125
(
11
)
日
本
人
高
齢 者
の
身体 部
分
慣 性 特 性
1 . 緒
言1 .
1
高 齢 者の動 作 研究 と身 体 部分慣 性 特 性 (筑 波 大 学 体 育 科 学 研 究 科 ) 岡 (筑 波 大 学体 育 科 学 剰 阿 江 通 良, 藤 (日本 体 育協 会スポー
ツ科 学 研 究 所 ) 森 最近, ス ポー
ツ活 動に積 極 的に取 り組む高 齢 者が 増大 し てい る.
この こ と は,
来 る高 齢 社 会 に お い て, 個々が 自立 し た生 活 を 営み,
健 康で質の 高い生 活を享 受す る た め に は積 極 的に スポー
ツ に参 加 し た り, さ まざま な身 体活 動を行うこ とがま す ま す重 要 に な る こ とを 示 すも の で あ ろう.
これ まで に,
ス ポー
ツバ イ オ メ カニ クスの 分 野 で は,
幼児・
児 童の発育発達に と も なう 動作の変 容 や 青 年 を 中 心 とした競 技 者のスポー
ツ技 術な ど に関し て,
さ ま ざ ま な 研 究が行 わ れて き た。
し か し, 高 齢 者の ス ポー
ツ活 動へ の参 加が 急増 し てい る こ と を考 えれ ば,
ス ポー
ツ活 動 中の高齢 者の動作をバ イ オメ カ ニ クス的 観 点か ら研 究 す るこ とも重要である と考 え られる.
ま た, 高齢 者の運 動性の低 下, 転 倒の問 題 な ど を バ イ オ メカニ クス に お け る主 要 な 研究課 題 とすべ き である とい う提 案も あ る19》.
関 節や身 体 部 分に加わ る負荷を定量的に把握し, 傷害 と の関 係 をバ イオ メ カニ ク ス的観 点か ら考察す るこ と は , これ らの課 題 を解決 する た め に不 可欠な こ と であろう。
身 体 運動の バ イ オメ カニ クス 的解 析で は, 運動 中 の 身体に作 用する外 力を計測し た り,
内力を推 定す る が,
その た め に はkinematic
なデー
タ に加え て, 質 量,
質 量中心位 置, 慣 性モー
メン ト な ど の身 体 部 分の慣 性 特 性に関 す る情 報が必 要である。
また, こ孝
久 典 英範
保 田 井 丘 れ ら は身体 運動のシ ミュ レー
シ ョ ン に お い て も必 要 と さ れ る。
身 体 部 分の慣 性特性 は年 齢 差,
性 差,
人 種な どの影響を受 ける と考 え ら れる の で,
日本 人 高 齢 者の動作をバ イ オ メ カニ ク ス的に解析す る際に は 日本人高齢 者の 身体 部 分の慣性 特 性を知るこ と が不 可欠にな る.
こ れ ま で に,
日本人 の身体 部 分慣 性 特 性に関する報告は幼 少 年21],
成人’6),
青 年アス リー
トL }などにつ い ての ものがある が,
日本人高齢 者に つ い て のもの は ない よ うで あ る.
1.
2
身 体 部 分 慣 性 特 性の推 定の試み 身 体部分の慣 性 特 性の推 定は これ まで に い くつ か の 方 法 を 用い て行 わ れて き た。
Dempster7
),
Clauser
et al.
6),
Chandler
et al.
5〕 ら は屍体 標 本を切 断し, 各 部 分の 質量, 質量中心 位 置,
慣 性モー
メン ト を直 接 測 定し てい る.
この方 法 で は,
測 定 自体の精度が高く, 密度も測定で き る と い う利 点がある が,
屍 体標 本の数が 少な く, 偏りが あ る た め,
あ る特 定の母 集 団の代 表値と し て は必 ず し も適 して はい ない。
生 体 標 本 を用い た測 定で は浸水 法8 ),
重 心 測 定板 に よる方 法2 ),
急 速解 放法3},
振 動法1°},
放 射 線照 射 法d・
23 ),
断 層 撮 影 法22),
核磁気共鳴 映 像法15)な ど が 用い られてき た.
これ らの う ち,
浸 水 法,
重 心 測 定 板に よる方 法, 急 速 解 放 法, 振 動 法は非 侵 襲 的で はあるが,
測 定に お ける被験者へ の拘 束条件が比 較 的 厳し く, 正 確 な 測 定が困 難で あ る.
ま た,
質 量,
質量中心 位 置, 慣 性モー
メン トのすべ てを 測 定 す る に は複 数の方 法 を併用 し な け れ ば な ら ない。
放 射 線 照射 法, 断層 撮 影法, 核磁気共 鳴映 像 法は測定の精126 バ イ オメカニ ズム 13 ヒ ト を知
P
人 を支える一
度には優れ る が, 測 定 装置の整 備に多大な費用が必 要で あ り,
放 射 線 照 射 法で は 生体に悪 影 響を及ぼ す 可能 性が高い.
生 体 標 本 を用い る 他の方 法として,
数 学モ デル に よる方 法 が ある.
これ は身 体 各部分 を特定の幾 何学 的 形状の 剛体とみな し, これ らの 剛体の質量, 質量 中心 位置, 慣 性モー
メン トを求め る とい うも の であ る.
松 井16〕は身 体を円錐,
円柱,
球な ど を組み合わ せたモ デル とみ な し,
目本 人 成 人 男 女の身 体 部 分 慣 性 特性 を 求め てい る.Whitsett2
°〕,
Hanavan9
)も 同 様の方 法 を 用いて身体 部分の慣 性特 性を 求め た.
こ の方 法は適用 が比較的 容 易であるが, 身体部 分の形 状を単 純 化し すぎるこ とに よ り正確 性を損な う可 能 性がある.
JensenLD
は 楕 円 板 近 似モ デル を 作 成 し,
体 型の 相違が子 供の 身 体 の慣 性特性に及 ぼす 影 響 を 調べ た.
このモ デル は身 体 の各 部 分 を厚さ2cm
の楕 円 板の集 合体と みな してい るため, 身 体の凹 凸に も良 く追 従で き, さ まざま な形態に適 用 が可 能で ある.
同様のモ デル を用い て, 横 井ら 2’1は 男 女日本人幼 少 年の,
阿 江 ら1 )は男 女 青 年 アス リー
トの身体部 分 慣 性特性 を 報 告 して い る.
この ように, これ ま でに さ まざ ま な 方 法 を用い て 身体 部分の慣性 特 性の推 定が試みら れて きて い る.
前述の
Dempster ,
Clauser
et al.
,
Chandler
et al.
が用い た屍 体 標 本は主に高齢者の もの である が, 標 本 数が少な く, すべ て 白 人 男 性で あっ た
.
最 近,Jensen
et α1.
13 )は楕円板近似モ デル を 用い て,12
名の白人 女性高齢 者およ び7 名の白 人男性高 齢 者の 身 体 部分の慣性モー
メン トを報 告し てい る.
また, 彼ら は同じ被験 者を用い て身体 部 分の質量お よび質 量 比 を報 告 してい る]4 ,.
Jensen
8’祕 の 研究は高 齢 男 女の生体 標 本 を 用い て身 体 部 分 慣 性 特 性を算 出し た 数 少 ない研 究であろう。
しか し,
現 在の とこ ろ,
日本 人の男 女高齢 者に関して, 動 作 解 析に実 用 的に 適 用で き る よう な身体 部 分 慣 性特 性の報 告はない よ うである.
1.
3 目 的 本研 究で はJensenM
の数 学モ デル (楕円板 近似モ デル ) を応 用 し た 阿 江 ら1} のモ デル を 用い て,
身 体 部分の質 量, 質 量 中 心 位置, 主慣 性モー
メン トを算 出し, これ らを簡 便に推定す る た め の推定式 を作 成 す るこ とを 目 的と し た.
2 .
方 法2.1
数 学モデル 本研 究で はJensen
の数学モ デル を応用 し た阿 江 らの 方法 を 用い て, 身 体 部 分 (頭 部,
胴 体, 上腕, 前 腕, 手, 大 腿, 下腿, 足の8
種 類, さ ら に胴体を 上 胴, 下 胴に 二分 )の質 量,
質 量 中 心 位 置,
質 量 中 心を通る3
つ の 主軸ま わ りの主 慣性モー
メ ン トを算 出 し た.
図1
は本 研 究で用い た数 学モ デル お よ び 身 体 部分の部分 長 を規 定 するポ イン トを 示 し た もの で ある.
このモ デル に関する仮 定は以下の通り であ含
の 中 点 縁 節関 節X
図 1 数 字モ デル およ び部 分 長を規 定す る ポ イントる
。
身体は14
あるい は15
(胴 体 を2
つ に分 け た 場 合 )個の剛体か らなり, これ ら の剛 体 は各 関 節 の一
点で連 結さ れ てい る.
身 体 各 部 分の密度は均一
で あ る.
し た が っ て,
身体 各部 分の質量中心は体 積 中心 と一
.
致 する.
身体 各部 分は厚さ2cm
の楕円板が有 限 個 集ま っ てで きて お り,
左 右の上 肢お よび 下 肢の形態 は同一
で ある.
身 体 各 部 分の密 度はDempster71
お よ びChan ・
dler
et al.
5〕 が報 告し た 屍 体 標 本の密 度の いず れ か と等しい.
身体 各部 分の3
つ の慣性主軸は身 体 各部分の両 端 点 を結ぶ軸 (長輜 :Z 軸), 身 体 各 部分の 前 額 面 内に あ り,
長 軸に垂直な軸(左右軸 :X 軸),
長軸と左 右 軸の両 者に垂直な軸 (前 後軸 : γ軸 )と一
致 する。
これ らのモ デル およ び 仮 定に もとづ け ば, 身体 各 部 分の質 量 (妬), 質 量 中 心 位 置 (渇,Y
,・
,Z
,), 主 慣 性 モー
メ ン ト (縞,
ry
,,
lz、
),
同転 半 径 俵ゐ,
k.
u,
ti, 馬)は個々 の楕 円 板の値 を 用い て,
以 下の 式 に よ り算 出さ れ る.
nJ 賜二
Σ (dj
・
Vi」) (1
) 1 niX
,=
Σ (d
,・
砺・
蜘 )1M
,・
(
2
) 尸 (Y
, ,Z
, も同様) nJ伽 厂 Σ (
JXi
,十d ・
びガ ((〃カーY
,・
) 2 + (z,
厂 乙) 2 ))卍
’
(3
) (勿、
,
k 、
も同 様 )kr
」;
廊
⊃
(
4
) (feyj
,
kZj
も 同 様 )こ こ で
,
nJ は身 体 部 分 を 構成する楕円板の数,d
, は身 体 部 分ノの 密 度,
砺 は楕 円 板 ガの 体 積, x,
j, yti,9ヵは楕円板ij
の質 量 中 心 位 置,
Ix
、v,
忽,
、
,, ノ妬 は楕 円 板 〃の主 慣 性モー
メ ン ト である。
2 .
2
被 験 者 被 験 者は表1
に示 し た よ うに,62− 86
歳の男 性90
名 と61− 83
歳の女性89
名の計 179 名で あっ た.
C11
) 日本 人高齢者の身体 部分慣性特性 127 表 1 被 験 者の特 性 年 齢 (歳 ) 身長 (cm ) 体 重 (kg> 男 性 (”=
go) 平 均 標 準 偏 差 範 囲 75、
1 5.
46L986.
2 158.
3 6.
7140.
3−
174.
1 57.
l lO.
636.
8−
86.
5 平 均 73.
O l46.
7 5G.
9 女 性 標 準 偏差 4.
7 5.
0 8.
2 〔n=
89) 範 囲 61.
3−
82,
8137,
ll57.
431.
6−
69.
8 こ れ ら の被 験 者は年 齢,
身 長,
体 重 とも広い範囲に 分布し てい た.
このこ とか ら,
これ らの 被 験 者の身 体部 分 慣性 特 性は 日本入高齢 者の基 準 値として用い る こ と が可能である と考え ら れ る.
また, これ らの 被 験 者か ら得 られる身 体 部 分 慣 性 特性の推 定式は, 表 1に示 し た身 長お よ び体重の範 囲内の形 態を有す る高 齢 者,
すなわち,
多くの 日本人高齢 者に適 用で きる と考 え ら れ る.
2 .
3
写 真 撮 影 写 真 撮 影に先 立っ て,
被 験者の身 長と体重を測 定 し た.
次に以 下の方 法で被 験 者の立 位 姿 勢 を 写真 撮 影 し た.
被 験 者に競 泳用 の水泳 帽と水 着 を着 用 させ,
図1
に示 した身体上の計 測 点にマー
クを 貼付した.
次に 自作 の写 真 計 測用フ レー
ム (正 面に 2 cm 間 隔で 黒 糸が水平に張っ て あり,
内側に正 面 と45
°の角 度で 鏡が取 り付 けられてい る)の中に被験者を立 たせ , 被 験 者の正 面か ら35mm
ス チル カ メ ラを 用い てス ラ イ ド写 真 を 撮 影し た.
この よ う に し て, 被 験 者の 止面 像お よび 鏡に映っ た側 面像を一
枚の ス ラ イ ド写 真 上 に得 た.
2 .
4
デー
タ処理2,
4.
1
身体 部 分 慣 性 特 性の 算 出 撮影 し たス ラ イ ド写 真をス ライド プ ロ ジェ クター
に よ りディジタ イザー
(3050dots
×3050
dots,
分解.
能 :1
〔)dots
!mm )上に投 影 し た。
身 体 各 部 分 を構 成 する楕円板の径お よび 厚さ と身 体 各 部 分の部 分 長を 算 出し,
実 長に換算す る た め に,
被 験 者の正 面お よ び側 面像の身体上の分析点の座 標 と計 測フ レー
ム 上 の 点の座標を,
ディ ジタ イザー
を 用い て読み取っヱ28 バ イ オメカニ ズム 13
−.
一
ヒトを知ワ人を支え る一
た.
なお , ディジタ イザー
上 の1
ドッ トは実 長の約0,
7− .
0 ,
8mm
に相 当する。
個々 の楕円板の長 径
,
短径お よ び厚さか ら各 楕 円 板の質 量,
質量中心位置,
慣性モー
メン ト, 回転半 径を求め た。
その後,
個々 の楕 円 板の値を式 (1
)一
式 (4
)に代 入 し,
身 体 各部 分の質量, 質量中心位置,
慣性モー
メ ン ト, 回転 半径を算 出し た。
これ らの値 を算出す る際に は身体各部 分の密度が 必 要である
。
本 研 究で は,Dempster7
)が 報 告し た7
体の屍体標 本〔8
体の屍体 標本 を用いてい るが, そ のうち1
体は頭 部お よ び 胴 体の値が示 さ れ てい ない た め割 愛し た)お よ びChandler
et aL5)が報 告し た6
体の屍 体 標 本の密度をも と に, 以 下の よ うに して 各 被験 者に最 適の密度を決 定し た.
Delnpster
お よびChandler
et al.
は 四肢の左 右両 側の密 度を報 告し てい るの で,
右 側およ び左側を別 個と考え る と計26
例の身 体部 分の密 度の組が得ら れ る.
そこ で,
これ らの 密度の組を用い, 各 被験 者 に つ い て 26組の身 体部 分 慣 性 特 性を求め た。
その 後,
これ らの身体 部 分 慣 性 特 性か ら体 重 を 推 定 し, 推 定 体 重 と実 測体重の誤 差が最 小に な る組 を その被 験者に最 適の密 度とし た.
2.
4.
2 身 体部 分 慣 性 特 性の推 定 式の作 成得ら れ た身 体 各部分の質量, 質量中心位置
,
主 慣 性モー
メ ン トを 目 的 変数と し, 年 齢,
身長,
体 重, 部 分 長 を 予 測 変 数 と して ステ ップワイズ法に よる重 回 帰 分 析 を行 っ た.
まず,
4
つ の予 測 変 数の全てを 回 帰 式に投 入 し, 標 準 偏回帰係数が有 意で ない 変 数を1つ ずつ 排除 し, 回帰 式に残っ た 変 数の標 準 偏回帰係数の全てが 有 意 (p
く0 ,
05
)となっ た時点で分 析を終了し た.
最 終 的に残っ た 回帰 式を身体 部分慣性 特 性の推 定 式 と し た.
3
,
結果
3 .
1
数 学モ デル の妥当 性本研究で用い た数 学モ デル の妥 当性を, 得られ た 身 体 部 分 慣性 特性を用い て 算出し た推 定 体重 と実測 体重の平 均 誤 差に よっ て検 証 し た
.
推 定 体 重 と実測 体 重の平 均 誤差は, 男 性で は
一
e.
07
±.
54
% (最 大 誤差 :− 2.03
%), 女性で は一
1〕.
1±0,
45% (最 大誤 差 :− 1.
27
% )で あった。
こ れ らの値 は同 様のモ デル を用い た横井 ら21 ), 阿江 ら1 )の報 告 (横 井 :− 1.
14%,
阿 江 :2.
1
% )よ り も 小さく,Jensen
♂ 磁 L3・
14 ) の報告(0.
05
%)と ほ ぼ同 様であっ た.
3,
2
身 体 部 分慣 性 特 性 表2
は 身 体 各 部 分の質量 比,
質量中心 比,
質 量 中 心 を 通る3
つの慣 性 主軸ま わ りの 回 転 半 径 比 を 男 女 の平 均値で 示 し た もの で あ る。
こ こで, 質量 比は身 体 質量に対する部 分 質 量の比, 質 量中心 比は部分 長 に対す る中 枢 端 (上 端 )か ら質量中心位 置ま での距 離 の比,
回転 半径 比は部 分 長に対す る回 転 半 径の比の こ と であ る。
た だ し, 頭の部分 長は頭頂点か ら両 耳 珠 点間の中 点ま で の長さ, 胴体の部 分 長 は胸 骨 上縁 か ら両 大転子間の中点まで の長 さ, 上 胴の部 分 長は 胸 骨 上縁か ら腋下 線上 の最 下 肋 骨 下縁 点 間の中点ま での長さ,
下 胴の部 分 長は腋 下 線上 の最 下 肋 骨 下 縁 点 間の中点から 両 大 転 子 問の中点まで の長さ,
足の 部 分 長 はつ ま先から踵ま で の長さ と し た。
ま た,
足 の質 量中心 比は部 分 長に対するつ ま先か ら質 量中心 ま で の距 離の比と し た。
表
2
に お け る *印 は5% 水 準で , †印は1
% 水 準 で有 意な性 差が認め られ た こ と を意 味す る (独立2
標 本の t検 定 ).
ま た,
+ は男 性の 値が女性よ り も 大 きい こ とを,一
は小さい こ と を意 味 す る。
質量 比で は前腕, 手, 足, 上胴は男 性 の方 が 大き く, 大 腿, 下腿, 下 胴は女 性の 方が大 きか っ た.
質量中心 比で は頭部
,
手,
大 腿,
下 胴 は男性の方 が大き く,
胴体,
ヒ腕,
足 は女 性の方 が大きか っ た.
質 量 中 心 比 が 大 きい こ とは身体部 分の質量中心 位 置 が (立 位 姿勢に おいて)より下 方 (足では よ り 後 方 〉にあるこ と を意 味する.
回転半 径比で は頭部,
足 は3
軸とも男 性の方が大 きく, 大 腿,
上胴 は3
軸とも女 性 の方が大 き か っ た.
そ の他の部 分に つ い て は, 下 腿のX
軸ま わ り の回 転 半 径 比,
上 腕のY
軸 まわ りの 回転 半 径比お(ll) 日 本 人高齢者の身 体 部 分 慣 性 特性 129 表 2 日本人高 齢 者の身体 部分 慣 性 特 性 男 性 女 性 部 分 質 量 質量中心 回転 半径 比 質 量 質量中心 回転 半 径 比 比 (% ) 比(% ) 厭 (% ) 勧(% ) 々z(%) 比 (% 〕 比 (% ) 航(% ) 々y〔% ) 舵 (% 〉 頭 部 9
.
1 86.
gt+
50,
7†+ 52.
0†+ 4L8↑+ 8.
8 83.
8 48,
1 50,
2 40.
3 (1.
1) (4.
7) (2.
8) (3.
2) (2,
4) (1.
1) (4,
0) (2、
7) (2.
7) (2.
2) 胴 体 49.
7 49.
8†一
36.
8 37.
2 ユ9,
9↑一
49.
3 51.
5 36.
8 37.
D 21.
4 (2,
9) (3.
3) (2.
0) (1.
9) (2.
6) (3.
3) (2,
6) (1.
6) (/.
6) (2、
9) 上 腕 2,
5 54.
9†一
25.
5 25.
6叶 11,
8 2.
5 56.
9 25.
1 25.
3 12.
4 (o,
3) (1.
6) (工,
3) (0.
8) (2.
0) (0.
3) (2.
1) (L8 ) (0,
9) (2,
5) 前腕 1,
7堀 42.
7 28,
6 28.
6 1L2ボ
ー
1、
6 42.
3 28、
9 28.
8 11,
5 (0.
2) (2、
1) (1ユ) (1.
1) (1,
2) ( 2) (L9> (1.
2) 〈1,
2) 〔L3 ) 手,
8†‘
.
82.
0†}
54,
5 53.
7 29.
2計 0.
6 76、
3 53.
5 52,
5 27.
9 (0,
2) (10.
1) (5.
2) 〔5.
2} (3.
8) (0.
1) (8,
5) (4.
9) (4.
3) (3.
7) 大 腿 9,
2†一
48.
1ホ
←
27.
2†一
28.
3t17.
1†一
9.
8 47,
4 27.
7 28.
9 ]8.
1 (O,
8) (2.
2) (1.
1) (o,
9) (1.
8) (1,
0) (1.
9) (1.
2) (0.
9) (2.
D
下 腿 4.
7ボー
42.
3 26.
3ゆ+
28.
4 14.
4†一
4.
8 42.
4 25.
7 28.
4 16.
0 (0.
5) (1.
5) (1.
5) ω.
9) (2.
3) (G.
5) (1.
8) (2.
0) (0.
8) (2.
6> 足 1.
7†+
58.
1↑一
23.
3†+ 12.
6卜 23.
5†+ 1.
5 59.
1 22.
6 12.
2 22.
9 (0.
2) (1.
s) (0,
7) (.
9> (0,
8) (0.
3) (2.
2) (0.
9) (0.
6) (0,
9) 上胴 28,
8†+
40.
9 41,
3ト 40.
F一
32.
7†一
26.
0 41.
7 42.
8 41.
9 36.
2 (2.
7) (5.
2) (2.
6> (3.
7) (5.
3) (2.
7) (3.
8) (3,
(3.
6) (5,
0
) 下 胴 20,
9† 60.
5†+ 49,
2 48.
1 48.
2 23.
4 58.
7 49.
3 47.
8 49,
8 (2.
9) (4.
4) (4,
4) (4,
2) (6.
4) {2,
6> (3,
7) (4,
5) (4.
5) (6.
3) 12DJd占
5 *,
†印 は 男 女 間 の有 意差 を 示 す(*p〈0.
05,
†p〈0,
01,
+男〉女,一
男く女 ).
カッ コ 内の数値は標準偏差を 示 す.
部 分 質量 は身体 質量に対 す る 比,
質量中心比は部 分 長に対 する中 枢 端か らの距 離の比 で あ る.
上 胴,
下 胴,
足の質 量 中心 比は そ れ ぞ れ,
胸 骨 上縁 点,
最下肋 骨 下 縁 点 間の中 点,
足 先からの距離の比である.
回転 半 径 比は部 分 長に対 する比で ある.
よび手のZ
軸ま わ りの回 転 半 径 比 は 男 性の方が大 き か っ た。
ま た, 胴 体, 前腕, 下 腿のZ
軸 ま わ り の 回転半 径比は女 性の方が大きか っ た。
4
, 考
察
4.1
性 差に つ い て本 研 究で 算出 し た 男 女の身体部 分慣性 特 性の平 均 値 は質 量 比で は
7
部 分に,
質量 中心比で は7
部分 に, 左 右 軸 (X
軸 ) ま わ りの回転 半 径比で は5 部分 に, 前 後 軸 (Y
軸 ) ま わ りの回 転 半 径 比で は5 部分 に, 長軸 (Z 軸 )まわ りの 回 転 半 径比 で は8
部分に 有意な性差 がみ ら れ た.
こ れ ら の結果 は
,
性 別に よる 形 態の差が身体 部分 慣 性 特性に反 映さ れた ものと考 えられる.
し た が っ て, 女性の動 作 解 析に男性の身 体 部 分 慣 性 特 性 を 用 い る こ と, あるい は男性の動 作解析に女 性の身 体部 分慣性 特性を用い るこ と は望ま し く ない こと が 示唆 さ れ る.
4
.
2
青 年の身 体 部分慣 性 特 性との比 較 本研究で得られた日本 人高 齢 者の身 体 部 分 慣 性 特 性 を 日本 人 青年の もの (阿 江ら1り と比較する.
表3
は高齢 者と青 年の 身 体 部分慣性 特 性 を 平 均 値で示 し たもので ある.
4.
2.
1 質 量 比男性で は全ての身体部分の質量 比につ いて, 女 性 で は手を除く身 体 部 分の質量 比 につ い て, 高齢 者 と 青 年で有 意 な 差がみ ら れ た
.
男女 とも高齢 者で は上 腕, 大 腿, 下 腿, 上 胴の質 量 比が青 年よ り も小さ か っ た.
これらの差が生 じた理 由と し て, 阿江 らが 用 い た被験者は競 技 者であ り,
これらの部分の筋量 が 大きい と考え ら れ るこ と, 高齢 者で は加 齢に と も な130 バ ィ オメ カニ ズム 13
一
ヒ ト を知 り 人 を支え る一一
一
一
表 3 高 齢 者と青 年の身体部分慣性 特 性の比 較 高 齢 男性 青 年 男性 部 分 質 量 質 量 中心 回転半径比 質 量 質量中心 [冂1転 半 径比 比 (% ) 比 〔% ) 版 (% ) 々y(%) 々9 (% ) 比 (% ) 比 (% ) 々κ(%) 砂 (% 〉 融(% 〉 頭 部 9.
1†+
(1.
1) 86,
9†+ (4.
7) 50.
7†」
(2.
8) 52,
0 †}
(3.
2) 41.
8 †+ (2.
4) 6.
9 (0.
7) 82.
1 (4.
1) 47.
9 (2.
2) 45.
4 (2、
⊥) 36,
3 〔1.
9) 胴 体 49.
7料
(2.
9) 49.
8 (3.
3) 36,
8 †雫
(2,
0) 37,
2†+ (1.
9) ⊥9.
9ト (2,
6) 48.
9 (2.
2) 49.
3 (ユ,
6) 34,
6 (0.
8> (350.
.
87) 16.
7 (0.
9) E腕 2.
5†一
ω.
3) 54.
9 ↑+ (1.
6) 25.
5↑一
(L3> 25.
6 (0.
8) lL8 †+ (2.
0) 2.
7 (0.
3) 52、
9 (1.
8) 25(0,
.
72) 25.
7 (D.
7) lO.
7 (LO) 前腕 1.
7†+
(〔〕、
2) 42.
7†1 〔2.
1) 28.
6†+ α.
1) 28.
6†+ (1.
1) 11,
2‘
一
〔1,
2) 1、
6 (o.
2) (412.
.
05) 27,
9 (1.
1) 27.
7 (LO) 11.
5 (1.
2) 手 〔}.
8†〒
〔0.
2> 82.
0†一
(10.
1) 54、
5†+
(5.
2) 53.
7↑一
(5,
2) 29.
2f−
(3.
8) (o0.
.
16) 89.
1 (ユ0.
8) 51.
9 (6.
4) 57,
1 (7.
0) 31.
4 (4.
5) 大 腿 9.
2† (O.
8) 48.
1叶
(2.
2) 27.
2f−
(1、
1) 28,
3 ↑一
(0,
9) 17.
1†+ (⊥.
8) 11.
0 (0.
8) 47.
5 (1、
8) 27,
8 (0,
9
) 27,
0 (0.
9) (150,
.
92> 下腿 4.
7†一
(0,
5) 42.
3†一
(1、
5) 26,
3 卜 (1.
5) 28.
4†ト
(o,
9) 14,
4†一
(2.
3) 5.
1 (0,
4) 40.
6 (1.
5) 27,
4 (0,
9) 27.
工 (0.
9) 9.
7 (o.
6) 足 ユ.
7†+ (0.
2) 58.
1↑一
(1.
8) 23.
3↑+
(.
7) 12.
6↑1 (0.
9> 23.
5†+ (0.
8) 1,
1 (0.
2) (592.
.
65) 17,
7 (3、
0) 8.
8 (1.
3) 1呂,
2 (3.
1) 上 胴 28.
8†一
(2.
7) 40.
9†一
(5.
2) 41.
3†1 (2.
6) 4D.
1†〒
(3.
7) 32.
7†+
(5.
3) (301,
,
82) 42,
8 (2』) 35.
0 〔1.
2) 38.
1 {1.
5) 26.
6 (1.
8> 下胴 20、
9†+ (2.
9〕 60.
5 (4.
4) 49,
2†’
(4.
4) 48(4,
.
21) 48.
2 †屮
(6.
4) 18,
7 (1.
5) 60.
9 (3.
ω 42、
5 (2.
7) 47.
3 (3.
0) 43.
5 (3.
8) 高 齢女性 青年女性 部 分 質 量 質量 中 心 回転 半 径 比 質 量 質量中心 回 転 半径比 比 (% ) 比(%) 航 (% ) 勧 (% ) 々z(% ) 比 (% ) 比 (% ) 厩 (%) 尠 (%) 舷 (% ) 頭部 8.
8†+
(1.
1) 83.
8†舮
(4,
ω 48.
1†+ (2.
7) 50.
2†昏
(2.
7) 40,
3†+
(2.
2) 7.
5 ((1.
9) 75.
9 (5,
2) 45.
1 (2.
8) 42.
6 (2.
4135.
0 (2.
5) 胴 体 49.
3†+ (3.
3) 5工.
5†+ (2.
6) 36.
8†+ (ユ.
6) 37.
0 ↑+ (ユ.
6) 21.
4 †+ (2,
9) 45.
7 (2.
5) 50.
6 (1.
8) 34.
3 (o.
9) 35.
5 (0.
9) 17,
D (0.
8) 上 腕 2.
5串
(0.
3) 56.
9†+
(2.
1) 25.
1†一
(1.
8) 25.
3 ↑一
(0.
9) 12.
4†+
(2.
5) z.
6 (0,
2) 52.
3 (1.
7) 26,
5 〔0.
9) 26,
0 (0,
9) 10.
7 (D.
9) 前腕 1.
6†+ (0,
2) 42.
3 (1.
9} 28.
9↑昏 (1.
2) 28,
8
†→
(L2 ) 11.
5†一
(1.
3) 1.
5 (0,
1) 42.
3 〔2.
2) 27、
7 (1.
1) (27LO.
5> 12.
2 (1.
2) 于 0,
6 (0.
1} 76.
3†一
(8.
5) 53.
5 (4.
9) 52.
5†一
(4.
3) 27.
9↑一
(3.
7) 0.
6 (0.
1) 90.
8 (10.
2) 52.
7 (5.
9> 57,
3
(6.
6) 30.
3 (4.
6) 大 腿 9.
8†一
(1.
0) 47.
4†ト (1.
9) 27.
7†一
(1.
2) 28.
9†+ (〔〕.
9) 18.
1†齟
(2,
1) (12o.
.
93) 45.
8 (2.
4) 28.
5 (1.
2) 27.
8 (1.
1) 15.
7 (1.
5) 下 腿 4.
8卜 (D.
5) 42,
4t+
(1.
8) 25.
7f−
(2,
ω 28.
4†+ (0.
8) 16.
0†+ (2.
6> 5.
3 〔0.
4} 41,
0 (1,
5) 27、
5 (1』) 27.
2 (o.
9) 10.
2 (0.
7) 足 ].
5†+ (.
3) (592,
.
21) 22,
6 ↑+ (〔}.
9) 12.
2†幽
(0.
6) 22.
9†+
(o.
9) ユ,
玉 (o.
2) 59,
4 (2.
4) 18.
4 (2,
6) 9.
0 (1.
3) (182.
,
79) 上胴 26.
・
一
(2.
7) 41.
7†一
(3,
8) 42.
8†鹵
(3.
0) 41、
9†+ (3,
6) 36.
2†一
(5.
0) 26.
7 (1.
8) 43,
8
(1.
9) (341,
.
19) 3 呂.
o (1.
4) 27.
3
(1.
9) ド胴 23.
4†↓
(2.
6) 58,
7 (3.
7) 49.
3†+ (4.
5) 47.
8 (4.
5> 49.
8†+
(6.
3) ユ9、
0 (1.
8) (594.
.
57) (412,
.
81) 47.
1 (3.
1) 44.
D 〔3.
7) − ?凵
3456 *,
†印は群 間の有 意差 を 示 す (*p
く0.
05,
†少〈0.
01 ,+高齢 者〉青年,
一
高 齢 者く青 年 ).
青 年男女の値は阿 江ら(1992)が報 告し た も の で あ る.
カッ コ内の数 値は標 準偏 差 を示す.
部 分 質 量は身 体 質量に対す る比,
質 量 中心 比は部 分 長に対 する中枢端か ら の距離の 比 である.
上胴,
下 胴,
足 の 質 景中心 比 は そ れ ぞ れ,
胸 骨 上 縁 点,
最下 肋 骨 ド縁 点 間の中 点,
足 先からの距離の 比 で あ る.
回転 半径比 は部 分 長に対する比であ る.
う筋量の減 少 が 生じ てい る と考え られ るこ とな どが あ げ られる.
4.
2.
2 質量中心 比 男 性で は胴 体と下胴を除 く身 体 部 分の質量中心 比 につ い て,
女 性で は前腕,
足お よび 下胴を除く身 体 部分の質量中心 比に つ い て高齢 者と青 年で有 意な差 がみ られ た.
質 量中心 比 で は高 齢 男 性は頭 部,
上 腕, 前 腕, 大 腿, 下腿が, 高齢 女 性は頭 部,
胴 体,(ll) 日本 人 高齢 者の身 体 部 分 慣 性 特 性 731 表 4 日本人 高 齢 者 と カ ナダ人 高 齢 者 の身体部 分 の 質 量および慣 性モ
ー
メン トの比 較 日本 人 高 齢 者 (男 性 ) カ ナダ人高齢者 (男性〕 部 分 質 量.
慣性モー
メ ン ト 質 量」
阻性モー
メ ン ト (kg) ノエ(kg・
cm2 〕 ム《kg℃ m り 々 (k9・
cm2 > (kg) 加 kg・
cm3 ) 珂 kg・
cm2 ) た (kg・
cm2 ) 頭 部 5.
D8 270.
7†〒
283.
3†+ 182,
4†鹵
5,
52 204,
4 2工0.
7 144.
7 (0.
55) (58、
1) (58.
4) (32,
6) (0,
80) (28.
9) (30,
9) (22.
2) 胴体 28,
56 9108.
9 9315.
6 2680.
2 40.
99 (6.
4) (2752.
4) 〔282S,
3) (玉000.
5) 上腕 1.
43†一
78.
3†一
78,
4† 17,
2†一
2,
56 197.
7 21ユ.
9 37.
0 ω,
32) (24.
9) (23.
1) (7.
6) (0.
43) (44,
0) (46.
3) (12.
0) 前 腕 o.
97*
一
44.
4躍
一
44.
4ホ
6.
9 1.
40 77,
1 78.
4 12.
3 (0.
18) (12.
3) (12,
3) (2.
3) ωβ4) (24.
2) (25.
1) (5.
5) 手 0.
43 8.
4 8.
2 2.
4 o.
52 13.
1 ll、
o 3,
9 (0、
11〕 (3.
3) (3.
3) (1.
0) (,
16> (5,
9) (4,
7) (2.
0) 大 腿 5,
27† 495.
1†一
535,
5卜 198,
9 7.
54 1039,
4 1 81.
6 241.
1 (1.
05) (141.
5) (154.
9) (73,
0> (1.
14) (272,
2) (265.
5) (55.
5) 下 腿 2.
67†一
237.
4†一
274.
5†一
71.
5†+
3.
4D 362.
1 369,
0 53.
D (0,
49> (75.
0) (80.
8) (28.
3) (D,
34) (56.
1) (56.
7) (9.
2) 足 D.
98零
一
32,
6†一
9.
6 33,
2†一
1.
12 42,
9 9.
9 44.
7 (0,
ユ7) (9.
1〕 (3.
O) (9,
3) (0.
16) (11.
3) (2.
4) (ll.
9) 上 胴 16,
47†〒
24η.
3†鹵
2292.
0†」
151{1.
6零
一
/l.
53 1214、
7 839.
7 1304,
6 (3.
49) (87L8 ) (718.
71 〔498.
9) (0.
80) (223.
8) (100.
2) (165.
6> 卜.
胴 12.
09†一
1ユ36.
9† lD97.
9†一
lD97,
7†一
29.
46 5908.
7 5352.
1 3564,
1 (3.
51) (538.
8) (536.
2) (553.
7> (4.
88) (1606,
1) (1593.
5) (962、
6) 全 身 57.
12 79.
57 (10.
57) 日本人高齢 者.
(女性 ) カ ナダ人高 齢 者 (女性 ) 部分 質 量 慣 性モー
メ ン ト 質 量 慣 性モー
メン ト (kg) 魚 kg・
cm2 ) か(k 寒・
cm2 ) た(kg・
cm り (kg) 煽 kg・
cm2 ) か(kg・
cm2 ) 々 (kg・
crn2 ) 頭部 4.
41*
一
208,
2†+ 225.
3↑+
144.
9桝
4.
74 143.
6 164.
0 127,
0 (,
47〕 (47.
2) 〔45.
3) 〔25.
9) (G.
50) (34,
6) 〔29,
4) (27.
3) 胴体 25,
25 6690,
1 6779.
0 2324,
1 29,
64 (5,
16〕 (1743.
9) (工759,
8) (843,
9) 上 腕 1.
29†一
62.
5卜 62.
9† 15.
8†一
2.
08 137.
4 144.
2 25.
3 (D.
25} (18.
8) (17.
1) (8.
8) (0.
35> (38.
5) (40,
7) (7,
7) 前腕 0.
84 34、
5 34.
4 5,
6*
+
0.
72 47.
6 48,
6 4.
7 ω、
16} (9.
9) (9,
9) (2.
1) (0.
29) (37,
6> (40、
) (1.
1) 手 0.
31 5.
o‘
4.
9
玉.
4 O.
32 6.
3 5.
1 1.
7 (0,
07) (1.
6) (1.
6) (0.
4> (0.
07) (2.
1) (2.
D (O,
6) 大 腿 4.
95†一
4/6,
5†一
451.
4†一
178.
1†一
8.
18 1190.
3 1227.
3 272.
7 (D.
86} (111,
4) (115.
8) (55.
2) (1.
11) (276.
4) (283.
8) (62.
3) 下 腿 2.
46ボ
ー
176.
9†一
213.
0申一
68.
2†ト 2.
79 247.
7 248.
8 39.
8 (0.
43> (56.
91 (54.
61 (23.
7) ω.
36) (61.
8) (63,
1) (8.
2) 足 o.
77車
一
21,
2↑一
5.
1 21,
8†一
1,
01 26.
1 5.
5 26,
8 (0.
11) (5.
2> (1,
5) (5,
5) (0.
33) (5.
3) (1.
2) (5、
1) 上 胴 13.
26?+ 1584.
1↑T1509
.
3↑ i1134,
4†+ 9.
99 991.
8 747.
9 854.
7 (2.
88) (555,
7) (498.
5) (428.
5) (1.
86} (312.
9) (227,
4) (251、
下 胴 11.
99卜 lo78.
97 1025.
8†一
ll15,
6†一
19.
65 2851.
3 2526,
7 1926、
0 (2.
73) (344.
6) (370.
2) (412.
6) (1.
83> (432.
1) (417.
4) (343,
4) 全 身 50.
86 64.
14 (S,
19) 1234一
b *,
†印は群 間の有 意 差 を示 す (*p
〈0.
5,
†p〈0,
01,
+日本人〉 カナダ人,一
日本人く カ ナ ダ人 ),
カナダ入 男 女の値はJensen
et al.
(1993,
ig94)が報 告し た もの である.
カッ コ内の数値は標準 偏 差を 示 す.
足の慣 性モー
メ ン ト は,
立 位 姿 勢で の左右軸のま わ りの ものをix,
爪 先 と踵 を結ぶ軸の ま わ り の も の をly,
立 位 姿勢で の鉛直 軸の ま わ ワ のもの を 」2 と し た.
表 中の空白は報 告が さ れてい ない 部分 で あ る.
132 バ イオ メ カニ ズム 13 ヒトを知り人を支え る
一
上腕, 大腿, 下腿が青 年よりも大き かっ た,
こ の こ と か ら, 高 齢 者は青 年に比べ,
四肢の身 体 部 分で は よ り遠位 端 側に質量中心が位置して い ると い え る.
特に上 腕,
大 腿,
下 腿 は 青 年 よ り も質 量 比 が 小さい 部 分であるこ と か ら, こ れ ら の部 分の質量中心位置 が より遠 位端 側にある の は中枢端に近い 部分の質量 の減 少 が 原因の1
つ と し て考え ら れ る。
4.
2,
3
回転半 径比 回転 半径比で は,
男 女の各 軸とも8− 10
の身 体 部 分で高齢 者と青 年で有 意 な 差 が み られ,
その大 部 分 で 青 年 よ り も高 齢 者が 大 き かっ た,
こ のこ と よ り, 高齢 者で は青 年に比べ て, 質量や部 分 長の わりに は 身 体部分が 回転しに くい とい う形 態 的 特徴を もつ と い え る.
以 上の こ と か ら,
「
日本 人高 齢者は日 本 人 青 年 と異 な る身体 部 分 慣 性 特 性 を もつ こ と が 明 らか になっ た.
し た がっ て, 高齢者の動作解 析に お い て青 年の 身 体 部 分 慣 性 特 性 を 用い ること は望ま し く ない と考 え られる.
ま た, この よう な身体 部 分慣 性 特 性の相 違は動作 解 析デー
タ の み で は な く,
さ まざま な動作 自体にも影響を及ぼ す と考え ら れ る が,
これ らに つ い て は今 後, 検討され るべ きであろう.
4.
3
他 人種 との比 較 本 研 究で得 ら れ た 日本 人 高齢 者の身体 部 分慣 性 特 性 をカナ ダ 人 高 齢 者のもの (Jensen
et al.
i3・
i4})と比 較す る.
ただし,Jensen
et al.
は質 量 中 心に つい て の報告を行っ てい ない の で, こ こ で は身 体部分の質 量,
質量 比,
慣 性モー
メ ン トに つ い て の比 較を行 う.
な お,
彼ら は質 量およ び 慣性モー
メン ト につ い て は平 均 値と標 準 偏 差 を, 質 量 比にっ い て は平均 値 の みを報 告 してい る の で, 質量お よび慣 性モー
メ ン トにっ い て は統 計 的な差の検討 を行い,
質 量 比につ い て は平 均値の みの比較を行 うこ とにする.
4.
3.
1
質 量,
質 量 比表
4
は日 本 人 高 齢 者と カナ ダ 人高齢 者の身体 部 分 質 量お よび 慣 性モー
メン トを平均値で 示 し た も の で ある.
男 女とも下胴の質量 は カ ナダ 人で か なり大 き く, 逆に 上胴で は 日本人 の方が大 き かっ た.
本 研究 で は上胴と下 胴の境 目を最下 肋 骨 下縁 と し た が,
Jensen
et al.
は剣 状 突起 と し てい る の で, この差 は 上胴と下胴の分け方の違い に よ るもの で あ る。
上 胴 と下 胴 を除 け ば,
男 性 で は上 腕, 前腕, 大 腿,
下 腿,
足の 質量,
女 性で は頭 部,
上 腕, 大 腿, 下 腿, 足の質 量に おいて日本 人の方 がカ ナダ 人 よ り も小 さかっ た.
男 女 とも上 腕お よび大腿で カ ナダ人 との差が顕 著で あっ たe この ように カ ナダ人に比 べ,
日本 人で身 体部分 質 量が 小 さい の は,
主に体 重 の差によるものである と考え ら れるが,
そ の程 度は 部 分 間で大きく異なっ てい た.
表
5
は日本 人 高 齢 者と カナダ人 高 齢者の身 体 部分 質 量 比 を 平 均値で示 し た もの である.
身 体 部 分 質量 比は男性で は頭 部, 手, 下腿, 足で 日本人の方が大 きく, 女性で は頭 部, 胴体, 前腕, 手,
下 腿,
足で 日本人の方が大き かっ た.
表4
お よび表5
でみられた質量およ び 質 量 比の比 較は, 日本 人高齢 者と カナダ人 高 齢 者の身体 部分 質 量 は絶 対 値が異な る だけで はな く, 質量分 布も異な る こ とを 示 して い る.
身 体 部 分の質 量 比の比較か ら,
日本 人ではカナ ダ 人に比べ て, 四肢の中枢 側の 身 体 部 分と末端側の身体 部分と の質量比の差が小さ い こ と が わ か る.
言い換える と, カナダ人 は 日本 人 よ りも よ り先 細りの 四 肢 を もっ てい るとい える.
4.
3.
2
主 慣 性モー
メン ト日本人高齢 者と カ ナダ人 高 齢 者の身体 部 分の
3
軸 表 5 日本 人 高 齢 者と カナダ人高齢 者の 身 体 部 分 質 量 比の比較 単位 日 本 人 カ ナダ人 差 〔%) % 男 性 女性 男 性 女 性 男 性 女性 頭 部 9.
18.
86.
97.
4 十24.
2 十15,
9 胴 体 49.
749,
351.
546.
2一
3.
6 十 6,
3 上腕 2、
52.
53.
23.
2一
28.
0一
28』 前 腕 1、
7L61.
81.
1一
5.
9 十3L3 手 0、
80.
6o.
7D,
5 十12.
5 十16,
7 大 腿 9.
29.
89.
512.
8一
3.
3一
30,
6 下腿 4.
74.
84.
34.
4 十 8.
5 十 8、
3 足 1.
7L51.
4 ユ.
2 十 玉7.
6 十20.
0 上 胴 2呂.
826.
014.
515.
6 十49.
7 十40.
0 下 胴 20.
923.
437.
O30.
6一
77.
0一
30.
8 1) カナ ダ人の値はJensen
et at.
(1994>が報 告し た も の で ある.
2) 差 (% )は((日本人 の値一
カ ナダ人の値 )/日本 人の値 〉× 100によ り算出 し た.
ま わ りの主 慣 性モ
ー
メン トの平 均 値 を 表4
に示 し た.
前述の ように上胴と下 胴の差は定 義の違い によ るもの で あ る の で, 比較の対象からは除くこ と にす る.
男性,
女性と も, 頭 部の 主慣 性モー
メン ト は全て の軸ま わ り につ いて 日本 人が カ ナダ 人よ り も大 き か っ た.
また, 男 性では 下 腿のZ
軸 ま わ りの慣 性モー
メ ン ト が,
女 性で は前 腕 と下 腿のZ
軸 ま わ り の 慣 性モー
メ ン トお よび 足のY
軸 ま わ りの慣 性モー
メ ン トがカナ ダ人 よ り 目本 人で大 きか っ た.
上腕と 大 腿で は, 特に日本人 と カナダ人の差が大 き く,X
軸お よびY
軸ま わ り の慣 性モー
メン ト は カ ナ ダ 人 の 方が 2−
2.
9
倍も大き か っ た.
ま た, 下腿の 質量 は男 女 と も 日本人の方が 小 さい に も か か わ らず,Z
軸まわD
の慣 性モー
メン ト は男女と も 日本人の方 が 大 きか っ たこ と か ら, カ ナダ 人に比べ 日本人の下腿 は 太い こ と が推 測で き る。
〔11) 日本 人 高 齢 者の身 体 部 分 慣性 特 性 ヱ33 こ の ように, 身体 部 分の質量お よび慣 性モー
メ ン トが 日本人 と カ ナダ 人で異な る の は, 被験 者の年 齢 層が わずかに異な る こ と よ り も, 日本人高齢 者とカ ナダ人高 齢 者の形態 的相違を大き く反映し たもの で あ ると考 え ら れる。
4 .
4
加齢に ともな う身体 部 分 慣 性 特 性 の 横 断 的変化 表6
は身 体 各 部 分の慣 性特性 と年齢の相 関係 数を 示 し た もの で ある.
これ らの相 関 係 数は本 研 究の被 験 者の年 齢 範 囲に お け る加 齢にと も な う 身 体 部 分 慣 性 特性の横 断 的変 化の有 無を 表 して い るとい え る.
年 齢 との有 意 な 相関 (p
く0.
05 )が 多くの部 分の質 量お よ び慣 性モー
メ ン トに み ら れ た.
男 性で は全て の部 分の質 量 と年 齢との 間に有意な負の相 関がみら れた.
女 性では胴 体, 上 腕, 大腿, 下腿, 下 胴の質 量と年 齢 との間に有 意 な 負の相関が み ら れ た.
これ ら の結果は主に体 重が加 齢に と も ない減 少す るこ と 表 6 身 体 部分 慣性 特 性と年齢と の相関 男 性 慣 性モー
メ ン ト.
一
口
」
部 分 質 量 簣 玉 比 質量中心比 五 か 々 頭 部一
〇.
267累
0.
306榊
一
〇.
095一
〇、
189一
〇,
21『一
〇.
213*
胴 体一
〇,
362榊
一
〇.
296昨
*
一
〇.
230宰
一
〇.
395榊一
〇,
4 6耡
一
〇.
28綿
上 腕一
〇.
359紳一
〇.
120一
〇.
153一
〇.
315μ
一
〇.
305柳一
G.
065 前 腕一
〇.
390幅一
〇.
077 0.
085一
〇.
269・
一
〇.
264°一
〇.
387榊
手一
〇.
210喉
0、
090 o.
08一
〇.
122一
〇.
ユ99一
〇.
223’ 大 腿一
〇,
244ウ
0.
2 6一
〇.
49一
〇.
152一
〇.
ユ75一
〇.
26P 下 腿一
〇,
266寧 O.
171 0.
075一
〇.
330綿
一
〇.
226亭
0.
/44 足一
〇,
290宰
*
O.
122一
D.
111一
〇.
257宰
一
〇.
274脚
一
〇.
215癖 上 胴一
〇.
359啝
*
一
〇.
102一
〇.
281桝
一
〇.
385料
一
〇,
336榊一
〇,
292鱒
下 胴一
〇.
308
* *一
〇.
199 0.
IDl一
〇.
288稗
一
〇,
227黙
一
〇283榊
女 性 慣 性モー
メン ト肚
部 分 質 里 質 量 比 質 量 中 心 比 zκ ひ た 頭 部一
〇、
175 O,
242樫
一
〇.
1/3一
〇.
161一
〇.
115一
〇,
130 胴 体一
〇.
229事
一
〇,
070一
〇,
079一
〇.
269率一
〇.
276桝
一
〇,
182 上 腕一
D.
277韓
一
〇,
086 0,
113一
〇.
27D潔
一
〇.
289纏
一
〇.
112 前 腕一
〇,
128 0.
166 0.
120一
〇、
126一
〇,
118一
〇.
092 手 0.
058 0.
278牌
一
〇.
043 0.
092 o.
071 0.
036 大 腿一
〇.
296柳
一
〇.
067一
〇.
059一
〇.
216宰
一
.
242‡一
〇.
340林
下 腿一
〇.
340帥
一
〇.
128 o.
031一
〇.
411享
享
一
.
311串
‘
、
122 足 0,
006 0283林
O.
042一
.
025 0.
Ol7一
.
031.
ヒ 胴一
〇.
182 0.
041一
〇、
084一
〇.
162一
〇.
134一
〇.
143 下 胴・
−
0.
242零一
〇.
133 O,
052一
〇.
280*
8一
〇.
216零
一
〇.
217蓼
iP く0.
05,
本
ip く0.
01ヱ34 バ イオ メ カニ ズム 13 ヒ ト を知D人 を 支 え る 表 1 部 分 質 量の推 定 係 数 部 分 質 量 (kg) ao aL a2 a3 a