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流紋岩風化残積土の基本的性質と二次的性質について-香川大学学術情報リポジトリ

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流紋岩風化残債土の基本的性質と

二次的性質について

青 柳 省 吾,横 瀬 廉 司

ON THE FUNDAMENTAL AND SECONDARY

PROPERTIES OF RESIDUAL RHYORITIC SOILS

Sh6go AoYANAGIand HirojiYoKOSE

Residualsoilssucceed stonglythe properties o董theiImOther rocksTheauthorsareintendingto clarify the

physicalproperties of various residualsoils having diflerent mother rocksln this paper,the fundamentaland

SeCOndary properties of residualrhyoritic soils are described The results are summarized aslollows

1)FundamentalpIOPerties

These residuahhyoritic soilswere principa11ycomposed olgravelsand sands Thespecilicsurfacesofthese

SOils were43∼137Ⅰ戎/g The specific gravities o董these soils were254∼258

2)Secondary properties

The water holding capacities olthese residualfhyoritic soils were sma11er than those oiresidualandesitic

SOils The optimum moisture contents of these soils were15∼30% The maximum dry densiti(S O董 these soils Were14∼18g/c適Thespecilic suriaceshadaparticularlystronginfluenceonthewater holdingcapacitiesand

the compaction properties of these residualrhyor・itic soils

風化残街土ほ,母岩の性質を強く受iナ継いでいる。筆名らは,母岩の異なった種々の風化残債土の物理的性質を・明 らかにしようと試みている。本文では,流紋岩風化残桁土の基本的性質と二次的性質について述べる。 1)基本的性質 これらの流紋岩風化残借士は,主にレキ分と砂分で構成されている。比表面掛ま,43∼13“7ni/gであった。比重 は,254′∼2.58であった。 2)二次的性質 これらの流紋岩風化残看守士の保水性ほ,安山岩風化残黄土に比べて小さい。最適含水比は,15∼30%であった。最 大乾燥密度は,14∼18g/c涌であった。比表面街が,保水性と締固め特性に大きく影響Lている。 Ⅰ富えがき 岩石類が種々の風化作用を受けて分解した後,他所に運はれることなく,その場に残存している、いわゆる風化残 街土ほ,全国的にも広く分布している。香川県では,県全面街の約30%が,領家花コウ岩類で占められており,した がって,その風化残療士であるマサ土も広く分布している。花コウ岩風化残黄土(マサ土)に次いで,安山岩風化残 窮土の分布が見られる。また,これらに比べると分布範囲は狭いが,流紋岩,セン緑岩の風化残研土の分布が見られ る。丘陵,山岳地掛こおける農地造成,道路建設などの工事施工においては,これらの風化残療土地帯に遭遇するこ とも多い。しかし,花コウ岩風化残黄土を除いては,これらの風化残街士の物理的性質については,未解明の部分が 多い。 母岩が,ほぼ同仙種であれば,生成される風化残析土も,ある程度共通した物理的性質を持つと考えられる。筆名

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香川大学農学部学術報告 第38巻 第2号(1987) .58 らは,従来から風化残額土の物理的性質について検討している。花コウ岩風化残壇土および安山岩風化残額土の基本 的性質と二次的性質については,すでに報告し,基本的性質の内でも,とくに比表面横が二次的性質に関連している ことを述べた。‖2)締固め後のセソ断強さと水分保持特性についても報告し,締固め土中に含まれる水分のpF傾が,セ ン断強さに大きく影響することを述べた。、34)また,水の浸透による,セン断強さと水分保持特性の変化についても,す でに報焦した。潮 ここでほ,酸性の噴出岩である流紋岩の風化残償士の基本的性質と二次的性質について述べる。 流紋岩ほ,酸性のマクマ成分が地表近くで,急激に冷やされて生成される。したがって\酸性のマグマ成分が地下 深くで,徐々に冷却して国籍した花コウ岩類とは,鉱物組成や含まれているケイ酸の還でほ,大きな逢いはない。し かし∴組織的にほ花コウ岩ほ,比較的大きな結晶からなる完品質であり,一方,流紋岩は,細かな石基を含む半品質 である。また,同じ噴出岩に属する安山岩とは,同じように半品質であり∴組織的にほ大差がない。しかし,安山岩 に比べて∴有色鉱物が少なくケイ酸の鼻が多い。したがって,流紋岩が風化した場合,安山岩風化残欝土に比べて, 細粒径部分の少ない士が生成されると考えられる。 J供試土 流紋岩風化残騎士として,次の5種を用いた。 a)力石A士および力石B土 採取地は香川県大川郡長尾町力石である。 b)嶽L圧土 採取地は香川県木田郡三木町嶽山である。 c)筒野土 採取地ほ香川県大川郡大川町簡野である。 d)井上士 採取地は香川県木田郡≡木町井上である。 Ⅲ“基本的性質について 1)粒径分布 粒径分布は,〃S A1204により測定した。・6)ただし,風化残撥土ほ風化途上にあり,外力によって士粒子が破砕され やすく,粒径が変わりやすい。それゆえ,初期状態の調整方法としては,無理な破砕を避けるために,肉眼で土塊を 判別しながら木槌で軽く打つか,手で軽く,もみほぐすことによって調整し,5nlmフルイによって粗レキを除いた。 供試土の粒径加療曲線を図−1に示した。これらの流紋岩風化残祈士は,レキ粒径部分,砂粒径部分を多く含み, 60∼90%を占めており,花コウ岩風化残債士に顆似した粒皮を示している。また,同じ噴出岩であっても,中性の岩 を母岩とする安山岩風化残街土が,細粒径部分を・30∼80%含むのに比べて,流紋岩風化残療士の細粒径部分は,10∼ 40%であり少な目である。このことは,前述したように安山岩に比べて,流紋岩のケイ酸品が多く,有色鉱物毘が少 ないことによると考えられる。 2)比重 比蚤は,JIS A1202によって測定した。6÷供試土の比重ほ,力石A土で2.58,力石B士で256∴嶽山士で256,筒野 土および井上士で2,54を示した。花コウ岩風化残街土が,263∼268の値を示したのに比べて,小さ目である。この ことは,岩石とし七の生成過程の速いによるものと考えられる。また,安山岩風化残析士が,260∼2−75の値を示し たのに比べても,小さ目である。このことほ,安山岩に比べて,流紋岩の着色鉱物払が少ないことによるものと考え られる。 3)比表面療 比表面街の測定は∴窒素ガス吸着法(BEノT■法)によった。測定には,柴田化学KKの迅速此表面療測定装置 SA−1000を使用した。試料の調整方法としてほ,74ノノ以下の細粒径部分についてほ,供試土を風乾した後,フルイ分 断こよって採取し,それ以上の粗粒径部分については,水中でフルイ分けて採取した後,炉乾燥しで比表面横測定試

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加横通過率P㈲ 0005 001 0.05 0.1 05 10 5.0 100 粒径d(mm) 匪ト1 供訊1の粒径加桔l裾線 表−1供試士の比表面積(最/g) 粒径(mm) 0074以 ̄下 0074∼042 042∼ 20 20へ一476 全粒径 供試士 力石A」∴ 8 3 89 16 0 164 137 力石B二L 82 84 70 61 75 嶽Ij」土 12′7 125 119 95 111 筒野土 154 104 21 井上 二土 7 3 26 18 30 43 験に供した。 比表面私の測定結果を義一1に示した。これらの流紋岩風化残私土の比表面釈は,43∼137ni/gの範掛こあり, 花コウ岩風化残街土と,ほとんど逢わない。しかし,粗粒径部分の比表面阻ま,18∼164r漬/gの範囲にあり,花コ ウ岩風化残粘土の比表面横が,0,3∼35ni/gを示したのに比べて大きい。また,安山岩風化残看守土の比表面掛こ比べ て,流紋岩風化残机土の比表面析は,全粒径にわたって非偏に小さい。 Ⅳ二次的性質 1) コソンステンシー特性 コンンステンシー試験として,液性限界(LL.)試験,ノ性限界(P L・),試験を行った。実験方法は,それぞれ JIS A1205,JIS A1206によった。6」

コンシステンシー試険の結果を表−2に示した。これらの流紋岩風化残枇士のLL値,PL値およびPI値は,同 じ噴出岩である安山岩風化残税土に比べて小さく,安山岩風化残祈土ほどには∴粘性士的性質を持っていないことが わかる。このことは,安山岩風化残研土に比べて,流紋岩風化残研土の比表面群が小さ目であることにも影響されて いる。

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香川大学農学部学術報告 第38巻 第2号(1987) 表−2 供試土のコンンステンシー 40 供 試 士 LL PL P I 力石A士 421 335 86 99 力石B土 384 303 81 146 嶽山士 425 27 9 146 81 筒野士 527 240 28 7 164 井 211 99 63 5 10 15 比表面積SS(d/g) 図−2 液性限界と比表面街(420/ノ以‘下)の関係 液性限界と比表面楷(420〃以下の粒径部分)の関係を図−2に示した。これらの流紋岩風化残硫士については,比 表面楷の増加に,ほほ比例して,液性限界の増大することが示されている。 2)水分保持特性 pF一合水比曲線が,水分保持特性を基本的に示すものと考えられる。ここでは,風乾した供試士を・調整し,5mmフ ルイで粗レキを除いた後,飽和させて遠心法により,pFと含水比の関係を求めた。 p‡:と含水比の関係(凰絶後,飽和状態)を図−3に示した。 一般に,粒径分布から見て,細粒士ほと保水性の大きい場合が多いが,これらの流紋岩風化残析士では,そのよう な傾向は見られない。むしろ,比表面析の大きいものほど,保水性が大きいと言える。また,全体として,流紋岩風 化残街士の保水性ほ,花コウ岩風化残蔚土よりも大きく,安山岩風化残析土よりも小さいと言える。このことは,前 述したように,流紋岩風化残棋士の比表面研が,花コウ岩風化残療土よりも大きく,安山岩風化残析土よりも小さい ことによると考えられる。 3)締固め特性 標準締固め試験を,,丁IS A1210によって行った。′¢)実験方法は,乾燥法,非繰返し法(1・1∼b)とした。 締固め乾燥密度と含水比の関係を図−4に示した。これらの流紋岩風化残黄土では,花コウ岩風化残街士,安山岩

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40 含水比抑(%) 図−3 pFと含水比の関係(風乾後,飽和状態)

■二、fニ■=■− ¶もヂ・

力力嶽筒井 石二石山野上

A B士士土

土土 0 ● ¢ ◎ ◎ ′/ ′=′′ ・‘ \よ r二

;三ニ三三三二二。

10 20 30 40 含水比∽(%) 図−4 締固め乾燥搾度と含水比の関係

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香川大学農学部学術報告 第38巻 第2号(1987) 42 〇 10 15 比表面椚SS(d/g) 区ト5 最適令水比と比表面新の関係 〇 10 15 比表If縄一戸SS(最/g) l対一6 故人乾炊密度と比表面根の関係 風化残敬土と同様に,ほほ保水性の大きい順に,高含水比側から低含水比側へと,細岡め曲線が位置している。最適 含水比は15∼30%の範囲にあり,全体として∴ 花コウ岩風化残額土よりも大きく,安山岩風化残横土よりも小さいと 言える。また,最大乾燥密度は14∼1,8g/c戒の範囲にあり,′花コウ岩風化残贋士よりも小きく,安山岩風化残節土よ りも大きいと言える。これらのことも,流紋岩風化残敵士の比表面療が,花コウ岩風化残債士と安山岩風化残債土の 中間の値を示すことによると考えられる。 最適含水比と比表面析の関係を図−5に示した。これらの流紋岩風化残横土に、?いては,ほほ比表面積の大きさに 比例Lて∴最適含水比が増大している。 般大乾燥密度と比表面鋸の関係を図−6に示した。これらの流紋岩風化残餌⊥については,ほほ比表面根の大きさ に反比例して,最大乾燥密度が減少している。 比表面郡がト締固め特性に密接に関連してい為と言える。 締固め乾燥密度とpF(凪乾後,飽和状態)め関係を図−7に示した。与れらの流紋岩風化残敵土では,花コウ岩風 化残敵士,安山岩風化残楕二Lに比べて,締固め乾燥密度が最大となるpF偶の馳囲は狭いと言える。このことは,他の

風化残研土に比べて,これらの流紋岩風化残研士の比表面釈が,供試土によって大きく追わないことに示されている

ように,これらの土の土性に大きな速いのないことによると考えられる。 一般に,師岡め乾燥密度が最大となるpF伯は,供試土によって逮うが,このことほ,供試土の土性の速いによっ て∴経国め上の構造が輿なるためと考えられる。すなわち,マサ土のような粗粒の土を純情めた場合にほ,乾燥側か ら赦適含水比,湿潤側へと,締固め含水比が増加しても,締固め土ほ一ノi等して等粒状′構造を成すと考えられる。+一− 方,安山岩風化残釈土のような細粒の土を柿間めた場合には,乾燥側でほ綿毛梢造を成し,最適含水比から湿潤側で は分散,配向柄造を成すと言われている。7引このような締固め構造の違いによって,締閤めにおけるpF、億,たとえば最

大乾燥密度を示すpFL傾が変動すると考えられる。

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8 7 1 ︶ l 人。m 乾燥密度現頼 ‘\ 20 3“0 4 0 pF 図−7 締【■ち】め吃炊密度とpF(凧絶後,飽和状態)の関係 Ⅴ総括 浦級岩風化残街士は,レキ粒径部分,砂粒径部分などの粗粒径部分を多く含み,鉱物親戚のほほ等しい花コウ岩風 化残椴iに類似した粒度を示す。またト比表面椚も花コウ岩風化残帯土とほほ等しい。しかし,同じ噴出岩である安 LL萬風化残硫」二に比べると,流紋岩風化残敵土の比表面借ほ,小さ目である。流紋岩風化残債土のL L僧,P L よびPI伸ばト比較的小さい。保水性ほ,花コウ岩風化残黄土よりも大きく,安山岩風化残硫土よりも小さいことが多 ト。最適含水比ほ,花コウ岩風化残債土よりも大きく,安山岩風化残街士よりも小さいことが多い。また,最大乾燥 何度は,花コウ岩風化残根二l二よりも小さく,安山岩風化残横土よりも大きいことが多い。これらのことほ,流紋岩風 化残那寸の比表面街が,花コウ岩風化残硫士と安山岩風化残窮士の中間の佃を示す場合の多いことと深く関連してい ると考えられる。これらの流紋岩風化残釈士についてほ,itに比表面蔚が,保水性と締固め特性に大きな影響を与一え てし、ると言える。

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香川大学農学部学術報告 第38巻 欝2号(1987) 44 引 用 文 献 23,(1979) 5)青柳省吾,横瀬虞司:浸透後における花コウ岩風 化残街土のセソ断強さと水分保持特性について一 風化残酷土の工学的性質に関する研究(3)一,農土 論集,106,1−7,(1983) 6)土質工学会編:土質試験法,土質工学会,(1980) 7) Lambe,TW:The Engineering BehavioIO董

Compacted Clay,ProcASCE,84,SM2, 1655−1−35,(1958) 8.)小橋英夫:粘土の構造とその表示法について,土 壌物理研究,1,18−22,(ユ964) (1986年10月31日 受理) 1)青柳省吾,石井秀明,横瀬虞司:花コウ岩風化残 帯土の基本的性質と二次的性質について,番犬農 学報,26(1),25−36,(1974)

2)青柳省吾,横瀬虞司:安山岩風化残額土の基本的

性質と二次的性質について,香大農学報,27,22 1−220,(1976) 3)青柳省吾,横親展司:花コウ岩風化残潰土のセソ 断強さとpF水分特性について一風化残積土の工 学的性質に関する研究(1ト,農土論集,62,34− 40,(1976) 4)青柳省吾,横瀬廣司:安山岩風化残額士のセン断 強さとpF水分特性について一風化残析土の工学 的性質に関する研究(2)−,戯士論集,80,17−

参照