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日下川総合内水対策計画 平成 28 年 8 月 日下川浸水対策調整会議

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日下川総合内水対策計画

平成

28 年 8 月

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目 次

1. 流域及び河川の概要 ...1 2. 内水対策に関する現状と課題 ...5 2.1 洪水の概要 ... 5 (1) これまでの浸水被害 ... 5 (2) 平成 26 年 8 月台風 12 号による浸水被害 ... 7 (3) 平成 26 年 8 月台風 11 号による浸水被害 ... 8 2.2 治水事業の経緯 ... 9 (1) 主な治水事業 ... 9 (2) 仁淀川水系河川整備計画における日下川流域の内水はん濫への対応 ... 9 (3) 日下川流域総合治水計画(H25.3)に基づく取り組み ... 11 3. 日下川総合内水対策計画 ... 12 3.1 計画概要について ... 12 (1) 整備目標 ... 12 (2) 整備方針 ... 12 3.2 ハード対策 ... 13 (1) 国土交通省による対策 ... 13 (2) 高知県による対策 ... 14 (3) 日高村による対策 ... 14 3.3 維持管理 ... 15 3.4 ソフト対策 ... 16 (1) 防災情報の提供 ... 16 (2) 土地利用に関するルールづくり ... 20 (3) 地域防災力の強化 ... 20 (4) その他 ... 20 4. 今後の治水対策検討 ... 21 4.1 モニタリング調査 ... 21 4.2 二次内水による浸水対策 ... 21 5. その他 ... 22 附則 ... 23

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1. 流域及び河川の概要 日下川く さ か が わは、一級河川仁淀川水系の一次支川で、その源を佐川さ か わ町下山し も や まの低山地に発して東 流し、佐川町加茂か も 字弘岡ひ ろ お か地先で長竹な が た け川が わ、日高ひ だ か村本郷ほ ん ご う字大橋お お は し地先で戸梶川と か じ か わを合わせて、仁淀川に よ ど が わ 右岸の河口より約14.2km(直轄管理区間)地点(日高村下分し も ぶ ん字江尻え じ り地先)で合流する幹川 流路延長11.7km、流域面積 38.0km2の河川である。 日下川流域の中央を東西に国道33 号、JR 土讃線が縦走しており、これに沿って日高村 の市街地が細長く形成され、昭和50 年以降において宅地開発が進行している。 また、流域沿川は、豊かな自然環境を残す水田を主とする農地が広がり、生姜生産の他、 トマト園芸などが盛んである。特に施設園芸の主軸をなす高糖度トマトはブランド化を確 立、「シュガートマト」として全国に誇れる日高村自慢の一品となっている。 一方で、日下川の低平地部は、全体として地盤が低いうえに、昭和21 年 12 月の昭和南 海地震により 1m以上の地盤沈下が生じたとされており、仁淀川合流点より上流に向かっ て堤内地盤が低くなる極めて特殊な“低奥型地形”を成している。 このことは、仁淀川の河床勾配が、上流部で1/100~1/150 程度、下流部で 1/1,000 程度 の急流河川であることに対し、日下川の河床勾配は 1/3,000 程度と極めて緩勾配であるた め水はけが悪く、仁淀川本川の背水影響などを受け、内水氾濫を引き起こしやすい地形特 性を有している。 さらに、仁淀川流域は年平均降水量が約 2,500mm を超える全国でも屈指の多雨地帯で あり、日下川流域も降水量が多く、集中豪雨が発生しやすい気候特性を併せ持った流域で ある。 これらのことから日下川流域は、古くより浸水被害に悩まされ、日高村史によると、「日 高村における水害の歴史は過去三百有余年にも遡る」と記されているとともに、流域にお ける近年の宅地化の進行などにより、その被害が深刻化し、浸水被害軽減に向けた抜本的 な対策が既往年度来求められて来た。 表1.1 日下川流域の概要 項 目 内 容 備 考 流域面積 38.0km2 流路延長 11.7km 流域内市町村 高知県日高村、佐川町、土佐市 流域内人口 約6,400人 年平均降水量 約3,000mm 佐川観測所(気象庁) 1898年~2008年の20カ年平均値 流域の主な産業 農業

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図1.1 仁淀川流域図 図1.2 日下川流域図 至:高知市 至:西条市 至:窪川 至:松山市 下山  山伏郷  日下川流域

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B’ 戸梶川合流 日下川放水路吞口 い げ 神母樋門 すじちがい 筋違橋 日下川放水路 派川 日下川 いわ め じ 岩目地観測所 (水位・雨量) 凡例 標高(T.P.m) 30.0~ 27.0~30.0 24.0~27.0 21.0~24.0 18.0~21.0 15.0~18.0 ~15.0 うまごえ 馬越調整池 おかばな 岡花調整池 図1.3(1) 日下川低平地部の地盤高標高図 10 12 14 16 18 20 22 24 26 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00 5.50 6.00 6.50 7.00 7.50 8.00 8.50 標高 (T. P. m ) 距離(km) 観測水位(H26T12) 地盤高 現況最深河床高 地形縦断図(A―A’) 神母樋門 日下川放水路吞口 筋違橋 戸梶川合流 日下川→ 仁淀川HWL(14.2k) B―B’ 浸水位(平成26年台風12号) 上流 下流 地盤高 現況最深河床高 下流 地盤高 国道33号 10 15 20 25 30 35 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 標高 (T. P. m ) 距離(km) トマトビニールハウス トマト集荷場 工場 日下川 右岸 左岸 浸水位 (平成26年台風12号) JR土讃線 地形横断図(B―B’) 国道33号 図1.3(2) 日下川の地形断面図

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宅地化の進行、工業団地の進出、トマト集荷場の建設等 昭和50年(1975年) 国道33号 JR土讃線 至:高知 至:松山 至:四万十 平成24年(2012年) 日高村役場 国道33号 JR土讃線 至:松山 至:高知 至:四万十 ⑤沖名工業団地 ④清水工業団地 ⑥トマトハウス団地 ⑦シュガートマト選果場 ③村の駅ひだか 下分地区 下分地区 本郷地区 本郷地区 馬越調整池 ②沖名地区 ②沖名地区 岩目地地区 岩目地地区 ①日高村中心部 ①日高村中心部 日高村役場 岡花調整池 :宅地化の進行が顕著な箇所 :工業団地が進出した箇所 :トマト栽培ハウス・集荷場が立地した箇所 凡 例 図1.4 日下川流域の開発状況の変化 ③「村の駅ひだか」 ③「村の駅ひだか」の店内 ①日高村中心部 ②沖名地区 馬越調整池 日下川 放水路 呑口 ⑥トマトハウス団地 ⑦シュガートマト選果場 ④清水工業団地 ⑤沖名工業団地 馬越調整池

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2. 内水対策に関する現状と課題 2.1 洪水の概要 (1) これまでの浸水被害 日下川は、洪水時に仁淀川本川の背水の影響を受けないように合流部の神母い げ 樋門を全閉 するため、日下川の流下能力不足と相まって、台風などの集中豪雨により、過去に大きな 浸水被害を受けている。 特に、昭和50 年 8 月台風 5 号による洪水では日下川流域の流出量の大半を内水として抱 えこむ形となったため、日高村の平野部のほぼ全域が水没し、死者 25 名を伴う床上浸水 659 戸、床下浸水 121 戸の甚大な被害を被った。 その後、昭和50 年 8 月台風 5 号による甚大な浸水被害を契機に、国土交通省による日下 川放水路が整備され、さらに高知県による調整池の整備などの治水対策により、浸水被害 軽減に一定の効果を上げてきた。 しかし、平成15 年以降に小規模であるが床上浸水被害が頻発していた中、平成 26 年 8 月3 日の台風 12 号において、床上浸水 109 戸、床下浸水 50 戸、浸水面積 274ha と甚大 な浸水被害が発生し、さらに平成26 年 8 月 10 日の台風 11 号において床上浸水 18 戸、床 下浸水47 戸、浸水面積 214ha の被害が発生し、1 週間の内に 2 回も甚大な被害が発生し た。 表2.1 日下川流域の主な浸水被害(昭和 38 年~平成 26 年) S.38. 8 台風 9号 531 432 12 201 S.45. 8 台風10号 267 - - - - S.46. 8 台風23号 428 - 19 77 96 S.50. 8 台風 5号 640 545 659 121 780 S.51. 9 台風17号 567 600 515 82 597 S.55. 5 豪雨 279 129.5 0 15 15 H.09. 9 豪雨 304 0.03 3 1 4 H.15. 5 台風 4号 393 0.02 8 8 16 H.16. 8 台風10号 520 - 2 9 11 H.16. 9 9月大雨 269 - 7 9 16 H.16. 9 台風21号 307 - 5 9 14 H.16.10 台風23号 401 - 9 26 35 H.17.9 台風14号 415 - 4 3 7 H.18. 4 豪雨 347 0.3 1 2 3 H.19. 7 台風 4号 471 0.08 4 6 10 H.26.8 台風12号 690 274.4 109 50 159 H.26.8 台風11号 397 214 18 47 65 2日間雨量 (mm) 床上浸水 (戸) 床下浸水 (戸) 全浸水家屋 (戸) 189 発 生 年 月 発生原因 浸水面積 (ha) 注)2 日雨量は、S57 年以前は佐川(国土交通省)、S58 年以降は岩目地(国土交通省)を示す。 出典:水害統計、日高村資料等

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過去最大の被害を被った昭和50 年 8 月の浸水状況写真(日高村資料) 日高村役場 神母樋門 佐川町 日高村 土佐市 国道33号 JR土讃線 国道194号 :昭和50年8月台風5号実績浸水区域 岡花 図2.1 日下川実績浸水区域図(昭和 50 年 8 月台風 5 号) 【日高村役場前】 【岡おかはな付近:R33 号下の JR は水没している】 【仁淀消防組合日高分署付近(日高村役場より)】 【日高郵便局付近(日高村役場より)】

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(2) 平成 26 年 8 月台風 12 号による浸水被害 平成26 年 8 月の台風 12 号による洪水は、日下川放水路が完成して以降で最も甚大な 浸水被害が発生し、床上浸水109 戸、床下浸水 50 戸、浸水面積 274ha にも及んだ。 日高村の特産品であるシュガートマト栽培ハウス及び選果場が浸水し、選果場の設備 が故障するなど大きな打撃を受けた。また、日高村を縦貫する国道33 号が及び JR 土讃 線がいずれも冠水したため、長期間の通行止めや運行休止を強いられた。 台風12 号では、日下川流域に降雨が降り始めた時点で、仁淀川本川水位が上昇し始め たため神母樋門を早期に閉鎖することとなり、観測史上最大の降雨規模に対して既設放 水路の排水能力を超過した出水が日下川流域に湛水し、家屋が多く分布する標高まで浸 水位が上昇して甚大な浸水被害が発生した。 表2.2 平成 26 年 8 月台風 12 号の被害状況 被害 内容 浸水家屋 159 戸 (床上109 戸、床下 50 戸) 浸水面積 274.4ha 交通支障 国道 33 号通行止:約 18 時間 JR 土讃線運行休止:約 70 時間 (3) 図2.3 平成 26 年 8 月台風 12 号の浸水被害状況 図2.2 平成 26 年 8 月台風 12 号の出水状況 13.0 15.0 17.0 19.0 21.0 23.0 25.0 0 20 40 60 80 100 120 2 日雨量:690mm (8 月 2 日 0 時~8 月 3 日 24 時) 時間最大雨量:48mm(8 月 3 日 8 時 00 分) 総降水量 :793mm (8 月 2 日 3 時 00 分~8 月 4 日 20 時 00 分) 最高水位:19.23m (8 月 3 日 15 時 00 分) ※浸水面積は佐川町を含んでいるが、浸水家屋は日高村でのみ 発生

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平成26 年 8 月台風 11 号による浸水被害 台風12 号による浸水被害のわずか 1 週間後には、台風 11 号による浸水被害が発生し、 床上浸水18 戸、床下浸水 47 戸、浸水面積 214ha を記録した。 また、日高村を縦貫する国道33 号が冠水したため、長期間の通行止めを強いられ、JR 土讃線も長時期間の運行休止となった。 表2.3 平成 26 年 8 月台風 11 号の被害状況 被害 内容 浸水家屋 65 戸 (床上18 戸、床下 47 戸) 浸水面積 214ha 交通支障 国道33 号通行止:約 8 時間 JR 土讃線運行休止:約 36 時間 図2.5 平成 26 年 8 月台風 11 号の浸水被害状況 図2.4 平成 26 年 8 月台風 11 号の出水状況 13.0 15.0 17.0 19.0 21.0 23.0 25.0 0 20 40 60 80 100 120 時間最大雨量:66mm(8 月 10 日 4 時 00 分) 総降水量:497mm (8 月 8 日 8 時 00 分~8 月 10 日 6 時 00 分) 最高水位:18.49m (8 月 10 日 7 時 10 分) 2 日雨量:397mm(8 月 9 日 0 時~8 月 10 日 24 時) ※浸水面積は佐川町を含んでいるが、浸水家屋は日高村でのみ 発生

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2.2 治水事業の経緯 (1) 主な治水事業 治水事業を遡ると、仁淀川からの逆流を防止するために、仁淀川と合流する日高村江尻え じ り地 先に明治 20 年(1887)神母閘門が築造され、大洪水のたびに幾度の破損と改修を繰り返 し、大正3 年(1914)年および昭和 25 年(1950)に大改修が実施された。現在の神母樋 門は昭和62 年(1987)に完成している。 また、昭和21 年の南海地震による地盤変動対策事業により、派川日下川が昭和 36 年に 完成している。 昭和50 年 8 月洪水の甚大な浸水被害を契機として、河川激甚災害対策特別緊急事業の採 択を受け、国土交通省により日下川放水路トンネルが昭和57 年に完成している。 日下川の抜本的な河川改修事業は、高知県による中小河川改修事業として昭和50 年に着 工し、戸梶川合流点より上流部の暫定改修(拡幅・築堤)が行われ、途中、広域河川改修 事業により整備が進められ、河道への負担軽減を目的として平成10 年に岡花お か ば な(日下川)調 整池、平成23 年には馬越う ま ご え(戸梶川)調整池が完成した。 現在、仁淀川水系河川整備計画において今後の河川改修の推進が位置付けられている。 日下川放水路トンネルが完成して以降、大きな浸水被害は発生していなかったが、平成 15 年以降の頻発する日下川の床上浸水被害に対して、国土交通省・高知県・日高村が連携 して、それぞれの役割分担のもと総合的な治水対策を推進するために、日下川流域総合治 水計画を平成25 年 3 月に策定し、排水ポンプ車配置ヤード整備や内水浸水センサー設置な どを実施している。 (2) 仁淀川水系河川整備計画における日下川流域の内水はん濫への対応 平成25 年 12 月に策定した仁淀川水系河川整備計画における日下川の内水氾濫被害への 対応の整備目標は、下記のとおりとしている。 内水氾濫被害への対応については、今後の内水被害の状況を注視しつつ、家屋浸水被 害が著しい場合は国、高知県及び関係自治体が連携し、必要な内水対策を行い、床上浸 水被害の軽減・解消に努める。また、内水被害の軽減及び拡大防止のためには、流域か らの流出抑制や低地への家屋進出の抑制等が必要であるため、ハザードマップ作成への 技術的支援、地域住民への啓発活動等のソフト対策を関係自治体と連携して積極的に行 う。既設の日下川放水路等については、適切な維持管理を行い、機能を維持する。

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表2.4 日下川治水事業の経緯 年度 事業名 治水施設 備考 明治20 年~昭和 62 年 神母樋門 神母閘門の改修 昭和28 年~昭和 36 年 南海地震地盤変動対策事業(高知県) 派川日下川 L=3.7km,D=3.2m 昭和52 年~昭和 57 年 河川激甚災害対策特別緊急事業 (国土交通省) 日下川放水路 L=5.0km,D=7.0m 昭和50 年~昭和 59 年 中小河川改修事業(高知県) 河道 河川改修 昭和59 年~平成 8 年 岡花調整池 調節容量52 万 m3 平成9 年~平成 10 年 広域河川改修事業(高知県) 平成10 年~平成 15 年 河道 河川改修 平成15 年~平成 23 年 馬越調整池 調節容量30.6 万 m3 図2.6 日下川治水事業位置図(平成 27 年 3 月現在)

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(3) 日下川流域総合治水計画(H25.3)に基づく取り組み 国土交通省、高知県及び日高村は平成16 年 10 月の台風 23 号と同規模の洪水に対し て家屋の床上浸水被害を解消するため「日下川流域総合治水計画」を平成25 年 3 月に策 定し、この計画を踏まえて国土交通省及び高知県により、以下の取り組みを実施した。 ①日下川排水ポンプ車配置ヤード施設の整備(国土交通省) 神母樋門箇所に排水ポンプ車の配置ヤード及び釜場を平成26 年 2 月に完成するとと もに、平成26 年 6 月に当該箇所にて排水ポンプ車操作訓練を実施した。 また、平成26 年台風 12 号及び台風 11 号において、排水ポンプ車を稼働し、浸水 被害の軽減に大きく寄与している。 排水ポンプ車操作訓練状況(H26.6) 排水ポンプ車稼働状況(H26.8 台風 12 号) ②内水浸水センサーの設置(国土交通省) 日下川の浸水区域内の各所の浸水実態を把握し、要因分析や対策検討のための浸水実 態データの蓄積を目的として、内水浸水センサーを平成25 年 12 月に計 4 箇所設置した。 ※内水浸水センサーの設置位置はP.20 図 4.1 モニタリング位置図参照 ③水位計、河川監視カメラの設置(高知県) 日下川及び戸梶川の洪水時の河川水位の変化実態を縦断的に把握し、要因分析や対策 検討のための水文データの蓄積を目的として、水位計を平成26 年 8 月までに計 7 箇所設 置するとともに、河川の増水状況などをリアルタイムに画像で提供することを目的とし て、カメラを平成27 年 4 月に計 2 箇所設置した。 ※水位計及び河川監視カメラの設置位置はP.20 図 4.1 モニタリング位置図参照

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3. 日下川総合内水対策計画 3.1 計画概要について (1) 整備目標 国土交通省・高知県・日高村が連携して、ハード・ソフト対策が一体となった総合的 な内水対策を進めることにより、平成26 年 8 月台風 12 号による床上浸水被害の解消を 図るとともに、その機能を維持させる。 (2) 整備方針 日下川における平成26 年 8 月台風 12 号による浸水被害は、床上浸水 109 戸にも及ぶ 甚大な被害を発生したため、国土交通省・高知県・日高村による役割分担を明確とした 総合内水対策を計画的に推進し、防災・減災を図るものである。 ハード対策として、国土交通省は内水排水能力向上を目的とした放水路トンネルを新 設する。また、高知県は新設の放水路トンネルへの導水効果向上を目的に、河川整備計 画において位置付けた日下川と戸梶川の河川改修計画のうち、日下川上流部及び戸梶川 の河川改修を先行して整備する。日高村は、国土交通省・高知県によるハード対策実施 後でも床上浸水被害の解消が困難な局所的に地盤が低い地域の家屋の浸水対策を行う。 さらに、国土交通省・高知県・日高村によるハード対策の整備後の治水安全度を低下 させないよう、地域住民への啓発活動などの適切なソフト対策を国土交通省・高知県と 日高村が連携して実施する。 国土交通省・高知県・日高村が連携して、平成26年8月台風12号による床上浸水被害の解消及び機能を維持

日高村

による流域対策(案)

整備目標:局所的に低い家屋の床上浸水対策及び内水安全度の維持及び気候変動を踏 まえた防災・減災機能の向上 整備内容:【ハード】 浸水防止壁、周囲堤(各戸対策) 等 【ソフト】 地域住民への啓発活動等適切なソフト対策を国土交通省・高知県と 連携して実施

国土交通省

による対策

整備目標:排水能力向上による水位低下 整備内容:放水路の新設

高知県

による対策

整備目標: 排水施設の導水効果の向上 整備内容:河川整備計画に位置付けている日下川・ 戸梶川の河川改修の推進(河道掘削等)

平成26年8月台風12号による床上浸水被害を大幅に軽減

(局所的に低い箇所の床上浸水家屋が残る) 図3.1 国土交通省・高知県・日高村による日下川総合内水対策計画の整備方針

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日下川放水路制水門(国) 新規放水路 約5,300m 日下川放水路 排水門(国) 本郷(旧岩目地)水位観測所 本郷(旧岩目地)雨量観測所 【日高村】 <ハード対策> 局所的に低い家屋の床上浸水対策 <ソフト対策> 地域住民への啓発活動等適切なソフト対策を国と連携して実施 【高知県】 日下川河道掘削等(延長=4,400m) 戸梶川河道掘削等(延長=2,050m) 【国土交通省】 日下川からの内水処理対策 放水路(延長=約5,300m、直径=7.0m) 図3.2 ハード及びソフト対策の概要 3.2 ハード対策 (1) 国土交通省による対策 既設の放水路(日下川放水路(国土交通省)、派川日下川(高知県))の排水能力不足を 解消するため、放水路トンネル(直径7m)を新設する。 新規放水路断面 D=約 7.0m 馬蹄型

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(2) 高知県による対策 日下川・戸梶川の治水安全度を向上させるとともに、放水路トンネルまでの洪水の導水 効果を向上させるため、日下川上流部及び戸梶川の河川改修を実施する。 河川改修にあたっては、仁淀川水系河川整備計画の「河川整備の実施に関する事項」の 河川改修内容に基づき、適切に実施する。 また、日下川下流部の河川改修は、仁淀川水系河川整備計画に基づき適切に実施する。 図 3.3(1) 日下川改修標準横断図 図 3.3(2) 戸梶川改修標準横断図 (3) 日高村による対策 国土交通省による対策(放水路の新設)、高知県による対策(日下川、戸梶川の河川改 修)を実施しても、局所的に地盤が低い地域にある家屋の床上浸水被害を解消できないた め、浸水防止壁、周囲堤などの整備により、浸水被害の解消を図る。 対策にあたっては、家屋の立地条件や当該地域の浸水要因を十分に把握し、平常時の生 活支障とならない対策を、地域と連携・調整し実施する。

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3.3 維持管理 国土交通省、高知県管理の河川管理施設の維持管理は、仁淀川水系河川整備計画に記載 の「河川の維持の目的、種類及び施行の場所」の内容に基づき、常に良好な状態に保ち、 施設の機能が十分に発揮されるよう適切に実施する。 平成26 年台風 12 号の出水の際に、草木などの大量の漂着ゴミが日下川放水路吞口部に 堆積した。日下川放水路吞口スクリーンは、放水能力の確保に十分な面積を確保している ものの、安全な施設運用に向けて除塵機の機能が十分に発揮されるよう、国土交通省は高 知県、日高村と連携して施設の維持管理を適切に実施する。 高知県は、調整池の適切な洪水調節効果を確保するとともに、洪水時に流出し漂着ゴミ となる草木を軽減させるため、日下川、戸梶川の堤防除草を本格的な出水(増水)期の前 後に定期的に実施する。 また、日高村は、流域から発生する漂着ゴミを軽減させるよう、地域と連携し平常時か ら浸水時の流出物の軽減に努める。

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3.4 ソフト対策 3.2 に記載したハード対策の実施による、内水被害の軽減効果を将来にわたり維持すると ともに、既に顕在化している雨の降り方の変化も踏まえ、施設機能を超過する降雨などに 対して社会全体で対応することが必要であることから、適切なソフト対策を着実に推進す ることにより、日下川流域の防災・減災機能の向上を図る。 表3.1 ソフト対策 項 目 概 要 実施主体 (1) 防災情報の提供 1). レーダ雨量による降雨量分布の監視及び情報提供 国土交通省 2). 河川の水位・雨量などの情報提供 国土交通省 高知県 3). 浸水想定区域(想定最大規模等)の作成・指定 国土交通省 4). 災害情報の自動メール配信サービス 日高村 5). 浸水ハザードマップの作成・公表 日高村 6). 主要箇所への実績浸水深などの表示 日高村 (2) 土地利用に関する ルールづくり 1). 新たな建築物に関するルール 日高村 2). 流域における流出抑制策 日高村 (3) 地域防災力の強化 1).防災に関する意識向上への取り組み 日高村 2). 自主防災組織の体制確保の取り組み 日高村 (4) その他 1). 排水ポンプ車などに関する連絡体制の確保 国土交通省 日高村 (1) 防災情報の提供 1) レーダ雨量による降雨量分布の監視及び情報提供 レーダ雨量による地域の降雨量分布の監視、リアルタイム降雨情報の発信などにより、 大雨の情報提供を行う。 http://www.river.go.jp/ リンク 図3.4 川の防災情報(国土交通省ウェブサイト)

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2) 河川の水位・雨量などの情報提供 洪水時には、河川の水位や雨量、洪水予報、被害状況などの各種河川情報を一元的に 収集し、地方公共団体の防災機関、地域住民へ情報提供する。 http://www.river.go.jp/ リンク 図3.5 川の防災情報(国土交通省ウェブサイト) 3) 浸水想定区域(想定最大規模)の指定 多発する浸水被害への対応を図るため、水防法の一部改正(H27.5.20)により、想定し得 る最大規模の洪水・内水・高潮への対策(ソフト対策)の推進を実施することとなった。 仁淀川の国管理区間においては、最大規模降雨による洪水に係る浸水想定区域を平成 28 年 5 月に指定した。 図3.6 洪水浸水想定区域図(想定最大規模)

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4) 災害情報の自動メール配信サービス 災害時における住民の避難や水防活動のために、高知県および国土交通省が発信する 雨量・水位情報を活用し、災害情報の自動メール配信サービス、各戸に設置したIP告 知端末や屋外スピーカーによる情報の発信を行う。 図3.7 日高村メール配信サービス 5) 浸水ハザードマップの作成・公表 わかりやすい浸水被害想定及び避難に関する情報などを積極的に住民に提供するため の、内水及び外水に対する浸水ハザードマップを作成・公表する。 浸水ハザードマップの作成にあたっては、近年の浸水被害状況を勘案し、想定洪水規 模や地形条件などを検討した上で作成する。

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6) 主要箇所への実績浸水深などの標示 過去の豪雨による実績浸水深を浸水想定区域内の主要な箇所に標示し、過去の区域内 の浸水被害について認識することにより、日頃から防災意識の高揚を図る。 図3.8 昭和 50 年 8 月台風 5 号の浸水痕跡水位の標示 「まるごとまちごとハザードマップ実施の手引き」より抜粋 図3.9 実績浸水深の標示のイメージ

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(2) 土地利用に関するルールづくり 1) 新たな建築に関するルール 国土交通省、高知県及び日高村の浸水対策事業の整備後、再び平成26 年台風 12 号豪 雨と同様の豪雨が発生した場合においても、床上浸水被害を発生させないため、ハード 対策との整合性を図り、浸水が想定される区域及び水位などを設定し、今後新たに居宅 を建築する場合には、居室の床の上面を一定の高さ以上に規制する条例を整備する。 図3.10 新たな建築に関するルールのイメージ 2) 流域における流出抑制策 農地などにおける遊水機能を維持する取り組みとして、雨水や氾濫水を一時的に貯留 する機能を有している農地などについて、日高村農業委員会を通じて現状の農地の遊水 機能の維持に努めるとともに、農地などの盛土行為に対する規制を行う指導要綱を作成 し、遊水機能減少の抑制を図る。 (3) 地域防災力の強化 1) 防災に関する意識向上への取り組み 住民の防災への意識向上に向けた取り組みとして、平常時から住民自身の自助意識、 防災意識の向上を図るための学習の場を設けるとともに、浸水被害の軽減や適切な避難 行動に向けた防災訓練、避難訓練などを継続的に行う。 2) 自主防災組織の体制確保の取り組み 浸水被害を軽減するため、自治体と住民の協同による連携体制の整備に向けた取り組 みとして、自主防災組織率 100%を目指すとともに、今後も育成強化を図り、継続的な 体制づくりを行う。また、各自主防災組織と連携し、資材の備蓄、情報伝達、水防活動、 避難行動・誘導などを適切に行うことができる体制づくりを推進する。 (4) その他 1) 排水ポンプ車などに関する連絡体制の確保 神母樋門が閉鎖し、内水氾濫が懸念される場合、国土交通省所管の排水ポンプ車の出 動手配などを迅速に行えるよう、関係機関との事前調整、緊急時の連絡体制を整備する。 浸水が想定される水位

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4. 今後の治水対策検討 4.1 モニタリング調査 今後の浸水被害の発生において、浸水の実態や被害発生要因の把握および既設の内水排 除施設の効果の検証のために、河川及び流域内の各地点の水位・流量観測施設での水文観 測を継続し、各種の水文データを蓄積する。 馬越調整池 岡花調整池 神母樋門 JR土讃線 国道194号 日高村役場 日下川 筋違橋 国岡橋 N 佐川町 日高村 土佐市 国道33号 凡例 既設 新設 :内水浸水センサー設置 :河川水位計設置 :河川流量観測箇所 :調整地排水樋門水位計設置 :河川監視カメラ 図4.1 モニタリング位置図 4.2 二次内水による浸水対策 日下川に流入する支川・排水路における二次内水による浸水被害に対して、浸水被害の 発生要因や氾濫特性の十分な把握に基づく浸水対策検討を実施するとともに、必要に応じ て支川や排水路の効果的な対策を推進する。

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5. その他 本計画は、平成24 年 4 月に設置した「日下川浸水対策調整会議」において、国土交通省 ・高知県・日高村の3 者によりとりまとめたものであり、計画の実施にあたっては、平成 26 年 8 月台風 12 号における浸水被害を解消すべく、引き続き 3 者が連携を図り着実な進 捗を図るとともに、対策スケジュール・内容の具体化や対策内容の追加・見直しなどが必 要となった場合は、適時、本計画を改定・公表するものとする。 また、国土交通省においては、新たなステージに対応した防災・減災対策のあり方や水 災害分野における気候変動適応策のあり方など、今後の防災・減災に向けた議論が進めら れているところであり、今後の国による新たな施策や制度の状況を注視し、有益な施策な どについては本計画に位置付け、適切な実施を図るものとする。

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附則 策定及び改訂経過 区 分 年 月 日 備 考 策 定 平成25 年 3 月 18 日 「日下川流域総合治水計画」 第1 回改訂 平成27 年 3 月 31 日 計画名称を変更 第2 回改訂 平成28 年 8 月 25 日 日下川新規放水路のルート決定 浸水想定区域(想定最大規模等) の作成・指定の追加 日下川浸水対策調整会議 委員 日高村 高知県 国土交通省 日高村長 河川課長 中央西土木事務所長 河川調査官 高知河川国道事務所長

図 1.1   仁淀川流域図 図 1.2   日下川流域図 至:高知市至:西条市至:窪川至:松山市下山 山伏郷 日下川流域
表 2.4   日下川治水事業の経緯 年度  事業名  治水施設  備考  明治 20 年~昭和 62 年  神母樋門  神母閘門の改修  昭和 28 年~昭和 36 年 南海地震地盤変動対策事業(高知県) 派川日下川 L=3.7km,D=3.2m  昭和 52 年~昭和 57 年  河川激甚災害対策特別緊急事業  (国土交通省)  日下川放水路  L=5.0km,D=7.0m  昭和 50 年~昭和 59 年  中小河川改修事業(高知県)  河道  河川改修  昭和 59 年~平成 8 年  岡花調整池

参照

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