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2. 開示すべき重要な不備 の原因分析 内部統制報告書の 開示すべき重要な不備の内容及び 理由 及び 開示すべき重要な不備の是正に向けての 方針 等の記載事項から 開示すべき重要な不備 の 主な原因を整理すると以下の通りです 制度開始以来 決算業務に係る事項 ( 決算プロセスの体制の不備 重要な決算

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Risk Oversight

取締役会のリスク管理

1.“開示すべき重要な不備”の発生状況 J-SOX適用5年目をむかえた2013年3月期決算会社が、 2013年6月に開示した内部統制報告書は2,490件、その うち“開示すべき重要な不備”を開示した件数は6件とな りました。“開示すべき重要な不備”の開示割合は0.2% と2009 年 3月期のJ-SOXの制度開始以来最も低い開 示割合となっています。 “開示すべき重要な不備”件数と割合(4年目までは年度通算、5年目は3月決算分のみ) 決算期 報告種別 初年度 2009年3月∼ 2010年2月 2年目 2010年3月∼ 2011年2月 3年目 2011年3月∼ 2012年2月 4年目 2012年3月∼ 2013年2月 5年目 2013年3月 提出会社数 3,795社 3,737社 3,677社 3,833社 2,490社 有価証券報告書と同時に報告 された「開示すべき重要な不備」 92社 34社 16社 22社 6社 割合 2.4% 0.9% 0.4% 0.6% 0.2% 一方で、内部統制報告書で経営者評価の結果を“有効” と結論付けたものの、その後 “開示すべき重要な不備 ” の存在が判明し、「訂正内部統制報告書」により過年度 の経営者評価結果を訂正した会社は、以下の表に記載 のとおり、2012年6月から2013年5月の期間で20社でした。 「訂正内部統制報告書」により開示された“開示すべき重要な不備” の件数 報告時期 報告種別 初年度2009年6月∼2010年5月 2年目2010年6月∼2011年5月 3年目2011年6月∼2012年5月 4年目2012年6月∼2013年5月 訂正内部統制報告書 8社 12社 15社 20社 なお、訂正内部統制報告書を提出しているほぼ全ての 会社が、財務諸表の訂正を含む有価証券報告書の訂正 を行うのと同時に、訂正内部統制報告書を提出していま す。これは、誤謬等により財務諸表を訂正する際に、誤 謬の発生原因が内部統制の不備に起因すると結論付 けた結果、評価結果を訂正したものと考えられます。

2013年3月期は、内部統制報告書2,490件中、

“開示すべき重要な不備”は6件。

“開示すべき重要な不備”の開示割合は減少

内部統制報告制度5年目3月期決算会社、開示の集計・分析

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2.“開示すべき重要な不備”の原因分析 内部統制報告書の「開示すべき重要な不備の内容及び 理由」及び「開示すべき重要な不備の是正に向けての 方針」等の記載事項から、“開示すべき重要な不備 ”の 主な原因を整理すると以下の通りです。 “開示すべき重要な不備”の原因(①内部統制報告書) 開示時期 報告種別 初年度 2009年6月∼ 2010年5月 2年目 2010年6月∼ 2011年5月 3年目 2011年6月∼ 2012年5月 4年目 2012年6月∼ 2013年5月 5年目 2013年6月 決算プロセスの体制の不備 51 23 8 12 2 重要な決算整理仕訳の誤り 58 14 5 9 0 関係会社管理の不備(うち海外分) 36(9) 7(1) 4(2) 10(5) 1(1) 不正(不適切な経理処理を含む) 20 6 7 8 3 業務プロセスの整備運用(うち不正と関連するもの) 25(6) 11(3) 3(2) 8(4) 3(2) ※プロティビティ調べ。開示すべき重要な不備の原因が複数の場合もあるため、会社数と上記原因の件数は一致していせん。 “開示すべき重要な不備の原因(②訂正内部統制報告書) 開示時期 報告種別 初年度 2009年6月∼ 2010年5月 2年目 2010年6月∼ 2011年5月 3年目 2011年6月∼ 2012年5月 4年目 2012年6月∼ 2013年5月 決算プロセスの体制の不備 5 2 4 7 重要な決算整理仕訳の誤り 0 2 4 5 関係会社管理の不備(うち海外分) 3(1) 6(1) 4(0) 7(3) 不正(不適切な経理処理を含む) 5 11 10 11 業務プロセスの整備運用(うち不正と関連するもの) 1(0) 0(0) 5(3) 7(5) ※プロティビティ調べ。開示すべき重要な不備の原因が複数の場合もあるため、会社数と上記原因の件数は一致していません。 制度開始以来、決算業務に係る事項(「決算プロセスの 体制の不備」「重要な決算整理仕訳の誤り」)、関係会 社管理に係る事項(「関係会社管理の不備」)及び不正 (不適切な経理処理を含む) を原因とする「開示すべき 重要な不備」が継続して、報告された「開示すべき重要 な不備」の大半を占めています。 特に、訂正内部統制報告書においては、「不正(不適切 な経理処理を含む)」による「開示すべき重要な不備」が 最も多くなっています。これは、過去からの不正が発覚し たことを受け、不正を起因とする財務諸表の誤謬を防止・ 適時に発見する内部統制が有効に機能していなかった と事後的に判断し、評価結果を訂正したものと考えられ ます。 3.傾向からみる今後の留意点 「2.“開示すべき重要な不備 ”の分析」からは、「不正」 「決算業務」「関係会社管理」といったリスク領域で”開 示すべき重要な不備 ”が特定されていることがわかりま す。これらのリスク領域について引き続き注視することが 重要です。 (1)不正への対応 ①不正の発生がもたらす損失 「2.“開示すべき重要な不備”の分析」からもわかるように、 “開示すべき重要な不備”の多くが、不正(不適切な経理

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処理を含む)の発生を原因としたものになっています。 不正が生じた場合、不正に伴う実際の損失に加え、企業 イメージの低下につながるおそれも高まります。今年5月 に米国のトレッドウェイ委員会組織委員会(COSO)が公 表した改訂版「内部統制の統合的フレームワーク」(改 訂版COSO)では、内部統制の原則として不正の観点が 明示されています、また日本においても「監査基準の改 定及び監査における不正リスク対応基準の設定に関す る意見書」(不正リスク対応基準)が公表される等、不正 への対応強化はグローバルでの共通トレンドとなっていま す。このような状況の中で、不正の発生による”開示す べき重要な不備 ”を開示することは、企業のガバナンス、 モニタリング体制の弱さやJ-SOX対応そのものの十分 性への疑問を生じさせてしまうことにもなりかねません。 ②不正の3つの要因とリスク評価 • 一般的に、不正は①動機、②機会、③正当化、の3 つの要因が重なった場合に発生すると言われてい ます。不正を防止するためには、これらの要素それ ぞれを考慮して全社的に不正リスクを評価し、リス クに応じた適切な内部統制を整備・運用することが 必要です。例えば、業績目標のために過度なプレッ シャーがかかっていないか(動機)、職務分掌は適切 に行われているか(機会)、不正を正当化させない企 業倫理やポリシーが社員に徹底されているか(正当 化)、といった観点から体系的にリスク評価を行い、 対応を行うことが重要です。 ③望まれる取組例 • 具体的な取組としては、上述のように発生し得る不 正リスクを特定、評価し、不正防止に焦点を当てた 全社的な不正リスク管理体制の構築が必要となりま す。その際には、形式的なチェックリストによる評価 や対応にとどまらず、現在の内部統制の整備・運用 状況につき、陳腐化していないか、形骸化していない かという点も含め、今一度不正リスクの観点から見 直すことが有効です。 • また、不正の発生時には、それを早期に発見して被 害を最小化できるよう取り組みを行うことが重要で すが、そのためには、不正の兆候を継続的かつ網 羅的にモニタリングすることが重要となります。不正 の兆候を網羅的に把握する取り組みとして、膨大な 取引件数をすべて分析対象とし、兆候の把握と発見 を行うためのCAAT(Computer Assisted Audit

Techniques/コンピュータ利用監査技法)の利用も 有効です。このような取り組みは、不正の3つの要因 に対する牽制となり、発生時の対応だけでなく不正の 防止にも効果的と考えられます。 (2)決算財務報告体制の強化 ①決算財務報告体制に関する不備の要因 内部統制報告制度の開始以来、“決算プロセスの体制の 不備”“重要な決算整理仕訳の誤り”により、“開示すべき 重要な不備”に至ったケースが多く存在します。具体的 には、本社及び関係会社における投融資・税金の処理等 複雑な経理処理の誤りによるもの、企業買収時の処理等 非経常的な取引の処理の誤りによるもの等があります。 このような不備の要因は大きく①決算財務報告業務の 複雑性の高まり、②決算財務報告体制の弱さ、に大別 されます。①の例としては、企業買収や組織再編の実 行、複雑な取引スキームの実行、IFRS(国際財務報告 基準)の導入を含めた新会計基準の適用などが挙げら れます。また②の例としては、経理部門のキーマンの異 動、人員削減、業務拡大や決算早期化に伴う人員不足、 などが挙げられます。これらのリスクが顕在化し、実際に 重要な経理処理の誤りを監査人により指摘された場合 に、”開示すべき重要な不備”を特定されるケースが多い と考えられます。 ②決算財務報告体制に関するリスクの評価と対応 • 上記のようなリスクに対して経理部門において適切 な内部統制を構築する必要があります。複雑な 取引に関してはチェック体制を強化する、決算スケ ジュールに応じた適切な人員配置を行う、新会計基 準に対する適切な情報収集を行う、などの対応が体

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系的に行われることが必要です。 • また、内部統制の評価に関しては、経理部門におけ る内部統制の整備・運用状況を適切に評価できるた めの体制整備が必要になります。そのためには、経 理部門の現状を踏まえて、リスクを適切に把握するた めの専門的知識を持った人材を、評価部門において 確保することも必要です。具体的な対応としては、専 門的知識を持った人材を確保するためにアウトソース やコソースを利用する事例や、経理部門経験者を評 価部門に配置して対応する事例が見られます。 • また、評価対象サンプルの観点では、非経常的な取 引について評価対象に加えることを検討することが 必要です。非経常的な取引は、一般的に経理処理 の誤りのリスクが高く、また通常行われる予算・前期 比較等の分析だけでは誤りの発見が困難である可 能性があります。非経常的な取引で財務諸表への 影響が大きい取引について把握するとともに、評価の 対象とすることが有効と考えられます。 (3)関係会社管理の強化 ①関係会社管理に関する不備の要因 「2.“開示すべき重要な不備”の分析」からは、関係会社 で行われた不正(不適切な経理処理を含む)や取引の 経理処理の誤りにより、“開示すべき重要な不備”につな がった例が多いことも読み取れます。不備の要因として は、関係会社に対するガバナンス、モニタリングの弱さが 考えられます。 例えば、企業買収後の関係会社の経営を旧経営陣が続 投し、親会社側でモニタリングできていないケースや、被 買収企業が異業種であるため親会社からのガバナンス、 モニタリングが十分に及ばないケースなどでは、不正や 経理処理の誤りのリスクが高まる可能性があります。ま た、海外企業については、距離・言語・商慣習の違い等の 理由で親会社からのモニタリングが十分にできていない ケースが多くあります。このようなケースでは不正発生の リスクは大きくなります。また、関係会社においては、経理 処理に精通した人材が不足していること、決算スケジュー ルに余裕がないこと等から、経理処理の誤りが発生する リスクも大きくなっているケースも考えられます。 さらに、内部統制の評価という観点からは、単純に量的 基準によって評価範囲を決定した場合に、質的にリスク の高い関連会社が評価範囲から漏れてしまう可能性も 考えられます。このような場合には、評価対象となってい ない関係会社から不正や経理処理の誤りが発生し、内 部統制の評価プロセスの有効性自体に疑義が生じてしま うおそれもあります。 ②望まれる対応 • まずは、評価範囲の検討にあたって、関連会社に対 するガバナンス、モニタリングの現状について概要把 握を行い、それらを踏まえてリスク評価を適切に行 い、質的な観点から評価対象に含めるべきか検討を 行うことが必要です。 • 不正防止の観点からは、関係会社における不正リス クへの対応を評価するとともに、本社で関係会社の 状況について実態を適切に把握し、不正リスクへの 対応を行っているか、評価を行うことが重要です。 • 関係会社の経理処理の誤りに対しても、関係会社の 決算財務報告業務に関する内部統制に加えて、本 社による関係会社担当者の教育・指導の徹底とモニ タリングについても評価対象とすることが考えられま す。取引・処理の金額的・質的重要性・困難性に応 じ、各社・各拠点で必要にして十分な対応が取られ ているか、また、親会社側でそれらを確保する体制を 整備・運用しているか、評価を行うことが必要です。 4.まとめ 内部統制報告制度(J-SOX)も5年目となり、“開示すべき 重要な不備”の発生割合も引き続き低水準を維持してお り、J-SOXの取り組み自体は広く定着しているものと考え られます。制度開始以来、“開示すべき重要な不備”が

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プロティビティについて プロティビティ(Protiviti)は、リスクコンサルティングサービスと内部監査サービスを提供するグローバルコンサルティングファームです。北米、日本を含む アジア太平洋、ヨーロッパ、中南米、中近東、アフリカにおいて、ガバナンス・リスク・コントロール・モニタリング、オペレーション、テクノロジ、経理・財務における クライアントの皆様の課題解決を支援します。 プロティビティのプロフェッショナルは、経験に裏付けられた高いコンピテンシーを有し、企業が抱えるさまざまな経営課題に対して、独自のアプローチと ソリューションを提供します。現在、世界の70を超える拠点で約 2,900 名のコンサルタントが活躍しています。 発生していない企業が大部分であり、これは各企業が真 摯に内部統制の充実・改善に取り組んできた結果といえ るでしょう。 今後とも、J-SOX対応を形骸化させることなく、ビジネスの 変化や外部環境の変化を勘案して毎期取り組みを見直 し、リスクに応じた適切な対応を続けていくことが重要で す。また、J-SOX対応が会社の継続的取り組みとして安 定的に行われるようになったことから、制度対応にとどまら ず、J-SOX対応の枠組みを活用し、財務報告以外の分 野における内部統制の向上や業務の有効性向上、効率 化推進に取り組む事例も多く出ています。また、このよう な取り組みを効率的に行うために、管理ツールを活用す る事例も見られます。 一方、不正への対応、決算財務報告体制、関連会社管 理など、”開示すべき重要な不備”の要因となっているリス ク領域については、引き続き留意が必要です。これらの 領域は、個別のプロセスレベルの評価にとどまらず、全社 的なガバナンス、モニタリングという観点から評価と対応 が必要となり、実効的な対応のためには部門横断的な取 り組みが必要となることが考えられます。 以上からJ-SOXへの取り組み内容及びリスクを今一度 評価し、 • 現在のリスクに対応した必要十分な対応は行われて いるか • 財務報告以外の分野への応用、業務の有効性向 上・効率化推進の取組への活用はできないか • 不正への対応、決算財務報告体制、関連会社管理 の点から、対応を強化すべき領域はないか といった点を洗い出し、優先順位をつけて効率的・効果的 に対応していくことが重要となります。

参照

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