●バルト諸国のエネルギー事情(その2)
先月に引き続き、2010 年 11 月 8~9 日にリトアニア・ヴィリニュス市内で開催された Energy in the Baltics の講演について報告する。内容としては、バルト 3 国(リトアニア、 ラトヴィア、エストニア)を中心としたエネルギー事情の現状を報告するもので、主催は EastEuroLink 社である。
4.バルト諸国における EBRD の役割
Matti Hyyrynen 氏、EBRD(欧州復興開発銀行バルト諸国本部)(リトアニア)
4.1 EBRD(欧州復興開発銀行)の概要
EBRD は 61 ヶ国および 2 つの国際政府機関が出資者として参加する国際的金融機関の 1 つ であり、中央ヨーロッパから中央アジアまでの 30 ヶ国において、市場経済転換を促進して いる。また資本金は 300 億ユーロを有している。EBRD の累積の契約額の推移について、図 4-1 に示す。
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Matti Hyyrynen 氏、EBRD 図 4-1 EBRD の累積契約額の推移 1991 年以来、2010 年時点の累積投資額は 539 億ユーロに達し、またプロジェクト出資件 数は 2,900 件を超えるまでになった。EBRD の融資対象の 76%以上が私的部門である。また EBRD 融資の 81%が負債、19%が株式へ向けられたものである。 2009 年の投資総額は 79 億ユーロであるが、1997 年以降の EBRD の融資状況の詳細を図 4-2 に示す。 (×10 億ユーロ)
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Matti Hyyrynen 氏、EBRD 図 4-2 EBRD の毎年の融資額の内訳および推移 4.2 EBRD の業務内容 EBRD の目的は、大きく分けて 4 つある。 ①主に私的部門への投資によって、市場経済への転換を促進すること ②有意義な外国直接投資を流通されること ③市民生活改善のための民営化、よりよい都市公共サービスの再構築を支援すること ④環境面で健全で持続可能な発展を促進すること また EBRD 経営の基礎となるものは、以下 3 項目となる。 ①すべてのプロジェクトへの安定した銀行業原則の適用 ②私的分野への投資の支援(置き換えではなく) ③完全市場経済への移行の促進 では、どうやって EBRD は融資を行うか?その原則を以下 3 項目示す。 ①変動または固定レートでの変動満期型ローン ②株式への投資(株式ファンドも含む) ③借り手の融資入手を支援することを保証 ただし EBRD は、以下の行為は行わない。すなわち、 ①「ソフト」ローンの提供(いわゆる発展途上国向けの緩やかな条件のローン) ②環境に有害なプロジェクトの支援 ③中東欧および CIS 諸国以外への投資 ローン融資額 株式購入額 累積投資額 累積投資額(×10 億ユーロ) 年間投資額(×10 億ユーロ)
コが 2008 年より業務対象国となっており、2009 年にはトルコへの第 1 回目の投資を行って いる。
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Matti Hyyrynen 氏、EBRD 図 4-3 EBRD の地域別投資額の比率の推移
4.3 バルト諸国における EBRD
(1)EBRD によるバルト諸国への投資状況等
バルト諸国への EBRD による投資額の推移を図 4-4 に示す。1991 年からのエネルギー分野 への累積額は、ほぼ 3 億ユーロに達している。
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Matti Hyyrynen 氏、EBRD 図 4-4 EBRD のバルト諸国各国への年間投資額の推移 次に EBRD がバルト諸国に投資した総額を、2008 年 12 月時点と、2010 年 8 月時点での状 況を図 4-5 に示す。 南東欧 ロシア 東欧、コーカサス地方 中欧、バルト諸国 中央アジア トルコ 年間投資額比率(%) エストニア ラトヴィア リトアニア 年間投資額(×100 万ユーロ)
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Matti Hyyrynen 氏、EBRD 図 4-5 EBRD のバルト諸国各国への累積投資額(2008 年 12 月、2010 年 8 月) 次にバルト諸国での予算配分の内訳について、図 4-6 に示すが、電力とエネルギーに対 して 30%を費やしていることが特徴である。
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Matti Hyyrynen 氏、EBRD 図 4-6 バルト諸国の予算配分内訳 (2)バルト諸国のエネルギー企業に対する EBRD の最近の融資活動 EBRD からバルト諸国のエネルギー企業への融資活動状況について、以下に示す。 ①Latvenergo(ラトヴィアの国営エネルギー企業) EBRD から 8,500 万ユーロ+市中銀行連合から約 6,000 万ユーロ+EIB(欧州投資銀行) から 1 億ユーロ。 ②Lietuvos Elektrine(リトアニアの半官半民企業) EBRD から 7,100 万ユーロ+市中銀行連合から 8,100 万ユーロ+IIDSF(イグナリア地区 原子力発電施設解体国際ファンド)から 1 億 7,000 万ユーロの保証が得られる。 エストニア ラトヴィア リトアニア 2010 年 8 月時点 総額 5 億 7,900 万ユーロ (単位:100 万ユーロ) 2008 年 12 月時点 総額 3 億 2,000 万ユーロ 自己資本、ファンド 102 都市環境 63 不動産、観光 13 通信、IT、メディア 14 輸送 28 金融機関 190 商工業、農業 17 電力、エネルギー 185 合計:6 億 1,200 万ユーロ (単位:100 万ユーロ)
③Freenergy(エストニアの再生可能エネルギー投資企業) EBRD が 1,900 億ユーロの株式出資を実施している。 ④他にも、様々なエネルギーに関連する投資を検討している最中である。 (3)バルト諸国の電力事情 ①バルト諸国の電力容量 ・リトアニア:3,500MW
Elektrine 火力発電所、Kaunas 水力発電所、Kruonis 揚水発電所、熱電併給施設 ・ラトヴィア:2,500MW 水力発電所、首都リガの熱電併給施設 ・エストニア:2,800MW オイルシェール、熱電併給施設 バルト諸国におけるピーク時需要電力量は、平均容量を下回るものである。 ②今後の新規発電容量の増設計画 ・Elektrine 火力発電所(リトアニア) 2012 年までに 150MW の増設 ・リガ熱電併給施設 2 号基(ラトヴィア) 2012 年までに 130MW の増設 ・Elering 社(エストニアの送電網操業会社) 2014 年までに 250MW 分の増設 ・Eesti Energia 社(エストニアの国営電力企業) 2016 年までに数百 MW の増設(具体的数値は不明) ・新規原子力発電施設建設 時期、容量とも不明 ・風力発電施設建設 規模等不明 ・バイオマス 多くの小規模熱電併給施設を建設することになるだろう。 ③送電網の状況
・Estlink1(エストニア Harku~フィンランド Espoo 間、総延長 105km) 容量 350MW が操業中
・Estlink2(エストニア Püssi~フィンランド Anttila 間、総延長 171km) 容量 650MW の送電線が、2014 年までに完成予定
・Nordbalt(リトアニア Klaipeda~ノルウェーNybro 間、総延長 450km) 容量 700MW の送電線が、2015 年までに完成予定
・LitPol Line(リトアニア Kruonis~ポーランド Narew および Matki 間、総延長 341km) 容量 1,000MW の送電線であるが、完成時期は未定
(4)バルト諸国の天然ガス
バルト諸国の天然ガスは、ロシアが唯一の供給国となっているのが現状である。今後の 計画として、LNG(液化天然ガス)ターミナルの建設や、リトアニア~ポーランド間のパイ プライン建設などが検討されている。
4.4 まとめ
バルト諸国においては、エネルギーの供給確保が最優先事項となっている。EBRD として は、投資規模の変更は可能であり、特にそれぞれの国の現在の経済環境を考えながら投資 を検討することになる。
(参考資料)
5.EIB(欧州投資銀行)のエネルギー投資への貢献
Timo Kiiha 氏、EIB(欧州投資銀行バルト海担当)(ルクセンブルク)
5.1 EIB(欧州投資銀行)の概要 (1)EIB の概要 欧州投資銀行(EIB)は、EU の長期的融資を行う機関である。同銀行は、EU 政策促進に よって、欧州統合をさらに進めるための資金投資を設定する独立体として活動を行うもの である。EIB は 1958 年のローマ条約に基づいて創設され、現在は EU 加盟 27 ヶ国によって 保有されている。また EIB は政策推進機関でもある。 EIB の出資金は 2324.8 億ユーロに上り、また EIB は資本市場からファンドを回収してい る。2009 年実績では 794 億ユーロに達している。さらに EIB は 2009 年に 791 億ユーロの融 資契約を行っている。そのうち EU27 ヶ国へは 705 億ユーロを占めており、うち 17%の 135 億ユーロがエネルギーへの投資へ、その 135 億ユーロの中の 40 億ユーロが再生可能エネル ギー向けの投資である。 EIB が EU 内で優先的に貸出を行う対象は、下記 6 項目としている。 ①結束および集中に関するもの(地域的開発) ②中小企業(SMEs) ③環境的持続可能性 ④競争力を持つ知識的な経済、教育、調査研究機関 ⑤欧州横断ネットワーク(TENs) ⑥持続可能で競争力を持つ安全なエネルギー (2)EIB の一般的な貸出の状況 2005~2009 年に、EIB は各部門に総額 2,780 億ユーロの融資を行ってきた。その内訳を、 図 5-1 に示す。
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Timo Kiiha 氏、EIB 図 5-1 EIB が 2005~2009 年に実施した融資の内訳
特徴として、EIB による融資の受け取り手として、エネルギー部門が 13%と高い特徴が ある。またスペインが最大融資国で全体の 15%を占めており、次いでドイツの 13%、イタ リアの 13%、フランスの 9%、イギリスの 7%の順となっている。
(3)EIB のバルト諸国への貸出状況 EIB の借り手を大別すると、以下 3 種類に分類することができる。 ①私的部門の団体:独立国、および独立自治体、および他の従属する私的団体 ②私的部門の団体:CAPEX(設備投資に関する資本的支出)や調査研究への投資に対す る融資を必要とするすべての国におけるトップ企業 ③中小企業および中規模ローン向け EIB からの貸出に対する中間体としての金融機関 フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ドイツでは、EIB による貸出の大部分が、私 的部門(知識的経済および調査研究機関)に優先されている。 これに対して、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、ポーランドでの特徴は、 ①EU ファンド支援プロジェクト履行に対して国家で共通の融資要求を満たすためのロ ーンを受ける私的部門 ②結束と集中を強化するためのプロジェクトへの大規模な資本支出 の 2 つが大きいことである。表 5-1 に EIB からバルト諸国への貸出状況を示す。 表 5-1 EIB からバルト諸国への貸出状況 2007 年 2008 年 2009 年 デンマーク 209 380 422 エストニア - 87 842 フィンランド 613 710 1,145 ドイツ(北部 3 州のみ) 110 480 450 ラトヴィア 35 860 285 リトアニア 41 10 1,169 ポーランド 2,281 2,832 4,790 スウェーデン 718 1,310 1,135 ロシア(EU 外) - - 133 合計 4,007 6,669 10,371 (単位:100 万ユーロ) 注)ドイツ北部 3 州:シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州、ハンブルク特別市、 メクレンブルク=フォルポメルン州
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Timo Kiiha 氏、EIB (4)EIB による伝統的な融資構造
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Timo Kiiha 氏、EIB 図 5-2 EIB の融資構造主要 3 形態 5.2 EIB によるエネルギー分野への投資 (1)エネルギー、気候変動分野での EU 政策目標に対する EIB の貢献 EIB は以下に示す 6 つの優先分野への貢献を特に重要視している。 ①再生可能エネルギー ②エネルギー効率 ③エネルギー分野における調査、開発、革新 ④供給の確保および多様性 ⑤欧州横断エネルギーネットワーク(TEN-E) ⑥炭素ファイナンス(CO2) (2)EIB の再生可能エネルギーおよびエネルギー効率分野への融資 EIB は EU の再生可能エネルギーの開発に 100 億ユーロを投資してきた。これは全エネル ギー投資額の約 30%を占めるものである。この投資の大部分が、欧州の再生可能エネルギ ー生産産業を支援するものとなっている。さらに、エネルギー効率への投資は、この 2 年 間に 22 億ユーロにまで達している。 図 5-3 に、2005~2009 年の再生可能エネルギーおよびエネルギー効率に対する投資額の 合計を国別で示す。また図中には、投資を行ったプロジェクト数も示す。 銀行仲介ローン 銀行保証ローン 直接ローン 市中銀行 市中銀行 市中銀行 顧客 顧客 顧客 ローン ローン ローン ローン 保証 EIB は低い融資コストによる、顧 客の取扱銀行へ融資を行う。ク レジットリスクは、市中銀行が負 うことになる。 EIB は顧客へ直接融資を行う一 方で、他の貸し手も適切な形で 存在している。クレジットリスク は、保証人が負うことになる。 EIB は顧客へ直接融資を行う一 方で、他の貸し手も適切な形で 存在している。クレジットリスク は、他の銀行と共有して負う。 例:グローバルローン、フレームワークローンなど
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Timo Kiiha 氏、EIB 図 5-3 EIB が 2005~2009 年に投資を実施した再生可能エネルギーおよびエネルギー効率 プロジェクトへの出資額および件数 (3)EIB の再生可能エネルギー分野への融資 再生可能エネルギープロジェクトは、銀行による支援として、2 つのグループに分類する ことができる。 ①成熟技術-すでに市場化されているもの (陸上風力発電施設、水力発電施設、地熱、固形バイオマスなど) ②新興技術-早期に実施段階に移ると期待されているもの (太陽光、太陽熱、次世代バイオ燃料生産技術など) EIB は 2009 年までに、欧州の風力発電の設置容量の約 5%に対して融資を行っており、 1~5 件 6~10 件 11~15 件 16 件以上 対象プロジェクト件数 (単位:100 万ユーロ)
EIB の再生可能エネルギーへの貢献として、2009 年には 46 億ユーロを投資しており、こ れは 2008 年から 109%の増加であり、EIB によるエネルギー分野への投資としては 29%の 増加を示すものである。
ここで 2005~2009 年による EIB が再生可能エネルギー分野への投資状況を図 5-4 に示す。
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Timo Kiiha 氏、EIB 図 5-4 2005~2009 年の EIB による再生可能エネルギー分野への投資状況 (4)EIB の風力発電分野への投資 EIB は 2002 年から、洋上風力発電施設への投資も開始している。融資総額は 34 億 1,500 万ユーロに上り、支援を行った発電容量は 2,710MW 分に及ぶ。ベルギーの Belwind 社向け が、EIB による初の PF(プライベート・ファイナンス)プロジェクトである。洋上風力発 電は、陸上風力発電施設と比べて大規模となることが多く、また今でも新興技術である。 EIB からの融資に対する需要は高く、また EU 内の製造企業に対する支援も非常に大きなも のとなっている。 図 5-5 には、2005~2009 年の風力発電に対する投資額の合計を国別で示す。また図中に は、洋上と陸上の区別も合わせて示す。 代替・再生可能エネルギーの混合分野 バイオマス 水力発電 太陽光発電関連機器製造分野 風力発電関連機器製造分野 バイオ燃料生産分野 地熱発電施設 太陽光エネルギー 風力エネルギー (×100 万ユー ロ )
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Timo Kiiha 氏、EIB
図 5-5 EIB が 2005~2009 年に投資を実施した風力発電プロジェクトへの出資額 (5)EIB の太陽光発電分野への投資
EIB ローンは、スペイン南部アンダルシア州での革新的な太陽熱発電施設を支援してきた。 具体的には Solucar Solar Thermal Power 施設、Andasol 施設、Solnova 施設などである。
また EIB の貸出は、フランス・ポワトゥー=シャラント地域圏(西部地方)における太陽 光発電計画や、ドイツにおける屋根設置型太陽光発電設備普及計画のような、地域型再生 可能エネルギープログラムの支援も合わせて実施している。 図 5-6 には、2005~2009 年の太陽発電に対する投資額の合計を国別で示す。また図中に は、太陽熱発電とそれ以外の区別も合わせて示す。 洋上風力発電 陸上風力発電 (単位:100 万ユーロ)
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Timo Kiiha 氏、EIB 図 5-6 EIB が 2005~2009 年に投資を実施した太陽発電プロジェクトへの出資額 (6)エネルギー効率 エネルギー効率が、排出およびエネルギー需要を削減するための最もコスト効果の上が る方法である。EIB の対象とするエネルギー効率分野とは、下記 4 分野を指す。 ①住宅、商業および公共の建物 ②輸送(鉄道、道路、都市輸送、ECTF)
ECTF とは、European Clean Transport Facility の略語で、EIB による融資プログラム の 1 つであり、EU からも承認済みのものである。 ③電力生産、供給(熱電併給、スマートグリッド) ④産業分野 エネルギー効率の検討は、EIB の経営の中で主流となっているものであり、プロジェクト 太陽熱発電 それ以外 (単位:100 万ユーロ)
のエネルギー効率の可能性を拡大するためにも、推進者と協力関係を構築していくつもり である。 次にエネルギー効率分野への貸出状況について示す。エネルギー効率に貢献するプロジ ェクトは、2009 年に 15 億ユーロ分に上っている。同年は、EIB の貸出額の 11%がエネルギ ープロジェクト向けであった。また EIB からの融資には、需要側および供給側の両方のプ ロジェクトが含まれている。その例を以下に示す。 ①発電:熱電併給や地域熱供給に重点 ②中間媒体への貸出:特化されたエネルギー効率グローバルローンを通じて支援される 小規模の需要側プロジェクト(中小企業向け) ③負債および株式への出資:エネルギー効率プロジェクトへの融資 ④自動車の調査開発:エネルギー効率向上への著しい投資 ⑤フレームワーク・ローン:エネルギーサービス企業などの私的部門への融資 ⑥エネルギー効率分野への投資の多くの事例は、産業または住宅向け投資の要素として 挙げることができる。 図 5-7 には、2005~2009 年のエネルギー効率プロジェクトに対する投資額の合計を国別 で示す。また図中には、投資を行ったプロジェクト件数も合わせて示す。
出典:Energy in the Baltics 講演資料、Timo Kiiha 氏、EIB 図 5-7 EIB が 2005~2009 年に投資を実施したエネルギー効率プロジェクトへの 出資額および件数 (7)バルト諸国でのエネルギープロジェクト 北欧地区では、デンマークの風力発電施設、フィンランドの送電網、スウェーデンの熱 電併給施設が対象プロジェクトとして挙げることができる。 バルト諸国では、エストニアの送電網および配電システム、ラトヴィアでは熱電併給施 設、送電網および地域熱供給システム、リトアニアでは天然ガス供給システムなどが対象 プロジェクトである。 EIB は、エストニア~フィンランド間、リトアニア~ポーランド間、リトアニア~スウェ ーデン間の相互接続や、新発電容量への投資などを含む、同地域での主要エネルギー分野 への投資を継続していきたい考えである。 1~5 件 6~10 件 対象プロジェクト件数 (単位:100 万ユーロ)
5.3 EIB 融資によるプロジェクト実施例 (1)Belwind プロジェクト(洋上風力発電施設) 容量:165MW(3MW タービン×55 基) 場所:ベルギー沿岸から 46km、水深 20~37m スポンサー:Colruyt 社、Econcern 社が融資元 総工費:6 億 1,940 万ユーロ
建設請負企業:Vestas 社+Van Oord 社
Vestas 社とは、長期操業維持管理の契約を締結している。 (2)Andasol Thermal Solar Energy 施設
技術:「太陽のみ」を利用するパラボラ・トラフ式発電施設 設置容量:49.9MW×2 系列 貯蔵:7.7 時間の完全負荷が可能な溶融塩貯蔵タンク 2 基 プロジェクト実施場所:スペイン・グラナダ県のグアディクス台地 年間発電量:179GWh/年×2 系列 総工費:2 億 6,000 万ユーロ×2 系列 (3)2020 年向けマーガレット・ファンド 本ファンドの対象となるのが、EU27 ヶ国内での TEN-T、TEN-E、気候変動(再瀬可能エネ ルギーを含む)の分野における未開土地分野(革新的分野)プロジェクトである。金額目 標として株式ベースで 15 億ユーロ、共同融資イニシアチブと連動する形で 50 億ユーロの ファンドとなることを目指しており、民間からの主要なスポンサーとして、EIB、CDC(フ ランス)、CDP(イタリア)、ICO(スペイン)、KfW(ドイツ)、PKO(ポーランド)の名前が 挙がっている。 (4)Vaillant 社の暖房革新プロジェクト EIB は暖房器具企業である Vaillant 社が実施するプロジェクトに対して、1 億 2,000 万 ユーロのローンを提供している。家庭用暖房や空調や発電システムのエネルギー効率と環 境受容性の向上を目的とした調査開発革新への投資は、結果的に化石燃料消費量や CO2排出 の削減に結び付くものである。またエネルギー効率のよい暖房や空調における知識やノウ ハウへの貢献、および直流高圧装置を用いた再生可能エネルギー技術の利用拡大を通じて、 前向きな環境影響がもたらされることが期待できる。 このプロジェクトは 2010~2013 年に実行されることになっている。 5.4 まとめ EIB はエネルギー関連の調査、開発、革新と同様に、エネルギー分野への CAPEX(設備投 資に関する資本的支出)投資に対する貸出を提供している。またプロジェクトコストの最 大 50%までの融資を行っており、直接貸出の最小プロジェクトコストは 2,500 万ユーロ、 すなわち最小貸出額は 1,250 万ユーロとなる。 また EIB はエネルギー分野に専門家を有しており、また EIB からの融資は金融的にも付 加価値を持つものとして評価されている。 (参考資料)