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児童養護施設における生活支援をつくる工夫

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児童養護施設における生活支援をつくる工夫

谷口純世

Originality and Ingenuity of Livelihood Support in Residential Child Care

Sumiyo Taniguchi

2011年7月の「社会的養護の課題と将来像」に続き、2017年8月には新たな社会的養育の在り方 に関する検討会による「新しい社会的養育ビジョン」が出され、我が国の社会的養護はより大きな 転換がはかられている。

子どもの代替的養育においては、児童養護施設や乳児院が、従来からその中心的役割を担ってき た。こういった社会的養護施設での支援には、深い専門性が必要であることから、多くの施設にお いて、支援の質の向上がはかられ続けている。さまざまなニーズを持つ子どもたちへの支援におい て、高い専門性を持つ職員集団による「あたりまえの生活」を日々積み重ねるなかで、一人ひとり の子どもの過去・現在・未来を踏まえた、個々の子どもの人生づくり・人生の再構築がなされてい るのである。

本論文は、2013年・2014年度に実施した「児童養護施設における“あたりまえの生活”に関する 調査」の結果をもとに、質問紙からは見えづらい生活支援をつくるための工夫を、2015年度から2016 年度にかけておこなった15施設の施設長へのヒアリング調査をとおして明らかにするものである。

Keywords:児童養護施設、生活支援

Residential Child CareLivelihood support

1.我が国における社会的養護の方向性

(1)近年の社会的養護の改革

2011年7月に出された、児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・社会保障審議 会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ「社会的養護の課題と将来像について」の方針に基づ き、近年、我が国の社会的養護は、①本体施設・グループホーム・里親等をそれぞれ概ね3分の1 ずつとする、②児童養護施設の本体施設をすべて小規模グループケアにし、かつ、定員を45名以下 とする、③本体施設の高機能化を進めていく、という3点を方針として進められてきた。

これらの方針により、施設の小規模化が急速に進み、施設定員の減少とともに、小規模グループ ケアや地域小規模児童養護施設が増加を続けている(表1、表2参照)。

また、社会的養護への措置・委託状況は表3、表4のとおりである。里親の登録数や里親委託、

里親ファミリーホーム数やファミリーホームへ委託される子どもが少しずつ増加してきており、里 親等への委託率も、2007年度末に全社会的養護に占める割合が1割となった。その後、2016年3月 末には里親等への委託率が 17.46%にまで上昇するなど、各自治体で里親等委託の推進が進められ ている。

(2)

児童養護施設における生活支援をつくる工夫

谷口純世

Originality and Ingenuity of Livelihood Support in Residential Child Care

Sumiyo Taniguchi

2011年7月の「社会的養護の課題と将来像」に続き、2017年8月には新たな社会的養育の在り方 に関する検討会による「新しい社会的養育ビジョン」が出され、我が国の社会的養護はより大きな 転換がはかられている。

子どもの代替的養育においては、児童養護施設や乳児院が、従来からその中心的役割を担ってき た。こういった社会的養護施設での支援には、深い専門性が必要であることから、多くの施設にお いて、支援の質の向上がはかられ続けている。さまざまなニーズを持つ子どもたちへの支援におい て、高い専門性を持つ職員集団による「あたりまえの生活」を日々積み重ねるなかで、一人ひとり の子どもの過去・現在・未来を踏まえた、個々の子どもの人生づくり・人生の再構築がなされてい るのである。

本論文は、2013年・2014年度に実施した「児童養護施設における“あたりまえの生活”に関する 調査」の結果をもとに、質問紙からは見えづらい生活支援をつくるための工夫を、2015年度から2016 年度にかけておこなった15施設の施設長へのヒアリング調査をとおして明らかにするものである。

Keywords:児童養護施設、生活支援

Residential Child CareLivelihood support

1.我が国における社会的養護の方向性

(1)近年の社会的養護の改革

2011年7月に出された、児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・社会保障審議 会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ「社会的養護の課題と将来像について」の方針に基づ き、近年、我が国の社会的養護は、①本体施設・グループホーム・里親等をそれぞれ概ね3分の1 ずつとする、②児童養護施設の本体施設をすべて小規模グループケアにし、かつ、定員を45名以下 とする、③本体施設の高機能化を進めていく、という3点を方針として進められてきた。

これらの方針により、施設の小規模化が急速に進み、施設定員の減少とともに、小規模グループ ケアや地域小規模児童養護施設が増加を続けている(表1、表2参照)。

また、社会的養護への措置・委託状況は表3、表4のとおりである。里親の登録数や里親委託、

里親ファミリーホーム数やファミリーホームへ委託される子どもが少しずつ増加してきており、里 親等への委託率も、2007年度末に全社会的養護に占める割合が1割となった。その後、2016年3月 末には里親等への委託率が 17.46%にまで上昇するなど、各自治体で里親等委託の推進が進められ ている。

表1 地域小規模児童養護施設の推移

H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度

施設

実施

施設

実施

施設

実施

施設

実施

施設

実施

施設

実施

施設

実施

合計 157 190 173 214 182 232 190 250 199 266 221 308 234 332 1ヶ所 131 131 140 140 141 141 142 142 145 145 149 149 153 153 2ヶ所 22 44 28 56 34 68 39 78 45 90 62 124 70 140

3ヶ所以上 4 15 5 18 7 23 9 30 9 31 10 35 11 39 厚生労働省(平成297月)「社会的養護の現状について」より抜粋

表2 小規模グループケア実施状況の推移(児童養護施設)

H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度

施設

実施

施設

実施

施設

実施

施設

実施

施設

実施

施設

実施

施設

実施

合計 318 403 335 459 357 559 381 709 395 817 421 936 436 1057 1ヶ所 233 233 222 222 197 197 171 171 156 156 136 136 137 137 2ヶ所 85 170 102 204 139 278 159 318 172 344 186 372 169 338 3ヶ所 11 33 11 33 18 54 21 63 33 99 36 108 4ヶ所 2 8 13 52 20 80 25 100 32 128 5ヶ所 5 25 6 30 12 60 17 85 26 130 6ヶ所 3 18 14 84 19 114 24 144 36 216 厚生労働省(平成297月)「社会的養護の現状について」より抜粋

表3 乳児院・児童養護施設の措置児童数等(平成2810月1日現在)

施設 施設数 定員 現員 職員総数

乳児院 136か所 3,877 2,901 4,611

児童養護施設 603か所 32,613 27,288 17,046

小規模グループケア1,341ヶ所 地域小規模児童養護施設354ヶ所

厚生労働省(平成29年3月)「社会的養護の現状について」より抜粋

表4 里親・里親ファミリーホームの委託児童数等(平成28年3月末現在)

里親 登録里親数 委託里親数 委託児童数 10,679世帯 3,817世帯 4,973 里親ファミリーホーム ホーム数 委託児童数

287か所 1,261

厚生労働省(平成29年3月)「社会的養護の現状について」より抜粋

(2)「新しい社会的養育ビジョン」による新たな展開

こういった流れのなか、2017年8月には、新たな社会的養育の在り方に関する検討会による「新 しい社会的養育ビジョン」が提示された。このビジョンは、①子どもが権利の主体であることの明 確化、②家庭への養育支援から代替養育までの社会的養護の充実、③家庭養育優先の理念の規定と

(3)

パーマネンシー保障と里親養育推進などを明確化した、2016年の改正児童福祉法の理念を具体化す るため、2011年に出された「社会的養護の課題と将来像」を全面的に見直したものである。

これにともない、①市区町村を中心とした支援体制を構築すること、②児童相談所の機能強化と 一時保護改革をすること、③代替養育における「家庭と同様の養育環境」の原則を乳幼児から段階 を追って徹底すること、④永続的解決(パーマネンシー保障)を徹底すること、⑤代替養育や集中 的在宅ケアを受けた子どもの自立支援を徹底することなどについて、2017年度から着手するとされ た。子どもの権利保障のために、目標とする年限を定め、また、実施においては、子どもが不利益 を被ることがないようにしながら、計画的に推進していくこととされた。

この目標年限を定めた計画としては、たとえば、①特に就学前の子どもの家庭養育原則実現に向 けて、原則として施設への新規措置入所を停止するため、遅くとも2020年度までには全国でおこな われるフォスタリング機関事業の整備を完了すること、②愛着形成に重要な時期である3歳未満の 子どもについては概ね5年以内、それ以外の子どもは概ね7年以内に里親委託率75%を実現するこ と、学童期以降は概ね 10 年以内に里親委託率50%以上を実現すること、③施設での滞在期間は、

原則として乳幼児は数か月以内、学童期以降は1年以内とすること(特別なケアが必要な学童期以 降の子どもも3年以内が原則)、④概ね5年以内に現状の約2倍の特別養子縁組成立を目指し(年間

1,000人以上)、その後も増加を図ること、が挙げられており、社会的養育の一層の変革がはかられ

ている。

2.調査の概要

社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ「社会的養護の課題と将来像について」

(2011年7月)の概要とその取組状況をまとめた「社会的養護の課題と将来像の実現に向けて」で は、社会的養護の原理のひとつとして、「家庭的養護と個別化」が挙げられており、「すべての子ど もは、適切な養育環境で、安心して自分をゆだねられる養育者によって養育されるべき。「あたりま えの生活」を保障していくことが重要。」と述べられた。しかし、社会的養護における「あたりまえ の生活」は、「一般家庭での生活」でも「職員の育った家庭での生活」でもなく、各施設でおこなわ れている日々の支援そのものが、そこでの「あたりまえの生活」である。一つひとつが異なる生活 であるからこそ、子どもに日々安心・安全な生活を保障するには、職員の専門職としての生活支援 における工夫が必要となる。

そこで本調査では、「新しい社会的養育ビジョン」の方向性からも、今後ますます専門性が求めら れていく施設養育について、その生活支援をつくる工夫を明らかとするため、2013年・2014年度に 実施した「児童養護施設における“あたりまえの生活”に関する調査」の結果をもとに、①施設の 小規模化・高機能化、②子どもへの「あたり前の生活」の保障の2点について、特徴ある取り組み をしている施設(15施設)を訪問し、ヒアリング調査を実施した。①については、小規模化・高機 能化に向けて先駆的な変革を遂げている施設および、小規模化・高機能化に反対の姿勢をもちなが ら質の高い支援を行っている施設の双方を調査対象としている。

インタビュー対象者は、各施設の施設長である。施設長の前職は、同じ児童養護施設での施設職 員(施設長)、他法人・他施設の児童養護施設の施設職員(施設長)、児童自立支援施設や児童心理治 療施設、保育所など子ども家庭福祉にかかわる施設職員(施設長)、小中学校の教員、高齢者福祉施 設職員、世襲による施設長など、施設長となった経緯はさまざまである。また、施設内における不 適切なかかわりや虐待環境の是正のために着任した施設長も2施設でみられた。

調査対象の施設の形態は、多様な形態における生活支援の工夫を明らかとするため、大舎制のみ の施設が2施設、大舎制に加え小規模形態を1ヶ所以上もっている施設が6施設、中舎制と小規模

(4)

パーマネンシー保障と里親養育推進などを明確化した、2016年の改正児童福祉法の理念を具体化す るため、2011年に出された「社会的養護の課題と将来像」を全面的に見直したものである。

これにともない、①市区町村を中心とした支援体制を構築すること、②児童相談所の機能強化と 一時保護改革をすること、③代替養育における「家庭と同様の養育環境」の原則を乳幼児から段階 を追って徹底すること、④永続的解決(パーマネンシー保障)を徹底すること、⑤代替養育や集中 的在宅ケアを受けた子どもの自立支援を徹底することなどについて、2017年度から着手するとされ た。子どもの権利保障のために、目標とする年限を定め、また、実施においては、子どもが不利益 を被ることがないようにしながら、計画的に推進していくこととされた。

この目標年限を定めた計画としては、たとえば、①特に就学前の子どもの家庭養育原則実現に向 けて、原則として施設への新規措置入所を停止するため、遅くとも2020年度までには全国でおこな われるフォスタリング機関事業の整備を完了すること、②愛着形成に重要な時期である3歳未満の 子どもについては概ね5年以内、それ以外の子どもは概ね7年以内に里親委託率75%を実現するこ と、学童期以降は概ね 10 年以内に里親委託率50%以上を実現すること、③施設での滞在期間は、

原則として乳幼児は数か月以内、学童期以降は1年以内とすること(特別なケアが必要な学童期以 降の子どもも3年以内が原則)、④概ね5年以内に現状の約2倍の特別養子縁組成立を目指し(年間

1,000人以上)、その後も増加を図ること、が挙げられており、社会的養育の一層の変革がはかられ

ている。

2.調査の概要

社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ「社会的養護の課題と将来像について」

(2011年7月)の概要とその取組状況をまとめた「社会的養護の課題と将来像の実現に向けて」で は、社会的養護の原理のひとつとして、「家庭的養護と個別化」が挙げられており、「すべての子ど もは、適切な養育環境で、安心して自分をゆだねられる養育者によって養育されるべき。「あたりま えの生活」を保障していくことが重要。」と述べられた。しかし、社会的養護における「あたりまえ の生活」は、「一般家庭での生活」でも「職員の育った家庭での生活」でもなく、各施設でおこなわ れている日々の支援そのものが、そこでの「あたりまえの生活」である。一つひとつが異なる生活 であるからこそ、子どもに日々安心・安全な生活を保障するには、職員の専門職としての生活支援 における工夫が必要となる。

そこで本調査では、「新しい社会的養育ビジョン」の方向性からも、今後ますます専門性が求めら れていく施設養育について、その生活支援をつくる工夫を明らかとするため、2013年・2014年度に 実施した「児童養護施設における“あたりまえの生活”に関する調査」の結果をもとに、①施設の 小規模化・高機能化、②子どもへの「あたり前の生活」の保障の2点について、特徴ある取り組み をしている施設(15施設)を訪問し、ヒアリング調査を実施した。①については、小規模化・高機 能化に向けて先駆的な変革を遂げている施設および、小規模化・高機能化に反対の姿勢をもちなが ら質の高い支援を行っている施設の双方を調査対象としている。

インタビュー対象者は、各施設の施設長である。施設長の前職は、同じ児童養護施設での施設職 員(施設長)、他法人・他施設の児童養護施設の施設職員(施設長)、児童自立支援施設や児童心理治 療施設、保育所など子ども家庭福祉にかかわる施設職員(施設長)、小中学校の教員、高齢者福祉施 設職員、世襲による施設長など、施設長となった経緯はさまざまである。また、施設内における不 適切なかかわりや虐待環境の是正のために着任した施設長も2施設でみられた。

調査対象の施設の形態は、多様な形態における生活支援の工夫を明らかとするため、大舎制のみ の施設が2施設、大舎制に加え小規模形態を1ヶ所以上もっている施設が6施設、中舎制と小規模

形態をもつ施設が1施設、小舎制および小規模形態からなる施設が2施設、小規模形態のみの施設 が3施設、現在施設形態変更中で仮住まい中の施設が1施設と、多岐にわたっている。

また、小規模化への移行の仕方については、全体をまとめて建て替えた施設、2施設に定員を分 けて小規模化を実施した施設、何年もの時間をかけて少しずつリフォームや建て替えによる小規模 化を進めていった(進めている)施設、補助金の関係で予定を変えての形態変更となった施設など、

その施設をとりまく状況によってさまざまである。インタビュー時に大舎制のみであった施設につ いても、今後小規模化が進められる予定であった。

施設全体としての子どもの定員は、最少で30名、最大で70名であった。なお、ひとつの生活グ ループあたりの人数は、大舎は24~70名、中舎は12~16名、小舎は6~12名、小規模GCは6~9 名である。1施設を2分して定員を減じた施設においては、子どもの引っ越しと共に、職員も2分 割するという大異動がおこなわれていた。

なお、倫理的配慮にあたっては、社会福祉学会の倫理指針に基づきヒアリング調査をおこなって おり、本論文では施設の特定を避けた記述方法をとっている。

3.生活支援をつくる工夫

生活支援をつくる工夫として、「子どもが共に生活するグループに関する工夫」、「職員に関する工 夫」、「日々の生活に関する工夫」、「生活ルールに関する工夫」、「自立支援やアフターケアに関する 工夫」、「地域との連携に関する工夫」の6点から考察する。

(1)子どもが共に生活するグループに関する工夫

まず、子どもの生活グループに関する工夫としては8点が挙げられ、同じ工夫であっても、施設 によって違った対策が取られていることが多いことが明らかとなった(表5)。たとえば、「子ども の年齢・発達についての工夫」、「性別・性問題についての工夫」が挙がっているが、施設の方針に より、その対策は「男女混合全年齢縦割り」であったり、「男女別、幼児・学童以上別縦割りであっ たりと異なっている。

子どもの生活グループについては、子どもに継続的に安心できる生活を確保するため、子どもの 相性や力関係などにより状況が著しく悪くない限りは、できる限りグループ替えはしないという回 答が多くみられた。子どものニーズに応じて地域小規模児童養護施設等への移動などはあるものの、

よほどのことがない限り、生活空間が頻繁に変わるということは、子どもが継続して安心して生活 できることにつながらず、また、生活するうえで不自然であるという配慮からである。しかし、多 くの施設では、毎年の変更はないものの、幼児グループから学童グループへの移動など、年齢に応 じた生活グループの変更はなされているため、生活グループが全く変わらないというわけではない。

退所・入所にともなうメンバーの変更や、職員の入れ替わりもあるため、全施設において、なんら かの形で子どもの生活グループが変わることは避けられないという課題がある。

また、効果があるとしてその対策を取っていても、それにともなう課題もあることも事実であり、

たとえば、性別を問わず同じ生活空間にするメリットは大きいものの、それによる性問題への発展 を予防しなくてはならない現状、予防するに足る職員体制がない現状により、性別によって生活空 間を分けるという対策が取られている施設が多くなっている。

子どもの生活グループのつくり方やその工夫・配慮が異なってはいても、各施設で共通している のは、子どもの心身の安全を守ることができる生活グループであること、生活グループに関する子 どもの希望や意見を大切にして耳を傾けること、個々の子どもに応じた生活グループや生活のあり 方を現状でできる限り工夫していることであった。

(5)

表5 子どもが共に生活するグループに関する工夫

インタビュー結果より筆者作成

(2)職員に関する工夫

施設の立地や近隣大学等の不足などさまざまな条件により、職員の採用には難しさに大きな差が あった。大学等への求人票送付、実習生への声掛け、就職説明会への参加、ハローワークの活用な どはどの施設も同じであるが、採用が難しいと答えた施設の中には、施設長自らが近隣のスーパー などで、表情の良い人を見つけビラを配布しているところもあったり、応募者を選別する余裕もな く応募してくれた人は採用せざるをえない状態であったりする施設もある。こういった状況ではな くとも、採用試験や就職実習での数日のかかわりでは見えないことも多いため、「どういう人を選ぶ か(いかに完璧な人を選ぶか)」ではなく、「どういう人にするか(専門職にどう育てていくか)」を 大切にしている施設も複数あった。

こういった子どもへの日々の生活を支える職員に関しては、勤務体制やサポートのあり方の工夫 をとおして、職員の心身の負担を減少させること、全職員(新人職員や間接支援職員も含む)が連 携して支援にあたることができる環境をつくることが重視されており、表6のように、3点の工夫 があった。職員に関する工夫も、施設によって大きく異なっているが、共通して言えることは、職 員配置が十分でない現状での職員の勤務体制の工夫には、子どもや職員へのしわ寄せが課題として あらわれやすいということである。たとえば「生活支援担当職員の勤務体制」についての工夫にお いては、宿直職員が複数ユニットを担当したり、宿直や日中の支援において非常勤職員を活用した りすることによる、トラブル時の対応や支援の質の確保といった課題がある。また、職員配置が十 分でない現状のなかで勤務体制を工夫することは、子どもへの支援に必要なだけの心身の余裕をも った職員配置ができず、子どもの安心・安全が保障できない、職員の抱え込みにつながるなどの課 題があらわれる可能性をはらんでいる。しかし一方で、間接支援職員が生活支援にもかかわること で、生活支援職員集団だけではなく、施設全体が一丸となって子どもの支援にあたることができた り、生活グループによる違いや悩みについての共通理解や連携のもとでの解決にあたることができ たりするようになるという効果もみられた。

こういった職員の勤務のしやすさは、職員の養成やサポートにおいて大きな要素となっている「連 携」の良し悪しにもつながってくる。子どもの安心・安全を守るには、職員自身が安心して安全に 支援にあたることのできる環境が保障されていなくてはならない。また、職員が互いを専門職とし て思いやり、尊重し合う余裕がなくてはならないだろう。職員の勤務体制に関する工夫と共に、子 どもの担当方法や職員の養成・サポートにおいて、連携し合い、研鑽し合える集団づくりが必要不

工夫 対策例 効果 課題

全年齢縦割り 異年齢との日々のかかわりが将来の多年齢層との生活

の練習になる

幼児・学童以上別縦割り 年齢による生活リズムを守ることができる 幼児・小1~2・学童以上別縦割り ・年齢による生活リズムを守ることができる

・安心して義務教育への移行ができる

男女混合 ・きょうだいが同じ生活グループで生活できる

・異性と同じ空間で生活できる

男女別 異性間の性問題を予防しやすい

日頃からの丁寧な見守り 日頃からの子どもと1対1での話し合い 支援手法の活用

子どものボス化がないよう事前調整 暴力行為のある場合は生活空間を離す

家庭復帰困難な子どもを小規模型へ 家庭に似た生活体験ができる 障害や言動、性格などに応じた規模の生活グ

ループを用意 生活におけるストレスを減ずることができる

部屋に鍵がかけられる

高齢児や課題のある子どもに個室を用意

鍵のかかる引き出しを各自に用意 大切なものを自分で保管できる 生活グループ移動の希望が言えるようにする

生活のあり方について希望が言えるようにする

名称をつけない 生活グループ名称がない自然さがある

名称をつける 帰属意識をもちやすい

段階的に子どもに分かるように説明 個々とグループに対して丁寧なかかわりができる 質問や不服を言える環境づくり 子どもの思いを大切にできる

・生活グループの変更がなくなるわけではなく、

継続的な生活空間の保障が難しい

・性問題を完全に予防することは難しい

・グループのあり方によっては、きょうだいや異 性との生活経験がもちにくくなる

・プライバシーを守ることの大切さと子どもの安 全を守る大切さが矛盾することがある

・すべての子どもの課題に十分に応えられない 現実もある

・自分の気持ちを言うことに、得手不得手がある       など

8 生活グループ変更時についての工夫 子どもの気持ち・願いについての工夫

6 ・子どもの安心・安全につながる

・子どもの権利保障につながる 生活グループの名称についての工夫

7

個々の子どもの課題についての工夫 4

プライバシーについての工夫

5 プライバシーが守られる

子どもの年齢・発達についての工夫

性別・性問題についての工夫

子ども同士の力関係についての工夫 1

2

3 子ども同士の圧力を減ずることができる

可欠である。特に、先述の職員採用の難しい地域にある施設においては、児童養護施設での勤務に 対する理解がないままに採用となった職員も少なくない。しかし、さまざまな経歴をもつ職員がい ることは、子どもの養育にとってはプラスとなる可能性もある。児童養護施設での勤務は、理解の 有無を問わず、心身ともに負担の大きなものである。だからこそ、職員がそれぞれの経験年数や力 量、必要に応じて職域を超えて、一丸となって支援をつくることができる環境づくりが大切である。

表6 職員に関する工夫

インタビュー結果より筆者作成

(3)日々の生活に関する工夫

日々の生活については、表7のとおり6点の工夫があった。子ども個人のものを用意する、子ど ものプライバシーを確保する、子どもとの生活体験をあえて増やす、子どもが感謝される体験を増 やすなど、子どもが「自分は大切にされている」、「自分はいて良いんだ」と感じることのできる体 験を日々積み重ねることが生活の中での工夫でなされている。また、子どもが生活の中で、たとえ ば「今日のご飯はなんだろう?」と想像したり、「こういうものが食べたいな」「こういうところに 行きたいな」と思い描いたりと、期待・希望といったプラスの感情を持つことのできる日々、自分 自身で選ぶことのできる体験の積み重ねなどが重視されていた。また、限られた職員配置の中、子 どもと職員が互いにストレスが増大しないよう、子どもの課題に応じて支援手法を活用したり、職 員間の意見交換を活発にしたりする工夫がなされている。

しかし逆に、工夫をほどこすことによって生活空間に危険個所(死角)ができたり、子どもが自 由に遊ぶ場がなくなったりという状況が課題として出てきたり、子どもの課題によっては対応しき れない、現在の職員配置や、実習生やボランティアなどさまざまな人々を受け入れる現状では十分 に生活についての工夫が活かしきれないといった課題があるのも事実である。

工夫 対策例 効果 課題

生活支援担当職員以外の職員の活用

・施設長や相談職、調理職などと連携して支援ができる

・ユニットによる違いが分かる職員ができる

・担当職員の忙しいときに自然と手伝いができる 園内保育にパートを雇用 職員の負担を軽減できる

断続勤務をなくす 職員の拘束時間が減少

ゆとりをもって個々の子どもの支援ができる トラブル対応がしやすくなる

子どもの願いを叶えられる 宿直明けの翌日に休日確保を徹底 心身の疲労回復がしやすくなる 宿直は複数ユニットを担当 宿直の職員配置が少なくなる

希望休を叶える 心身の疲労回復、モチベーションの向上につながる 子育て中の職員の宿直免除・回数減 仕事との両立がしやすくなる

個々の子どもに担当職員を配置 ・個別の関係が築きやすくなる

・子どもが誰に相談すればいいかが明確である

書類担当等以外は全職員で子どもを支援

・相性の良い職員を子ども自身が選ぶことができる

・いつでもどの職員にも相談でき、対処してもらえる

・子どもに安心して失敗体験をさせられる

・職員の抱え込みを防ぐことができる

・職員同士の研鑽による支援の質の向上につながる

・複数の視点を持った支援ができる

・新人職員の養成がしやすい

施設長からのサポートを意識的におこなう ・職員一人ひとりの小さな変化に気づきやすくなる

・職員が施設長に相談しやすくなる

職員の個人プレーをなくす 卒園生への対応も含め施設としておこなうことで抱え込 みがなくなる

「小規模会」の開催 小規模が孤立しないよう連携によって支援にあたる コミュニケーションエラーはリスクであることの周

職員による受け取り方の違いを全員で修正できる

悩むことは恥ずかしくないことの周知

・抱え込みを減じることができる

・職員の経験・力量の差による問題に一丸となって取り 組むことができる

産休・育休に関する職員の意識改革

・結婚・妊娠しても働き続けることができる職場となる

・子育て職員は負担を増やすといった気持ちの排除につ ながる

新人教育はベテランの責任とする

・ベテランによるサポーティブな新人への支援がおこな われる

・困った時に相談する先輩が決まっていることの安心

・子どもの職員による使い分けを減ずることができる 全職員が外部機関との連携をする 職員の質の向上につながる

間接支援職員が子どものイベントを企画 ・生活支援職員の負担減につながる

・子どもが間接支援職員との関係をつくることができる 民間業者への調理業務委託 生活支援職員の負担減につながる

・ニーズを十分に把握してい+A27:E49ない職員

(非常勤等)対応による事故対応や支援の質へ の懸念がある

・正職員の負担減と正職員による個別対応の 大切さにおける矛盾がある

・複数の職員を生活支援に常時配置することが 難しい現実がある

・職員個人の抱え込みへ常に配慮する必要が ある

・職員関係がうまくいっていないときの連携や研 鑽、新人養成の難しさがある

・資質ある職員の雇用が難しい施設もある

・働き続けられる環境をつくり続けることが難し い現実がある

・ホウレンソウやサポートについての責任者によ る確認が徹底されなければ機能しにくい       など 子どもの担当方法についての工夫

2

職員養成・サポートについての工夫 3

職員の複数配置 生活支援担当職員の勤務体制につい

1 ての工夫

(6)

表5 子どもが共に生活するグループに関する工夫

インタビュー結果より筆者作成

(2)職員に関する工夫

施設の立地や近隣大学等の不足などさまざまな条件により、職員の採用には難しさに大きな差が あった。大学等への求人票送付、実習生への声掛け、就職説明会への参加、ハローワークの活用な どはどの施設も同じであるが、採用が難しいと答えた施設の中には、施設長自らが近隣のスーパー などで、表情の良い人を見つけビラを配布しているところもあったり、応募者を選別する余裕もな く応募してくれた人は採用せざるをえない状態であったりする施設もある。こういった状況ではな くとも、採用試験や就職実習での数日のかかわりでは見えないことも多いため、「どういう人を選ぶ か(いかに完璧な人を選ぶか)」ではなく、「どういう人にするか(専門職にどう育てていくか)」を 大切にしている施設も複数あった。

こういった子どもへの日々の生活を支える職員に関しては、勤務体制やサポートのあり方の工夫 をとおして、職員の心身の負担を減少させること、全職員(新人職員や間接支援職員も含む)が連 携して支援にあたることができる環境をつくることが重視されており、表6のように、3点の工夫 があった。職員に関する工夫も、施設によって大きく異なっているが、共通して言えることは、職 員配置が十分でない現状での職員の勤務体制の工夫には、子どもや職員へのしわ寄せが課題として あらわれやすいということである。たとえば「生活支援担当職員の勤務体制」についての工夫にお いては、宿直職員が複数ユニットを担当したり、宿直や日中の支援において非常勤職員を活用した りすることによる、トラブル時の対応や支援の質の確保といった課題がある。また、職員配置が十 分でない現状のなかで勤務体制を工夫することは、子どもへの支援に必要なだけの心身の余裕をも った職員配置ができず、子どもの安心・安全が保障できない、職員の抱え込みにつながるなどの課 題があらわれる可能性をはらんでいる。しかし一方で、間接支援職員が生活支援にもかかわること で、生活支援職員集団だけではなく、施設全体が一丸となって子どもの支援にあたることができた り、生活グループによる違いや悩みについての共通理解や連携のもとでの解決にあたることができ たりするようになるという効果もみられた。

こういった職員の勤務のしやすさは、職員の養成やサポートにおいて大きな要素となっている「連 携」の良し悪しにもつながってくる。子どもの安心・安全を守るには、職員自身が安心して安全に 支援にあたることのできる環境が保障されていなくてはならない。また、職員が互いを専門職とし て思いやり、尊重し合う余裕がなくてはならないだろう。職員の勤務体制に関する工夫と共に、子 どもの担当方法や職員の養成・サポートにおいて、連携し合い、研鑽し合える集団づくりが必要不

工夫 対策例 効果 課題

全年齢縦割り 異年齢との日々のかかわりが将来の多年齢層との生活

の練習になる

幼児・学童以上別縦割り 年齢による生活リズムを守ることができる 幼児・小1~2・学童以上別縦割り ・年齢による生活リズムを守ることができる

・安心して義務教育への移行ができる

男女混合 ・きょうだいが同じ生活グループで生活できる

・異性と同じ空間で生活できる

男女別 異性間の性問題を予防しやすい

日頃からの丁寧な見守り 日頃からの子どもと1対1での話し合い 支援手法の活用

子どものボス化がないよう事前調整 暴力行為のある場合は生活空間を離す

家庭復帰困難な子どもを小規模型へ 家庭に似た生活体験ができる 障害や言動、性格などに応じた規模の生活グ

ループを用意 生活におけるストレスを減ずることができる

部屋に鍵がかけられる

高齢児や課題のある子どもに個室を用意

鍵のかかる引き出しを各自に用意 大切なものを自分で保管できる 生活グループ移動の希望が言えるようにする

生活のあり方について希望が言えるようにする

名称をつけない 生活グループ名称がない自然さがある

名称をつける 帰属意識をもちやすい

段階的に子どもに分かるように説明 個々とグループに対して丁寧なかかわりができる 質問や不服を言える環境づくり 子どもの思いを大切にできる

・生活グループの変更がなくなるわけではなく、

継続的な生活空間の保障が難しい

・性問題を完全に予防することは難しい

・グループのあり方によっては、きょうだいや異 性との生活経験がもちにくくなる

・プライバシーを守ることの大切さと子どもの安 全を守る大切さが矛盾することがある

・すべての子どもの課題に十分に応えられない 現実もある

・自分の気持ちを言うことに、得手不得手がある       など

8 生活グループ変更時についての工夫 子どもの気持ち・願いについての工夫

6 ・子どもの安心・安全につながる

・子どもの権利保障につながる 生活グループの名称についての工夫

7

個々の子どもの課題についての工夫 4

プライバシーについての工夫

5 プライバシーが守られる

子どもの年齢・発達についての工夫

性別・性問題についての工夫

子ども同士の力関係についての工夫 1

2

3 子ども同士の圧力を減ずることができる

可欠である。特に、先述の職員採用の難しい地域にある施設においては、児童養護施設での勤務に 対する理解がないままに採用となった職員も少なくない。しかし、さまざまな経歴をもつ職員がい ることは、子どもの養育にとってはプラスとなる可能性もある。児童養護施設での勤務は、理解の 有無を問わず、心身ともに負担の大きなものである。だからこそ、職員がそれぞれの経験年数や力 量、必要に応じて職域を超えて、一丸となって支援をつくることができる環境づくりが大切である。

表6 職員に関する工夫

インタビュー結果より筆者作成

(3)日々の生活に関する工夫

日々の生活については、表7のとおり6点の工夫があった。子ども個人のものを用意する、子ど ものプライバシーを確保する、子どもとの生活体験をあえて増やす、子どもが感謝される体験を増 やすなど、子どもが「自分は大切にされている」、「自分はいて良いんだ」と感じることのできる体 験を日々積み重ねることが生活の中での工夫でなされている。また、子どもが生活の中で、たとえ ば「今日のご飯はなんだろう?」と想像したり、「こういうものが食べたいな」「こういうところに 行きたいな」と思い描いたりと、期待・希望といったプラスの感情を持つことのできる日々、自分 自身で選ぶことのできる体験の積み重ねなどが重視されていた。また、限られた職員配置の中、子 どもと職員が互いにストレスが増大しないよう、子どもの課題に応じて支援手法を活用したり、職 員間の意見交換を活発にしたりする工夫がなされている。

しかし逆に、工夫をほどこすことによって生活空間に危険個所(死角)ができたり、子どもが自 由に遊ぶ場がなくなったりという状況が課題として出てきたり、子どもの課題によっては対応しき れない、現在の職員配置や、実習生やボランティアなどさまざまな人々を受け入れる現状では十分 に生活についての工夫が活かしきれないといった課題があるのも事実である。

工夫 対策例 効果 課題

生活支援担当職員以外の職員の活用

・施設長や相談職、調理職などと連携して支援ができる

・ユニットによる違いが分かる職員ができる

・担当職員の忙しいときに自然と手伝いができる 園内保育にパートを雇用 職員の負担を軽減できる

断続勤務をなくす 職員の拘束時間が減少

ゆとりをもって個々の子どもの支援ができる トラブル対応がしやすくなる

子どもの願いを叶えられる 宿直明けの翌日に休日確保を徹底 心身の疲労回復がしやすくなる 宿直は複数ユニットを担当 宿直の職員配置が少なくなる

希望休を叶える 心身の疲労回復、モチベーションの向上につながる 子育て中の職員の宿直免除・回数減 仕事との両立がしやすくなる

個々の子どもに担当職員を配置 ・個別の関係が築きやすくなる

・子どもが誰に相談すればいいかが明確である

書類担当等以外は全職員で子どもを支援

・相性の良い職員を子ども自身が選ぶことができる

・いつでもどの職員にも相談でき、対処してもらえる

・子どもに安心して失敗体験をさせられる

・職員の抱え込みを防ぐことができる

・職員同士の研鑽による支援の質の向上につながる

・複数の視点を持った支援ができる

・新人職員の養成がしやすい

施設長からのサポートを意識的におこなう ・職員一人ひとりの小さな変化に気づきやすくなる

・職員が施設長に相談しやすくなる

職員の個人プレーをなくす 卒園生への対応も含め施設としておこなうことで抱え込 みがなくなる

「小規模会」の開催 小規模が孤立しないよう連携によって支援にあたる コミュニケーションエラーはリスクであることの周

職員による受け取り方の違いを全員で修正できる

悩むことは恥ずかしくないことの周知

・抱え込みを減じることができる

・職員の経験・力量の差による問題に一丸となって取り 組むことができる

産休・育休に関する職員の意識改革

・結婚・妊娠しても働き続けることができる職場となる

・子育て職員は負担を増やすといった気持ちの排除につ ながる

新人教育はベテランの責任とする

・ベテランによるサポーティブな新人への支援がおこな われる

・困った時に相談する先輩が決まっていることの安心

・子どもの職員による使い分けを減ずることができる 全職員が外部機関との連携をする 職員の質の向上につながる

間接支援職員が子どものイベントを企画 ・生活支援職員の負担減につながる

・子どもが間接支援職員との関係をつくることができる 民間業者への調理業務委託 生活支援職員の負担減につながる

・ニーズを十分に把握してい+A27:E49ない職員

(非常勤等)対応による事故対応や支援の質へ の懸念がある

・正職員の負担減と正職員による個別対応の 大切さにおける矛盾がある

・複数の職員を生活支援に常時配置することが 難しい現実がある

・職員個人の抱え込みへ常に配慮する必要が ある

・職員関係がうまくいっていないときの連携や研 鑽、新人養成の難しさがある

・資質ある職員の雇用が難しい施設もある

・働き続けられる環境をつくり続けることが難し い現実がある

・ホウレンソウやサポートについての責任者によ る確認が徹底されなければ機能しにくい       など 子どもの担当方法についての工夫

2

職員養成・サポートについての工夫 3

職員の複数配置 生活支援担当職員の勤務体制につい

1 ての工夫

(7)

表7 日々の生活に関する工夫

インタビュー結果より筆者作成

(4)生活ルールに関する工夫

複数の子どもが生活し、職員が日々入れ替わるため、生活支援においてルールを取り入れている 施設は多い。表8のように、生活ルールは基本的に変更のないルールと、状況に応じて変更するル ールとに分けられる。

基本的に変更のないルールは、大規模形態の施設における入浴・食事・の時間が決まっているな ど、施設の設備や大集団の子どもが生活を営む関係で統一していることもあるが、たとえば子ども の自立のために必要だとして、年齢に応じて子ども自身がするようになる傾向の高い「洗濯」を、

不適切な環境から入所した子どもたちであるからこそ、「(大人から)してもらう」ことの大切さを 感じ、すべての子どもについて職員がすることにしているといった意図をもっているものもある。

また、小規模形態の方が、ルールを状況に応じて変更しやすいという傾向はあるが、施設形態に

工夫 対策例 効果 課題

生活の場に必要なものに関する検討 トランシーバーや館内放送によらない伝達ができる 集団のなかでの衛生面の向上 共用タオルを廃止することで衛生面の向上ができる 個々の子どものものを大切にする

・子どもが絵付けした茶碗使用による個人のものの尊重 ができる

・生活に子どもの楽しかった思い出を入れられる 食紅を利用した歯磨きの実施 ・子どもが分かる形で歯磨きを伝えられる

・歯ブラシ指導など保健所(他機関)との連携につながる トップダウンの廃止 職員や子ども自らが気づき実施し始めることが、子ども

の生活づくりにつながる

男児の小便器をなくす 一般家庭と同じような設備に慣れることができる アコーディオンカーテンの設置 大規模形態でもプライバシーを保つ空間を確保できる タイルから畳・カーペットへの変更 校舎のような雰囲気・冷たい感触がなくなる 食卓机への手作りの装飾 無機質になりがちな大規模食堂の雰囲気が和らぐ 危険個所マップの作成

・生活における危険について子どもに伝える機会になる

・新入所の子どもにも施設外の危険も具体的に伝えらえ

献立表は掲示しない 施設に流れる食事の香りを感じ、食事を楽しみに待つ体 験ができる

ご飯だけは各ユニットで炊く 集中調理であってもご飯だけは炊く毎日を体験できる

定期的に買い物から調理までする

・集中調理であっても買い物や調理をする機会を持つこ とができる

・献立を子どもが決めることができる

・職員と子どもの日頃とは違うコミュニケーションの機会 にもなる

栄養士がマナーや栄養に関する掲示をつくる ・食のプロによる子どもへの伝達ができる

・施設内での多職種連携につながる 調理担当職員が各ユニットに出向いて調理する

・食事すべてをその場で調理することができる

・調理の姿や工程を子どもが見ることができる

・生活支援職員の負担軽減につながる アンケート回答を献立に活かす ・子どもの希望が叶えられる

・子どもの食に対する関心を高められる お弁当詰め当番が年少児のお弁当を詰める 年長児が「ありがとう」と言われる体験を重ねられる 高校生と1対1で調理実習をする

・職員との日頃とは異なったかかわりの機会となる

・年少児が関心を持ち集まってくることで高校生の意欲 や年齢層による好みへの関心が高まる

・高校生同士が話をするきっかけとなる

日々におけるひとつあるいは複数の支援手法の 活用

・自己流の支援ではなく、専門知識・技術による支援を 連携してできる

・新人・ベテラン問わず活用することができる

・新人養成に有効である

・不適切なかかわりの防止につながる

・必要な子どもに応じて活用できる

・子どもにとって分かりやすく、子ども自身が問題を回避 できる

・子どもが本音を言えるようになる 支援手法をあえて取り入れない

・職員が自身の考えをもって支援に携わることができる

・子どもとの関係や職員間の関係において、意見をとも に共有し調整することができる

意見箱の意見への丁寧な説明 叶えられなくても説明をきちんと行うことで子どもが大切 にされている思いを抱くことができる

複数の意見箱の設置 子どもが意見を言いたい人を選択できる 全体行事から、希望による選択制行事とする

・子どもが自分で参加したいものを選ぶことができる

・民間業者主催のツアーに乗ることで、旅行時のマナー を学ぶことができる

・引率する職員の負担を減ずることができる お弁当だけは希望を叶える 冷凍食品の活用により、好きな食材を詰められる 模様がえなど子ども自身が考えおこなう 同室での調整のうえ、自由に模様替えなどすることで、

自身の生活空間をつくることを体験できる 各ユニットごとの机を事務室に設ける

・自然と皆が集まりユニット間の情報交換ができる

・日頃からの情報交換があるため、会議等でも問題や課 題を率直に出し合うことができる

他施設を見学する機会をあえて設ける

支援に広がりがなくなりがちであるが、他施設の取組み から学び、同僚へ学びを伝えるなかで、自身の支援の 振り返りにつながる

元職員とのつながりを保っておく

・出産・育児等で休みを取る職員の穴埋めができる人 を、常日頃から探しておくことで、働きつづけやすい職場 になる。

・中年以降の元職員は体力はないが、それ以上に子ど もへのメリットがある

6

5 子どもの希望の尊重についての工夫

職員についての工夫

・小規模化やプライバシー確保により死角がで きたり、逆に生活や遊びのための面積が減った りする

・個々の課題によっては、支援が困難な子ど も、自立が難しい子どもなど、児童養護施設で 対応しきることのできない子どもがいる

・生活の工夫をできるだけの職員配置でない現 状がある

・支援手法に頼りすぎてしまうことを予防する必 要がある

・生活に実習生が常に入ることが子どもの生活 に良い影響を与えない

・地域の子どもへの理解や支援は必要だが、ボ ランティアが多すぎることで生活の工夫が活か しきれない

      など 3

生活の仕方についての工夫

住環境についての工夫

食についての工夫

支援手法の活用による工夫 4

1

2

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