待を経験 した子 どもたちは学習成績や学習習慣
,学校生活等において様々な困難を抱えていることが推測され
る 。
では
,施設とその施設の子 どもたちが通う学校では
,彼らに対 してどのような支援が行われ ているのだろうか。保坂 ら (2010)は 「学校における施設入所の被虐待児への対応は大 きなテー 々であるにもかかわらず, これまでほとんど研究の対象になってこなかった」 と述べ
:平成
21年度から 3年 間 ,『 被虐待児の援助に関わる学校 と児童養護施設の連携』 と題 した研究を展開し
,施設から通う児童・生徒の状況や学校 と施設の連携の現状 と課題などを示 している
(保坂 ら
,2010,mll,2012)。
一連の研究の中で
,学校 と施設が連携 し
,情報を共有する際には個人情 報共有に過度の「自主規制」問題があること
,改善策として「加配教員」の配置が有効である
と考えられること
,特別支援教育の活用が有効である可能性などが示されている。
本研究では
,全国的動向を踏 まえながら
,静岡県おける施設児童・生徒の学校生活の状況 と
,彼 らを支援するための学校 と施設連携の状況と課題を明らかにすることを目的とした。また
,明らかになった現状や課題をもとにして
,学校 と施設が連携 を深める際の留意点について明示 する。なお
,児童養護施設は児童福祉法によって設置されているために
,子どもたちを「児童」
と称することが一般的であるが
,本研究では小学校
,中学校に通う子 どもたちを示す呼称 とし て「児童 。生徒」という呼称を用いることとし
,施設児童・生徒 と記述 した。
I 方法
1 学校に対する調査
施設児童・生徒が通う地域の小・中学校に対 して
,以下の内容を含んだ質問紙を郵送 した。
管理職や施設との窓口を務める教員など
,施設との連携状況を把握する立場にある教員に回答 を依頼 し
,平成 27年
6月〜
7月の期間に実施 した。調査項 目は以下のとお りである。
①施設から通う児童・生徒の状況について :施設から通ってくる児童・生徒の特徴について
,家庭から通ってくる児童・生徒 と比較 した時にどのような特徴があるかについて尋ねた。
②学校 と施設の連携状況について :学校 と施設の連携状況についての全般的な評価 を尋ねた。
さらに
,連携の具体的な取 り組みとしてどのようなことが行われているかについて
,実施状 況 と
,必要性の高い取 り組みについて尋ねた。
③施設からの情報伝達について :学校 と施設の間でどのような情報が共有される必要があるの が, またそうした情報が実際に共有されているのかについて尋ねた。
④施設や施設児童・生徒に対する理解を深めるための取 り組みについて :施 設や施設児童・生 徒に対する理解を深めるために学校で行われている取 り組みについて尋ねた。
2 施設に対する調査
静岡県内の施設に対 して以下の内容を含んだ質問紙を郵送 した。回答は管理職など
,学校と
の連携状況を把握する立場にある職員
(施設長
,主任等
)にお願いし
,平成 26年
11月〜
12月の 期間に実施 した。調査項 目は以下のとお りである。
①施設児童・生徒の学籍等の状況について :普 通級
,特別支援学級
,特別支援学校
,通級指導
静岡県における学校 と児童養護施設の連携 に関する調査研究
教室等の利用
,在籍状況を尋ねた。また
,学習面
,行動面の困難を抱えた児童・生徒
,不登 校
,不登校傾向の児童・生徒の在籍状況について尋ねた。
②家庭学習の状況 と問題点 :施 設で家庭学習を行 う上での問題点を尋ねた。また
,塾や学習ボ ランテイアなどの外部資源の活用状況についても尋ねた。
③施設と学校の連携状況について
:施
設と学校の連携状況についての全般的な評価を尋ねた。さらに,連携の具体的な取 り組みとしてどのようなことが行われているかについて,実施状 況と,必要性の高い取 り組みについて尋ねた。
④学校に求めたい配慮について
:施
設として学校に求めたいと考える配慮について尋ねた。⑤学校 との情報共有について
:施
設と学校の間でどのような情報が共有される必要があるのた またそうした情報が実際に共有されているのかについて尋ねた。3
調査実施に関する倫理的配慮調査研究のプロセスは静岡大学「ヒトを対象とする研究に関する倫理審査」の承認を得た。
また,調査研究の遂行にあたつては,児童養護施設施設長をアドバイザーとして,調査内容や 依頼手順,倫理的配慮事項について,調査研究の進行に併せて助言を仰げる体制をとった。
Ⅲ 結果 と考察 1 調査対象について
静 岡県内に所在す る施設は 14施 設である。その うち
,2施設 は東京都か ら措置 された子 ども たちが暮 らす施設
(都外施設
)であるが
,静岡県内に所在する地域の学校 に通学 しているため に
,他の施設 と同様 に調査の対象 とした。施設に対する調査では
,14施設の うち 10施 設か ら回 答が得 られた
(回収率 :714%)。 学校 に対す る調査では
,それぞれの施設の児童・生徒が通 う 小学校 と中学校
,全28校 を対象 とし
,節校か ら回答が得 られた
(回収率 :714%)。 なお
,回収
された校種の内訳 は小学校 10校
,中学校 9校
,不明 1校 であつた。
2 回答者について
学校 に対す る調査の回答者の内訳は
,校長が 1校
,副校長・教頭が
12校,その他の教員が 7校 で
,その他の教員 としては生徒指導担当教員がほとんどであった。また
,施設に対す る調査の 回答者 は施設長力も施設
,その他
,主任 ・統括指導員
,副施設等であった。
3 児童・生徒の特徴について
(1)学校への通学状況
厚生労働省の調査 (2009)で は施設児童・生徒の うち
,94%に知的障害
,25%にADHD,11%
に
LDがあ り
,身体的な障害 を含め
234%の児童 。生徒が何 らかの障害 を有 していることが示 されている。 また
,伊藤 (2009)に よれば,名 古屋市民間入所施設
(等)連絡協議会の調査
(2006)では名古屋市内
11施設で生活 している施設児童 生徒 の うち
,43%が養護学校
,386%が特別
支援学級 に在籍 していることが示 されている。 これに対 して
,本調査では
,特別支援学校 に通
う児童・生徒 の割合は
92%であ り
,特別支援学級 に通 う児童・生徒の割合は
95%であった
(表 1,2)。特別支援学校 に通 う児童 。生徒 の書」 合 は先 に示 した名古屋市 における調査 を上回るが
,特別支援学級への在籍率は非常 に低 くなっていることが分かる。名古屋市に比べて静 岡県の施
設児童・生徒 には発達障害等の傾向を有す る児童 。生徒の割合が特別に低い ということは考え
に くく
,施設がある地域の学校への特別支援学級の設置率や特別支援学級活用の意識 による違
いであることが推波
1される。保坂 ら (2011)は
,様々な問題 を抱 える施設児童・生徒への支援
29
311
井 出 智 博 森 岡 真 樹 八 木 孝 憲においては
,特=U支 援教育の活用が有効であるとしている。後述するように
,静岡県内の施設 児童に も学習面
,行動面の困難 を示す児童・生徒が多 く在籍 してい る。 こうした現状 において
,彼 らへの支援 として必要 に応 じて特別支援学級の活用が進め られることが期待 される。特別支 援学級の活用 は
,何らかの困難 を抱 える施設児童・生徒 に対する学 びを保障するだけではな く
,個 々の普通学級の担任の負担 を減 らす ことにもつながると考えらえる。
表
1施設入所児童の通学状況
校 種
小学生 中学生 高校生 全 体
74 229 117 72 492
̀″ 777
Йttθ
′(2ノ
a2′
一調 一
︲ 7 86 9 9 26 7
価
θ
′ イ
′ a
″ z
86 ′
Z′
表2 特別支援学級等への通学状況
通級指導教室等の利用状況
特別支援学校 …… 岬 ¨¨
革轍朝撻落 …… ………
木昼褥ど …・¨
対象にした通級 対象にした通級 対象にした通級
(2)問
題行動の傾向
神奈川県社 会福祉協議会 (2010)の 調査では普通学級に在籍 している施設児童・生徒の内
,「学 習面か行動面で著 しい困難 を示す」 とされる子 どもの割合 は
369%と報告 されてお り
,学習面 や行動面 に困難を示す施設児童・生徒の割合は
,一般の児童・生徒 に比べて高いことが先行研 究か ら明 らかになっている。静岡県の施設において も同様の傾向が見 られるのかについて確認 す るために
,各施設 に
:学校か ら学習上
,行動上の問題 を指摘 されている児童 ・生徒の人数を 尋ねた。 これは
,必ず しも知的障害や発達障害
,愛着障害 などの何 らかの障害 を有する児童・
生徒の人数 を示す ものではな く
,学校生活上
,何らかの問題 を抱 えていることを学校か ら指摘 されている人数 を示 している。幼稚国か ら中学生 までの技 種で学習面
,行動面のいずれかに困 難 を抱 えていると指摘 されている児童・生徒がК路 を越 えてお り小学生
,中学生では
2596を超
え
,4人に 1人 以上の割合で何 らかの問題 を抱 えていることが示 されている
(表3)。 先 に示 した 神奈川県の調査に比べ ると
,やや低いが
,一般的な傾向 と比較す るとどうなのだろうか。
文部科学省の調査
(文部科学省
,2012)によると
,通常学級 に在籍 している学習面 に困難 を 抱 える児童・生徒の割合 は
45%,行動面で困難 を抱 える児童 。生徒 の割合 は
36%,学習面
,行動面 ともに困難 を抱 えている児童 ・生徒 の割合 は
16%とされている。今 回の調査では特別支 援学校・学級 に通学
,通級 している児童 生徒 も対象 に した人数であるが
,傾向を比較す るた めに文部科学省の調査 と本調査 における学習面
,行動面の問題 を抱 えた児童・生徒 の割合 を比 較 した。その結果
,学習面の困難 (χ 2=14679,pく
01),行動面の困難 (χ
2=10679,pくЮ
l),
学習面行動面共 に (χ
2=10z375,pく 01)のすべてで施設の児童 :生徒 には困難 を抱 えてい る困難 を抱 えている児童・生徒の割合が高いことが示 された
(表4)。′
∂ 2
︐ 2
―
等
n
″中学生
静岡県における学校 と児童養護施設の連携 に関す る調査研究
表
3学習上・行動上の困難を抱える児童・生徒数
31
幼 稚 園 生
n
カ全 体
′
′ θ
′ ι
′
″
′
′ θ
′ 2
″
′ θ
′
︐
κ a
︐ z
″一 ″ ″ ″
/
′
′
ι κ
″
6
1016
行動面の問題学習面行動面共に 学習面,行動面いずれか
却 学習上の困難を抱える児童・生徒数の文料省データと比較
学習面で 行動面で
酸当児童数 全児童数 該 当児童数 全児童数
学習面・行動面共に 議当児童数 全児童数
全国
語型[
施設 蓄型笙
5227 m 34 5227 郷
34
1882
18940225
336
86186632
52272 522461 346
このデータか ら
,施設児童・生徒 は一般の児童・生徒 よりも
,学習面
,行動面で困難 を抱 え
る割合が高いことが分かる。施設 を校 区に持つ小・中学校ではそ うした児童・生徒への支援の ニーズが高 く
,そうした学校 に対 しては手厚い人員の配置 を検討す るな どの特別な支援が必要 であることを認識す る必要がある。施設の中には都市部 を避け
,郊外 に作 られた施設 もあ り
,全校生徒 に占める施設児童の割合が高い学校 もある。そ うした学校 ではよリー層
,教師の負担
が高 まる可能性 もある。先に述べた ような特別支援教育の活用の他
,加配教員や支援員の配置 な ど柔軟 な対応 をとることがで きる体制 を整 えることが求め られる
(保坂
,mll)。また
,こうした学習面
,行動面の困難 さは発達障害によるものだけではな く
,不適切 な養育の影響によ るもの
,愛着障害 を背景に持つ ものであることも考えられる。杉 山 (21107)が 「第四の発達障 害」 と位置づけ
,特別支援教育の対象であるとしているように
,不適切な養育の影響 による学 習面
,行動面への影響 について教職員が理解するための研修機会 を設けることも必要であろう。
また
,各施設に不登校
,および不登 校傾向
(以下
,不登校・傾向
)の児童・生徒 の人数を尋 ねた
(表5)。 不登 校・傾向の児童・生徒 は中学生で比較的多 くみ らた。 しか し
,不登校 ・傾向 の児童 ・生徒が在籍 している施設は 14施 設 中 4施 設であ り
,不登校 :傾 向児童・生徒 の在籍 に は施設による偏 りがあることが示唆 された。不登校 傾向児童 生徒が在籍する施設では複数 の児童 ・生徒が不登校・傾向を示す傾向にあると考えられるために
,学校 としては不登校・傾 向の施設児童・生徒がいる場合 には
,不登校対応の視点か ら施設 との連携が求め られる。
表
5不登校
,不登校傾向性と児童の在籍状況
幼稚 園生 中学生
不登校傾 向 合計 全児童
3
■θ 7 a03 4′ 10 ι′
θ
′ θ α 2
′ イ
イ た た
117
(3)学
校か ら見た施設児童・生徒の特徴
学校 に対 して
,家庭か ら通 う児童 ・生徒 と比較 して
,施設児童・生徒 には どのような特徴が
小学生 中学生
32
井 出 智 博 森 岡 真 樹 八 木 孝 憲あるかについて尋ねた
(表6)。 施設児童 生徒 といって も様々であ り
,一括 りに して印象 を回 答す ることは容易ではない と考えられたが
,学校が感 じている施設児童・生徒 に対す る全般的 な印象 を把握 した。その結果
,特に学校が強 く感 じていた施設児童 。生徒の特徴 は
,学習の困 難
,多動傾向
,子ども間の暴力暴言などの トラブルであることが示 された。 このことか らは施 設児童 ・生徒 に対 しては
,特に学習面への支援
,児童・生徒間の人間関係への支援の必要性が 高い と考 えられる。
また, 自由記述の内容 としては「自己肯定感が低い」「学力面での低位は強 く認められる」
といったように
,情緒面
,学習面の課題を指摘するものが見られた一方で
,「学校では努力 し ている生徒が多い。学校で見せる姿 と施設内での姿に違いがある子が多いように感 じる」とい うように
,施設から報告され る児童・生徒の姿 と比べて
,学校では問題傾向が低いことを指摘 する内容 も見られた。第一著者は
,定期的に複数の施設の事例検討会に参加するが
,その中で も施設では多 くの行動上の問題を示すが
,学校からは特に問題があるという指摘 を受けていな い児童 。生徒の事例に出会うことも少なくない。 もちろん
,学校でも多 くの問題を起 こす と指 摘 される児童・生徒 も多 くいるが
,施設では
F・5題 を起こしながらも
,学校生活には比較的適応 している児童・生徒が少なからずいることも事実である。児童・生徒の姿を正 しく理解 し
,必要な支援 を行うためには, このように学校 と施設での行動の異同を丁寧に理解 してい くことが 求められる。そのためにも学校 と施設の連携が機能することは重要な課題となる。
表6 学校が感 じている施設児童・生徒の印象
項 目 0(%) 1(ゆ
2(ゆ 3(ゆ20の 割合 (%) 学 力が ,く 、教菫 での授彙についてい くのが難 しい傾 向にある
他 の児童 生 徒 と同 じような内害の宿題では取 り組むのが難 しい傾向にある
授 業中に離凛 した り、霧 ち着 きな く体 を動か していた りす るな ど騒 が しい傾 向にある 211 203 474 53 526
222 033 333 111 444
270 033 278 11 1 389
203 003 316 53 303
200 000 010 50 368
000 400 250 50 300
50 050 300 011 300
000 400 150 150 300
474 200 20■ 00 260
暴 力行為や晏■ な ど、他の児童・ 生徒 との トラブル を起 こす傾 向にある 婉療 やパ ニ ックな ど感情的な爆発 を起 こ しやすい傾 向にある 授業 中に他
0児童生徒 にち よつか いを出すな ど、学習の妨 げ とな る傾 向に ある
8れ物が多い傾 向にある 教師の注意や指導に対 して屁抗的態度が強い傾向にある 人付 さ合 いが苦手で、友遺 を
+ることや関係 を饉持することが難 しい傾向にある 期限 を
,つて提出物を攪出することが難 しい傾向にある 遅刻 、早退
.欠席が多いなど、豊校状況に間目がある傾 向にある 保健
=や相臓 室の利用が多い傾 向にある
100 150 500 250 750158 203 421 158 579
421 003 211 00 211
J
4 学校 と施設の連携の現状と取 り組み
(1)連携 についての評価
学校 と施設が両者の連携の機能について どの ように評価 しているのかについて
,4件法 にて 回答 を求めた
(表7)。 得 られた回答の分布 について ,Fisherの 正確確立検定 を実施 した ところ
, 分布に有意差は認められなかった。おおむね,施設も学校 も連携は機能しているという印象を 持っていることが示された。統計上の有意差は見られなかったが,学校では「かなり機能して いるJとぃう評価が多 くみられたが,施設ではやや中庸的な評価が多 くみられた。表7 学校 と施設の連携に対する評価 学校 施設
ヽJ「
2や
やあてはまる」「3
かなり機能している まあまあ機能している あまり機能していない まったく機能していない
8 7
1
0
′ 7 ノ
″
″ O
θ θ
″ 4 a
静岡県 における学校 と児童養護施設の連携 に関す る調査研究
(2)行
われている連携の内容 と必要だ と考 えられている連携の内容
学校 に
,学校 と施設の間で行われている連携の内容 を尋ねた 08)。 最 も行われている連携 は
,施設児童・生徒が学校 で問題 を起 こした際の学校 と施設の二者会議であった。 この他 にも
,定期的な連絡会 を開催 していた り
,施設に新入所児童 生徒があつた際の学校 と施設の二者会 議
,担任 と施設職員の 日常的な連携が行われていた。 また
,学校 と施設にそれぞれ連携の窓口
となる教員
,職員が配置 されている学校 も半数以上見 られた。
一方で
,行われているか否かに関わ らず
,特に重要 だ と感 じている連携の内容 を
3つ以内で 選択 して もらった ところ
,新入所児童・生徒があった際に
,学校 と施設だけではな く
,児童相 談所 も交えた三者 による会議 を行 うことと回答 した学校が最 も多 く
,次いで児童 ・生徒が学校 で問題 を起 こした際に学校 と施設だけではな く
,児童相談所 も交 えた三者会議 を行 うことと回 答 した学校が多かった。その他 には
,年間計画 として位置づけ られた学校 と施設の定期 的な連 絡会や担任教師 と施設の担当職員の 日常的な連絡 などを重要だ と考 えている学校が多 く見 られ た。施設か ら学校 に通 う児童 ・生徒 は
,措置 をされて施設入所 している。児童相談所 は
,施設
児童 ・生徒 の家族関係や成育歴
,今後の見通 し
,能力や性格の特徴 などについて多 くの情報 を 把握 しているだけではな く
,施設児童 ・生徒の処遇については重要な権限を有 している。学校 が児童相談所 を交 えた三者会議 を重要だ と考 えている背景には
,そうした児童相談所の持つ処 遇 に関する決定や様 々な情報 に対するニーズの高 さが含 まれているもの と考えられる。 しか し
,現状ではそれほど多 くの学校では実施 されてお らず
,学校 と施設の有効な連携 を構築 してい く ためには
,単に学校 と施設の連携だけではな く
,児童相談所 も含めた連携 を構築 してい くこと が必要であることが示唆 された。
表
8行われている連携の取り組みと必要だと考えられている連携の取り組み
33
施 設 児 童
生 徒 が学技 で同目 を起 こ した饉 の
施 曖 と学 校 の 言 全 年 間 訃 画 と して 位 置 づ け られ て い る 、学 校 と鮨 段 の 定 期 的 な 連 絡 会
Ю 3 2 2 2 2
︐ 2 0 8 2 0
お
=
︐ 2 3 5 Ю つ O Ю
新 た に 施 設 入 所 し、学 校 に転 入 児 童
生 徒 が あ つた 饉 の 、 鮨 設 と学 校 の
―
L担 任 教 師 と施 設 担 当● 員 な どの 日常 的 な菫 薔 学 校 に施 段 と
0連機 の 鼈 口 と な る教 師 を■ ■ す る こ と 施 設 に学 校 との 邁 機 の 意 口 とな る職 員 が 配
=さ れ て い る こ と 施 餃 や 児 童 相 讀 所 が ■ 成 した 書 類 に よ る 、ll颯 の 伝 逮
新 た に 施 設 入 所 し
学 校 に鮨 入 児 童
生 掟 が あ つた瞭 の
児 童 相 談 所
学 校 、 施 設 の
==0■ス クー ル カ ウ ンセ ラ ー や ス クー ル ソー シ ヤル ワー カー を支 え た 連 機
施 設 児 童
生 掟 が学校 で田層 を起 こ した朦 の 、児 童相 談所
学 校 、 歯 渡 の 営を 合 雖 設 定 され た授 業 ● ● 日以 外 の
.施餞 崚 員 に よ る猥 彙
'燿
等 の 学 崚 肪 閾
(3)施
設が学校 に配慮 して欲 しい と考えていること
学校 との連携上
,施設が学校 に対 して どの ような配慮 を求めたいかについて尋ねた
(表9)。
「ややあてはまる」 「 あては まる」 とい う回答が多かったのは
,「成育歴や家族 に関連する内容 が含 まれる授業 をする場合 には事前 に相談 してほ しい」 と「学校で起 きた問題はで きるだけ学 校で対処 してほ しい」 とい う項 目で
,すべての施設が配慮を求めたい としていた。また
,最も
多 くの施設が「あてはまる」 と回答 したのは「施設で暮 らす子 どもの行動
,情緒の特徴 を理解 し
,対応 してほしい」という項 目であった。施設としては
,施設で暮 らす子 どもの背景や行動
,情緒の特徴などを理解 した上で対応 してほしいという要望を強 く持っているといえる。
例えば
,小学校の生活科では「自分の心身の成長に気付 くこと」が教科の目標の
1つとして
掲げられ, 自分の成長を支えてくれた人々がいることを理解 し
,感謝の気持ちを持つようにな
井 出 智 博 森 岡 真 樹 人 木 孝 憲
ることを目指す とされている
(小学校学習指導要領解説生活編
,平成 20年
6月)。 また
,学校に よっては三分の一成人式などを実施する際に, 自分の生い立ちを編纂 したり
,親への感謝の手 紙を書 くことに取 り組むこともある。しかし
,こうした取 り組みは
,複雑な生い立ちを抱える 施設児童・生徒にとっては
,大きな傷付 きを生むことにもなりかねない。当然
,彼らにも生い
立ちを整理 してい くことが求められるが
,それは彼 ら自身の心理的な準備が整つた時に始めら れるべきであり
,施設における支援ではライフス トーリーワーク
(楢原
,2015)を始めとして
,様々な形での生υ` 立ちの支援が慎重に進められている。さらに
,そうした生い立ちに関する内 容を授業で取 り扱 うことは
,家庭で暮らす児童生徒にとつても大きなリスクとなり得ることを 理解 してお く必要もあるだろう。施設児童・生徒の状況を理解 したうえで
,そうした取 り組み を学校で行 う際には
,事前に施設と連絡を取 り
,配慮が必要な児童・生徒や配慮事項について
,十分に検討 してお く必要がある。
一方で
,「連携の窓口となる教員を配置してほしい」 「特別支援学級の枠を広げてほしい
Jという項 目については「まったくあてはまらない」から「あてはまる」まで回答にばらつきが見
られた。こうした内容については
,地域によってすでに取 り組まれていた り
,ニーズに差が
あつた りすると考えられる。
また
,学校で起 きた問題はできるだけ学校で対処 してほしいという要望が高い一方で
,学校 で子 どもが問題を起こした際には些細なことであっても連絡 してほしいとぃぅょぅに
,対処は 学校にお願いしたいが
,連絡だけは欲 しいという施設の要望 も示されている。施設ではそれほ ど多 くない職員が児童・生徒の養育にあたってお り
,慢性的なマンパワーが不足する状況が長 く続いていることもあり
,学校での出来事は把握 しておきたいが
,対応は学校にお願いしたい というのが現状であると考えられる。 しかし
,学校 としても現状では
,施設児童・生徒への対 応だけに多 くの時間を割 くことは困難である。施設がある地域の学校には施設の窓口となる教 員や授業等を支援する支援員などの加配が求められるところである。
表
9施設が学校に求めたい配慮
地域の学校に特月
1支
援学級はあるが,も
う少し枠を広げ,多くの子どもを受け入れてはしい 連携 の窓 口となる教員を設定してほしい(4)学
校 としての取 り組み
学校 に対 して
,施設や施設児童・生徒 に対する理解 を深めるために取 り組んでいることや配 慮事項 について尋ねた
(表10)。 学校が施設 との連携 を進めるために最 も意識 して取 り組 んで いることは学校で施設児童・生徒が問題を起 こした際には些細 なことであっても施設に連絡 し
,連携 して対応することであることが示 された。 しか し
,先に示 したように
,施設側 は「学校で
0 0 0 0 0 0
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学校で起きた問題はできるだけ学校で対処してはしい 学力に応して 課題や宿題を設定してはしい
診断の有無に関わらず学力上,行動上の問題を抱える子どもに支援員等加配を付けてほしい 施設で暮らす子どもの行動,情緒の特徴を理解し,対応してはしい
学校で子どもが問題を起こした際は,些細なことであつても連絡してはしい 日中に服薬の必要がある子どもについて,薬の管理や服薬の声かけをしてはしい 進路・職業選択に際して,子どもたちの背景を理解した指導をしてはしい 施設だからといつて,憲庭に対して以上に多くのことを要求しないてほしい 施設職員の勤務状況や業務内容について理解してはしい
34
静岡県における学校 と児童養護施設の連携 に関する調査研究
起 きた問題はできるだけ学校で対処 してほしい」という要望を持つてお り
,学校 としては些細 なことであっても連絡 して
,連携 して対応をするという姿勢でいても
,場合によっては
,ある
いは内容によっては施設としては学校で起 きた問題は学校で対処 してほしいという気持ちであ ることもあるのかもしれない。より良い連携を築 くためには
,あらか じめどのような場合に連 絡をするのか, ということについての話 し合いをしてお く必要があるのかもしれない。
また
,施設児童・生徒に対する理解を深めた り
,支援 した りする取 り組みとして
,施設児童・
生徒 と他の児童・生徒が信頼関係を築きやすいような取 り組みを行っていた り
,施設児童・生 徒を「特別な支援を要する」児童・生徒 として捉えていた りするなど
,施設児童・生徒の学校 生活において
,特別な配慮が行われている学校 もある。本調査では
,その内容まで把握するこ とができなかったために
,具体的にどのような取 り組みが行われてお り, どのような効果を上 げているかについての調査を行う必要がある。
さらに
,施設に対する理解を深めたり
,施設児童・生徒の特徴 を理解するための取 り組みと して校内研修が行われていた。ただ
,こうした研修はすべての学校で行われている訳ではない ため
,今後は施設児童・生徒が通つてくる地域の学校では
,施設や施設児童に対する理解を深 めるための研修の機会が充実されることが求められる。
表 10 施設との連携
,施設児童・生徒の理解を深めるための取り組み
35
項 目
0 1 2 3 23の 割合(96) 学校で児童 生徒が問題 を起 こ した際 は、些細 な ことであ つても施設に連絡 し、連携 して
対応 を行 つている。
施設児童 生徒が他の児童 生徒 と信頼関係を築きやす いよ うな取 り組み を行 つている 施設児童生徒は r特 別な支援を要する」児童 生徒 として捉 えている
施設で暮 らす児童・生掟の行動、情緒の特徴 を理解 した対応 を行 つている。
パニ ックゃ痢嶺な どの感情爆発時にクールダウンす るための部屋や空間を設けている 生 い立 ちや家族に関連す る内容が含まれ る授葉 を実施す る際 に施設に事前相談 している 施設児童 生徒の学力に応 した、課題や宿題の設定 を意識 している
施設だか らといつて、家庭に対 して以上に多 く
0ことは要求 しないように している
・ 児童養護施設
"とい う施設に対する理解 を課めるための研修 を行 つている 施設で暮 らす児童・生徒の理解や対応についての研修 を行 つている
鳳薬の必要がある児童・ 生徒に対 して薬の管理 を した り、風薬の声か けを行 つている 愛着障害に対する理解 を深める研修 を行 つている
施設退所後の ことを考慮 したキ ヤリア数■、進路・ 職業指導 を行な つている
0 1 5 13
1 1 9 7
2278 1095 2038 4235 2467 3370 0490
′
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3 7 7 2
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6 6 7 0
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研修や事例検討等、外部専門家を活用 した虐待や社会的姜護についての研修を行つている 5 10 3 1 ′え′
rOま つたく取り組んでいない」「1あ まり取り組んでいない」「2やや取り組んでいる」「3かなり取り組んでいるJ
5 学校と施設の間の情報共有について
(1)学
校 と施設が共有することが必要だと考 える情報
学校 と施設それぞれに
,連携上, どのような情報 を共有す ることが必要か を尋ねた
(表11)。
学校
,施設 ともに施設児童・生徒 に関す る様 々な情報 を共有す ることが必要だ と考えているこ
とが示 され
,特に
,すべての学校
,施設が共 に必要であるとしたのは
,施設児童・生徒の行動
上
,情緒上の問題について と施設での生活の様子についてであつた。 また
,入所理由や前籍校
での様子について もほぼすべての学校
,施設が共有す ることが必要であると考 えていた。施設
児童・生徒 の行動上
,情緒上の問題や施設での生活の様子は
,日々の学校生活 に直接 的に影響
することであるために
,学校
,施設双方が共有す ることが必要だ と考 える情報 となっているも
のだ と考 えらえる。
36
井 出 智 博 ・ 森 岡 真 樹 人 木 孝 憲表 11 共有することが必要だと考える情報共有の内容
父母について きようだしヽこついて 心理検査結果
(前
に通つていた学校がある場合)前
籍校での様子 行動上,情緒上の問題について家庭復帰の見込み 成育歴
親
(家
族等)と
の面会・外泊の状況について(里
親と関係がある場合)里
親との交流状況19 ̀,0 8 "′ 2,
19 a,ο 9
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19 ̀,0 8 ″ 0 2,
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フ ″ ′
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,16 ″ 0 0 ″ O a,
施設での生活の様子 20 綱 ′ 10 ′ ″ O as
(2)学校 と施設の間で行 われている情報共有
上記の必要だと考 える情報共有の内容 と同 じ内容 について
,実際に学校 と施設の間で状況が 共有 されているかについて尋ねた
(表12)。 共有 しているとい う回答の割合 を Fisherの 直接確 率検定 を用いて比較 した ところ ,し `くつかの項 目において有意差
,有意傾向が認め られた。有 意差が認められたのは親
(家族等
)との面会・外泊の状況 と里親 との交流状況で
,いずれも施 設側が情報 を共有 していると回答 した割合 よりも
,学校側が共有 していると回答 した割合の方 が低 くならてお り
,施設 としては情報 を共有 していると考えているが
,学校側 は情報が共有 さ れていない と考 えている現状 にあることが示 された。また
,心理検査の結果 について も
,施設 が共有 していると考 えている害
J合よりも
,学校が共有 していると考 えている割合の方が低い傾 向が認め られ
,施設 としては共有 しているつ もりで も
,学校 としてはそ う思 えていない場合が あることが示唆 された。保坂 ら (2011)が
,施設は個人情報管理の観点か ら子 どもの情報 を学 校に伝える際に慎重になるとしているように
,施設側が必要性を感ヽ じなが らも 1青 報の共有を控 えていることも考えられる。施設児童・生徒は様々な背景を抱え
,中には事件等
,情報の取 り 扱いには非常に慎重にならなければならない事例 も含まれている。また
,保坂 ら (2011)が 調 査の中で
,施設児童・生徒の個人的な事情を他の児童 。生徒に話 してしまったという事例の報 告が複数挙げられたことを報告 しているように
,施設としては情報を伝 えることのリスクを考
えてしまうことがあると考えられる。
有効な連携を深めていくために
,学校 としては, どのような情報が得 られるとどのように学 校での指導
,支援が行えるのかということを施設に伝える必要があるだろう。また
,その際
,得 られた情報をどのように管理するのかということについて
,学校内でどのような情報をどの 程度共有するかについても施設に対 して明示することが求められる。
表 12 実際に行われている情報共有の内容
人 所 理 日 父 母 につ いて
きょうだいについて 心理検査結果
0 0
′ 0 0 0 0 0 0 0 ん
″
″ ん
″
″
″
″
″ α ″ チ
ρ→
M5・´ α じ・ ・ 10
9 9 8 7 9 8 8 7 6 10
′ ″ ′ aα
0aα
0aα
0Zα0
aα ο a′ ο aa′
″
0aα
0′
0(前
に通つていた学校がある場合)前
籍校での様子 行動上,情緒上の問題について家庭復帰の見込み 成育歴
親
(家
族等)と
の面会・外泊の状況について(里
親と関係がある場合)里
親との交流状況 施設での生活の様子19 "0 10 ′ ″
017 a′0
静 岡県 における学校 と児童養護施設の連携 に関す る調査研 究
6 施設が抱える学習支援上の困難
(1)家庭学習上の困難 さ
施設児童・生徒 には
,複雑 な家庭背景 を持つ児童 。生徒が多 く
,施設入所 までに基礎的な学 力 を身につけていなかった り
,学習の習慣が身に付いてぃない児童 。生徒 も少 な くない。 また
,児童虐待 が学習成績 や学習 の習慣 に否定的 な影響 を与 える ことを指摘 す る研 究
(例えば
,Perez&Widom, 1994;EckenrOde et al,2001:Vondra et al,1989)も
見 られる。先 に示 したように
,本調査で も学校か ら学習面での困難 を指摘 される児童 ・生徒の割合は高かった。
学力が低 く
,学習の習慣 も身に付いていない傾向が強い施設児童 ・生徒 は
,家庭学習上 も困難
を抱 えていると考 えられる。そこで
,施設に対 して
,施設で児童・生徒の宿題や家庭学習 を支 援す る上での困難 さについて尋ねた
(表13)。 その結果
,学習意欲がないので取 り組 まない
,勉強を教 えたいが人手が少 な く難 しい とい う項 目においてほ とんどの施設が該当すると回答 し た。この結果に示されるように
,学校における学習面だけでなく
,家庭学習をどのように進め るかには
,施設にとって大 きな課題 となっているようである。
こうした問題の背景にあるのは
,施設児童 生徒の学力の低さや学習習慣の問題だけではな い。学習面の困難さを抱えた児童・生徒が多 く生活 しているにも関わらず
,施設では長年にわ たつて
,慢性的なマンパワーの不足が続いている。概ね
,子ども 5人 に対 して職員が
1人の割合 で配置されているが
,職員は勤務の都合上
,いつ も子どもと一緒にいるわけではないので
,タ方から夜の時間帯には 10人 から 15人 程度の子 どもの支援に当たらなければならない。児童・生 徒に対 して家庭学習を支援することが重要であることは感 じながらも実行することができてい ないのが施設の現状である。こうした中で
,学校から出される宿題が子どもの能力に合ったも のではない場合
,宿題は
,単なる作業に過ぎず
,学習効果を生まないばか りか
,かえつて子 ど
もたちの学習に対するコンピタンスを低下させることにもつなが りかねない。学級経営のこと を考えると他の児童・生徒 との兼ね合いなどもあるだろうが
,施設児童 生徒の学力の保障や 学習習慣の確立のことを考えるならば
,学校 と施設が協議 し
,必要に応 じて宿題や課題の内容 について検討することも必要である。
表
13
家庭学習の困難さつても一人ではでき ていない
\IJL\
37
0 0 0 0 0
′ 0
″
″
″
″ 4 花
J
(2)学
習ボランテイア等の外部資源の活用状況
施設児童 生徒の学力や学習の習慣 を補完する選択肢の
1つとして
,外部資源を活用すると いう方法が考えられる。そこで
,施設に対 して学習ボランテイアや塾等
,学習支援に関する外 部資源の活用状況について尋ねたところ
,10施設のうち
,9施設で外部資源を用いた
,何らか
の学習支援が行われていた
(表14)。 学習ボランテイアの内容 としては
,大学生や大学のポラ ンティアサークルの他
,現役や退職教員
,一般の方などである。先に述べたように
,慢性的に
ヽ
井 出 智 博 森 岡 真 樹 八 木 孝 憲
マンパワーが不足する状況にある施設では
,外部の支援を活用 して施設児童・生徒の学力や学 習習慣 を保障 しようとすることは有効な手立ての
1つとな り得ると考えられる。 しか し
,先に
示 した家庭学習の困難さの質問の中では
,学習ボランティアなど地域の資源を十分に活用でき ていない, という施設 も見られた。十分に活用できていない理由としては
,施設が外部資源を 受け入れられる状況にないという場合 もあるであろうし
,活用 したくても近隣にそうした外部 支援が十分にないという場合 もあると考えられる。この項 目には半数以上の施設
(6施設
)が外部資源を活用できているとしているのに対 して
,3つの施設が外部資源を十分に活用できて いないとしてお り
,施設によって外部資源の活用が困難な状況にあることが示されている。
また
,そうした外部資源の活用においても
,単に勉強を教える人がいれば良い, という訳で はないのが施設児童・生徒に対する学習支援の難 しさである。筆者 ら
(2015)lま,教師を目指 す大学生を学習支援者 とした施設児童 。生徒への学習支援の取 り組みを行つてきたが
,学習支 援を進める上で重要であつたのは
,学習支援者 と施設児童・生徒 との間に信頼関係を構築する
ことであった。単に宿題や課題に
,緒に取 り組むだけでは信頼関係を構築することは困難で
,児童・生徒に合った教材 を準備 したり
,児童・生徒の気分やペースに合わせて支援を進めるこ とが重要であつた。
表
14施設における学習に関する外部資源の活用状況
学習支援資源 小学生低学年 小学生高学年 中学生 高校生
n″ n″ n″ n″
学習塾 家庭教師 学習ボランティア
7 7a0 6 aα 0 8 aa0 6 aa0 5 ,a0 5 ,a0 5 ,a0 5 ,a0
7
Йtt0 7
Йα0 6 aa0
公文等家庭学習教材 7 ″0 7 ″0 6 0 5 ″ ′%は回答施設(10施設)のうち,利用している施設の割合を示す
Ⅳ まとめ
ここでは調査結果 を総括 し
,静岡県における学校 と施設の連携の現状 と課題 を整理 し
,今後 に向けた提言 を行いたい。
1.1施設児童・生徒の理解と対応についての校内研修の実施
施設児童・生徒 は
,学習面
,行動面に様々な困難 を抱えてお り
,学校現場ではそ うした困難 への対処に苦慮 している様子が明らかになった。学習面
,行動面において様 々な困難 を示す施 設児童・生徒 を学校現場で支援 してい くためには
,第一に彼 らに対す る正 しい理解 と対応 の方 法を学ぶことが必要 となる。 しか し
,一方で
,施設がある地域の学校 においてそ うした児童・
生徒 と向 き合 うために
,教職員 に対する十分 なサポー トや研修が設けられている訳ではな く
,学校 によつて取 り組みに差異があるとい う現状 も示 された。その背景 にはそれぞれの学校 の事 情があると考えられるが
,児童・生徒への教育的な支援や教職員の負担 を考えるならば
,不適 切な養育の影響や愛着障害
,社会的養護 などについての理解 を深め
,彼らが示す学習面
,行動
面の困難 を支援するための対応方法 を身に付 けるために
,施設職員や児童相談所 な どの専 門家 を招いた研修等の機会が保障 される必要がある。
2.児 童相談所を交えた連携の場の構築
施設児童 生徒が抱 える困難への対応 について理解 を深めるために最 も有効 な方法の
1つは
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