奈良教育大学学術リポジトリNEAR
軽度発達障害の理解と特別支援教育 ―特別な教育 的支援を必要としている子どもたち―
発行年 2004
URL http://hdl.handle.net/10105/492
平成16年度奈良教育大学公開講座
軽度発達障害の理解と特別支援教育
―特別な教育的支援を必要としている子どもたち―
報 告 集
日時 平成
16年
11月
13日〜12 月
23日 会場 奈良教育大学
主催 奈良教育大学
後援 奈良県教育委員会 奈良市教育委員会 日本自閉症協会奈良県支部
奈良AD/HDの会 「ポップコーン」
奈良LD親の会 「パンジー」
+ + + + 目 次 + + + +
1.公開講座の主旨、開催要項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.日程とプログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3.講師プロフィール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
4.奈良教育大学関係者一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
5.講座の目的と概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 奈良教育大学 郷間英世
6.学習障害(LD)の理解と対応 ―外国の
LD教育とわが国の現状― ・・・・・・ 8 講演 奈良教育大学助教授 玉村公二彦 特別発言 奈良
LD親の会「パンジー」代表 入船裕治
7.ADHD の理解と対応 ―ペアレントトレーニング・
ソーシャルトレーニングの方法と効果―」・ ・・・・・・・34 講演 奈良教育大学教授 岩坂英巳
特別発言 奈良
AD/HDの会「ポップコーン」代表
楠本伸枝
8.高機能自閉症の発達的理解と学校の対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68 講演 奈良教育大学教授 田辺正友
9.これからの特別支援教育と軽度発達障害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84 講演 大阪教育大学名誉教授
大阪医科大学
LDセンター教授 竹田契一
10.特別支援教育シンポジウム
「今後の特別支援教育への期待と課題」 ・・・・・・・・・・・・・・・ 110 1)奈良教育大学講師 越野知之
2)広陵町立広陵北小学校
南浦稔美 3)奈良市立平城東中学校
小倉智子 4)和歌山
AD/HD親の会「ニコニコキッズ」代表 藪本啓子 5)奈良県教育研究所部長
上野玲子
11.閉会の挨拶 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 154
郷間英世
12.公開講座アンケート結果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 155 特別支援教育に関する今後の期待と課題
池田友美
武藤葉子
13.あとがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 158
【 開催の主旨 】
奈良教育大学 郷間英世
平成
15年3月の「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」の「今後の特別支 援教育の在り方について(最終報告)」においては、小・中学校においてLD、ADHD、高 機能自閉症の児童生徒への教育的支援を行うための総合的な体制を早急に確立することが必 要と提言されました。現在その準備が全国的になされています。
本講座では、これらの現状をふまえ、軽度発達障害と今後の特別支援教育について、専門家 による講演とシンポジウムを通して理解を深めることができる場を提供するとともに、軽度発 達障害児への関わり方について検討する事を目的とします。
また、奈良県および奈良市教育委員会や日本自閉症協会奈良県支部、奈良
LD親の会「パン ジー」、奈良
ADHDの会「ポップッコーン」の後援も得て、この公開講座を通して今後、大学、
教育委員会、親の会の協力や連携が進むことを期待するものでもあります。
【 開催要項 】
名称:平成16年度奈良教育大学公開講座 主題:「軽度発達障害の理解と特別支援教育
−特別な教育的支援を必要としている子どもたち−」
主催 : 奈良教育大学
後援 : 奈良県教育委員会、奈良市教育委員会、日本自閉症協会奈良県支部 奈良AD/HDの会「ポップコーン」 、奈良LD親の会「パンジー」
会場 : 奈良教育大学 講堂、大講義室
参加者 : 教員等教育関係者、保護者、一般市民、学生等
【 日程とプログラム 】
1)11月13日(土)14:00〜17:00 「公開講座の目的と概要」
奈良教育大学
郷間英世
「学習障害(LD)の理解と対応−外国のLD教育とわが国の現状−」
講演 奈良教育大学助教授
玉村 公二彦 司会 奈良教育大学
郷間 英世
2)11月20日(土)14:00〜17:00
「ADHDの理解と対応−ペアレントトレーニング、
ソーシャルスキルトレーニングの方法と効果−」
講演 奈良教育大学教授
岩坂 英巳 司会 奈良教育大学
越野 和之
3)11月27日(土)14:00〜17:00
「高機能自閉症の発達的理解と学校や家庭での対応」
講演 奈良教育大学教授
田辺 正友
司会 奈良教育大学
郷間 英世
4)12月 4日(土)14:00〜17:00 「これからの特別支援教育と軽度発達障害」
講演 大阪教育大学名誉教授、大阪医科大学LDセンター教授
竹田 契一
司会 奈良教育大学
玉村公二彦
5)12月23日(木、祭日)13:00〜17:00 『 教員・保護者・専門家によるシンポジウム
―今後の特別支援教育への期待と課題― 』
シンポジスト
奈良教育大学 越野 和之 奈良県立教育研究所 上野 玲子
広陵北小学校 南浦 稔美 平城東中学校 小倉 智子 和歌山AD/HD親の会
藪本 啓子 司会 奈良教育大学 小野 昌彦
奈良教育大学 越野 和之 修了証書授与
閉会の挨拶
郷間 英世
【 講師紹介 】
玉村 公二彦 奈良教育大学助教授(障害児教育学、特別支援教育)
京都大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学、教育学修士 障害児教育方法学、おもちゃ学、学習障害児等の研究を行っている。
田辺 正友 奈良教育大学教授(障害児心理学、特別支援教育)
早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻修士課程終了、文学修士
高機能自閉症を中心とした障害児の療育活動や発達研究を長年続けている。
岩坂 英巳 奈良教育大学教授(児童青年精神医学、教育臨床)
奈良県立医科大学卒、医学博士、ADHD など軽度発達障害に対するペアレントトレーニン グやソーシャルスキルトレーニングの臨床及び研究者として活躍している。
竹田 契一 大阪教育大学名誉教授、大阪医科大学客員教授 慶応大学医学部医学研究科終了、医学博士
日本
LD学会副会長、特別支援教育士資格認定協会会長 全国各地で
LD児の支援や講演会を行っている。
越野 和之 奈良教育大学助教授(障害児教育学、特別支援教育)
東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、文学修士
特別なニーズ教育、特別支援教育など障害児教育の制度の研究を行っている。
上野 玲子 奈良県立教育研究所障害児教育部長
明日香養護学校、国立久美浜養護学校、奈良県教育委員会事務局障害児教育係長など を経て現職。奈良県の障害児教育、特別支援教育を進めていく立場にある。
南浦 稔美 奈良県広陵町立広陵北小学校障害児学級教諭
文部科学省の「障害のある子どものための教育相談体系化推進事業」、 「特別支援教育推進体 制モデル事業」のモデル地域である広陵町の小学校の障害児学級教諭として障害児と関わっ ている。
小倉 智子 奈良市立平城東中学校障害児学級教諭
中学校の障害児学級担任として、軽度発達障害児などの教育に取り組んできた。
現在、本学特殊教育特別専攻科で学んでいる。
藪本 啓子 和歌山
AD/HD親の会「ニコニコキッズ」代表 小・中学校、養護学校の教員の経験がある。
和歌山で
AD/HD親の会で活動している。
【 公開講座 奈良教育大学関係者および協力者一覧 】
教育実践開発講座特別支援教育教員 田辺 正友 郷間 英世 玉村公二彦 越野 和之 教育実践開発講座教育臨床教員 池島 徳大 岩坂 英巳 小野 昌彦
障害児教育大学院生 岩穴口恵美 川上 奈緒 教育臨床特別支援教育大学院生 浅香美穂子 池田 友美 久松 節子 特殊教育特別専攻科(情緒障害)学生 小倉 智子 中村 美香 福岡 成和 藤原 壽子 松本 和洋 武藤 葉子 森嶋喜代子 障害児教育専攻学生等 淡路はるか 小田切和子 藤井 由美 平井 律江 中島 淳 山本 菜採 猪澤由紀子 薦田 朋子 山本 真也
平井 絵未
ポスター作成 松本 大樹 奈良教育大学総務課研究協力係 広岡 良二
公開講座の目的と概要
奈良教育大学 郷間英世
奈良教育大学の郷間です。公開講座にたくさんのご参加ありがとうございます。最初予定し た会場に入りきれずに、変更になりました。迷われた方もあったのではないかと心配していま す。
さて、この公開講座ですが、主題は「軽度発達障害の理解と特別支援教育」です。最近、そ してこれからの障害児教育は大きな転換期を迎えています。大きな流れは、皆さんご存知と思 いますが、特殊教育から特別支援教育へということです。特別支援教育ではこれまでの特殊教 育の対象であった知的障害や肢体不自由などに加え軽度発達障害も対象になります。
軽度発達障害には、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症、アス ペルガー障害が含まれます。そして、この子どもたちの多くは普通学級に在籍しており、文部 科学省の調査では
6.3%と一クラスに2〜3人いる計算になります。公開講座の目的は三つあります。まず一番目は、軽度発達障害や特別支援教育について理解 を深め、軽度発達障害児への関わりを考えるということです。公開講座で、それぞれの立場で、
講演やシンポジウムを通して勉強しましょうということです。二番目は協力と連携です。この 公開講座は、奈良県・奈良市の教育委員会を始め、自閉症協会奈良県支部、奈良
LD親の会、
奈良
ADHDの会などから後援をいただき、また学校の先生や保護者など多数参加していただ いております。この公開講座でお互いのことを知り、今後大学を含め、様々な連携や協力が進 むことを期待するものであります。目的の三番目は、私たち奈良教育大学の教員と学生にとっ てです。大学の障害児教育を簡単にご紹介します。教員はそれぞれ障害児の教育、心理、医学 を専門分野にしています。大学院生もいます。特殊教育特別専攻科といいまして、主に現職の 教員が
1年間勉強にくるコースもあります。そして、障害児教育の先生を養成する学部もあり ます。教員と学生は協力して公開講座を準備してきました。私たちは公開講座を行うにあたり、
自分たちが学ぶとともに、大学の役割として地域へ情報発信することを目指しています。
公開講座の内容を簡単に説明します。全部で
5回です。
第1回は「学習障害(LD)の理解と対応」というテーマで、学習障害の子どもの状態や問 題点、学習障害児への対応のあり方などについて、オーストラリアやアメリカ合衆国でのLD 教育の現状もふくめて、玉村先生が講演します。
第2回は「ADHDの理解と対応」として、注意欠陥多動性障害(ADHD)児のペアレント トレーニング(親指導)やソーシャルスキル(社会的技能)トレーニングを実践してこられた 立場から、岩坂先生が講演します。
第3回は「高機能自閉症の発達的理解と学校や家庭での対応」という題で、長年、発達障害 児、特に高機能自閉症の療育を続けてこられた立場から、田辺先生が講演します。
第4回は「これからの特別支援教育と軽度発達障害」という題で、これまでの3回で話され た軽度発達障害児に対して、今後特別支援教育がどのように関わっていくのか、またどのよう な問題があるのか等について、大阪教育大学名誉教授、大阪医科大学LDセンター教授、竹田 契一先生に講演いただきます。
第5回目の最終回は『今後の特別支援教育への期待と課題』というテーマで、教員・保護者・
専門家によるシンポジウムを行います。教育委員会の立場から奈良県立教育研究所上野玲子先
生、教諭としての立場から広陵北小学校南浦稔美先生、平城東中学校小倉智子先生、保護者の
立場からは ADHD児の保護者、藪本啓子氏、そして、奈良教育大学の越野先生を加え、それ
ぞれの立場からお話いただきます。その後、他の参加者を含め、これからの奈良の特別支援教 育をどう構築していくか考えていくための討論を行います。
以上、目的と内容について説明しました。それでは、始めたいと思います。
2004.10.10
大台ケ原
公開講座「軽度発達障害の理解と特別支援教育Ⅰ」2004 年 11 月 13 日
学習障害(LD)の理解と対応−海外のLD教育とわが国の現状−
奈良教育大学 玉村公二彦
はじめに
1990 年代から今日まで間、2度ほど本格的にLDの教育や親の会に関わることがありま した。
1度目は、1990 年から 91 年にかけてで、日本ではLD元年といわれました。全国親の会 ができたりしました。その時期に、在外研究ということでオーストラリアのクイーンズラ ンド大学に行かせていただきました。その時の受け入れの先生が、学習障害−オーストラ リアでは学習困難を研究されていた方で、オーストラリアの学習困難について実状をみて、
議論をさせていただきました。帰国後も、初期の奈良LD親の会の方々とも、ともに活動 をさせていただいたこともありました。
2度目は、1999 年から 2000 年にかけてです。1999 年に学習障害に関する調査研究協力 者会議の報告がでますが、その初期の定着過程について学校の先生方や校長の認識につい て、クイーンズランド大学に留学をされていた卒業生と一緒に少し調査をやらせていただ きました。
いずれも、学習障害について検討や報告が出されて間もない頃であったこともあり、十
分な手応えをもって研究や活動ができなかったという思いがあります。1999 年に学習障害
の定義が出てから、その後、ADHDや高機能自閉症の研究が進みました。あの頃、LD
と見なされていた子どもたちが、むしろADHDやアスペルガー症候群・高機能自閉症で
はなかろうかというようなケースもたくさんあります。しかし、歴史的に見ればLDとい
う概念で、軽度発達障害への対応が進んでいったのであり、施策の流れをつくったという
意味で重要なものといわなければならないと思います。
今日は3つくらいの話をしようと思っています。第1は、学習障害の概論ということで、
用語の整理、定義と範囲、学習や学力という観点から子どもの障害や困難を考えていきた いということです。
2点目は、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどでの学習障害・学習困難への取り 組みの紹介をしたいと思っています。特に、用語に関して、学習障害と学習困難はどう違 うのかとか、あるいは学習障害なのだけれどディスレキシアという言葉もある。英語で Learning Disorder というもの、略してLDです。LDは多義的ですし、広い概念とも言え るものですが、今日紹介したいのは、その中でも中核といわれている読み書きの障害、デ ィスレキシアと呼ばれるものへの対応を紹介したいと思っています。
3点目は、日本での取り組みの現状と課題についてお話したいと考えています。
1.古くて新しいLD(学習障害)の概念
映画の中のLD
読みの障害がでてくる映画があります。2001 年に公開された「パール・ハーバー」とい う映画です。これはノベライズもされましたので当該のところを見ておきましょう。
「『えっと…』背の高い男はいった。 『R…J…C…いや、あ、いいんだ、J、C、Q、W。
じゃなくって、W、Q』
文字を全部暗記しているイヴリンは、おかしいなと思った。視力が弱いと形の似た文字 をとりちがえるものだ−QをOといったり、RをPといったり。ところがこの飛行士は、
順番をまちがえた。それも、文字がいちばん大きい列で。 」
主役のパイロットの候補生なのですが、視力検査で文字を混同してしまう、あるいは「ひ とつずつ、とばして読んでごらん」と言われるがなかなか読めない、でも動態視力はよく て…、という場面です。
俳優のトム・クルーズが、学習障害ということはよく知られています。テレビドラマの
「金八先生」を見ていたら、トム・クルーズの話がありました。トム・クルーズは読むこ とに非常に困難があるという話で、 「学習につまずいている人にも、がんばっている人がい るのだ」ということを強調していました。トム・クルーズ評伝には、トム・クルーズは自 分自身がディスレキシアということについて、幼稚園の時から気がついていたと書いてあ ります。幼稚園の時、左利きを右利きに矯正されることがあり、それがうまくいかなかっ たというのがはじめて気がついた時だったと書いてあるのです。学校にはいると文字が裏 返って鏡文字になってうまく読めないのです。アルファベット圏ではdとbが鏡文字の関 係です。読みが非常に難しく、小学校の時には読みの治療的なクラスに行かされていたと のことです。
でも、トム・クルーズは話をしたり役柄をしたりということは上手でした。今でも台本
を読むことは難しいものですから、サポーターがいて、その人に耳から入れていただいて 役作りをするということです。いろいろな本を読むと、トム・クルーズと一緒に映画に出 るのを嫌う役者がいるということです。というのは、役作りを徹底してやるからです。自 分が読めないので聞いてやってみてリハーサルも何回もやる、そこに、つきあわざるを得 ないからです。
LD児の記述と概念の提唱
読み書きの困難(ディスレキシア)についての初めての記述は、
1896年の段階でプリン グ・モーガン(Pringle Morgan)という方がイギリスの医学雑誌に示したものといわれて います。14 歳の子どもさんで、ゲームとかはとてもじょうずで利発なのだけれど、読めな い、という症例です。ですからそこから考えると、もう
100年以上、症例についての検討 が進められているわけです。
その後、アメリカなどで対応が進められてきたということがあります。
1960年代、1963 年だったと思いますが、カーク(Kirk, S)という障害児教育のスペシャリストが「ラーニ ング・ディスアビリティズ(学習障害)」という用語を提唱して、
1960年代後半にLDへの 対応が広がっていきます。
1970
年代には、アメリカを中心とした英語圏域の各地で、全国的な親の会の結成や運動 の展開があり、学習障害児協会というものが作られたりします。全国親の会が中心になっ て議会でのロビー活動などが展開をされて、アメリカでは
1975年の全障害児教育法の中で
「学習障害」を障害児教育の対象にしていくということになります。初めて法律の中で「学 習障害」ということが明記されました。すでに
30年も前から法的に明確な障害児教育の対 象となったわけです。
アメリカの動きに対して、「日本は対応が遅れているのではないか」と言われたりもして います。本格的に論議されていくのは
1990年以降です。1990 年にようやく全国親の会が できて、当時の文部省の調査協力者会議で、時間をかけて議論と定義ができていくという ことになります。ディスレキシアの記述から
100余年、アメリカの全障害児教育法から
30年弱、日本の対応はまだ
10年経っていない状況です。
4つのLD
ところで、LDの用語の問題についてふれておきたいと思います。日本LD学会という のがありますが、日本学習障害学会とは言いません。何故かというと、広くLDを捉えた いということからだとおもいます。例えば、ラーニング・ディスオーダーズ(Learning
Disorders)というのは医学用語で、アメリカの精神医学会の診断基準(DSM-IV)で使われます(訳語は「学習障害」)。ラーニング・ディスアビリティズ(Learnig Disabilities)
というのはもっとも日本では広く理解されている用語ですが、主としてアメリカで生まれ
た教育用語でということになります(訳語は「学習障害」)。私はオーストラリアの研究に
馴染んでいますが、オーストラリアではラーニング・ディフィカルティズ(Learnig
Diffficulties