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創設の一年を振り返る

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Academic year: 2021

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Title

活動報告 平成26年度核兵器廃絶市民講座「核兵器のない世界を目

指して」 第1回∼7回

Author(s)

Citation

長崎大学核兵器廃絶研究センター年報2014, pp.65-103; 2015

Issue Date

2015-03-31

URL

http://hdl.handle.net/10069/35692

Right

(2)

<活動報告>

平成 26 年度核兵器廃絶市民講座「核兵器のない世界を目指して」

主催:核兵器廃絶長崎連絡協議会(PCU-NC)

共催:核兵器廃絶研究センター(RECNA)

場所:国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館 交流ラウンジ 事前申込不要 / 受講料無料 第 1 回 「核兵器の非人道性」メキシコ会議の報告 講師:朝長万左男(RECNA 客員教授) 日時:2014 年 4 月 19 日(土)13:30~15:30 講義をする朝長万左男客員教授 会場の様子 第 1 回目の平成 26 年度核兵器廃絶市民講座が 4 月 19 日(土)、国立長崎原爆死没者追 悼平和祈念館交流ラウンジにて行われました。 朝長万左男客員教授が、2014 年 2 月にメキシコのナヤリット行われた第 2 回核兵器の人道 的影響に関する会議や 4 月に広島で行われた第 8 回 NPDI(軍縮・不拡散イニシアティブ)外 相会合の様子を交えながら、同会議でご自身が科学者代表として発表したレポートの内容を 講演しました。 講座には約 70 名の市民が集まり、若者からも活発に質問が寄せられ、核兵器の非人道性 をめぐる世界的な動向に加え、核兵器によってもたらされる壊滅的な被害と放射線が人体に 与える影響について、知識を深める機会となりました。

(3)

The second Conference on the Humanitarian Impact of Nuclear Weapons Nayarit, Mexico, Feb 13‐14, 2014 

広島・長崎原爆被害から推定する現代都市に対する 16キロトンおよび1メガトン核爆発の多方面影響

Masao Tomonaga, M.D., Ph.D

Scientific Research Group on the effects of nuclear weapons in various aspects 

google No.1 Before After Immediate Casualty (Estimated) Hiroshoma Population 350,000 Death 140,000 Injured 78,000 Nagasaki Population 270,000 Death 73,000 Injured 75,000 Total survivors Hibakusha 270,000

Little Boy Fat Man

16 kiloton uranium 21 kiloton plutonium

Hiroshima Nagasaki 10kg(1kg detonated) (64kg; 850~900g detonated) 戦争で使われた 二つの原爆 による被害 No.2 都市インフラの壊滅的破壊 within 4.5 kilometer in radius

Railway station, Factories, Schools, Hospitals, Pharmacies,City Hall, Railways, Street cars, Automobiles, Telecommunication, Electric facilities Markets, Gas tanks, Wooden houses, Concrete buildings

Hiroshima Nagasaki No.3 爆風、熱線、放射線 による即時的人体被害 No.4 急性放射線症:原爆後早期死亡の主因

Distance from the Ground Zero Death curves

No.5

原爆後障害 白血病・固形癌の

過剰発生

Breast Cancer Thyroid Cancer

No.6

(4)

放射線被曝の生涯持続性人体影響: 小児期に被曝した人が69年後も癌・白 血病を発症している現実 0 10 20 30 40 50 60 Years since 1945 D ea th ex cess 最初の白血病リスク 固形癌リスクの半永久持続 (Thyroid,Breast,Lung,Colon, Stomach, multiple cancers)

2度目の白血病リスク

Less than 15 yrs old ATB

初期発症 後期発症

68

No.7

広島・長崎原爆の長期的人体影響の総括

Population-based study on leukemia and cancer statistics Hiroshima/Nagasaki combined No.8 被曝者の 固定集団 50年間の死 亡者数 期待死亡者 数 過剰死亡数 放射線関連 死亡者比率 (%) 白血病 all doses 2Gy<  86,611 2,709 296 64 203 8 93 56   46% 88% 固形癌 all doses 2Gy< 105,427 2,211 17,448 185 16,500 111 853 74 10.7% 61%

広島の16キロトン原爆のデータおよび米国政府報告書“The effects of nuclear weapons(Glasstone,1977),に基づく計算により、核爆発の現代都市への 多方面的影響を推定 人口が100万で、広島同様の平坦な地理条件の仮想的現代都市を対象 1. 16キロトンの原爆が600m上空で爆発 2. 1メガトンの水爆が2400m上空で爆発 1. 即時的影響 死亡者数、負傷者数 2. 初期の救護活動は可能か 3. 長期的影響 爆発後50年間の白血病・癌死亡者数 4.都市インフラの破壊の程度 5 経済的破綻の程度 No.9 研究目的と方法 Nuclear detonations Above a Virtual Modern City with

1 Million Population Hydrogen Bomb 1 Megaton at 2400 m Atomic bomb 16 Kiloton at 600 m G0 18km 4.5km No.10 G0 Heatand Radiation Blast 4.5km

Atomic Bomb 16 Kiloton at 600 m 2.8 kmG0 Radiation 3km Blast 18km Heat

Hydrogen Bomb 1 Megaton at 2400 m

G0

(5)

人口100万の現代都市(周辺人口40万)上空核爆発による 即時的および長期的影響の推定 16 kiloton atomic bomb 1 megaton hydrogen bomb 即時的死亡者数 66,000 370,000 負傷者数 205,000 460,000 放射線被曝者数 155,000 (within 2.8 km) 36,000 (within 3 km) 白血病による 過剰死亡者数 220 70 固形癌による過 剰死亡者数 12,000 650    No.13 都市インフラストラクチャーの破壊 Infrastructure

Traffic facilities; high way, road, bridge, airport, port, railways, station Public buildings; city hall, offices, water reservoir, police, fire station Factories, oil tanks, gas tanks, electric facilities, post office Medical facilities; hospital, pharmacy, nursery home Schools; University, high school, elementary school Broad casting, telecommunication, IT communication Residences, houses, disposal, city park, etc.

20 kiloton class 1  Megaton class

Within 1 km complete  complete 1~5 km Complete ~ partial complete ~ partial

5~10 km slight ~ no partial No.14

短期および長期の経済破綻

Collapsed economic activity just after detonation

Slow repopulation as seen in Hiroshima/Nagasaki

広島の人口:回復に30年 To estimate damage to national and global economy and industrial activity

we refer to past wars, great natural disasters, economic crisis such as Iraq war, East Japan Great Earthquake, Kobe-Awaji earthquake Hurricane Katrina (New Orleans), Lehman Brothers shock, etc. Both 20 kiloton-class and 1 megaton-class detonations severely affect local as well as national economy and industries. Global economy and stock markets are also affected.

Recovery of economic activity; 20 kiloton slow recovery

1 megaton impossible for many years No.15 犠牲者 民間人と軍関係者を区別しない無差別性 耐えられないレベルの即時死亡数(爆風、熱線、放射線) 都市 耐えられないレベルの都市インフラの破壊と経済破綻 救護活動 初期の救護は医療要員(医師、看護師、消防士等)と医療資源の完全破綻 により事実上不可能 長期的健康影響 白血病、固形癌、心臓病、精神的影響(PTSD)の長期(生涯)持続 結語 1) 広島・長崎の二つの原爆の短期・長期影響のまとめ 2) 現代の100万都市に対する核攻撃の耐えられない結末 核爆発の多方面影響の推定は、“核兵器が非人道兵器であり”、 2度と使用すべきではないこと、生産を全面停止し、究極的には 核廃絶を実現しなければならない。 研究のサマリー(核爆発の結末) No.16 ナヤリット第2回核兵器に関する非人道会議のまとめ 1.第1回オスロ会議に続いて核兵器の非人道性に関する 科学的検討はほぼ終了し、非人道性のコンセンサスは 確立した。 2.いよいよ核兵器の非合法化、核兵器の禁止のための法的 枠組みの多国間協議のステップになった。 ポイント・オブ・ノーリターン 3.本年末、ウイーンにおいて第3回人道会議をオーストリア が主催する。法的枠組みの協議開始、核兵器保有国の参加が課題 〔NPDI〕12カ国外相会議(広島市、4月13、14日)のまとめ 1.広島宣言:世界の政治指導者は広島・長崎を訪問して 核爆発の人道的結末の真相を学ばねばならない。 2.非人道兵器であることの確認はあったが、今後の法的枠組み協議 については言及なし(とくに核兵器禁止条約);結束への触媒となる。 3.ウイーン会議への出席は、会議の目的内容がまだ発表されていないので 出席については未定〔留意事項〕。 4.NPT条約の重要性、準備会議への積極的コミット、核の完全廃絶の確認、 同時に多段階的アプローチ、核分裂物質の生産禁止の重要性指摘 5.69年間の核兵器不使用の記録が永久に続けられるべき。 市民社会の考える非人道性の次なるステップ 核兵器禁止条約についての多国間交渉の開始 核兵器禁止条約の調印に向けての努力 核保有国の参加は必須ではない そのような国際条約に圧倒的多数の非核保有国が 署名し、批准すれば、核保有国とても無視できない 勢力となる そこから核兵器のない世界〔オバマ大統領〕 に向けて核保有国を取り込んだ、実質的協議 が開始できる。 非人道会議に核保有国を招聘し、協議を行う ことは事実上不可能であろう。 非人道性までは認めた日本の役割は不透明

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第 2 回 「NPT 再検討会議第3回準備委員会から見えてきたこと」 講師:中村 桂子(RECNA 准教授) 日時:2014 年 6 月 14 日(土)13:30~15:30 講義をする中村桂子教授 会場の様子 第 2 回目の平成 26 年度核兵器廃絶市民講座が 6 月 14 日(土)、国立長崎原爆死没者追悼平和 祈念館交流ラウンジにて行われました。 中村桂子准教授が、2014 年 4 月上旬~5 月下旬にアメリカのニューヨーク国連本部で開催された 「2015 年核不拡散条約再検討会議第3回準備委員会」について、NPT(核不拡散条約)をめぐる 基礎知識を交えつつ、核兵器の非人道性への言及や、中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に 向けた動きの進展などの注目ポイントを解説し、長崎からも核兵器禁止条約の内容に関する議論 のリーダーシップを取るように日本政府に働きかけていく時期ではないかと講義しました。 講座には約 60 名の市民が集まり、若者からも活発に質問が寄せられ、核問題めぐる世界的な動 向について知識を深める機会となりました。

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2015年NPT再検討会議 第3回準備委員会から見えてきたこと 2014年6月14日 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA) 中村桂子 NPTブログ http://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/nptblog/ 連日の会議の動向を分析し、ほぼリアルタイムにブログ発信。 2014年準備委員会では第0報から第10報までの「日報」と、5 回の「短信」を発信。 2015年核不拡散条約再検討会議第3回準備委員会 ●2014年4月28日~5月9日 (2週間) ●ニューヨーク国連本部 ●議長:エンリケ・ロマン=モレイ 大使(ペルー) NPT(核不拡散条約)とは ■1968年署名、1970年発効 ■190か国が加盟 (インド、パキスタン、イスラエルが 未加盟。北朝鮮は脱退宣告) ■「核兵器国」(米、ロ、英、仏、 中の5カ国)と「非核兵器国」 ■核不拡散 ・「非核兵器国」は核兵器を保有、開 発、取得等しない。「核兵器国」は拡 散させない。 ■核軍縮 加盟国は「誠実に核軍縮交渉を行う 義務」がある。 ■原子力の平和利用 平和利用は加盟国の「奪い得ない 権利」と規定。「非核兵器国」は、軍 事利用への転用防止のため、IAEA 保障措置(査察)を受けなければな らない。 原子 力平和利用 核軍 縮 核不拡 散 NPTの三本柱 「持つ国」「持 たざる国」の 差別性 平和利用: 核拡散を止め られない?

NPT再検討サイクル

 条約の3本柱にわたって運用状況を検討するために、5年に 一度、「再検討会議」が開かれる。  そのあいだに3回(必要時には4回)の「準備委員会」を開催。 2010年 再検討会議 2012年 2015年に向 けた第1回準 備委員会 2013年 2015年に向け た第2回準備 委員会 2014年 2015年に向け た第3回準備 委員会 2015年 再検討会議 (2015.4.27-5.22) 「再検討プロセス」 これまでの大きな流れ 1995年 NPT再検 討・延長会議 •「核不拡散と核 軍縮のための原 則と目標」文書 •「中東に関する 決議」 2000年 NPT再検討 会議 •核軍縮のため の13項目の「実 際的措置」 2010年 NPT再検討 会議 •64項目の「行動 計画」

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第3回準備委員会の特徴は? 2014年準備委員会・議事の流れ 開会 一般討論 クラスターⅠ:主に核軍縮 クラスターⅡ:主に不拡散、非核兵器地帯 (中東含む)など クラスターⅢ:主に原子力平和利用、条約 脱退問題など 2015年に向けた「勧告」案をめぐる議論と採択 事務事項に関する報告書の採択 閉会

2014準備委員会の注目ポイント

1.2015年に向けた「勧告」は採択できた? 2.核兵器使用の非人道性をめぐる動きは? 3.核兵器禁止条約、あるいは法的枠組みを めぐる進展は? 4.核兵器国は2014年準備委員会に対しどの ような報告を行った? 5.中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に 向けた進展は? 「勧告案」は合意ならず 議長の「作業文書」として来年へ  2015年再検討会議で議論すべ き内容について、「核軍縮」「核不 拡散」「核エネルギー平和利用」 の3本柱+「地域問題」「条約の 普遍性、およびその他の条項」の 項目で勧告。  5月7日に議長案が出されるも、 核兵器国と非核兵器国の対立の 溝は埋められず。両者が「3本柱 のバランス欠如」と批判。  8日、「時間切れ」を理由に議長 は全会一致合意での採択を断念。  議長の「私的まとめ」である作業 文書として再提出。

2014準備委員会の注目ポイント

1.2015年に向けた「勧告」は採択できた? 2.核兵器使用の非人道性をめぐる動きは? 3.核兵器禁止条約、あるいは法的枠組みを めぐる進展は? 4.核兵器国は2014年準備委員会に対しどの ような報告を行った? 5.中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に 向けた進展は? 核兵器をめぐる議論は変化してきた 軍備管理・安全保障 アプローチ →廃絶は遠い未来 人道アプローチ →核兵器を2度と使 わせてはならない。 そのためには禁止 条約をつくり、廃 絶を実現。 核兵器が国の安全を守る 核兵器保有は大国の証 核兵器は役に立つ兵器 核兵器には価値がある 核兵器を持つ ことは恥 核兵器では 人々の安全は 守れない 一発の核爆発でも 壊滅的な被害をも たらす 「国家」の安 全保障 「人間」の安 全保障

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■ 2010年NPT再検討会議の最終文書(2010.5) →核兵器の非人道的性格について初めて言及 ■国際赤十字社・赤新月社の貢献 ・ケレンベルガ—赤十字国際委員会 (ICRC)総裁演説(2010年4月) 「核兵器の時代に終止符を」 ・国際赤十字・赤新月運動代表者会議決議 (2011年、2013年) 「会議は、核兵器のいかなる使用 も壊滅的な人道的結果をもたらす ことに深い懸念を表明し、すべて の加盟国がいかなる時も、国際人 道法を含め、適用可能な国際法を 遵守する必要性を再確認する。」

4回にわたる「非人道」共同声明

①2012年5月 NPT再検討会議第1回準備委員会 「核軍縮の人道的側面に関する共同声明」 16か国が賛同 「核兵器の非合法化への努力を強める」の表現盛り込む ②2012年10月 国連総会第一委員会 35か国が賛同 ③2013年5月 NPT再検討会議第2回準備委員会 「核兵器の人道的影響に関する共同声明」 80か国が賛同 「非合法化」に言及せず ④2013年10月 国連総会第一委員会 125か国が賛同 国際人道法などに言及せず 起草国:スイス、ノルウェー、南アフリカ、ニュージーランド、メキシコなど 日本政府の反応→①②に署名せず。「非合法化」が核抑止依存と相いれない。 ③にも署名せず。「核兵器がいかなる状況でも使わるべきではない」に難色。 ④に署名。「非人道性の議論があらゆるアプローチの下支えになる」 2回の「核兵器がもたらす人道上の影響」国際会議 「ファクト・ベース」(事実情報に基づく)専門会議 第1回目 2013年3月4~5日 オスロ 127か国が参加、5つの核兵器国は不参加 「核兵器の爆発直後の人道上の影響」「広範囲及び長期にわ たる核爆発の結末」「核兵器爆発に対する備えと人道支援」 核兵器が使用されたら国際人道機関といえども適切な人道 救援を行うことは不可能という結論 第2回目 2014年2月13~14日 ナヤリット(メキシコ) 146か国が参加。5つの核兵器国は不参加 初めての「被爆者セッション」開催 核兵器の偶発的使用のリスクなども議論される オーストリアが「第3回会議」開催を発表(12月8~9日) 「次の行動」を求める声が相次ぐ 「ポイント・オブ・ノー・リターン」 (我々はもう後戻りのできない地点にいる) 「議長(メキシコ)の会議総括」抜粋: 「核兵器の人道的影響に関する広範かつ 包括的な議論は、法的拘束力のある条約 を結ぶことを通じて、新たな国際基準及び 規範を実現するとの、政府及び市民社会 の誓約につながっていかなければならな い。・・・この目的に資するような外交プロ セスを開始する時期が来たことをナヤリッ ト会議は示したと議長は考える。」 「行動に移るべき時が来た。広島、長崎へ の核攻撃から70年目を迎える今こそが、 我々が目標に向かうにふさわしいマイル ストーンである。ナヤリットは「ポイント・オ ブ・ノー・リターン(もはや後戻りできない 地点)」なのだ。」 写真削除 第3回準備委員会で「非人道性」は どのように言及されたのか?  新たな「共同声明」の形では出されず  参加国の多くが「非人道性」に言及  第一週目に出された63の国家・国家グループによる演説(英文テキスト が入手できたもののみ)のうち、52の国家・国家グループの演説が「非人 道性」に言及。  核兵器国もこの問題を無視できず  米国(ゴッテモラー国務次官):「(マーシャル諸島及び広島訪問の自身 の体験に触れつつ)核兵器の人間への影響を人々は記憶し続けなけれ ばならない。米国はその破壊的な健康面での影響を含め、核兵器使用 の結末を深く理解しており、それがこの最も危険な兵器を削減し、究極的 には廃絶するとの我々の努力の指針となり、動機となっている。」  英国・ロシア:核兵器使用の影響は認識しており、それは防がなければ ならない、と発言。しかし非人道性の議論自体に否定的。  フランス;非人道性の議論自体に否定的。 ロシア: 「我々は核兵器使用がもたらす極めてネガティブ な結末を十分に理解している。しかし同時に、 我々は、核兵器使用の非人道性を強調すること や、非人道性の問題をとりあげて性急に核兵器の 『非正当化』を試みることが、核兵器のさらなる削 減に向けた国際的な条件作りの具体的な取り組 みから国際社会の関心をそらしてしまうと確信して いる。 我々は、目標を達成する最善の方法は、『ステッ プ・バイ・ステップ』アプローチにそって、NPTの枠 組みのなかで議論し、段階的に軍縮を進めていく ことであると固く信じる。」

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■「非人道性」を認識することの論理的帰結は、「非合法化」、そして 「廃絶」であるはず。 ■しかし、非人道性に言及した52の国家・国家グループの演説のうち、 「核兵器禁止条約」あるいはなんらかの「法的枠組み」の必要性につ いて言及したのは17の国家・国家グループの演説だけ。 ■国家グループ ・非同盟諸国(NAM) …約120か国 ・ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体 (CELAC) …33か国 ・新アジェンダ連合(NAC) …6か国 (ブラジル、エジプト、アイルランド、 メキシコ、ニュージーランド、南ア) ■個別国家 アルジェリア/ブラジル/メキシコ/南 アフリカ/フィリピン/マレーシア/バチ カン/イラン/アイルランド/ジャマイカ /コスタリカ/パラオ など 「非人道性 … YES 核兵器禁止 … YES ■国家グループ ・軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI) 12か国 (日本、豪州、ドイツ、オラン ダ、ポーランド、カナダ、メキシコ、チリ、 ナイジェリア、トルコ、フィリピン、アラブ 首長国連邦) ・欧州連合(EU) ■個別国家 トルコ/韓国/デンマーク/カナダ/ス ペイン/スロベニア/オランダ/ス ウェーデン/スロバキア/チェコ/ 米国/ロシア/英国 など 「非人道性 … YES 核兵器禁止 … 言及せず “核兵器は非人道的、でも禁止条約にはまだ早い” トルコ:「核兵器が人類に呈している危険性を懸念して いる。しかし我々はNPTの仕組みを損なうような『並行 プロセス』を生み出さないよう注意すべきだ。」 スロバキア:「核兵器使用の人道上の結末の問題は、 核軍縮と不拡散をめぐる複雑な議論において間違いな く重要な要素である。しかしそういった議論においては、 人道面とともに安全保障の面に関する考慮が含まれな ければならない。」 スウェーデン:「核兵器使用が壊滅的で長期的な結末 をもたらすことは自明のことである…しかし、我々がど れほど近道を望もうとも、そのようなものは存在しない のだ。」 日豪らによる「ビルディング・ブロック」 (ブロック積み上げ)アプローチの提案 作業文書「核兵器のない世界に向けたビルディング・ブ ロック」 20か国(日本、オーストラリア、ベルギー、カナダ、コロン ビア、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンラン ド、ドイツ、ハンガリー、イタリア、リトアニア、オランダ、 ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スウェー デン、ウクライナ)提出の作業文書 「ステップ・バイ・ステップ」アプローチを補完し、同時並 行的に諸措置を進めるとしている。 「最終段階のビルディング・ブロック」において、「多国間 の核軍備撤廃の枠組みあるいは核兵器禁止条約がどの ようなものになるか、さらに検討する必要がある」。 “禁止条約こそがNPTの目的実現の道” エジプト:「核兵器の使用がもたらすであろう、耐え難く、 無差別な影響についての議論を経て、オスロとナヤリッ トでの近年の会議においては、核兵器のない世界の実 現を求める声が最高潮に達した。『核兵器禁止条約』の 実現に向けて国際社会が一段と要求を高めることをナ ヤリット会議は明らかにした。同条約はNPT第6条(訳注: 核軍縮義務)の履行における核心部であると我々は考え ている。」 南アフリカ:「『核兵器のない世界』の実現ならびに維持 を目指す上で、包括的な条約の締結は、核兵器に反対 する一層高い規範意識を確立し、よってNPTの目的を実 現することになるだろう。」 オーストリア:非人道性会議の行方は?? 今年12月8~9日、オーストリア・ウィーンで3回目 の核兵器非人道性に関する会議が開催。 オーストリア政府の慎重姿勢 科学的、客観的な専門会議というオスロ、ナヤリット を踏襲か。 国別発言でも核兵器禁止に言及せず。 第4回会議を南アフリカが主催? マーシャル諸島によるICJへの提訴 “4月24日、小さな一つの国が核兵器を持つ巨人たちを相手に立ち上 がった。彼らがそうした理由は、世界に次のメッセージを伝えるためだ。 『今こそ、核兵器ゼロというあなた方自身の約束を守るときが来た』と。” http://www.nuclearzero.org 写真削除

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2014準備委員会の注目ポイント

1.2015年に向けた「勧告」は採択できた? 2.核兵器使用の非人道性をめぐる動きは? 3.核兵器禁止条約、あるいは法的枠組みを めぐる進展は? 4.核兵器国は2014年準備委員会に対しどの ような報告を行った? 5.中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に 向けた進展は? 2010年再検討会議最終文書 核兵器のない世界を達成し維持するためには法的枠組 みが必要であることを確認 「…会議は、核兵器のない世界を達成し、維持する上 で必要な枠組みを確立すべく、すべての加盟国が特別 な努力を払うことの必要性を強調する。会議は、国連 事務総長による核軍縮のための5項目提案、とりわけ 同提案が強固な検証システムに裏打ちされた、核兵器 禁止条約についての交渉、あるいは相互に補強しあう 別々の条約の枠組みに関する合意、の検討を提案した ことに留意する」(行動勧告IBiii) ■国家グループ ・非同盟諸国(NAM) …約120か国 ・ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体 (CELAC) …33か国 ・新アジェンダ連合(NAC) …6か国 (ブラジル、エジプト、アイルランド、 メキシコ、ニュージーランド、南ア) ■個別国家 アルジェリア/ブラジル/メキシコ/南 アフリカ/フィリピン/マレーシア/バチ カン/イラン/アイルランド/ジャマイカ /コスタリカ/パラオ など 「非人道性 … YES 核兵器禁止 … YES 核兵器禁止への道は一つではない ~「新アジェンダ連合」(NAC)の作業文書の整理から~ 核兵器禁止の法的枠組みの「4つのオプション」 オプション1: 「包括的核兵器禁止条約」 (Nuclear Weapons Convention, NWC)

■核兵器禁止、廃棄、検証を包括的 に規定。 ■1997年「モデルNWC」をコスタリ カやマレーシアが国連に提出。 ■「非同盟諸国」(NAM)が支持。 オプション2: 「簡潔型核兵器禁止条約(Nuclear Weapons Ban Treaty, NWBT

■核兵器の禁止規範を先行。廃棄プロ セスや検証制度はあとから。 ■核保有国の参加は当初からの必須 要件ではないとの考えも。 オプション3: 核兵器廃絶の「枠組み協定」 ■NPTを中心に、別々の条約などが相 互に支えあう形で枠組みを構成。 ■2008年に潘基文国連事務総長が 「核軍縮の5項目提案」で言及。 オプション4: 上記3つの「混合プラン」

2014準備委員会の注目ポイント

1.2015年に向けた「勧告」は採択できた? 2.核兵器使用の非人道性をめぐる動きは? 3.核兵器禁止条約、あるいは法的枠組みを めぐる進展は? 4.核兵器国は2014年準備委員会に対しどの ような報告を行った? 5.中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に 向けた進展は? 核兵器国の「報告義務」~2010年再検討会議最終文書 ■行動5(要旨): 核兵器国は核軍縮につながる措置について確固たる前進を 加速させることを誓約する。以下をめざし速やかに取り組む。 a.あらゆる種類の核兵器の世界的備蓄の全面的削減。 b.種類や場所を問わずあらゆる核兵器の問題に対処。 c.軍事・安全保障ドクトリンなどにおける核兵器の役割と重要性を低下。 d.核兵器の不拡散と軍縮に貢献しうる政策を検討。 e.核兵器システムの作戦態勢のいっそうの緩和。 f. 核兵器の偶発的使用の危険性を低下させる。 g.透明性を一層高め、相互信頼を向上させる。 →核兵器国はこれらの履行状況を2014年準備委員会に報告。 →2015年再検討会議は第6条の完全履行に向けた次なる措 置を検討。 ■行動21(要旨):核兵器国は信頼醸成措置として報告の標準 様式に可能な限り早期に合意すること。

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5つの核兵器国は4回の会合を経て標準様式に合意し、それ ぞれ報告を行った。それ自体は一歩前進。 しかしその内容は十分とは言えない。項目は大雑把で具体 的な内容は各国の裁量次第。 非核兵器国からの「失望」を反映し、議長の勧告「作業文書」に は以下が盛り込まれた。 「2c.2010年再検討会議で採択された核軍縮に関する行 動計画に盛り込まれた誓約の中で未だ履行されていないも の、とりわけ、行動計画5における核兵器国の約束について、 また完了までの合意されたタイムライン(時間軸)の特定を 含め、加盟国による早期かつ完全な履行を要求する。」 「2e.核兵器国提出の共通標準様式での報告書に留意しつ つ、…いっそうの透明性強化と相互信頼の増大に向けた継 続努力を基盤として、さらなる詳細かつ具体的な報告がな されることを奨励する。」

2014準備委員会の注目ポイント

1.2015年に向けた「勧告」は採択できた? 2.核兵器使用の非人道性をめぐる動きは? 3.核兵器禁止条約、あるいは法的枠組みを めぐる進展は? 4.核兵器国は2014年準備委員会に対しどの ような報告を行った? 5.中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に 向けた進展は? 中東非大量破壊兵器地帯~2010年再検討会議最終文書 1995年「中東決議」履行への時間枠を定めた行動 「(a)国連事務総長と米、英、ロの4者が、中東諸国と協議しな がら、2012年に、中東非核・非大量破壊兵器地帯設立のため の会議を招集する。」(Ⅳ7) 上記4者は、中東諸国と協議しながらファシリテーター(調停 人)及び会議ホスト国を任命。 →ヤッコ・ラーヤバ国務次官(フィンランド)に決定。 ■2012年、2013年においても上 記会議は実現せず。 ■昨年の準備委員会では経過を 不満としたエジプトが会議後 半をボイコット。 ■2013年にシリアが化学兵器禁 止条約に加盟するなどの進 展も。 具体的前進はなし。しかし好転のきざしか? ラーヤバ大使の報告(5月1日): 「会議の重要な点において多様な考え方が依然存在している」 しかし一方で・・・ 2013年報告: 「会議の体制が地域諸国の自由意思によって整備され次第、 遅滞なく会議は開催される。そのためには、地域諸国の見解が いっそう収斂することが必要である。」 今年の報告: 「会議の体制が地域諸国の自由意思によって整備され次第、 遅滞なく招集者(国連、米、英、ロ)は会議を開催することを目 指している。そしてそのような合意は今年中に達成できると希 望している。」 中央アジア非核兵器地帯の議定書に 5核兵器国が署名  中央アジア非核兵器地帯(2009年3月発効) →カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、 ウズベキスタンの5か国 →旧ソ連の一部として核兵器が存在 →セミパラチンスク核実験場の傷跡 →北半球初の非核兵器地帯  5月6日、中央アジア非核兵器地帯条約の議定書に5核兵器 国(米、ロ、仏、中、英)が合意し、国連内で署名式を行う。  議定書: 第1条「条約締約国に対し核兵器あるいは他の核爆発装置 の使用もしくは使用の威嚇を行わないこと」(消極的安全保証) →非核兵器地帯条約が「非核の傘」と呼ばれるゆえん 世界の非核兵器地帯 アフリカ非核兵器地帯条約 (ペリンダバ条約) 署名:1996.4.11 発効:2009.7.15 東南アジア非核兵器地帯条約 (バンコク条約) 署名:1995.12.15 発効:1997.3.27 南極条約 南太平洋非核地帯条約 (ラロトンガ条約) 署名:1985.8.5 発効:1986.12.11 ラテン・アメリカ及びカリブ地域に おける核兵器禁止条約(トラテロル コ条約) 署名:1967.2.11 発効:1968.4.22 中央アジア非核兵器地帯条約 署名:2006.9.8 発効:2009.3.21 モンゴル非核兵器地位

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地帯に対する核兵器の使用や使用の威嚇の禁止(消極的安全 保証)を定めた条約議定書に対する核兵器国の反応 今回 5核兵 器国が 署名 5核兵器国す べてが署名、 批准寄託済み 米以外の核兵器国は批准寄託済み。 (米政府は上院に承認要請中) いずれの核兵器国も署名・批准していな い。5か国と地域国家の議論が継続中。 中、仏、英、ロは署名・批 准、米は署名のみ(上院 に承認要請中)

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第 3 回 「『継承』をめぐる記憶と語り」 講師:高山真(RECNA 客員研究員) 日時:2014 年 7 月 19 日(土)13:30~15:30 講義をする高山真客員研究員 会場の様子 第 3 回目の平成 26 年度核兵器廃絶市民講座が 7 月 19 日(土)、国立長崎原爆死没者追悼平和 祈念館交流ラウンジにて行われました。 高山真客員研究員が、長崎をフィールドに被爆者調査に取り組み、インタビューを行ってきた経験 から、非体験者が語りえない記憶を継承することの可能性について、「被爆者になる」というキー ワードを使って講義しました。 講座には約 60 名の市民が集まり、会場の参加者からも活発に質問が寄せられ、被爆の継承をめ ぐる問題について考えを深める機会となりました。

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平成26年度 核兵器廃絶市民講座

「核兵器のない世界をめざして」 第3回「継承」をめぐる記憶と語り 高山真(RECNA客員研究員) • ある被爆者のことば(「ヒロシマ・ナガサキ通信」2014.6) • 「被爆体験に軽重や価値の多少といったものがあるのだろ うか?」 • 「継承に被爆体験の質は問われるのか?」 1.イントロダクション 講座の概要 社会学の視点から記憶の継承を考える 1. 「ヒロシマ・ナガサキ」:社会学の定義と視点 2. 「3人の語り手」:ライフストーリーの解釈 3. 「被爆者になる」という語り:記憶の継承の検討 社会学とは • 人と人との関係性を問う(コミュニケーション) • 日常生活の自明性を問う(あたりまえを疑う) • 日常のミクロな問題を、マクロな位相で思考する(社会学的 想像力) 研究テーマ • 体験者が、語りえない体験を表現すること • 非体験者が、語りえない記憶を継承すること • 社会学:ライフストーリー研究、オーラルヒストリー 記憶と継承を社会学的に考察する • 2005年から長崎をフィールドに被爆者調査に取り組み、 2013年、博士論文「長崎原爆被災の記憶」 • 調査者が描く長崎の「地図」、当事者の「現実」 • 調査者の視点、当事者の視点、市民(生活者)の視点

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フィールドワーク • 2005年から、長崎で「語り部」として活動する被爆者を対象 とし、ライフストーリー・インタビューを実施 • インタビュー調査と文献調査 • 社会学の視点から分析と解釈 ライフストーリー・インタビュー • 語り手と聞き手の「関係性」を重視 • 語り手と聞き手が協同的に「語り」を構築する(具体的なインタビ ュー・データにより説明) • 「語り部」として語ること、インタビューで語ること 社会学が認識する「ヒロシマ・ナガサキ」とは? アジア太平洋戦争終結期、広島(1945年8月6日)と長崎(9日)に対して米国が行なっ た原子爆弾による攻撃に由来する記号。20世紀の核をめぐる思想と実践を形づくった 。2つの都市名の連結とカタカナ表記により、核による破壊という両者共通の歴史が抽 象化され、普遍主義的な意味作用をもつに至った。反核・平和を希求する意識と行動 を国境を超えて動員する強力な否定的記号(ネバー・アゲイン)であると同時に、核エ ネルギーの「平和利用」や核被害ナショナリズムなどの問題を曖昧化するイデオロギ ー作用も担った。フクシマとの記号連鎖のもたらす新たな歴史的意味は、今後の重要 な分析課題といえる。(現代社会学辞典) 社会学が認識する「ヒロシマ・ナガサキ」とは? • 世界的に流通する「ヒロシマ・ナガサキ」という記号 • 核兵器廃絶に象徴される、世界的運動を推進する力 • 核被害のナショナリズムを形成(例:唯一の被爆国) • こうした研究の第一人者として、Lisa Yoneyama. より具体的な問題として 「ヒロシマ・ナガサキを語る視点」 • 無限に複製されるキノコ雲、被爆者の映像や写真 • 実際に広島や長崎を訪れたことのない人々によってもヒロ シマ・ナガサキは想起される(集合的な記憶の想起) • このような想起のなかでヒロシマ・ナガサキの記憶は拡散す る ヒロシマ・ナガサキを語る視点 • こうしたイメージの複製は「ヒロシマ・ナガサキを語ること」を 困難にする • 「ヒロシマという現象を観察し、縮図を作るための外部の視 点」を確保すること(浜日出夫「ヒロシマを歩く 慶應義塾大学被爆者調査再訪 」『法学研究』) • 「外部の視点」をいかに確保するか?

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戦後の被爆者調査 • 戦後の被爆者調査は「上空からのまなざし」に抗して始めら れた. • 1970年代:石田忠、ロバート・リフトン(体験) • 1990年代:ヨネヤマ・リサ(記憶) 事前調査 • 2005年3月から、長崎平和推進協会、長崎の証言の会に所 属する被爆者の、体験講話と遺構めぐりを見学 • 「語り部」にとりくむ動機、活動において意識していることを 聞き取り(30名) • 体験を重視する継承、平和教育の実践と暫定的にカテゴラ イズ、それぞれを象徴する語り手に調査依頼。 3名のインフォーマント(話者) • 事前調査をふまえ、Tさん、Yさん、Mさんにご協力をいただ きインタビューに着手 • 「13歳の被爆体験」を芝居で上演するTさん • 被爆体験を語らず、「平和教育」を実践するYさん • 事前調査で印象にのこったMさん(被爆者になる) 爆心地からの距離と年齢、被爆体験 • 「語り部」継承観の異なり(体験の語り、平和教育) • 「被爆者」としてのアイデンティティ:科学的、法的に形成さ れる現実(Lisa Yoneyama “Hiroshima Traces”)

• 爆心地からの距離、当時の年齢 • 具体的にどういう問題か? Yさんの被爆遺構めぐり • 被爆当時8歳、爆心地から4.3キロ • 70年に平和教育と出会い「被爆教師」としてアイデンティティ を形成する • 「被爆者と非被爆者の過渡的な語りかた」を意識する • 非体験者の「想像力」を養う(平和教育) 2.記憶の継承の困難さ • あのごく限られた有名な被爆者たちは、それこそ自らの被爆体 験を語ればいいと言ってるわけです • 悲惨な順に.もう,第1級の人,第2級の人 • 「もう私たちなんか,あいん人たちの話ば聞いたら,そんげん人 たちの前で話すようなことはなんもない」 • そういう「声」がある.しかし,私たちも被爆者です。 • (Yさんとのインタビュー調査より.2005年10月,Yさんのご自宅にて)

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継承にかかわる論点 • Yさんの語りにあらわれる「第1級、第2級…」 • 爆心地付近で被爆した体験者の語りの「重み」をどうとらえ るか? • 体験の序列化の現実(体験者と非体験者の境界線) • 「体験したことのないものにはわからない」 Yさんが直面する困難 • 「有名な被爆者」にたいするアンヴィヴァレンスな感情 • 「被爆者と非被爆者の過渡的な語りかた」(苦悩から工夫) • 福田須磨子「ひとりごと」を平和祈念像のまえで朗読する • 谷口稜曄氏の写真を提示し、爆心地付近で被爆した人々の凄惨な 体験に想像力を働かせる • 凄惨な体験を知れば知るほど、語り難い心理(リフトン) ロバート・J・リフトンによる「罪意識」 『ヒロシマを生き抜く』 • アメリカの社会心理学者、広島で大規模な調査を実施 • 原爆被災を生き残ったことにたいし抱く罪の意識 • 死者に一体化したい心理と、死者を閉め出したい心理 • アンヴィヴァレンス(両義的)な心理 • (一体化にともなう)罪の意識は,死者から被爆生存者へ,被爆生存者か らふつうの日本人へ,そしてさらに,その他世界各国の人々へと「放射」的 に広がっていった.(Lifton 1968=1971: 457) • 罪の意識の場合と同じように,心理的閉め出しは外に向って放射現象を おこして広がってゆく.(Lifton 1968=1971: 464) ロバート・J・リフトンによる「罪意識」 『死の内の生命』 3.体験を語る被爆者は、罪意識とどのように向き合うか? Tさんのライフストーリー • Tさん、13歳のときに銭座町で被爆 • 長年語らなかった被爆体験 • 小学校教育を退職後、「命ありて」と名付けた芝居として上 演(生きることの意志、死者との対話) • 死の間際まで、体験の上演をつづけた(継承の意志) • )

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Tさんのライフストーリー • 被爆直後、友人たちと「もう原爆のことを話すのはやめよう」 と誓いあった(友人の死) • 「誰しも話したくないですよ、辛いことは…」 • 大学卒業後、長崎で小学校教員になるが、平和教育とは一 貫して距離をおいた。(体験のおもみ) • 障害児教育に捧げた教員生活(弱者へのまなざし) Tさんのライフストーリー • 教員を退職間際、同僚のすすめで教え子に体験を語る • 子供たちの目のかがやき、感想に勇気づけられ、学生時代 から好きだった芝居で体験を演じることを決意。 • 言葉だけでは伝えられない、リアルさを追究する。 • ナレーションと最小限の効果音、一人芝居のスタイル。 Tさんのライフストーリー • 「芝居の日が近づくと、声がでなくなる」 • 「何度もやめようと思った」 • 「舞台がはじまる直前に声がでる」 • 「亡くなった友人が、許してくれたかなと思う」 • 死者に一体化する心理、死者を疎外する心理 Tさんのライフストーリーの解釈 • 体験の重視(体験を言語化(言説化)する平和教育を距離化) • 死者(友人)との対話を重視 • 身体性の重視(被爆体験の身体的複製) • Yさんと対極的 → Mさんはどうか? • 私もたしかにいとこを亡くしましたけど,お父さんやお母さんを亡くした方たちも実 際にいるわけですよね.私はまあ,幸いにというか,4.8キロ離れたところに,原爆 から50日くらい前に配置転換になって,命が助かったという. • それで,火傷もせんやったということで,それで偉そうな顔をして被爆体験を話す な,っていうふうな,そういう声もあるんですけどね.私はね,そういうふうな(爆心 地から近かった)所で被爆をした人,戦後早く(から)被爆者(運動)云々に関わっ たけども,案外に客観的に原爆というものを眺められる立場だったと思うんですよ . Mさんの語り Mさんの語り • その、(有名な被爆者の)被爆体験を何回も聞くチャンスがありますよね.そ れから,長崎の証言の会で,いろんな聞き書きを取りにいく,聞き取りをする っていうことのなかで,自分がね,被爆体験が広まっていったと思ってるん ですよ. • 自分の体験だけじゃなくてね,原爆っていうものが,どんなにひどいものか を,だんだん知るようになって.そうするとね,まあ別の表現で言えば,被爆 者として深まっていくっていうか

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Mさんと福田須磨子 • Mさんは「生前の福田さんのことを思い出すと,私もまだまだだなあと,思い ます」とつぶやくように語る.(有名な被爆者への思い) • 「なぜそのように思うのか」(インタビュアーの問いかけ) • 「彼女の核廃絶に取り組む姿勢は,まるで闘士のようでしたよ.それにくらべ ると,私はまだまだだと思うのです」「被爆者になる」意志のあらわれ 4.「被爆者になる」ということ • 長崎調査のインフォーマント3名(Tさん、Yさん、Mさん) • Tさん(死者と向き合う芝居) • Yさん(平和教育) • Mさん(被爆者運動、証言運動、核兵器廃絶運動) 論点の整理 • Tさん、Yさん、Mさんは「語りえない」体験である被爆体験を なんらかの形で言語化することに取り組んでいる(共通点) • ふたつの座標軸により位置づけることができる ふたつの座標軸 • 「被爆時の爆心地からの距離」と「被爆時の年齢」にしたが って被爆者を序列化する言説を内面化している程度 • 長崎に特有の「平和教育」をめぐるポリティクスにおける立 場性(体験と記憶) Tさん • 13歳のときに爆心地から1.6キロの地点で被爆しており「13 歳の体験だよ」と自らそれを強調し、「4歳、5歳になにが語 れる?」と区別化を図る。 • 元教師であるが「平和教育」や「核兵器廃絶」という言説か らは距離を置き、自分の被爆体験を一人芝居によって再現 することに力を注ぐ。 「語りえない」体験を芝居で表現する • 一人芝居のなかで「13歳のわたし」となり、自分の被爆体験 を再現するTさんの実践は、言葉にできない「語りえない」体 験を身体的に複製する営み。 • 死者とともに「あの日」を再び生きる、死者との一体化を上 演。

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Yさん • 「被爆時の爆心地からの距離」と「被爆時の年齢」による序 列化(言説の権力)を受け入れたうえで、8歳のときに爆心 地から4.3キロの地点で被爆した自分を、「有名な被爆者」と 比べて「第二級、第三級」と位置づける。 • 「有名な被爆者」とは別の語りかたを探求する。 Yさん • Yさんは自分の被爆体験を「話せば2分で終わる」と語り、 自分の被爆体験を語ることよりも、非体験者によりそい「想 像力」を重視する。 • 多様な立場に生きる被爆者の存在に注意を喚起する。 • 「平和教育」に即して、被爆体験を明確に言語化し、次世代 に記憶を伝えようとする営みの典型。 対極に位置するふたりの語り手 • 「爆心地からの距離」と「被爆時の年齢」 • 「平和教育」という言説の受容 • Tさんの一人芝居は「死者」にむけ演じられ • Yさんの平和教育は「次世代」に向けて語られている • TさんとYさんの営みは対極に位置する。 Mさん • Mさんの実践は、長崎における「語り部」のふたつの典型で あるTさんとYさんの中間に位置し、被爆体験の継承の別の 可能性を示している? • Mさんは15歳のときに爆心地から4.8キロの地点で被爆した が、「わたし自身はおおきな怪我をしたわけではないし、家 族を失ったわけでもない。たいした被爆体験はない」と語る。 • Mさんは語り部活動に携わるばかりでなく、長年にわたって 数多くの被爆者の体験の「聞き書き」に携わってきた。 • 自らの被爆体験を語り、また他の被爆者の被爆体験を聞き 取ってきた自分の人生をMさんは「被爆者になる」人生とし て振り返る。 • 被爆者でない者は被爆者になることはできないし、すでに被爆 者である者はもはや被爆者になる必要はないはずである? • 〈わたし〉はすでに被爆者であるMさんの「被爆者になる」という 言葉の意味を理解するためにMさんとの対話をつづける • この調査をつづけいてた2007年に、〈わたし〉は弟を白血病で 失う。

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• 〈わたし〉は、自らも教え子を白血病で亡くした経 験を持つMさんに、自身の喪失体験を語りかけ た。 ライフストーリー・インタビュー 相手の生きてきた歴史と出会うために • 「わたし」が生きてきた歴史は、聞きとりの「いま、ここ」とど のように関わっているのだろうか? • 「調査するわたし」は、“普段のわたし”を抑制すればするほど、相 手の生きてきた歴史性との出会いを限定されたものにする。(好井裕明 他編著『社会学的フィールドワーク』世界思想社) • 普段の生活に生じた出来事を、社会関係のなかでとらえることは、 相手の生きてきた歴史を理解する手がかりになる。 被爆者になるとは? • とにかく自分の体験と重ね合わせるという,重ね合わせながら ,その話を,被爆者の話をきっかけにしながら,その人の痛み であったり,苦しみであったりしたものを,イメージするというの かしら.イメージしながら,そういうものを,その人の体験を,ま あ追体験するという.そういう営みっていうか,作業というか.( Mさん) 関係性の変化 • 自らも教え子を白血病で亡くした経験をもつMさん • 弟を白血病で亡くした〈わたし〉 • Mさんは、教え子の死を冷静に文章化し、考えることにより、被爆二世 問題を訴える「被爆者」としての主体性を形成した。 • 〈わたし〉は、弟の死をMさんに語り、喪失体験と、被爆の記憶の関係 を考えることにより「調査者」の主体性を形成する。 記憶の継承 • 関係性の変化により、〈わたし〉は調査者としてMさんの「被爆者になる 」というライフストーリーを理解しうるようになる。 • 体験の有無、社会的背景、立場の違いにもとづく関係性 • 日常生活の〈語りえない〉感情のコミュニケーション • 立場の違いをこえ、「記憶」の継承を論じることが可能になる 「3名の語り手」とのインタビューによる 継承をめぐる記憶と語り • 死者とともに被爆体験の上演をつづけた意志 • 非体験者によりそい想像力を重視する継承の営み • 被爆体験を聞き取ることで「被爆者」としての主体性を形成 する生き方

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「被爆者になる」という生き方のモデル 継承の理念型 • 他者の体験を聞き取ること、記録を読み、自己の体験と重ね 合わせる。 • 凄惨な体験の語りに触れたときにおぼえる、語りえなさ(感動 )を、他者に伝える。 • 体験をとりまく私秘的な彩り(記憶) 第3回市民講座 論点の整理 • 「ヒロシマ・ナガサキ」の社会学(視点の問題) • 上空からのまなざしに抗する記憶の「語り」は、他者とのコミ ュニケーションを可能にする(記憶と語り) • 「継承」の考察(コミュニケーションの問題) ライフストーリー研究、社会学の視点から、 被爆者調査について考える参考図書 • 浜日出夫・有末賢・竹村英樹編著『被爆者調査を読む ヒロ シマ・ナガサキの継承』慶應義塾大学出版会 • 桜井厚・山田富秋・藤井泰編『過去を忘れない 語り継ぐ経 験の社会学』せりか書房 • 小林多寿子 編著『ライフストーリー・ガイドブック ひとがひ とに会うために』嵯峨野書院 参考図書(被爆者調査) • 石田忠『反原爆 長崎被爆者の生活史』未来社 • ロバート・J・リフトン『ヒロシマを生き抜く』(上)(下)岩波現代 文庫 • 米山リサ『広島 記憶のポリティクス』岩波書店 • 浜日出夫 他 編著『被爆者調査を読む ヒロシマ・ナガサキ の継承』慶應義塾大学出版会

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第 4 回 「いま、政府の役割と市民の力」 講師:梅林宏道(RECNA センター長) 日時:2014 年 11 月 1 日(土)13:30~15:30 講義をする梅林宏道センター長 会場の様子 第 4 回目の平成 26 年度核兵器廃絶市民講座が 11 月 1 日(土)、国立長崎原爆死没者追悼平和 祈念館交流ラウンジにて行われました。 梅林宏道センター長が、「いま、政府の役割と市民の力」と題し、現在の核兵器をめぐる世界の情 勢を解説しつつ、政府の政策をも動かす可能性を持つ市民の声の重要性について、講義しました。 講座には約 40 名の市民が集まり、質疑応答では活発に意見も寄せられ、現在の核兵器をめぐる 問題に市民が果たす役割を再認識する機会となりました。

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いま、政府の役割

と市⺠の⼒

2014年11⽉1⽇ 梅林宏道

核兵器のない世界を目指して

核不拡散条約第6条

各締約国は、核軍備競争の早期の停⽌および 核軍備の縮⼩に関する効果的な措置につき、な らびに厳格かつ効果的な 国際管理の下における 全⾯的かつ完全な軍備縮⼩に関する条約につい て、誠実に交渉をおこなうことを約束する。

各締約国は、核軍備競争の早

期停⽌と核軍備撤廃に関する効

果的な措置につき、誠実に交渉

をおこなうことを約束する。

2000年 NPT合意 「核兵器国は保有核兵器の完全廃棄を達成するという明確な約束 を⾏う。」 2010年 NPT合意 「核兵器のない世界を実現、維持する上で必要な枠組みを確⽴すべ く、すべての加盟国が特別な努⼒ を払うことの必要性を強調する。」 2015年 NPT課題 「核兵器のない世界の実現、維持に必要な枠組みを交渉する場を形 成することに合意する。準備会議 の⽇程に合意する。」

最初の⾮⼈道性共同声明の15か国

(バチカンを除く) スイス ノルウェー ニュージーランド 南アフリカ メキシコ アイルランド エジプト チリ フィリピン ナイジェリア デンマーク コスタリカ マレーシア インドネシア オーストリア ブラジル 非同盟運動 核兵器禁止条約(NWC)に熱心 新アジェンダ連合 非人道性リーダーシップ 下線の国名は多国間軍縮交渉の停滞打開決議の提案14か国

⾮⼈道性リーダーシップ

2012年5⽉ NPT第1回準備委・共同声明 スイス 2012年10⽉ 国連第1委・共同声明 スイス 2013年3⽉ オスロ会議 ノルウェー 2013年4⽉ NPT第2回準備委・共同声明 南ア 2013年10⽉ 国連第1委・共同声明 ニュージーランド 2014年2⽉ ナヤリット会議 メキシコ 2014年10⽉ 国連第1委・共同声明 ニュージーランド 2014年12⽉ ウィーン会議

新アジェンダ連合(NAC)の動き Ⅰ

設⽴声明(1998年) 「核兵器国および核兵器能⼒国 のそれぞれの政府に対して、おの おのが持つ核兵器および核兵器 能⼒を廃棄することを明確に約 束し、その実現のために必要な実 際的な⼿段と交渉を、即座に開 始することに同意するよう、要求 する。」 「核兵器のない世界を維持する ためには、普遍的で多国間で交 渉された条約や、相互に補強し あう⼀連の条約体系が、それを ⽀える必要があるだろう。」 公開作業部会(2013年) 「必要なものは、すべての国に対 して核兵器のない世界の実現を 誓約させ、前述したような相互に 補強しあう要素からなり、無条件 に履⾏され、また、明確に定義さ れた時間枠と評価基準をそなえ た、包括的で法的拘束⼒のある 枠組みである。」 【前述の要素】保有・貯蔵・使 ⽤・威嚇の禁⽌、核兵器削減を 計る現時点の明確化、削減の時 間枠の定め、海外配備の撤去の 時間枠、NPTの全員加盟、 CTBT発効、などなど

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新アジェンダ連合(NAC)の動き Ⅱ

NPT準備委(2014年) 「核兵器のない世界を達成し、 維持するためのさまざまな選択肢 が考えられるし、核軍縮の議論の 中で提案されてきた。これらの選 択肢をいまこそ探求し、討議し、 第6条の要求に照らしてテストさ れるべきである。」 1.包括的核兵器禁⽌条約 (NWC) 2.簡易型核兵器禁⽌条約 (NWBT) 3.相互に⽀え合う法的⽂書の 枠組み 4.混成型の体制(ここには何 でも⼊り得る) 今の国連総会(2014年) 「核兵器のない世界の達成と維 持のための効果的措置に関する 多国間交渉を、遅滞なく、誠実 に⾏うことを、すべての加盟国に 要求する。」 「この⽬的のために、加盟国は、 2015年再検討会議の期間中 に、第6条が描き、要求している 効果的な措置についての選択肢 について探求することを要求す る。」 交渉の場の形成?

核兵器国の核抑⽌政策は続く

米 ロ 仏 中 英 要求に見合った最小限の数で 信頼性のある抑止力を維持 国防は戦略的抑止力を行使す ることを目的とする 核兵器は死活的利益への攻撃 を抑止する手段 核兵器は他国の核攻撃に対す る防衛を唯一の目的とする 最小限の信頼できる核抑止戦 力を維持 2014NPT再検討会議への報告

オバマ⼤統領の6年

07年1⽉ 4⼈の⽶元⾼官のWSジャーナル投稿 09年4⽉ プラハ演説 10年4⽉ ⽶国「核態勢の⾒直し(NPR)」発表 10年4⽉ ⽶ロ新戦略兵器削減条約(START) に署名(11年2⽉に発効) 11年8⽉ ⼤統領府内で「NPR実施研究」開始 13年6⽉ オバマ・ベルリン演説 「合衆国の核使⽤戦略」

オバマ政権初の核政策指針

「本⽇、⼤統領は21世紀の安全保障

環境に整合した合衆国核政策の新しい

指針を発表した。これは彼のプラハ演説と

核兵器のない世界の平和と安全を達成す

るという⻑期⽬標を達成するために取られ

た最新の具体的措置である。」

(⼤統領府ファクトシート、 2013.6.19) 米核政策大統領指針:合衆国核兵器使用戦略

作戦配備戦略核弾頭の削減

「今⽇、私は、追加的な前進措置を明ら かにする。包括的な⾒直しの結果、私は 我々の配備戦略核兵器を最⼤3分の1 削減したとしても、⽶国と同盟国の安全 保障を確かにし、強⼒かつ信頼性のある 戦略的抑⽌を維持することが可能だと結 論づけた。そして私は、冷戦時代の核態 勢を乗り越えるために、ロシアとの交渉によ る削減を追求するつもりである。」 1000~1100発

戦略環境:現在の核の脅威

A. 「もっとも差し迫った極限的危険は、核 テロリズム」 B. 「もうひとつの差し迫った脅威は、とりわ けイランと北朝鮮による核拡散」 C. 「ロシア及び中国との戦略的安定性と いう慣れ親しんだ課題」 米大統領政策司令(PPD24):核兵器使用指針 (2013年6月) 情勢認識と政策の⽭盾 政治的指導⼒の限界

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「冷戦の終焉によって、ソビエト連邦とアメリカ 合衆国のあいだの相互抑⽌という教義は時 代遅れのものになった。抑⽌は、他の国家に よる脅威という⽂脈においては、多くの国家 にとって依然として⼗分な考慮に価するもの とされているが、このような⽬的のために核兵 器に依存することは、ますます危険になってお り、その有効性は低減する⼀⽅である。」 (07.1.5『WSジャーナル』) 4⼈の元⽶⾼官

「核兵器のない世界へ」

オバマ⼤統領

プラハ 09.4.5

「冷戦は過去のものとなった。し かし、何千もの核兵器は消えて いない。世界的な核戦争の脅 威は低下したが、歴史の⽪⾁と いうべきか、核攻撃の危険性は むしろ⾼まった。」 「核兵器を使⽤した唯⼀の核 保有国として、合衆国には⾏ 動する道義的責任がある。… 本⽇、はっきりと、信念をもって、 ⽶国は核兵器のない世界の平 和と安全を追求すると誓約す る 」 →世界が動いた 写真削除 「正義を伴う平和は、核兵器の無い世界の安全保障 を追求することを意味する-それがいかに遠い夢であろ うと。」 ベルリン・ブランデンブルグ門 13.6.19 写真削除 「我々は、もはや世界的 な絶滅の危機の中には いないと⾔えるかもしれな い。しかし、核兵器が存 在する限り我々は真に安 全ではない。我々はテロ リストのネットワークに打 撃を与えることはできる。 だが、過激主義に⽕をつ けるような不安定や不寛 容さに配慮を怠るならば、 結局は我々⾃⾝の⾃由が脅かされるだろう。我々は、世界の 羨望の的となるような⽣活⽔準を享受することができよう。しか し、もし数百万の⼈々が空腹の苦痛や失業の悲しみに耐えて いるとするならば、私たちの繁栄は真のものとは⾔えない。」 写真削除

核兵器についての論じ⽅を変える

-核兵器の⾮⼈道性の焦点化

核兵器が野蛮で、道義に反し、忌むべき 兵器であるという烙印を押すことによって、 ⼀般市⺠の核廃絶の声を⼤きくし、政府 を包囲して、政策変更を迫る。とりわけ核 兵器国と核兵器依存国において、有効な 運動戦略になりうる。 最も成功しつつあるのが⽇本

⽇本政府の共同声明賛同への転換

「核兵器がふたたび、いかなる状況下 においても、使⽤されないことは⼈類の ⽣存にとっての利益です。」 使⽤を前提としない「核の傘」はない→ ⽇本は「核の傘」政策からの転換が必要 「核兵器が⼆度と使⽤されないことを 保証する唯⼀の⽅法は、それらを全⾯ 廃棄することです。」

(28)

⽇本政府の 政策転換を 促すもう⼀つ の⽭盾 核兵器国に対して「核軍縮努⼒ を毎年、報告すべきである」と提 案した項⽬の⼀つ 「軍事・安全保障の概念、ドクト リン、政策における核兵器の役割 と重要性を減らせるために取られ た措置」 核軍縮不拡散イニ シャチブ(NPDI) の作業⽂書 2012年、ウィーン 核兵器に依存する⽇本政府に も同じ要求が跳ね返る。 「核兵器依存の役割と重要性を 減らせるために取られた措置」

国連軍縮諮問委員会から国連事務総長

への勧告

(A/68/206, 2013年7月26日)

「事務総長は、北東アジア非核兵器

地帯の設立に向けた適切な行動を検

討すべきである。とりわけ、事務総

長は、地域国家間の透明性や信頼醸

成を奨励する地域フォーラムの開催

に向けて、いっそう積極的な役割を

果たすことができる。」

市⺠の⼒:3種類の取り組み

新アジェンダ連合などへの勇気づけ 「法的枠組み」の交渉の場の形成 ⾮⼈道性を根拠とする NPTの積み重ねの重視と信頼性を失いつつあるという危機感 ⻑崎から直接の訴えを ⽶オバマ⼤統領への働きかけ 理念の継続 核なき世界はより安全 核なき世界こそ正義 ⽇本政府への働きかけ 「⾮⼈道性共同声明」署名⾏動の転換から政策の転換へ 北東アジア⾮核兵器地帯を公的イッシュ―に 議員、市⺠社会 (もちろん、個々の課題は⼤切)

(29)

第 5 回 「原爆の絵に見る被爆の記憶」 講師:四條知恵(RECNA 客員研究員) 日時:2014 年 12 月 20 日(土)13:30~15:30 講義をする四條知恵客員研究員 会場の様子 第 5 回目の平成 26 年度核兵器廃絶市民講座が 12 月 20 日(土)、国立長崎原爆死没者追悼平 和祈念館交流ラウンジにて行われました。 四條知恵客員研究員が、「原爆の絵に見る被爆の記憶」と題し、これまでに集められた被爆の絵 について、またその意義について話をしました。被爆体験を継ぐことが風化していく中で、集めら れた被爆の絵が新たな価値として認められていることに焦点を当て、講義しました。 講座には約 40 名の市民が集まり、質疑応答では活発に意見も寄せられ、平成 27 年は戦後 70 年 を迎え、これからさらに問題となるであろう被爆体験の風化について、被爆の絵という新たな視点 において、思いを巡らす貴重な時間となりました。

(30)

ex. ・ 文字史料(公式記録、新聞、回想録、小説) ・ 動画、音声 ・ 写真、絵画 ・ 音楽 ・ 記念碑 ◆ 「絵画」 ◆ 戦争の記憶を表象に着目する =歴史的出来事の語りが生み出された社会的、政治的な背景 と、その語りがもたらす意味を考察することが可能になる 記憶を表すもの ● 体系だった研究、整理はあまりなされていない

(1) 収集の経緯

1人の被爆者が持ち込んだ絵をきっかけに、NHK 中国本部(NHK広島放送局)の行った呼びかけに 応え、多くの絵が集まった ● 昭和49~50(1974~1975)年-2,225枚 ● 平成14(2002)年-1,338枚

(2)特徴

● 素人の市民が描いた絵 ● 画材-身近なものを利用 ● さまざまなテーマ、多様な表現方法 (連作、文字併用) (1) 被爆の被害をビジュアル的に後 世に伝える手段の一つ ● 遺品、写真にならぶ特徴ある独自の資料 (その他 映像、証言、手記等) (2) 個人的な体験や記憶から構成されたもの ● 誇張・簡略化され、印象深いシーンのみが 選び取られる

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(3)原爆投下直後の空白を補う資料

● 遺品 ― エピソードから想像力を働かせるしかない ● 写真 ― 被災当日を撮影したものは少ない ● 原爆の絵 ― 被爆者の記憶や当時の気持ちをビジュ アル的に追体験できる ※ 描いてあることをそのまま事実と受け止める ことはできない 原爆の被害に対する正確な知識に基づく検証が必要 (1)なぜこれほどの絵が集まったか ● 呼びかけが行われた時期と、絵の上手 下手は問わないという簡単な表現方法が市 民のニーズにあった ● マスコミが呼びかけを行ったために、広く市 民に周知できた (2)マスコミの取り組み ● 資料の価値の発見 ● 報道という枠を超えた大がかりな 資料収集の一つ 戦争体験のない世代に原爆被害を語り継ぐ 上で、大きな成果を残す (1) 被爆体験の風化 ● 原爆の絵の作者1,213人のうち、死亡が確認 されている方-390人 ● 10年後には直接被爆体験を聞くことは難しくなる (2)「市民が描いた原爆の絵」のクローズアップ 2014年 11月18日付 『長崎新聞』 新聞記事削除 ① 広島平和記念資料館での利用 ● 常設展・企画展での展示 ● 原爆の絵の公式図録 を作成

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② 新たに価値を認められてきた資料 ● ツールとしての重要性 ● 被爆者の高齢化 ● 被爆者が高齢化し、被爆体験が風化しつつ ある中、資料 としての重要性は高まっている ● 今後の研究が望まれる [参考文献] 日本放送協会, 1975, 『劫火を見た 市民の手で原爆の絵を』,日本放送 出版協会. NHK広島放送局, 2003, 『原爆の絵 ヒロシマの記憶』, 日本放送出版協 会. 直野章子, 2004, 『「原爆の絵」と出会う 込められた想いに耳を澄まして』, 岩波書店. 小沢節子, 2005, 「被爆体験の表象/表現」『20世紀における戦争 と表象/芸術-展示・映像・印刷・プロダクツ-』平成15‐16年度科 学研究費基盤研究B(1)研究成果報告書. NHK出版, 2003, 『ヒロシマはどう記録されたか NHKと中国新聞の原爆 報道』, 日本放送出版協会.

参照

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