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2. 石狩川の治水事業 石狩川における治水事業は 北海道第一期拓殖計画をスタートして現行計画に至るまでに 捷水路事業 河道掘削 堤防整備 洪水調節施設整備等が行われてきた 捷水路事業は 石狩川が洪水時に河岸侵食を起こして流路が定まらないまま石狩原野を縫流していたことから 平常時 洪水時の水位低下を目

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Academic year: 2021

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石狩川流域の仮想水による治水事業の効果に関する検討

石狩川開発建設部 計画課 ○植 村 繁 生

時 岡 真 治

三 浦 敦 禎

石狩川の計画的な改修事業は、明治43年から始まり間もなく100年を迎えようとしている。石 狩低平地は泥炭性の湿地環境から我が国を代表する穀倉地帯へと大きく変貌し、捷水路事業を はじめとする治水事業はこの発展に大きく貢献した。 本検討は、石狩川流域における農地面積が異なる年代等を比較対象として、過去100年にわた る治水事業の効果および地域発展への効果を定量的に評価、検証するために、「仮想水」を指 標として石狩川における治水事業の効果を考察するものである。 キーワード:仮想水、治水事業効果、河川の水位、土地利用状況、洪水氾濫面積 1. 背景 石狩川の計画的な改修事業は明治43年に石狩川治水事 務所が設置され北海道第一期拓殖計画がスタートしたこ とから始まる(図-1参照)。石狩川の治水対策は、安 全な地域社会の形成を目指し、洪水被害を軽減するため に河川の水位を低下させることを目的として行われてき た。また、食料増産を目的として、泥炭地の湿地環境が 広く分布していた石狩低平地において農地開発の促進に 寄与することも目的の一つとして行われてきた。その結 果、石狩川流域は我が国を代表する穀倉地帯へと変貌を 遂げた。 一方、我が国の食料自給率は39%(農林水産省、平成 18年、カロリーベース)1)と低く、農作物を輸入に頼っ ているのが現状である。それに対して、北海道の食料自 給率は195%であり、全国の中で最も農作物を生産して いる食料基地として大きな役割を担っている。その農作 物を生産する過程においては多量の水資源が使われてお り、国際的な穀物の輸出入等はあたかも「バーチャルウ ォーター(仮想水)を輸出入している」と考えられてい る2)。東京大学沖教授らによると、海外から日本に輸入 された仮想水量は、2005年で約800億m3(835.8億m3)と 推計されている(図-2参照)3) こうした背景から、石狩川治水事業の目的の一つでも あった農地開発により農地面積が増大したことに着目し て、石狩川流域における農地面積が異なる年代等を比較 対象とし、農作物の統計データおよび水消費原単位(あ る製品の単位量を生産するのに必要な水量)2)に基づき、 消費地域(本検討においては石狩川流域外)において消 費(輸入)した農作物を作るのに本来必要であった水量 として定義される「仮想水」について、石狩川流域の生 産量と消費量を推定し、この仮想水量(生産量と消費量 の差)から石狩川における治水事業の効果を考察するも のである。 図-2 2005 年仮想水輸入量 出典:平成 18 年度アジア・太平洋地域における水と衛生に関する データ収集・整理等検討業務報告書、日本水フォーラム、環境省 石狩川治水事務所創設 M43 本格的な治水工事着手 築堤・掘削 T7 M40 T1 T10 S1 S10 S20 S30 S40 S50 S60 H1 H10 H15 M42 工事実施基本計画策定 工事実施基本計画改定 北海道開発局発足 S39 新河川法施行 S50 S56 H13 河川法改正 H9 S40 S57 石狩川捷水路工事(29箇所) S44 S26 S40 S37 M43 9月に洪水 H16 基本方針策定 H16 M43 S21 S28 S39 石狩川改修全体計画 8月上旬に大洪水 既往最大 8月に大洪水 /s(対雁) (石狩川治水計画調査報文) S2 第1期拓殖計画 計画流量8,350m3 第2期拓殖計画 基本高水流量9,300m (石狩大橋) S57 3 /s 基本高水流量18,000m3 /s(石狩大橋) H17 H18 H19 H20 夕張川・千歳川河川整備計画 H17.4 幾春別川河川整備計画 H18.3 豊平川河川整備計画 H18.9 8月に大洪水 空知川河川整備計画 H18.12 雨竜川河川整備計画 H19.5 石狩川上流・下流河川整備計画 H19.9 備 考 計 画 事 業 M30 7月に大洪水 M37 T118月に大洪水 石狩川治水事務所創設 M43 本格的な治水工事着手 築堤・掘削 T7 M40 T1 T10 S1 S10 S20 S30 S40 S50 S60 H1 H10 H15 M42 工事実施基本計画策定 工事実施基本計画改定 北海道開発局発足 S39 新河川法施行 S50 S56 H13 河川法改正 H9 S40 S57 石狩川捷水路工事(29箇所) S44 S26 S40 S37 M43 9月に洪水 H16 基本方針策定 H16 M43 S21 S28 S39 石狩川改修全体計画 8月上旬に大洪水 既往最大 8月に大洪水 /s(対雁) (石狩川治水計画調査報文) S2 第1期拓殖計画 計画流量8,350m3 第2期拓殖計画 基本高水流量9,300m (石狩大橋) S57 3 /s 基本高水流量18,000m3 /s(石狩大橋) H17 H18 H19 H20 夕張川・千歳川河川整備計画 H17.4 幾春別川河川整備計画 H18.3 豊平川河川整備計画 H18.9 8月に大洪水 空知川河川整備計画 H18.12 雨竜川河川整備計画 H19.5 石狩川上流・下流河川整備計画 H19.9 備 考 計 画 事 業 M30 7月に大洪水 M37 T118月に大洪水 図-1 石狩川治水の沿革

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2. 石狩川の治水事業 石狩川における治水事業は、北海道第一期拓殖計画を スタートして現行計画に至るまでに、捷水路事業、河道 掘削、堤防整備、洪水調節施設整備等が行われてきた。 捷水路事業は、石狩川が洪水時に河岸侵食を起こして 流路が定まらないまま石狩原野を縫流していたことから、 平常時、洪水時の水位低下を目的として、大正 7 年の生 振捷水路から工事が始まり、砂川捷水路を昭和 44 年に 通水して完了した 4)。これら 29 箇所の捷水路によって、 石狩川は約 50 年間で約 60km が短くなった。 河道掘削は、石狩川 KP2~54 区間において昭和 32 年 から始まり平成 18 年までに洪水を安全に流下させるこ とを目的として行われ、完成断面を目指し整備を継続し て進めている。図-3のとおり、昭和 41 年と平成 15 年 の河積を比較すると、明らかに河積は増大している。そ うした河道掘削の河積確保により流下能力を向上させて いる。 石狩川本川の堤防整備は、洪水氾濫防御を目的として 滝川市街築堤整備(大正 14 年完成)を皮切りに、捷水 路事業の発生土が活用された。捷水路事業箇所周辺では 堤防整備が進められたが、断続的であり堤防機能として は不十分であった。昭和 28 年「石狩川改修全体計画」 においては、捷水路事業による洪水疎通能力が一定のレ ベルに達したことから、堤防整備計画が明記された。堤 防は連続して初めて機能を発揮するため、その計画にお いては連続堤防の早期完成を重点事項として暫定堤防整 備を優先している。その結果昭和 40 年代で連続堤防が 概成したが、昭和 50、56 年洪水5),6)では破堤や越水によ る浸水被害が発生している。そのため、現在においても 河川整備計画に基づき完成堤防の整備を継続して進めて いる。 洪水調節施設整備は、昭和 26 年にダム事業に着手し てから現在に至るまで 8 つのダムと 1 つの遊水地が完成 している。それらの洪水調節施設は、223,400 千 m3 の洪 水調節容量を有し(図-4参照)、洪水氾濫防御に大き く寄与している。 3. 治水事業の効果 捷水路事業、河道掘削、堤防整備、洪水調節施設整備 等が行われてきたことにより、治水事業の効果がどの程 度あるのかを検証するために河川の水位、土地利用状況 および洪水氾濫面積について整理した。なお、治水効果 を比較する年代については、後述する仮想水算出の年代 と統一するため、昭和30年代と現在とを比較することと する。 河川の水位について経年変化を検証するため、図-5 に石狩大橋地点(石狩川KP26付近)における昭和30年代 と現在の水位と流量の関係を表した。同じ流量に対して 水位が低下していることを示しており、水位差の大きい ところでは約3m低下している。この図から、捷水路事 業や河道掘削等の治水事業が河川の水位低減をもたらし たと考えられる。 土地利用状況について、昭和30年頃と現在を比較する と(図-6)、現在においては土地利用の高度化が進み、 農地面積は昭和30年頃に比べて約130km2増加している。 これは、河川の水位が低下したことが結果として地下水 位の低減に寄与していると想定される。さらに年代を遡 り、明治30年頃と比べると、農地面積は約1,000km2も増 えている。計画的な改修事業が明治43年から始まったこ とから、農地面積の増加は捷水路事業等による治水事業 の効果として考えられる。なお、農地面積は石狩川下流 域における面積である。 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 KP 河積(m2) 昭和41年測量 平成15年測量 豊平川 合流点 千歳川 合流点 夕張川 合流点 幾春別川 合流点 図-3 河積縦断図 0 50000 100000 150000 200000 250000 300000 S22 S25 S28 S31 S34 S37 S40 S43 S46 S49 S52 S55 S58 S61 H1 H4 H7 H10 H13 H16 H19 総 治水容量(千m3) 桂沢 ダム 金山 ダム 豊平 峡ダ ム 大雪 ダム 漁川 ダム 定山 渓ダ ム 砂川 遊水 地 滝里 ダム 忠別 ダム 図-4 洪水調節容量 石狩大橋 H-Q式 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 11,000 12,000 Q(m3/s) H( m) S29~S39 S40~S49 S50~S59 S60~H6 H7~H16 H17~H18 現在 約4m S30年代 約7m 3m低下 図-5 石狩大橋地点の水位と流量の関係 掘 削 標 準 図

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洪水氾濫面積について、昭和37年洪水7)と平成13年洪 水8)を比較すると(図-7)、H13洪水においては洪水氾 濫面積がS37洪水に比べて約620km2も減少した。H13洪水 の3日雨量と流量ともにS37洪水のそれらより大きいにも 係らず(表-1参照)、洪水氾濫面積が大幅に減少した のは堤防整備等による治水事業の効果として考えられる。 その理由は、図-8に示すグラフで説明できる。この図 表-1 S37 および H13 洪水の雨量と流量(石狩大橋地点) 年 次 雨量(mm/3日) 流量(m3) 昭和37年 140 4,410 平成13年 171 6,600 19% 96% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 昭     和 3 0 年 代 現 在 77%増 図-8 石狩川下流の堤防整備延長 市街地 水 田 湿 地 市街地 水 田 湿 地 凡  例 昭和 30 年頃の土地利用状況 現在の土地利用状況 農地面積 979km2 農地面積 1,111km2 農地面積 132km2拡大 図-6 土地利用の高度化 昭和 37 年洪水氾濫実績図 平成 13 年洪水氾濫実績図 凡 例 外水氾濫 内水氾濫 氾濫面積 661km2 外水 224km2 内水 437km2 氾濫面積 38km2 外水  1km2 内水 37km2 氾濫面積 623km2減少 外水 223km2減少 内水 400km2減少 図-7 S37洪水とH13洪水の氾濫面積

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は、石狩川下流域の昭和30年代(築堤工事台帳)および 平成20年(築堤現況調書)までに、それぞれ整備された 堤防延長の整備率である。ここで言う「整備率」は計画 堤防延長に対する完成堤あるいは暫定堤の整備延長の割 合である。昭和37年の整備率は約19%であるのに対して、 現在においては約96%とほぼ概成しており、堤防整備は 洪水氾濫面積の減少に大きく寄与している。 また、前述したとおり昭和40年代までに堤防は暫定堤 による連続化整備が行われたが、昭和50、56年洪水では 破堤や越水による甚大な被害が発生した。昭和50年以降、 現在も進めている完成堤の整備により、平成13年洪水で は破堤や越水の被害をなくし、洪水氾濫面積を軽減した。 もちろん堤防のみならず、洪水調節施設整備によるダム や遊水地の効果は大きい。 4. 仮想水量の算出 仮想水量の算出にあたっては畜産物や工業製品も対象 であるが、石狩川治水事業の効果は農業に大きく寄与し ていることから、本検討では農作物を対象とする。また、 石狩川流域において生産されている農作物作付面積は、 「北海道農林水産統計年報(総合編)平成18年~平成19 年」9)によると13品種がある(図-9参照)が、本検討 では作付面積の割合が多い米、小麦、大豆を対象とする。 これら3品種の生産量および消費量は、「昭和35年度主 要農作物市町村別作付面積並びに収穫高」10)および「平 成19年度食料需給表」11) に掲載されているため、昭和 35年と平成18年の仮想水量を算出することとした。なお、 この二年代の数値によって算出された仮想水量は、治水 事業の効果と関連付けることが可能となる。 生産に係わる仮想水量の算出方法は以下のとおりであ る。米、小麦および大豆のそれぞれについて、生産量は 「北海道農林水産統計年報(総合編)平成18年~平成19 年」9)による石狩川流域46市町村の合計値とした。この 合計値に、沖教授らによって算出されている水消費原単 位(ある製品の単位量を生産するのに必要な水量)2) 乗じることにより、平成18年の農作物に係わる生産の仮 想水量を表-2にそれぞれ算出した。 同様に、「昭和35年度主要農作物市町村別作付面積並 びに収穫高」10)による生産量および水消費原単位から、 昭和35年の農作物に係わる生産の仮想水量を表-3にそ れぞれ算出した。 消費に係わる仮想水量の算出方法は以下のとおりであ る。「平成19年度食料需給表」10)は消費量が用途別に飼 料用、種子用、加工用、粗食用などに分類されているが、 飼料用と加工用はそれぞれ畜産物、工業製品の仮想水量 算出時に計上されるため、本検討においては種子用と粗 食用を対象とする。なお、「平成19年度食料需給表」10) は全国値としてまとめられているため、石狩川流域にお ける数値(消費量)に変換する必要があり、変換方法は 表-4のとおりである。上記の方法により「平成19年度 石狩川流域 農作物作付面積 (平成18年) 154.7千ha その他 5.6% とうもろ こし 1.8% ばれいしょ 2.7% たまねぎ 3.0% てんさい 3.2% 大豆 8.3% 小麦 22.4% 米 53.0% 図-9 石狩川流域の農作物作付面積(H18) 表-2 農作物の生産に係わる仮想水量(H18) 米 466.8 3,300 1,540,440 小麦 116.1 2,100 243,810 大豆 32.3 2,500 80,750 計 615.2 - 1,865,000 仮想水量 (千m3) A*B 品 目 石狩川流域 農作物生産量(千t) A 水消費原単位 (m3/t) B 表-3 農作物の生産に係わる仮想水量(S35) 米 536.5 3,300 1,770,450 大豆 7.0 2,100 14,700 小麦 2.7 2,500 6,750 計 546.2 - 1,791,900 品 目 石狩川流域 農作物生産量(千t) A 水消費原単位 (m3/t) B 仮想水量 (千m3) A*B 表-4 石狩川流域における消費量への変換方法 用 途 変 換 方 法 種子用 全国の農作物生産量に対する石狩川流域での生産割合から 石狩川流域の消費量を算出 粗食用 全国人口に対する石狩川流域の人口割合から石狩川流域の消費量を算出 表-5 農作物の消費に係わる仮想水量(H18) 米 209.1 3,300 690,030 小麦 127.6 2,100 267,960 大豆 21.8 2,500 54,500 計 358.5 - 1,012,490 品 目 石狩川流域 農作物消費量(千t) A 水消費原単位 (m3/t) B 仮想水量 (千m3) A*B 表-6 農作物の消費に係わる仮想水量(S35) 米 251.9 3,300 831,270 小麦 65.7 2,100 137,970 大豆 11.2 2,500 28,000 計 328.8 - 997,240 石狩川流域 農作物消費量(千t) A 水消費原単位 (m3/t) B 仮想水量 (千m3) A*B 品 目

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食料需給表(平成18年値)」10)から消費量を算出し、こ れに水消費原単位を乗じて、平成18年の農作物に係わる 消費の仮想水量を表-5にそれぞれ算出した。 同様に、「平成19年度食料需給表(昭和35年値)」10) による消費量および水消費原単位から、昭和35年の農作 物に係わる消費の仮想水量を表-6にそれぞれ算出した。 上記で算出した生産および消費の仮想水量の収支は表 -7のとおりで、石狩川流域において農作物3品種の仮 想水は各年代とも生産量が消費量を上回っている。その 仮想水量は、平成18年において852,510千m3である。こ れは、図-10のように農作物を流域外に出荷すること によりあたかも「バーチャルウォーター(仮想水) 852,510千m3を出荷している」と考えられる。あるいは 「852,510千m3の仮想水が流域外で消費された」と言え る。参考までに、「852,510千m3」というボリュームは 札幌ドーム(1,580千m3)12)の約540杯分である。 5. まとめと考察 本検討では、石狩川流域における農地面積が異なる昭 和30年代と現在を比較対象として、過去100年にわたる 治水事業の効果および流域発展への効果を定量的に評価、 検証するために、「仮想水」を指標として治水事業の効 果について考察した。 治水事業については、捷水路事業、河道掘削、堤防整 備、洪水調整施設整備等が進められて、河川の水位、土 地利用状況および洪水氾濫面積について検証し、以下の ことが確認できた。 ・河川の水位は昭和30年代から現在に至るまでに石狩大 橋地点において約3m低下していることがわかった。 ・昭和30年頃に比べて現在においては土地利用の高度化 が進み、農地面積は約130m2増えた。 ・洪水氾濫面積は、平成13年洪水の3日雨量と流量とも に昭和37年洪水のそれらより大きいにも係らず、洪水 氾濫面積は平成13年洪水の方が小さく、約620km2も減 少させた。 このような治水効果が発現されている昭和30年代から 現在において、農作物3品種について「57,850千m3」の 仮想水が流域外に出荷されたこととなる。これは治水事 業効果の一つと考えられ、地域発展の観点からは土地利 用の高度化に大きく寄与し、我が国の水資源供給に貢献 していると考えられる。間接的には、流域内人口の増加、 農業生産高の増加、工業生産高の増加にも寄与している ことが想定される。 以上のように、本検討では石狩川流域における「仮想 水」を治水事業効果の指標とした考察を行った。今後は、 仮想水と治水事業効果の因果関係をより強く結び付ける ために、治水事業の効果を表現する指標を増やしたり、 水位低減や氾濫面積などの治水効果量について精度を向 上させることが重要となる。そして、石狩川(下流)整 備計画に記載されているとおり、次世代に引き継ぐこと ができる安全で活力に満ちた地域社会を形成することを 基本理念として、今後の石狩川流域における治水事業の 実施にあたっての基礎資料とする必要がある。 参考文献 1) 農林水産省:平成18年(確定値)の都道府県別食料需 給率 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/pdf/ws.pdf 2)東京大学 沖大幹:世界の水危機、日本の水問題 2003.7 http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/Info/Press200207/ 3)日本水フォーラム、環境省:平成18年度アジア・太平 洋地域における水と衛生に関するデータ収集・整理等検 討業務報告書 4)山口甲、品川守,関博之:捷水路 5)財団法人北海道開発協会:昭和50年洪水報告書 6)財団法人北海道開発協会:昭和56年洪水報告書 7)石狩川治水事務所:昭和37年洪水報告書 8)北海道開発局:平成13年洪水報告書 9)農林水産省北海道農政事務所統計部:北海道農林水産 統計年報(総合編)平成18年~19年 10)農林省札幌統計調査事務所:昭和35年度主要農産物 市町村別作付面積並びに収穫高 11)平成19年度食料需給表(農林水産省大臣官房食料安 全保障課) 12)札幌市:札幌ドームの容積(株式会社札幌ドーム) http://www.sapporo-dome.co.jp/dome/index.html

852,510千m

3 (H18) 石狩川流域 図-10 石狩川流域の仮想水量概念図 表-7 農作物の仮想水量の年次比較 昭和35年a 1,791,900 997,240 794,660 平成18年b 1,865,000 1,012,490 852,510 差b-a 73,100 15,250 57,850 年 次 単位:千m3 生産量の 仮想水量A 消費量の 仮想水量B 収支 A-B

参照

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