資 料 2
地方公営企業会計制度研究会
<報告書>
平成17年3月
総 務 省
キャッシュ・フロー関係抜粋
6 キャッシュ・フロー計算書について
(1)「地方公営企業会計制度に関する報告書」(平成13年3月)における方針 企業会計及び独立行政法人会計において財務諸表の一つとして導入されることとな ったキャッシュ・フロー計算書について、公営企業会計においても内部留保資金を明 確化する等の観点から、その導入について検討する必要がある。 (2)研究会において検討された論点及びその考え方 「地方公営企業会計制度に関する報告書」(平成13年3月)で示された基本的な 方針を踏まえ、以下のとおり、想定される論点及びその考え方について、検討した。 <論点> ①キャッシュ・フロー計算書の導入意義は、何か。 ②キャッシュ・フロー計算書を導入するにあたっての課題は、何か。 ③小規模な企業等に対する取扱いをどうするか。 ④キャッシュ・フロー計算書を導入することとした場合の具体的内容は、どのよう なものが想定されるか。 <論点に対する考え方> ①について キャッシュ・フロー計算書の導入意義が論点の一つとなった。 これについては、同計算書は、発生主義会計のもとでの収益は現金収入のときでは なく、実現の時(例えば、サービスの提供時等)に認識されることから、収益・費用 を認識する会計期間と現金の収入・支出を認識する時期とに差違が生じることとなる が、この現金の収入・支出(資金の変動)に関する情報を得ることが可能となるとい う意義があるものである。 なお、具体的には、以下の点である。 ア、資金繰りの状況等の明示により、経営の健全性や経営危機等の判断が可能となる とともにキャッシュ・フローを使った新しい財務分析も可能となること。 イ、貸借対照表や損益計算書とあわせて、経営状況が明示されるとともに、債務の返 済能力を示すことが可能となること。 ウ、間接法を採用した場合には、減価償却費など現金支出を伴わない経費に係る内部 留保資金が明示される(※注)とともに、4条資本収支予算の補てん財源の内訳が 明示され、住民やサービスの利用者に経営状況を的確に情報提供することが可能と なること。 ※注 減価償却費等の内部留保資金の明示は、あくまで、間接法を採用した場合の副 次的効果である。②について キャッシュ・フロー計算書を導入するにあたっての課題が論点の一つとなった。 これについては、現行の公営企業会計で作成が義務づけられている資金予算表と資 金計画書(※注)との関係について整理する必要が生じたが、以下のとおりとするこ とが適当である。 ア、同計算書が、資金予算表及び資金計画書を代替することが可能となる場合で、か つ、同計算書の作成を義務づけた場合には、資金予算表及び資金計画書の存続の必 要性について検討する必要があること。 イ、現行制度において、資金予算表及び資金計画書の作成を義務づけておきながら、 その確定情報たる資金収支の実績表(キャッシュ・フロー計算書)の作成を義務づ けなくてよいか検討する必要があること。 ※注 資金予算表及び資金計画書の内容は以下のとおりである。 ア、資金予算表(法第 31 条、規則第 11 条、第 12 条 16 号):現金収支の実績を把 握するとともに、将来2ヶ月間の現金収支を予定するために作成されるもの。 イ、資金計画書(法第 25 条、令第 17 条の 2 第 1 項第 2 号、規則第 12 条第 4 号): 当該年度の経営活動に伴う資金収支を示すものであり、予算において作成される もの。 ③について キャッシュ・フロー計算書を導入することとした場合、小規模な企業等に対する取 扱いが論点の一つとなった。 これについては、同計算書の作成に係る新たな事務量の増大に係る負担に配慮し、 義務づけないこととするか検討することが適当である。 ただし、上記②イの観点に立てば、小規模な企業等でも義務づける必要があるとす る考え方も提示された。 ④について キャッシュ・フロー計算書を導入することとした場合の具体的内容についてどのよ うなものが想定されるかが論点の一つとなった。 これについては、以下のとおりとすることが考えられる。 ア、直接法又は間接法 企業会計における取扱いと同様、直接法又は間接法の選択制とする。 意味 メリット 直接法 営業収入、原材料の仕入れのための 支出など主要な取引ごとに収入総 額と支出総額とを表示する方法 主要項目が総額で表示される こと。 間接法 損益計算書等により、当期純利益を 純利益と営業活動に係るキャ
ベースに、減価償却費などの非資金 項目と、営業に関わる負債・資産の 増減額を加算して表示する方法 ッシュ・フローとの関係が明示 されること。 イ、資金の範囲及び表示区分 資金の範囲及び表示区分は、公営企業型地方独立行政法人会計基準を参考に、以下 のとおりとすることが適当である。 (ア)資金の範囲 現金及び現金同等物(※) ※注1 現金とは、手許現金及び要求払預金をいう。 ※注2 要求払預金とは、預金者が一定期間を経ることなく引き出すことのでき る預金をいい、普通預金、当座預金等が含まれる。 ※注3 現金同等物とは、容易に換金可能であり、かつ価値変動に僅少なリスク しか負わない短期投資をいう(CP、公社債投資信託等)。 (イ)表示区分 a キャッシュ・フロー計算書には、営業活動によるキャッシュ・フロー、投 資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの 区分を設けなければならない。 b 営業活動によるキャッシュ・フローの区分には、投資活動及び財務活動以 外の取引によるキャッシュ・フローを記載する。 c 投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得及び売却、 投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記載する。 d 財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、資金の調達及び返済によ るキャッシュ・フローを記載する。 e 一般会計納付に係るキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・ フローの区分に記載する。 f 受取利息、受取配当及び支払利息に係るキャッシュ・フローは、いずれも 営業活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。 ウ、具体的内容(直接法) キャッシュ・フロー計算書 (平成○○年4月1日~平成○○年3月31日) Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 原材料、商品又はサービスの購入による支出 -××× 人件費支出 -××× その他の営業支出 -××× 一般会計繰入金収入 ×××
手数料収入 ××× ・・・・・・・・・・・・・・ ××× 補助金等収入 ××× 補助金等の精算による返還金の支出 -××× 工事負担金等収入 ××× 工事負担金等の精算による返還金の支出 -××× 寄附金収入 ××× 小計 ××× 利息及び配当金の受取額 ××× 利息の支払額 -××× ・・・・・・・・・・・・・・ ××× 一般会計納付金の支払額 -××× 営業活動によるキャッシュ・フロー ××× Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 有価証券の取得による支出 -××× 有価証券の売却による収入 ××× 有形固定資産の取得による支出 -××× 有形固定資産の売却による収入 ××× 一般会計繰入金収入 ××× 補助金等収入 ××× 補助金等の精算による返還金の支出 -××× 工事負担金等収入 ××× 工事負担金等の精算による返還金の支出 -××× ・・・・・・・・・・・・・・ ××× 投資活動によるキャッシュ・フロー ××× Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入れによる収入 ××× 短期借入金の返済による支出 -××× 長期借入れによる収入 ××× 長期借入金の返済による支出 -××× 金銭出資の受入による収入 ××× ・・・・・・・・・・・・ ××× 財務活動によるキャッシュ・フロー ××× Ⅳ 資金に係る換算差額 ××× Ⅴ 資金増加額(又は減少額) ××× Ⅵ 資金期首残高 ×××
Ⅶ 資金期末残高 ××× 注記事項 キャッシュ・フロー計算書については、次の事項を注記しなければならない。 (1) 資金の期末残高の貸借対照表科目別の内訳 (2) 重要な非資金取引(注) (3) 各表示区分の記載内容を変更した場合には、その内容 <注> 重要な非資金取引について キャッシュ・フロー計算書に注記すべき重要な非資金取引には、例えば、次の ようなものがある。 (1) 現物出資の受入による資産の取得 (2) 資産の交換 (3) ファイナンス・リースによる資産の取得 (4) PFIによる資産の取得 ※注 非資金取引の中には、翌期以降のキャッシュ・フローに重要な影響を与えるもの があり、これを記載することとしている。 具体的内容(間接法) Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 当期純利益(注) ××× 減価償却費 ××× 引当金の増加額 ××× 支払利息 ××× 持分法による投資利益 -××× 有形固定資産売却益 -××× たな卸資産の減少額 ××× 小計 ××× 利息及び配当金の受取額 ××× 利息の支払額 -××× 営業活動によるキャッシュ・フロー ××× Ⅱ、Ⅲは上と同様 <注>当期純利益は、「投資活動によるキャッシュ・フロー」に計上される、「補 助金等収入」、「補助金等の精算による返還金の支出」を控除して計上するものと す る。
(3)基本的な方針 以上の検討を踏まえ、キャッシュ・フロー計算書に係る基本的な方針を以下のとお りとする。 <基本的な方針> キャッシュ・フロー計算書は、各公営企業の判断により作成するものとするが 、作成の動向を踏まえ、義務づけについて検討する。 ただし、小規模な企業等については、新たな事務の発生に係る負担に配慮し、 義務づけないこととするか検討する。 なお、いずれの場合も、比較可能性の点から、同計算書を作成する場合の指針 を示す。
前年度決算見込額 当年度予定額 増減 事業収益 前年度未収金 企業債 固定資産売却代金 一般会計からの出資金 前年度繰越金 一時借入金 事業債 前年度未払金 貯蔵品 建設改良費 企業債償還金 一時借入金返済
資 金 計 画
差引 受入資金 支払資金 区分 地方公営企業法規則 別表第8 号地方公営企業法規則 別表第20 号 年 月末 区分 科目 執行済額月までの 翌月予定 翌々月予定 事業収益 固定資産売却代金 企業債 前年度未収金 一時借入金 預り金 合計 事業費用 建設改良費 企業債償還金 貯蔵品 前年未払費用 前年度未払金 一時借入金返還金 預り金 合計 収支差引 前年度及び前月より繰越 翌月へ繰越 資 金 予 算 表 収入 支出 差引