香 川 大 学 経 済 論 叢 第65巻 第 3号 1992年 12月 l 39-175
わが国企業のグローカル化と
管理会計を巡る諸問題
井 上 信 一
1
は じ め に 企業の国際化あるいはグローパル化の急速な進展に伴って,日本企業は,北 アメリカ,ヨーロッパやアジア諸国へ,初期の段階では商社あるいは代理屈な どを通じての輸出・販売,次に海外に自社の販売会社を設立しての直接販売, 第3段階として現地生産・現地販売という形で,販売活動だけでなく生産活動 のローカル化を進めてきた。 とりわけ現地生産は,1
9
8
5
年のプラザ、合意以後,円高が急速に進んだことも あり北アメリカやヨーロッパで急速に進展していった。現地生産の形態も,初 期にはSKD(semi-knockdownあるいはscrew-driver生産)と呼ばれる単な る最終組立のみを行い,ついでCKD(complete-knockdown)と呼ばれる部分 組立をも含む組立活動全体を現地で行い,そして最終的には部品生産を含めた 一貫現地生産へとローカノレ化がなされてきている。 それとともに,生産の現地化を進めるためには,実際にものを作る製造活動 (工程)だけのローカノレ化だけでなく,その前段階である商品企画,研究開発, 設計機能という生産の計画機能をもローカル化することにより,現地社会の消 費者のニーズを十分に組み入れた製品を作ることが初めて可能になる。また, そのことは,現地社会からも強く要請されており,日系企業が真に現地社会に 受け入れられ,ローカル化をより進めていくためには避けて通れない過程であ る。そのために,いわゆる生産活動の源流である商品企商,研究開発や設計活 動の現地化のため組織の整備,技術移転,人材の育成などに日本企業は努力を傾注しているようである。 このような日本企業のグローカ/レ化の進展に伴い,日本の親企業および海外 子会社における会計的管理の整備も重要な課題になってきている。例えば,そ れは海外子会社の予算管理,海外子会社から親企業になされる月次報告書であ り,また国際振替価格,海外子会社の業績管理,海外子会社!の資金調達など種々 の問題が含まれている。 以上のような日本企業のグローカル展開から生じる課題を意識しながら,本 稿では日本の親企業サイドへの郵送調査により,日本の親企業の側から見れば 「グローノりレ化J,そして海外子会社サイドからは現地社会(地域)への「ロー カル化(現地化)J (両者は,ある点では必ずしも利害が一致せず r捻れ」ある いは「号│き裂かれ」の関係が生じることがある)の進展の一面と,そのことに より生じてくる管理会計上の諸問題の一端を実態調査を通じて明らかにした い。そのことにより,現在急速にグローパル化している日本企業が当面してい る管理会計上の諸問題を解決するための理論的及び実践的なプレイムワーク作 りのための素材を得ることを目的にしている。 2.. 日本企業のグローカル化
2
-
1
事業組織のグローパル化 (1)海外子会社の概要 日本の製造企業の海外進出状況は,全体的には付録で概説しているように, 電気機械 (209%),化学工業(17.5%),輸送用機械 (11..7%),一般機械 (8.. 7%)などの業種が,グローパノレ化に先進的な業種である。また,回答企業 203 社の海外子会社(日本の親企業が20%以上を出資している海外関連会社を含 ( 1 ) グ ロ ー カfレイじ」については,伊丹(1989)を参照した。なお,本社サイドと現地子会 社とでは,伊丹教授のいわれるように「引き裂かれ」の関係にあり,日本の親企業(グロー パルな多国籍企業)からのグローパルな統合の視点と,海外子会社それぞれのおかれた ローカルな立場(ローカル化の視点)は,引き裂かれの関係にあり,また捻れた関係でも ある。その関係をどのように整理するか(権限の集中と分散の関係)は,いまだ充分に解 明されておらず今後に残された課題であろう。297 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 -141ー む。以下両者を合わせた意味で海外子会社という言葉を使用する)の合計数は 3,310社であり 1社平均約 16社になる。海外子会社の構成は,表 lにある ように,製造と販売の両者を行う製造・販売会社が32.8%であり,製造のみを 行う会社が 164%であるので,海外で製造活動を行っている日系企業の比率 は, 49“2%と海外子会社の約半数近くを占めている。 次に多いのは,販売会社であり 354%を占めている。そのほかには,販売金 融会社 (35%),アフタサービス会社 (0..6%)となっている。以上のことより, 日本の製造企業の海外子会社は,製造会社と販売会社が中心であるといえる。 表- 1 タイプ別海外子会社数 タ イ プ 別 海外子会社数 構 成 比 製 造 ・ 販 売 会 社 1,036宇土 328% 製 造 ぷヱズ〉、 ネ土 518 16..4 販 7ヒむE ~ ご ネ土 l.118 35 4 販 売 金 融 会 社 105 3..3 アフタサービス会社 19 ..6 そ の 他 362 11 5 ぷ仁斗コ 計 3.158* 100.0 *)なお,海外子会社合計数との差異(152社)は,海外子会社 総数のみしか記入してない企業があったためである。 次に,海外子会社の所有形態を示す日本の親会社(グループを含む)の出資 比率を,表-2によって見てみよう。日本の親企業が 100%出資しているのは, 表-2 出資比怒別海外子会社 親会社出資比率 海外子会社数 構 成 比 100%出資 1,718宇土 542% 50%以上100%未満 719 22 7 20%以上 50%未満 733 23..1 d仁h3 計 3.170 * 100.0 *)なお,海外子会社合計数との差異(140社)は,合計数のみ しか記入してない企業があったためである。
全体の542%と過半数を占めており, 50%以上の出資は22.7%であり, 50%未 満の出資は23“1%という比率である。諸外国の多国籍企業の場合は解らない が,また進出の形態によって異なるであろうが,日本企業の場合,これまでは 比較的マジョリティ支配(特に 100%出資)が多かったようである。
(
2
)
親会社と海外子会社の組織上の関係 次に,日本の親企業が組織上海外の製造子会社(ここでも関連会社を含む) を管理する専門の組織をもっているか,すなわち国際事業本部あるいは海外事 業本部が組織上あるかどうかは,表- 3のとおりである。 それによると,国際事業本部があるのは,約56%であり,逆にないのは約38% と過半数の企業ではすでに海外子会社の生産活動を管理する事業本部をもって おり,そこを中心に海外活動を管理しているようである。しかし,日本企業の 海外進出,とりわけ海外生産が最近になって急速に進展したこともあり,いま だ十分に整備がなされていない企業も多いように見受けられる。また,規模が 大きくなるに従って国際事業本部をもっている場合が多くなっている。 表- 3 国際(海外)事業本部制 あ る な い 海 外 生 産 な し そ の f也 *) n =202。
113社 (5594%) 77 (38 12 ) 10 (4 95 ) 2 ( 99 ) それでは,海外事業本部がすでにある企業は,海外事業本部の編成は地域別 本部制を採用しているのか,あるいは製品別本部制なのかを,日本企業のグロー パノレ化との関連で見てみよう。回答企業は,表- 4にあるように67社であるが, そのうち地域別事業本部制を採用しているのが418%で あ れ 地 域 別 の 事 業 本 部制が中心であるといえる。ただ,製品別も 134%あり,両者の併用も 7.5% を占めている。ただし rその他」が37%余り(例えば,すべてを合わせて統括 しているなど)あり,いまだ必ずしも地域別本部制だけで管理されているとも いえない。圏内での事業部制は,製品別事業部が中心であり日本の国土が小さ299 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 -143 いこともあり,地域別の事業本部を考える必要性がほとんどないが,地球規模 で考えると,地域的にもアジア,北アメリカ,ヨーロツパなどがあり,また海 外子会社の企業規模や製品種類,生産量との関係もあれ地域別と製品別の両 面から組織形態を考慮する必要がある。現在の段階では,圏内組織と海外子会 社の管理形態の聞には,圏内での製品別事業部制を海外の地域別の事業部制に 如何に接合するか,一種「捻れ」あるいは「号│き裂かれ」の関係が生じている 場合も見受けられるようであり,今後に解決が待たれる組織上の課題である。 表- 4 国際(海外)事業本部の形態 1) 地域別本部制 28社 (4179%) 2) 製品別本部制 9 (13 43 ) 3) 1) + 2) 5 (7 46 ) 4) その他 25 (37 31 ) *) nニ670 上述の「捻れ」の関係がどの程度生じているか,また親会社と海外子会社が 組織上どのように連携しているか,あるいは親会柾のどこの組織が海外子会社 の指揮・管理を行っているかを尋ねたのが,表
-5
である。それからも理解で きるように,最も多いケースは,.製品別事業部がすべて(技術と管理部門の両 方)を指揮・管理」している企業で, 31“3%である。また逆に,.国際事業本部 がすべてを指揮・管理」している場合も, 19.7%あり,両者を合わせると 50% 余になり,いずれの場合も組織上指揮系統は一貫しており,いわゆる「捻れ」 の関係は生じていない。 他方,.管理部門は国際事業本部,技術指導は製品別事業部が指揮・管理」し ている場合が24.2%
あり,この場合は組織上いわゆる「捻れ」の関係が生じて いる。以上のいずれにも属さない場合も 36.8%あり(国際営業本部が担当,あ るいは地域によりまちまちなど),今後日本企業のグローパル展開が成熟するに つれて,組織上整備されて行くであろうが,現時点ではいまだ複雑であり,十 分に一元化されていない場合も1/4くらいあり,組織上の整備が待たれる場合
も多いようである。そのため,圏内の親企業と海外子会社の組織上の連携は,海外進出の時期,地域,取扱い製品の種類,現地化の程度などにより様々であ り,必ず、しもいまだ十分ではなく,今後に残された課題も多いというのが実態 のようである。それは,地域統括本社制の推進,事業活動のさらなるローカル 化などとも相まって,今後に整備がなされていくことが期待される。 表-5 親会社と海外子会社の組織的な関係 組織的な連携 会 社 数 構 成 比 1) 国際事業本部がすべてを指揮・管理 39社 (19 70%) 2) 製品別事業部がすべてを指揮・管理 62 (31 31 ) 3) 管理部門は国際事業本部,技術は製品別事業部 48 (24 24 ) 4) 国際営業本部が海外販売活動を指揮・管理 36 (1818 ) 5) そ の 他 37 (1869 ) *) n =198.複数回答可。 (3) 地域統括本社 つぎに,個々の海外子会社のローカノレ化とともに,北米,欧州そしてアジア に進出している企業を,企業グループとして地域ごとに統括する地域統括本社 の設置は,本社機能を含めた経営職能のローカ/レ化にとって重要な役割を果た す。それにより,グローパノレ企業としての三極あるいは四極体制(北米,欧州, 日本を中心にアジア)による,グローパノレネットワーク化が可能になり,日本 企業が真の意味でグローパ/レ企業としての体制が整うであろう。そこで,各地 域を統括する地域統括本社の設置がどのようになっているか,表
- 6
によって 見てみよう。 表-6 地域統括本社の有無 ~t 米 欧 チ1'1 ア ジ ア あ り 39宇土 (2086%) 35社(1892%) 15社 (8.93%) 計 画 中 38 (20 32 ) 37 (20 00 ) 37 (2202 ) な し 110 (5882 ) 113 (6108 ) 116 (69 05 ) まず,北米には,すでに地域統括本社がある企業が39社 (20.9%)あり,計 画中が38社 (203%)であり,地域統括本社の設置が最も進んでいる。ついで 欧州では I地域統括本社がある」が35社 (189%),計画中が 37社 (20%)301 わが因企業のクゃローカ/レ化と管理会計を巡る諸問題 145-になり,アジアになるとすでに「あり」が
1
5
社(89%)
に過ぎず,計画中も3
7
社(
2
2
%
)
と最も少なくなっている。勿論アジアの場合は,距離的な関係か ら,日本本社が直接統括する場合も十分可能であり,現にそうしているケース も多いと思われる。もちろん,地域統括本社の設置が,日本の本社組織と同様 の経営機能を果たすには,今後かなりの時間と制度や人事面での充実が必要で あれ現在はまだ情報収集や地域の子会社聞の調整機能を果たしているケース も多い。権限の委譲などを含めた真の地域統括本社として,日本本社と対等の 機能を果たすには,現地各子会社のローカノレ化のさらなる進展とともに,組織 の整備,権限の委譲など課題は山積していると思われる。ただそれでも,各地 域に地域ごとの子会社を統括するための地域統括本社を設置することは,地域 毎に海外子会社をローカJレ化しようとする方向に一歩を踏み出すことになり, 日本のグローパル企業が真にグローパルな企業になり,かつグローカル企業と して地球規模で存在するための重要なステップになるであろう。 それでは,すでに地域統括本社をもっている企業の場合,どの国に地域統括 本社を設けているか,具体的な国名を回答のあった企業について見てみよう。 まれ北米の場合は,当然のことながら,3
3
社すべての企業が米国に地域統 括本社を設置している。欧州│の場合には,3
1
社から回答があったが,ドイツ(旧 西ドイツ)が12社,英国 10社,オラン夕、 4社,ベルギー 3社,フランス,ス イス各1社と, ドイツと英国が多くなっている。それは, ドイツと英国の2国 への日系企業の進出企業数がとりわけ多く(ドイツ:48
2
社,英国::73
2
社。東 洋経済新報社『海外進出企業総覧1
9
9
1
年版』による),またこれまでの日本と の関係(製薬などはドイツとの関係が深い)や言語(特に英語)が関係してい る。また,東欧の社会主義諸国の崩壊後,言語とともに,ヨーロツパの中心と して交通の利便性もあり,地域的にオランダやベルギーも注目されてきている。 アジアの場合は,前述したように,世界3
極体制といった場合,北米,欧州、│ 及びアジアになり,その場合地理的にも日本本社が統括する場合もみられる。 しかし,他方NIES
やASEAN
諸国に分散している海外子会社を統括する地域 統括本社がすでに 12社あり,その内訳は香港 5社,シンガポール 4社,タイ 2社,台湾1社である。アジアにおける地域統括本社は,香港とシンガポールが 中心であるといえる。
(
4
)
海外子会社からの部品調達 企業のグローパル展開の進化を考える場合,日本本社から製品あるいは部品 を海外子会社に輸出するだけでなく,逆に海外子会社から製品あるいは部品を どの程度輸入しているかも大変重要なファクターである。 全体では, 425粧の海外子会社から製品あるいは部品を輸入しており,地域別 には,アジアが2
8
9
社と最も多く,北アメリカが9
6
社,ヨーロッパは4
4
社, そしてその他が21社となっている。また,規模別には,当然のことかも知れな いが,規模の大きい企業(特に資本金100億円以上)ほど,海外子会社から逆 輸入している海外子会社が多くなっている。また,地域的には,アジア諸国か らの輸入が多くなっている。これは,元々アジアへの進出は,製品あるいは部 品を現地で販売すると共に,日本への輸入を目的に子会社を作っている場合が 多いためである。逆に,北米,欧州へは現地市場での生産・販売を目的に日本 企業は進出していったが,日米貿易摩擦やEC諸国との問題(ローカル・コンテ ンツやアンチ・ダンピング問題など)のため,また海外子会社がローカル化さ れ,日本企業のグローパル展開のなかで,良質で低コストの製品を最も得意と する場所で纏めて作るという地球規模で国際分業体制を日本のグローパル企業 が,展開しようとしているためであろう。 2-2 人事のグローカル化 日本の親会社(本社)の国際化は,よく企業の海外進出と対比して「内なる 国際イ七」と呼ばれることが多く,日本の親会社への外国人役員の登用や研究開 発,ノウハウ,製品,部品などの海外子会社からの逆の国際移転(輸入)など が,日本企業のグローカル化の一層の進展のため,特に重要でトあると指摘され ている。また,日本企業の海外子会社での現地人役員(経営者)の登用も,日 本企業のグローパノレ化,ローカル化を進めていく上で,避けられない課題であ る。海外子会社の人事のローカル化では,東芝,ソニ}や日産などの事例が,303 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 147 また外資系企業では富士ゼロックスなどが非常に進んだ事例として,吉原
口
9
8
9
J
,同[
1
9
9
2
Jなどで指摘されている。そのような人事の国際化は,日本
企業のグローカノレ化を促進する大きな要因として捉えられている。 ここでは,日本の親企業の国際化(,内なる国際化J) と海外子会社のローカ ノレ化の両面から,人事とりわけトップの経営者層を外国人がどの程度占めてい るかにより検討してみよう。 (1) 本社人事のグローパル化 まず,日本の親企業における外国人役員は,表 7に示すとおり,いまだほ とんど国際化されているとはいい難い。すなわち,回答企業2
0
2
抵のうち,外 国人経営者(取締役や部長)がいるのは,わずか1
7
社(842%)
に過ぎず,外 国人経営者の総数も8
2
名にすぎない。その内訳は,取締役以上が49名,部長 職が33名と,恥締役以上の人数が多くなっている。全体的には,グローパ/レ化 が進んでいる企業でも,一部で人事の国際化が進んでいるに過ぎないことが理 解できる。もちろん,これは海外子会担の経営者の現地化がより進めば,日本 の親企業のグローパ/レ化の一環として,現地の優秀な重役が日本本社の経営に 参画してくるであろうことは十分に期待されるが,現在のところは日本を代表 する優良大企業といわれる会社でも,いまだ一部(資本金 100億円以上で 10社, 業種別には輸送用機械4社,電気機械 3社)で「日本本社の内なる国際化」の 窓が聞かれ始めている程度にすぎない。このためには,ある程度上述したよう に,海外子会社で優秀な外国人経営者が育たないと,なかなか日本本社の重役 や部長ポストにそれら外国人を日本企業のグローパル化という観点、から登用し ていくことは不可能であり,それには日本企業のグローパル化と海外子会社で の現地人経営者の育成という時間の掛かる作業が必要である。 表-7 臼本本社の人事の国際化 日本本社の外国人経営者 取締役以上 部 長 合 計 い る いない *) n =202。
17社 (8..42%) 185 (9158) 49人 33人 82人(2) 海外子会社の人事ローカノレ化の困難度 現時点で,日本の本社サイドからみて,海外子会社の経営職能のうち,現地 人に任す際の困難度を調べたのが,表- 8である。表からもわかるとおり,や はり社長職のローカル化が最も困難であり,ついで技術部長と経理部長がとり わけ国際移転の困難なポストである。また同時に,企業によれば社長=工場長 であり,技術とマネジメントの両方のトップである工場長も上記職能とともに, 現地移転がなかなか困難なようである。これは,最高意志決定,技術移転や企 業の経営成績の管理に直接関連する職能であり,また日本の親企業と緊密なコ ミュニケーションを必要とする職能でもあるためであろう。 逆に,現地人に移転しやすい経営職能は,人事部長や営業(販売)部長など 現地の実状により精通している必要性が基本的に重要な職責であり,日本本社 との直接的なコミュニケーションが比較的少ないので,現地だけで独立して意 志決定ができる可能性の高い職能であるためであろう。いずれにしても,現地 化が困難な職能(社長,技術,経理など)であっても,例えば英国では日産, 東芝,コマツなどを始めとする日本を代表する大企業で順次進められているご とし日系企業のローカル化の重要な要因として人事のローカノレ化は,研究開 発の国際移転とともに,色々な困難を伴い試行錯誤を繰り返しながら,全体的 表- 8 海外子会社の人事ローカル化の困難度 1) 社 長 6 48 (1) 2) 技 術 部 長 5..45 (2) 3) 経 理 部 長 4..60 (3) 4) 工 場 長 4 39 (4) 5) 副 社 長 3 65 (5) 6) 営 業 部 長 2.92 (6) 7) 人 事 部 長 2 79 (7) 8) そ の { 也 0..31 (8) *)スコアは,上記表中の経営職能のうち現地 の人に委譲が困難である順に番号をつけても らい,困難性の高い順に 1位→ 8点 2位→ 7点, 8位 >1点を与え,回答総企業数 で割って,困難度を算出した。 (n=170)。
305 わが国企業のグローカ/レ化と管理会計を巡る諸問題 -149 には徐々にローカノレ化が進展していくであろう。そのことは,日系企業が真の 現地企業(ローカ/レ企業)になるステップとして,避けて通れない過程と思わ れる。
(
3
)
海外子会社人事のローカル化の実際 それでは,つぎに海外子会社における現地人経営者(社長,副社長,経理部 長,人事部長)の登用の実状を,人事のローカル化という点から検討してみよ う。海外子会社における現地人経営者の登用は,研究開発・設計などの技術移 転,現地生産の範囲と質の拡大にとり,現地日系企業のローカル化を促進する 重要かつ困難な要因である。 全回答企業(
2
0
3
社)の海外子会社総数は3
,3
1
0
社なので,日本の親企業l
社 平均約1
6
社海外子会社をもっていることになる。そこで,日本の親会社1
社平 均あたり,現地子会社に現地人が経営者職(社長,副社長,経理部長及び人事 部長)をどの程度占めているかは,表 9に示すとおりである。 経営者職能の内,最もローカル化が進んでいるのは人事部長であり,平均5..3
6
社(16
社中)であり,海外子会社のうち3
3
.
.
5
%
位の企業が人事部長は現地人 に任しているようである。この数字は,筆者には意外に少なく思われる数字で ある。現地人の採用は,ほとんどが現地企業に任されていること,また現地の 経営者の方が現地の従業員(文化,社会,雇用などの労使関係などを含めて) のことをよりよく知っていることからすれば,もう少し現地化が進んでいても おかしくないというのが,これまでの面接調査などからの印象である。ただ勿 論,上記4つの経営職能のなかでは,最もローカノレ化が進んでいることは事実 である。 表- 9 海外子会社の現地人経営者(日本本社 l社平均) 社 長 副 社 長 経理部長 人事部長 l社平均(海外子会社数 4.9
3
3
.
.
1
1
4.9
5
5
.
.
3
6
*) n=
1
7
5
。日本の親会社1
社あたり,海外子会社数は約1
6
社である。 次に,現地人の役職者が多いのが,経理部長(
49
5
人:約309%)
と社長(
4
9
3
::約308%)
であり,逆に意外に現地化が進んでいるというのが筆者の感想である。日本企業は,ローカル化が欧米企業に比べて遅れているとよくいわれ ているので,もう少しローカル化が進んでいないのではないかと憶測していた。 (例えば,井上が
1
9
8
9
年に,在英日系企業2
9
杜(日本企業が100%
出資が約86%)
を面接調査した際,現地の人が社長をしていたのは4
社にすぎなかっ た。経理部長も比較的日本人が多しそうでない場合は,経理担当の日本人重 役が上位にいる場合が多かった。)ただ,今回の調査には20%
以上日本企業が出 資している合弁企業なども1/4
近く含まれており,多様なケースを含んでい るためであろうか。 最後は,副社長ポストであり,海外子会社のうち平均3
.
.
1
1
社(約19ι%)
で あり,最も少なくなっている。これは,社長ポストとの関係で決まってくるケー スが多く,社長が日本人であれば,副社長は現地の人という組み合わせが考え られるためであろう。いずれにしろ,社長,経理部長にローカJレな人を全面的 に登用することは,日本本社とのコミュニケーションなど日本の親企業との意 志疎通など重要な機能が付随しているため,ローカノレ化の観点だけからは現地 の人に任すことが出来ず,日本の親企業のグローパル・マネジメントという観 点、が絡んでいることもあり,それには未だかなりの時聞が必要でFあろう。 (4) 海外子会社の従業員の研修・訓練 海外子会社の従業員の制度的な研修・訓練のレベルも日本企業の経営,会計 制度のローカル化にとって重要な要因である。しかし,現在のところ表-10
に あるように,制度的に日本に定期的に従業員を派遣して,教育・訓練している 企業はわずか2
7
社(1350%)
に過ぎない。大部分の企業(16
3
社,8
1
“5%)
は, 必要に応じて,教育訓練を行っているようである。 表ー10 海外子会社の従業員の研修・訓練 1) 定期的に行っている2
7
社(
1
3
5
0
%
)
2
)
必要に応じて行っている1
6
3
(
8
1
.
5
0
)
3
)
行っていない1
0
(
5
.
.
0
0
)
*) n=
2
0
0
。
307 わが閏企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 151 2-3 経営活動のローカル化 (1) 経営職能のローカノレ化 日本企業のグローパノレ展開に伴って,進出先で現地企業と同じ程度にローカ ノレ化をすることは大変困難であるが,真の意味でグローカノレ企業になるため現 在是非とも必要になってきている。まず最初に,海外子会社への経営職能のロー カノレ化の程度を表-11によって見てみよう。 表-11 海外子会社への経営職能のローカル化 ~t アメリカ 欧 チト│ ア ジ ア そ の 他 1) 人事活動(現地の人) 4 51 4 46 453 4..47 2) アフタサービス活動 4..43 4.34 4..23 4..49 3) 販売活動 4.39 4 33 4..13 4..34 4) 購買活動 4 18 3 98 4..06 4.16 5) 製造活動 4..01 3..72 4..04 3.89 6) 設計活動 2.64 2..50 2.36 2..54 7) 研究開発活動 2 51 2.21 L25 2.06 8) 人事活動(日本人) 1 73 169 1.59 1 78 *)n =164 (JUSs) , n =138 (JECs) , n =154 (JASs), n =43 (JOTs)。 得点、は 1点→全体的に日本本社が担当.., 3点→両者の中間..., 5 点→全面的に海外子会社カf担当とし,総合計点をだし,回答企業数で割って平均 点をだした。 まず,北アメリカ,欧州,アジア,およびその他の地域を通じての全体的傾 向であるが,ローカル化が最も進んでいるのが現地採用の人事であり,約4..50 点である。ついで,アフターサービス(2位),販売活動(3位),購買活動(4 位),そして製造活動(5位)がいずれも 4点台で,ローカル化が非常に進んで いるといえよう。それに対して,研究開発(6位)と設計活動(7位)の現地 化が,日本企業の真のローカル化のために必要であることが盛んにいわれてお り,その方向で進んでいるが,現状は北アメリカでも設計が2..64点,研究開発 は2..51点と,上記の活動のローカノレ化とはかなりの差がみられ,今後ローカル 化が更に必要な活動である。また,最もローカル化が進んでいないのは,ある 意味で当然なのであるが,日本人の人事のローカノレ化であり,これは日本の親 企業のグローパル戦略と海外子会社の人事戦略の接点にある問題であり,現地
化が進めば,日本人が必要でなくなる(現地の人が経営管理をすべて行う)と いう方向で解決されるかどうかは明らかでない。グローパル化とローカル化の 関連でここでも捻れが生じており,その解決の方向は必ずしも明確になってい ない。地域別には,全般的に最もローカル化が進んでいるのは北アメリカに進 出している場合であり,ほぽすべての経営活動において最も得点が高くなって いる。また欧州では,北アメリカについで,アフターサービス,販売,設計, 研究開発や日本人の人事において得点がアジアの場合より高くなっている。逆 に,アジアの場合は,現地人の人事,購買,製造活動などで,欧州、│の場合より ローカノレ化が若干進んで、いるといえる。これは,日本企業の北アメリカ,ヨー ロツパ諸国とアジア諸国への進出目的および現地社会の要請などが異なること の反映であろうか。すなわち,欧米諸国では「研究開発型J (製造活動+研究開 発(商品企画,研究開発および設計活動を含む))のローカノレ化が日本企業に期 待されており,逆にアジア諸国では「雇用・技術型J (製造活動のローカル化を 中心に,労働力の雇用や製造技術の移転)を主要な目的にした場合が多いのが 実態であろうか。
(
2
)
生産活動のローカノレ化 次に,生産活動を製品企画から実際のもの作りである製造までの5段階に分 けて,そのローカノレ化(親企業と海外子会社間での経営職能の役割分担)のレ ベルを,表-12を中心に検討してみよう。 表ー12 生産活動のローカル化(親企業と海外子会社聞の機能分担) 北アメリカ 欧 判イ ア ジ ア その{也 1) 製品企画 2..61 2 48 2 34 2..21 2) 基本設計 2.32 2 18 199 1.98 3) 詳細設計 2 64 2..46 2..34 2..29 4) 製造準備 3..39 2 98 3.19 2..98 5) 製造段階 3..95 3.57 3..89 3..45*) n =150 (JUSs) , n =142 (JECs), n =162 (JASs) , n =47 (JOTs)。 得点は点→全面的に日本本社が担当,川t,… 3点、→両者の中間.., 5
点→全面的に海外子会社が担当とし,総合計点をだし,回答企業数で割って平均 点をだした。
309 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 153ー 地域別の傾向は,いず、れの地域でも,基本設計は日本の親企業が分担してい る割合が最も高い。ついで,製品企画と詳細設計においては,それほど大がか りにならず現地で可能なためか,日本企業の果たす役割はやや減少しているが, それでも日本の親企業が比較的重要な役割を果たしているといえる。逆に,製 造段階は,当然のことかも知れないが,いず、れの地域で、も現地子会社が大部分 の職能を果たしている。製造準備段階になると,北アメリカとアジア諸国では ローカ/レ化が進んでいるが,欧州,その他の地域では主要部品などの調達の面 で,かなりの程度日本の親企業の協力が必要なようである。 地域別の特徴を概略的にみると,経営職能全般のローカノレ化のケースと同じ く,北アメリカが全般的に最も製造活動のローカル化が進んでおり,製品企画 や設計については欧州の日系企業の場合が,逆に製造準備や製造段階について はアジア諸国の日系企業の場合が,ローカル化がより進展しているのが興味あ る特徴である。これは,上述したように現地進出の目的,その年代や市場の特 性,及び現地の要請などの差異が影響しているためであろう。 (3) 工場自動化のレベノレ また,海外子会社で使用している機械や
FMS
などの工場自動化装置(
F
A
)
の レベルも,技術の国際移転の観点からみて,日本の親企業が自担の技術をどれ だけ国際移転することに熱心でトあるかを示すーっの指標である。 表-13によると r最新の工場の自動化設備」を導入している企業の割合は, 北アメリカで678% (90社),欧州で6L4% (54社)と比較的最新のレベルの 技術を移転しているといえよう。しかし,それがアジアになると 35,4 %(56社), その他では30,3%(13社)と必ずしも最新の技術だけでなくある程度技術水準 のレベルの低い生産設備が移転されている。これは,一つには技術水準が北ア メリカや欧州│では高いため,高水準の生産設備を国際移転しないと競争に勝て ないためであろう。アジアなどでは,競争相手の水準が未だそこまで達してい ないため,日本の最新技術と同時にある程度旧式の技術水準の低いものが導入 されているためであろう。また,同時にこれは,英国で面接調査の際に聞いた のであるが,現地政府などが進出企業への要請として,一方でト最新技術の移転を希望しながら,他方で雇用の増大という二律背反する要請が同時に求められ るため,雇用の確保にはある程度技術水準の低い設備の導入も止むを得ない場 合もあるといわれている。 表 ー13 海外子会社の工場自動化のレベル 1) 日本最高レベルの工場と同じ 2) 日本低レベル工場と同じ 3) 海外で調達したもの 4) そ の { 也 北 ア メ リ カ 欧 州 ア ジ ア そ の f也 90(6767%) 54(61 36%) 56(35 44%) 13(30 23%) 15(11 28 ) 16(18 18 ) 67(42,41 ) 19(44 19 ) 25(18.80 ) 16(1818 ) 28(17 72 ) 10(23.26 ) 3 ( 2, 26 ) 2 ( 2,,27 ) 7 ( 4 43 ) l(2, 23 )
*) n =133 (JUSs), n =88 (JECs), n =158 (JASs), n =43 (JOTs)。
2-4 研究開発等(商品企画,研究開発,設計活動)のローカル化 商品企画,研究開発,設計活動など,企画,開発,設計段階という源流段階 のローカル化は非常に困難な課題ではあるが,海外子会社に国際移転すること は日本企業のさらなるグローパノレ展開と同時に,海外子会社が当該国(地域) にローカノレ化を進めていくために避け、て通れないし,これら諸活動の国際移転 なしには子会社が真の意味で進出先国から自国の会社とみなされないであろ う。そのため,人事のローカノレ化と同様に非常に困難かっ必要なプロセスであ り,上記の諸活動を如何にしてグローパノレに分業し,また同時に現地にローカ ル化していくか,大変重要な課題である。そこで,以下では商品企画,研究開 発そして設計部門が現地子会社にあるかどうか,北アメリカ,欧州、│そしてアジ アのそれぞれの地域ごとに,どの程度国際移転されているかを検討する。 (1) 海外子会社での商品企画・研究開発・設計活動 まず,日本企業は,グローパルな観点から,商品企画・研究開発・設計活動 を,どの程度海外子会社でおこなっているか,表-14によって一瞥してみたい。 商品企画活動は,すでに44社 (22,9%)の企業が海外で展開しており,研究 開発活動は
7
2
社(
3
7
,3%)
の企業が,また設計活動は5
8
社(
3
0
.4%)が,す (2 ) 例えば,吉原英樹 (1989) 99-126ページを参照。3 f t t b s t号 R 4 o f t -E E P 311 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 -155ー でにそのような部門(会社)をもち,現地で積極的に展開している。それでも, 研究開発で623%,設計で69日6%,そして商品企画で773%の企業がいまだ海 外にそのような部門をもっておらず,日本の親会社で行っている。もちろん, 製品によって(例えばVTR)は,現地の部品会社などのインフラ・ストラクチャ の不備や技術者の採用の困難性などが伴うため,必ずしも一朝一夕にそれらの 部門を現地に移すことは不可能であり,種々の問題が生じるであろうが,長期 的には徐々にそれらの活動を海外移転していくことは,日本企業のグローカル (グローパル化とローカル化の捻れた関係)展開にとり大変重要なことであろ
つ
。
業種別には,商品企画部門(会社)がある企業は,電気機械(14
社),輸送用 機械 (11社),化学とその他(各 6社)が多い部類に属する。研究開発部門があ るのは,電気機械 (22社),化学(18社),輸送用機械 (13社)が,特に多い業 種である。また,設計部門は,電気機械(18社),輸送用機械(14祉),その他 ( 8社)が多くなっている。 表 一14商品企画・研究開発・設計部門(会社)の有無 商 品 企 画 研 究 開 発 72宇土 (3731%) 121 (62 69 ) 設 '十 E 一 一 三 一 口 58社 (3037%) 133 (69 63 ) 1) あり 2) なし 44社 (2292%) 148 (77.08) それでは,商品企画活動,研究開発活動,および設計活動が,地域毎にいず れの国で主として展開されているか,以下検討していきたい。(
2
)
商品企画活動 まず,文化的,社会的背景の異なる国々の消費者のニーズに合った商品を作 るには,各国のニーズを巧く組み込んだ製品を作る商品企画活動は重要な活動 であり,日本企業も海外進出している日系企業もそれに積極的に取り組む必要 カまある。 このような商品企画活動を現地でしている企業は,回答企業全体の約23%で あり,北米の33社はすべて米国にあり,そこで商品企画活動を行っており,米国が北米で占める重要性とその市場の大きさからして当然でトあろう。業種別に は,電気機械(12社)と輸送用機械 (11社)が中心である。 欧州では,全体で 31社が商品企画活動を現地で行っている部門をすでにもっ ているが,長い伝統と歴史を持つ国々が集まっているヨーロツパでは,どの国 で商品企画活動をしているのであろうか。最も多いのは,英国で10社,ドイツ が7社,フランス5社,オランダとイタリアが各3社,そしてベルギー,スイ スなどである。ここでも進出企業数の多い英国とドイツが多くなっているが, 同時にフランスやイタリアというファッション性(商品企画)との関連性が高 い国への進出も見られる。業種別には,ここでも電気機械(英国
7
社, ドイ ツ:6社),輸送用機械(ドイツ::3社,オランダ::2社,英国,フランス,イ タリア:各1
社)に多い。 アジア諸国では,全体で1
6
社あり,国別にはシンガポーノレ(4
担),香港, マレーシア,台湾(各3社), タ イ (2社)という固に商品企画部門をもった企 業を設置していることがわかる。(業種別に,特にめだ、った特徴はみられない。)(
3
)
研究開発活動 研究開発活動は,消費者;のニーズを如何に製品開発に結び付けるかという点 から,現地での商品開発にとり,また日系企業のローカル化にとり決定的な役 割を演じると思われる。研究開発活動を E知也で行っている日系企業は約 37..1% であり,北米で 58社,欧州 34社そしてアジア 9社が研究開発を現地で行って いる。 地域別の研究開発活動をしている企業の所在国は,北米の58社のうち 57社 (1社を除く1
社はカナダ)は米国にある。これは,北米における(あるい は世界の)研究開発の中心が米国であることからして,当然の結果であろう。 業種別には,電気機械(
1
6
社),化学(14
社),輸送用機械(
1
2
社)が2
桁であ る。 欧州では,国名を回答した企業が全体で34社あるが,内訳は英国(12社), ドイツ(10社), ベ ル ギ ー (3社), フ ラ ン ス (3社),イタリア(2社),オラ ン夕、(1社),その他(3社)と,英国とドイツの 2固に集中している。業種別313 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 -157-には,電気機械(英国 7社, ドイツ::2社の合計9社),化学(英国 2社, ドイツ 4社),輸送用機械(英国:2社, ドイツ:3社等合計9社)が主なも のである。 アジアでは,全体で9社あり,内訳はマレーシア(3担),シンガポール,タ イ(各 2社),香港(1社),その他(1社)である。(業種別のめだった特徴は, 特にない。)
(
4
)
設 計 活 動 設計活動を海外でト行っていると回答した日本の親企業は,全体の3
0
.
.
4
%(
5
8
社)であり,研究開発活動等に比べて少ないのは意外であるが,現地の消費者 のニーズに合った製品の設計をするには重要な段階で,詳細設計を中心に現地 化が行われており,基本設計までローカル化しているのは先進的な企業がすで にそのレベルに到達しているにすぎな‘いようである。 地域別に設計活動を現地で行っているのは,北米では4
7
社すべてが米国に立 地しており,電気機械 (16担),輸送用機械 (13柾)が主な業種である。 欧州では,全体で22社あったが,国別には英国 (10社), ドイツ(4社),ベ ル ギ ー (2社),フランス(2社),イタリア(2社),オランダ(1社)などで あり,業種別には,電気機械(8社),輸送用機械(5社), そ の 他 (4社)な どである。 アジア諸国の2
3
社の内訳は,タイ(6
社),シンガポーノレ(5
社), 香 港 (4
社), 韓 国 (3社),マレーシア(2社),台湾(1社)などであり,業種的にも 分散しており特に多い業種は見られない。 3 管理会計を巡る諸問題 本節では,グローパlレ化した日本企業における管理会計を巡る実態の一端を 明らかにしたい。すなわち,日本本社に海外子会社からなされる月次報告書, 予算管理の権限の機能分担,海外子会社の資金調達の方法,国際振替価格の方 法,海外子会社の業績評価について,その実態を一瞥してみたい。3-1 月次報告と月次報告書の内容 まず,海外子会社から月次報告書が日本の親会社に報告されているかどうか および報告されている場合は,その内容について検討したい。まず,月次報告 書を作成しているかどうかについては,表-15からわかるとおり 6社 (3 99%)を除いて,ほぽすべて(約96%)の企業が作成している。そして,作成 する月次報告書の言語は,大部分(約86%)が当該国の言語であり,それがあ る為替レートで換算されて日本の親企業に報告されるのであろう。最初から両 方(円と現地)の通貨で作成される企業も 7..96%あり,日本の通貨でというの は
3%
にすぎない。 表 ー15 月次報告書の作成 1) 報告書を作成していない 6社 (399%) 2) 当該国の通貨で作成 173 (8607 ) 3) 日本の通貨で作成 6 (2..99 ) 4) 両方の通貨で作成 16 ( 7..96 ) *) n =201。
次に,海外子会社から日本の親会社に報告される月次報告書の内容にはどの ようなものがあるか。その回答の内容は,表-16のとおりである。 大部分の海外子会社が日本の親企業に行っている月次報告書は,最も多いの が月次損益計算書 (96..2%)であり,月次貸借対照表も 2番目に多く (86.8%) なっている。また,目標と実績の対比(売上高と利益)は79.1%の企業で,予 算と実績の差異についても 764%の企業が報告を行っている。上記 4つの報告 書は,回答企業の3 / 4以上の企業が親会社に月次に報告をしている。そのほ (3 ) 佐 藤 (1991-b) 24-25ページによれば,会計報告の換算レートの実際は r予算編成時 の実際レートJ(4社, 3 %), r予算編成時の予想レートJ(17社, 13%), r報告時の実際 レートJ(26社,21%),r予算期間末の実際レートJ(54社,42%),rその他J(27社,21%) になっている(複数回答可による)。実態としては,予算期間末の実際レートと報告時の 実際レートの割合が高くなっている。ただ,現地経営者の業綴評価という観点、からは,現 地経営者にとって管理不能な要因(為替変動)を除去し予算編成時のレートが良いとされ ている。このギャップは,為替変動が大きい場合に,財務諸表の業綴と管理会計上の業績 が異なってしまうために,利用されないのであろう,と説明されている。315 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 -159ー か,過半数の企業が月次報告をしているものには,在庫の有高(665%), 資 金 繰 表 (571%),従業員の推移 (544%)など,在庫や従業員数という会計数値 以外の指標も重要な報告項目として含まれている。以上が海外子会社から日本 の親会社になされている主要な月次報告書であるが,報告している企業数は少 なくなるが,製品不良率 (29%)や関係会社取引表 (11..0%) もある程度の企 業で月次に報告がなされていることがわかる。 表ー16 月次報告書の内容 1) 月次損益計算書 175社 (9615%) 2) 月次貸借対照表 158 (86 81 ) 3) 目標と実績の対比(売上高,利益) 144 (7912 ) 4) 予算と実績の差異 l39 (76 37 ) 5) 資 金 繰 表 104 (5714 ) 6) 在庫(原材料,仕掛品,製品)の有高 121 (6648 ) 7) 従業員の推移 99 (54 40 ) 8) 製品の不良率 53 (29 12 ) 9) 関係会社取引表 20 (10 99 ) 10) そ の f也 17 ( 9 34 ) *) n =182。複数回答可。 3-2 予算管理の機能分担 日本の親会社と海外子会社の間で,予算管理(基本方針の決定,承認,執行 及び評価)の権限をどのような形で分担されているかは,日本の親会社への権 限の集中あるいは海外子会社への権限の委譲がどの程度進んでいるかを計るメ ルクマールとして重要である。表-17によって,その実態を検討してみよう。 表-17 予算管理の機能分担 1) 予算管理の権限はほとんど海外子会社に委譲している 2) 親会社は予算の基本方針を決定,承認および評価し, 海外子会社はその枠内で編成・執行する 3) 予算管理の権限は日本本社に集中(基本方針,編成,評価), 海外子会社は予算執行し,評価をうける 4) その他 本)n =194
。
108 (55 67%) 80 (4124 3 ( 155 8 ( 4..12 全体的には,予算管理の権限は,日本の親会社から海外子会社にかなり委譲されているといえよう。それは「予算管理の権限はほとんど海外子会社に委譲 している」と予算管理の権限をほとんど委譲しているケースが
1
0
8
社(
5
5
.
.
6
7
%
)
あり,過半数を占めており,また「予算管理の基本方針は,日本本社が決定し, その枠内で海外子会柾が具体的な子算を編成し,本社が承認し,海外子会社は 予算を執行し,本社が評価する」という比率が8
0
社(4L2%)
を占め,両者の いずれかである場合がほとんどであることから理解できる。このことは,以下 で述べる海外子会社の業績評価をしているという企業が75%
もある事実とど う対応するのであろうか。佐藤 [1991J でも指摘されているように,日本本社 は海外子会社に予算(編成,執行,評価)の権限を委譲し,それについて親会 社では,単に「報告」を求めており,結果について本社が積極的に一つ一つ業 績評価(海外子会社と経営者の両方)に結び付けていないのではないかと,56%
近くの企業については解釈できる。また,予算編成の承認と執行の評価は本社 がしており,具体的な編成,執行は現地に任しているのも41%
あり,各子会社 の実状に合わせて,子会社に予算を編成,執行させ,本社サイドは,その承認 と評価をするという通常最も考えられるケースのいずれかである。 このことは,若干上述したが,日本の親企業は海外子会証の予算(特に編成, 執行はほとんど)については,大幅に権限を委譲し,しかも予算の評価も比較 的長期的な観点からなされる場合が多く,短期的な結果には余り固執していな いという佐藤[1991-b Jの指摘が妥当性するのであろう。詳細については,フォ ローアップ調査などで確認する必要があろう。 (4 ) 佐藤 (1991-b )によると,年度予算の「決定権」が現地法人にあるというのが33%あ り,本社と現地法人の交渉というのが37%,本社にありが 24%,地域本部が 3%,そし てその他が3%という割合になっている。(向論文, 25ページを参照のこと。また佐藤教 授の解釈も同ページを参照のこと。)もちろん設問の仕方も異なるので,単純には比較出 来ないが権限が海外子会社に委譲されているという割合が多いのは,今聞の調査と同じ である。なお,予算権限は大幅に委譲されているが,予算の承認と結果の評価は,本社に 留保されており,評価も長期的な観点から,また数字以外のものも加味されなされるので あろうか。ただ,一般に言われている日系企業は,権限が日本本社に集中しており,余り 権限が現地日系企業に委譲されていないとよく言われる指摘とは必ずしも整合しない。 (例えば, Dunning (1988) pp. 228-229を参照のこと。)面接調査などにより,より詳し く検討してみる必要がある。317 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 -161ー 3-3 海外子会社の資金調達 海外子会社の設備投資および運転資金のための資金調達の仕方も,日本の親 企業への権限集中度あるいは海外子会社の自由度(独立度あるいは依存度)を 示すーっの指標になる。 (1) 設備投資資金の調達 そこでまず,海外子会抵の設備投資のための資金をどこから調達しているか を,表 18によって検討してみよう。海外子会桂の設備投資資金の調達は,大 きくは日本の親会社 (495%)と子会社自体の自己資金 (27れ1%)によるのが 基本的な調達方法であるがそれだけでは不十分であり,それに加えて現地の日 系 銀 行 (32“8%)と現地の銀行 (292%)からも借りることにより,設備投資 のための資金を賄っているのが実態であろう。 表ー18 海外子会社の設備投資資金の調達 1) 子会社の自己資金 52社 (2708%) 2) 親会社から 95 (4948 ) 3) 日本の銀行から 12 ( 6 25 ) 4) 現地の銀行から 56 (2917 ) 5) 現地の日系銀行から 63 (32..81 ) 6) その他 15 (7..81 ) *) n =192。複数回答可。 (2) 運転資金の調達 他方,海外子会社の運転資金の調達は,表-19にあるように,おもに現地の 銀行から (5L8%)と現地の日系銀行から (437%)調達している場合が大部 表ー19海外子会社の運転資金の調達 1) 子会社の自己資金 55社 (2764%) 2) 親会社から 29 (l457 ) 3) 日本の銀行から 8 (4..02 ) 4) 現地の銀行から 103 (51 76 ) 5) 現地の日系銀行から 87 (4372 ) 6) その{也 11 (553 ) *) n =199。複数回答可。
4 g a r @ 1 2 R B B e n u e b E g e 分である。それに加えて,海外子会社自身の自己資金 (276%) もある程度の 比率を占め,一部日本の親企業 (146%) から運転資金を調達している場合も 見受けられる。 3-4 国際振替価格 日本の親会世と海外の子会社の間では,製品あるいは部品のやり取り(振替: 輸出あるいは輸入)が,頻繁に行われている。とりわけ,海外の製造子会社と の聞では,それがより頻繁になる。その際の国際振替価格(あるいは国際移転 価格)がどのように決められているかは,日本の親会社と海外子会社の聞の関 係を示す重要な指標である。ここでは,日本の親会社と海外子会社の間で,製 品を販売する場合と部品を販売する場合に分類して,その特徴を見てみよう。 (1) 国際振替価格の実態 日本の親企業と海外子会社の間での製品あるいは部品の国際援替価格の問題 も,グローパル化した日本の親企業が海外子会社を会計的に管理する際,重要 な問題になる。ここでは,国際振替価格の問題を,1)日本の親会社から海外製 造子会社への部品の振替価格(表中では,親→製造子(部)と略記する), 2)日 本の親会柾から海外販売子会社への製品の振替価格(表中では,親→販売子(製) と略記する), 3)海外製造子会社から日本の親会社への部品の振替価格(表中でト は,海外子→親(部)と略記する),そして
4
)
海外製造子会社から日本の親会社 への製品の振替価格(表中では,海外子→親(製)と略記する)の場合に分け て,その国際振替価格の振替基準の実態を,表-20
により検討したい。 1) 親会社から海外製造子会社への部品の移転価格の基準(親会社→製造子会 社(部品)) 一応,国際振替価格の基準として,市価基準(狭義),交渉価格(両者を合 わせて一応市価基準(広義)とした),原価基準(実際原価),原価基準(標 準原価) (両者をあわせて原価基準),原価プラス利益基準(実際原価),原価 プラス利益基準(標準原価) (両者を合わせて原価プラス基準),とその他に 分類して,どのような方法を使っているか,その特徴を明らかにしたい。i 319 わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題 163-親会社から海外子会社への部品の振替価格として最も多く利用されている のは,原価プラス基準(実際原価+標準原価)であり, 49..7% (80社)と半 数近くを占めている。次に多いのは市価基準(市価基準(狭義)+交渉価格) であり, 29 2 % (47社)になる。また,原価基準(実際原価+標準原価)は, 21 1% (34社)に過ぎず,最も少ないようである。ただ,上記4つのケース (1) 2) 3) 4)の 4つ)のなかでは,原価基準が最も多く用いられており,その 理由は,日本の親会社がいまだ十分に一人立ちしていない海外生産子会社を 部品供給を通じてサポートする意味で,原価基準が他の3つのケースよりも 多く用いられているのであろうか。 2) 親会社から海外販売子会社への製品の振替価格の基準(親会社→販売子会 社(製品)) (5 ) な お , 交 渉 価 格 と は 振 替 価 格(transferprice)の決定に際して独立した権限を有する 売り手と買い手の交渉により成立する価格であれそれぞれの子(親)会社の経営者はそ の価格の結果に責任を持つ」と定義して,回答を依頼した。占部(1969)でも,交渉価格 方式は競争市価主義に近いとしながらも,その問題点もいろいろと指摘されている(占部 (1969)の247ページから248ページを参照)。ここでは一応市価基準に近いものとして 分類しているが,その妥当性はインタビュー調査などにより,その内容を詳細に検討した い。なお,交渉価格の利用については,業種別には,輸送用機械において, 1)2)3)4)のい ずれの場合にも,交渉価格が55%以上用いられており,特に多くなっているのがめだって いる。規模別には,市価(狭義)基準の利用は,いずれの場合(1)2) 3) 4) )にも,資本金 100 億円以上の大規模会社で多くなっている。また,交渉価格の利用は, 10 億円 ~50 億円 規模で,いずれの場合にも利用が最も多く,ついで100億円以上の企業で多く利用されて いる。 (6 ) 例えば,佐藤(1991-c )では,日本の親企業から「海外現地法人に製品,部品,半製 品を供給するとき,移転(振替)価格の方法としてJ,以下の5つの基準 (1原価基準, 2原価プラス基準, 3市価基準, 4市価マイナス基準及び5その他)が示されており,そ の回答結果は以下のとおりになっている。 1原価基準:11%, 2.原価プラス基準:47%, 3市価基準:39%, 4市価マイナス基準:15%及び5その他:2 %となっている。(佐藤 (1991-c) 68ページ。)筆者の調査とは,調査の形式が異なるため,直接的には比較しに くいが,概略的には,調査対象企業の相違,質問項目の相違,小生の調査が「製造子会社 (部品の振替)J r販売会社(製品の振替)J などケース別に分けられているため,親会社 〉製造子会社(部品),親会社〉販売子会社(製品)の両者を合わせた値に近い結果が, 佐藤調査ではでているように推測できる。また市価マイナス基準」および「交渉価格」 の内容をどう解釈するかも問題であろう。詳細な検討は,面接などフォローアップ調査に より,振替価格の概念的な内容(質問項目)の詰め(質問者と回答者の聞の認識のギャッ プ)を行うことにより,振替価格の基準の実態がより明確になると思われる。
次に,日本の親会社から海外販売子会社への製品の振替価格の基準になる と,用いられている基準は,市価基準が47.1%(80社)を占め, 1)の場合に 比べて19%位高くなっており,最も多く利用されている基準であるのが特徴 的である。ついで原価プラス基準は,1)に比べると
5%
位減少しているが, 44.7% (76社)とほぼ市価基準に近い数字になっτ
いる。原価基準は, 10.0% (17社)と1)の場合の半分以下になっている。 表-20 国際振替価格の方法 親→製造干(部) 親→販売子(製) 海外→親(部) 海外→親(製) 1) 市価基準 13( 8 07%) 32 (18 82%) 10( 7 75%) 22(14 97%) 2) 交渉価格 34(21 12 ) 48(28 24 ) 34(2636 ) 41(2789 ) 市価基準 47(29 19 80(47 06 44 (34 11 ) 63(42 86 3) 原価基準(実際) 13( 8.07 8( 4 71 9( 6 98 6( 4 08 4) 原価基準(標準) 21(13 04 9( 5 29 9( 6 98 6( 4 08 原価基準 34(21 11 ) 17(1000 ) 18(13 96 12 ( 9 16 5) 原価プラス(実際) 34(21 12 36(21 18 28(21 71 33(22 45 6) 原価プラス(標準) 46(28 57 40(23 53 39(30 23 40(2721 原価プラス基準 80(49 69 76(44 71 ) 67 (51.. 94 73(49 66 7) そのイ也 3 ( 1 86) 3 ( 1 76) 2 (155) 3 ( 2..04 *) n =161 (親→製造子:複数回答3社), n =170 (親→販売子:複数回答企業7社), nニ129(海外子→親(部品:複数回答2社), n=147 (海外→親(製品:複数回答企業 4社)。なお,上述のように複数回答企業がそれぞれに一部あるため,構成比の合計が 100%を上回っている。 この理由は,製品の販売の場合は,いわゆる全く関係のない別企業に製品 を販売するのと同じような基準(市価基準)が,たとえ海外子会社との間と いえども振替価格として用いられ,それだけ会社聞の独立性が高くなってい る場合が多いためであろうか。あるいは,製品の場合には,すでに市価が存 在しており市価基準の利用が簡単かつ合理的なためであろうか。それに対し て,1)の場合に,海外子会社に部品を販売する場合,圏内生産の一部を海外 製造子会社が肩代わりしているところがあり,現時点で、はいまだケース・パ4
)
海外子会社から親会社への製品の振替価格の基準(海外子会社→親会社(製 品)) 最後に,海外子会社から日本の親会社への製品の移転価格の基準を見てみ よう。ここでも,上記3つのケースと同じく原価プラス基準が印刷0%(73社) と約半数を占め,最も多く利用されている。ついで,市価基準が42.9%(63 社)となり,最後に原価基準が9ド2%(12社)とその比率が小さい。 以上,国際振替価格の方法を,その形態の違いにより 4つにわけで検討したのぞあるが,その特徴を採用されている振替価格の基準別に要約すると,以 下のとおりである。 1) 原価プラス基準は,いずれの場合(1)2)3)4))にも最も多く用いられている。 2) 市価基準は,製品の振替(親会社から子会社,子会社から親会社のいずれ も)の際に,比較的多くの企業で用いられている。 3) 原価基準は,最高で、も 20%程度と余り用いられていないが,相対的には親 会社から海外子会社への部品の振替の際に比較的多く用いられている。
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2
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国際振替価格の決定権限 国際振替価格の決定をする際,日本本社と海外子会社との闘で意志決定の権 限がどのようになっているかも,振替価格の内容に大きな影響を与える興味あ る課題である。そこで,ここでは日本本社から海外子会社に製品あるいは部品 を国際移転する場合と,逆に海外子会社から日本本社に国際移転をする場合に わけで,表-21
により検討してみよう。 まず I日本本社から海外製造子会社への部品の販売(振替)Jは, 2ι3点, 「日本本社から海外販売子会社への製品の販売(振替)Jは, 2..64点と,日本本 社から海外子会社に部品あるいは製品を振替える場合の移転価格は,日本の親 企業がリードしながら海外子会社とも相談して決定している様子である。とり わけ,日本から海外子会社への部品の国際移転の場合には,日本の親企業に決 定権がより多く保持されていることがわかる。 逆に,海外子会社から日本本社への部品あるいは製品の国際振替の場合には, 「海外子会社から日本本社への部品の販売(振替)Jは3..01点,そして「海外 子会社から日本本社への製品の販売(振替)Jは2“95点と,上記の場合とは異 なり,比較的海外子会社に価格決定権がある程度移り,少なくとも両者が対等 に部品あるいは製品の価格交渉をしていることがわかる。 なお,上記のいずれの場合も,製品の国際移転と部品の国際移転の場合を比 較してみると,製品の移転の場合は両者での交渉の余地が高く,逆に部品の場 合には部品を輸出する日本の親会社あるいは海外子会社に権限が比較的多く留 保されている点は注目に値する事実である。323 わが国企業のグローカJレ化と管理会計を巡る諸問題 -167 表 一21 国際振替価格の決定形態 平 均 値 標準偏差 1) 日本本社から海外製造子会社への部品の販売 2) 日本本社から海外販売子会社への製品の販売 3) 海外子会社から日本本社への部品の販売 4) 海外子会社から日本本社への製品の販売 q、 υ 5 4 4 a 唱 E A p h d 8 4 p h U ハU Q d " の J u n J “ 今 、 υ