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1. 実証実験の概要 (1) 目的デジタル教材を使った授業を通して, 以下の3 点を検証しました 1 学力向上に関する効果 2 学習意欲に関する効果 3 効果的な指導方法 (2) 内容タブレット PC を使ったデジタル教材の実証実験期間 : 2016 年 5 月 ~2017 年 3 月対象 : 愛知

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の学習効果と

効果的な指導方法

2016 年度 最終版

1.実証実験の概要 ――――――――――――――――― p.2 2.実証実験の結果 (1)学力向上に関する効果 ―――――――――――― p.4 (2)学習意欲に関する効果 ―――――――――――― p.9 (3)効果的な指導方法 ―――――――――――― p.15 3.実証実験の結果のまとめ ――――――――――――― p.18 4.今後の展望 ――――――――――――――――――― p.19

1人1台タブレット PC 環境における

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2 (1)目的 デジタル教材を使った授業を通して,以下の3点を検証しました。 ①学力向上に関する効果 ②学習意欲に関する効果 ③効果的な指導方法 (2)内容 タブレット PC を使ったデジタル教材の実証実験 期間 : 2016 年5月~2017 年3月 対象 : 愛知県半田市立岩滑小学校 5年1組(丹波 信夫 先生)5年2組(長屋 景子 先生) 使用端末 : Windows タブレット PC(ASUS TransBook T100HA) 40 台

提供コンテンツ : 「デジタル漢字ドリル(デジ漢)」 「デジタル計算ドリル(デジ計)」 ※注1 (3)使用方法及び効果測定方法 期間中,以下の①~③を授業中と家庭学習で定期的に行いました。 ①タブレット PC にインストールした「デジ漢」と「デジ計」を使って学習を行う。 ②学習した漢字の小テストを行い,効果を測る。 ③学期末に児童と保護者に「デジ漢」と「デジ計」についてのアンケートを行う。 ※本報告書に掲載されている漢字の小テストとアンケート結果は,5年1組のものです。 対象クラスの5年1組,5年2組のうち,主に1組でタブレット PC を用いた学習を行 いました。タブレット PC は 40 台用意し,出席番号と同じナンバリングのタブレット PC を児童1人1台使用することで,年間を通して同じタブレットで学習を行いました。 また,主に国語と算数の授業内で使用し,日々の家庭学習と長期休暇では児童が自主的 にタブレット PC を持ち帰り使用しました。

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3 ※注 1 「デジタル漢字ドリル(デジ漢)」は,光文書院の「くりかえし漢字ドリル D」「くりかえ し漢字スキル S」「ちびまる子ちゃんの国語ドリル」「漢字ぐんぐんスキル」「漢字の学習」 の,紙のドリルに付属するデジタル教材です。漢字のゆび書き練習や書き順アニメーション, 熟語の意味表示など,ドリルと合わせて使えるコンテンツを収録しています。 デジタル計算ドリル(デジ計)は,光文書院の「くりかえし計算ドリル T」「横進み式くり かえし計算ドリル Y」「ちびまる子ちゃんの算数ドリル」「書きこみ方眼ドリル 計算ぐんぐ ん」の,紙のドリルに付属するデジタル教材です。計算問題や,誤答に応じた既習の計算の 復習,計算フラッシュカード,算数ツール,算数ゲームなど,ドリルと合わせて使えるコン テンツを収録しています。 「デジ漢」「デジ計」ともに,タブレット端末にインストールして個別学習で使ったり, 電子黒板やデジタルテレビ,プロジェクターなどに映して一斉学習で使ったりすることが できます。 ▲デジ計 れんしゅう ▲デジ漢 漢字書きマスター

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4 (1)学力向上に関する効果 ①小テストの結果からみた考察(客観的評価) デジ漢を使用した学習の学力向上に関する 効果を測定するために,1年間にわたって定 期的に漢字の小テストを実施しました。ここ での記述は,2学期までに実施したテストの 結果を取り上げています。 小テストは紙のくりかえし漢字ドリル「書 く」ページ対応の問題で,新出漢字のまとまり ごとに全31 回(10 問/回)実施しました。そ のうち最初の3回は,デジ漢使用前の学習で のテストになります。ここでは,通級児童2 名を除く 35 名の点数の推移から,デジ漢の 学力向上に関する効果について考察します。 小テストのクラス全体の平 均点は,デジ漢使用前の学習で は73.0 点だったのに対し,デ ジ漢使用後の学習では,1学 期・2学期ともに残念ながらあ まり変化は見られませんでし た。 しかし,デジ漢使用前のテス トの平均点が80 点未満だった 児童(35 名中 13 名)に注目し たところ,デジ漢使用後の学習 では,平均点が 40.9 点から 54.9 点まで伸び,14 点の点数 アップが見られました。 ▲定期的に実施した漢字の小テスト 72.5 点 73.0 点 40.9 点 54.9 点

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5 中でも学力向上が顕著に見られた児童について,考察を加えます。 児童A は,デジ漢使用前の平均点は 60.0 点で,クラスでは低位~中位の成績でしたが, デジ漢を使用した学習では,1学期には93.3 点,2学期には 95.6 点に平均点を伸ばし, クラス全体の中で上位の成績となりました。また,デジ漢使用前のテストでは 100 点を 取ることはなかったのですが,デジ漢を使用したところ,28 回のテストのうち 75%のテ ストで100 点を取ることができました。 児童 B は,デジ漢使用前の全3回のテストが全て0点でした。しかし,デジ漢を使用 し始めてから0点を取ることが減り,1学期には26 点,2学期には 31 点まで平均点を 伸ばしました。担任の丹波先生によると,この児童の他にも,テストでの無解答が多かっ た児童の無解答率が減る傾向が見られたそうです。デジ漢を使用することで,テストに取 り組む児童の姿勢にも変化が見られました。 右は,児童B の学習履歴です。漢字 書きマスターの取り組みの様子を見る ことができます。色がついている漢字 は3回以上ゆび書き練習をしたもの で,その中でも花丸がついている漢字 は,書き順やとめ・はね・はらいがしっ かり書けていたものです。この学習履 歴から,児童B がデジ漢を使った練習 によく取り組んでいることがうかが え,またこの取り組みがテストの無解 答率低下につながっているものと考察できます。 以上の結果から,デジ漢を使用した学習は,特に学力が低位~中位の児童において,学 力向上の効果が見られることがわかりました。これは,後述するデジタル教材の学習意欲 に関する効果とも密接な関係があると考えられます。 4月 5月 6月 7月 9月 10 月 11 月 12 月 4月 5月 6月 7月 9月 10 月 11 月 12 月 ▲児童 B の学習履歴

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6 ②アンケートの結果からみた考察(自己評価) デジ漢・デジ計を使用した学習の学力向上の効果について,児童自身がどう感じている かを検証するため,児童に対してアンケートを実施しました。以下,そのアンケート項目 と結果です。 ▼児童アンケート 1学期(2016 年 7 月実施) ▼児童アンケート 2学期(2016 年 12 月実施) 1.とても そう思う 30% 2.少し そう思う 46% 3.あまり思 わない 19% 4.まったく思わない 5% デジ漢を使った漢字の学習で,漢字が 書けるようになったと思いますか。 ▼児童アンケート 2学期(2016 年 12 月実施) 1.とても そう思う 27% 2.少しそう思う 35% 3.あまり 思わない 27% 4.まったく思わない 11% デジ計を使った計算の学習で,計算が できるようになったと思いますか。 1.とても そう思う 26% 2.少し そう思う 59% 3.あまり 思わない 15% 4.まったく 思わない0% デジ漢を使った漢字の学習で,漢字が 書けるようになったと思いますか。 1.とても そう思う 23% 2.少しそう思う 54% 3.あまり 思わない 20% 4.まったく 思わない3% デジ計を使った計算の学習で,計算が できるようになったと思いますか。 ▼児童アンケート 1学期(2016 年 7 月実施)

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7 【「1.とてもそう思う」「2.少しそう思う」と回答した児童の割合】 【「3.あまり思わない」「4.まったく思わない」と回答した児童の割合】 【「1.とてもそう思う」「2.少しそう思う」と回答した児童の割合】 【「3.あまり思わない」「4.まったく思わない」と回答した児童の割合】 <デジ漢に関する考察> デジ漢を使い始めた1学期は,「1.とてもそう思う」「2.少しそう思う」と回答した児 童は75.6%にとどまり,「3.あまり思わない」「4.まったく思わない」と回答した児童が 24.3%いました。しかし2学期のアンケートでは,84.6%の児童が「1.とてもそう思う」 「2.少しそう思う」と回答し,「3.あまり思わない」と回答した児童が 15.4%,「4.まっ たく思わない」と回答した児童はいませんでした。漢字学習にデジ漢を導入して半年余 りの間に,児童自身がデジ漢を効果的に活用したそれぞれの学習スタイルを見出し, 学習効果を感じ始めているのだと考えられます。 <デジ計に関する考察> デジ計についても,1学期は,「1.とてもそう思う」「2.少しそう思う」と回答した児 童は62.1%だったのが,2学期のアンケートでは,76.9%の児童が「1.とてもそう思う」 「2.少しそう思う」と回答しました。また,「あまり思わない」「4.まったく思わない」 と回答した児童も,1学期から2学期で37.8%から 23.1%に減少しました。 1学期末 28 人(75.6%) 2学期末 33 人(84.6%) 1学期末 9 人(24.3%) 2学期末 6 人(15.4%) 1学期末 23 人(62.1%) 2学期末 30 人(76.9%) 1学期末 14 人(37.8%) 2学期末 9 人(23.1%)

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8 【児童アンケート】2学期(2016 年 12 月実施) ○デジ計を使った計算の学習で,どのようなところがよいと思いますか。 ・やりかたがわからないもんだいがわかるようになるところがいい。 ・デジ計がはじまったときから,計算ができるようになった。 ・計算をまちがえたら,自分にあったふりかえりができる。 【児童アンケート】1学期(2016 年 7 月実施) ○デジ計を使った計算の学習で,どのようなところがよいと思いますか。 ・計算のやり方が分かった。 ・算数のテストに生かせたと思います。 ・まちがったところをまたみなおしてとけること。 さらに,アンケートでの自由記述では,以下のようなコメントが得られました。 「やり方がわかるようになった」「計算ができるようになった」など,児童自身が学 力向上を実感していることが読み取れます。またその背景には,デジ計の「まちがった ところを見直して解ける」「自分に合ったふりかえりができる」といった特長があるこ とがうかがえます。デジ計は児童一人ひとりの苦手に合わせた問題を出せるので,児童 は自らの課題を認識し,苦手克服につなげることができます。これは,デジタル教材な らではの学習効果だと考えます。 デジ計は,今回の実証実験では定期的な学力テストを実施しなかったため,学力向上 について客観的評価による十分な検証結果を得ることはできませんでしたが,児童の 自己評価の観点から,デジ漢同様に学力向上における効果があったと考察されます。

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9 (2)学習意欲に関する効果 児童へのアンケート内に学習意欲に関する項目を設けました。 漢字と計算それぞれで,紙のドリルを使った学習とデジタル教材を使った学習が楽し いと思うかについて,4段階で回答しています。 1.とても そう思う 32% 2.少しそう思う 38% 3.あま り思わな い 22% 4.まったく思わない 8% 紙の漢字ドリルを使った漢字の 学習は,楽しいと思いますか。 1.とてもそう思う 65% 2.少 しそう 思う 24% 3.あ まり思 わない 3% 4.まったく思わない 8% デジ漢を使った漢字の学習は, 楽しいと思いますか。 1.とてもそ う思う 41% 2.少しそう思う 22% 3.あまり思 わない 13% 4.まったく 思わない 24% 紙の計算ドリルを使った計算の 学習は,楽しいと思いますか。 1.とても そう思う 41% 2.少しそう 思う 30% 3.あ まり思 わない 16% 4.まったく 思わない 13% デジ計を使った計算の学習は, 楽しいと思いますか。 1.とてもそう 思う 31% 2.少しそう思う 46% 3.あまり 思わない 20% 4.まった く思わない 3% 紙の漢字ドリルを使った漢字の 学習は,楽しいと思いますか。 1.とても そう思う 41% 2.少し そう思う 41% 3.あま り思わな い 18% 4.まったく 思わない 0% デジ漢を使った漢字の学習は, 楽しいと思いますか。 1.とても そう思う 33% 2.少しそう思う 31% 3.あ まり思 わない 23% 4.まったく 思わない 13% 紙の計算ドリルを使った計算の 学習は,楽しいと思いますか。 1.とても そう思う 44% 2.少し そう思う 33% 3.あま り思わな い 20% 4.まったく 思わない 3% デジ計を使った計算の学習は, 楽しいと思いますか。 ▼児童アンケート 1学期(2016 年 7 月実施) ▼児童アンケート 2学期(2016 年 12 月実施) ▼児童アンケート 2学期(2016 年 12 月実施) ▼児童アンケート 1学期(2016 年 7 月実施)

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10 ①デジ漢・デジ計は紙のドリルよりも楽しい 1学期のアンケートにおいて,デジ漢・デジ計を使った学習が楽しいと回答している児童 の割合は,紙の教材を使った学習が楽しいと回答している児童の割合よりも,漢字で19.0%, 計算で 8.1%高くなっています(「1.とてもそう思う」「2.少しそう思う」と答えた児童の合 計)。デジタル教材という新しいツールを与えられたことで,学習意欲が高まっていること がわかります。 担任の丹波先生にお聞きしたところ,「タブレ ットPC のような新しい機器を与えると『マイン ドリセット効果』が生まれ,成績の上位下位に関 わらず一斉スタートとなるので,紙ではうまくで きなかった児童もやる気になる。」とおっしゃっ ていました。実際に授業を視察していても,ノー トやプリントを使った学習では集中して取り組 むことが難しい児童が,タブレットPC の学習で あれば『マインドリセット効果』により積極的に 取り組む姿が見られました。 デジタル教材への興味や学習意欲の向上は,アンケートの自由記述からもうかがえます。 また,保護者のアンケートからも,児童が意欲をもって取り組んでいる様子がわかります。 デジタル教材を与えられると児童は,特に導入時において,紙の教材よりも意欲をもって 取り組むことができると考えられます。 【児童アンケート】1学期(2016 年7月実施) ○デジ漢・デジ計を使った漢字・計算の学習で,どのようなところがよいと思いますか。 ・紙だとつまらなかった学習が,デジタルというだけで楽しく学べた。 ・今まで紙でやってきたけど,デジタルになったのでこうきしんがわきました。 ・てきとうにやらずにタブレットをやることでやる気が出て楽しくやれる。 【保護者アンケート】1学期(2016 年7月実施) ○デジタル教材(デジ漢・デジ計)を家庭学習で使ってみて,良かった点・悪かった点 などのご意見やご感想がありましたならお書きください。 ・いつもと違う宿題に気分がかわってよかった。家族もタブレットに興味をもち,本人 に話をきいたり,やらせてもらったりし,交流,会話が増えてよかった。 ・デジタル教材にとても興味があり,楽しそうに学習していました。 ・タブレットという面で興味を持ち,宿題に早く取り組むという面で意欲は上がった様 に思います。 ▲デジタル教材なら意欲をもって学習に取り組める。

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11 ②意欲の低い児童群の学習意欲向上 1学期実施のアンケートと2学期実施のアンケートを比較すると,「デジ漢を使った漢字 の学習は,楽しいと思いますか。」という質問に対して「1.とてもそう思う」と回答した児 童数は8 名減少しています。タブレット PC を使い始めて約半年が経ち,日々の学習ツール として定着したことで,物珍しさからくる興味や意欲は低くなったと考えられます。ただ, 「2.少しそう思う」と回答した児童も加えると,82.0%と依然高い水準となっており,デジ 漢を使うことで楽しんで漢字の学習に取り組めていることがわかります。 一方で,同じ質問に対して「4.まったく思わない」と回答した児童が 3 人から 0 人に減少 しています。デジ計でも同様に,「デジ計を使った計算の学習は,楽しいと思いますか。」と いう質問に「4.まったく思わない」と回答した児童が 5 人から 1 人に減っています。最初は デジタル教材による学習にも意欲がもてなかった児童も,半年間使うことで意欲をもつこ とができるようになったと考えられます。 また,デジタル教材だけでなく,紙の教材についても意欲の低い児童群の減少が見られま す。 デジタル教材を使用して漢字や計算の学習に意欲的に取り組めたことで,紙の教材を使 った学習も含めた漢字・計算の学習自体への意欲が上がったことが考察されます。 アンケートの自由記述からも,同様のことがわかります。 デジタル教材は,特に意欲の低い児童に対して,学習全体への意欲向上に効果があると 考えられます。 【「4.まったく思わない」と回答した児童の割合】 ○紙の漢字ドリルを使った漢字の学習は,楽しいと思いますか。 ○紙の計算ドリルを使った計算の学習は,楽しいと思いますか。 【児童アンケート】2学期(2016 年 12 月実施) ○デジ漢・デジ計を使った漢字・計算の学習で,どのようなところがよいと思いますか。 ・今まで行ってきた紙とはちがって,初めてデジタルで学習して楽しいと思ったので, 続けていきたいと思えるところ。 ・見やすい。せいげん時間が短いので,終わってから待たなくてもいい。前まで計算が きらいだったけれど,大好きになりました。 1学期末 3 人(8.1%) 2学期末 1人(2.6%) 1学期末 9人(24.3%) 2学期末 5人(12.8%)

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12 ③学習意欲向上に効果的な機能 デジ漢,デジ計に収録されている様々な機能について,どの機能が意欲の向上に効果的な のでしょうか。児童アンケートなどからわかった特に効果的と思われる機能4つについて, 報告します。 <即時フィードバック機能> 児童アンケートの自由記述ではフィードバック機能に関する記述が多く見られました。 デジ漢の「デジてん」に搭載しているなぞり書き機能では, 書き順が合っているかを一画ごとに判定して,リアルタイムで 児童にフィードバックします。また「漢字書きマスター」では, 書き順に加えて「とめ」「はね」「はらい」も自動で判定され, 字形のアドバイスが表示されます。 先生一人では児童一人ひとりの漢字を細かく見てフィード バックするのには時間がかかりますが,デジ漢であれば一人 ひとりの漢字をその場で判定してすぐにフィードバックする ことができます。また,紙の教材では難しい書き順のフィード バックも,デジ漢を使うことで可能になります。デジ漢が先生 の代わりになって教えてくれることで,児童は意欲をもって 取り組むことができているようです。 デジ計では,「れんしゅう」の機能を使ってタブレット上で計 算を解くと,即時に正解・不正解を判定して○や✓が出ます。 紙の教材だと,ページ全ての問題を解いてから答えを見て丸つ けをしていたのですが,デジ計ではすぐに計算の正誤が判定さ 【児童アンケート】2学期(2016 年 12 月実施) ○デジ漢を使った漢字の学習で,どのようなところがよいと思いますか。 ・書き順をまちがえたら教えてくれること。 ・はねてないとかを教えてくれるところ。 ・自分の字が上手じゃないか分かるところがいいところ。 【児童アンケート】2学期(2016 年 12 月実施) ○デジ計を使った計算の学習で,どのようなところがよいと思いますか。 ・まちがったりすると,すぐ分かる。 ・計算をまちがえたら,自分にあったふりかえりができる。 ・自動で丸付けを行うところ。 ▲「漢字書きマスター」 ▲「れんしゅう」 ▲「デジてん」のなぞり書き機能

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13 れるので,クイズ感覚で楽しみながら取り組めるようです。 また,結果発表画面では,児童が解いた結果から苦手な計算 の型を自動で判定して表示します。更にそこから苦手な型を解 き直したり,誤答に合わせた既習の問題に戻ったりすることが できます。 デジ計についてもデジ漢と同様に,先生代わりとなってフィ ードバックしてくれることに,児童は意欲を感じているようです。 デジ漢・デジ計の即時フィードバック機能を使うことで,自分に合ったフィードバックを 受けて,自分の漢字・計算の力を伸ばしたいと思う児童が多いことがわかりました。 <アニメーション機能> デジタルならではのアニメーション機能についても,児童の意欲を高めることに効果的 であることが児童アンケートからわかりました。 デジ漢の「書き順アニメーション」に関する記述 は非常に多く,2学期のアンケートでは,自由記述 に回答している35 名中 13 名が「書き順アニメーシ ョン」について触れています。その中でも特に,上 記のように紙の教材と比較しての感想が多く見受 けられます。紙の教材でわかりにくかったところが デジ漢のアニメーション機能によって改善され,意 欲的に取り組んでいる様子がわかります。 【児童アンケート】2学期(2016 年 12 月実施) ○デジ漢を使った漢字の学習で,どのようなところがよいと思いますか。 ・漢字ドリルだと書きじゅんがおぼえにくいけど,デジ漢はえいぞうなので,おぼえや すいところです。 ・紙だと右からなのか左からなのかが分からない所が,分かってよいと思いました。 ・かきじゅんがすごくわかりやすい。 ・正しい書き順が覚えられるところ。 ▲デジ漢の「書き順アニメーション」 ▲結果発表画面

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14 <問題数と時間の設定機能> 一方デジ計では,取り組む問題数や時間の設定に関する記述が多く見られました。 デジ計の「れんしゅう」では,計算に取り組む問 題数と時間を児童自身で設定することができます。 一斉学習の場では授業の残り時間などを考えて先生 が問題数や時間を指示する場合が多いのですが,児 童自身で個別学習に取り組む場合には,自分で目標 の問題数や時間を決めて取り組み,クリアすること に達成感を感じているようです。 <学習履歴の表示> デジ漢・デジ計には,児童や先生が学習履歴を確 認できる機能があります。アンケートでは特に言及 されていませんでしたが,この学習履歴の表示機能 も,意欲の向上に効果があるようです。右は,ある 児童が休み時間にデジ漢の学習履歴を友達に見せ ている様子です。デジ漢の学習履歴は,児童の取り 組み結果を漢字の一覧表に示して見られるもので, すべてのコンテンツに取り組むと漢字のアイコン がメダルに変わるようになっています。この児童 は,学習履歴をコンプリートさせるために,全漢字・ 全コンテンツに取り組んでいました。アイコンが増 えたり,コンプリートすると色が変わったりするな どのコレクション性があると,学習に取り組むモチ ベーションにつながるようです。 【児童アンケート】2学期(2016 年 12 月実施) ○デジ計を使った計算の学習で,どのようなところがよいと思いますか。 ・タイムもきめれるので,自分の実力がどのくらいか分かる。 ・問だいの数や時間を自分の好きなようにきめれる所。 ・時間などを決めてできるから,目標の時間をめざして計算がはやくなる。 ▲デジ計の問題数・時間設定画面 ▲デジ漢の学習履歴をのぞきこむ児童たち ▲コンプリートしたデジ漢の学習履歴

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15 <1日目> デジ漢で新出漢字を確認する(授業中) 「デジてん」で漢字の書き順や使い方などを確認する。(10 分) <2日目> デジ漢で新出漢字を練習する(授業中) 「漢字書きマスター」でゆび書き練習を行い,正しい書き順と字形を身につける。(10 分) <3日目> 紙に書いて新出漢字を練習する(家庭学習) デジ漢で学習した漢字をドリルやノートに鉛筆で書いて練習する。(10 分) <4日目> テスト①を行う(授業中) 紙のドリル「読む」「書く」のテストを行う。 <5日目> テスト②を行う(授業中) 紙のドリル「読む」「書く」のテストを行う。 (3)効果的な指導方法 今回の実証実験では,丹波先生のご協力のもと,デジ漢・デジ計を使った様々な授業を 実践していただきました。ここでは,その実践を通して得た効果的な指導方法を報告しま す。 ①デジ漢 デジ漢と紙の教材を組み合わせた学習サイクル <指導のポイント> ・紙に書く前にデジ漢でゆび書き練習 鉛筆書きの前にデジ漢でゆび書き練習をすること で,漢字練習に対する児童の心理的なハードルを下 げ,スムーズに学習に入れるようになりました。こ れは,文字を書くことが苦手な児童にとって特に効 果的でした。 ・アニメーションや自動判定による書き順指導 音と動きによるアニメーションを使って,視覚・聴覚に訴える書き順指導を行いまし た。紙の教材での学習よりも書き順が確認しやすいため,児童の書き順に対する意識が 向上しました。また,アニメーションの再生となぞり書き練習を交互に行うことで,よ り書き順の定着が図れました。デジ漢のなぞり書きでは自動判定による即時フィード バックがされるので,まちがえたところをすぐに認識し,その場で改善することができ ます。紙の教材では限界があった書き順の指導も,デジ漢を使うことで可能になりまし た。 ▲ゆび書き練習の様子

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16 ・自動判定による字形指導 デジ漢の「とめ」「はね」「はらい」のフィードバックによる字形指導は,漢字の細部 を意識させるのに効果的でした。また,紙のドリルでは反復練習をするうちに字形が崩 れてしまうこともありますが,デジ漢では毎回フィードバックが出るので,一字一字を 丁寧に書こうという意識が生まれました。これは,児童のモチベーションを高め,従来 型の漢字反復練習のストレスや苦手意識を軽減する効果もありました。 ・児童一人ひとりの学力や進度に合わせた学習をサポート デジ漢には,この学習サイクルで使用する「デジてん」「漢字書きマスター」以外に も,漢字の組み立てを意識させるパズルや読み方の練習をするフラッシュカードなど, 豊富なコンテンツが搭載されています。児童の苦手に合わせてコンテンツを使用する ことで,児童一人ひとりの実態に合わせた学習をサポートすることができます。 <今後の展望> 授業を実践された丹波先生は,「今回の実践では,1日目・2日目のデジ漢を使用し た学習は授業内に行ったが,今後タブレットの家庭への持ち帰りがさらに進めば,デジ 漢を家庭学習で活用し,反転授業をすることができる。この実践は,すでに反転授業の 入り口に来ていると感じている。」とおっしゃっています。実際に,2学期からの学習 では,従来型の漢字の一斉指導は行わず,テスト以外は全て個別での学習になりました。 デジ漢を使うことで児童が自主的に学習に取り組めるので,教師の負担軽減にもつな がっています。今後,限られた授業時数の中で漢字学習をどう位置付けていくか,デジ 漢を使った漢字学習の可能性に期待がかかります。 ②デジ計 紙の教材で習熟後にデジ計で定着の確認 1.紙の教材で計算の習熟(家庭学習) 紙のドリルとノートを使って計算に取り組む。 先生もしくは自分で採点を行い,間違えた問題についてはノートに解き直す。 2.デジ計で定着の確認(授業中) デジ計で該当の計算の型を指定し,問題数・時間を設定して取り組む。 苦手な型についてはデジ計で解き直し,定着を図る。

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17 <指導のポイント> ・計算の解き方やノートの書き方をしっかり指導 まずは紙のドリルとノートを使って計算に取り組ませることで,計算の解き方やノ ートの書き方をしっかり指導することができます。 ・テストでのデジ計使用による児童の意欲の向上 「テスト」(定着の確認や評価)というと児童が意欲をもって取り組めないこともあ りますが,デジ計を使用することで即時フィードバック機能などにより,意欲をもって 取り組ませることができました。 ・個の苦手に応じた手立て デジ計では児童一人ひとりの定着していない計算の型が自動でフィードバックされ, 苦手な型の問題に再度チャレンジしたり既習に戻って復習したりできるため,個に合 った指導を行うことができます。自身の苦手を把握し,それが解けるようになることで, 意欲をもって計算練習に取り組むことができました。 ・教師の負担の軽減 デジ計では自動で答えが採点されるため,通常の紙の小テストなどに比べて教師の 採点の負担を軽減することができました。また,上記フィードバック機能があるので, 全員に対して教師が個別にフィードバックする必要がありません。デジタル上で既習 に戻ることができるので前学年のプリントなどを用意する手間もなく,その分の時間 を別の指導にあてることができました。 <今後の展望> 今回の実証実験から,デジ計を使うことで児童が意欲をもって計算練習に取り組み, またフィードバックから自分の苦手を意識して克服できるようになることがわかって きました。計算の習熟やその定着の確認について,従来は教師が行っていたフィードバ ックの一部をデジ計が担うことによって,教師はアクティブラーニングや気になる児 童への個別指導に,より重点的に取り組むことができるようになります。今後,基礎・ 基本の学力定着に加えて思考力・表現力などの多様な力が求められていく中で,より効 果的に計算力をつけるツールとして,デジ計が算数教育に寄与するところは大きいと 考えられます。

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18 (1)学力向上に関する効果 ①客観的評価 ・漢字小テストの結果から,特に学力が低位~中位の児童において,デジ漢で学習するこ とによって平均14 点の学力向上の効果が見られた。 ②自己評価 ・<デジ漢>アンケートの結果から,デジ漢を使用したことで漢字が書けるようになった と児童自身が感じていることがわかった。 ・<デジ計>アンケートの結果から,デジ計を使用したことで計算ができるようになった と児童自身が感じていることがわかった。 (2)学習意欲に関する効果 ①紙の教材とデジタル教材の比較 ・タブレットPC のような新しい機器での学習は,成績の上位下位に関わらず一斉スター トになるため,紙ではうまくできなかった児童の意欲向上にもつながった。 ・デジタル教材を使うことで,特に導入時において,紙の教材よりも意欲をもって取り組 むことができることがわかった。 ②意欲の低い児童群の学習意欲の向上 ・特に学習に対する意欲の低い児童の学習意欲向上に効果があった。 ・デジタル教材を使用することで,紙のドリルを使った学習を含め,漢字・計算の学習 全体への意欲が上がった。 ③学習意欲向上に効果的な機能 ・以下の機能が学習意欲向上に効果があることがわかった。 ‣即時フィードバック機能 ‣アニメーション機能 ‣問題数と時間の設定機能 ‣学習履歴の表示 (3)効果的な指導方法 ・実証実験を通じて以下の指導方法が効果的であることがわかった。 <デジ漢>デジ漢と紙の教材を組み合わせた学習サイクル <デジ計>紙の教材で習熟後にデジ計で定着の確認

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19 今回の実証実験では5年生を対象に実施し,タブレットPC の使用頻度が多かった1組の データから,①学力向上に関する効果,②学習意欲に関する効果,③効果的な指導方法を検 証することができました。 今後は,以下の検証方法も併せて実施していきたいと考えています。 (1)長期的な検証 デジタル教材を使って年単位で継続して学習した効果を検証する。 (2)検証対象の学年の拡充 低・中学年の児童も対象とした検証を行う。また,学年に応じた効果的な指導方法も 探る。 (3)デジタル教材を使用・未使用の児童の比較 デジタル教材を未使用の児童と,使用した児童との学力向上と学習意欲を比較,検証 する。 今回の実証実験を受け,2017 年 5 月より規模を拡大して複数の学校で実証実験を実施す ることが決定しました。引き続き今回の課題を踏まえ検証を進めていきます。実証実験の経 過,結果などにつきましては光文書院Web サイト(http://www.kobun.co.jp/)に掲載予定 です。 今後も,児童が学ぶことが好きになる図書教材,デジタル教材の開発のため引き続き努め てまいります。

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