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DSpace at My University: 英語教育リレー随想 102号(2018.9) 8月6日は忘れられてしまうのか

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 102 号 1 この文章がウェブサイトに載るときには、新学期が始まり、日本の「平和について考え る 8 月」も終わっている。が、めったに経験できないことがあったので、僭越ながらこの 紙面にてご報告したいと思う。 新大阪駅でレジャーに向かうたくさんの旅行客にまみれて、ようやく新幹線に乗車でき た筆者には、大阪にいる限り「日本中、みんなが8 月 6 日を忘れてしまう日はそう遠くな い」とずいぶん悲観的に感じていた。 これが広島駅に着くと、とにかくこどもが多い。しかもなぜか制服姿で列をなして歩い ている。前日から広島電鉄(市内路面電車)に、制服を着た中学生や高校生がたくさん乗 車していて、平和記念公園に向かっていた。その手には紙袋が、またその中には千羽鶴が 束ねられているのを見てようやく気づいた。つい、大阪での自分の認識は、夏休み真っ盛 りに、「戦争のことを真剣に考える」こどもが、こんなにたくさんいるとは想像もできなか ったのだ。実は、平和記念式典にはこどもたちが多くかかわるよう、なされている。「平和 への誓い」はこどもによって宣言され、毎年交代で地元の中学校の吹奏楽部が式典にて演 奏する。筆者は以前、広島県内の大学にて非常勤講師として授業を担当したことがあるが、 広島のこどもたちは曽祖父や曾祖母、祖父や祖母など身近な親族に被ばく者がいる者が少 なくない。私の個人的な感覚で恐縮であるが、四国や近畿のこどもたちに比べ、広島は「原 爆」や「被爆者」に対する距離感が圧倒的に違うと感じていた。現に、式典の一般席にも 広島市内の高校生たちが多く参列していた。 めったにない経験とはここからである。式典後、公園を去ろうとしたところ、突然後ろ から声をかけられた。「東京からきた小学生です。アンケート(インタビュー)いいですか。」 と7人ほどの6年生に囲まれてしまった。彼女・彼らから問われた質問は、「式典に出席さ れて、どのようなお気持ちですか」、「原爆ドームを保存することについてどう思いますか」、 「あなたにとっての平和とはどういうものですか」、「今は平和だと思いますか」というも のであった。それらになるべく簡潔、わかりやすい語彙を使って答えた(と筆者は思って いる)のち、「ありがとうございました。」とみなが深々と一礼をし、次のインタビューを 尋ねる人のところへ去っていった。それはほんのすぐ近く、そこに見える場所でベンチに 腰かけているご高齢のご婦人に彼女ら・彼らはインタビューを行っていた。その様子に実 に感銘を受けた。その話しを聞いている彼らは、地面に膝をついて、手を膝に置き、目線 大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター

〈英語教育リレー随想〉

2018 年 9 月

8 月 6 日は忘れられてしまうのか

福島知津子 第 102 号

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 102 号 2 が下にならないよう、インタビューを受けてくださったご婦人を見上げ、誰一人気を散ら すことなく、その方の話しを真剣な面持ちで聞いていた。そのこどもたちの様子に感心し、 それと同時に安心感を得た。もちろん、この式典後にインタビューをするための学校にお ける事前指導がきちんとなされていることは十分に理解できるが、あの真剣なまなざしは、 教師がどうこう言ってできるものでないことは瞬時にわかった。 こういう人たちがいる限り、少し安心できる、そう思えた。もしかすると、そのこどもた ちも東京へ戻れば、やんちゃやわがままな様子を親に見せるかもしれないが、少なくとも、 広島の「切実な祈りで溢れたあの場」において、彼ら・彼女たちは年齢に関係なく、「人」 として平和を真剣に考えていた。あの真剣なまなざしに我々、毎日心を亡くしたかのよう に「忙しく」している大人も十分に見習うべきところがあると反省するとともに、悲観ば かりせず、将来に期待をもつことも大切なのだと感じた。 (福島知津子 専任講師/教員養成センター)

参照

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