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東医大誌 63(6):441−442,2005
医療制度改革と医学教育
関西医科大学 学長
日 置 紘士郎 Koshiro HIOKI
変革というものは、ひとつ起きると、必ずや次の変革を呼ぶようにできているものである。
君主論 塩野七生 マキアヴェッリ語録 これは中世イタリアの思想家マキアヴェッリの思想を塩野七生氏が悪言集としてまとめたものの一節である。
私は以前にこの本を読んだ時に、この言葉が大変興味深かったので、その後も努めて忘れないように心がけてい る。というのは、最近の社会情勢から、医療制度改革や医学教育改革が強力に推し進められているので、私たち いずれの私立医科大学においても、このような変革に対応するために奮闘努力をしているのであるが、ふとその 合間に、果たしてこれで良いのだろうかと、考え込んでしまうことがしばしぼであるからだ。
すなわち、患者の視点を尊重した、患者が望む医療の実現に向かっているのだろうかとか、人間性豊かな良医 の育成が達成できるのだろうか、などといった不安を感じるからであろう。新卒後臨床研修制度の各医科大学に 及ぼす影響は甚だ大きく、そのあり方をめぐる議論が盛んに行われている。最近行われた特定機能病院に対する 診断群分類別包括評価(DPC)の導入の影響に関する調査では、在院日数短縮などへの効率化への取組みが進 み、アウトカム評価では患者は医療内容や在院日数に良い評価をしているという結果が報告されている。しかし 実際の医療現場では、各診療科の教員や医員が医学生の臨床実習(クラークシップ)の指導と研修医(スーパー ローテイト)の教育を行いながら、患者さんにEBMに基づいてインフォームドコンセントをとり、そしてクリニ カルパスの遂行を目指して、早朝から、時には深夜までの激務に耐えている姿があるはずである。
今後変革に続く変革として、高度な医療技術や専門性を必要とする治療を安全に行いながら、教育機能を強化 することが各医科大学のさらなる課題として検討されなければならないが、ここで気になるのは、生命にかかわ る重大な疾患を告知され、治療を受けたそれぞれの患者さんに対して本当に心の通う医療が行われたであろうか ということである。たとえ検査データやエビデンスによる説明を医師が十分に行ったとしても、患者さんの心の 如くになって、思いやりのある態度で接していなければ両者の間に信頼感は決して生まれてこないだろう。この
ような現場で学んだ医学生や石刑多医は将来どのような医師に育つのであろうか。
幸いなことに、私立医科大学にはそれぞれの建学の精神と教育の理念がある。改革の次にくる現実を直視する ことで、必要な次の改革を慎重に検討しなけれぼならない。
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東京医科大学雑誌
第63巻第6号略歴
日置紘士郎(Koshiro Hioki)
昭和40年 昭和45年 昭和45年 昭和49年 昭和61年
平成2年〜平成3年 平成4年
平成6年〜現在 平成13年〜現在
関西医科大学医学部卒業
関西医科大学大学院博士課程修了 関西医科大学助手(外科学教室)
関西医科大学講師 関西医科大学助教授
学校法人関西医科大学評議員就任 関西医科大学教授(外科学第二講座主任)
学校法人関西医科大学理事及び評議員就任 関西医科大学学長就任
学会等役職
日本外科学会 評議員 日本外科代謝栄養学会 監事
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