• 検索結果がありません。

発達障害の種類 発達障害の抱える問題 自閉症スペクトラム障害 (ASD) 知的障害を伴う ( 言葉の遅れがある ) 知的障害がない ( 言葉の遅れがない ) ADHD( 注意欠陥 多動性障害 ) 学習障害 周辺としてトゥレット障害や選択性緘黙など これらはしばしば合併する 行動やコミュニケーションの

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "発達障害の種類 発達障害の抱える問題 自閉症スペクトラム障害 (ASD) 知的障害を伴う ( 言葉の遅れがある ) 知的障害がない ( 言葉の遅れがない ) ADHD( 注意欠陥 多動性障害 ) 学習障害 周辺としてトゥレット障害や選択性緘黙など これらはしばしば合併する 行動やコミュニケーションの"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

発達障がいの二次障害

Rabbit Developmental Research 医学博士 平岩 幹男

大きいか小さいかは別として

かけらはみんなが

持っている

問題はかけらがトゲになって刺さるかどうか

発達障害のかけら

• 目を合わせて話すことが得意ではない • 多少なりとも自分なりのこだわりがある • 話し始めると止められないことがある • じっとしているだけでいらいらすることがある • 予定が急に変更されると戸惑うことがある • 集中力が途切れがちになることがある • 突然していることを投げ出したくなることがある

対応のゴールは

かけらを消すことではなく

トゲによって起きる社会生活上の

困難を減らすこと

今そこにあるトゲだけではなく

将来刺さらないようなトレーニング

問題はトゲが刺さるかどうか:環境も

発達障害とは?

• 発達障害 発達の過程で明らかになる行動やコミュニ ケーションなどの障害で、根本的な治療は現 在ではないが、適切な対応により社会生活 上の困難は軽減される障害 発達そのものの障害ではない

(2)

発達障害の種類

• 自閉症スペクトラム障害(ASD) →知的障害を伴う(言葉の遅れがある) →知的障害がない(言葉の遅れがない) • ADHD(注意欠陥・多動性障害) • 学習障害 周辺としてトゥレット障害や選択性緘黙など • これらはしばしば合併する

発達障害の抱える問題

• 行動やコミュニケーションの問題を抱えるので →注意されたり叱られたりしやすい →めったにほめられない →そして二次障害につながる・・キレる • Self-esteem(自己肯定感、自尊感情)の低下 →低下しては行動は改善しない

→Life skills training(LST)などの訓練が必要 • 薬物療法だけではなかなかうまくいかない

発達障害は治るか

• 発達障害の特性は消えないだろう →しかし「目立たない」ことはできるかもしれない →それによって暮らしやすくすること • 原因が明らかでなければ対応できない? →症状に対する特異的治療は今後の課題 • 最終的には成人期に自立を目指すこと →自立している人たちも多い →もし自立が無理でもbetterを目指そう

発達障害で考えること

• 幼児のASDへの個別療育 • ADHDや高機能自閉症などの幼児期~学童期の 具体的な対応 • 思春期から成人期に向けた自立課題 • 二次障害としての不登校や精神疾患 • 成人移行と就労支援 • 学習障害の合併、特にディスレクシアへの対応 • 選択性緘黙への対応 • 発達性協調運動障害への対応

自閉症スペクトラム障害

(ASD)

Autism Spectrum Disorder

自閉症スペクトラム障害(1)

• 自閉症スペクトラム障害 社会性や対人関係の障害(コミュニケーションも) こだわり(常同行動や感覚過敏・鈍麻を含む) • 脳の機能的障害で「知的能力」にも「症状」にも 強弱などを含めて連続性(スペクトラム)がある • 全体での頻度は1~2%とする報告が多い • 男子が3~6倍多い

(3)

自閉症スペクトラム障害(2)

• Kannerの自閉症(ASDの25~35%) →1943 Leo Kanner が最初に報告 →多くは言葉の遅れ、知的障害と見なされる →療育的対応によって変化がでることもあるが 知的課題を抱えたまま成人期に至ることもある • 高機能自閉症(ASDの65~75%) →1944 Hans Asperger が最初に報告 →言葉の遅れはないかあっても軽度 →しばしば二次障害で発見される • 現在わかっている遺伝子で説明できるのは数%以 下、今後は増加する可能性が高い

自閉症のブラックイメージに

医療も保健も教育も社会も

そして保護者も

染まっているかもしれない

小学校4年生のレベル

• 日常生活で一般的に使用する「読み」「書き」 「算数」は →基本的に小学校4年生レベル →読み・書きは語彙と漢字が増える →算数は電卓(スマホ)を使う • このレベルの確保が生活の自立につながる →先を急ぐより、ここを丁寧に • 特別支援教育の場合も →ゆっくりだけではなく明確に目標にする

HFASD(高機能自閉症)

時にはAsperger症候群

知的には劣っていないのに →会話がうまくつながらない、指示が通らない →友達ができない、うまく遊べない →何かに熱中しはじめると止まらない という子どもたちがいることを1944年にオー ストリアの小児科医Hans Aspergerが最初に報 告し、その後色々とわかって来た

たとえば高機能自閉症の集中力

• 疲れを知らない、集中するパワーは、すごい • 凡人にはまねができない • しかし子どもの時には、集中力は社会的に必 要とされないことで発揮されることが多い • そのパワーが授業中に発揮されれば・・・障害 ・・社会的に必要とされていない場合には • そのパワーが職業に生かせれば・・・・・・才能

思春期以降の高機能自閉症

• 目合わせ、挨拶が苦手 →練習すればできるようになる • 例え話、比喩がわからない、空気が読めない →「ことわざ」を学習する • 黒白はっきりさせたがる →まあいいかを練習する • 騙されやすい、裏ルールがわからない →詐欺や性被害などに会いやすい →文字にすること、とりあえず連絡すること

(4)

社会性(社会的相互交渉)の障害

• 人と関わることが苦手 →目を見ること、視線を合わせることが苦手 目を見ていると錯覚してもらう →手をつなぐ、体に触る・・苦手 短時間から慣らす →同時に何人かと対応する・・とても苦手 順番に対応する • 急な変更に対応できない →予定の急な変更・・あらかじめわかるように

こだわり

• 手順や道順にこだわる →いろいろなやり方をマスターする • 感覚過敏がある →基本は馴化。場合によっては回避 →イアーマフ、ヘッドフォン →違和感のない手触りの良いもの • ひとりごとや反復性行動 →場所を選ぶ

想像力の障害

• ここはどんな場所なのかが理解できない →静かにしている場所?騒ぐ場所? →テンションコントロールにはカウントダウン • 相手がどう感じているかが理解できない →だから自己主張が強いと思われてしまう →話す順序を学習する • 見ればわかるだろう・・わからない →見なければわからない・・適切な指示が必要

高機能自閉症

:その将来は?

• 高機能自閉症では、コミュニケーションが下手なか わりに、正直、まじめ、率直、正義感(my)などが長所 • 向いていない職業としては →営業マン(特に訪問販売など)、店員 →窓口業務が主な公務員、銀行員など • 向いている職業としては →技術者、音楽家、芸術家、棋士、コンピューター関 連(SE,インストラクターなど多数)、研究者、教師、 警察官・自衛官、介護、動物関連

ADHD

注意欠陥(欠如)多動性障害

幼児期のADHDは診断を慎重に

• 多動や不注意の症状は普通に見られる →特に男児では • 衝動性の症状は見分けが難しい →何かが欲しくなれば出ても不思議ではない • 診断するよりも困り事への介入を →未就学児への薬物治療は勧められない • その他の原因でも似た症状が出る →児童虐待、保護者との別離、施設収容

(5)

ADHD

• 一次性の症状 →不注意性、衝動性、多動性 • これらの症状により社会生活に困難がある • 2つ以上の場面で6か月以上続いている • 12歳以下に症状が明らかになる • 自閉症との併存例もある • 適切に対応しないと早期から二次症状が出やすい • 児童虐待でも似た症状になりうる • てんかん、熱性けいれん、母の喫煙は危険因子

ADHDの治療戦略

• 抱えている社会的困難を理解する • SST, LSTなどのトレーニングをする • 家庭・学校などの環境調整をする • DBDマーチを防ぐ(なっていれば進行を抑える) • Self-esteemを高める • 二次障害を予防あるいは治療する • 症状を軽減するために薬物療法をする

不注意の症状

• 集中できない、注意がそれる →スモールステップ化してできたらほめる • 努力することをいやがる →スモールステップ化してできたらほめる • 忘れ物が多い →連絡帳の活用、メモの習慣 • すぐにものをなくす →不必要なものを持たない

ADHDの衝動性のコントロールは

生き延びるか落ちるか

セルフコントロールをするか

適切な人的サポートを受けるか

クレジットカードは使わない

衝動性の症状

• 話や列に割り込む →だまっていられない、一番がよい →砂時計:がまんで「ほめられる」 • 突然行動を起こす →行動の原因を考える →問題となる原因をへらす • 衝動的に手を出す →原因と状況を考えて「ほめて消す」

多動の症状

• 注意をしても止まるのは「その時」だけ • じっとしているのが苦手 →坐っていてもすぐにもじもじ →1分座っていたら「ほめる」から始める →小さなお手伝いをさせてほめる • 動き回る →本の読み聞かせでも歩き回る →1分座っていたらほめて時間を延ばす

(6)

薬物療法よりは練習

• できなかったことを「場面設定をして練習す る」ことで「できてほめられる」ようにしよう • 不注意の症状や衝動の症状はとかく薬物療 法の適応とされがちだが、練習することで「で きること」を増やすのが先 • 発達障害があろうとなかろうと基本は同じ • 叱って子どものself-esteemを下げるより →できるように練習して、ほめて上げる

ADHD:その将来は?

• ADHDを抱えていると、動き回ったり気分を変 えることが得意→まるで二人乗り自転車 (tandem) • じっくり取り組むことは苦手 • 得意な職業:セールスマン、営業担当、電話勧 誘、マスコミ関係、窓口業務、案内係りなど • 不得意な職業:技術・設計関係、著述業、教師、 警察官、音楽家、プログラマーなど

学習障害

限局性学習症

学習障害で最も多いのは・・

• 発達性読み書き障害(ディスレクシア) →読むことが苦手・・読めないまでスペクトラム →読めないまま放っておくと語彙が増えなくなる →読めなければ書く障害も出てくる →読みの障害:音韻障害が見つかりやすい 「かえる」を反対から言わせて見よう • 算数障害 →しばしば空間認識の障害もある 2+3 5+3 8+3 11-4

ディスレクシア

• ほとんどのケースは診断すらされていない • 当日の朝食の内容と前日の夕食の内容が言 えるのに、国語の点数が低い・・疑ってよい • ひらがながきちんと読めない • 音のまとまりとして単語が認識できない • 放っておくと語彙の習得が遅れる • 軽症を入れると2%? • 診断書があれば共通一次の試験時間延長 • スペクトラムなので軽症例から重症例まで

学習障害にこう対応してみたら・・

• ひらがなを間違えずに読む(ICTやカード) • 音のまとまりとして単語を読む • 単語読みから文章読みへ →いぬと ねこが あるいてる (30P ゴチック) • 読みの異なる漢字は熟語で覚える • フォントを工夫する • 鳥取大学音読:iphoneもiPadもandroidも:無料 • 教科書、本の読み上げ(DAISY)(Access Reading)

(7)

思春期~青年期における問題点

• 発達障害の基本症状による障害 • 二次障害の発生 • その他の病態への移行 • Self-esteemの問題、自己コントロールの問題 • いじめの問題、性の問題、メディアの問題 • 就労に向けての問題 • 葛藤処理の練習 • 移行期医療の問題 • 社会資源の乏しさ

思春期とは何か

• 思春期を通って成人になる • 明治時代から使われるが起源は不明 • Puberty(pubic hair)が生えてくる(10~15歳) • Adolescence(Adonisに因む)(10~20歳) • 国際的には10~21歳が定説に • 第二次性徴が出てくる(初潮、精通) • 性ホルモンの分泌が増える • 自我の発達でも転機を迎える →大きな子どもでも未熟な大人でもない

思春期のNEVER!!

• 問題点にいきなり入ること →問題点はしばしば「触れられたくない」 • 善悪の判断を述べること →多くの場合には子どもたちにもわかっている • 結論を急ぐこと →話を聞いてもらったと子どもが感じることがと ても大切・・結論は子どもが出す • 短時間で結論を出すこと →子どもは「押し付けられた」と感じる

思春期のMUST!!

• 子どもをほめる・・・達成感を目指す • 次につなげる・・・急がない →何気ない関係性を強化していく →握手、ハイタッチ、子どもにしゃべらせる • 相槌を打ちながら子どもの話を聞く →途中で意見を挟まない • どうするかは子どもと相談して決める

カウンセリングは

• こちらが指導し、伝えることではない • 同じ目線で話を聞くこと、話ができるような設 定をすること、無理して話させないこと • 自分の言葉で話し始めれば、自分の考えが話 せるようになれば、仕事の半分は終わり • とりあえず聞いて、それから可能なら話し合い • 善悪のジャッジはいらない、子どもが引く • また来たい心地よい場所を目指そう

ライフスキルトレーニング

大人になるまでに できることを増やそう

(8)

砂時計は使える

まずは1分間座る練習から

• ちゃんと1時間座ってい なさいではなく・・ • まずは1分間砂時計 • それを少しずつ延ばす • できたらほめる • 途中で立ったら続きから • 足を床につける

1分待てたよ!

• いつも会話に割り込 んでいた • 砂時計を見ながら 1分間待つことを 覚えた • 待てたら褒めてもら えた • 途中でそれたら続き から

バスケット法

• ちゃんと片付けなさい ではうまくいかない • ちらかっているものを とりあえずバスケットに • そこでまずほめる • バスケットの中の整理 は、それからゆっくりと • 最初は2~3個で練習 • 片付いた状況の写真

あいさつ

• おはようございます • こんにちは • さようなら • いただきます • ごちそうさま • ありがとう • ごめんなさい

「やめて」と「ごめんさい」

• 腕を掴まれた方が 「やめて」 • そう言われたら掴んだ方が 「ごめんなさい」 • これを交互に10回 繰り返す • 練習は役に立つ

(9)

「どうして(なに?)」を言う

• 気になったことがあって肩をた たかれた • 叩かれたと思って殴り返した • 叩かれたときに 「どうして(なに?)」と聞くこと ができればトラブルは減少する

まずは子どもと練習

心の中で言う(する)練習

• 「もういやだ」「早く帰りたい」「やめろ」「早くしろ」 →口に出して言ったらトラブルの原因 →心の中で言う「練習」をする →練習しないとできるようにはならない • 「耳ほじほじ」「鼻ほじほじ」 →しているところを見られると嫌われる →心の中で「イメージしてしたつもり」になる →やはり練習しないとできるようにはならない

距離感を保つ

• 対人関係には心 理的だけでなく 物理的距離感も 重要である • 1m前後の距離 が話しやすい • 体の部分接触も 時には有効

心理的距離感と物理的距離感は関連する

自分でクールダウン

• 腹が立った時怒りのエネル ギーはものに当たるのではなく • 自分の両手を握りしめて 10数える・・クールダウン • 失敗したら途中からもう一度 • くりかえすうちに自分なりの方 法を編み出すことも多い →ペンダント、耳たぶ、ネクタイ • 深呼吸も有効

基本症状による社会生活の困難

• 自閉症スペクトラム障害(ASD) →コミュニケーションや対人関係課題 →こだわり課題、感覚過敏 • ADHD(注意欠陥・多動性障害) →不注意の課題 →多動・衝動の課題 • 学習障害 →読み書き算数の障害

思春期以降に二次障害や

社会生活上の困難に繋がりやすいのは

高機能自閉症では

コミュニケーション課題より

感覚過敏

(10)

感覚過敏をめぐって

• 聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚 →過敏も鈍麻も見られる • 過敏が社会生活上の困難になるなら →少しずつ急がずに慣らそう(馴化) • 過敏が自分の世界への入口ならば →切り替えることを考えよう • 過敏は「こだわり」の一部なので →慣れる、切り替えるが基本 • 共感覚(synesthesia)

感覚過敏と感覚鈍麻

過敏

鈍麻

視覚 回転、縞模様、格子 文字・数字の間違い 聴覚 大きな音、特定の 音、エアータオル 音声指示が入りにく い、聞こえにくい 触覚 肌触り、洋服のタグ 怪我に気づかない 味覚 味や食感こだわり 噛まない、食べ過ぎ 嗅覚 香水、タバコ 区別がつかない

感覚過敏には馴化か開き直り

• 馴化して慣れた方が生活はしやすい →しかしすべて馴化できるとは限らない • 物理的に感覚を遮断、減弱 →イアーマフ、ヘッドホン、耳栓、プロテクター →鼻つまみ、目隠し、サングラス →オブラート、飲み込む、混ぜ食べ • 開き直る →できないものはできない →ときどき感覚遮断に逃げ込む →野菜嫌いでも青汁、ビタミンを飲めば良い • ときどき逃げ込んで時間を稼ぐ

うまくいかなければ

二次障害がやってくる

うつ病・軽症うつ病

• うつ状態は生活の質に影響し、不登校、事 故、自殺についても重要な因子である • 成人では生涯有病率が13人に1人以上 (最近では6~7人に1人ともいわれる) • 睡眠、食欲、意欲低下、倦怠感が代表症状 • 思春期・青年期にも多いといわれている • 病像が多様化してきた

うつ病

• 従来のうつ病はいわゆる メランコリー親和型(憂うつ気分が続く) • 最近では非定型うつ病が増えている 学校に行っていると憂うつになる 入学後に憂うつになる(やる気が出ない)

(11)

うつ病の治療

• カウンセリング →指導することではなく、基本は話を聞くこと • 身体活動性を上げる →すべての基本のひとつ • 薬剤 →SSRI、三環系、スルピリド、それ以外 • まずは診断すること →診断なく、励まされ、強制されることが多い

身体活動性を上げる

• 動きたくない・・動かない:の悪循環はうつ病を 増悪させる。動くことは予防にもなりうる • 少し汗ばむ程度で十分・・朝がよい • 可能であれば習慣(ルーチン)にする • 外に出れなければ家の中でもよい • 手軽なところでストレッチも • それによって気分も睡眠も改善する可能性

双極性障害

• Ⅰ型(そう状態がはっきりしている) Ⅱ型(そう状態が軽い) • 子どもではⅡ型もかなり見られ、うつ病と診断 されていることもある • 状態の移り変わりが早い(phase reversal) • 国際的にはSSRIではなく非定型向精神薬の使 用が勧められている(わが国でも保険適応)

パニック障害

• 広場恐怖型(人前に出られない) • 突然パニック発作に襲われる:予期不安も • 予期不安への対応は重要 • 基本的にはカウンセリング • 予期不安を減少させる • 必要に応じて薬物療法(SSRI,入眠剤)

強迫性障害

• 手を洗う、ドアノブを拭くなどの行動が止まら ず社会生活に支障を来たす • 多発性チック(トウレット障害)の合併もある • 基本はカウンセリング →多くはそれだけでは無理 • 薬物療法も行うことが多い(SSRI) • しばしば背後にADHDが見つかる

不登校のリスクは

学力低下

健康不安

社会不適応

(12)

発達障害の不登校問題:現状

• ADHDでは「いじめ」「学業不振」 • 高機能自閉症では「いじめ」「孤立」 • 学習障害では「いじめ」「学業不振」 • いじめの問題は避けて通れない • 教員による不適切介入もある • 不登校になる率は高く、高機能自閉症では ひきこもりにつながりやすい

不登校

• 不登校=悪いことではない • 再登校が解決とは限らない • 子どもが笑顔でいられること • 子どもに将来の目標ができること • 生活の質やself-esteemが高まること • それが不登校の最終的解決

発達障害といじめ

• 70%が小中学校でいじめの被害を経験 • ADHDでは衝動的な行動が周囲を敵に回す →調子に乗っていじめに参加する場合もある • 高機能自閉症では「場」が読めないので孤立 し、いじめにつながりやすい →時には、それと感じていないこともある →場や状況が把握できないので加害者になる と程度がわからない • 学習障害では学業不振でいじめられる

いじめの加害者と被害者

• 加害者=悪者、被害者=かわいそう →構図は単純ではない • 子どもたちは被害者にも加害者にもなりうる →発達障害を抱えていても同じ →6人に1人は加害。被害両方の経験がある • 加害者と被害者には共通点がある →精神保健状況がよくない →不定愁訴が多い →孤独になりやすい

いじめをめぐる問題:対応

• 「いじめ」は隠れて行われることが多い • 特にADHDでは「ふざけ」、高機能自閉症では 「からかい」と認識されやすい • 保護者を交えて対応を考える。場合によって は医療からの助言やトレーニングも必要 • 学校が対応しないならまず休ませる →法的対応を考えることもある

生活課題のいくつか

トレーニングと教育は

二次障害を減少させる

(13)

小学校4年生のレベル

• 日常生活で一般的に使用する「読み」「書き」 「算数」は →基本的に小学校4年生レベル →読み・書きは語彙と漢字が増える →算数は電卓(スマホ)を使う • このレベルの確保が生活の自立につながる →先を急ぐより、ここを丁寧に • 特別支援教育の場合も →ゆっくりだけではなく明確に目標にする

社会的妥協

• 自分をコントロールする →テンションをコントロールする • 見て見ぬふりをする →社会的ルールとの折り合い • 譲りたくないけど席を譲る、順番を変わる →ユニバーサルデザインとの協調 • 行きたくないけど参加する →つきあいを覚える • これらは設定して練習する(シミュレーション)

生活の問題(共通)

• セルフコントロールを練習する →セルフクールダウンの練習 • 記録をつける →メモをとる習慣をつける、記憶は時に裏切る • 社会的妥協を身に付ける →世の中、自分の思い通りには動かない • 秘密を守る →パスワードや暗証番号を教えない • 身だしなみを整える →見た目は大切

性の問題:女性

• 月経をめぐる問題:ちゃんと練習する →身長が急に伸び始めたら性教育 →使用後は1つずつビニール袋にパック • だまされやすさに関連すること:話には裏が・・ →リベンジポルノの危険性 • 誘われた時どうする:手順は決めておく • 男性と二人きりで飲みに行かない アスピーガールの心と体を守る性のルール デビ・ブラウン著 TOYOKAN

性の問題:男性

• 母と一緒に入浴しなくなったら性教育 • 異性や同性への距離感の取り方 • メールではなく、リアルに話す重要性 • 二次障害を起こすとしばしば性暴力が起きる • 自慰は構わないが時に構造化が必要 →やり方も教える、床オナはダメ • 裏ビデオなどの見方(一人で見ない) • 思い込みからストーカー

性教育

• 自分を大切にしたいならば相手も大切に! • 寝た子はちゃんと起こす • 妊娠予防と性感染症予防の教育ではない →しかし正確な知識は必要 →緊急避妊(ポストピル)の知識も • 「産みたくなった時に安心して安全に産めるよ うにすること」が大人の役割 • 性の商品化(メイド喫茶なども含む) • LGBTの理解(当事者のLGBTもある)

(14)

現在の性教育の問題点(1)

• 男女とも自分の体のことを意外に知らない →性教育には体を知ることも含まれる • 知識がないために陥る罠は避けたい →妊娠や性感染症 →しかし知識の供給が性教育ではない • 性を教えることは「寝た子を起こす」 →国際的には「寝た子はきちんと起こす」 →知識がないための悲劇は防ぎたい

現在の性教育の問題点(2)

• 学習指導要領と刑法のずれ →法律が教えられない • 不都合かもしれないが中学生も妊娠 →統計はないが相当数が人工妊娠中絶 • 高校生でもクラミジア感染は珍しくない →中学生の人工妊娠中絶もある • ポストピルをめぐる問題 →すべての女性にレイプリスクはある

法律上の性行為同意年齢

• 刑法176条(強制わいせつ罪)の規定におい ては、男女ともに性的同意年齢は13歳 • 刑法177条(強制性交等罪)にも、男女ともに 同じく13歳とする • 強制性交:暴行や脅迫などによって相手の同 意を得ないで性器を被害者の性器、肛門、口 腔へ挿入する行為 • 学習指導要領では性交は使えないが中学生 でも刑法規定は適用される・・矛盾

中学校学習指導要領NGワード

• 性交 →性的接触 • 避妊 →妊娠しないためにすること • 人工妊娠中絶 →妊娠を途中でやめるということ • 言い換えるとしたら以上だが「不自然」

子どもたちを守るためには

• 刑法規定がある以上 →学習指導要領で使いにくい言葉があっても →伝えることを考えていくべき • どう伝えるかを議論することも大切だが →議論している時間に教育したら? →使いにくい言葉を使わなくても最低限の ことは伝えていこう • 性教育をどこまでするかの是非論は目の前 の子どもたちには役に立たない

性的嫌がらせ

セクシャルハラスメント(セクハラ)

• 「男性から女性に」が多いが逆もあります →基本的には「異性間」だが「同性間」も • 言葉によるもの →胸大きいねなどプライベートゾーンを話題に したり、彼氏いないの変だねと言われたり • 態度や触りに来ること →胸をじろじろみたり、体に触ろうとしたり • しばしば交換条件を持ち出されることもあります →胸の写真送ってくれればつきあってあげるよ • すべてアウトです

(15)

セクハラを受けたと思ったら

• まず記録しましょう →いつ、だれに、どんなことを:具体的に →日時も正確に →スマホなどでの録音もあり • セクハラをした人間には自覚がありません →本人に直接話すことは多くの場合無駄 • 信頼できる家族、第三者にきちんと話すことです →誰かが声をあげなければ被害者は増えます

性にもさまざまな性がある

L:レスビアン G:ゲイ B:バイセクシャル T:トランスセクシャル

LGBT

• 実際にはレズビアン、ゲイ、バイセクシャルは 性的な指向でありトランスセクシャルは性自認 • LGBTは性的な少数者(マイノリティ)とは限らない • SOGIという概念が国際的に広がりつつある →sexual orientation:性的指向 →gender identity: 性的自認 • 国際的な潮流としては「性」としての男女の垣根 は低くなっていく

ファッションへの興味が違うように

• ファッションへの興味がそれぞれ異なるように →性への好みも異なっているかもしれない • 自分の好きなファッションは尊重されたい →性への好みも尊重されるべき • 異なる性への認識も →あって不思議ではない →そのために不利益を受けるべきではない →尊重されることは尊重すること

SNS、メールのリテラシー

• SNS(Lineを含む)、メールは必ず下書きする →読み直してから投稿する • 5分ルールには乗らない • SNSやメールで批判はしない • TwitterやFacebookは間違ったと思ったら消す →それでも残ることがある • 自分の部屋で撮った写真は送らない →送った写真は一生残ってしまう(リベンジポルノ)

ICT(information and communication

technology)

• ICTは社会で生きていくのに必須 • 苦手だけどICTなら出来るならICTに任せよう →大人になればそれで生活できる • 子どもたちはICTに興味津々 • 最初からアルファベット入力で! • タブレットは読む障害にも書く障害にも使える • ゲームをする人?作る人? • プログラミングの学習は小学校に入れば可能

(16)

お金の計算を覚える

• 出来るかどうかで時給にも自立にも影響する • コインには5の単位がある(5円50円500円) • 実生活ではお金の足し算より →指定した金額を揃える方が重要 • ソフトウェアも使える →お金の学習1、お金の学習2、コインクロス • 紙幣3種類はコインができてから • プリペイドカードでの練習もある

金銭管理

• 記録する習慣は小学生から(小遣い帳は基礎) • 予算を立てることの重要性(計画性を作る) • 見えるお金と見えないお金 →クレジットカードはプリペイド →スマホゲームなどの課金は危ない • 努力しないで儲かる話は「ない」 • 自分のお金の話を他人にしない • お金を稼ぐ(お手伝い、アルバイト)

自己管理

• セルフコントロール • 朝起きて、夜寝るまでの1日のルーチン • 栄養、清潔の管理 • 友人関係のつくり方 • パートナーの選び方 • 一人暮らしの問題、1週間の一人旅 • 適切な余暇活動 →何をしてもいい時間は混乱しやすい →作業の目先を変えるだけでも十分なことも

ICT(information and communication

technology)

• ICTは社会で生きていくのに必須 • 苦手だけどICTなら出来るならICTに任せよう →大人になればそれで生活できる • 子どもたちはICTに興味津々 • 最初からアルファベット入力で! • タブレットは読む障害にも書く障害にも使える • ゲームをする人?作る人? • プログラミングの学習は小学校に入れば可能

インターネット依存性(中毒)

• オンラインを含むゲーム依存(昼夜逆転) • You Tube 依存 • SNSやメールを含むコミュニケーション依存 • いわゆるネットサーフィンへの依存 • プログラミングなど指向性の高い依存 • Internet addiction test (IAT)

→20~100点に分布、40点以上要注意 http://www.kurihama-med.jp/tiar/tiar_07.html

将来を考える

• 子どもたちでは25歳のときに何をしているか • 大人たちの場合には3年後、5年後 • 具体的に考えよう →どうやって食べて行くか →どんなところで生活するか →そのためには何が必要か • 今のことだけではなく、将来目標が大切

(17)

子どもから大人へということ

• 15歳で義務教育が終わる • 18歳で児童が終わる • 20歳で成人になる →年齢とともに利用できる資源は減少する • 小児科の初診は多くは15歳まで →再診もそうなっていることがあるが・・ →15歳~20歳は二次障害の併発にも注意 • 米国ではmedical homeのシステムがある 岡明・平岩幹男監訳:Autism:米国小児科学会編 小児医事出版

成人ケアへの移行

• 社会生活上の困難を抱えているならば →サポート資源は必要 • 医療資源は途中で切れやすい →20歳までは継続で見るべきだと思うが →多くの医療機関はその前に診療をやめる →思春期~青年期は二次障害リスクも高い • 行政・福祉の資源は乏しい →年齢とともに支援は減少する • 成人ケアは結局医療か就労支援に限られる

GOAL:最終目標

• 自分に自信の持てる子(self-esteem)の高い 子どもに育てる • 社会で生きていけるように育てる →社会生活習慣を身につける →自分で稼げるようにしよう:自立を目指そう • すべての対応や療育はこのためにある • 発達障害だけではなくすべての子のために

大人になって

自立すること

十分にはできなくてもそれに

近づくこと

自立とは

• 何でも自分でできるようになることではない • 基本的な生活習慣を身に付ける →生活習慣、身の回り(掃除、洗濯、炊事) • 基本的な収入を確保する • 何より大切なのは →頼める、相談できる場所をなるべく多く見つける →1か所だったり少なかったらリスクが大きい →それが使えるようにしておく

子どもたちが

年を重ねるときに

大人に向けての

階段を上る手助けをする

参照

関連したドキュメント

本章では,現在の中国における障害のある人び

• 家族性が強いものの原因は単一遺伝子ではなく、様々な先天的要 因によってもたらされる脳機能発達の遅れや偏りである。.. Epilepsy and autism.2016) (Anukirthiga et

A経験・技能のある障害福祉人材 B他の障害福祉人材 Cその他の職種

わが国の障害者雇用制度は、1960(昭和 35)年に身体障害者を対象とした「身体障害

在宅の病児や 自宅など病院・療育施設以 通年 病児や障 在宅の病児や 障害児に遊び 外で療養している病児や障 (月2回程度) 害児の自

市民的その他のあらゆる分野において、他の 者との平等を基礎として全ての人権及び基本

防災課 健康福祉課 障害福祉課

防災課 健康福祉課 障害福祉課